(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20230207BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20230207BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230207BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230207BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20230207BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/291
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6571
(21)【出願番号】P 2019207806
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】淺倉 一眞
(72)【発明者】
【氏名】花田 雅貴
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-125505(JP,A)
【文献】特開2018-032548(JP,A)
【文献】特開2020-181632(JP,A)
【文献】特開2020-129449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/60-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列方向に間隔をあけて配置された複数の蓄電モジュールと、
前記複数の蓄電モジュールに配置されるヒータモジュールと、
を備え、
前記ヒータモジュールは、不織布と、前記不織布に設けられたヒータ線とを含み、
前記不織布は、前記蓄電モジュールの各々に配置される接触片と、隣り合う前記接触片同士を接続する接続片とを含み、
前記不織布のうち、前記接触片および前記接続片の接続部位に破断部が形成された、蓄電装置。
【請求項2】
前記破断部は、前記不織布のうち、前記蓄電モジュールと対向しない位置に形成された、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
複数の前記蓄電モジュールおよび前記ヒータモジュールを固定する固定枠をさらに備え、
前記固定枠は複数のピンを有し、
前記ヒータモジュールには複数の挿入孔が形成され、
複数の前記接続部位の少なくとも一部は、前記接触片とは異なる方向に張り出した張出片を含み、前記張出片には前記破断部の延長線上に重ならない位置に貫通孔が形成され、
前記挿入孔と前記貫通孔が重なるように前記不織布が前記ヒータモジュールに配置された状態で、前記ピンが前記挿入孔と前記貫通孔とに挿入された、請求項1に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複数の蓄電モジュールを備えた蓄電装置について各種提案されている(特開2011-238544号公報)。そして、特開2018-32548号公報に記載された蓄電装置においては、蓄電モジュールを昇温するためのヒータモジュールが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-238544号公報
【文献】特開2018-32548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置においては、複数の蓄電モジュールを備えており、各蓄電モジュールが配列方向に間隔をあけて配置されている。各蓄電モジュールごとにヒータを配置したのでは、部品点数が多くなり、組立工程が煩雑になる可能性が生じる。1つのヒータモジュールで複数の蓄電モジュールを一括的に昇温するようにした方がよい。
【0005】
そこで、本願発明者等は、ヒータモジュールについて下記のような構成を検討した。検討したヒータモジュールは、不織布と、不織布に設けられたヒータ線とを備え、不織布は、各蓄電モジュールごとに配置される接触片と、隣り合う接触片を接続する接続片とを含む。
【0006】
しかし、各蓄電モジュール間の間隔は、製造ばらつきによって、各蓄電装置ごとに異なる場合がある。そのため、ヒータモジュールの不織布も、蓄電モジュール間の距離に応じて、蓄電モジュールの配列方向に伸縮可能に形成する必要がある。
【0007】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、配列方向における蓄電モジュール間の間隔にばらつきが生じたとしても、ヒータモジュールを各蓄電モジュールに良好に配置することができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る蓄電装置は、配列方向に間隔をあけて配置された複数の蓄電モジュールと、複数の蓄電モジュールに配置されるヒータモジュールとを備え、ヒータモジュールは、不織布と、不織布に設けられたヒータ線とを含み、不織布は、蓄電モジュールの各々に配置される接触片と、隣り合う接触片同士を接続する接続片とを含み、不織布のうち、接触片および接続片の接続部位に破断部が形成された。この蓄電装置によれば、不織布に引張力が加えられると、破断部が広がるように不織布が変形する。これにより、不織布の接触片の位置を変更することができ、接触片を蓄電モジュールに対して位置合わせすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る蓄電装置によれば、配列方向における蓄電モジュール間の間隔にばらつきが生じたとしても、ヒータモジュールを各蓄電モジュールに良好に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る蓄電装置1を模式的に示す斜視図である。
【
図2】蓄電モジュール20Aなどの一部を示す斜視図である。
【
図3】ヒータモジュール4を模式的に示す平面図である。
【
図4】スライド部材36Aを模式的に示す平面図である。
【
図5】スライド部材64Aを模式的に示す平面図である。
【
図6】ヒータ本体41を模式的に示す平面図である。
【
図7】不織布50の一部であって、接触片52Aの一端側における拡大平面図である。
【
図8】接触片52Dの一端側の一部を示す拡大平面図である。
【
図9】接触片52Bの一端側における一部拡大図である。
【
図10】接触片52Aおよびヒータ線51と、その周囲の構成を示す断面図である。
【
図11】接触片52Aに形成された破断部の変形例を示す平面図である。
【
図12】接触片52Dに形成された破断部の変形例を示す平面図である。
【
図13】接触片52Bに形成された破断部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図13を用いて、本実施の形態に係る蓄電装置について説明する。
図1から
図13に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、実施の形態に示す構成において、請求項に記載された構成に対応する構成には、括弧書きで請求項の構成を併記する場合がある。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1を模式的に示す斜視図である。蓄電装置1は、収容ケース2と、蓄電ユニット3と、ヒータモジュール4,5と、固定枠6,7とを備える。蓄電ユニット3と、ヒータモジュール4,5と、固定枠6,7とは、収容ケース2内に収容されている。
【0013】
収容ケース2は、ロアーケース10と、アッパーケース11とを含む。ロアーケース10は、蓄電装置1の下面側に配置されており、アッパーケース11は、蓄電装置1の上面側に配置されている。なお、ロアーケース10およびアッパーケース11は、アルミニウムなどの金属または、樹脂などによって形成されている。
【0014】
ロアーケース10は、底板13と、周壁14と、つば部15とを含む。周壁14は底板13の外周縁部から上方に向けて立ち上がるように形成されている。つば部15は、周壁14の上辺から水平方向に張り出すように形成されている。
【0015】
アッパーケース11は、天板16と、周壁17と、つば部18とを含む。周壁17は、天板16の外周縁から下方に向けて延びるように形成されている。つば部18は、周壁17の下辺から水平方向に張り出すように形成されている。
【0016】
アッパーケース11のつば部18と、ロアーケース10のつば部15とは互いにボルトなどの固定部材によって固定されており、ロアーケース10およびアッパーケース11によって収容ケース2が形成されている。
【0017】
固定枠6は、ロアーケース10の底板13の上面に配置されている。固定枠6は、枠本体30と、枠本体30に形成された複数のピン31とを含む。枠本体30は、枠状に形成されており、枠本体30には複数の配置空間32が形成されている。複数のピン31は、枠本体30の上面に間隔をあけて配置されている。
【0018】
ヒータモジュール4は、固定枠6の上面に配置されている。なお、ヒータモジュール4には、複数の挿入孔8が形成されている。各挿入孔8にはピン31が挿入されており、図示されてない固定部材によって、ヒータモジュール4がピン31に固定されている。なお、ヒータモジュール4の詳細構成については、後述する。
【0019】
蓄電ユニット3は、複数の蓄電モジュール20と、複数の蓄電モジュール21とを含む。複数の蓄電モジュール20は、ヒータモジュール4の上面に配置されており、複数の蓄電モジュール21は蓄電モジュール20の上方に配置されている。
【0020】
複数の蓄電モジュール20は、蓄電モジュール20A,20B,20C、20D,20E,20F,20G,20Hとを含み、蓄電モジュール20A,20B,20C、20D,20E,20F,20G,20Hは、配列方向Dに間隔をあけて配置されている。
【0021】
各蓄電モジュール20は、固定枠6に形成された配置空間32に配置されており、各蓄電モジュール20は、固定枠6に固定されている。
【0022】
各蓄電モジュール20は、複数の蓄電セル22を含み、各蓄電セル22は、蓄電装置1の幅方向Wに間隔をあけて配置されている。そして、各蓄電モジュール20は、幅方向Wに長尺となるように形成されている。なお、蓄電装置1は車両に搭載されるものであり、蓄電装置1が車両に登載された状態においては、配列方向Dは車両の前後方向であり、幅方向Wは車両の幅方向となる。
【0023】
複数の蓄電モジュール21は、蓄電モジュール21A,21B,21Cを含む。蓄電モジュール21A,21B,21Cは、配列方向Dに間隔をあけて配置されている。
【0024】
各蓄電モジュール21は、複数の蓄電セル23を含む。各蓄電セル23は、幅方向Wに配列するように配置されている。
【0025】
固定枠7は、蓄電モジュール20の上面側に配置されている。固定枠7は、枠本体33と、枠本体33に形成された複数のピン34とを含む。枠本体33は、枠状に形成されており、枠本体33には複数の配置空間35が形成されている。複数のピン34は、枠本体33の上面に間隔をあけて配置されている。
【0026】
ヒータモジュール5は、固定枠7の上面に配置されている。ヒータモジュール5にも複数の挿入孔9が形成されており、挿入孔9にピン34が挿入されている。そして、ヒータモジュール5が図示されていない固定部材によって、ピン34に固定されている。なお、ヒータモジュール5は、実質的に、ヒータモジュール4と同様に構成されている。
【0027】
複数の蓄電モジュール21は、ヒータモジュール5の上面に配置されている。各蓄電モジュール21は、固定枠7に形成された配置空間35に配置されており、各蓄電モジュール21は、固定枠7に固定されている。
【0028】
図2は、蓄電モジュール20Aなどの一部を示す斜視図である。蓄電モジュール20Aは、複数の蓄電セル22と、複数の樹脂枠24と、拘束具25とを含む。なお、蓄電セル22は、ケースと、ケース内に収容された電極体および電解液とを含む。蓄電セル22は、たとえば、リチウムイオン電池などの二次電池、または、キャパシタなどである。
【0029】
樹脂枠24は、各蓄電セル22の間に配置されており、隣り合う蓄電セル22間の電気的な絶縁性を確保している。
【0030】
拘束具25は、エンドプレート26と、複数の拘束バンド27とを含む。エンドプレート26は、幅方向Wにおける蓄電モジュール20Aの一端に配置されている。なお、拘束具25は、幅方向Wにおける蓄電モジュール20Aの他端に配置されたエンドプレートをさらに含む。
【0031】
複数の拘束バンド27は、エンドプレート26と、蓄電モジュール20Aの他端に設けられたエンドプレートとを連結している。そして、エンドプレート26および他方のエンドプレートの間に配置された複数の蓄電セル22と、樹脂枠24とは、エンドプレート26および他方のエンドプレートの間に加えられる拘束力によって固定されている。
【0032】
なお、エンドプレート26には、ブラケット28が固定されており、ブラケット28には、挿入孔29が形成されている。挿入孔29には、
図1に示す固定枠6のピン31が挿入される。これにより、蓄電モジュール20Aと、固定枠6との位置決めがされる。
【0033】
そして、位置決めされた蓄電モジュール20Aがボルトなどによって、固定枠6に固定される。
【0034】
なお、蓄電モジュール20Aの構造について説明したが、他の蓄電モジュール20Bなども同様に構成されている。
【0035】
図3は、ヒータモジュール4の一部を模式的に示す平面図である。ヒータモジュール4は、2つの分割ヒータモジュール4A,4Bによって形成されており、
図3においては、分割ヒータモジュール4Aが示されている。なお、分割ヒータモジュール4Bは、分割ヒータモジュール4Aと同様に構成されている。分割ヒータモジュール4Aは、樹脂枠40と、ヒータ本体41とを含む。樹脂枠40は、側辺部材42および側辺部材43を含む。側辺部材42は、幅方向Wにおいて、分割ヒータモジュール4Aの一端側に配置されており、側辺部材43は、幅方向Wにおいて、分割ヒータモジュール4Aの他端側に配置されている。側辺部材42および側辺部材43は、配列方向Dに長尺に形成されている。
【0036】
側辺部材42は、梁44,45と、複数の接続片46A,46B,46C,46Dと、複数のスライド部材36A,36B,36Cとを含む。梁44および梁45は、幅方向Wに間隔をあけて配置されており、配列方向Dに長尺に形成されている。
【0037】
梁44は、複数の単位梁38A,38B,38C,38Dを含み、梁45は、複数の単位梁39A,39B,39C,39Dを含む。なお、各単位梁38A,38B,38C,38Dは、ぞれぞれ、単位梁39A,39B,39C,39Dに対して幅方向Wに対向するように配置されている。
【0038】
スライド部材36A,36B,36Cは、梁44および梁45を接続するように設けられており、配列方向Dに間隔をあけて配置されている。
【0039】
スライド部材36Aは、単位梁38Aおよび単位梁38Bを接続すると共に、単位梁39Aおよび単位梁39Bを接続している。スライド部材36Bは、単位梁38Bおよび単位梁38Cを接続すると共に、単位梁39Bおよび単位梁39Cを接続している。スライド部材36Cは、単位梁38Cおよび単位梁38Dを接続すると共に、単位梁39Cおよび単位梁39Dを接続している。
【0040】
側辺部材43は、複数の単位梁63A,63B,63C,63Dと、連結部48A,48B,48C,48Dと、複数のスライド部材64A,64B,64Cとを含む。なお、スライド部材64Aは、単位梁63Aおよび単位梁63Bを接続しており、スライド部材64Bは、単位梁63Bおよび単位梁63Cを接続している。スライド部材64Cは、単位梁63Cおよび単位梁63Dを接続している。
【0041】
図4は、スライド部材36Aを模式的に示す平面図である。スライド部材36Aは、スライド片70と、スライド片71と、連結片72とを含む。スライド片70は、単位梁38Aの上面から単位梁38Bの上面に亘って配置されている。
【0042】
スライド片70の上面には、長孔73,74が形成されており、スライド片71の上面にも長孔75,76が形成されている。各長孔73,74,75,76は、配列方向Dに長尺に形成されている。
【0043】
単位梁38Aの上面には、ピン80が形成されており、単位梁38Bの上面にも、ピン81が形成されている。ピン80は、長孔73に挿入されており、ピン80は、長孔73内を配列方向Dに移動可能とされている。同様に、ピン81は、長孔74に挿入されており、ピン81は長孔74内を配列方向Dに移動可能とされている。
【0044】
これにより、単位梁38Aおよび単位梁38Bは、スライド片70に対して相対的に配列方向Dに移動可能に設けられている。なお、単位梁38Aおよび単位梁38Bは、配列方向Dに互いに間隔をあけて配置されている。
【0045】
単位梁39A,39Bの上面にも、ピン82,83が形成されており、ピン82,83は、長孔75,76内に挿入されている。ピン82,83は、長孔75,76内を配列方向Dに移動可能に設けられている。
【0046】
これにより、単位梁39A,39Bは、スライド片71に対して相対的に配列方向Dに移動可能に設けられている。なお、単位梁39Aおよび単位梁39Bは、配列方向Dに互いに間隔をあけて配置されている。
【0047】
このように、単位梁38A,38Bがスライド片70に対して配列方向Dに相対的に移動可能に設けられると共に、単位梁39A,39Bがスライド片71に対して配列方向Dに相対的に移動可能に設けられているため、梁44,45は配列方向Dに伸縮可能に形成されている。連結片72は、スライド片70およびスライド片71を連結するように設けられている。
【0048】
なお、
図3に示すスライド部材36B,36Cもスライド部材36Aと同様に構成されている。
【0049】
図5は、スライド部材64Aを模式的に示す平面図である。スライド部材64Aには、長孔65,66が形成されている。長孔65,66は、配列方向Dに長尺に形成されている。単位梁63Aには、長孔65に挿入されたピン67が形成されており、単位梁63Bにも長孔66に挿入されたピン68が形成されている。
【0050】
このため、単位梁63Aおよび単位梁63Bは、スライド部材64Aに対して配列方向Dに相対的に移動可能に設けられている。なお、単位梁63Aおよび単位梁63Bは、配列方向Dに間隔をあけて配置されている。
【0051】
なお、
図3に示すスライド部材64Bおよびスライド部材64Cも、スライド部材64Aと同様に形成されている。
【0052】
図3において、挿入孔8が形成された接続片46A,46B,46C,46Dの間に、スライド部材36A,36B,36Cが配置されているため、各接続片46A,46B,46C,46Dは、配列方向Dに互いに相対的に移動可能に設けられている。これにより、各接続片46A,46B,46C,46Dに形成された挿入孔8の配列方向Dの距離も、互いに調整可能となっている。
【0053】
挿入孔8が形成された連結部48A,48B,48C,48Dの間に、スライド部材64A,64B,64Cが配置されている。このため、各連結部48A,48B,48C,48Dの間の配列方向Dにおける距離を調整することができ、各連結部48A,48B,48C,48Dに形成された挿入孔8の間の配列方向Dの距離を調整することができる。
【0054】
図6は、ヒータ本体41を模式的に示す平面図である。ヒータ本体41は、不織布50と、ヒータ線51とを含む。
【0055】
不織布50は、複数の接触片52A,52B,52C,52Dと、接続片53とを含む。接触片52は、幅方向Wに長尺に形成されている。なお、各接触片52は、
図1に示す各蓄電モジュール20の下面に配置されている。なお、この
図6に示す例においては、接触片52A,52B,52C,52Dが図示されている。接続片53は、幅方向Wにおける接触片52A,52B,52C,52Dの一端を接続するように形成されている。
【0056】
ヒータ線51は、不織布50の上面に配置されており、たとえば、ヒータ線51は不織布50の上面に逢着されている。
【0057】
ヒータ線51は、加熱部分54A、54B,54C,54Dと、接続線55とを含む。加熱部分54A、54B,54C,54Dは、接触片52A,52B,52C,52Dの上面に配置されている。接続線55は、隣り合う加熱部分54A、54B,54C,54Dを電気的に接続するように設けられている。接続線55は、接続片53の上面に設けられている。ヒータ線51の両端には、コネクタ56が設けられており、コネクタ56には図示されていない電力線が接続される。
【0058】
図3および
図6において、
図6に示す接続片53は、
図3に示す梁45の上面に配置されており、
図6に示す接触片52A,52B,52C,52Dの一端上に亘って配置されている。
【0059】
そして、
図3に示す接続片46A,46B,46C,46Dは、それぞれ、
図6に示す接触片52A,52B,52C,52Dの一端に連結されている。
【0060】
図3に示す連結部48A,48B,48C,48Dは、それぞれ、
図6に示す接触片52A,52B,52C,52Dの他端側に配置されている。
【0061】
接続片46A,46B,46C,46Dおよび連結部48A,48B,48C,48Dには、挿入孔8が形成されており、各挿入孔8には、
図1に示す固定枠6のピン31が挿入されている。
【0062】
これにより、分割ヒータモジュール4Aは、固定枠6に対して位置決される。なお、各蓄電モジュール20も固定枠6に対して位置決めされており、分割ヒータモジュール4Aは、固定枠6を通して、各蓄電モジュール20に位置合わせされている。なお、ヒータモジュール4は、2つの分割ヒータモジュール4Aに分割されており、各分割ヒータモジュール4Aは、上記のように固定枠6を通して、各蓄電モジュール20に位置合わせされている。このようにして、固定枠6は、各蓄電モジュール20およびヒータモジュール4を固定している。
【0063】
図7は、不織布50の一部であって、接触片52Aの一端側における拡大平面図である。接触片52Aは、本体片57Aと、張出片58Aと、付根部59Aとを含む。
【0064】
本体片57Aは、幅方向Wに長尺に形成されており、本体片57Aは上面に加熱部分54Aが配置される部分である。
【0065】
付根部59Aは、幅方向Wにおいて、本体片57Aの一端に接続されており、張出片58Aは付根部59Aに連結されている。つまり、張出片58Aは接触片52Aの本体片57Aとは異なる方向(
図7の左方向)に張り出している。なお、張出片58Aは、
図6の不織布50において、配列方向Dの両端に設けられている。具体的には、
図7の接続片53および接触片52Aの接続部位61Aに張出辺58Aが、
図8の接続片53および接触片52Dの接続部位61Dに張出片58Dが、それぞれ設けられる。したがって、接続片および接触片の接続部位の一部に張出片が設けられる構成となる。
【0066】
張出片58Aには、
図3に示す接続片46Aが固定される。張出片58Aには、貫通孔99Aが形成されており、この貫通孔99Aには、
図1に示す固定枠6のピン31が挿入される。
【0067】
不織布50のうち、接続片53および接触片52Aの接続部位61Aに破断部62Aが形成されている。ここで、接続部位61Aは、接続片53を配列方向Dに延長させた部分と、接触片52Aとが重なり合う部分である。
【0068】
この
図7に示す例においては、破断部62Aは、付根部59Aおよび接続片53の境界部分に位置している。破断部62Aは、幅方向Wに延びており、破断部62Aの一端は、接続片53の外側辺に達している。ここで、張出辺58Aには破断部62Aの延長線上に重ならない位置に貫通孔99Aが形成される。
【0069】
ここで、たとえば、張出片58Aの位置が固定された状態で、配列方向Dに接続片53が引っ張られたとすると、破断部62Aは広がるように変形する。これにより、接続片53は配列方向Dに移動することができ、配列方向Dにおいて、不織布50は延びるように変形することができる。
【0070】
図8は、接触片52Dの一端側の一部を示す拡大平面図である。接触片52Dは、本体片57Dと、張出片58Dと、付根部59Dとを含む。本体片57Dは、幅方向Wに長尺に形成されており、本体片57Dは上面に加熱部分54Dが配置される部分である。
【0071】
付根部59Dは、幅方向Wにおいて、本体片57Dの一端に接続されており、張出片58Dは付根部59Dに連結されている。不織布50のうち、接続片53および接触片52Dの接続部位61Dに破断部62Dが形成されている。この
図8に示す例においては、破断部62Dは、付根部59Dおよび接続片53の境界部分に位置している。破断部62Dは、幅方向Wに延びており、破断部62Dの一端は、接続片53の外側辺に達している。なお、張出辺58Dの配置や貫通孔99Dと破断部62Dとの位置関係は、
図7の構成と同様である。
【0072】
ここで、張出片58Dの位置が固定された状態で、接続片53が配列方向Dに引っ張られたとすると、破断部62Dは広がるように変形する。これにより、不織布50は配列方向Dに延びるように変形することができる。
【0073】
図9は、接触片52Bの一端側における一部拡大図である。この
図9に示すように、接触片52Bおよび接続片53の接続部位61Bにも、破断部62Bが形成されている。なお、接続部位61Bは、接続片53を配列方向Dに延ばした部分と、接触片52Bとが重なり合う部分である。
【0074】
破断部62Bは、接続部位61Bの一端側から幅方向Wに延びるように形成されている。
【0075】
ここで、接続片53が配列方向Dに延びるように、接続片53に荷重が加えられたとすると、破断部62Bが拡がるように変形する。これにより、不織布50は配列方向Dに延びるように変形することができる。
【0076】
図6において、接触片52Cにも、破断部62Bと同様に、破断部62Cが形成されている。このため、接続片53の配列方向Dの長さが延びるように、接続片53に引張力が加えられたとすると、破断部62Cが拡がるように変形する。これにより、不織布50は、配列方向Dに延びるように変形することができる。
【0077】
図10は、接触片52Aおよびヒータ線51と、その周囲の構成を示す断面図である。なお、
図10における断面は、幅方向Wに対して垂直な方向における断面である。
【0078】
蓄電セル22は、収容ケース90と、電極体91とを含む。収容ケース90は、たとえば、アルミニウムなどの金属材料によって形成されている。電極体91は、収容ケース90内に収容されており、たとえば、正極シートと、セパレータと、負極シートなどを含む。各蓄電セル22の底面には、絶縁材料から形成された板状のインシュレータ92が配置されている。
【0079】
接触片52Aの上面にヒータ線51が配置されており、接触片52Aはヒータ線51の形状に沿って変形している。ロアーケース10の底板13と、接触片52Aとの間には、弾性部材84が配置されている。弾性部材84は、例えば、スポンジなどによって形成されている。
【0080】
弾性部材84は、幅方向Wに長尺に形成されており、弾性部材84は、接触片52Aおよびヒータ線51をインシュレータ92に向けて押圧している。
【0081】
そして、ヒータ線51に電流が流れることで、ヒータ線51が高温となる。これにより、蓄電モジュール20Aの各蓄電セル22が良好に温められる。
【0082】
接触片52Aは、蓄電セル22の底面の中央に配置されており、蓄電セル22の底部は接触片52Aに形成されたヒータ線51によって均等に暖められる。
【0083】
なお、接触片52B,52C,52Dの下面にも、接触片52Aと同様に弾性部材が配置されており、各接触片52B,52C,52Dが蓄電モジュール20B,20C,20Dの下面に押圧されている。そして、ヒータ線51に電流が流れることで、蓄電モジュール20B,20C,20Dが暖められる。
【0084】
上記のように構成された蓄電装置1において、製造ばらつきなどによって、たとえば、
図1に示すヒータモジュール4に形成された挿入孔8の位置が、固定枠6に形成されたピン31の位置とずれる可能性がある。
【0085】
このような場合において、ヒータモジュール4の各接触片52A、52B,52C,52Dの位置が各蓄電モジュール20の底面の中央からずれる可能性がある。
図10において、接触片52Aが蓄電モジュール20Aの中央部からずれた位置で固定されたとする。
【0086】
この場合、当該蓄電セル22の底部の温度分布に偏りが生じる。その結果、蓄電セル22内の電極体91の温度分布にも偏りが生じやすく、電極体91の電気特性に影響をあたえる可能性が生じる。
【0087】
図3において、分割ヒータモジュール4Aの樹脂枠40においては、各接続片46A,46B,46C,46Dに形成された挿入孔8の間の配列方向Dの距離を調整することができる。さらに、
図6に示す不織布50においても、配列方向Dに変形することができるように形成されている。
【0088】
このため、分割ヒータモジュール4Aに形成された挿入孔8の位置が固定枠6に形成されたピン31に対して位置ずれしたとしても、分割ヒータモジュール4Aを配列方向Dに変形させることで、各挿入孔8にピン31を挿入することができる。
【0089】
また、
図3に示す挿入孔8と
図6に示す貫通孔99A,99Dが重なるように不織布50が分割ヒータモジュール4Aに配置された状態で、
図1に示すピン31が挿入孔8と貫通孔99A,99Dとに挿入される構成とすることで、ピン31に対する位置ずれを、挿入孔8の間の配列方向Dの距離調整、および、不織布50における破断部62A,62B,62C,62Dの配列方向Dへの変形により同時に吸収できる。この時、
図6において、貫通孔99A,99Dは破断部62A,62Dの延長線上に重ならない位置に形成されているので、破断部62A,62Dの変形が阻害されず、ピン31の位置ずれを破断部62A,62Dが充分に吸収することができる。
【0090】
これにより、各接触片52A,52B,52C,52Dが各蓄電モジュール20A,20B,20C,20Dの底面の中央からずれることを抑制することができる。
【0091】
さらに、
図6に示すように、破断部62A,62B,62C,62Dの、接触片52A,52B,52C,52D側の先端は、いずれも、各蓄電モジュール20A,20B,20C,20Dとは対向しない位置までとなるように形成されている。つまり、破断部62A,62B,62C,62Dは、不織布50のうち、蓄電モジュール20A,20B,20C,20Dと対向しない位置に形成されている。
【0092】
これにより、破断部62A,62B,62C,62Dが広がるように変形しても、不織布50の各蓄電モジュール20A,20B,20C,20Dと対向する部分は変形しない。このような構成とすることで、各接触片52A,52B,52C,52Dが各蓄電モジュール20A,20B,20C,20Dの底面の中央からずれることを抑制することができる。
【0093】
なお、不織布50に形成された破断部の形状としては、
図7などに示す例に限られない。
図11は、接触片52Aに形成された破断部の変形例を示す平面図である。この
図11に示す例においては、破断部62A1は、接続片53の外側辺に達していない。
【0094】
図12は、接触片52Dに形成された破断部の変形例を示す平面図である。この
図12に示す例においては、破断部62D1も、接続片53の外側辺に達していない。
【0095】
図13は、接触片52Bに形成された破断部の変形例を示す平面図である。この
図13に示す破断部62B1は、接続片53の外側辺において、破断部が広がるように形成されている。
【0096】
なお、
図11~
図13の破断部62A1,62D1,62B1は、いずれも不織布50のうち、蓄電モジュール20A,20B,20C,20Dと対向しない位置に形成される。
【0097】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 蓄電装置、2,90 収容ケース、3 蓄電ユニット、4,5 ヒータモジュール、4A,4B 分割ヒータモジュール、6,7 固定枠、8,9,29 挿入孔、10 ロアーケース、11 アッパーケース、13 底板、14,17 周壁、15,18 つば部、16 天板、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,21,21A,21B,21C 蓄電モジュール、22,23 蓄電セル、24,40 樹脂枠、25 拘束具、26 エンドプレート、27 拘束バンド、28 ブラケット、30,33 枠本体、31,34,67,68 ピン、32,35 配置空間、36A,36B,36C,64A,64B,64C スライド部材、38A,38B,38C,38D,39A,39B,39C,39D,63A,63B,63C,63D 単位梁、41 ヒータ本体、42,43 側辺部材、44,45 梁、46A,46B,46C,46D,53 接続片、48A,48B,48C,48D 連結部、50 不織布、51 ヒータ線、52,52A,52B,52C,52D 接触片、54A,54B,54C,54D 加熱部分、55 接続線、56 コネクタ、57A,57D 本体片、58A,58D 張出片、99A,99D 貫通孔、59A,59D 付根部、61A,61D 接続部位、62A,62B,62C,62D,62A1,62B1,62D1 破断部、65,66,73,74,75,76 長孔、70,71 スライド片、72 連結片、84 弾性部材、91 電極体、92 インシュレータ、D 配列方向、W 幅方向。