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特許7221867魚油ならびにヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む化粧品組成物の安定化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】魚油ならびにヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む化粧品組成物の安定化
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20230207BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230207BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230207BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/46
A61K8/365
A61K8/9789
A61K8/31
A61Q19/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019533506
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2017082399
(87)【国際公開番号】W WO2018114477
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】16206341.6
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】トマシェフスカイア,マリナ
(72)【発明者】
【氏名】ペーラトビク,ハシバ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-192328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に適用するための組成物であって、
(a)その場で酸化生成物を生成することができる魚油のエチルエステルを含む成分であって、前記魚油のエチルエステルがエイコサペンタエン酸のエチルエステル、ドコサヘキサエン酸のエチルエステルまたはそれらの混合物である、成分と、
(b)ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを含むラジカルスカベンジャー、ジドシル3,3’-チオジプロピオネートを含む過酸化物分解剤ならびにグリセロールモノヒドロキシステアレートであるヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体と、
(c)油担体としてのカプリル/カプリン酸トリグリセリド、高オレイン酸ヒマワリ種子油、オクチルヒドロキシステアレート、鉱油、またはそれらの混合物と、
(d)水と、
を含み、
前記組成物が0.1~1.5重量%の前記魚油のエチルエステルを含むエマルションであり、前記ラジカルスカベンジャーの量は、前記組成物の総重量を基準として、0.01~1.0重量%であり、前記過酸化物分解剤の量は、前記組成物の総重量を基準として、0.01~1.0重量%であり、前記ヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体の量は、前記組成物の総重量を基準として、0.01~8重量%である、組成物。
【請求項2】
前記組成物がローションまたはクリームであり、前記エイコサペンタエン酸のエチルエステルおよびドコサヘキサエン酸のエチルエステルが1:2~2:1の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ラジカルスカベンジャーが、ローズマリー抽出物、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートまたはそれらの混合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記過酸化物分解剤がジドシル3,3’-チオジプロピオネートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ヒドロキシステアリルグルコシド、エチレングリコールモノヒドロキシステアレート、グリセリルモノリシノレエート、グリセリルジヒドロキシステアレート、グリセリルジリシノレエート、またはそれらの混合物であるヒドロキシル化脂肪酸誘導体を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、サリチル酸、ジブチルヒドロキシトルエンまたはその両方を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記油担体が、ヒマワリ種子油を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
皮膚を保湿し、しわを低減し、皮膚の色合いを均一にするのに貢献し、全体的に皮膚の弾性力を改善するための方法であって、皮膚を請求項1に記載の組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物を製造するための方法であって、
(1)ラジカルスカベンジャーならびにグリセロールモノヒドロキシステアレートであるヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む初期の水中油型エマルションを調製する工程と、
(2)魚油のエチルエステルを含む成分、ラジカルスカベンジャー、過酸化物分解剤および油担体を含むプレミックスを調製する工程と、
(3)プレミックスを前記エマルションに添加して最終エマルションを生成する工程と、
を含み、
前記最終エマルション中の30~70重量%のラジカルスカベンジャーが前記初期のエマルションから提供される、方法。
【請求項10】
前記初期のエマルション中にサリチル酸が存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
局所用組成物において魚油のエチルエステルを安定化するための、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを含むラジカルスカベンジャー、ジドシル3,3’-チオジプロピオネートを含む過酸化物分解剤ならびにグリセロールモノヒドロキシステアレートであるヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体の使用であって、
前記組成物が0.1~1.5重量%の前記魚油のエチルエステルを含み、
前記ラジカルスカベンジャー、前記過酸化物分解剤ならびに前記ヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体は、前記ラジカルスカベンジャーの量が前記組成物の総重量を基準として0.01~1.0重量%、前記過酸化物分解剤の量が前記組成物の総重量を基準として0.01~1.0重量%、前記ヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体の量が前記組成物の総重量を基準として0.01~8重量%となるように使用される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚ケア組成物、魚油のエチルエステルを含む組成物を安定化し、皮膚ケア組成物中の悪臭を低減するための方法に関する。より詳細には、本発明は、ローションおよびクリームのような組成物において不快で嫌な臭気を発することが証明されている化合物の形成を防止するのに好適な、ラジカルスカベンジャー、過酸化物分解剤およびヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む皮膚ケア組成物に関する。そのようなスカベンジャー、分解剤およびヒドロキシル化脂肪酸は、皮膚ケア組成物中の魚油のエチルエステルを予想外に安定化させ、それによって消費者に受け入れられない臭気を発生させる成分の形成を最小限に抑える。その上、そのようなスカベンジャー、分解剤およびヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体は、驚くべきことに、スカベンジャー、分解剤およびヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む皮膚ケア組成物の使用に起因する所望の官能特性に悪影響を及ぼさず、スカベンジャー、分解剤およびヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体は、開口包装および非エアレス包装での組成物包装を可能にし、消費者による使用に非常に望ましい組成物の色を保つ。
【背景技術】
【0002】
多種多様な皮膚ケア組成物は、空気、細菌、皮膚またはそれらの組合せと長期間接触した後に悪臭を発生させる傾向がある。実際、多くの皮膚ケア組成物は、例えば、酸化し、それによって悪臭をもたらす揮発性成分を生成する活性物質を含む。魚油エステル含有組成物は典型的には強い臭気を有するので、その臭気は、魚油エステル含有組成物を含む組成物から利益を得るという消費者の要望をしばしば上回る。
【0003】
皮膚ケア組成物中の悪臭を低減する試みがなされてきた。例えば、香料は、魚臭を隠すために皮膚ケア組成物に使用されてきた。しかしながら、香料単独の使用は、多くの消費者が様々な皮膚過敏性およびアレルギのために香料を含まない皮膚ケア組成物を使用することを望むため、常に望ましいとは限らない。また、製品中の香料は製品自体よりも短い寿命を有する傾向がある。そのため、悪臭を隠すことは製品寿命全体の間で達成されない場合がある。皮膚ケア組成物中の悪臭を低減する他の試みには、酸化され易いために最終用途の製剤中で不安定であることが証明されている成分の低減した量を使用することが含まれる。このアプローチは、より少ない成分、しばしば活性物質が消費者に送達されるので有利ではない。
【0004】
優れた感覚特性を有し、安定で悪臭のない皮膚ケア組成物、特に、皮膚ケア組成物が適用されたときに顕著な利益をもたらすために存在することを消費者が期待している活性物質の分解に起因する悪臭のない皮膚ケア組成物の開発に対する関心が高まっている。そのため、本発明は、ラジカルスカベンジャー、過酸化物分解剤ならびにヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む皮膚ケア組成物に関する。本発明に従って製造された皮膚ケア組成物は、驚くべきことに、例えば、その場で(インサイチューでin situ)酸化し、品質に悪影響を及ぼす副生成物を生成することがある魚油のエチルエステルから生じる悪臭および変色がない。
【0005】
追加情報
化粧品組成物を製造するための努力が開示されている。国際公開第93/18130号では、ゼオライトを有する悪臭パーソナルクレンジングバーが記載されている。
【0006】
化粧品組成物を製造するための他の努力が開示されている。米国特許出願公開第2006/0135385A1号では、ピラン臭気マスキング剤を有するトイレットバー組成物が記載されている。
【0007】
低減した臭気を有する消費者製品組成物を製造するための更に他の努力が開示されている。欧州特許出願第0063899A2号では、布地コンディショニング組成物が広範な悪臭原料に対して優れた消臭効果示している。
【0008】
化粧品組成物を製造するための更なる他の努力が開示されている。特開2004290573A号では、弾力性および柔軟性を有する消臭剤が記載されており、その消臭剤は膨潤剤として粘土を使用している。米国特許第5,650,157号では、油組成物の臭気の低減が記載されている。米国特許第5,472,705号は、オメガ3多価不飽和酸のエステルを有する医薬組成物を記載している。
【0009】
上記の追加情報のいずれも、消費者に利益をもたらすことが期待される魚油のエチルエステルを含む成分のその場での分解を防止することによって悪臭形成を低減するラジカルスカベンジャー、過酸化物分解剤ならびにヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を有する皮膚ケア組成物を記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第93/18130号
【文献】米国特許出願公開第2006/0135385A1号
【文献】欧州特許出願第0063899A2号
【文献】特開2004290573A号
【文献】米国特許第5,650,157号
【文献】米国特許第5,472,705号
【発明の概要】
【0011】
第1の態様では、本発明は、
(a)その場で酸化生成物を生成することができる魚油のエチルエステルを含む成分と、
(b)ラジカルスカベンジャー、過酸化物分解剤ならびにヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体と、
(c)油担体と、
(d)水と、
を含む組成物であって、その組成物がエマルションであり、その場で酸化生成物を生成することができる魚油のエチルエステルを含む成分の少なくとも90重量%は、その組成物が45℃の温度で維持された場合に少なくとも4週間化学的に安定なままであり、臭いおよび変色がなく、そのエマルションが0.1~1.5重量%の魚油のエチルエステルを含む、組成物に関する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、
(a)その場で酸化生成物を生成することができる魚油のエチルエステルを含む成分であって、魚油のエチルエステルがエイコサペンタエン酸のエチルエステル、ドコサヘキサエン酸のエチルエステルまたはそれらの混合物である、成分と、
(b)ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを含むラジカルスカベンジャー、ジドシル3,3’-チオジプロピオネートを含む過酸化物分解剤ならびにグリセロールモノヒドロキシステアレートを含むヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体と、
(c)油担体としてのカプリル/カプリン酸トリグリセリド、高オレイン酸ヒマワリ種子油、オクチルヒドロキシステアレート、鉱油、またはそれらの混合物と、
(d)水と、
を含む、皮膚への適用のための組成物であって、その組成物が0.1~1.5重量%の魚油のエチルエステルを含むエマルションである、組成物に関する。
【0013】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1および第2の態様の組成物中のアルデヒドおよび/またはケトン形成を抑制することによって組成物中の悪臭を防止するための方法に関する。
【0014】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1および第2の態様の組成物を製造するための方法に関する。
【0015】
第5の態様では、本発明は、皮膚を、本発明の第1および第2の態様の組成物のいずれかと接触させることによって皮膚特性を改善する美容方法に関する。
【0016】
本発明の更なる態様は、以下の説明および実施例からより容易に明らかになる。
【0017】
皮膚は、本明細書で使用される場合、顔、首、胸、背中、腕(脇の下を含む)、手、足、尻および頭皮の皮膚を含むことを意味する。活性物質は、本明細書で使用される場合、皮膚特性のような局所適用後の身体特性を改善するおよび/またはそれと同じ効果をもたらす成分を含むことを意味し、活性物質は、クリーム、ポンプまたはエアゾールスプレ、セラム、ローション、バーム、消臭剤またはゲル中の活性物質であることができ、かつ好ましい。特に好ましい実施形態では、本発明の組成物はリーブオン組成物であり、活性物質は魚油のオメガ-3エチルエステルである。
【0018】
その場で酸化生成物を生成することができる活性物質または成分は、1-ペンテ-3-オン、(Z)-4-ヘプタナール、1-オクテン-3-オン、2-4-ヘプタジエナールなどを含み得る、酸化して低分子量(<C10)アルデヒドおよび/またはケトンなどの揮発性化合物を生成する魚油のエチルエステルを意味する。化学的に安定なままであるとは、成分を有する組成物を非エアレスパック中で少なくとも4週間、好ましくは、最大で8週間、最も好ましくは最大で12週間45℃で保存した後に、(提供された成分の元の総量の総重量を基準とし、ASTM標準を使用してHPLCによって決定される)成分の少なくとも90%重量が、そのようなそれぞれの時間、組成物中で無傷で未酸化のままであり、活性物質がエマルション中に0.1~1.5重量%で存在することを意味する。最も好ましい実施形態では、組成物は、(熟練したパネリストによって決定されるように)非エアレスパック中で45℃で保存した後に最大で12週間および室温で3ヵ月間、検出可能な魚の臭いがないままである。化学的に安定なままであるとは、本明細書で使用される場合、製品が消費者によって使用されるときに不快な臭気が検出されず、Hunter Lab測色計で得られたデルタL*、a*、およびb*色差に基づいてデルタE(総色差)が0.1~3であるような条件下で目視検査で色の変化が検出されないという点で悪臭および色の変化がないことと同義である。そのような悪臭は、トリメチルアミンが存在するときに検出されるものなどの「魚」臭として特徴付けることができる。ラジカルスカベンジャーは、フリーラジカル酸化生成物を中和するのに好適な薬剤を意味する。過酸化物分解剤は、本明細書で定義されるように、脂肪酸酸化に起因する脂質過酸化物を分解する薬剤を意味する。ヒドロキシル化脂肪酸は、少なくとも1つのヒドロキシ基官能性をその脂肪族骨格に有する脂肪酸を意味する。そのようなヒドロキシル化脂肪酸の誘導体は、アルコール、および/またはC~C脂肪族基を有するそのエステルを含むことを意味する。油担体は、その場で酸化生成物を生成することができる成分以外の油を意味する。
【0019】
含むこと(Comprising)は、本明細書で使用される場合、本質的にからなるおよびからなることを含むことを意味する。そのため、組成物が、その場で酸化生成物を生成することができる成分と、油と、ラジカルスカベンジャーと、ヒドロキシル化脂肪酸とから本質的になるかまたはからなることは本発明の範囲内である。エマルションは、本明細書で使用される場合、水中油型エマルションを意味する。
【0020】
実施例または別段明示的に示されている場合を除き、材料の量または比を示すものを含む本明細書で使用される全ての数字は、用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。誤解を避けるために、組成物中の成分または原料の重量パーセントは、所望の最終組成物の重量パーセントを基準とすることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
その場で酸化生成物を生成することができ、かつ本発明で使用され得る成分の種類の例示的かつ非限定的な例には、魚油のエチルエステルを含む多価不飽和脂肪酸が含まれる。所望の脂肪酸は、エイコサペンタエン酸のエチルエステル、ドコサヘキサエン酸のエチルエステルまたはそれらの混合物を含むオメガ-3魚油である。最も望ましい実施態様では、オメガ3魚油は、エイコサペンタエン酸のエチルエステル、ドコヘキサエン酸のエチルエステルまたは混合物である。別の最も望ましい実施態様では、混合物が使用され、エイコサペンタエン酸のエステルのドコヘキサエン酸のエチルエステルに対する重量比は1:2~2:1であり、好ましくは混合物は、ドコヘキサエン酸のエチルエステルよりも5~40重量%、最も好ましくは、10~30重量%多いエイコサペンタエン酸のエチルエステルを含有する。本発明での使用に好適な魚油は、BASF、OriginatesおよびSigma-Aldrichのような供給者から市販されている。
【0022】
典型的には、本発明の油系組成物に使用され得るその場で酸化生成物を生成することができる成分の量は、組成物(エマルション)の総重量を基準として、0.1~1.5%、好ましくは、0.1~1.2%、最も好ましくは0.1~0.75%である。
【0023】
本発明で使用され得るラジカルスカベンジャーに関して、それは、本明細書で定義されるような局所用組成物を安定化させるための使用に好適である範囲にのみ制限され、過酸化物分解剤の存在下で使用することができる。実例には、ジブチルヒドロキシトルエン、ローズマリー抽出物、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル3-(,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートまたはそれらの混合物が含まれる。
【0024】
典型的には、本発明の組成物における使用に好適なラジカルスカベンジャーの量は、組成物の総重量を基準として、0.01~1.0%、好ましくは、0.05~0.7%、最も好ましくは、0.05~0.6%であり、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。しばしば望ましい実施形態では、組成物の総重量を基準として、0.05~0.2重量%のラジカルスカベンジャーが使用され、その範囲に包含される全ての範囲を含む。
【0025】
本発明で使用され得る過酸化物分解剤は、ラジカルスカベンジャーを有する本明細書で定義されるような局所用組成物を安定化させるための使用に好適である範囲にのみ制限される。実例には、ドデシル3,3’-チオジプロピオネートが含まれる。典型的には、過酸化物分解剤は、組成物の重量の0.01~1.0%、好ましくは0.15~0.7%、最も好ましくは0.02~0.5%を構成する。組成物の総重量を基準として、0.03~0.07重量%の過酸化物分解剤が使用される場合が特に好ましい。
【0026】
望ましい実施形態では、本発明で用いられるラジカルスカベンジャーは、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル3-(,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートまたはそれらの混合物であり、過酸化物分解剤はジドデシル3,3’-チオジプロピオネートである。そのような望ましい実施形態では、ラジカルスカベンジャーの過酸化物分解剤に対する重量比は、2:8~8:2、好ましくは、3:7~7:3、最も好ましくは、6:4~4:6である。これらのラジカルスカベンジャーは、BASFによってTinogard(登録商標)TTおよびTinogard(登録商標)TSの名称でそれぞれ市販されている。過酸化物分解剤もまたBASFによってTinogard(登録商標)DAの名称で市販されている。最も好ましいラジカルスカベンジャーおよび過酸化物分解剤混合物には、ローズマリー抽出物およびTinogard(登録商標)DA;Tinogard(登録商標)DAを有するTinogard(登録商標)TTおよび/またはTinogard(登録商標)TS、ならびにジブチルヒドロキシトルエンおよびTinogard(登録商標)DAが含まれる。
【0027】
使用するために選択されるヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体に関して、それは、本発明での使用のために記載されたラジカルスカベンジャーおよび過酸化物分解剤との使用に好適である範囲にのみ制限される。ヒドロキシル化脂肪酸のアルコールおよびグリセロールエステルが使用するのにしばしば好ましい。実例には、ヒドロキシステアリルアルコール、グリセロールモノヒドロキシステアレート、ヒドロキシステアリルグルコシド、エチレングリコールモノヒドロキシステアレート、グリセリルモノリシノレエート、グリセリルジヒドロキシステアレート、グリセリルジリシノレエート、それらの混合物などが含まれる。単独でのまたは他のヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体との混合物での12-ヒドロキシステアリン酸および/またはその誘導体も好ましい。しばしば好ましい実施形態では、グリセロールモノステアレートおよびグリセリルモノヒドロキシステアレートならびにそれらの混合物が使用するのに好ましく、両方が使用される場合の重量比は、しばしば3:7~7:3、好ましくは、4:6~6:4、最も好ましくは、45:55~55:45であり、これらの範囲に包含される全ての比を含む。そのようなヒドロキシル化脂肪酸はNatureChemおよびSeppicのような供給者から市販されている。
【0028】
本発明の組成物で使用されるヒドロキシル化脂肪酸の総量は、組成物の総重量を基準として、0.01~8重量%、好ましくは、0.01~6重量%、最も好ましくは、0.1~4重量%であり、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。
【0029】
本発明での使用に好適な化粧品的に許容可能な担体には水が含まれる。最終使用組成物がエマルションである場合、水が最も好ましい追加の担体である。水の量は、組成物の総重量を基準として、5%未満~約97%、好ましくは、約5~約90%、最も好ましくは、約35~約80%、最適には、約40~約75重量%の範囲であり得、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。水中油型エマルションが特に好ましい。
【0030】
本発明での使用に好適な他の化粧品的に許容可能な担体(油担体)には、鉱油、ジオクチルエステル、オクチルヒドロキシステアレート、高オレイン酸トリグリセリド(40%を超える、好ましくは、60~80%の一不飽和オレイン酸、例えばヒマワリ種子油)、シリコーン油、合成または天然エステル、およびアルコールが含まれ得る。これらの材料の量は、組成物の0.01~50重量%、好ましくは、0.01~20重量%、最も好ましくは、0.01~7重量%の範囲であり得、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。
【0031】
シリコーン油は、揮発性および不揮発性の種類に分けられ得る。「揮発性」という用語は、本明細書で使用される場合、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する揮発性の材料を指す。揮発性シリコーン油は、好ましくは、3~9個、好ましくは、4~5個のケイ素原子を含有する環状または線状ポリジメチルシロキサンから選択される。
【0032】
線状揮発性シリコーン材料は一般に25℃で5センチストーク未満の粘度を有する一方で、環状材料は典型的には10センチストーク未満の粘度を有する。
【0033】
担体材料として有用な不揮発性シリコーン油には、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが含まれる。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンには、例えば、25℃で5~100,000センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサン(ジメチコンなど)が含まれる。
【0034】
しばしば好ましいシリコーン源はシクロペンタシロキサンである。
【0035】
好適なエステルは、
(1)オクチルヒドロキシステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソノニルイソナノノエート、オレイルミリステート、オレイルステアレート、およびオレイルオレエートのような10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル;
(2)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル;
(3)エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロール-ポリ脂肪-エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリエチレン-ソルビタン脂肪酸エステルなどのポリヒドロキシアルコールエステル;
(4)蜜ろう、鯨ろう、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレートなどのワックスエステル;および
(5)ステロールエステル(大豆ステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルがその例である)である。
【0036】
特に好ましい実施形態では、使用される油は、高オレイン酸トリグリセリド、特に藻類由来の市販の高オレイン酸トリグリセリドである。
【0037】
本発明のエマルション組成物には乳化剤が存在し得る。乳化剤の総濃度は、組成物の0.1~40重量%、好ましくは、1~20重量%、最も好ましくは、1~5重量%の範囲であり得、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。乳化剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性活性物質からなる群から選択され得る。特に好ましい非イオン性活性物質は、約2~約100モルのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドで縮合されたC10~C20脂肪アルコールまたは酸;2~20モルのアルキレンオキサイドで縮合されたC~C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノおよびジC~C20脂肪酸およびアミド;およびポリオキシエチレンソルビタンならびにそれらの組合せを有する非イオン性活性物質である。アルキルポリグリコシドおよびサッカリド脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も好適な非イオン性乳化剤である。
【0038】
好ましい乳化剤には、グリセリルステアレート、グリコールステアレート、ステアラミドAMP、PEG-100ステアレート、セチルアルコールならびにヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/スクアランのような乳化/増粘添加剤およびそれらの混合物が含まれる。
【0039】
防腐剤は、潜在的に有害な微生物の増殖に対して保護するために本発明の組成物に望ましくは組み込むことができる。本発明の組成物に好適な従来の防腐剤は、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。より最近使用されるようになった他の防腐剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および様々な4級アンモニウム化合物が含まれる。化粧品の化学者は適切な防腐剤に精通しており、防腐剤負荷試験を満たし、かつ製品安定性を提供するために防腐剤を日常的に選択する。特に好ましい防腐剤は、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール1,2-アルカンジオール(1-2-オクタンジオールなど)、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ナトリウムデヒドロアセテートおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用およびエマルション中の保存料と他の原料との間のあり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。防腐剤は好ましくは、組成物の約0.01重量%~約2重量%の範囲の量で用いられ、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。所望の実施形態では、フェノキシエタノールと1,2-オクタンジオールとの防腐剤混合物が、典型的には6:4~4:6の重量比で使用される。
【0040】
増粘剤は、本発明の組成物に任意に含まれていてもよい。多糖類が特に有用である。例には、デンプン、天然/合成ゴムおよびセルロースが含まれる。デンプンの代表例は、ナトリウムヒドロキシプロピルデンプンホスフェートおよびアルミニウムデンプンオクテニルスクシネートなどの化学的に修飾されたデンプンである。タピオカデンプンがしばしば好ましい。好適なガムには、キサンタン、菌核、ペクチン、カラヤ、アラビア、寒天、グアー、カラギーナン、アルギネートおよびそれらの組合せが含まれる。好適なセルロース系物質には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースが含まれる。合成ポリマーは更に別の種類の有効な増粘剤である。このカテゴリーには、カルボマー(アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー)などの架橋ポリアクリレート、Sepigel(登録商標)305などのポリアクリルアミドおよびSimulgel EG(登録商標)およびAristoflex(登録商標)AVCなどのタウレート共重合体(その共重合体は、それぞれのINCI命名法によってナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートおよびアクリロイルジメチルタウレート/ビニルピロリドン共重合体として特定される)が含まれる。増粘に好適な別の好ましい合成ポリマーは、Seppicによって市販され、Simulgel INS100の名称で販売されているアクリレート系ポリマーである。
【0041】
増粘剤の量は、使用される場合、組成物の0.001~5重量%、好ましくは、0.1~2重量%、最も好ましくは、0.2~0.5重量%の範囲であり得、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。
【0042】
香料(天然および/または合成を含む)は、本発明の組成物に任意に含まれていてもよい。これらの物質の各々は、組成物の総重量を基準として0.01~5重量%、好ましくは、0.1~3重量%、最も好ましくは、0.15~1重量%の範囲であり得る。特に好ましい実施形態では、香料は長く持続する永続的な香料である。
【0043】
本発明では従来の保湿剤が用いられ得る。従来の保湿剤は一般に多価アルコール型材料である。典型的な多価アルコールには、グリセロール(すなわち、グリセリン(glycerine)またはグリセリン(glycerin))、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの混合物が含まれる。グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物が最も好ましい。用いられる保湿剤の量は、組成物の0.5~20重量%、好ましくは1~15重量%の範囲のどこかであり得る。
【0044】
モノエン脂肪酸(すなわち、一不飽和脂肪酸)は、その場で酸化生成物を生成することができる成分と共に任意選択的に用いられ得る。実例には、cis-4-デセン酸、cis-9-デセン酸、cis-5-ラウロレイン酸、cis-4-ドデセン酸、cis-9-テトラデセン酸、cis-5-テラデセン酸、cis-4-テトラデセン酸、cis-9-ヘキサデセン酸、cis-6-オクタデセン酸、cis-9-オクタデセン酸、tr-9-オクタデセン酸、cis-11-オクタデセン酸、cis-9-エイコセン酸、cis-11-エイコセン酸、cis-11-ドコセン酸、cis-13-ドコセン酸、cis-15-テトラコセン酸、それらの誘導体またはそれらの混合物が含まれる。
【0045】
本発明での使用に好適な好ましい任意のモノエン脂肪酸(またはその塩もしくはエステル)は、cis-6-オクタデセン酸(すなわち、ペトロセリン酸)cis-および/またはトリ-9-オクタデセン酸(オレイン)であり、これによりモノエン脂肪酸は、単独で、他のモノエン脂肪酸と組み合わせて、および/またはCLAと組み合わせて、および/またはヒマワリ種子油を含む本明細書で定義された他の活性成分と組み合わせて使用され得る。別の好ましい実施形態では、cis-および/またはトリ-9-オクタデセン酸のエステル、特に、そのトリグリセリドが使用される。
【0046】
使用される場合、本発明で使用されるモノエン酸の量は、本発明の油ベースの組成物およびエマルションの総重量を基準として、使用される多不飽和脂肪酸(またはそのエステルもしくは塩)の量よりも典型的には70%少なく、好ましくは、60%少なく、最も好ましくは50%少ない。
【0047】
本発明の組成物は皮膚に有益なビタミンを含み得る。例示的なビタミンは、ビタミンB、ビタミンB(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンDおよびKを含んでいた。ビタミンの誘導体も用いられ得る。本発明による組成物に存在する場合のビタミンの総量は、組成物の0.001~5重量%、好ましくは0.01重量%~1重量%、最適には0.1~0.5重量%、最も好ましくは組成物の0.01~3重量%の範囲であり得る。
【0048】
本発明での使用に好適な他の任意の添加剤には、クレアチンおよびその誘導体、タウレート、それらの混合物などが含まれる。そのような添加剤は、使用される場合、組成物の約0.001~約5重量%を集合的に構成する。
【0049】
落屑促進剤が存在してもよい。実例は、アルファ-ヒドロキシカルボン酸、ベータ-ヒドロキシカルボン酸である。用語「酸」は、遊離酸だけでなく、その塩およびC~C30アルキルまたはアリールエステルならびに環状または線状ラクトン構造を形成するための水の除去から生成されたラクトンも含むことを意味する。代表的な酸はグリコール酸およびその誘導体、乳酸およびリンゴ酸である。サリチル酸はベータ-ヒドロキシカルボン酸の代表例である。これらの材料の量は、存在する場合、組成物の0.01~5重量%の範囲であり得る。サリチル酸は、本発明の組成物の0.03~1重量%、好ましくは、0.05~0.6重量%を使用するためにしばしば好ましい。
【0050】
本発明の組成物には、様々な薬草抽出物が任意に含まれていてもよい。抽出物は、それぞれ親水性または疎水性である溶媒中に担持された水溶性または非水溶性のいずれかであり得る。水およびエタノールが好ましい抽出溶媒である。例示的な抽出物には、ノコギリソウ、カモミール、カンゾウ、アロエベラ、ブドウ種子、ウンンシュウミカン、柳の樹皮、セージおよびタイムに由来する抽出物が含まれる。
【0051】
また、使用するのに任意選択的に好適なものには、キレート剤(例えば:EDTA)、乳白剤(TiOなど、50~1200nm、好ましくは、50~350nmの粒子サイズ)、C8~22脂肪酸置換サッカリド、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(Clariant Corp.からSilcare 1M-75の商標で入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびそれらの組合せのような材料が含まれる。これらの材料の量は、使用される場合、組成物の0.001~10重量%、好ましくは0.001~1重量%の範囲であり得る。
【0052】
日焼け止め活性物質も本発明の組成物に含まれ得る。オクトクリレン、Parsol MCX(登録商標)として入手可能なエチルヘキシルp-メトキシシンナメート、Parsol 1789(登録商標)として入手可能なアボベンゼン、オキシベンゾンとしても知られているベンゾフェノン-3、サリチル酸オクチル、およびホモサレートなどの材料が特に好ましい。極細二酸化チタン、酸化亜鉛、ポリエチレンおよび様々な他のポリマーなどの無機日焼け止め活性物質が用いられ得る。日焼け止め剤の量は、存在する場合、一般に0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、最適には0.75~10重量%の範囲であり得る。
【0053】
従来の緩衝剤/pH調整剤が使用され得る。従来の緩衝剤/pH調整剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、クエン酸およびクエン酸塩/クエン酸緩衝剤のような一般的に使用される添加剤が含まれる。特に好ましい実施形態では、本発明の組成物のpHは、4~8、好ましくは、4.25~7.75、最も好ましくは、6~7.5であり、これらの範囲に包含される全ての範囲を含む。
【0054】
本発明の組成物は、局所的に適用される場合、様々な皮膚の特性を改善するのに好適である。これは特に、その場で酸化生成物を生成することができる成分が典型的には皮膚に有益な活性物質であるため当てはまる。これらの活性物質は、保湿し、しわを低減し、皮膚の色合いを均一にするのに貢献し、全体的に皮膚の弾力性を改善する。
【0055】
本発明の組成物を製造する場合、ヒドロキシル化脂肪酸および/またはその誘導体を含む原料を添加し、中程度の剪断下で撹拌してエマルションを生成することができる。典型的には熱(75~85℃)は、エマルション製剤を改善するために使用される。特に好ましい実施形態では、魚油のエチルエステルを含む成分、担体油およびラジカルスカベンジャーは、既に形成された初期のエマルションにプレミックスとして添加され、そのとき、初期のエマルションは20~30℃に冷却されて最終エマルションを生成する。最終エマルション中のラジカルスカベンジャーの典型的には10~90重量%、好ましくは25~75重量%、最も好ましくは、30~70重量%が初期のエマルションに提供される。
【0056】
本発明の組成物を保存および送達するために多種多様な包装を用いることができる。包装はしばしばパーソナルケア最終用途の種類に依存する。例えば、リーブオン皮膚ローションおよびクリームは、閉鎖材によってカバーされた分配端にキャップ/カバーまたは開口部を有するプラスチック容器内に包装することができる。好適な閉鎖材は、ねじ-キャップ、非エアロゾルポンプおよびフリップトップヒンジ蓋である。制汗剤および消臭剤のための包装は、分配端にロールオンボールを有する容器を含み得る。代替的には、これらの種類のパーソナルケア製品は、スティックが分配オリフィスに向かってプラットフォーム上を移動する推進反発機構を有する容器内のスティック組成物製剤で送達され得る。驚くべきことに、本発明の組成物はエアレス包装を必要としない。
【0057】
以下の実施例は本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は特許請求の範囲を限定することを意図しない。
【0058】
実施例1
その場で酸化生成物を生成することが可能な成分、ラジカルスカベンジャーおよび過酸化物分解剤を以下に記載されているように化粧品エマルションベースに添加した。エマルションは、大気圧で中程度の剪断の条件下で原料を混合することによって調製した。エマルションベースが完成するまで温度を約80℃に維持した。
【0059】
以下のベース組成物/エマルションを使用して特許請求された発明の利点を評価した。
【表1】


【表2】
【0060】
実施例2
プレミックス(魚油、ラジカルスカベンジャーおよび担体油(高オレイン酸>40%)ヒマワリ種子油は以下に示す量で調製した。担体油は、4重量%のヒマワリ種子油の最終エマルションが生じる量で使用した。各プレミックスを実施例1のエマルションに添加した。
【表3】
【0061】

上記の表のデータは、予想外に、魚油を含む組成物に関連する強い魚の臭いを、魚油を含む組成物が本発明に従って配合される場合に抑制することができることを実証している。
【0062】
実施例3
本発明と一致する原料を含むエマルションを製造した。
【表4】


【表5】
【0063】
全ての試験は実施例2に記載したようにして実施した。表のデータは、予想外に、魚油を含む組成物に関連する強い魚の臭いを、魚油を含む組成物が本発明に従って配合される場合に抑制することができることを実証している。