IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自律型掃除機 図1
  • 特許-自律型掃除機 図2
  • 特許-自律型掃除機 図3
  • 特許-自律型掃除機 図4
  • 特許-自律型掃除機 図5
  • 特許-自律型掃除機 図6
  • 特許-自律型掃除機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】自律型掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20230207BHJP
   A47L 7/02 20060101ALI20230207BHJP
   A47L 11/18 20060101ALI20230207BHJP
   A47L 11/202 20060101ALI20230207BHJP
   A47L 11/03 20060101ALI20230207BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230207BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 L
A47L9/28 Q
A47L7/02
A47L11/18
A47L11/202
A47L11/03
G05D1/02 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019122721
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021007612
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 穣
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139720(JP,A)
【文献】特開2018-147032(JP,A)
【文献】特開2017-169613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 7/02
A47L 11/18
A47L 11/202
A47L 11/03
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除場所の被掃除面の塵埃を負圧で吸い込む吸込掃除と、前記被掃除面を払拭部材で拭く拭き掃除と、前記被掃除面または前記掃除場所への溶液の撒布と、を含む複数の機能の少なくとも2つの機能を実行可能な自律型掃除機であって、
前記掃除場所の環境地図と、前記環境地図上に識別される複数の領域と、前記複数の領域の少なくとも1つに、前記複数の機能の少なくとも1つを割り当てる領域別割当情報と、を記憶する記憶部と、
前記領域別割当情報に基づいて前記複数の領域のそれぞれに割り当てられた前記複数の機能の少なくとも1つを適用して、前記掃除場所で前記自律型掃除機を自律移動させる制御部と、
周囲の人の存否を検出する人感検知器と、を備え
前記制御部は、前記自律型掃除機の周囲に人が存在する場合には、前記吸込掃除を実行しない自律型掃除機。
【請求項2】
前記領域別割当情報は、割り当てられた前記機能を実行する時刻を指定する時刻情報を含み、
前記制御部は、前記時刻情報に基づいて前記複数の領域のそれぞれに割り当てられた前記複数の機能の少なくとも1つを実行する請求項1に記載の自律型掃除機。
【請求項3】
前記複数の領域の少なくとも1つは、前記複数の機能のすべてを割り当てられた領域である請求項1または2に記載の自律型掃除機。
【請求項4】
電解水を貯留する貯槽を備え、前記電解水を利用して前記拭き掃除を実行する請求項1から3のいずれか1項に記載の自律型掃除機。
【請求項5】
前記溶液としての電解水を貯留する貯槽と、前記電解水を霧化して前記掃除場所へ撒布する霧化装置と、を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の自律型掃除機。
【請求項6】
前記自律型掃除機の周囲の臭気物質の濃度を検出する臭気検知器を備え、
前記制御部は、前記臭気物質の濃度が予め定める閾値より小さい場合には、前記溶液の撒布を実行しない請求項5に記載の自律型掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、自律型掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除場所を複数に分割あるいは細分し、分割された小領域の掃除場所毎に掃除を行う自律走行型の電気掃除機(掃除ロボット、自律型掃除機)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、掃除場所の被掃除面の塵埃を負圧で吸い込む吸込掃除を実行する機能を有する自律型掃除機や、被掃除面を払拭部材で拭く拭き掃除を実行する機能を有する自律型掃除機が知られている。これら吸込掃除および拭き掃除を同時に実行可能な自律型掃除機も知られている。
【0005】
例えばフローリングのような被掃除面では、吸込掃除および拭き掃除を容易に同時に実行できる。
【0006】
しかしながら、例えばカーペットやラグ(Rug)が敷かれた被掃除面で、拭き掃除を実行する場合には、払拭部材に付着した塵埃が被掃除面に再付着したり、払拭部材と被掃除面との大きな摩擦抵抗によって電池電力が過大に消費されたりする。
【0007】
つまり、性質の異なる被掃除面毎に、好ましい掃除方法は異なっている。仮に、被掃除面の性質に基づいて掃除場所を分割する場合には、小領域毎に好ましい掃除方法が異なることになる。換言すると、複数の領域に分割あるいは細分された掃除場所を効率的に掃除するためには、区分された領域毎に好ましい掃除方法を割り当てことが好ましい。
【0008】
そこで、本発明は、吸込掃除を実行する機能や拭き掃除を実行する機能を備え、かつ掃除場所を分割あるいは細分して設定された複数の領域のそれぞれに、望ましい機能を割り当て可能な自律型掃除機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る自律型掃除機は、掃除場所の被掃除面の塵埃を負圧で吸い込む吸込掃除と、前記被掃除面を払拭部材で拭く拭き掃除と、前記被掃除面または前記掃除場所への溶液の撒布と、を含む複数の機能の少なくとも2つの機能を実行可能な自律型掃除機であって、前記掃除場所の環境地図と、前記環境地図上に識別される複数の領域と、前記複数の領域の少なくとも1つに、前記複数の機能の少なくとも1つを割り当てる領域別割当情報と、を記憶する記憶部と、前記領域別割当情報に基づいて前記複数の領域のそれぞれに割り当てられた前記複数の機能の少なくとも1つを適用して、前記掃除場所で前記自律型掃除機を自律移動させる制御部と、周囲の人の存否を検出する人感検知器と、を備え、前記制御部は、前記自律型掃除機の周囲に人が存在する場合には、前記吸込掃除を実行しない
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機を含む運転制御システムを示すシステム構成図。
図2】本発明の実施形態に係る電気掃除機の右側面図。
図3】本発明の実施形態に係る電気掃除機の底面図。
図4】本発明の実施形態に係る電気掃除装置のブロック図。
図5】本発明の実施形態に係る電気掃除機が記憶する環境地図および分割掃除場所の一例を示す図。
図6】本発明の実施形態に係る電気掃除機が記憶する領域別割当情報の一例を示す図。
図7】本発明の実施形態に係る電気掃除機が記憶する領域別割当情報の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る電気掃除装置の実施形態について図1から図7を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る自律型電気掃除機を含む運転制御システムを示すシステム構成図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る自律型掃除機1は、運転制御システム2に通信可能に接続されている。
【0014】
運転制御システム2は、電気通信網3に通信可能に接続されるサーバー4を含んでいる。運転制御システム2は、遠隔操作端末5と自律型掃除機1との間で双方向に情報を通信する通信回線を確立する。また、運転制御システム2は、構内端末6と自律型掃除機1との間で双方向に情報を通信する通信回線を確立する。なお、遠隔操作端末5および構内端末6を操作端末7と総称する。操作端末7は、情報端末である。自律型掃除機1は、運転制御システム2を通じて操作の簡便さ、操作の手軽さ、操作のし易さなど、使用者の使いやすさ(利便性)を向上させる。
【0015】
電気通信網3は、外部ネットワーク8と、構内通信網9と、構内通信網9と外部ネットワーク8との間で情報を中継する中継通信機器11と、を含んでいる。
【0016】
構内通信網9は、中継通信機器11を含む無線または有線の電気通信網である。自律型掃除機1および構内端末6は、構内通信網9に通信可能に接続されている。構内通信網9は、所謂イントラネットである。構内通信網9は、使用者に極めて簡便な通信環境を提供する。
【0017】
外部ネットワーク8は、インターネット12を含んでいる。中継通信機器11、サーバー4、および遠隔操作端末5は、公衆電話網や携帯電話網などを介してインターネット12に接続されている。運転制御システム2は、インターネット12を介在させることによって、自律型掃除機1と遠隔操作端末5との間で、極めて簡便な通信環境を使用者に提供する。
【0018】
サーバー4は、自律型掃除機1と遠隔操作端末5との間で情報を仲介している。サーバー4は、インターネット12を介して多数の自律型掃除機1と通信している。サーバー4は、それぞれの自律型掃除機1に識別子を付与している。自律型掃除機1の使用者は、サーバー4が提供する識別子によって、遠隔操作端末5と自宅の自律型掃除機1との間に、または遠隔操作端末5と使用者が所有する自律型掃除機1との間に双方向通信を確立する。
【0019】
遠隔操作端末5は、公衆無線回線や携帯電話回線を介してインターネット12に接続されている。遠隔操作端末5は、サーバー4と双方向通信する。遠隔操作端末5は、自律型掃除機1の掃除運転の開始指示、および停止指示などの操作指示の入力を受け付ける。これら、掃除運転の開始指示、および停止指示などの操作指示は、通信回線を介して自律型掃除機1に送信される。また、遠隔操作端末5は、運転中、一時停止中、および停止中など、自律型掃除機1の状態を通知する情報をサーバー4から取得して自律型掃除機1の状態を画面に出力する。運転制御システム2は、遠隔操作端末5から自宅の自律型掃除機1へ指令を含む情報を送信可能にし、自律型掃除機1から遠隔操作端末5へ自律型掃除機1の状態を表す情報を含む情報を受信可能にする。つまり、運転制御システム2は、外出先で遠隔操作端末5から自宅の自律型掃除機1を操作可能な環境を提供できる。使用者は、例えば、自宅を不在にしている外出中に、自律型掃除機1を操作して自宅の掃除を適時に行うことができる。
【0020】
自律型掃除機1は、いわゆるロボットクリーナーである。自律型掃除機1は、本体21に搭載される二次電池22の電力を消費して自律で移動する。自律型掃除機1は、走行することで居室内の掃除場所としての被掃除領域Aの被掃除面f、いわゆる床面を移動する。自律型掃除機1は、被掃除領域Aの被掃除面fを動き回って掃除を行う。自律型掃除機1は、被掃除領域Aを網羅的に移動して掃除を行う。自律型掃除機1は、被掃除面fの掃除を終えると、ステーション23へ自律で帰還(「帰巣」とも言う。)して次の掃除運転を待機する。
【0021】
ステーション23は、居室内の被掃除面に設置することができる。ステーション23は、自律型掃除機1を円滑に連結または切り離し可能である。ステーション23は、いわゆる充電台の機能を有している。換言すると、ステーション23は、自律型掃除機1の二次電池22を充電可能な充電台である。ステーション23は、商用交流電源から電力を導く電源コード25と、電源コード25を介して供給される交流電圧を変換して二次電池22へ直流電圧を供給する充電回路26と、を備えている。
【0022】
ステーション23に帰還した自律型掃除機1は、次の掃除運転を待機している最中、二次電池22を充電する。そのため、自律型掃除機1は、使用者による充電の手間を省き、かつ使用者の求めによる突発的な掃除運転に対応できる。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の右側面図である。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の底面図である。
【0025】
なお、図2および図3の実線矢印Fは、自律型掃除機1の前進方向を示している。
【0026】
図1に加えて、図2および図3に示すように、本実施形態に係る自律型掃除機1は、被掃除面fの塵埃を負圧で吸い込む吸込掃除と、被掃除面fの拭き掃除と、被掃除面fまたは被掃除領域Aへの溶液の撒布と、を含む複数の機能を有している。撒布される溶液は、例えば芳香剤、消臭剤、除菌作用を有する次亜塩素酸を含んだ電解水、加湿用の水である。本実施形態では、溶液に次亜塩素酸を含んだ電解水を利用する場合について具体的に説明する。なお、自律型掃除機1は、複数の機能のうち少なくとも2つの機能を実行可能であれば良い。
【0027】
自律型掃除機1は、本体21と、自律型掃除機1を移動させる力を発生させる移動部31と、吸込掃除機能および拭き掃除機能を有する掃除部32と、自律型掃除機1の周囲の被検知物を検知する検知部33と、移動部31、掃除部32、および検知部33を制御して自律型掃除機1の運転を制御する制御部35と、移動部31、掃除部32、検知部33、および制御部35を含む自律型掃除機1の各部へ電力を供給する二次電池22と、を備えている。
【0028】
また、自律型掃除機1は、本体21に設けられて水を貯留する貯槽36と、貯槽36に蓄えられている水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置37と、貯槽36に蓄えられている電解水を本体21外へ供給する第一供給部38と、貯槽36に蓄えられている電解水を本体21内へ供給する第二供給部39と、を備えている。
【0029】
本体21は、扁平な円柱形状、換言すると円盤形状を有している。平面視で実質的に円形の本体21は、他の形状に比べて旋回時の旋回半径を小さく抑制できる。なお、平面視において、本体21は、正方形のような形状を有していても良いし、差渡しの幅が常に一定の定幅図形、例えばルーローの三角形(Reuleaux Triangle)を有していても良い。
【0030】
本体21は、例えば合成樹脂製の本体ケース41と、本体ケース41の側面に設けられるバンパー42と、を備えている。
【0031】
本体ケース41と貯槽36とは、平面視における本体21の外形線を協働して画定している。本実施形態では、本体ケース41および貯槽36は、平面視において、弦で切り取られた円弧形の外形線を有している。本体ケース41の円弧形の外形線と、貯槽36の円弧形の外形線とが、それぞれの弦で組み合わさって本体21の円形の外形線を描く。本体21が円形以外の形状であっても同様に、本体ケース41の外形線と貯槽36の外形線とが組み合わさって本体21の外形線を描く。なお、貯槽36は、本体21を超信地旋回(spin turn、neutral turn、counter-rotation turn)させた際に本体ケース41の外形線が描く軌跡の内側に納まっていることが好ましい。
【0032】
本体ケース41の高さと貯槽36の高さとは、実質的に同じである。なお、本体ケース41の高さと貯槽36の高さとは、異なっていても良い。例えば、貯槽36の高さが本体ケース41の高さよりも高く、貯槽36が上方へ突出していても良い。また、貯槽36の高さが本体ケース41の高さよりも低く、貯槽36が凹没していても良い。さらに、貯槽36の高さが本体ケース41の高さよりも低く、貯槽36が本体ケース41の上面に搭載されていても良い。このような場合には、本体ケース41の上面は、貯槽36を搭載する部位と、その他の部位とで階段状に段差があっても良い。そして、貯槽36が本体ケース41に搭載されている状態で、貯槽36の上面と本体ケース41の上面との高さは実質的に一致していることが好ましい。
【0033】
移動部31は、被掃除面fに接地可能な複数の駆動輪45と、それぞれの駆動輪45を個別に駆動させる複数の電動機46と、駆動輪45とともに被掃除面f上の本体21を支える従動輪47と、を備えている。
【0034】
それぞれの駆動輪45は、本体21を移動させる力を被掃除面fへ伝える。それぞれの駆動輪45は、本体21の幅方向、つまり左右幅方向に延びる軸を中心に回転する。複数の駆動輪45は、少なくとも一対の駆動輪45を含んでいる。一対の駆動輪45の回転軸は、実質的に同一線上に配置されている。自律型掃除機1は、一対の駆動輪45によって直進および旋回することができる。駆動輪45は、懸架装置、いわゆるサスペンションによって被掃除面fに押さえつけられている。自律型掃除機1は、駆動輪45に代えて、無限軌道を備えていても良い。
【0035】
それぞれの電動機46は、それぞれの駆動輪45を独立して駆動させる。自律型掃除機1は、左右の駆動輪45を同じ方向へ回転させることによって直進し、左右の駆動輪45を異なる方向へ回転させることによって旋回する。直進には、前進、および後退が含まれる。旋回には、右旋回、および左旋回が含まれる。また、自律型掃除機1は、左右の駆動輪45の出力を上下させて前進、または後退の速度を調整したり、左右の駆動輪45の出力を相違させて旋回半径の大小を調整したりすることができる。
【0036】
従動輪47は、本体21の下部の幅方向の略中央部、かつ前部に配置されている。従動輪47は、円形の回転体であり、例えばキャスターである。従動輪47は、自律型掃除機1の前進、後退、および旋回に容易に追従して向きを変え、自律型掃除機1の走行を安定させる。なお、駆動輪45および従動輪47に支えられる自律型掃除機1の重心は、一対の駆動輪45と従動輪47とがなす三角形の内側に配置されていることが好ましい。そのため、自律型掃除機1は、より安定して移動することができる。
【0037】
掃除部32は、本体21の下方の被掃除面fを掃除する。より具体的に、掃除部32は、本体21の真下、およびその周囲の被掃除面fを掃除する。掃除部32は、吸込負圧を生じさせて被掃除面fの塵埃を吸引する吸込掃除部48と、本体21の下方の被掃除面fを拭き掃除もしくは磨き掃除する拭き掃除部49と、を含んでいる。
【0038】
吸込掃除部48は、吸込掃除機能を担っている。吸込掃除部48は、本体21の底面に設けられる吸込口51と、吸込口51に配置される回転ブラシ52と、回転ブラシ52を回転駆動させるブラシ用電動機53と、本体21に設けられる集塵部としての塵埃容器55と、本体21内に収容されて塵埃容器55に流体的に接続される電動送風機56と、を備えている。
【0039】
なお、吸込口51から塵埃容器55を経て電動送風機56の吸込側に達する風路は、電動送風機56の吸込側に流体的に接続される吸込風路57である。吸込風路57は、吸込口51から塵埃容器55へ至る上流側風路57uと、塵埃容器55から電動送風機56へ至る下流側風路57dと、を備えている。
【0040】
また、電動送風機56の排気側から本体21の排気口に至る風路は、電動送風機56の吐出側に流体的に接続される排気風路58である。電動送風機56からの排気風は、排気風路58を経て本体21の外へ排気される。
【0041】
吸込口51は、電動送風機56が発生させる吸込負圧によって空気とともに塵埃を吸い込む。吸込口51は、拭き掃除部49よりも前進方向Fの前側に配置されている。吸込口51は、本体21の幅方向に延びている。換言すると、吸込口51の左右方向の開口幅は、吸込口51の前後方向の開口幅よりも大きい。本体21の底面が自律移動時に被掃除面fに対向し、対面しているため、吸込口51は、被掃除面f上の塵埃、または回転ブラシ52が被掃除面fから掻き上げた塵埃を容易に吸い込むことができる。
【0042】
回転ブラシ52の回転中心線は、自律型掃除機1の幅方向に向けられている。回転ブラシ52は、自律型掃除機1を被掃除面f上に移動可能な状態で置いたとき、被掃除面fに接触する。そのため、回転駆動する回転ブラシ52は、被掃除面f上の塵埃を掻き上げる。掻き上げられた塵埃は、吸込口51へ効率的に吸い込まれる。
【0043】
ブラシ用電動機53は、回転ブラシ52を正転、または逆転させる。回転ブラシ52の正転方向は、前進時に自律型掃除機1の駆動力(推進力)を補助する回転方向である。回転ブラシ52の逆転方向は、後退時に自律型掃除機1の駆動力(推進力)を補助する回転方向である。
【0044】
塵埃容器55は、吸込風路57の一部である。塵埃容器55は、電動送風機56が発生させる吸込負圧によって吸込口51から吸い込まれる塵埃を蓄積する。塵埃容器55は、塵埃を濾過捕集するフィルターや、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離(直進する空気と塵埃との慣性力の差で塵埃と空気とを分離する分離方式)などの慣性分離によって塵埃を蓄積する分離装置である。塵埃容器55は、本体21に着脱可能である。塵埃容器55は、開閉可能な蓋を有している。使用者は、本体21から塵埃容器55を取り外し、塵埃容器55の蓋を開いて塵埃容器55に蓄積された塵埃を容易に廃棄したり、塵埃容器55を清掃したり、洗浄したりすることができる。
【0045】
電動送風機56は、二次電池22の電力を消費して駆動する。電動送風機56は、塵埃容器55から空気を吸い込んで吸込負圧を生じさせる。塵埃容器55に発生した吸込負圧は、吸込口51に作用する。本体21は、電動送風機56の排気を、本体21の外側へ流出させる排気口を有している。
【0046】
拭き掃除部49は拭き掃除機能を担っている。拭き掃除部49は、本体21の底部であって、吸込口51よりも後方に配置されている。拭き掃除部49は、本体ケース41の底部に設けられていても良いし、本体ケース41と協働して本体21の外形線を画定する貯槽36の底部に設けられていても良い。
【0047】
拭き掃除部49は、例えば、本体21の下方の被掃除面fを拭き掃除する。拭き掃除部49は、拭き掃除部材61を着脱可能な拭き掃除部材取付部62と、拭き掃除部材61と、を備えている。
【0048】
自律型掃除機1の前進方向(図2中の実線矢印F)において、吸込口51と拭き掃除部材61とは前後に並び、かつ吸込口51は拭き掃除部材61より前側に配置されている。したがって、自律型掃除機1が前進すると、吸込口51は拭き掃除部材61よりも先行して移動する。そのため、吸込掃除部48と拭き掃除部49とが同時に機能を発揮している場合には、拭き掃除部49は、吸込掃除部48によって塵埃が除去された後の被掃除面を拭き掃除する。
【0049】
拭き掃除部材取付部62は、面ファスナーを利用してシート状の拭き掃除部材61を貼り付けたり、シート状の拭き掃除部材61を巻き付けたり、拭き掃除部材61の一部を差込口に差し込んだりして固定する基台である。拭き掃除部材取付部62は、自律型掃除機1を被掃除面fに置いた状態で拭き掃除部材61を被掃除面fに接触させる。拭き掃除部材取付部62自体も、自律型掃除機1から着脱可能であっても良い。
【0050】
拭き掃除部材61は、例えば織布、または不織布等の繊維材料製の拭き掃除シートである。拭き掃除部材61は、例えばワイパーシートや、ダスタークロス、雑巾、モップ(柄の部分を除いた先端の繊維の塊)など、吸湿性を有する種々の掃除用具である。拭き掃除部材61の材料は、綿などの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの合成繊維である。拭き掃除部材61は、スポンジであっても良い。また、拭き掃除部材61は、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体)製の部材を一体に有していても良い。高吸水性高分子製の部材を一体に有する拭き掃除部材61は、より多量の電解水を保水できる。
【0051】
拭き掃除部材61は、拭き掃除部材取付部62の底面に着脱することができる。自律型掃除機1を被掃除面f上に移動可能な状態で置いたとき、拭き掃除部49は、被掃除面fに接触する。拭き掃除部49は、駆動輪45が被掃除面fで空転しない程度の圧力で、被掃除面fに押し当てられていることが好ましい。拭き掃除部49と本体21の底面との間には、発泡樹脂などの弾性部材が設けられている。この弾性部材は、拭き掃除部49を被掃除面fに均一の圧力で押し当てる。
【0052】
拭き掃除部材61は、電解水を本体21外へ供給する第一供給部38の一態様でもある。拭き掃除部材61は、電解水生成装置37から供給される電解水で湿った状態で、被掃除面fを水拭きする。電解水で水拭きされる被掃除面fは除菌される。
【0053】
拭き掃除部材61を介さずに被掃除面fへ電解水を供給する場合には、拭き掃除部材61は、被掃除面fに撒布された電解水を拭き取ることもできる。
【0054】
つまり、拭き掃除部材61は、電解水を含んで湿り、被掃除面fに電解水を塗布する、いわゆる水拭きの用途で用いることも可能であり、被掃除面fに撒布された電解水を拭き取る、いわゆる乾拭きの用途で用いることも可能である。換言すると、自律型掃除機1は、移動にともなって次亜塩素酸を含む電解水を被掃除面fに撒布または塗布し、被掃除面fを除菌する。
【0055】
拭き掃除部材61による拭き掃除が乾拭きになるのか、水拭きになるのかは、電解水生成装置37から被掃除面fへ撒布される電解水の量、および電解水生成装置37から拭き掃除部材61へ供給される電解水の量に依存する。例えば床面に撒布される電解水の供給量が微量であれば、電解水は拭き掃除部材61を湿らせる以前に蒸発してしまう。このような場合には、拭き掃除部材61による乾拭きが継続する。床面に撒布される電解水の供給量が多量であれば、電解水は蒸発しきらずに拭き掃除部材61を湿らせる。このような場合には、拭き掃除部材61による乾拭きは、いずれ乾拭きから水拭きへ移行する。
【0056】
なお、自律型掃除機1は、拭き掃除部材61が被掃除面fから離れるよう本体21の姿勢を傾けることができる。例えば、自律型掃除機1は、従動輪47の接地点を本体21の底面へ近づけることで、拭き掃除部材61が被掃除面fから離れるよう本体21の姿勢を傾ける。また、自律型掃除機1は、拭き掃除部材61が被掃除面fから離れるよう拭き掃除部材取付部62を本体21に近づけることができても良い。これら従動輪47の接地点の移動、または拭き掃除部材取付部62の移動のために、電動機、および電動機の駆動力を伝達する機構が、本体21に設けられる。
【0057】
検知部33は、本体21の移動にともなって本体21に近づく被検知物、または本体21に接触する被検知物を検知する。検知部33は、本体21に設けられて自律型掃除機1の周囲の画像を撮影するカメラ部65と、本体21に設けられて本体21が自律型掃除機1以外の物体、つまり被検知物に接近したことを検知する近接検知部66と、本体21に設けられて本体21が自律型掃除機1以外の物体、つまり被検知物に接触したことを検知する接触検知部67と、を含んでいる。
【0058】
カメラ部65は、本体21の正面に設けられて、自律型掃除機1の前方、つまり前進時の走行方向を撮影する。
【0059】
自律型掃除機1は、カメラ部65に代えて、または加えて、ステレオカメラとは異なる原理によって撮影範囲における奥行きの情報を得る距離測定装置68を備えていても良い。
【0060】
近接検知部66は、例えば赤外線センサーや、超音波センサーである。赤外線センサーを利用する近接検知部66は、赤外線を発する発光素子と、光を受けとって電気信号に変換する受光素子と、を備えている。近接検知部66は、発光素子から赤外線を放ち、被検知物で反射される赤外線を受光素子で受光して電力に変換し、変換された電力が一定以上になると、被検知物が一定距離内に近づいたことを、本体21が被検知物に接触する以前に検知する。超音波センサーを利用する近接検知部66は、赤外線に代えて超音波を利用して被検知物を検知する。
【0061】
接触検知部67は、いわゆるバンパーセンサーである。接触検知部67は、移動する本体21が被検知物に接触した際に、本体21への衝撃を緩和するバンパー42に連動している。バンパー42は、被検知物に接触した際に、本体21の内側へ向かって押し込まれるように変位する。接触検知部67は、このバンパー42の変位を検知して本体21が被検知物に接触したことを検知する。接触検知部67は、例えばバンパー42の変位によって入り、切りされるマイクロスイッチ、またはバンパー42の変位量を非接触で測定する赤外線センサーや、超音波センサーを含んでいる。
【0062】
二次電池22は、移動部31、掃除部32、検知部33、および制御部35を含む自律型掃除機1の各部で消費される電力を蓄えている。二次電池22は、移動部31、掃除部32、検知部33、および制御部35を含む自律型掃除機1の各部へ電力を供給する。二次電池22は、例えばリチウムイオン電池であり、充放電を制御する制御回路を有している。この制御回路は、二次電池22の充放電に関する情報を制御部35へ出力している。
【0063】
貯槽36は、水や塩水を貯留する容器である。貯槽36に貯留される水は、水道水でよい。貯槽36は、給水の利便性を高めるために、本体21に着脱可能であることが好ましい。貯槽36は、開閉可能な蓋を備えている。貯槽36は、蓋を開いて水や塩水を容易に給水できる。貯槽36には、貯槽36内の水量を検知する水量検知部71が設けられている。
【0064】
電解水生成装置37は、例えば、水を電気分解してオゾンが溶解された電解水を生成したり、塩水を電気分解して次亜塩素酸(HClO、Hypochlorous Acid)が溶解された電解水を生成したりする。日本では水道法の定めにより、家庭で容易に入手可能な水道水には、塩素が含まれている。日本の水道法では、水道水の塩素の濃度は、10分の1ppm(質量百万分率、ミリグラム毎リットル)以上に定められている(水道法第22条に基づく水道法施行規則(厚生労働省令)第17条第3号)。電解水生成装置37は、日本の水道水のように塩素が含まれる水、または塩水を電気分解することで次亜塩素酸を含む電解水を容易に生成できる。電解水生成装置37は、正極および負極を含む電極73を備えている。
【0065】
電解水生成装置37の電極73には、水に溶け出しにくい材料、例えばチタンや白金が用いられる。電気分解を促進するために、電極73には、イリジウム、白金、ルテニウムなどの白金族の金属、またはその酸化物が担持されていても良い。電解水には、過酸化水素、活性酸素、OHラジカルなどの化学種が生成される。電極73は、貯槽36内に設けられている。
【0066】
電解水生成装置37は、正極と負極との間に仕切のない1室型であっても良いし、正極と負極との間に仕切を有する2室型、および3室型を含む多室型であっても良い。1室型の電解水生成装置37は、正極側に生成される酸性イオン水と負極側に生成されるアルカリ性イオン水とを中和して、適宜の濃度の次亜塩素酸を含む電解水を生成する。他方、多室型の電解水生成装置37は、正極を収容する部屋に酸性イオン水を生成し、負極を収容する部屋にアルカリ性イオン水を生成する。
【0067】
なお、多室型の電解水生成装置37は、酸性イオン水とアルカリ性イオン水との使用量が不均一になって、いずれか残留した方のイオン水を処分する負担が生じる場合がある。1室型の電解水生成装置37は、多室型のように残留した方のイオン水を処分する負担が生じず、多室型に比べて使用者の利便に適う場合がある。
【0068】
また、自律型掃除機1が利用する溶液が電気分解を必要としない芳香剤、消臭剤、および水のような溶液であれば、電解水生成装置37はなくても良い。
【0069】
第一供給部38は、被掃除面fおよび被掃除領域Aの雰囲気へ電解水を拡散可能なよう、あるいは散布可能なように電解水を供給する。第一供給部38は、拭き掃除部材61、被掃除面f、および被掃除領域Aの雰囲気の少なくともいずれか1つへ電解水を供給する。第一供給部38は、貯槽36から拭き掃除部材61へ電解水を供給する第一供給機構部75と、貯槽36から被掃除面fへ電解水を供給する第二供給機構部76と、貯槽36から本体21の雰囲気へ電解水を供給する第三供給機構部77と、を備えている。第一供給部38は、第一供給機構部75、第二供給機構部76、および第三供給機構部77のいずれか1つを有していれば良い。
【0070】
第一供給機構部75は、拭き掃除部材61の裏面へ電解水を供給する第一供給口81と、第一供給口81への電解水の供給と供給の遮断とを行う第一開閉弁82と、電解水を第一供給口81へ導く第一導水経路86aと、を備えている。なお、拭き掃除部材61の表面とは、被掃除面fに接する方の面であって、拭き掃除部材61の裏面とは、表面の裏側の面、すなわち被掃除面fに接しない方の面である。
【0071】
第一供給口81は、複数あっても良い。例えば、第一供給口81は、本体21の幅方向、つまり拭き掃除部材61の幅方向に列をなして並んでいることが好ましい。このように並ぶ第一供給口81は、拭き掃除部材61の広い範囲を電解水で湿らせることができる。また、第一供給口81は、本体21の幅方向に延びる長辺を有する細長く扁平な開口であっても良い。
【0072】
第一開閉弁82は、いわゆる電磁弁である。第一供給機構部75は、第一開閉弁82を開くことで貯槽36内の電解水の水位と第一供給口81との高低差、つまり水頭差で電解水を供給する。第一供給機構部75は、第一開閉弁82に代えて、貯槽36内の電解水を汲み上げるポンプを備えていても良い。また、第一供給機構部75は、単に貯槽36内の電解水を流出させる流路、例えば細管やオリフィスであっても良い。このような場合には、細管の内径、あるいはオリフィス径は、電解水の所要の供給量(単位時間あたりの供給量)を得るために、適宜、好適に設定される。
【0073】
第二供給機構部76は、被掃除面fへの電解水の撒布機能を担っている。第二供給機構部76は、被掃除面fへ電解水を撒布する第二供給口83と、第二供給口83への電解水の供給と供給の遮断とを行う第二開閉弁84と、電解水を第二供給口83へ導く第二導水経路86bと、を備えている。
【0074】
第二供給口83は、例えば電解水を撒布可能なノズルである。第二供給口83は、自律型掃除機1が被掃除面fに置かれた状態で、吸込口51と拭き掃除部材61との間に挟まれる被掃除面fへ電解水を供給する。換言すると、第二供給機構部76は、自律型掃除機1が被掃除面fに置かれた状態で、第二供給口83から吸込口51と拭き掃除部材61との間に挟まれる被掃除面fへ電解水を供給する。
【0075】
第二供給口83は、複数あっても良い。例えば、第二供給口83は、本体21の幅方向、つまり拭き掃除部材61の幅方向に列をなして並んでいることが好ましい。このように並ぶ第二供給口83は、本体21の進行にともなって、より広い範囲に電解水を撒布する。また、第二供給口83は、本体21の幅方向に延びる長辺を有する細長く扁平なノズルであっても良い。
【0076】
第二開閉弁84は、いわゆる電磁弁である。第二供給機構部76は、第二開閉弁84を開くことで貯槽36内の電解水の水位と第二供給口83との高低差、つまり水頭差で電解水を供給する。第二供給機構部76は、第二開閉弁84に代えて、貯槽36内の電解水を汲み上げるポンプを備えていても良い。また、第二供給機構部76は、単に貯槽36内の電解水を流出させる流路、例えば細管やオリフィスであっても良い。このような場合には、細管の内径、あるいはオリフィス径は、電解水の所要の供給量(単位時間あたりの供給量)を得るために、適宜、好適に設定される。
【0077】
第三供給機構部77は、被掃除領域Aの雰囲気への電解水の撒布機能を担っている。第三供給機構部77は、電解水を霧状にして本体21の周囲の雰囲気へ供給する第一霧化装置85と、電解水を第一霧化装置85へ導く第三導水経路86cと、を備えている。
【0078】
第一霧化装置85は、本体21の天面に設けられている。第一霧化装置85は、本体21の周囲の雰囲気へ霧化した電解水を拡散、あるいは撒布する。
【0079】
第一霧化装置85は、電解水を加熱して霧化させる加熱式、電解水を超音波で振動させて霧化させる超音波式、ベンチュリー効果を用いたスプレー、例えば霧吹きで電解水を霧化させる方式、コロナ放電を利用して電解水を霧化させる静電霧化、高速回転させたプロペラなどによって電解水を拡散させて水分子を破砕する水破砕式など、種々の霧化方式を利用する。いずれの方式においても、第一霧化装置85は、直径100マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化し、より好ましくは直径10マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化する。
【0080】
第一導水経路86a、第二導水経路86b、および第三導水経路86cは、例えば貯槽36と第一霧化装置85とを繋ぐ配管であっても良いし、貯槽36内の電解水を、例えば毛細管現象で吸い上げて第一霧化装置85へ導く縄や索であっても良い。第一導水経路86a、第二導水経路86b、および第三導水経路86cは、図2に示すように他の導水経路から分岐していても良いし、それぞれが単独で貯槽36に繋がっていても良い。
【0081】
第二供給部39は、貯槽36に蓄えられている電解水を吸込風路57へ供給する。第二供給部39は、吸込口51と塵埃容器55とを繋ぐ上流側風路57uへ電解水を供給しても良いし、塵埃容器55へ電解水を供給しても良いし、塵埃容器55と電動送風機56とを繋ぐ下流側風路57dへ電解水を供給しても良い。換言すると、第二供給部39は、貯槽36に蓄えられている電解水を吸込口51と塵埃容器55とを繋ぐ上流側風路57u、塵埃容器55の内部、および塵埃容器55と電動送風機56とを繋ぐ下流側風路57dの少なくとも1つへ供給する。
【0082】
第二供給部39は、電解水を気化させて電解水を吸込口51と塵埃容器55とを繋ぐ上流側風路57u、塵埃容器55の内部、および塵埃容器55と電動送風機56とを繋ぐ下流側風路57dの少なくとも1つへ供給する。そこで、第二供給部39は、電解水を霧状にして上流側風路57u、塵埃容器55、および塵埃容器55と電動送風機56とを繋ぐ下流側風路57dの少なくとも1つへ供給する第二霧化装置87と、貯槽36から第二霧化装置87へ電解水を導く第四導水経路88と、を備えている。
【0083】
第二霧化装置87は、上流側風路57u自体、または上流側風路57uに繋がる空間に露出していても良いし、塵埃容器55自体、または塵埃容器55に繋がる空間に露出していても良いし、下流側風路57d自体、または下流側風路57dに繋がる空間に露出していても良い。第二霧化装置87は、上流側風路57u、塵埃容器55、下流側風路57dの少なくとも1つへ霧化した電解水を拡散、あるいは撒布する。
【0084】
ここで、「上流側風路57uに繋がる空間」、「塵埃容器55に繋がる空間」および「下流側風路57dに繋がる空間」は、電動送風機56が生じさせる吸込負圧が作用して空気の流動が十分に生じる部分を含み、また、電動送風機56が生じさせる吸込負圧が作用する一方で、吸込負圧による空気の流動が十分に生じずに流れの淀む部分を含む。
【0085】
第二霧化装置87は、電解水を加熱して霧化させる加熱式、電解水を超音波で振動させて霧化させる超音波式、ベンチュリー効果を用いたスプレー、例えば霧吹きで電解水を霧化させる方式、コロナ放電を利用して電解水を霧化させる静電霧化、高速回転させたプロペラなどによって電解水を拡散させて水分子を破砕する水破砕式など、種々の霧化方式を利用する。いずれの方式においても、第二霧化装置87は、直径100マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化し、より好ましくは直径10マイクロメートル以下の微粒子を含むように電解水を霧化する。
【0086】
第四導水経路88は、例えば貯槽36と第二霧化装置87とを繋ぐ配管であっても良いし、貯槽36内の電解水を、例えば毛細管現象で吸い上げて第二霧化装置87へ導く縄や索であっても良い。また、第四導水経路88は、図2に示すように他の導水経路から分岐していても良いし、第四導水経路88単独で貯槽36に繋がっていても良い。
【0087】
なお、第二供給部39は、第二霧化装置87に代えて、または加えて、吸込口51と塵埃容器55とを繋ぐ上流側風路57u、塵埃容器55の内部、および塵埃容器55と電動送風機56とを繋ぐ下流側風路57dの少なくとも1つで電解水を気化させる保水体91を備えていても良い。
【0088】
保水体91は、第二霧化装置87と同じ第四導水経路88、または異なる導水経路を介して貯槽36に繋がれている。保水体91は、導水経路を通じて供給される電解水を吸って、電解水を含んだ状態となる。保水体91の一部は、貯槽36と保水体91とを繋ぐ導水経路を通る電解水に接触している。保水体91の一部は、導水経路を介すことなく貯槽36内の電解水に直接的に接触していても良い。保水体91の他部は、上流側風路57u自体、または上流側風路57uに繋がる空間に露出していても良いし、塵埃容器55自体、または塵埃容器55に繋がる空間に露出していても良いし、下流側風路57d自体、または下流側風路57dに繋がる空間に露出していても良い。
【0089】
保水体91は、その吸水性によって電解水を保持する。また、保水体91は、その吸水性によって貯槽36と保水体91とを繋ぐ導水経路の電解水を吸い取る。つまり、自律型掃除機1は、吸水性を有する部材を電解水に接触させることで、吸込口51と塵埃容器55とを繋ぐ上流側風路57u、塵埃容器55の内部、および塵埃容器55と電動送風機56とを繋ぐ下流側風路57dの少なくとも1つへ電解水を供給する。保水体91は、電解水の供給場所(上流側風路57u、塵埃容器55、または下流側風路57d)が貯槽36よりも高い位置にあっても、毛細管現象によって液体を吸い上げて移動させることができる。保水体91の吸水性の程度や大きさを変えることによって、吸い上げる力と高さとを調節し、過供給を避けることが可能である。なお、保水体91は、貯槽36よりも下方に配置されていても良い。この場合には、電解水は水頭差によって保水体91へ容易に供給される。
【0090】
保水体91は、例えば織布、または不織布である。保水体91の材料は、綿などの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの合成繊維である。保水体91は、スポンジであっても良い。また、保水体91は、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体)製の部材を一体に有していても良い。高吸水性高分子製の部材を一体に有する保水体91は、より対象の電解水を保水できる。
【0091】
電解水の気化は、吸込風路57内の気体の蒸気圧が飽和蒸気圧になるまで進行する。気化した電解水は、吸込風路57を通じて塵埃容器55に達し、塵埃容器55に蓄積される塵埃を除菌する。
【0092】
保水体91は、上流側風路57uおよび塵埃容器55の内部の空気の流れによって電解水を気化させて、塵埃容器55へ電解水を供給することができる。空気の流れによって気化した電解水は、塵埃容器55に蓄積される塵埃を除菌する。また、電解水の一部は、吸込負圧によって塵埃容器55を通過し、電動送風機56に達して電動送風機56の排気を除菌する。また、保水体91は、下流側風路57dの空気の流れによって電解水を気化させて、塵埃容器55を通過し、電動送風機56に達して電動送風機56の排気を除菌する。また、保水体91は、電動送風機56が停止している状態で、上流側風路57u、塵埃容器55の内部、下流側風路57dで電解水を気化させて、塵埃容器55へ電解水を供給することができる。気化した電解水は、吸込風路57内で拡散して塵埃容器55に蓄積される塵埃を除菌する。
【0093】
第二供給部39を下流側風路57dに設ける場合には、電動送風機56が駆動している状態で電解水を気化させることによって、電動送風機56の排気を除菌することができる。換言すると、第二供給部39を下流側風路57dに設ける場合には、電動送風機56が駆動している最中、自律型掃除機1から吹き出る排気を除菌するために、気化した電解水の全量を使用し、かつ電動送風機56が停止している状態で、塵埃容器55に蓄積される塵埃を除菌することができる。
【0094】
他方、第二供給部39を上流側風路57uまたは塵埃容器55に設ける場合には、第二供給部39は、吸込風路57内の空気の流れによって電解水を気化させて、塵埃容器55へ電解水を供給することができる。吸込風路57内の空気の流れによって気化した電解水は、塵埃容器55に蓄積される塵埃を除菌する。また、塵埃容器55に達した電解水の一部は、吸込負圧によって塵埃容器55を通過し、電動送風機56に達して電動送風機56の排気を除菌する。
【0095】
自律型掃除機1は、吸込風路57に設けられて、吸込負圧で吸込風路57に吸い込まれた電解水(水分)を吸収する吸湿部92を備えている。吸湿部92は、電解水が吸込風路57に吸い込まれた場合には、電動送風機56に達する前に、電解水を吸収して、電動送風機56へ電解水が達することを防ぐ。吸湿部92は、例えば織布、または不織布である。吸湿部92の材料は、綿などの天然繊維、セルロースなどの再生繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの合成繊維である。吸湿部92は、スポンジであっても良い。また、吸湿部92は、高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体)製の部材を一体に有していても良い。高吸水性高分子製の部材を一体に有する吸湿部92は、より多量の電解水を保水できる。
【0096】
吸湿部92は、吸込風路57の上流側風路57uに設けられていても良いし、下流側風路57dに設けられていても良い。吸湿部92は、塵埃容器55内に設けられていても良い。吸湿部92は、第二霧化装置87および保水体91よりも空気の流れの下流側に設けられていれば良い。つまり、吸湿部92は、吸込風路57において第二霧化装置87および保水体91よりも電動送風機56に近い。吸湿部92は、吸込風路57に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離する塵埃容器55のフィルターを兼ねていても良い。
【0097】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置のブロック図である。
【0098】
図2から図3に加えて図4に示すように、本実施形態に係る自律型掃除機1は、移動部31の電動機46、吸込掃除部48のブラシ用電動機53および電動送風機56、検知部33、制御部35、電解水生成装置37、第一供給部38の第一供給機構部75、第二供給機構部76、および第三供給機構部77、第二供給部39の第二霧化装置87、水量検知部71、および二次電池22に加えて通信部101と、電解水生成装置37に電圧を印加する電解水生成用電源部102と、自律型掃除機1の周囲の臭気物質の濃度を検出する臭気検知器103と、自律型掃除機1の周囲の人の存否を検出する人感検知器105と、を備えている。
【0099】
通信部101は、構内通信網9に無線で双方向通信可能に接続される無線通信部と、ステーション23に赤外線信号を送信する、例えば赤外線発光素子を含む送信部と、ステーション23やリモートコントローラーからの赤外線信号を受信する、例えばフォトトランジスタを含む受信部と、を備えている。
【0100】
無線通信部と中継通信機器11との間には、無線通信回線が確立される。無線通信部は、中継通信機器11を介して操作端末7へ情報を送信する一方、中継通信機器11を介して操作端末7から情報を受信する。
【0101】
無線通信部は、中継通信機器11を介して操作端末7へ運転を開始することを知らせる情報を送信する。また、無線通信部は、中継通信機器11を介して操作端末7から運転を中止させる指示を含む情報を受信する。つまり、自律型掃除機1は、通信部101によって操作端末7から遠隔操作が可能であり、使用者の利便を向上させる。
【0102】
検知部33のカメラ部65は、例えばデジタルカメラである。つまり、カメラ部65は、撮影した画像を電気信号に変換する撮像素子65a(イメージセンサー)と、撮像素子65aに像を結ぶ(生じさせる)光学系65bと、を備えている。撮像素子65aは、例えば、CCDイメージセンサー(Charge-Coupled Device image sensor)や、CMOSイメージセンサー(Complementary metal-oxide-semiconductor image sensor)である。そのため、自律型掃除機1は、カメラ部65で撮影した画像のデジタルデータを即座に取り扱うことができる。つまり、カメラ部65で撮影される画像は、例えば画像処理回路を利用することで所定のデータ形式に圧縮したり、二値画像に変換したり、グレースケールに変換したりすることができる。カメラ部65は、例えば可視光領域の画像を撮影する。可視光領域の画像は、例えば赤外領域の画像に比べて画質が良好であり、複雑な画像処理を施すことなく使用者に視認可能な情報を容易に提供できる。
【0103】
カメラ部65は、いわゆるステレオカメラである。カメラ部65は、撮影する画像が、自律型掃除機1の幅方向の中心線を延長した前方の位置を含む撮影範囲で重なり合っている。カメラ部65は、撮影範囲における奥行き、つまり自律型掃除機1からみた離間距離の情報を得ることができる。奥行きの情報を含む画像を「距離画像」と呼ぶ。
【0104】
カメラ部65には、LED(Light Emitting Diode)や電球などの照明装置が併設されていても良い。照明装置は、カメラ部65の撮影範囲の一部または全部を照らす。照明装置は、家具などの障害物の陰のような暗い場所や、夜間などの暗い環境下であっても、カメラ部65による適切な画像の取得を可能にする。
【0105】
撮像素子65aの受光面には、多数の画素が並べられている。受光面の各画素は、受けた光を電気信号に変換する。各画素が受けた光の情報を各画素の位置に応じて統合させることで、カメラ部65が撮影した景色を表す画像が得られる。一般的な撮像素子65aは、カラー画像を撮影する。カラー画像は、例えば赤、緑、および青の三つの色を混ぜて表現される。
【0106】
距離測定装置68は、奥行きの情報を得ようとする範囲に光を照射する発光部68aと、発光部68aから照射された光の反射光を受光する受光部68bと、を備えている。自律型掃除機1は、発光部68aの発光開始から受光部68bで反射光を受光するまでの時間差に基づいて自律型掃除機1から被検知物までの距離情報を取得できる。発光部68aは、例えば赤外線や、可視光を照射する。
【0107】
臭気検知器103は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET)、導電性ポリマーセンサー、水晶振動子マイクロバランスセンサー、または表面弾性波(SAW)センサーである。MOSFETは、特定の方法で電界に影響を及ぼす電荷を有する臭気分子を検出する。導電性ポリマーセンサーは、異なる種類の臭気に基づいて異なる方法で電気を伝導する有機ポリマーセンサーを有している。水晶振動子マイクロバランスセンサーは、臭気に基づく水晶振動子の周波数の変化を測定しり。SAWセンサーは、臭気に起因する表面弾性波の変調を検出する。なお、臭気検知器103は、所与の臭気物質の濃度を検出することができれば、必ずしも臭いそのものを検出するものでなくてもよい。
【0108】
人感検知器105は、例えば赤外アレイセンサーである。人感検知器105は、ライン状またはマトリクス状に配置されて人の体温により放射されている赤外線を受ける受光部を備えている。人感検知器105は、受光部が受ける赤外線受光強度の分布によって人を検知する。
【0109】
なお、人感検知器105は、本体21の周囲の人の有無を検出できれば良い。例えば、人感検知器105は、非可聴域のパルス波を出力し、物体で反射した反射波を受信して、パルス波の出力から反射波の受信までの時間に基づいて、装置と物体との間の距離を計測する超音波センサーであっても良い。人感検知器105は、放射した赤外線を受光する赤外反射センサーや、人感検知器105と人との間の静電容量に基づいて人感検知器105と人との間の距離を計測する静電容量センサーであっても良い。
【0110】
制御部35は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、中央処理装置で実行(処理)される各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する補助記憶装置(例えば、Read Only Memory、ROM)、プログラムの作業領域が動的に確保される主記憶装置(例えば、Random access memory、RAM)を備えている。補助記憶装置は、例えば不揮発性メモリのように書き換え可能なものであることが好ましい。
【0111】
制御部35は、移動部31の電動機46、吸込掃除部48のブラシ用電動機53および電動送風機56、検知部33、電解水生成装置37、第一供給部38の第一供給機構部75、第二供給機構部76、および第三供給機構部77、第二供給部39の第二霧化装置87、水量検知部71、二次電池22、通信部101、臭気検知器103、および人感検知器105に電気的に接続されている。制御部35は、通信部101を介してステーション23、およびリモートコントローラーから受信する制御信号に応じて吸込掃除部48のブラシ用電動機53および電動送風機56、検知部33、電解水生成装置37、第一供給部38の第一供給機構部75、第二供給機構部76、第三供給機構部77、第二供給部39の第二霧化装置87、水量検知部71、臭気検知器103、人感検知器105、および二次電池22を制御する。
【0112】
制御部35は、自律型掃除機1の自律移動を制御する自律移動制御部106と、検知部33の動作を制御する検知制御部107と、時刻を計時する計時部108と、を含んでいる。自律移動制御部106、および検知制御部107は、演算プログラムである。
【0113】
自律移動制御部106は、環境地図情報(Environment Map)を記憶する地図情報記憶部109と、環境地図情報上で被掃除領域Aを分割して複数の分割掃除場所(領域)を生成する分割領域生成部111と、移動部31の電動機46の動作を制御する移動制御部112と、吸込掃除部48のブラシ用電動機53および電動送風機56の動作を制御する吸込掃除制御部113と、拭き掃除部49の拭き掃除部材61を被掃除面fに接している状態と被掃除面fから離間している状態とを切替制御する拭き掃除制御部115と、電解水生成装置37、第一供給部38の第一供給機構部75、第二供給機構部76、第三供給機構部77、および第二供給部39の第二霧化装置87の動作を制御する除菌制御部116と、を備えている。
【0114】
地図情報記憶部109は、補助記憶装置に確保される記憶領域に構築されたデータ領域である。
【0115】
環境地図情報は、データの集合であって、適宜のデータ構造を有している。環境地図情報は、被掃除領域Aを適宜のデータ構造でデータ化している。環境地図情報は、補助記憶装置に確保される地図情報記憶部109から主記憶装置に読み込まれて利用され、適宜の更新を経て、地図情報記憶部109へ上書きされる。
【0116】
環境地図情報は、自律型掃除機1の自律移動に用いられる情報であり、少なくとも掃除対象となる被掃除領域Aにおいて、自律型掃除機1が移動可能な領域の形状を含む情報である。環境地図情報は、例えば整然と配列された一辺10センチメートルの矩形の集合として構築されている。環境地図情報は、自律型掃除機1の使用に際して、事前に準備されるものであっても良いし、Simultaneous Localization and Mapping(SLAM)によって自己位置推定と同時に作成されるものであっても良い。環境地図情報は、掃除運転にともなう移動の過程で作成、および更新されても良い。SLAMで環境地図情報を作成する場合には、自律型掃除機1は、検知部33の他に、エンコーダーなどの種々のセンサーを備えていることが好ましい。移動制御部112は、これら検知部33および種々のセンサーから取得する情報に基づいて環境地図情報を作成する。
【0117】
環境地図情報は、自律型掃除機1と操作端末7とで共有される。そのため、通信部101は、中継通信機器11を介して操作端末7へ環境地図情報を送信する。環境地図情報を共有することによって、使用者は、操作端末7を通じて自律型掃除機1の現在位置(位置情報)を正確に把握できる。また、使用者は、操作端末7を通じて自律型掃除機1を環境地図情報上の任意の箇所を指定して自律型掃除機1を移動させることができる。そして、使用者は、カメラ部65が撮影する画像によって、自律型掃除機1を移動させた先、つまり移動の目的地の状況を容易に把握することができる。
【0118】
分割領域生成部111は、環境地図情報に生成された複数の領域、つまり複数の分割掃除場所を識別する。ここで言う識別とは、例えば環境地図情報のデータ構造に複数の分割掃除場所を記録するものであっても良いし、環境地図情報のデータ構造に関連付けられた別途のデータ構造に複数の分割掃除場所を記録するものであっても良い。換言すると、複数の分割掃除場所は、適宜のデータ構造によって地図情報記憶部109、または補助記憶装置に確保される地図情報記憶部109以外の記憶領域に構築されたデータ領域に記録される。
【0119】
分割領域生成部111は、予め定義される手順、あるいは算法(アルゴリズム)に従って被掃除領域Aを分割する。例えば、分割領域生成部111は、掃除場所を所定の形状および大きさの複数の均一または不均一な分割掃除場所に分割する。所定の形状には、例えば矩形や非矩形、例えば円形が用いられる。また、分割領域生成部111は、居間、廊下、台所、寝室、浴室などの部屋毎に分割掃除場所を生成する。分割領域生成部111は、カメラ部65が撮影した画像や、壁や天井へ向けた距離センサーの検知結果に基づいて、ドアの幅や高さなど部屋の区切りとして識別可能な典型的な幾何学的形状を識別し、ドアおよび壁の位置決定を試みる。そして、分割領域生成部111は、決定したドアや壁の位置に基づいて分割掃除場所を生成する。さらに、分割領域生成部111は、床材(フローリングやカーペット)の境界を検知可能なセンサーの検知結果に基づいて分割掃除場所を生成する。環境地図と分割掃除場所とは、操作端末7および本体21に設けられる表示部に表示できることが好ましい。使用者は、操作端末7や表示部を通じて環境地図と分割掃除場所とを確認し、分割掃除場所の境界を移動したり、新しい境界を追加したりして、分割掃除場所を修正したり、追加したり、分割掃除場所を使用者のニーズに適合させたりできることが好ましい。
【0120】
移動制御部112は、環境地図情報に基づいて移動部31を制御して自律型掃除機1を自律で移動させる。移動制御部112は、電動機46に流れる電流の大きさ、および向きを制御して、電動機46を正転、または逆転させる。移動制御部112は、電動機46を正転、または逆転させることで、駆動輪45の駆動を制御している。
【0121】
吸込掃除制御部113は、ブラシ用電動機53、および電動送風機56を個別に制御する。
【0122】
除菌制御部116は、第一供給部38の第一開閉弁82を開閉させて貯槽36から拭き拭き掃除部材61へ供給される電解水の供給量を制御する。また、除菌制御部116は、第一供給部38の第一開閉弁82を開閉させて貯槽36から被掃除面fへ供給される電解水の供給量を制御する。さらに、除菌制御部116は、第一供給部38の第一霧化装置85の動作をオン/オフ(入り切り、駆動/停止)させて貯槽36から自律型掃除機1の周囲へ供給される電解水の供給量を制御する。また、除菌制御部116は、第二供給部39の第二霧化装置87の動作をオン/オフ(入り切り、駆動/停止)させて貯槽36から吸込風路57へ供給される電解水の供給量を制御する。
【0123】
また、自律移動制御部106は、複数の分割掃除場所の少なくとも1つに、吸込掃除機能、拭き掃除機能、溶液の散布機能を含む複数の機能の少なくとも1つを割り当てる領域別割当情報を記憶する割当情報記憶部117を備えている。
【0124】
そして、制御部35は、領域別割当情報に基づいて複数の分割掃除場所のそれぞれに割り当てられた複数の機能の少なくとも1つを適用して、被掃除領域Aで自律型掃除機1を自律移動させる。つまり、環境地図情報および複数の分割掃除場所を識別する情報に基づいて移動制御部112が移動部31を制御して自律型掃除機1を自律移動させる間、吸込掃除制御部113および除菌制御部116は、領域別割当情報に基づいて、それぞれの分割掃除場所に割り当てられた吸込掃除機能、拭き掃除機能、溶液の散布機能を含む複数の機能の少なくとも1つを実行する。以下、制御部35が実行するこのような制御を、「領域別実行機能割当制御」と呼ぶ。
【0125】
検知制御部107は、カメラ部65の動作を制御する。検知制御部107は、所定の時間間隔毎にカメラ部65に画像を撮影させる。検知制御部107は、カメラ部65で撮影された画像を検知結果記憶部118に記憶する。カメラ部65で撮影された画像は、検知結果記憶部118は、主記憶装置に確保されている。検知結果記憶部118は、カメラ部65で撮影された画像を記憶する。検知結果記憶部118は、複数の画像を記憶可能な容量を有している。
【0126】
検知結果記憶部118は、カメラ部65で撮影された画像を表す画像情報を無加工で記憶しても良いし、画像の解析処理に必要な情報を残す限りにおいてデータサイズを減らすように加工した画像情報を記憶しても良い。検知結果記憶部118に記憶される画像情報は、例えば、カメラ部65で撮影された画像をグレースケールに変換した画像(以下、カメラ部65で撮影された元の画像と同じく画像と呼ぶ。)であっても良い。グレースケール画像の場合には、画像の画素値は輝度値と一致する。グレースケールに変換した画像を保存する場合には、制御部35は、元画像を記憶する場合に比べて、検知結果記憶部118に割り当てるメモリ領域の容量(リソース)を少量で済ませることが可能である。また、グレースケールに変換した画像を以後の解析処理に使用する場合には、制御部35は、元画像を処理する場合に比べて中央処理装置の負荷を軽減できる。画像のグレースケール化を含む画像処理は、カメラ部65で実行されても良い。カメラ部65で画像処理を実行することによって、中央処理装置の負荷が軽減される。
【0127】
また、検知制御部107は、照明装置の点灯と消灯とを制御する。照明装置は、画像を明るくして解析処理の容易化と精度向上とを容易にする。
【0128】
さらに、検知制御部107は、近接検知部66の検出結果、つまり被検知物が本体21に接近したこと、およびその時の被検知物と本体21との離間距離を検知結果記憶部118に記憶する。検知制御部107は、接触検知部67の検出結果、つまり被検知物が本体21に接触したことを検知結果記憶部118に記憶する。これら検知結果記憶部118に記憶される情報は、環境地図情報に関連付けられて自律型掃除機1の自律移動における移動経路の最適化に利用することができる。
【0129】
水量検知部71は、接触式、または非接触式のいずれであっても良い。接触式の水量検知部71は、例えば、貯槽36内に設けられるフロート(浮き)の垂直方向における位置に基づいて水位を計測するフロート式、一対の電極間の静電容量を検出して水位を計測する静電容量式、など既知の方式を採用できる。非接触式の水量検知部71は、例えば、電波、超音波、または光波を用いて水位を計測する既知の方式を採用できる。
【0130】
なお、電解水生成装置37の電極73を水量検知部71に兼用することができる。垂直方向に拡がる電極73は、貯槽36の水位(電解水の液位)の変化にともなって、水中(電解水の液中)に没する部位と、貯槽36内の気体に晒される部位との割合が変化する。この割合の変化は、電極73の正極と負極との間に流れる電流値を変化させる。そこで、電極73の正極と負極との間に流れる電流値の変化に基づいて、貯槽36に蓄えられている水の量が推定される。
【0131】
電解水生成用電源部102は、電解水生成装置37の電極73に電圧を印加する。電解水生成用電源部102は、二次電池22に充電された電力を電解水の生成に好適な電圧に変換して電極73に印加する。
【0132】
次に、本実施形態に係る自律型掃除機1が実行する領域別実行機能割当制御について詳細に説明する。
【0133】
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機が記憶する環境地図および分割掃除場所の一例を示す図である。
【0134】
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機が記憶する領域別割当情報の一例を示す図である。
【0135】
本実施形態に係る自律型掃除機1は、地図情報記憶部109に環境地図情報を記憶している。環境地図情報は、図5に例示されるような被掃除領域Aの環境地図を記述する適宜のデータ構造を有している。
【0136】
また、自律型掃除機1は、地図情報記憶部109、または補助記憶装置に確保される地図情報記憶部109以外の記憶領域に複数の分割掃除場所を識別する情報を記憶している。複数の分割掃除場所を識別する情報は、図5に例示されるような複数の分割掃除場所を記述する適宜のデータ構造を有している。
【0137】
図5に例示される被掃除領域Aは、例えば住居である。被掃除領域Aは、3つの部屋Ro1、Ro2、Ro3と、ダイニングルームDiと、キッチンKiと、風呂場Baと、これらの往来に利用される廊下Coと、玄関FDと、を有している。つまり、環境地図上には、複数の漁期が識別されている。これら3つの部屋Ro1、Ro2、Ro3、ダイニングルームDi、キッチンKi、風呂場Ba、廊下Co、および玄関FDのそれぞれが、分割掃除場所である。複数の分割掃除場所を識別する情報は、環境地図情報に関連付けてこれら複数の分割掃除場所を記録している。第一部屋Ro1にはカーペットが敷かれている。第一部屋Ro1、風呂場Ba、および玄関FD以外の場所の床材は、フローリングである。
【0138】
風呂場Baおよび玄関FDでは、自律型掃除機1の侵入が禁じられている。分割掃除場所に侵入を禁じるための情報は、領域別割当情報に記録されていても良いし、環境地図情報、複数の分割掃除場所を識別する情報、およびこれら以外のデータ領域に記録されていても良い。
【0139】
なお、図5において、被掃除領域A内の壁や段差など、実際に存在する境界を便宜的に実線で識別している。分割掃除場所の境界であって自律型掃除機1の往来が可能な境界を便宜的に破線で識別している。
【0140】
そして、自律型掃除機1は、図6に示すように割当情報記憶部117に領域別割当情報を記録している。
【0141】
図6に例示される領域別割当情報では、カーペット敷きの第一部屋Ro1に吸込掃除機能が割り当てられている。また、フローリングの部屋Ro2、Ro3、ダイニングルームDi、および廊下Coには、吸込掃除機能および拭き掃除機能が割り当てられている。また、キッチンKiには、吸込掃除機能、拭き掃除機能、および溶液の散布機能が割り当てられている。つまり、複数の領域の少なくとも1つであるキッチンKiには、複数の機能のすべてが割り当てられている。さらに、玄関FDには、溶液の散布機能が割り当てられている。
【0142】
そして、自律型掃除機1の制御部35は、自律型掃除機1を被掃除領域Aに識別された複数の分割掃除場所へ順次に移動させて、それぞれの分割掃除場所に割り当てられた機能を実行する。
【0143】
つまり、自律型掃除機1は、第一部屋Ro1で吸込掃除機能を実行する。
【0144】
また、自律型掃除機1は、部屋Ro2、Ro3、ダイニングルームDi、および廊下Coで吸込掃除機能および拭き掃除機能を実行する。拭き掃除機能では、分割掃除場所毎に、乾拭き、または電解水を用いた水拭きを選択できる。
【0145】
さらに、自律型掃除機1は、キッチンKiで吸込掃除機能、拭き掃除機能、および溶液の散布機能を実行する。溶液の散布機能では、被掃除面fへの溶液の散布、および自律型掃除機1の周囲の雰囲気への溶液の散布のいずれか一方、または両方を選択できる。
【0146】
なお、玄関FDは自律型掃除機1の侵入が禁じられている。そのため、自律型掃除機1は、玄関FDと玄関FDに隣接する分割掃除場所、具体的には廊下Coとの境界で、玄関FDに割り当てられている機能を実行する。具体的には、自律型掃除機1は、玄関FDと廊下Coとの境界で溶液の散布機能を実行する。
【0147】
つまり、自律型掃除機1は、領域別割当情報に基づいて複数の分割掃除場所のそれぞれに割り当てられた複数の機能の少なくとも1つを実行する。そのため、自律型掃除機1は、有している機能の全てを常に実行しつつ被掃除領域Aを掃除する場合に比べて、それぞれの分割掃除場所に好適な機能を個別に適用して効率的な掃除を実行できる。例えば、貯槽36の容量には限りがあるため、被掃除領域Aの全域で電解水を撒布すると電解水が枯渇する虞がある。自律型掃除機1は、必要な箇所、例えば調理が行われるキッチンKiや、下駄箱が置かれた玄関FDの近くで電解水を撒布して、これら分割掃除場所を重点的、かつ確実に除菌できる。
【0148】
また、自律型掃除機1は、有している機能の全てを常に実行することで生じる不都合を避けることができる。自律型掃除機1は、例えば電解質で湿った拭き掃除部材61でカーペット敷きの部屋を拭き掃除してしまい、カーペットを過大に湿らせてしまったり、拭き掃除部材61とカーペットとの間の過大な摩擦力で電池電力を過大に消費したりすることを回避できる。
【0149】
なお、風呂場Baのように、いずれの機能が割り当てられていない分割掃除場所があっても良い。さらに、第一部屋Ro1のように侵入が許されている分割掃除場所であっても、いずれの機能も割り当てられていなくても良い。
【0150】
それぞれの分割掃除場所に割り当てられた複数の機能は、分割掃除場所毎に同時に実行されても良いし、分割掃除場所毎に順次連続して実行されても良い。
【0151】
図7は、本発明の実施形態に係る電気掃除機が記憶する領域別割当情報の他の例を示す図である。
【0152】
図7に例示される領域別割当情報は、割り当てられた機能を実行する時刻を指定する時刻情報を含んでいる。図7に例示される領域別割当情報では、第一部屋Ro1に吸込掃除機能が月曜日から金曜日の14:00に割り当てられている。また、フローリングの部屋Ro2、Ro3、ダイニングルームDi、および廊下Coには、吸込掃除機能および拭き掃除機能が月曜日から金曜日の14:30に割り当てられている。また、キッチンKiには、吸込掃除機能、および拭き掃除機能が月曜日から金曜日の16:00に割り当てられている。さらに、キッチンKiおよび玄関FDには、溶液の散布機能が毎日21:00に割り当てられている。
【0153】
そして、制御部35は、時刻情報に基づいて複数の分割掃除場所のそれぞれに割り当てられた複数の機能の少なくとも1つを実行する。
【0154】
つまり、自律型掃除機1は、月曜日から金曜日の14:00に、第一部屋Ro1で吸込掃除機能を実行する。
【0155】
また、自律型掃除機1は、月曜日から金曜日の14:30に、部屋Ro2、Ro3、ダイニングルームDi、および廊下Coで吸込掃除機能および拭き掃除機能を実行する。
【0156】
さらに、自律型掃除機1は、月曜日から金曜日の16:00に、キッチンKiで吸込掃除機能、および拭き掃除機能を実行し、かつ毎日21:00に、キッチンKiおよび玄関FDで溶液の散布機能を実行する。
【0157】
したがって、ユーザーは、ユーザーが住居を不在にする時間帯を指定して吸込掃除および拭き掃除を済ませる一方で、夕食後の時間帯を指定してキッチンKiを除菌するというような使い方ができる。
【0158】
また、制御部35は、臭気検知器103が検出する臭気物質の濃度が予め定める閾値より小さい場合には、溶液つまり電解水の撒布を実行しなくても良い。臭気物質の濃度が低く、除菌が不要な場合には、電解水の消費が抑制される。
【0159】
さらに、制御部35は、人感検知器105の検出結果から自律型掃除機1の周囲に人が存在する場合には、吸込掃除を実行しなくても良い。吸込掃除を行う場合には、ブラシ用電動機53および電動送風機56の駆動にともなう相応の騒音が生じる。そこで、自律型掃除機1の周囲に人が存在する場合には、ブラシ用電動機53および電動送風機56を停止させておくことで騒音を低減できる。
【0160】
以上のように、本実施形態に係る自律型掃除機1は、複数の分割掃除場所のそれぞれに割り当てられた複数の機能、例えば吸込掃除機能、拭き掃除機能、および溶液の撒布機能の少なくとも1つを適用して、自律型掃除機を自律移動させる。そのため、自律型掃除機1は、有している機能の全てを常に実行しつつ被掃除領域Aを掃除する場合に比べて、それぞれの分割掃除場所に好適な機能を個別に適用して効率的な掃除を実行できる。また、自律型掃除機1は、有している機能の全てを常に実行することで生じる不都合を避けることができる。
【0161】
また、本実施形態に係る自律型掃除機1は、複数の分割掃除場所のそれぞれに割り当てられた複数の機能を実行する時刻を指定する時刻情報を含む領域別割当情報を有し、時刻情報に基づいて複数の分割掃除場所のそれぞれに割り当てられた複数の機能の少なくとも1つを実行する。そのため、自律型掃除機1は、それぞれの分割掃除場所に好適な機能を個別、かつ適時に適用して効率的な掃除を実行できる。
【0162】
さらに、本実施形態に係る自律型掃除機1は、溶液としての電解水を貯留する貯槽36を備え、電解水を利用して拭き掃除を実行する。そのため、自律型掃除機1は、電解水を用いた除菌が必要な分割掃除場所に絞って、容量の限られた電解水を重点的に利用できる。
【0163】
また、本実施形態に係る自律型掃除機1は、溶液としての電解水を霧化して分割掃除場所へ撒布する霧化装置を備えている。そのため、自律型掃除機1は、電解水を用いた除菌が必要な分割掃除場所に絞って、容量の限られた電解水を重点的に利用できる。
【0164】
さらに、本実施形態に係る自律型掃除機1は、周囲の臭気物質の濃度を検出する臭気検知器103を備え、臭気物質の濃度が予め定める閾値より小さい場合には、溶液の撒布を実行しない。そのため、自律型掃除機1は、ユーザーの設定によって溶液の撒布が予定されている分割掃除場所であっても、その必要のない場合には、溶液の無駄な消費を抑えることができる。
【0165】
また、本実施形態に係る自律型掃除機1は、周囲の人の存否を検出する人感検知器105を備え、周囲に人が存在する場合には、吸込掃除を実行しない。そのため、自律型掃除機1は、複数の機能の中でも発生させる騒音の大きい吸込掃除を人が存在する分割掃除場所では実行しないことで、その場所にいる人への不快感を抑えることができる。
【0166】
したがって、本実施形態に係る自律型掃除機1によれば、吸込掃除を実行する機能や拭き掃除を実行する機能を備え、かつ被掃除領域Aを分割あるいは細分して設定された複数の分割掃除場所のそれぞれに、望ましい機能を割り当てることができる。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0168】
1…自律型掃除機、2…運転制御システム、3…電気通信網、4…サーバー、5…遠隔操作端末、6…構内端末、7…操作端末、8…外部ネットワーク、9…構内通信網、11…中継通信機器、12…インターネット、21…本体、22…二次電池、23…ステーション、25…電源コード、26…充電回路、31…移動部、32…掃除部、33…検知部、35…制御部、36…貯槽、37…電解水生成装置、38…第一供給部、39…第二供給部、41…本体ケース、42…バンパー、45…駆動輪、46…電動機、47…従動輪、48…吸込掃除部、49…拭き掃除部、51…吸込口、52…回転ブラシ、53…ブラシ用電動機、55…塵埃容器、56…電動送風機、57…吸込風路、57u…上流側風路、57d…下流側風路、58…排気風路、61…拭き掃除部材、62…拭き掃除部材取付部、65…カメラ部、65a…撮像素子、65b…光学系、66…近接検知部、67…接触検知部、68…距離測定装置、68a…発光部、68b…受光部、71…水量検知部、73…電極、75…第一供給機構部、76…第二供給機構部、77…第三供給機構部、81…第一供給口、82…第一開閉弁、83…第二供給口、84…第二開閉弁、85…第一霧化装置、86a…第一導水経路、86b…第二導水経路、86c…第三導水経路、87…第二霧化装置、88…第四導水経路、91…保水体、92…吸湿部、101…通信部、102…電解水生成用電源部、103…臭気検知器、105…人感検知器、106…自律移動制御部、107…検知制御部、108…計時部、109…地図情報記憶部、111…分割領域生成部、112…移動制御部、113…吸込掃除制御部、115…掃除制御部、116…除菌制御部、117…割当情報記憶部、118…検知結果記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7