(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】電気機械的構造体を製造するための方法およびその方法を実施するための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20230207BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230207BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20230207BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230207BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B29C45/14
H01L21/60 311S
H01L23/14 R
H05K1/02 L
H05K3/00 W
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019232630
(22)【出願日】2019-12-24
(62)【分割の表示】P 2016544776の分割
【原出願日】2014-09-25
【審査請求日】2020-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-05
(32)【優先日】2013-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516089669
【氏名又は名称】タクトテク オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】サースキ,ヤルモ
(72)【発明者】
【氏名】トルヴィネン,ヤルッコ
(72)【発明者】
【氏名】ニスカラ,パーヴォ
(72)【発明者】
【氏名】シッパリ,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ラーッパナ,パシ
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン,アンッティ
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】関根 洋之
【審判官】石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/058708(WO,A1)
【文献】特開昭63-284888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
H01L 21/56,25/00,25/065,25/07,25/18
H05K 1/02,3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械的構造体を製造するための方法であって、
平坦なフィルム上に、複数の導体および/または複数のグラフィック体を作る工程と、
前記平坦なフィルムの所望の3次元形状に関連する、前記平坦なフィルム上に、複数の導体および/または複数のグラフィック体以外の複数の電子素子を取り付ける工程であって、取り付けられる前記複数の電子素子は、
表面実装技術(SMT)の電子部品、スルーホールの電子部品、または、フリップチップの実体、
または、前記平坦なフィルム以外の基板上に印刷で作られた、印刷された実体であって、前記平坦なフィルムに取り付けられる、印刷された実体、であり、
前記複数の電子素子が取り付けられる、前記3次元形状における選択された位置は、前記3次元形状における他の位置の曲率よりも小さい曲率を有し、前記複数の電子素子は、前記3次元形状における、最大の曲率を有する位置に取り付けられていない、複数の電子素子を取り付ける工程と、
前記複数の電子素子を収容する前記平坦なフィルムを3次元フィルムに形成する工程であって、前記形成することは、前記平坦なフィルムを伸ばすことを少なくとも含
み、前記形成することは、少なくとも2である偏差を含み、前記偏差は、3次元的に形成されたフィルムと重ならない2つの平行な表面間の最短距離の、前記形成することの前の前記平坦なフィルムの最短距離に対する比率であり、前記偏差は、前記平坦なフィルムに対して前記伸ばすことにより引き起こされた変形によって引き起こされる、前記平坦なフィルムを3次元フィルムに形成する工程と、
前記平坦なフィルムを3次元フィルムに形成する工程の後に、
射出成形プロセス中に金型の中に前記3次元フィルムを挿入することにより、前記3次元フィルム上に材料を射出成形する工程であって、前記3次元フィルムの表面に前記材料の好ましい層が取り付けられて、電気機械的構造体を作り出す、3次元フィルムの上に材料を成形する工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記平坦なフィルムは、基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前基板は、プリント回路板(PCB)またはプリント配線板(PWB)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記平坦なフィルムは、柔軟である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記平坦なフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、グリコール化ポリエチレンテレフタレート(PETG)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、アクリル系ポリマー、またはこれらの混合物を含むことができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記導体および/または前記グラフィック体は、印刷によって作られ、前記印刷の技術は、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ジェット印刷、タンポ印刷、エッチング、転写積層または薄膜蒸着の少なくとも1つから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
取り付けられた前記電子素子は、柔軟な既製の表面実装技術(SMT)の実体、柔軟な既製のスルーホールの実体、柔軟な既製のフリップチップの実体、または柔軟な既製の印刷された実体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電子素子を取り付ける工程は、柔軟な手段を用いて、固着することによって、接着することによって、または他の接着剤によって、行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記平坦なフィルム上に前記導体および/または前記グラフィック体を作る前記工程と、前記フィルムに前記電子素子を取り付ける前記工程とは、連続的なロールツーロールプロセスまたはリールツーリールプロセスによって実行される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ロールツーロールプロセスまたは前記リールツーリールプロセスは、導体、グラフィック体および電子素子のリストから少なくとも1つのアイテムを印刷する工程を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子素子を収容する前記平坦なフィルムを3次元フィルムに形成する前記工程は、熱成形によって達成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電気機械的構造体は被覆される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電気機械的構造体の製造方法を実施するための装置であって、
平坦なフィルム上に複数の導体および/または複数のグラフィック体を作るための実体と、
複数の電子素子を取り付けるための実体であって、前記複数の電子素子は、複数の導体および/または複数のグラフィック体以外であり、取り付けられる前記複数の電子素子は、前記平坦なフィルムの所望の3次元形状に関して、前記平坦なフィルム上で
、表面実装技術(SMT)の電子部品、スルーホールの電子部品、または、フリップチップの実体、または、前記平坦なフィルム以外の基板上に印刷することによって作られた、印刷された実体であって、前記平坦なフィルムに取り付けられる、印刷された実体、であり、前記3次元形状における選択された位置は、前記3次元形状における他の位置の曲率よりも小さい曲率を有し、前記複数の電子素子は、前記3次元形状における、最大の曲率を有する位置に取り付けられていない、実体と、
前記平坦なフィルムを3次元フィルムに形成するための実体であって、前記形成することは、前記平坦なフィルムを伸ばすことを少なくとも含
み、前記形成することは、少なくとも2である偏差を含み、前記偏差は、3次元的に形成されたフィルムと重ならない2つの平行な表面間の最短距離の、前記形成することの前の前記平坦なフィルムの最短距離に対する比率であり、前記偏差は、前記平坦なフィルムに対して前記伸ばすことにより引き起こされた変形によって引き起こされる、実体と、
射出成形プロセス中に金型の中に、前記平坦なフィルムによって形成された前記3次元フィルムを挿入することにより、前記3次元フィルム上に材料を射出成形する実体であって、前記3次元フィルムの表面に前記材料の好ましい層が取り付けられて、電気機械的構造体を作り出す、前記3次元フィルム上に材料を射出成形する実体と、を備える、装置。
【請求項14】
前記平坦なフィルム上に前記複数の導体および/または複数のグラフィック体を作るための前記実体は、インクジェット印刷機およびスクリーン印刷機の少なくとも1つを備え、当該実体は、ロールツーロール機械またはリールツーリール機械とすることができる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記平坦なフィルム上に前記複数の電子素子を取り付けるための前記実体は、ピックアンドプレース機械を備える、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記平坦なフィルムを前記3次元フィルムに形成するための前記実体は、連続的なロール送りまたは自動的なインプレカットピース送りのどちらかとされる、コンピュータ数値制御(CNC)機械、熱成形機、真空成形機、圧空成形機、またはブロー成形機、またはこれらの組み合わせを備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記熱成形は、真空成形または圧空成形、ビロー成形、ドレープ成形、ブロー成形、予備成形、回転成形、またはこれらの組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本発明は、電子デバイスに組み込まれた電気機械的構造体に関する。特に、限
定するものではないが、本発明は、埋め込まれた部品および素子を有する3次元の単一基
板の電気機械的構造体を作り出す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
具体的にはモバイルデバイスのような種々の電気機械的デバイスの製造方法は、途方も
なく改善されており、特徴、例えば、洗練されたディスプレイおよび相互作用の/反応性
のカバーを有するそのような電気機械的デバイスは、一般的に使用される家電製品となっ
ている。このようなデバイスは、洗練されたタッチスクリーン、多数の機能性を有するタ
ッチ面などを組み込んでおり、その結果、種々の、しばしば繊細な部品を使用することを
必要とする。
【0003】
製品の多種多様な機能性および直感性に対するユーザの増え続けるニーズは、デバイス
がそれらの使用を制限することをユーザが望まない状況を作り出すのに役立っている。そ
の代わりに、すべてのデバイスは、すぐに直感的に理解できる方法で使用することを、制
限するよりも、可能にするべきである。
【0004】
同時に、内部で使用される部品だけでなくデバイスの外部設計が、活動的な市場のニー
ズに合わせて発展しかつ変更することを必要としてきたので、より機敏かつ柔軟な製造の
ニーズがますます明らかになっている。
【0005】
これは、収容構造に関して様々な異なる部品を組み込むことを可能にする製造プロセス
に対する実際のニーズを作り出す。収容構造は、2次元または3次元である。
【0006】
部品は、ますます小さくなり、かつ、より柔軟になっているが、それらの多くは、プリ
ンテッドエレクトロニクスに比べて、まだ相対的にかさばる。
【0007】
プリンテッドエレクトロニクスは、薄く、柔軟にかつ迅速に製造された構造への道を示
しているが、膨大な量の部品は、依然として印刷によって製造されることができない。
【0008】
また、埋め込まれた電子部品を有する3次元基板および収容構造を作り出すことは、現
在、まず、基板を形作り、その後に、既に形作られた3次元基板に部品を取り付けること
によって、行われる。このような3次元基板上に部品を取り付けることは、部品が傾斜面
に取り付けられる不利な状況を作り出す。この状況は、特に、部品が平坦な面に取り付け
られるプロセスと比較した場合、製造の観点から、不正確さを作り出し、またそうでなけ
れば、困難であり、かつ時間がかかる。
【0009】
いくつかの他の方法は、(好ましい位置における)基板上に部品を配置し、次に、基板
にわたって成形することを提案する。基板は、その後、挿入体として機能する。その方法
は、ほとんどの場合、射出成形により実施される。部品が、正確な場所に極めて正確に配
置され、その後、成形プロセスを通じてそこに保たれる必要があるので、この方法は、多
くの誤りおよび失敗に至る傾向がある。このプロセスの別の問題は、溶融材料によって、
それが冷えるにつれて引き起こされるやや激しい温度変化である。総合して、これらの要
件は、多くの欠陥ユニットが生じる非常に困難な状況につながる。また、さらに、この方
法は、基板として真に3次元に形作る手段を提供しない。この基板は、挿入体として使用
され、プロセス中にあまりその形状を変更しない。さらに、各成形は、一度だけ行われう
る。基板およびその中の部品がオーバーモールドされた後に、形状および回路部品構造が
設定され、したがって、欠陥を修正することはできない。
【0010】
いくつかの他の製造プロセスは、互いに重ねられかつ取り付けられた多数の層または基
板からなる積層面を使用することを含む。しかし、これらの方法は、また、平坦から3次
元への制限された展性のような不利益を、具現化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態の目的は、特に、平坦な表面上での様々な電子素子の効率的な統合を
、その表面を形作りかつ被覆しあるいはカプセル化する前に可能とする製造方法および製
造装置の状況において、先行技術の装置において明らかな1つまたはそれ以上の上述の欠
点を少なくとも軽減することである。その目的は、概して、本発明に係る製造方法および
その方法を実施するための対応する装置を用いて、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の最も有利な態様の1つは、複数の電子素子が、実質的に平坦な表面上に配置さ
れることを可能にし、その後に、電子素子を収容する表面を、平坦面から、実際的な状況
では、実質的に任意の所望の3次元形状に形作ることである。さらに、本発明は、フィル
ムが成形されるべき形状および設計に関して3次元的に形成可能なフィルム上に素子を配
置しかつ取り付けるための方法およびシステムを含む。
【0013】
本発明の他の有利な態様は、複数のエレクトロニクス、グラフィック体および他の使用
されるコンテンツを収容するために1つのフィルムのみを使用することによって、多くの
場合、層を積層することの結果である、積層されたフィルムと、フィルム構造およびシー
ト構造を被覆することに対するニーズを最小化することである。
【0014】
本発明の他の有利な態様は、複数の電子回路および複数の素子が、平坦な表面上に取り
付けられ、その後に、基板を任意の好ましい形状にしたがう実質的な3次元に形成する前
に、回路および素子が機能することが試験されうることである。
【0015】
本発明の1つの態様によれば、電気機械的構造体を製造するための方法であって、
実質的に平坦なフィルム上に複数の導体および/または複数のグラフィック体を作る工
程と、
フィルムの所望の3次元形状に関して、複数の電子素子および/または複数の機能素子
、例えばMEMSを前記フィルムの上に取り付ける工程と、
複数の電子素子を収容する前記フィルムを実質的な3次元形状に形成する工程と、
前記フィルム上に実質的に成形することによる射出成形プロセスにおける挿入体として
実質的な3次元のフィルムを使用する工程であって、材料の好ましい層がフィルム表面に
取り付けられて、電気機械的構造体を作り出す工程と、を備える方法。
【0016】
本発明の例示的な実施形態によれば、実質的に平坦なフィルムは、実質的に柔軟である
ことができる。本発明の例示的な実施形態によれば、フィルムは、基板を含む。例示的な
実施形態によれば、フィルムは、プリント回路板(PCB)またはプリント配線板(PW
B)を含む。
【0017】
本発明の例示的な実施形態によれば、実質的に平坦なフィルムは、好ましくは、均一か
つ非積層であり、すなわち非積層シートである。本発明の例示的な実施形態によれば、実
質的に平坦なフィルムは、積層構造を備えることができる。本発明の例示的な実施形態に
よれば、実質的に平坦なフィルムは、被覆を備えることができる。
【0018】
本発明の例示的な実施形態によれば、前記フィルム上に導体を作る工程は、好ましくは
、印刷する工程を含む。本発明の別の例示的な実施形態によれば、前記フィルム上に導体
を作る工程は、配線する工程を含むことができる。本発明の別の例示的な実施形態によれ
ば、前記フィルム上に導体を作る工程は、はんだ付けする工程を含むことができる。本発
明の別の例示的な実施形態によれば、前記フィルム上に導体を作る工程は、プリント回路
板(PCB)またはプリント配線板(PWB)を使用する工程を含むことができる。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によれば、前記フィルム上にグラフィック体を作る工程は、好ましくは、印刷する工程を含むことができる。本発明の例示的な実施形態によれば、前記フィルム上にグラフィック体を作る工程は、塗る工程を含むことができる。
【0020】
本発明の例示的な実施形態によれば、使用される電子素子は、本来、電子的、電気光学
的、電子音響的、圧電的、電気的、および/または電気機械的であることができる。本発
明の別の例示的な実施形態に係る電子素子は、表面実装技術(SMT)の、スルーホール
の、またはフリップチップの実体を備えることができる。本発明の別の例示的な実施形態
によれば、前記電子素子は、実質的に柔軟な部品を備えることができる。本発明のさらな
る例示的な実施形態によれば、電子素子は、印刷された実体でありうる。本発明の別の例
示的な実施形態によれば、電子素子は、印刷された実体でありえ、前記素子は、実質的に
平坦なフィルム上に印刷されうる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、電子素
子は、印刷された実体でありえ、前記素子は、他の場所に(例えば、印刷する工程の後に
または前に、適切な小片に切断されうる別の基板上に)印刷されうる。その後に、既に印
刷された素子は、実質的に平坦なフィルム上に取り付けられうる。
【0021】
本発明の例示的な実施形態によれば、電子素子は、例えば、必要に応じて、実質的に柔
軟なおよび/または導電性の接着剤、ペースト、または他の接着剤によって、フィルムに
取り付けられうる。本発明の別の例示的な実施形態によれば、素子は、固着することによ
って、取り付けられうる。
【0022】
本発明の例示的な実施形態によれば、電子素子を取り付ける工程は、フィルムの所望の
形状に対して行われる。実質的な平坦から3次元にフィルムを形成するプロセス中に、フ
ィルムとその上に組み込まれた素子は、物理的なストレス、例えば、歪み、トルクおよび
圧縮などを受ける。これらの力は、フィルムを曲げることおよび伸ばすことによってだけ
ではなく、プロセスのために必要とされる温度によっても引き起こされる。素子を取り付
けるプロセスは、本発明によれば、多くの、個々のまたは一致するシーケンス(処理の配
列(sequences))を含むことができる。
【0023】
本発明の例示的な実施形態によれば、電子部品を取り付ける工程の任意のシーケンスは
、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)によって、3次元フィルムの3次元設計の形
状をモデル化する工程のための、例えば、均一な正方形格子パターンまたは円形格子パタ
ーンまたは他の適切な形状パターンによって実行されるモデル構築または3次元表面歪み
測定を含むことができる。モデル化する工程は、起こりうる障害だけでなく、歪み、力、
寸法、熱およびストレスの解析のパラメータを含むことができる。起こりうる障害は、例
えば、実質的に平坦なフィルムを実質的に3次元に形成する工程によって引き起こされる
フィルムの破砕である。モデル化する工程は、構造体のストレス解析を含むことができる
。モデル化する工程は、また、製造プロセスのプロセスシミュレーションのための製造の
解析を含むことができる。製造プロセスは、例えば、製造方法の、鋳造する工程、成形す
る工程、および他の形成する工程である。
【0024】
本発明の例示的な実施形態の別の任意のシーケンスは、3次元のフィルム設計の表面形
状に関して素子の向きを選択する工程を含むことができる。概して、これは、素子が取り
付けられる表面の形状に応じて素子を配置する工程を意味し、その結果、フィルムの平坦
な表面積の変形は、フィルムの前記表面積に対する素子の表面積と比較し、可能な限り小
さい。具体的には、フィルム表面の曲率の大きさであって、対向する素子の表面投影と比
較して、フィルムを形成する3次元によって引き起こされる前記曲率の大きさは、最小化
されるべきである。3次元表面上の仮想的な曲率に応じて素子の向きを設定するとき、変
形によって引き起こされる曲率および/または歪みが、素子の取り付けのシーケンスにお
いてまだ明らかではないので、その結果、フィルム表面との取り付け/境界接点を有する
、素子の遠い端部または物理的境界の間の前記曲率および/または素子の遠い端部または
物理的境界と比較した前記曲率であって、フィルムの3次元の形成によって引き起こされ
る前記曲率は、湾曲したフィルム表面と比較してフィルム表面と素子の底面との間に小さ
な分離および/または距離を引き起こす。
【0025】
本発明の例示的な実施形態の別の任意のシーケンスは、3次元のフィルム設計の表面形
状に関して電子素子の位置を選択する工程を含むことができる。概して、これは、素子が
取り付けられる表面の形状に応じて素子を配置する工程を意味し、その結果、フィルムの
平坦な表面積の変形は、フィルムの表面積に対する素子のフィルムの表面積と比較し、可
能な限り小さく変形する。より具体的には、対向する/底部の素子の表面突起と比較した
フィルム表面の曲率および/または歪みの大きさであって、前記曲率がフィルムを形成す
る3次元によって引き起こされる大きさは、最小化されるべきである。素子が可能な限り
小さく変形する表面に配置するような素子の位置の選択により、変形によって引き起こさ
れる曲率が、素子の取り付けのシーケンスにおいて目立たないので、素子は、より小さな
物理的歪みを受けるだろう。フィルム表面に関して素子の位置を選択する工程は、また、
複数の位置を選択することを含む。ここで、フィルム表面に対する素子の底部、および相
対的なフィルム表面のタッチ面(接触面)が、例えば、タッチ面の面積を最大化すること
によって、最適化される。そのようにフィルム表面にしたがって素子の良い位置を選択す
る工程は、素子がフィルム表面の遠い端部に配置されるべきではないことを意味する。素
子は、部分的に、フィルム表面の最遠方の端部の上にある。
【0026】
本発明の例示的な態様によれば、フィルムを形成する3次元によってフィルムの上に取
り付けられた素子の上に引き起こされるいくつかの態様は、実質的に柔軟な素子の任意の
使用によって軽減されうる。
【0027】
本発明の別の例示的な態様によれば、フィルムを形成する3次元によってフィルムの上
に取り付けられた素子の上に引き起こされるいくつかの態様は、素子の実質的に柔軟な取
付手段の使用によって、軽減されうる
【0028】
本発明の例示的な実施形態の別の任意のシーケンスは、製造パラメータに関して、かつ
、物理的特性、例えば、物理的強度および許容温度および温度変化ならびに素子の異なる
材料との適合性の観点から、素子を選択する工程である。
【0029】
本発明の例示的な実施形態の別の任意のシーケンスは、柔軟性、強度などに応じて取付
方法を選択する工程を含む。
【0030】
本発明の例示的な実施形態の別の任意のシーケンスは、形成する工程が行われた側なら
びに射出成形および射出成形型を選択する工程を含む。好ましくは、素子は、例えば、形
成壁(forming wall)に押し付けられる、または、その上にまたはそれにわたって成形され
るフィルムの側とは反対のフィルムの側に取り付けられる。しかし、素子は、その上にま
たはそれにわたって成形される側に取り付けられうる。
【0031】
本発明の例示的な実施形態によれば、フィルムおよびその上の素子は、好ましくは熱成
形または真空成形によって、実質的に3次元形状に形成されうる。本発明の別の例示的な
実施形態によれば、フィルムおよびその上の素子は、ブロー成形または回転成形によって
実質的に3次元形状に形成されうる。
【0032】
本明細書では、形成された構造の3次元の本質は、他の選択肢の間での、平坦なフィル
ムの本質的な厚さに関して理解されうる。3次元形状は、本明細書では偏差として/偏差
を介して説明されることができ、以下で説明される。実質的に平坦なフィルムは、2つの
平行な平面の(平坦な)表面の間で適合するものであると、みなされうる。この適合は、
見かけ上平坦な表面におけるほんの少しの変形でさえも考慮する。3次元形成プロセスの
後に、それまで平坦なフィルムが成形されていた形状もまた、2つの平行な表面の間に適
合するものであると、みなされうる。距離であって、2つの表面の間に、かつ、どちらか
の表面の他方の表面に対する法線と平行に最大限に伸びる線の長さによって測定される距
離は、表面が両方とも実質的な平坦かつ3次元であるとして、フィルムと重なることなく
互いから位置付けられうる最小距離をもたらす。両方の場合における2つの平行な表面間
の前記最小距離は、偏差の割合を計数するように比較されうる。したがって、本明細書で
言及される偏差は、3次元的に形成されたフィルムと重ならない2つの平行な表面間の最
短距離の、3次元形成の前の同じフィルムの最短距離に対する比率である。好ましくは、
偏差は、少なくとも次のとおりである。
【表1】
【0033】
本発明の例示的な実施形態によれば、射出成形する材料は、フィルム表面にわたって実
質的に独占的に部分的に成形される。必要に応じて、射出成形される材料は、電子素子を
収容するフィルムの表面部分に成形されうる。必要に応じて、射出成形される材料は、電
子素子を収容しないフィルムの表面部分に成形されうる。
【0034】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、前記フィルム上に実質的に成形される、射出
成形される材料は、フィルムの全体をカプセル化する。
【0035】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、射出成形は、電子素子を除くフィルムの全体
をカプセル化することができる。
【0036】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、射出成形は、フィルムの全体および電子部品
をカプセル化することができる。
【0037】
本発明の例示的な実施形態によれば、本方法は、前記方法に係るいずれかのシーケンス
の前にまたは後に付加的な表面処理または表面被覆を含むことができる。
【0038】
本発明の別の態様によれば、電気機械的構造体の前記製造方法を実施するための装置は
、
表面に導体および/またはグラフィック体を作るための実体と、
表面上に電子素子を取り付けるための実体と、
実質的に平坦なフィルムを実質的な3次元形状に形成するための実体と、
射出成形のための実体とのうちの1つまたはそれ以上の実体を備える。
【0039】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置は、表面上に導体および/またはグラフィッ
ク体を作るための実体を備え、前記実体は、インクジェット印刷機、スクリーン印刷機を
含むことができ、前記実体は、ロールツーロール機械またはリールツーリール機械である
ことができる。
【0040】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置は、表面上に電子素子を取り付けるための実
体を備え、前記実体は、ピックアンドプレース機械を含むことができる。
【0041】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置は、実質的に平坦なフィルムを実質的な3次
元形状に形成するための実体を備え、前記実体は、連続的なロール送り(roll-fed)または
自動的なインプレカットピース送り(in-precut-pieces-fed)のどちらかの、熱成形機また
は真空成形機を含むことができる。
【0042】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置は、射出成形のための実体を備え、前記実体
は、油圧、機械、電気またはハイブリッドの射出成形機を含むことができる。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、本方法および対応する装置によって達成される電気機
械的構造体は、例えば、ユーザインターフェース(UI)を組み込んでいる電子デバイス
でありえ、ユーザインターフェース(UI)は、例えば、デスクトップデバイス、ラップ
トップデバイスおよびパームトップデバイスを含むコンピュータである。本発明の別の実
施形態によれば、本方法および対応する装置によって達成される電気機械的構造体は、タ
ッチスクリーン技術またはタッチ面技術を組み込むことができる。
【0044】
電子デバイスの様々な実施形態に関して先に提示された考慮事項は、当業者によって理
解されるように、本方法の実施形態に柔軟に準用して適用されうると共に、その逆も同様
である。
【0045】
簡潔に本明細書中で概説されているように、本発明の様々な態様の有用性は、特定の各
実施形態に依存する複数の論点から生じる。複数の異なる機能を提供するための本発明に
係る電気機械的構造体を製造するための製造コストは、手頃な価格で容易に入手可能な材
料、素子、およびプロセス技術の広範囲な利用により、低く維持することができる。
【0046】
本方法および対応する装置によって得られる電気機械的構造体は、前記装置に係る実体
の限界において拡張可能である。実行可能なプロセス技術は、具体的には、単なるプロト
タイプのシナリオに加えて、デバイスの迅速かつ機動的な工業規模の製造を提供する。
【0047】
本明細書における「多数の」という表現は、1つ(1)から始まる任意の正の整数を意
味することができる。「複数の」という表現は、2つ(2)から始まる正の整数を意味す
ることができる。
【0048】
本発明の別の実施形態も、添付の従属請求項に開示される。
【0049】
次に、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、より密接に概説される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明に係る方法の実施形態を開示するフロー図である。
【
図2】本発明に係る、電子素子を3次元的に収容するフィルムを形成する工程の概念を、例示的な実施形態を介して示す図である。
【
図3】本発明に係る実体を備える装置の1つの実施形態のブロック図である。
【
図4】形成された構造の3次元の本質を説明するために使用される測定の例示的な実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の製造方法を実施するための装置のための1つの実現可能な実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1、本発明の解決策を製造するための1つの実現可能な実施形態のフロー図を参照す
る。
【0052】
開始段階を参照する102では、必要なタスク、例えば、材料、素子およびツールの選
択および取得が起こる。適切な素子および他の部品/エレクトロニクスを決定する際に、
個々の部品および材料の選択が、共に機能し、かつ、装置全体の選択された製造工程を経
て存続するという、特定の配慮が取られねばならない。装置全体の選択された製造工程は
、当然ながら、好ましくは、製造プロセス対素子のデータシートに基づいて、または例え
ば、生産されたプロトタイプを分析することによって、前もって検査される。
【0053】
104では、実質的に平坦なフィルムが、好ましい形状および大きさにしたがって作ら
れ、次いで洗浄される。前記フィルムは、好ましくは、実質的に薄いシートである。フィ
ルムは、好ましくは、ポリカーボネート(PC)またはポリエチレンテレフタレート(P
ET)を含む。というのは、これらの材料は、最適な熱成形窓(すなわち、その最適な熱
成形窓において、伸びかつ形作るように材料が実質的に柔軟になる)と、効率的な3次元
形成に必要な柔軟性を有するためである。フィルム材料は、必要に応じて、最終製品の必
要要件および製造要件にしたがって適切な他の材料を含むことができる。最終製品の必要
要件および製造要件は、例えば、柔軟性、堅牢性、熱成形窓、強度、接着性である。また
、エレクトロニクスおよび隣接する材料を考慮して、または、例えば、利用可能な製造技
術を考慮して、他の材料特性が満たされる。前記他の材料は、他のプラスチック、シリコ
ン、ゴム、またはこれらの混合物を含むことができる。さらに、実現可能な材料は、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS
)、グリコール化ポリエチレンテレフタレート(PETG)、耐衝撃性ポリスチレン(H
IPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、アクリル系重合体、またはこれらの混合物
を含む。フィルムの厚さは、フィルムから要求される特性、例えば、材料の強度、柔軟性
、弾力性、透明性および/または最終製品から必要とされる大きさに応じて、変えること
ができる。フィルムは、エレクトロニクス、例えば、電子回路、導体、または部品のリー
ド線および/またはソケットなどを受け入れるための多数の凹部、空洞、または穴を含む
ことができる。
【0054】
選択されたフィルムは、また、示される処理段階の前におよび/または示される処理段
階中に、予め調整されうる。フィルムは、他の材料、例えば、射出成形被覆プラスチック
との密着性を高めるために、予め調整されうる。
【0055】
必要に応じて、既に上述したフィルム材料の要件に応じた材料要件、形状要件および寸
法要件を有するプリント回路板(PCB)またはプリント配線板(PWB)が、フィルム
として選択されうる。
【0056】
106では、導体および/またはグラフィック体は、フィルム上に作られる。このよう
に、フィルムは、導体のみ、グラフィック体のみ、または導体およびグラフィック体の両
方を含むことができる。前記導体および/または前記グラフィック体を作る工程は、好ま
しくは、適切な印刷技術を利用することによって行われる。例えば、インクジェット印刷
機または他の適切なデバイスが、フィルム上に前記導体および/または前記グラフィック
体を印刷するために使用されうる。好ましくは、1つのデバイスは、導体およびグラフィ
ック体の両方を作るために使用される。必要に応じて、別個の、導体を作るためのるデバ
イス、およびグラフィック体を作るためのデバイスもまた、使用されうる。
【0057】
一般的に、導体およびグラフィック体を印刷するために実現可能な技術は、スクリーン
印刷、ロータリースクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、
タンポ印刷、エッチング(PWB基板と同様に、プリント配線板)、転写積層、薄膜蒸着
などを含むことができる。例えば、導電性ペーストに関連して、銀ベースのPTF(ポリ
マー厚膜)ペーストは、フィルム上に所望の回路設計をスクリーン印刷するために利用さ
れうる。また、例えば、銅ベースまたは炭素ベースのPTFペーストが使用されうる。あ
るいは、銅/アルミニウム層が、エッチングによって得られうる。さらなる代替例では、
導電性LTCC(低温同時焼成セラミック)ペーストまたはHTCC(高温同時焼成セラ
ミック)ペーストが、フィルム上に焼結されうる。導体のための材料を選択する際は、フ
ィルムの特性を考慮しなければならない。例えば、LTCCペーストの焼成温度は、約8
50から900℃とすることができ、セラミックフィルムの使用を必要としうる。また、
銀/金ベースのナノ粒子インクは、導体を作るために使用されうる。
【0058】
異なる印刷技術は、例えば、用いられるインク/ペーストに起因する異なるレオロジー
特性を必要とするので、ペースト/インクは、好ましくは、印刷技術およびフィルム材料
に関連して選択されねばならない。さらに、異なる印刷技術は、単位時間当たりのインク
/ペーストの様々な値を与え、この様々な値は、多くの場合、達成可能な導電率の数値に
影響を与える。
【0059】
代わりに、導体および/またはグラフィック体は、フィルムの範囲内に設けられうる。
【0060】
108では、電子部品は、フィルム上に取り付けられる。前記電子部品は、好ましくは
、表面実装技術(SMT)、スルーホール、フリップチップまたは印刷された実体である
。必要に応じて、素子は、段階106に示されるように適切な印刷法を利用することによ
って、作られうる。印刷された素子は、必要に応じて、実質的に平坦なフィルム上に印刷
することによって、前記フィルムの上に作られうる。印刷された素子は、基板上に印刷す
ることによって、必要に応じて、実質的に平坦なフィルムとは別に作られうる。その後、
基板の全体、または素子を含む基板の好ましい小片は、実質的に平坦なフィルムの上に取
り付けられうる。
【0061】
SMT、スルーホール、フリップチップおよび印刷された実体は、必要に応じて、実質
的に柔軟な手段を用いて、固着することによって、接着することによって、または他の接
着剤、例えばエポキシ接着剤によって、取り付けることができる。(電気的接触を可能に
するための)導電性接着剤および(単なる固定のための)非導電性接着剤の両方が、利用
されうる。前記部品は、利用される3次元形成の圧力および温度に耐えるようにだけでな
く、部品の技術および機能により選択されうる。利用される3次元成形は、例えば、射出
成形プロセスのような部品の収容を確立するプロセスだけでなく、熱成形プロセスまたは
真空成形プロセスである。
【0062】
一例として、前記素子は、本来、電子的、電気光学的、電子音響的、圧電的、電気的、
および/または電気機械的であることができ、または、または少なくともそのような部品
を含むことができる。さらに、このような素子および/または部品は、制御回路、歪み、
抵抗、静電容量、(F)TIRなどの接触感知、および光検出部品、圧電アクチュエータ
または振動モータなどの触知部品および/または振動部品、(O)LEDなどの発光部品
、マイクおよびスピーカーなどの発音およびまたは受音、メモリチップ、プログラマブル
ロジックチップおよびCPU(中央処理装置)などのデバイス操作部、デジタル信号プロ
セッサ(DSP)、ALSデバイス、PSデバイス、処理デバイス(マイクロプロセッサ
、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP))などの他の処理デバイス
、MEMSおよび/または種々のまだ言及されていないセンサを備えることができる。実
際、無数の技術が、実施されうると共に、構造は、開示されたものに加えて、様々な追加
の部品を備えることができる。また、当業者の読者に理解されるように、開示された部品
の構成は、本発明が利用されうる、それぞれの意図される使用シナリオの要件に応じて、
明示的に示されているものと異なることができる。
【0063】
必要に応じて、素子は、所定の体系的な構成、例えば、対称的なまたはマトリックスの
構成に取り付けられ、構成されうる。
【0064】
もしくは、電子素子は、フィルムの範囲内に設けられうる。
【0065】
110では、フィルムは、実質的な平坦から実質的な3次元に形成されている。前記形
成は、好ましくは、熱成形によって、真空成形または圧空成形を用いて、行われうる。代
わりに、前記形成は、ビロー成形、ドレープ成形、ブロー成形、予備成形または回転成形
によって行われうる。
【0066】
プロセスとしての熱成形は、熱成形窓内へフィルムを加熱する工程(すなわち、熱成形
窓内で、伸びかつ形作るように材料が実質的に柔軟になる)と、金型内にフィルムを配置
する工程と、フィルムが金型の形状にぴったり合うように、金型に対してフィルムを押し
付けるために真空を印加する工程と、フィルムを冷却させつつ、同時に、冷却されたフィ
ルムに真空を印加しかつ冷却されたフィルムを取り出す工程とを備える。フィルムは、今
や、フィルムの容易な除去のために真空を開放するおよび/または「空気排出」を適用す
ることによって、金型にしたがう所望の形状に適合している。さらに、必要に応じて、フ
ィルムの切断であって、例えば、好ましい大きさへのまたはより良い仕上げのためのフィ
ルムの切断は、熱成形の前にまたは後に実行されうる。熱成形窓内へのフィルムの加熱は
、必要に応じて、熱成形機の内部、例えば、金型内で、または、熱成形機の外部、例えば
、オーブン内で、行われうる。
【0067】
真空または圧力を使用する好ましい熱成形プロセスのパラメータおよび設定を考慮する
と、いくつかのさらなる指針が、当業者によって理解されるように、単なる例として与え
られうる。熱成形温度の下限のためのいくつかの例は、PCの150℃、PETの70℃
、ABSの88℃から120℃を含む。金型内へ機械的に空気を加圧することまたは金型
内の真空を吸引することのどちらかによって得られるフィルムに加えられる圧力は、単層
フィルム構造に対してはおおよそ約100psiを超えるべきである一方、積層構造に対
してはおおよそ約200psiを超えるべきである。使用される3次元フィルムおよびプ
ロセスのパラメータは、好ましくは、前記フィルムが溶融しないように選択するべきであ
る。一方、フィルムは、フィルムが適切に固定されたままとなるように金型内に配置する
べきであり、その結果、固定点は、成形を阻害しない。
【0068】
112では、3次元となったフィルムに取り付けられた好ましい素子を備える組立体が
、金型フレーム内への挿入体として配置され、射出成形される。
【0069】
3次元のフィルムにわたって成形される射出成形材料は、必要に応じて透明であり、ポ
リマー、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、シクロオレフィンコポリ
マー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリテトラフルオロエチレン(
PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの混合物を含むことができる。代
わりに、またはさらに、材料は、ガラスを含むことができる。適用可能な層材料は、所望
の柔軟性、堅牢性、および他の要件であって、例えば、接着特性であり、かつ、エレクト
ロニクスおよび隣接する材料を考慮した、または利用可能な製造技術を考慮した他の要件
が満たされるように、概して選択されるべきである。
【0070】
プロセスのパラメータおよび設定を考慮すると、いくつかのさらなる指針が、当業者に
よって理解されるように、単なる例として与えられうる。3次元フィルムがPETであり
、かつ、例えば、3次元フィルムの上に射出成形されるプラスチックがPCである場合、
溶融PCの温度は、約280から約320℃とすることができ、金型の温度は、約20か
ら95℃、例えば約80℃とすることができる。使用される3次元フィルムおよびプロセ
スのパラメータは、好ましくは、前記フィルムが溶融せずプロセス中に実質的に固体のま
まであるように、選択されるべきである。フィルムは、フィルムが適切に固定されたまま
となるように、金型内に配置されるべきである。同様に、予め組み込まれた部品、グラフ
ィック体および/またはエレクトロニクスは、成形時に静的なままとなるように、基板に
取り付けられなければならない。
【0071】
射出成形プロセスの射出段階は、所望の特徴にしたがって選択された材料を溶融されるまで加熱する工程を備え、その後に、金型内に前記材料を射出するよう押し出す。ここで、前記材料は挿入体の上に固まる。好ましくは、射出成形された材料は、フィルム表面にわたって実質的に独占的に部分的に成形されえ、予め組み込まれた部品、グラフィック体および/またはエレクトロニクスを収容するフィルムの表面部分上の成形品と、予め組み込まれた部品、グラフィック体および/またはエレクトロニクスを収容しないフィルムの表面部分上の成形品のどちらかを含むことができる。必要に応じて、射出成形された材料は、前記材料がフィルムの全体をカプセル化するように前記フィルムの上に実質的に成形されえ、成形品が、予め組み込まれた部品、グラフィック体および/またはエレクトロニクスの一部分のみをカプセル化すること、または、予め組み込まれた部品、グラフィック体および/またはエレクトロニクスが金型内に完全に埋め込まれるように、成形品が、予め組み込まれた部品、グラフィック体および/またはエレクトロニクスをカプセル化することとのどちらかを備えることができる。
【0072】
概して、本発明の実施形態では、構築された収容における前記素子およびエレクトロニ
クスの取り付け深さだけでなく、構築された収容の厚さは、適用にしたがって変化しうる
。その結果、前記深さおよび前記厚さは、表面(電子デバイスの全体の内部表面または外
部表面)の一部を形成でき、または、完全に埋め込まれることができ、または収容の内部
に「隠され」うる。これは、前記埋め込まれた素子の維持能および保護のカスタマイズだ
けでなく、構築された電気機械的構造体全体としての強靱性、弾力性、透明性などのカス
タマイズを可能にする。収容の内部に素子を完全に埋め込むことは、通常、よりよい保護
を提供する。必要に応じて、表面に素子を残すことは、あまり保護を提供しないが、前記
素子のメンテナンスまたは交換を容易にする。適用に応じて、他の素子が部分的にのみ埋
め込まれている場合、特定の素子が完全に埋め込まれうる。
【0073】
射出プロセスの後に、射出された材料は、ある圧力の下に保持され、かつ、冷却され、
その後に、取り出されうる。
【0074】
114において、方法の実行は、終了される。さらなる動作、例えば、素子の制御、品
質管理、表面処理および/または仕上げまたは磨き上げが、行われうる。
【0075】
有利に柔軟な材料の使用は、ロールツーロール法によって実施されるべき方法のアイテ
ムの少なくともいくつかを可能にし、例えば、輸送および貯蔵を考慮し、時間的、コスト
的、さらには空間的な追加の利点を提供できる。ロールツーロール法または「リールツー
リール」法において、所望の実体、例えば、導体、グラフィック体および/または電子素
子は、連続的な「ロール」基板上に蒸着されうる。「ロール」基板は、長くすることも広
くすることもでき、1つのソースロールまたは複数のソースロールから、手順中の目的の
ロールへ向けて、一定速度または動的速度のどちらかで前進することができる。このよう
に、フィルムは、後に別々に切断される複数の製品を含むことができる。
【0076】
このように、ロールツーロール法または「リールツーリール」法は、方法のステップ1
02、104、106、108の少なくとも2つを組み合わせるように使用されうる。方
法のステップ102、104、106、108のすべては、すなわち、方法のステップの
実質的にすべては、ロールツーロール法または「リールツーリール」法によって実行され
うる。必要に応じて、方法のステップ(102-114)のすべては、すなわち、全体は
、概して、ロールツーロール法または「リールツーリール」法によって実行されうる。
【0077】
ロールツーロール製造は、有利にも、また、本発明に係る製品の迅速かつ費用効果的な
製造を可能にする。ロールツーロールプロセス中に、いくつかの材料層は、「オンザフラ
イで」一緒に結合されうると共に、前記導体、前記グラフィック体および/または前記電
子素子は、実際の接合の瞬間の前に、同時に、または後に、それら材料層の上に構築され
うる。ソース層および得られた帯状の集合実体は、プロセス中に種々の処理にさらにさら
されうる。層の厚さ、および任意の他の特性もまた、ロールツーロール処理を好ましい程
度まで可能にするように、選択されるべきである。
【0078】
図2は、フィルムの4つの異なる例示的な側面
図202a、202b、202c、20
2dを示し、このフィルムの上に電子素子が取り付けられている。
【0079】
側面
図202aは、実質的に平坦なフィルム210であって、前記フィルムを実質的な
平坦から3次元に形成する前に、その上に取り付けられた電子素子204aおよび204
bと、導体206と、グラフィック体208とを収容するフィルム210を示す。
【0080】
側面
図202bは、3次元フィルム212の一例、すなわち、形成プロセスの前に実質
的に平坦であったフィルムであって、その上に取り付けられた電子素子204aおよび2
04bと、導体206と、グラフィック体208とを収容するフィルムを示す。本実施形
態では、フィルムは、単純な円弧状に形成されている。
【0081】
側面
図202cは、3次元フィルム212の一例、すなわち、形成プロセスの前に実質
的に平坦であったフィルムであって、その上に取り付けられた電子素子204aおよび2
04bと、導体206と、グラフィック体208とを収容するフィルムを示す。本実施形
態では、フィルムは、うねり形状に形成されている。
【0082】
側面
図202dは、3次元フィルム212の一例、すなわち、形成プロセスの後の実質
的に平坦なフィルムであって、その上に取り付けられた電子素子204aおよび204b
と、導体206と、グラフィック体208とを収容するフィルムを示す。本実施形態では
、フィルムは、非対称なアーチ形に成形されている。
【0083】
3次元的に形成されたフィルム212の形状および大きさは、いずれの特定の形状に限
定されるものではなく、したがって、広範囲の適用に適合するように製造されうる。
【0084】
図3は、形成プロセスによって達成される3次元形状の例示的な実施形態の不等角投影
図である。前記実施形態は、取り付けられた電子素子304a、304b、304cおよ
び304dと、導体と、その上のグラフィック体(明示的に示されていない)を収容する
フィルム306を備える。本実施形態では、フィルムは、非対称な波形状に成形されてい
る。
【0085】
3次元的に形成されたフィルム306の形状および大きさは、いずれの特定の形態に限
定されるものではなく、したがって、広範囲の適用に適合するように製造されうる。
【0086】
図4は、形成された構造の3次元の本質を説明するために使用される測定の例示的な実
施形態を示す。3次元形状は、本明細書に記載される偏差として/偏差を介して、本明細
書において説明されうる。実質的に平坦なフィルムは、2つの平行な平面の(平坦な)表
面402aおよび404aの間で適合するものであると、みなされうる。この適合は、見
かけ上平坦な表面におけるほんの少しの変形でさえも考慮する。3次元形成プロセスの後
に、それまで平坦なフィルムが形成されていた形状もまた、2つの平行な表面402bお
よび404bの間に適合するものであると、みなされうる。2つの表面の間に、かつ、ど
ちらかの表面の他方の表面に対する法線と平行に最大限に伸びる線の長さによって測定さ
れる距離d1およびd2は、表面が両方とも実質的な平坦かつ3次元として、フィルムと
重なることなく互いから位置付けられうる最小距離をもたらす。両方の場合における2つ
の平行な表面間の前記最小距離は、偏差の比率を計数するように比較されうる。したがっ
て、本明細書で言及される偏差は、3次元形成の前の実質的に平坦なフィルムと重ならな
い2つの平行な表面402aおよび404aの間の最短距離d1に対する、3次元的に形
成されたフィルムと重ならない2つの平行な表面402bおよび404bの間の最短距離
d2の比率である。好ましくは、偏差の比率d2/d1は、本明細書で先に提示された数
値に少なくとも対応する。
【0087】
図5は、本発明の前記製造方法を実施するための装置(配列体、配置体)500のため
の1つの実現可能な実施形態のブロック図を示す。
【0088】
ブロック502は、表面上に導体および/またはグラフィック体を作るための実体を表
す。このような実体は、ロールツーロール機械またはリールツーリール機械でありうる、
インクジェット印刷機およびスクリーン印刷機のうち少なくとも1つの機械を備えること
ができる。
【0089】
ブロック504は、表面上に電子部品を取り付けるための実体を表す。このような実体
は、ピックアンドプレース機械を含むことができる。ピックアンドプレース機械は、周知
であり、ピックアンドプレース機械は、様々な異なる部品の迅速かつ正確な取り付けを可
能にし、プログラミングを通じて非常に柔軟であるため、本明細書において特に適してい
る。
【0090】
ブロック506は、実質的に平坦なフィルムを実質的な3次元形状に形成するための実
体を表す。このような実体は、必要に応じて、連続的なロール送り(roll-fed)または自動
的なインプレカットピース送り(in-precut-pieces-fed)のどちらかの、コンピュータ数値
制御(CNC)機械、熱成形機、真空成形機、圧力成形機またはブロー成形機またはこれ
らの組み合わせを備えることができる。
【0091】
ブロック508は、射出成形のための実体を表す。このような実体は、油圧の、機械の
、電気のまたはハイブリッドの射出成形機またはこれらの組み合わせを含むことができる
。
【0092】
本発明の範囲は、その同等物と共に添付の特許請求の範囲によって決定される。当業者
は、開示された実施形態が、例示の目的のみのために構築されたものであって、本明細書
において概説された革新的な支えが、本発明のそれぞれの特定の使用の場合により良く合
うさらなる実施形態、実施形態の組み合わせ、変形および同等物に広がるであろうことを
、再び理解するであろう。