(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ホウ素で活性化されたメタロセン触媒
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20230207BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/16
(21)【出願番号】P 2019552960
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2018057922
(87)【国際公開番号】W WO2018178152
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-25
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ファイト,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】アジェラル,ノウレディン
(72)【発明者】
【氏名】レスコーニ,ルイジ マリア クリストフォロ
(72)【発明者】
【氏名】イズマール,ヴャチェスラフ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】コノノヴィッチ,ドミトリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】サムソノフ,オレーク
(72)【発明者】
【氏名】ボスコボイニコフ,アレクサンダー ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】サブロンフ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】サイアロン,ティモ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-504901(JP,A)
【文献】特表2009-508980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128563(US,A1)
【文献】YANO Akihiro et al.,JOURNAL OF MOLECULAR CATALYSIS A:CHEMICAL,Effect of ligand structures on high temperature homo- and copolymerization of ethylene by cationic hafnocene catalysts based on tetrakis(pentafluorophenyl)borate,2000年,vol.156,pages 133-141
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/00- 4/62
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記の式(I)の少なくとも1つのメタロセン錯体、
【化1】
ここで、
Mt1はHfであり、
Xはシグマドナーリガンドであり、
R
1、R
2、R
3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
10アルキル基で
あり、ここで、該アルキル基は、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、又はR
1とR
2若しくはR
2とR
3は、4~6のC原子及び1~3の二重結合を有する環を形成することができ、
R
4及びR
5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
10アルキル、C
5~C
10アリール、C
6~C
20アルキルアリール又はC
6~C
20アリールアルキル基であ
り、それは、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、
nは、1~5であ
り、
Arは、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分岐状の1~5のC
1~C
10アルキル基によって置換されていてもよい、C
6~C
20-アリール又は-ヘテロアリール基であり、
及び、
(ii)ホウ素含有助触媒
を含む触媒系
であって、
該触媒系において、メタロセン錯体は、上記式(I)のメタロセン錯体のみである、または、
該触媒系は上記式(I)のメタロセン錯体と任意的な下記式(I´)のメタロセン錯体との混合物を含み、該触媒系においてメタロセン錯体は上記式(I)のメタロセン錯体と下記式(I´)のメタロセン錯体のみである、前記触媒系
【化2】
ここで、Mt2はZrであり、R
1
~R
5
及びArは、式(I)の錯体について定義された通りであり、但し、上記混合物は、Mt1がHfである式(I)のメタロセン錯体を50モル%超含む。
【請求項2】
上記式(I)
及び式(I’)において、
Mt1はHfであり、
Xは独立して、水素原子、ハロゲン原子、R
6、OR
6、OSO
2CF
3、OCOR
6、SR
6、NR
6
2又はPR
6
2基であり、ここで、R
6は、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよい、直鎖状若しくは分岐状の、環状若しくは非環状のC
1~C
20-アルキル、C
2~C
20-アルケニル、C
2~C
20-アルキニル、C
6~C
20-アリール、C
7~C
20-アルキルアリール若しくはC
7~C
20-アリールアルキル基であり、又はSiR
6
3、SiHR
6
2若しくはSiH
2R
6であり、
R
1、R
2、R
3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
6アルキル基であ
り、ここで、該アルキル基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まず、又はR
1は水素原子であり且つR
2とR
3は5~6のC原子及び1~3の二重結合を有する環を形成し、
R
4及びR
5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
10アルキル又はC
6~C
10アリール基であ
り、ここで、該基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まず、
Arは、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分岐状の1つのC
1~C
6アルキル基によって置換されていてもよい、C
6~C
10-アリール又は-ヘテロアリール基であり、
及び、nは2~4である、
請求項
1記載の触媒系。
【請求項3】
上記式(I)
及び式(I’)において、
Mt1はHfであり、
Xは独立して、ハロゲン原子、又はR
6若しくはOR
6基であり、ここで、R
6は、C
1~6-アルキル、フェニル、又はベンジル基であり、
R
1、R
2、R
3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
4アルキル基であ
り、ここで、該アルキル基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まず、又はR
1は水素原子であり且つR
2とR
3は、6つのC原子及び3つの二重結合を有する環を形成し、
R
4及びR
5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
6アルキル又はフェニル基であ
り、ここで、該基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まず、
Arは非置換のC
6~C
10-アリール基であり、及びnは2~4である、
請求項
1又は2記載の触媒系。
【請求項4】
上記式(I)
及び式(I’)において、
Mt1はHfであり、
Xは独立して、C
1~C
4-アルキル又はベンジル基であり、
R
1、R
2、R
3は同じであり且つ全て水素原子であり、又はR
1は水素原子であり且つR
2とR
3は、6つのC原子及び3つの二重結合を有する環を形成し、
R
4及びR
5は同じであり、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC
2~C
6アルキルであり、
nは2~4であり、且つArはフェニルである、
請求項
3に記載の触媒系。
【請求項5】
上記式(I)のメタロセン錯体が、
(フェニル)(ブト-3-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(ブト-3-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(ブト-3-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(4-ペンテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(4-ペンテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(4-ペンテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(3-フェニルプロピル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(3-フェニルプロピル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(3-フェニルプロピル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド
からなる群から選択され
る、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項6】
上記触媒系が、均一系又は非担持型の触媒系であり、該触媒系は、固体として又は溶液としての、請求項1に記載された
上記の式(I)のメタロセン錯体
を、炭化水素希釈剤中の又は芳香族溶媒中に予め溶解されたホウ素含有助触媒と接触させることによって溶液中で調製され
る、又は該触媒系は、上記触媒成分を重合反応器内に直接に逐次添加することによって形成され
る、請求項1~
5のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項7】
上記触媒系が、均一系又は非担持型の触媒系であり、該触媒系は、固体として又は溶液としての、請求項1に記載された上記の式(I)のメタロセン錯体と上記の式(I´)のメタロセン錯体との混合物を、炭化水素希釈剤中の又は芳香族溶媒中に予め溶解されたホウ素含有助触媒と接触させることによって溶液中で調製される、又は該触媒系は、上記触媒成分を重合反応器内に直接に逐次添加することによって形成される、但し、上記混合物は、Mt1がHfである上記式(I)の錯体を50モル%超含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項8】
上記ホウ素含有助触媒が下記の式のアニオンを含み、
(Z)
4B
- (II)
ここで、Zは、任意的に置換されていてもよいフェニル誘導体であり、該置換基はハロ-C
1~6-アルキル又はハロ基である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項9】
上記ホウ素含有助触媒が、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
からなる群から選択されるボレートである、請求項1~8のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項10】
上記系は、エチレンコポリマーを製造する為の高温溶液プロセスにおいて少なくとも0.1の反応性比C
AO/C
2を示し、ここで、AOはC
4~10アルファ-オレフィンコモノマーである、請求項1~9のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項11】
エチレンとC
4~10アルファ-オレフィンコモノマーとの重合の為に、100℃超の温度での高温溶液プロセスで、請求項1~10のいずれか1項に記載の触媒系を使用する方法。
【請求項12】
エチレンコポリマーの調製の為の方法であって、触媒の存在下で、100℃超の温度での高温溶液プロセスで、エチレンとC
4~10アルファ-オレフィンコモノマーとを重合することを含み、該触媒は、
(i)請求項1
~10のいずれか1項に記載の
上記の式(I)のメタロセン錯体
、及び
(ii)ホウ素含有助触媒
を含む、上記方法。
【請求項13】
エチレンコポリマーの調製の為の方法であって、非担持型の触媒の存在下で、100℃超の温度での高温溶液プロセスで、エチレンとC
4~10
アルファ-オレフィンコモノマーとを重合することを含み、該触媒は、
(i)請求項1~10のいずれか1項に記載の、上記の式(I)のメタロセン錯体と上記の式(I´)のメタロセン錯体との混合物、及び
(ii)ホウ素含有助触媒
を含む、上記方法。
【請求項14】
上記重合は、
a)少なくとも110℃の重合温度で、
b)50~300バールの範囲の圧力で、及び
c)非置換であるか又はC
1~
4アルキル基によって置換されていてもよいC
5~
12-炭化水素の群から選択され且つ上記で定義された重合条件下で液体であるところの炭化水素溶媒中で
行われる、請求項12
又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に高温溶液重合プロセスでポリエチレンコポリマーを製造することができる、新規な触媒系に関する。該新規な触媒系は、ホウ素系助触媒とともに、シクロペンタジエニル(Cp)リガンド、フルオレニル(Flu)リガンド及び2つの該リガンドを連結する共有結合架橋を含む、特異的に置換された架橋ハフノセン触媒錯体を含む。この組み合わせは、コモノマー取り込み能力と分子量能力との改善されたバランスを有する触媒系を著しくもたらす。
【背景技術】
【0002】
メタロセン触媒は、長年にわたり、ポリオレフィンを製造する為に使用されてきている。数え切れないほどの学術文献及び特許公報が、オレフィン重合におけるこれら触媒の使用を記載している。メタロセン触媒は現在工業的に使用されており、且つポリプロピレン並びにポリエチレンはしばしば、異なる置換パターンを有するシクロペンタジエニル系触媒系を使用して製造されている。
【0003】
これらメタロセン触媒の幾つかは、ポリエチレンのホモポリマー又はコポリマーを製造する為の溶液重合における使用について記載されている。
【0004】
例えば、国際公開第2000/024792号パンフレットは、i)少なくとも1つの、非置換のシクロペンタジエニルリガンド、又は芳香族縮合環で置換されたシクロペンタジエニルリガンドであって、当該リガンド上に追加の置換基を有していないシクロペンタジエニルリガンド、ii)1つの、置換された又は非置換の、芳香族縮合環で置換されたシクロペンタジエニルリガンド、及びiii)上記の2つのシクロペンタジエニルリガンドを結合する共有結合架橋を有するA)ビスシクロペンタジエニルハフニウム有機金属化合物から誘導されるハフノセン触媒錯体を含む触媒系を記載する。
【0005】
この架橋は、2つのアリール基で置換された単一の炭素であることができ、これらのアリール基のそれぞれは、C1~C20のヒドロカルビル又はヒドロカルビルシリル基で置換されており、ここで、これらの置換基の少なくとも1つは直鎖のC3以上の置換基である。
【0006】
加えて、該触媒系は活性化助触媒を含み、それは好ましくは、ハロゲン化されたテトラアリールで置換された13族アニオンを含む前駆体イオン化合物である。
【0007】
また、米国特許出願2006/0161013号明細書は、架橋されたCp-Fluメタロセン錯体に関する。実施例に示されているC系架橋は置換メチレン架橋であり、それにより、置換基は、互いに同じであるか(例えば、ジメチル、ジフェニル、ジベンジル、ジシクロヘキシルなど)、又は互いに結合して環(例えば、シクロヘキシリデン)を形成する。
【0008】
欧州特許出願EP1768990号明細書は、Zr又はHfのCp-Fluメタロセン錯体の合成を記載し、該Flu-リガンドは2及び7の位置で置換される。この架橋の両方の置換基は脂肪族基であり、1つはアルケニルであることができる。
【0009】
米国特許出願2003/092925号明細書は、C系架橋が末端不飽和ヒドロカルビル置換基によって且つアリール基によって置換された架橋Cp-Fluメタロセン錯体、そして該Fluリガンドが好ましくは非置換であること、を記載する。該錯体は、比較的低温のバルク又はスラリー重合で、アルミノキサン助触媒又はアルミニウムアルキル化合物とともに助触媒として使用された。
【0010】
数人の研究者(下記の文献1~5)は、様々なCp-Fluメタロセンとのエチレン共重合に対するリガンド構造の影響を調べた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】1.A.Yano,M.Sone,S.Hasegawa,M.Sato,A.Akimoto,Macromol.Chem.Phys.1999,200,933.
【文献】2.A.Yano,S.Hasegawa,T.Kaneko,M.Sone,M.Sato,A.Akimoto,Macromol.Chem.Phys.1999,200,1542.
【文献】3.A.Yano,M.Sone,S.Yamada,S.Hasegawa,M.Sato,A.Akimoto,Journal of Molecular Catalysis A:Chemical 2000,156,133.
【文献】4.S.Hasegawa,M.Sone,M.Tanabiki,M.Sato,A.Yano,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry 2000,38,4641.
【文献】5.Q.Yang,M.D.Jensen,and M.P.McDaniel Macromolecules 2010,43,8836.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の引用された文献及び特許出願のいずれにおいても、触媒系の分子量能力及びコモノマー取り込み能力の同時の増加は言及されていない。
【0013】
その上、上記の引用された文献及び特許出願は、ホウ素系活性剤と組み合わせた、架橋上にアルケニル基を有するハフニウム錯体の触媒性能に対するより高い重合温度のありうる影響に取り組んでいない。
【0014】
しかしながら、エチレンコポリマーを製造する為の方法が効率的である為には、使用される触媒系が一組の非常に厳格な要件を満たさなければならないことが重要である。より高いコモノマー取り込み能力(コモノマー反応性)、触媒分子量能力(所与のポリマー密度、モノマー濃度及び重合温度に対して最低の達成可能なメルトインデックス)及び触媒熱安定性が、(可能な限り少ない量の触媒で最大限のポリエチレンを製造する為に)約0.850g/cm3までの密度及び約0.3g/10分までのメルトインデックスMI2(190℃,2.16kg)を有し且つ高い生産性を有するコポリマーの製造を確実にしなければならない。これは、少なくとも0.1の反応性比CAO/C2が必要である(AO=α-オレフィン)。
【0015】
多くの研究がメタロセン触媒の分野において行われてきているけれども、所望の特性を有するポリマーを製造することができ且つそれはコモノマー取り込み能力と分子量能力との改善されたバランスを有するところの、エチレン共重合の為に適している新規な触媒系を見つける必要がまだある。
【0016】
その結果、本発明者等は、コモノマー取り込み能力と分子量能力とに関して、上記された重合触媒系よりも優れた重合挙動を有する新規な触媒系を開発することを試みた。
【0017】
本発明者等は、上記に開示された問題を解決することができる、新しいクラスのオレフィン重合触媒系を見出した。特に、本発明は、特別なメタロセン錯体の使用をホウ素系助触媒と組み合わせる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すなわち、一つの観点から見ると、本発明は触媒系であって、該触媒系は、
(i)下記の式(I)の少なくとも1つのメタロセン錯体、
【0019】
【0020】
ここで、
Mt1はHfであり、
Xはシグマドナーリガンドであり、
R1、R2、R3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル基であり得、ここで、該アルキル基は、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、R1とR2若しくはR2とR3は、4~6のC原子及び1~3の二重結合を有する環を形成することができ、
R4及びR5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル、C5~C10アリール、C6~C20アルキルアリール又はC6~C20アリールアルキル基であり得、それは、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、
nは、1~5であり得、
Arは、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分岐状の1~5のC1~C10アルキル基によって置換されていてもよい、C6~C20-アリール又は-ヘテロアリール基であり、
及び、
(ii)ホウ素含有助触媒
を含む。
【0021】
他の観点から見ると、本発明は、高温溶液プロセスでエチレンコポリマーを製造する為にそのような触媒を使用する方法を提供する。
【0022】
更なる観点から見ると、本発明はエチレンコポリマーの調製の為の方法であって、触媒の存在下で、100℃超の温度での高温溶液プロセスで、エチレンとC4~10アルファ-オレフィンコモノマーとを重合することを含み、該触媒は、
(i)上記に定義された通りの式(I)の少なくともメタロセン錯体、及び
(ii)ホウ素含有助触媒
を含む、上記方法を提供する。
【0023】
なおさらに他の観点から見ると、本発明は、上記に定義された通りの方法によって製造されたエチレンコポリマーを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
メタロセン錯体
シングルサイトメタロセン錯体、特に本発明において特定された式(I)によって定義された上記錯体、は、非対称性であり、それは、該メタロセン錯体を形成する2つのリガンドが異なっていることを意味する。
【0025】
本発明は、下記の式(I)のメタロセン錯体で実施されることができる。
【0026】
【0027】
ここで、
Mt1はHfであり、
Xはシグマドナーリガンドであり、
R1、R2、R3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル基であり得、ここで、該アルキル基は、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、R1とR2若しくはR2とR3は、4~6のC原子及び1~3の二重結合を有する環を形成することができ、
R4及びR5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル、C5~C10アリール、C6~C20アルキルアリール又はC6~C20アリールアルキル基であり得、それは、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、
nは、1~5であり得、
Arは、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分岐状の1~5のC1~C10アルキル基によって置換されていてもよい、C6~C20-アリール又は-ヘテロアリール基である。
【0028】
本発明はまた、上記で定義された式(I)のメタロセン錯体と下記の式(I´)のメタロセン錯体との混合物で実施されることができる。
【0029】
【0030】
ここで、Mt2はZrであり、R1~R5及びArは、式(I)の錯体について定義された通りであり、但し、上記混合物は、Mt1がHfである式Iの錯体を50モル%超含む。
【0031】
上記式(I及びI´)において、各Xは同じであっても異なっていてもよく、シグマドナーリガンド、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、R6、OR6、OSO2CF3、OCOR6、SR6、NR6
2又はPR6
2基であり、ここで、R6は、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよい、直鎖状若しくは分岐状の、環状若しくは非環状のC1~C20-アルキル、C2~C20-アルケニル、C2~C20-アルキニル、C6~C20-アリール、C7~C20-アルキルアリール又はC7~C20-アリールアルキル基であり、又はSiR6
3、SiHR6
2若しくはSiH2R6である。R6は好ましくは、C1~6-アルキル、フェニル又はベンジル基である。
【0032】
語 ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基、好ましくはクロロ基、を包含する。
【0033】
語 周期表の14~16族に属するヘテロ原子ヘテロ原子は例えば、Si、N、O又はSを包含する。
【0034】
より好ましくは、各Xは独立して、ハロゲン原子、又はR6若しくはOR6基であり、ここで、R6は、C1~6-アルキル、フェニル又はベンジル基である。
【0035】
さらにより好ましいXはC1~4-アルキル基又はベンジル基であり、最も好ましくはXはメチルである。好ましくは、両方のX基は同じである。
【0036】
R1、R2、R3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル基であり得、ここで、該アルキル基は、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、R1とR2若しくはR2とR3は、3~8のC原子及び1~3の二重結合を有する環を形成することができる。
【0037】
そのような環は例えば、シクロペンテニル又はフェニルを包含する。
【0038】
語 周期表の14~16族に属するヘテロ原子は例えば、Si、N、O又はSを包含する。
【0039】
好ましくは、R1、R2、R3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル基であり得、ここで、該アルキル基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まず、又はR1は水素原子であり且つR2とR3は5~6のC原子及び1~3の二重結合を有する環を形成する。
【0040】
より好ましくは、R1、R2、R3は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ水素原子又は、飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C4アルキル基であり得、ここで、該アルキル基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まず、又はR1は水素原子であり且つR2とR3は6つのC原子及び3つの二重結合を有する環を形成する。この場合、該環はフェニル環である。
【0041】
最も好ましくは、R1、R2、R3は同じであり且つ全て水素原子であり、又はR1は水素原子であり且つR2とR3は6つのC原子及び3つの二重結合を有する環、すなわちフェニル環、を形成する。
【0042】
R4及びR5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル、C5~C10アリール、C6~C20アルキルアリール又はC6~C20アリールアルキル基であり得、それは、周期表の14~16族に属する最多2つのヘテロ原子、例えばSi、N、O又はS、を任意的に含んでいてもよい。
【0043】
C6~C20アルキルアリール基は、同じであっても異なっていてもよい1以上のアルキル基によって置換されるC6~C10アリール基であることを意味し、ここで、アルキル基置換基中のC原子の数は、C6~C20アルキルアリール基となる範囲である。
【0044】
好ましくは、R4及びR5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C10アルキル又はC6~C10アリール基であり得、ここで、該基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まない。
【0045】
より好ましくは、R4及びR5は、互いに同じであるか又は異なっており、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6アルキル又はフェニル基であり得、ここで、該基は周期表の14~16族に属するヘテロ原子を何ら含まない。
【0046】
最も好ましくは、R4及びR5は同じであり、且つ飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC2~C6アルキルである。
【0047】
nは1~5であり得、好ましくはnは2~4である。
【0048】
Arは、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分岐状の1~5のC1~C10アルキル基によって置換されていてもよい、C6~C20-アリール又はヘテロアリール基である。
【0049】
好ましくは、Arは、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分岐状の、1つのC1~C6アルキル基によって置換されていてもよい、C6~C10-アリール又はヘテロアリール基である。
【0050】
より好ましくは、Arは非置換のC6~C10-アリール基であり、最も好ましくは、Arはフェニルである。
【0051】
式(I)と式(I´)の錯体の混合物が使用される場合、置換基R1~R6及びArは、両方の錯体について同じであることが好ましい。
【0052】
式(I)の錯体の具体的な例は下記のとおりである。
(フェニル)(ブト-3-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(ブト-3-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(ブト-3-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(4-ペンテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(4-ペンテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(4-ペンテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジベンジル、
(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(3-フェニルプロピル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド、
(フェニル)(3-フェニルプロピル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル、
(フェニル)(3-フェニルプロピル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジベンジル、
及び式(I´)の対応するジルコニウム類似体。
【0053】
さらにより好ましくは、式(I)及び式(I´)のジメチル-錯体である。
【0054】
最も好ましくは、式(I)の錯体のみが使用される。
【0055】
助触媒
活性な触媒種を形成するために、当業界で周知のように、通常、助触媒を用いることが必要である。本発明は、ホウ素含有助触媒の使用を必要とする。
【0056】
対象のホウ素系助触媒は、ボレート3+イオンを含むホウ素化合物、すなわちボレート化合物、を包含する。これらの化合物は一般に、下記の式のアニオンを包含する:
(Z)4B- (II)
ここで、Zは任意的に置換されていてもよいフェニル誘導体であり、該置換基は、ハロC1~6-アルキル又はハロ基である。好ましい選択は、フルオロ又はトリフルオロメチルである。最も好ましくは、フェニル基は過フッ素化されている。
【0057】
そのようなイオン性助触媒は好ましくは、非配位性アニオン、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、を包含する。
【0058】
適切な対イオンは、プロトン化されたアミン若しくはアニリンの誘導体、カルベニウムイオン又はホスホニウムイオンである。これらは、下記の一般式(III)、一般式(IV)又は一般式(V):
NQ4
+ (III)、又はCQ3
+ (IV)、又はPQ4
+ (V)
を有し得る。
ここで、Qは独立して、H、C1~6-アルキル、C3-8-シクロアルキル、フェニル-C1~6-アルキレン、又は任意的に置換されていてもよいフェニル(Ph)である。任意的な置換基は、C1~6-アルキル、ハロ又はニトロであり得る。そのような置換基は1以上存在し得る。それ故に、好ましい置換されたPh基は、パラ置換フェニル、好ましくはトリル又はジメチルフェニル、を包含する。
【0059】
(III)及び(V)中の少なくとも1つのQ基がHであることが必要である場合、好ましい化合物は下記の式:
NHQ3
+ (VI) 又は PHQ3
+ (VII)
の化合物である。
【0060】
好ましいフェニル-C1~6-アルキル基は、ベンジルを包含する。
【0061】
それ故に、適切な対イオンは、メチルアンモニウム、アニリニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、N-メチルアニリニウム、ジフェニルアンモニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリ-n-ブチルアンモニウム、メチルジフェニルアンモニウム、p-ブロモ-N,N-ジメチルアニリニウム又はp-ニトロ-N,N-ジメチルアニリニウム、特にジメチルアンモニウム又はN,N-ジメチルアニリニウム、を包含する。イオンとしてのピリジニウムの使用は、さらなる選択肢である。
【0062】
カルベニウムイオンとして、特にトリフェニルメチルカルベニウム(「トリチル」)又はトリトリルカルベニウムが使用される。
【0063】
対象のホスホニウムイオンは、トリフェニルホスホニウム、トリエチルホスホニウム、ジフェニルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム及びトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムを包含する。
【0064】
より好ましい対イオンは、トリチル(CPh3
+)又はその類似体(Ph基が1以上のアルキル基を有するように官能化されている)である。それ故に、本発明での使用に非常に好ましいボレートは、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオンを包含する。
【0065】
本発明に従って使用されることができる好ましいイオン性化合物は、
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ-(4-フルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート,
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
を包含する。
【0066】
より好ましいボレートは、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、又は
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
である。
【0067】
さらにより好ましいボレートは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0068】
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが最も好ましい。
【0069】
助触媒の適切な量は、当業者に周知であろう。
【0070】
アルミニウムアルキル化合物を添加することがさらに可能である。適切なアルミニウムアルキル化合物は、下記の式(IX)の化合物 AlR3であり、ここで、Rは、直鎖状又は分岐状のC2~C8-アルキル基である。
【0071】
好ましいアルミニウムアルキル化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム及びトリイソクチルアルミニウムである。
【0072】
当業者に知られているように、ホウ素含有助触媒と反応する為には、Cp-Flu錯体はアルキル化誘導体(例えば、X2はジメチルである)である必要がある。すなわち、該錯体が、元々ジハロ誘導体又は他の非アルキル誘導体である場合、それらは、アルキル化有機金属化合物、例えばLi-アルキル、Mg-アルキル又はアルミニウム-アルキル、との反応によってプレアルキル化される必要がある。プレアルキル化手順は、当技術分野で周知である。
【0073】
メタロセンの金属イオンに対するホウ素のモル比は、0.5:1~10:1モル/モル、好ましくは1:1~10:1、特に1:1~5:1モル/モル、の範囲でありうる。
【0074】
さらにより好ましくは、メタロセンの金属イオンに対するホウ素のモル比は、1:1~2:1未満のモル/モル、例えば1:1~1.8:1又は1:1~1.5:1、である。
【0075】
本発明のメタロセン錯体は好ましくは、高温溶液重合プロセスで、エチレンとC4~10アルファ-オレフィンコモノマーの重合の為の触媒系として、1以上の上記助触媒と組み合わせて使用される。
【0076】
本発明の触媒系は、均一系触媒又は不均一系触媒として、好ましくは均一系触媒系として、使用されうる。
【0077】
本発明に好適な均一系又は非担持型の触媒系は、式(I)のメタロセン又は式(I) のメタロセンと式(I´)のメタロセンとの混合物(固体として又は溶液として)を1以上のホウ素含有助触媒、例えば炭化水素希釈剤中のスラリーとしての又は芳香族溶媒中で予め溶解されたボラン(borane)又はホウ酸塩(borate)、と接触させることによって、溶液中、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ライトナフサ又はトルエンのような炭化水素溶媒中、で調製されることができるか、あるいは好ましくは、上記触媒成分を重合反応器内に直接に逐次添加することによって形成されることができる。
【0078】
ポリマー
本発明の触媒系を用いて製造されるべきポリマーは、エチレンとC4~10アルファ-オレフィンコモノマー、例えば1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等、とのコポリマーである、好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセン又は1-オクテン、及びより好ましくは1-オクテン、がコモノマーとして使用される。
【0079】
そのようなポリマー中のコモノマー含量は、最大で45重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~35重量%、及びさらにより好ましくは2~25重量%、でありうる。
【0080】
ポリマーの密度(ISO 1183-187に従って測定される)は、0.850g/cm3~0.920g/cm3未満の範囲、好ましくは0.850g/cm3~0.915g/cm3の範囲、及びより好ましくは0.850g/cm3~0.910g/cm3の範囲、である。
【0081】
本発明のポリマーのMw/Mn値は、5未満、例えば2.0~4.5の範囲、である。
【0082】
製造されるべきポリマーの融点(ISO 11357-3:1999に従ってDSCを用いて測定される)は、130℃未満、好ましくは120℃未満、より好ましくは110℃未満、及び最も好ましくは100℃未満、である。
【0083】
重合
本発明の触媒系は好ましくは、上記で定義されたエチレンコポリマーを100℃超の温度での高温溶液重合プロセスで製造する為に使用される。
【0084】
本発明を鑑みて、そのような方法は本質的に、重合条件下で液体であり且つ得られるポリマーがその中で可溶であるところの液体炭化水素溶媒中でモノマーと適切なコモノマーとを重合させることに基づく。該重合は、ポリマーの融点より高い温度で実施され、その結果として、ポリマー溶液が得られる。この溶液は、ポリマーを未反応モノマー及び溶媒から分離するために、フラッシュされる。次に、該溶媒が回収され、そして上記方法に再循環される。
【0085】
溶液重合プロセスは、(気相法又はスラリー法と比較して)その短い反応器滞留時間で知られており、短い製造サイクルでの広範な生成物範囲の製造における非常に迅速なグレード遷移及び有意な柔軟性を可能にする。
【0086】
本発明に従って、使用される溶液重合プロセスは、100℃超の重合温度を用いる高温溶液重合プロセスである。好ましくは、該重合温度は、少なくとも110℃、より好ましくは少なくとも150℃、である。該重合温度は、最大250℃であることができる。
【0087】
反応器内の圧力は、一方では温度に、他方ではコモノマーの種類及び量に依存する。該圧力は、好適には50~300バール、好ましくは60~250バール、より好ましくは70~200バール、である。
【0088】
使用される炭化水素溶媒は好ましくは、非置換であるか又はC1~4アルキル基によって置換されていてもよいC5~12炭化水素、例えばペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及び水素化されたナフサ、である。より好ましくは、非置換のC6~10-炭化水素溶媒が使用される。
【0089】
利点
成分(i)及び成分(ii)を含む新規な触媒系は、高温溶液重合プロセスでのエチレン共重合の為に有利に使用されることができる。
【0090】
本発明に従う該触媒系は、高温溶液重合プロセスでのエチレン共重合の為に使用される場合、コモノマー取り込み能力と分子量能力との改善されたバランスを示す。
【0091】
本発明に従う該触媒系は、高温溶液重合プロセスでの少なくとも0.1の反応性比CAO/C2(AO=C4~10アルファ-オレフィンコモノマー)を示す。
【0092】
用途
本発明の触媒系によって製造されるポリマーは、あらゆる種類の最終物品、例えばパイプ、フィルム(キャストフィルム、又はインフレーションフィルム)繊維、成形品(例えば、射出成形品、ブロー成形品、回転成形品)、押出コーティングなどに有用である。
【0093】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによって例示されるだろう。
【0094】
方法
【0095】
DSC
温度変調DSC実験が変調モードで動作され且つISO 11357-1に従ってインジウム、スズ及び亜鉛で較正されたTA Instruments Q2000 DSCで行われた。約5mgの試料がアルミニウムパン中に入れられた。温度が、標準DSCと同様に最初は180℃まで上げられ、そしてその後10℃/分で、-88℃まで下げられた。その後、昇温速度2℃/分、60秒ごとに0.32℃の変調での温度変調スキャンによって温度が上げられた。ガラス転移温度は、転移時の反転点として可逆熱流サーモグラムから測定された。
【0096】
ポリマー組成がTg(DSC)によって推定されている場合、下記の相関が用いられている:C8(重量%)=(Tg(℃)+19.16)/-1.059
【0097】
Zr及びHf決定(ICP方法)
触媒の元素分析が、質量Mの固体サンプルを採取し、ドライアイス上で冷却することによって行われた。サンプルが、硝酸(HNO3,65%,Vの5%)及び新鮮な脱イオン(DI)水(Vの5%)中に溶解することによって、溶解されて既知の体積Vにされた。次に、該溶液がフッ化水素酸(HF,40%,Vの3%)に加えられ、DI水で最終体積Vまで希釈され、そして2時間放置して安定化された。
【0098】
上記分析が、Thermo Elemental iCAP 6300誘導結合プラズマ-光放射分光計(ICP-OES)を使用して室温で実行された。上記分光計は、ブランク(DI水中の5% HNO3,3% HFの溶液)及びDI水の5% HNO3,3% HFの溶液中の、0.5ppm、1ppm、10ppm、50ppm、100ppm及び300ppmのAl及び0.5ppm、1ppm、5ppm、20ppm、50ppm及び100ppmのHf及びZrの6基準によって較正された。
【0099】
分析の直前に、上記較正が、上記ブランク及び100ppmのAl、50ppmのHf、Zr基準を使用して「再傾斜され(resloped)」、品質管理(quality control)サンプル(DI水中の5% HNO3,3% HFの溶液20ppmのAl、5ppmのHf、Zr)が、上記再傾斜を確認するために実行される。上記QCサンプルがまた、5つ目のサンプルの後ごとに及び計画された分析の組の終わりに実行される。
【0100】
ハフニウムの含量は282.022nm及び339.980nmの線を使用して、且つジルコニウムの含量は339.198nmの線を使用してモニターされた。アルミニウムの含量が、ICPサンプル中のAl濃度が0~10ppm(100ppmにのみ較正されている)の間であるときには167.079nmの線を介して、且つ10ppm超の濃度について396.152nmの線を介してモニターされた。
【0101】
報告された値は、同じサンプルから取られた3つの連続するアリコート(aliquots)の平均であり、そして、サンプルの初期質量及び希釈体積をソフトウェアに入力することによって、元の触媒に戻って関係付けられる。
【0102】
NMRスペクトル分析によるコモノマー含量の定量
定量的核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析が、ポリマーのコモノマー含量を定量するために使用された。
【0103】
定量的13C{1H} NMRスペクトルが、1H及び13Cについてそれぞれ500.13及び125.76MHzで動作するBruker Advance III 500 NMR分光計を使用して、溶融状態で記録された。全てのスペクトルは、すべての空気駆動系(pneumatics)について窒素ガスを用いて、150℃で、13C最適化7mmマジック角回転(MAS:magic-angle spinning)プローブヘッドを使用して記録された。約200mgの物質が、7mm外径のジルコニアMASローター中に充填され、そして4kHzで回転された。この構成は、主として、迅速な同定および正確な定量に必要な高感度のために選択された[1],[2],[3],[4]。3sの短い再循環遅延での過渡的NOE[5],[1]及びRS-HEPTデカップリングスキーム[6],[7]を利用して、標準単一パルス励起が用いられた。スペクトル当たり合計1024(1k)の過渡応答(transients)が得られた。この構成は、低いコモノマー含量に対するその高感度のために選択された。
【0104】
定量的13C{1H} NMRスペクトルが処理され、積分され、そして定量的特性が、カスタムスペクトル分析自動化プログラムを用いて決定された。すべての化学シフトは、30.00ppmでのバルクメチレンシグナル(δ+)を内部標準的に参照される[8]。
【0105】
1-オクテンの取り込みに対応する特徴的シグナルが観測され[8],[9],[10],[11],[12]、そして全てのコモノマー含量が、ポリマー中に存在する他の全てのモノマーに関して計算された。
【0106】
分離された(isolated)1-オクテン取り込み、すなわちEEOEEコモノマーシーケンスから得られる特徴的シグナルが観測された。分離された1-オクテン取り込みは、38.32ppmでのシグナルの積分を用いて定量化された。この積分は、それぞれ分離された(EEOEE)及び分離された二重非連続(EEOEOEE)1-オクテンシーケンスの*B6部位および*βB6B6部位の両方に対応する分解されていないシグナルに割り当てられる。上記2つの*βB6B6部位の影響について補償するために、24.7ppmでのββB6B6部位の積分が使用される。
O=I*B6+*βB6B6-2*IββB6B6
【0107】
連続1-オクテン取り込み、すなわちEEOOEEコモノマーシーケンスから得られる特徴的シグナルも観察された。そのような連続1-オクテン取り込みは、コモノマー当たりの報告部位の数を説明するααB6B6部位に割り当てられた40.48ppmでのシグナルの積分を用いて定量化された。
OO=2*IααB6B6
【0108】
分離された非連続1-オクテン取り込み、すなわちEEOEOEEコモノマーシーケンスから得られる特徴的シグナルも観察された。そのような分離された非連続1-オクテン取り込みは、コモノマー当たりの報告部位の数を説明するββB6B6部位に割り当てられた24.7ppmでのシグナルの積分を用いて定量化された。
OEO=2*IββB6B6
【0109】
分離された三重連続1-オクテン取り込み、すなわちEEOOOEEコモノマーシーケンスから得られる特徴的シグナルも観察された。そうした分離された三重連続1-オクテン取り込みは、コモノマー当たりの報告部位の数を説明するααγB6B6B6部位に割り当てられた41.2ppmでのシグナルの積分を用いて定量化された。
OOO=3/2*IααγB6B6B6
【0110】
他のコモノマーシーケンスを示す他のシグナルが観察されない場合には、全1-オクテンコモノマー含量は、分離された(EEOEE)、分離された二重連続(EEOOEE)、分離された非連続(EEOEOEE)および分離された三重連続(EEOOOEE)1-オクテンコモノマーシーケンスの量だけに基づいて計算された。
O合計=O+OO+OEO+OOO
【0111】
飽和末端基から得られる特徴的シグナルが観察された。そのような飽和末端基は、22.84及び32.23ppmでの2つの分解されたシグナルの平均積分値を使用して定量化された。22.84ppmの積分値は、それぞれ1-オクテン及び飽和鎖末端の2B6部位および2S部位の両方に対応する分解されていないシグナルに割り当てられる。32.23ppmの積分値は、それぞれ1-オクテン及び飽和鎖末端の3B6部位および3S部位の両方に対応する非分解シグナルに割り当てられる。2B6および3B6 1-オクテン部位の影響を補償するために、全1-オクテン含量が使用される。
S=(1/2)*(I2S+2B6+I3S+3B6-2*Ototal)
【0112】
エチレンコモノマー含量は、30.00ppmでのバルクメチレン(バルク)シグナルの積分を使用して定量化された。この積分値は、1-オクテンからのγ及び4B6部位並びにδ+部位を含んだ。全エチレンコモノマー含量はバルク積分値に基づき、観察された1-オクテンシーケンスおよび末端基について補償を行って計算された。
E合計=(1/2)*[Iバルク+2*O+1*OO+3*OEO+0*OOO+3*S]
【0113】
なお、分離された三重取り込み(EEOOOEE)1-オクテンシーケンスの存在についてのバルク積分値の補償は、過少に評価されたエチレン単位の数と、過度に評価されたエチレン単位の数が等しいので、必要ないことに留意されるべきである。
【0114】
次いで、ポリマー中の1-オクテンの全モル分率は、下記のように計算された。
fO=(O合計/(E合計+O合計)
【0115】
重量パーセントでの1-オクテンの全コモノマー取り込みは、標準的なやり方で上記モル分率から計算された。
O[重量%]=100*(fO*112.21)/((fO*112.21)+((1-fO)*28.05))
【0116】
[1] Klimke,K.,Parkinson,M.,Piel,C.,Kaminsky,W.,Spiess,H.W.,Wilhelm,M.,Macromol.Chem.Phys.2006;207:382.
[2] Parkinson,M.,Klimke,K.,Spiess,H.W.,Wilhelm,M.,Macromol.Chem.Phys.2007;208:2128.
[3] Castignolles,P.,Graf,R.,Parkinson,M.,Wilhelm,M.,Gaborieau,M.,Polymer 50 (2009) 2373
[4] NMR Spectroscopy of Polymers:Innovative Strategies for Complex Macromolecules,Chapter 24,401 (2011)
[5] Pollard,M.,Klimke,K.,Graf,R.,Spiess,H.W.,Wilhelm,M.,Sperber,O.,Piel,C.,Kaminsky,W.,Macromolecules 2004;37:813.
[6] Filip,X.,Tripon,C.,Filip,C.,J.Mag.Resn.2005,176,239
[7] Griffin,J.M.,Tripon,C.,Samoson,A.,Filip,C.,and Brown,S.P.,Mag.Res.in Chem.2007 45,S1,S198
[8] J.Randall,Macromol.Sci.,Rev.Macromol.Chem.Phys.1989,C29,201.
[9] Liu,W.,Rinaldi,P.,McIntosh,L.,Quirk,P.,Macromolecules 2001,34,4757
[10] Qiu,X.,Redwine,D.,Gobbi,G.,Nuamthanom,A.,Rinaldi,P.,Macromolecules 2007,40,6879
[11] Busico,V.,Carbonniere,P.,Cipullo,R.,Pellecchia,R.,Severn,J.,Talarico,G.,Macromol.Rapid Commun.2007,28,1128
[12] Zhou,Z.,Kuemmerle,R.,Qiu,X.,Redwine,D.,Cong,R.,Taha,A.,Baugh,D.Winniford,B.,J.Mag.Reson.187 (2007) 225
【0117】
HT-SEC:平均分子量、分子量分布及び多分散性指数(Mn、Mw、Mw/Mn)
ポリマーの、平均分子量(Mw,Mn)、分子量分布(MWD)及び多分散性指数によって記されるその幅広さ、PDI=Mw/Mn(ここで、Mnは数平均分子量であり、且つMwは重量平均分子量である)は、直列の3PLgel Olexis(300×7.5mm,Polymer Laboratories)カラムを用いて、160℃で、Polymer Laboratories PLXT-20 Rapid GPC Polymer Analysis System(ポンプ、屈折率検出器及び粘度検出器を含む)上で、高温サイズ排除クロマトグラフィー(HT-SEC:high temperature size exclusion chromatography)によって決定された。ブチル化ヒドロキシトルエン(0.5g/L)及びIrganox 1010(20mg/L)を含む1,2,4-トリクロロベンゼンが、1.0mL/分の流速で溶離液として用いられた。分子量は、ポリエチレン標準(Polymer Laboratories,Mp=5.310からMp=1.510.000g/モルまで)に関して計算された。Polymer Laboratories PL XT-220ロボットサンプルハンドリングシステムがオートサンプラーとして使用された。サンプルの濃度が、TCBの2~4mgポリマー/mlであった。
【0118】
相対コモノマー反応性比Rの決定
重合中にエチレンを供給することによって全圧が一定に保たれるので、液相中のエチレン濃度は一定と見なすことができる。重合の終了時の溶液中のCAO/C2比、例えばC8/C2比、は、測定された後者の組成からポリマー中に取り込まれたコモノマー、例えばオクテン、の量を差し引くことによって計算される(コモノマー、例えば1-オクテン、の重量%)。
【0119】
各触媒の反応性比Rは下記のように計算される。
R=[(C8/C2)pol]/[(C8/C2)液相における平均]
ここで、(C8/C2)液相における平均は、((C8/C2)最終+(C8/C2)供給)/2として計算される。
【0120】
化学薬品
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TB)(代替名 トリチルテトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート)(CAS番号 136040-19-2)が、Acros(tritylBF20)から購入された。
【0121】
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(AB)(CAS番号 118612-00-3)が、Boulderから購入された。
【0122】
コモノマーとしての1-オクテン(99%,Sigma Aldrich)は、使用前に、分子ふるいで乾燥され、そして窒素で脱気された。
【0123】
Brenntagから購入したIsopar-E(ExxonMobilから、イソアルカンC7-10,CAS番号:90622-56-3)は、(i)酸素を除去する為のBTS触媒(Cu)、そして(ii)乾燥剤としてのモレキュラーシーブ3A、及び極性不純物を除去する為のSelexsorb CD(BASF)を含む2つのカラムを続いて通過して精製された。
【0124】
触媒錯体合成の為に使用される化学薬品:
HfCl4,<1(mol)% Zr(Strem Chemicals)、9H-フルオレン(Acros)、ヘキサン中の2.5M nBuLi(Chemetall)、KH(Aldrich)、1-ブロモブタン(Acros)、ベンゾフェノン(Acros)、1,2-ジブロモエタン(Acros)、クロロトリメチルシラン(Acros)、2-ブロモ-2-メチルプロピオニルブロミド(Acros)、安息香酸エチル(Aldrich)、臭化アリル(Acros)、4-ブロモブト-1-エン(Aldrich)、1,4-ジフェニルブタン-1-オン(ABCR)、TsOH(Aldrich)、トリエチルアミン(Acros)、ヨウ化メチル(Merck)、THF(Merck)、ヘキサン(Merck)、酢酸エチル(Merck)、ジエチルエーテル(Merck)、ジクロロメタン(Merck)、トルエン(Merck)、メタノール(Merck)、ジメチルスルホキシド(Merck)、シリカゲル60、40~63μm(Merck)、8M HCl(Merck)、Na2SO4(Akzo Nobel)、K2CO3(Merck)、AlCl3(Merck)、NaBH4(Aldrich)、Na2CO3(Merck)、CuCN(Merck)、NaHCO3(Merck)、臭素(Merck)及びKOH(Merck)は、受け取ったままで使用された。
【0125】
有機金属合成の為のトルエン及びヘキサン、並びにNMR測定の為のCDCl3(Deutero GmbH)が、モレキュラーシーブ4A(Acros)で乾燥された。
【0126】
有機金属合成の為のTHF及びエーテルが、ベンゾフェノンケチルで蒸留された。
【0127】
シクロペンタジエニルリチウムは、下記の文献手順に従って、ジシクロペンタジエン(Acros)及びヘキサン中のブチルリチウムから得られたシクロペンタジエンから調製された[Den Besten,R.,;Harderm S.;Brandsma,L.J.Organomet.Chem.1990,385,153]。
【0128】
シクロペンタジエニルマグネシウムブロミドは、下記に記載された通りに、ジシクロペンタジエン(Acros)及びエーテル中の臭化メチルマグネシウム(Aldrich)から得られたシクロペンタジエンから調製された[Stille,J.R.;Grubbs,R.H.J.Org.Chem 1989,54,434]。
【0129】
1-フェニルヘプト-6-エン-1-オンは、下記の文献手順に従って、5-ブロモ-1-ペンテン(Aldrich)、アセトフェノン(Merck)、N,N-ジメチルヒドラジン(Aldrich)及びリチウムジイソプロピルアミド(Aldrich)から調製された[Motiwala,H.F.;Gülgeze,B.,Aube,J.J.Org.Chem.2012,77,7005]。
【0130】
2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンは、下記に記載された通りに、9H-フルオレン及び2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(Aldrich)から得られた[Kajigaeshi,S.;Kadowaki,T.;Nishida,A.;Fujisaki,S.;Noguchi,M.Synthesis 1984,335]。
【0131】
触媒調製の実施例
【0132】
錯体1(C-1):(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
工程1:1-フェニル-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタン
【0133】
【0134】
-78℃に冷やされた125mlのTHF中の10.59g(38.04mmol)の2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンの溶液に、ヘキサン中の15.2ml(36.5mmol)の2.5M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。結果として生じた明橙色の溶液が-30℃に冷やされ、そして125mlのTHF中の9.46g(40.03mmol,1.05当量)の6-フェニル-6-(ヘキサ-5-エン-1-イル)フルベンの溶液が、一度に加えられた。一晩、室温で撹拌後、暗赤色の反応混合物が氷浴中で冷やされ、そして次に、弱酸性のpHに10% HClでクエンチされた。結果として生じた橙色の混合物は400mlの水で希釈され、そして300mlのジエチルエーテルで抽出された。有機層が分離され、そして水性層が150mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物がNa2SO4で乾燥され、そしてシリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過され、それは2x50mlのジクロロメタンによってさらに洗われた。真空下での溶媒の除去は橙色の油を与え、それは125mlのn-ヘキサン中に溶解された。この溶液から一晩、-30℃で沈殿された結晶が集められ、そして、真空で乾燥された。この手順は、異性体の混合物として、14.61g(75%)のわずかに黄色の固体の標記生成物を与えた。
【0135】
C39H46についての計算値:C,90.99;H,9.01。実測値:C,91.14;H,9.07
1H NMR(CDCl3):δ7.57~6.95(m,11H),6.34~5.59(m,4H),4.98~4.70(m,3H),2.93~2.55(m,2H),2.49~2.15(m,2H),2.04~1.80(m,2H),1.46~0.91(m,22H)
【0136】
工程2:(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド
【0137】
【0138】
-50℃に冷やされた、300mlのエーテル中の14.61g(28.38mmol)の1-フェニル-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタンの溶液に、ヘキサン中の22.7ml(56.8mmol)の2.5M nBuLiが一度に添加された。この混合物は、5時間、室温で撹拌された。結果として生じた赤みを帯びた溶液が-50℃に冷やされ、そして9.09g(28.38mmol)のHfCl4が添加された。形成された混合物が、24時間、室温で撹拌され、そして次に、蒸発乾固された。残留物が200mlの温トルエンで撹拌され、そして、形成された懸濁物がガラスフリット(G4)を通じて濾過された。該濾過物が約30mlに蒸発され、そして70mlのn-ヘキサンが加えられた。一晩、-30℃で沈殿された黄色の結晶固体が集められ、そして、真空で乾燥された。この手順は、12.9g(60%)の目的の錯体を与えた。
【0139】
C39H44Cl2Hfについての計算値:C,61.46;H,5.82。実測値:C,61.59;H,6.00
1H NMR(CDCl3):δ8.01(d,J=9.1Hz,1H),7.96(d,J=8.9Hz,1H),7.83(dm,J=7.7Hz,1H),7.69(m,1H),7.66~7.59(m,2H),7.59~7.52(m,1H),7.5(dd,J=8.9Hz,J=1.4Hz,1H),7.45~7.38(m,2H),6.35~6.31(m,1H),6.22~6.18(m,1H),6.13(s,1H),5.81~5.69(m,2H),5.55~5.51(m,1H),4.94(dm,J=17.2Hz,1H),4.89(dm,J=10.2Hz,1H),3.13~2.99(m,1H),2.82~2.67(m,1H),2.15~1.95(m,2H),1.66~1.45(m,4H),1.40(s,9H),0.99(s,9H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ152.19,149.61,143.26,138.38,130.52,128.51,128.33,127.24,127.08,124.22,124.18,124.02,123.52,122.63,120.25,119.87,119.67,118.84,117.81,116.62,114.65,114.52,99.66,77.77,53.68,41.16,35.44,34.87,33.80,31.13,30.53,29.45,23.64
【0140】
工程3:(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
【0141】
【0142】
90mlのトルエン及び50mlのエーテル13.0ml(27.43mmol)の混合物中の7.1g(9.32mmol)の[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-フェニルメタン]ハフニウムジクロリドの溶液に、エーテル中の2.11M MeMgBrが添加された。結果として生じた混合物が30分間還流され、そして次に約40mlに蒸発された。得られた溶液が80~90℃に加熱され、そしてガラスフリット(G4)を通じて熱い間に濾過されて、不溶性のマグネシウム塩を除去した。濾過ケーキが、2x20mlのトルエンでさらに洗われた。一緒にされた濾液が、約20mlに蒸発された。この溶液が80~90oCに再び加熱され、そしてガラスフリット(G4)を通じて熱い間に濾過された。母液が蒸発乾固され、そして残留物が30mlのヘキサン中に溶解された。一晩、-30℃で、この溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして、真空で乾燥された。この手順は、3.20gの純粋な(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチルを与えた。同様に、しかしより少量のヘキサン(約20ml及び5ml)を使用して、さらに2つの部分(1.18g及び0.57g)の所望の錯体が得られた。従って、(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチルの総収量は、4.95g(74%)であった。
【0143】
C41H50Hfについての計算値:C,68.27;H,6.99。実測値:C,68.44;H,7.21
1H NMR(CDCl3):δ8.08(d,J=8.9Hz,1H),7.99(d,J=8.6Hz,1H),7.81(dm,J=7.8Hz,1H),7.62~7.57(m,2H),7.51(dd,J=8.9Hz,J=1.2Hz,1H),7.50~7.44(m,1H),7.39~7.30(m,3H),6.28~6.21(m,1H),6.15~6.08(m,1H),6.03(s,1H),5.74(ddt,J=17.1Hz,J=10.3Hz,J=6.6Hz,1H),5.64~5.59(m,1H),5.35~5.28(m,1H),4.92(dm,J=17.2Hz,1H),4.87(dm,J=10.0Hz,1H),2.94~2.79(m,1H),2.63~2.48(m,1H),2.11~1.92(m,2H),1.60~1.41(m,4H),1.38(s,9H),0.97(s,9H),-1.76(s,3H),-1.90(s,3H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ150.29,147.84,144.27,138.66,130.71,128.09,127.97,127.25,126.67,124.53,123.78,122.91,122.76,121.05,120.67,119.15,117.55,116.38,115.88,114.43,112.91,111.14,109.56,100.99,100.60,76.51,53.51,41.07,38.18,37.42,35.36,34.77,33.88,31.38,30.77,29.61,23.79
【0144】
錯体2(C-2):(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
工程1:1-フェニルペンタ-4-エン-1-オン
方法A
【0145】
【0146】
7.9g(343.6mmol)のナトリウム金属及び235mlの乾燥エタノールから得られたナトリウムエトキシドの溶液に、67.27g(350mmol)の安息香酸エチルが添加された。形成された混合物は15分間撹拌され、そして次に、42.37g(350mmol)の臭化アリルが、40℃未満の温度を維持するような速度で滴下された。結果として生じた混合物が3時間還流されて、そして次に、室温に冷やされた。120mlの水中の37gのKOHの溶液が添加された。結果として生じた明るい橙色の均一な混合物が5時間還流されて、最終的に二相系に至った。室温まで冷やした後、反応混合物が4M HClで、わずかに酸性のpHに注意深く処理された(注意!強いガス発生!)。結果として生じた混合物が700mlの水で希釈され、そして次に、3x200mlのエーテルで抽出された。一緒にされたエーテル抽出物が300mlの水中の30gのKOHの溶液で洗われ、K2CO3で乾燥され、シリカゲル60(40~63μm)のショートパッドを通じて濾過され、そして次に、蒸発乾固された。残留物が真空で蒸留されて、41.58g(74%;純度 約95%)の1-フェニルペンタ-4-エン-1-オンを与えた(b.p. 73~81℃/6mmHg)。
【0147】
方法B
【0148】
【0149】
400mlのTHF中の27.83g(275.0mmol)のジイソプロピルアミン及びヘキサン中の110ml(275.0mmol)の2.5M nBuLiの溶液から-78℃で調製された)リチウムジイソプロピルアミドの溶液に、60mlのTHF中の40.56g(250mmol)のアセトフェノンN,N-ジメチルヒドラゾンの溶液が、30分かけて、0℃で加えられた。この混合物は、4時間、0℃で撹拌され、次に、-78℃に冷やされ、そして45mlのTHF中の36.3g(300mmol)の3-ブロモプロプ-1-エンの溶液が、30分かけて加えられた。反応物が室温までゆっくりと温められ、そして次に、この温度で一晩撹拌された。結果として生じた溶液が蒸発乾固され、そして残留物が400mlのエーテルで希釈された。0℃(氷浴)に冷やされたこの溶液が、900mlの水中の120mlの96%硫酸の氷冷溶液で、30分間処理された。この混合物を、30分間、室温で撹拌後に、有機層が分離され、そして水性層が2x200mlのエーテルで抽出された。一緒にされた有機抽出物が2x200mlの水で洗われ、Na2SO4で乾燥され、そして減圧下で濃縮された。生成物が、シリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィー(40~63μm;溶離液:ヘキサン-酢酸エチル=97:3,容量)によって分離された。この手順は、無色の液体として40.5g(約100%)の1-フェニルペンタ-4-エン-1-オンを与えた。
【0150】
C11H12Oについての計算値:C,82.46;H,7.55。実測値:C,82.70;H,7.63
1H NMR(CDCl3):δ7.99~7.91(m,2H),7.56~7.51(m,1H),7.47~7.40(m,2H),5.90(ddt,J=17.0Hz,J=10.2Hz,J=6.5Hz,1H),5.08(ddt,J=17.0Hz,J=1.6Hz,J=1.6Hz,1H),5.00(ddt,J=10.2Hz,J=1.6Hz,J=1.6Hz,1H),3.05(t,J=7.4Hz,2H),2.53~2.45(m,2H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ199.15,137.16,136.81,132.83,128.43,127.86,115.12,37.57,27.99
【0151】
工程2:6-フェニル-6-(ブト-3-エン-1-イル)フルベン
【0152】
【0153】
方法A
3.42g(148.8mmol)のナトリウム金属及び120mlの乾燥エタノールから得られたナトリウムエトキシドの溶液に、工程1における方法Aに従い得られた23.7g(147.9mmol)の1-フェニルペンタ-4-エン-1-オンが添加された。形成された混合物が0℃に冷やされ、そして次に、25mlの新たに砕かれたシクロペンタ1,3-ジエンが、40分間かけて滴下された。結果として生じた混合物が、4時間、室温で撹拌された。赤色の反応混合物が200mlの水中に注がれ、そして、形成された混合物は3x100mlのn-ヘキサンで抽出された。一緒にされた有機抽出物が無水K2CO3で乾燥され、そして次に、蒸発乾固されて、赤色の油性液体を与えた。粗生成物が、シリカゲル60(300ml,40~63μm;溶離液:ヘキサン/EtOAc=30/1,容量)上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製されて、赤色の油性液体として29.17g(93%,約75%純度)の6-フェニル-6-(ブト-3-エン-1-イル)フルベンを与えた。
【0154】
方法B
100mlのTHF中の10.2g(149.9mmol)のナトリウムエトキシドの0℃に冷やされた溶液に、工程1における方法Aに従い得られた23.5g(146.7mmol)の1-フェニルペンタ-4-エン-1-オンが添加された。次に、25mlの新たに砕かれたシクロペンタ1,3-ジエンが、40分間かけて滴下された。結果として生じた混合物が、4時間、室温で撹拌された。暗赤色の反応混合物に、5mlの水が加えられ、そして結果として生じた混合物が、シリカゲル60(40~63μm)のショートパッドを通過された。濾過物が無水K2CO3で乾燥され、そして次に、蒸発乾固されて、赤色の油性液体を与えた。粗生成物が、シリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィー(300ml,40~63μm;溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=30/1,容量)によって精製されて、赤色の油性液体として29.78g(95%,約75%純度)の6-フェニル-6-(ブト-3-エン-1-イル)フルベンを与えた。
【0155】
方法C
100mlのTHF中の、氷浴中で冷やされた、工程1における方法Bに従い得られた、41.0g(255.9mmol)の1-フェニルペンタ-4-エン-1-オンの溶液に、300mlのTHF中の55.0g(324.9mmol,1.27当量)のシクロペンタジエニルマグネシウムブロミドの溶液が滴下された。結果として生じた混合物が3時間還流され、次に一晩、室温で撹拌され、最終的に氷浴中で冷やされ、そしてpH約5~6に10% HClでクエンチされた。この混合物が4x250mlのヘキサンで抽出され、そして一緒にされた有機抽出物がNa2SO4で乾燥された。真空下での溶媒の除去は、暗赤色の油を与えた。生成物が、シリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィー(40~63μm;溶離液:ヘキサン-酢酸エチル=100:1,容量)によって分離された。この手順は、赤色の油性液体として26.98g(51%,約95%純度)の6-フェニル-6-(ブト-3-エン-1-イル)フルベンを与えた。
【0156】
C16H16についての計算値:C,92.26;H,7.74。実測値:C,92.39;H,7.88
1H NMR(CDCl3):δ7.40~7.30(m,5H),6.62(ddd,J=5.3Hz,J=2.0Hz,J=1.5Hz,1H),6.56(ddd,J=5.3Hz,J=2.0Hz,J=1.5Hz,1H),6.47(ddd,J=5.3Hz,J=2.0Hz,J=1.5Hz,1H),6.10(ddd,J=5.3Hz,J=2.0Hz,J=1.5Hz,1H),5.76(ddt,J=17.0Hz,J=10.3Hz,J=6.6Hz,1H),5.00~4.91(m,2H),2.99(t,J=7.7Hz,2H),2.20~2.12(m,2H)
【0157】
工程3:(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド
【0158】
方法A
【0159】
【0160】
-50℃に冷やされた、200mlのTHF中の14.07g(50.53mmol)の2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンの溶液に、ヘキサン中の20.2ml(50.5mmol)の2.5M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌され、次に、-50℃に冷やされ、そして200mlのTHF中の、工程2における方法Cに従い得られた、11.55g(55.45mmol)の6-フェニル-6-(ブト-3-エン-1-イル)フルベンの溶液が一度に添加された。一晩、室温で撹拌後、形成された暗赤色の反応混合物が氷浴中で冷やされ、そして次に、pH5~6に、200mlの水中の5mlの12M HClの溶液でクエンチされた。結果として生じた黄色の混合物が、400mlのジクロロメタンで抽出された。有機層が分離され、そして水性層が150mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物がNa2SO4で乾燥され、そして次に、シリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過され、それは2x50mlのジクロロメタンによってさらに洗われた。真空下での溶媒の除去は橙色の油を与え、それは真空で乾燥されて、25.7gの1-フェニル-1-(ブト-3-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタンを与え、それは更なる精製無しに更に使用された。-78℃に冷やされた、170mlのエーテル中の13.78g(28.31mmol)の1-フェニル-1-(ブト-3-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタンの黄色がかった溶液に、ヘキサン中の22.7ml(56.8mmol)の2.5M nBuLiが一度に添加された。この混合物は、5時間、室温で撹拌された。-50℃に冷やされた、結果として生じた橙色の懸濁物に、9.07g(28.32mmol)のHfCl4が添加された。形成された混合物が、24時間、室温で撹拌され、そして次に、蒸発乾固された。残留物が200mlの温トルエンで撹拌され、そして、形成された懸濁物が、ガラスフリット(G4)を通じて濾過された。濾過物が約20mlに蒸発され、この溶液から沈殿された橙色の固体が、(G3)で濾別され、トルエン及びヘキサンの3x10mlの混合物(1:2,容量)で洗われ、そして次に、真空で乾燥された。この手順は、8.7g(42%)の(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドを与えた。
【0161】
方法B
【0162】
【0163】
-50℃に冷やされた、200mlのエーテル中の13.92g(50.0mmol)の2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンの溶液に、ヘキサン中の20.6ml(50.0mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物は、4時間、室温で撹拌された。結果として生じた橙色の溶液が-50℃に冷やされ、そして、工程2において方法Cに従って得られた、11.09g(53.2mmol)の6-フェニル-6-(ブト-3-エン-1-イル)フルベンが一度に添加された。一晩、室温で撹拌後、橙色の反応混合物が-50℃に冷やされ、そして次に、ヘキサン中の20.6ml(50.0mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物は、6時間、室温で撹拌された。かなりの量のレンガ赤色の沈殿物を有する結果として生じた暗赤色の溶液が-50℃に冷やされ、そして16.02g(50.02mmol)のHfCl4が添加された。形成された混合物が、24時間、室温で撹拌された。橙色の沈殿物が濾過され、250mlのトルエンで加熱され、LiClから再び濾過され、そしてそして母液がほぼ乾固された。50mlのn-ヘキサンが残留物に加えられ、そして、沈殿された橙色の粉末が(G3)で濾別され、そして、真空で乾燥された。この手順は、16.7gの(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドを与えた。(反応混合物からの)エーテル母液がほぼ乾固され、そして残留物が25mlのn-ヘキサンで粉砕された。橙色の沈殿物が(G3)で濾別されて、3.5gの目的の錯体を与えた。すなわち、この合成において分離された(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドの総収量は、20.2g(55%)であった。
【0164】
C37H40Cl2Hfについての計算値:C,60.54;H,5.49。実測値:C,60.32;H,5.66
1H NMR(CDCl3):δ8.02(d,J=8.9Hz,1H),7.96(d,J=8.9Hz,1H),7.85(dm,J=7.6Hz,1H),7.69(s,1H),7.66~7.61(m,2H),7.61~7.54(m,1H),7.51(dd,J=8.9Hz,J=1.5Hz,1H),7.46~7.38(m,2H),6.36~6.32(m,1H),6.23~6.19(m,1H),6.15(s,1H),5.99~5.86(m,1H),5.81~5.77(m,1H),5.55~5.51(m,1H),5.11(dd,J=17.2Hz,J=1.5Hz,1H),5.06(dd,J=10.3Hz,J=1.5Hz,1H),3.29~3.19(m,1H),2.81~2.70(m,1H),2.43~2.26(m,2H),1.38(s,9H),0.99(s,9H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ152.39,149.63,142.90,137.61,130.60,128.68,128.29,127.40,127.07,124.33,124.16,124.05,123.55,122.49,120.18,119.86,119.65,118.84(2つの共鳴),117.77,116.65,115.23,114.34,99.61,99.57,77.31,53.42,39.89,35.49,34.87,31.14,30.52,28.27
【0165】
工程4:(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
【0166】
【0167】
50mlのトルエン及び50mlのエーテルの混合物中、工程3における方法Aに従い得られた、3.67g(5.0mmol)の(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドの溶液に、エーテル中の7.0ml(14.77mmol)の2.11M MeMgBrが添加された。結果として生じた混合物が30分間還流され、そして次に約25mlに蒸発された。得られた溶液が80~90℃に加熱され、そして、得られた懸濁物が、ガラスフリット(G3)を通じて熱い間に濾過されて、不溶性のマグネシウム塩を除去した。濾過ケーキが、2x20mlのトルエンでさらに洗われた。一緒にされた濾液がほぼ乾固され、そして20mlのヘキサンが残留物に加えられた。結果として生じた混合物がガラスフリット(G4)を通じてもう一度濾過された。母液が蒸発乾固され、そして残留物が7mlのヘキサン中に溶解された。一晩、-40℃で、この溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして、真空で乾燥された。この手順は、3.18g(92%)の純粋な(フェニル)(3-ブテン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル錯体を与えた。
【0168】
C39H46Hfについての計算値:C,67.57;H,6.69。実測値:C,67.82;H,6.85
1H NMR(CDCl3):δ8.08(d,J=8.9Hz,1H),8.00(d,J=8.9Hz,1H),7.83(dm,J=7.9Hz,1H),7.63~7.56(m,2H),7.53~7.45(m,2H),7.39~7.31(m,3H),6.28~6.22(m,1H),6.14~6.10(m,1H),6.05(s,1H),5.95~5.83(m,1H),5.67~5.62(m,1H),5.34~5.29(m,1H),5.07(dd,J=17.2Hz,J=1.5Hz,1H),5.01(dd,J=10.2Hz,J=1.5Hz,1H),3.12~2.98(m,1H),2.62~2.49(m,1H),2.33~2.15(m,2H),1.37(s,9H),0.98(s,9H),-1.76(s,3H),-1.90(s,3H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ150.44,147.83,143.87,138.19,130.77,128.26,127.92,127.20,126.82,124.38,123.76,122.94,122.66,121.16,120.70,119.09,117.45,116.37,115.88,114.73,112.91,111.16,109.34,100.91,100.51,75.97,53.23,39.73,38.29,37.49,35.39,34.76,31.39,30.75,28.39
【0169】
錯体3(C-3):(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
工程1:1-フェニルヘキサ-5-エン-1-オン
【0170】
【0171】
5.75g(0.25mol)のナトリウム金属及び175mlの乾燥エタノールから得られたナトリウムエトキシドの溶液に、48.05g(0.25mol)の安息香酸エチルが添加された。形成された混合物は10分間撹拌され、次に、42.5g(314.8mmol)の4-ブロモブト-1-エンが添加され、そして結果として生じた混合物が5時間還流された。さらに、反応混合物が室温に冷やされ、そして120mlの水中の37gのKOHの溶液が加えられた。結果として生じた混合物が、5時間還流された。室温まで冷やした後、反応混合物が、4M HClで、わずかに酸性のpHに注意深く処理された(注意!強いガス発生!)。結果として生じた混合物が700mlの水で希釈され、そして次に、3x250mlのエーテルで抽出された。一緒にされたエーテル抽出物が200mlの水中の20gのKOHの溶液で洗われ、K2CO3で乾燥され、シリカゲル60(40~63μm)のショートパッドを通じて濾過され、そして次に、蒸発乾固された。残留物が真空で蒸留されて、25.91g(60%;純度 約95%)の1-フェニルヘキサ-5-エン-1-オンを与えた(b.p. 95~105oC/6mmHg)。
【0172】
1H NMR(CDCl3):δ8.00~7.90(m,2H),7.58~7.50(m,1H),7.50~7.39(m,2H),5.82(ddt,J=17.1Hz,J=10.2Hz,J=6.7Hz,1H),5.05(dm,J=17.1Hz,1H),4.99(dm,J=10.2Hz,1H),2.97(t,J=7.3Hz,2H),2.16(td,J=7.3Hz,J=6.7Hz,2H),1.85(quin,J=7.3Hz,2H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ200.09,137.98,137.01,132.82,128.47,127.94,115.20,37.61,33.11,23.23
【0173】
工程2:6-フェニル-6-(ペンタ-4-エン-1-イル)フルベン
【0174】
【0175】
氷浴中で冷やされた、40mlのTHF中の17.4g(100mmol)の1-フェニルヘキサ-5-エン-1-オンの溶液に、120mlのTHF中の20.3g(120mmol,1.2当量)のシクロペンタジエニルマグネシウムブロミドの溶液が滴下された。結果として生じた混合物が3時間還流され、次に、一晩、室温で撹拌され、最終的に氷浴中で冷やされ、そして10% HClで、pH約5~6にクエンチされた。この混合物は3x150mlのヘキサンで抽出され、そして一緒にされた有機抽出物がNa2SO4で乾燥された。真空下での溶媒の除去は、暗赤色の油を与えた。生成物が、シリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィー40~63μm;溶離液:ヘキサン-酢酸エチル=100:1,容量)によって分離された。この手順は、赤色の油として10.23g(46%)の6-フェニル-6-(ペンタ-4-エン-1-イル)フルベンを与えた。
【0176】
C17H18についての計算値:C,91.84;H,8.16。実測値:C,92.11;H,8.35
1H NMR(CDCl3):δ7.41~7.29(m,5H),6.62(ddd,J=5.3Hz,J=1.9Hz,J=1.5Hz,1H),6.56(ddd,J=5.3Hz,J=1.9Hz,J=1.5Hz,1H),6.47(ddd,J=5.3Hz,J=1.9Hz,J=1.5Hz,1H),6.10(ddd,J=5.3Hz,J=1.9Hz,J=1.5Hz,1H),5.73(ddt,J=17.1Hz,J=10.3Hz,J=6.7Hz,1H),5.01~4.90(m,2H),2.92(t,J=7.7Hz,2H),2.09~2.00(m,2H),1.52(quin,J=7.7Hz,2H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ154.28,143.47,140.68,138.01,131.83,131.46,129.43,128.05,127.79,123.83,120.93,115.01,35.57,33.37,28.63
【0177】
工程3:(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリド
【0178】
【0179】
-50℃に冷やされた、250mlのエーテル中の12.81g(46.01mmol)の2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンの溶液に、ヘキサン中の19ml(46.17mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。結果として生じた橙色の溶液が-50℃に冷やされ、そして、150mlのエーテル中の10.23g(46.01mmol)の6-フェニル-6-(ペンタ-4-エン-1-イル)フルベンの溶液が一度に添加された。一晩、室温で撹拌後、暗赤色の反応混合物が-50℃に冷やされ、そして、ヘキサン中の19ml(46.17mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。かなりの量のレンガ赤色の沈殿物を有する結果として生じた暗赤色の溶液が-50℃に冷やされ、そして、14.74g(46.02mmol)のHfCl4が添加された。形成された混合物が、24時間、室温で撹拌され、次に、それは、乾固され、そして残留物が100mlの熱トルエンで処理された。この混合物は、ガラスフリット(G4)を通じて熱い間に濾過されて、そして濾過物が乾固された。残留物が100mlのn-ヘキサンで粉砕され、沈殿した橙色の粉末が(G3)で濾別され、そして次に、真空で乾燥された。この手順は、10.1gの(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドを与えた。母液が約50mlに蒸発され、沈殿した橙色の固体が濾別され、そして次に、真空で乾燥された。この手順は、余分な3.82gの標的の錯体を与えた。すなわち、この合成において単離された(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドの総収量は13.92g(40%)であった。
【0180】
C38H42Cl2Hfについての計算値:C,61.01;H,5.66。実測値:C,61.14;H,5.82
1H NMR(CDCl3):δ8.01(d,J=8.9Hz,1H),7.95(d,J=8.9Hz,1H),7.83(br.d,J=7.7Hz,1H),7.73(s,1H),7.67~7.59(m,2H),7.59~7.52(m,1H),7.49(d,J=8.8Hz,1H),7.45~7.38(m,2H),6.34(br.s,1H),6.21(br.s,1H),6.10(s,1H),5.86~5.70(m,2H),5.55(br.s,1H),5.05(br.d,J=17.1Hz,1H),5.00(br.d,J=10.3Hz,1H),3.01~2.87(m,2H),2.34~2.21(m,1H),2.19~2.06(m,1H),1.75~1.48(m,2H),1.39(s,9H),0.98(s,9H))。13C{1H} NMR(CDCl3):δ152.19,149.66,143.23,138.17,130.20,128.67,128.37,127.26,127.15,124.21,124.05,123.52,122.64,120.26,119.89,119.57,118.89,118.81,117.98,116.72,115.46,114.15,99.74,99.68,53.64,40.32,35.44,34.86,34.02,31.13,30.52,23.41
【0181】
工程4:(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
【0182】
【0183】
50mlのトルエン及び15mlのエーテルの混合物中の5.24g(7.0mmol)の(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドの溶液に、エーテル中の10ml(27mmol)の2.7M MeMgBrが添加された。結果として生じた混合物が、一晩、室温で撹拌された。ほとんどのエーテルが蒸留され、そして結果として生じた混合物がガラスフリット(G4)を通じて濾過されて、不溶性のマグネシウム塩を除去した。濾過物がほぼ乾固された。残留物が30mlのn-ヘキサン中に溶解され、形成された懸濁物がガラスフリット(G3)を通じて濾過され、そして、母液が約10mlに蒸発された。一晩、30℃で、この溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして、真空で乾燥された。この手順は、1.17gの(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチルを与えた。母液が、約5mlに蒸発された。一晩、30℃で、この溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして真空で乾燥され、余分な1.03gの目的の錯体を与えた。すなわち、この合成において分離された(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチルの総収量は2.21g(44%)であった。8.65gの(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジクロリドから開始した類似の合成は、64%の収率で(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチルを与えた。
【0184】
C40H50Hfについての計算値:C,67.92;H,6.84。実測値:C,67.84;H,6.99
1H NMR(CDCl3):δ8.08(d,J=8.9Hz,1H),7.99(d,J=8.8Hz,1H),7.81(dm,J=7.7Hz,1H),7.64~7.57(m,2H),7.53~7.44(m,2H),7.39~7.31(m,3H),6.27~6.23(m,1H),6.14~6.10(m,1H),6.00(br.d,J=0.8Hz,1H),5.76(ddt,J=17.1Hz,J=10.1Hz,J=6.8Hz,1H),5.63~5.57(m,1H),5.36~5.30(m,1H),5.01(dm,J=17.1Hz,1H),4.96(dm,J=10.1Hz,1H),2.82~2.67(m,2H),2.28~2.16(m,1H),2.13~2.01(m,1H),1.66~1.40(m,2H),1.38(s,9H),0.97(s,9H),-1.77(s,3H),-1.91(s,3H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ150.24,147.84,144.25,138.51,130.42,128.29,127.96,127.31,126.68,124.56,123.76,122.90,122.77,121.04,120.67,119.05,117.69,116.37,115.86,115.08,112.90,111.16,109.23,101.03,100.63,76.68,53.46,40.31,38.15,37.43,35.35,34.76,34.19,31.40,30.76,23.52
【0185】
錯体4(C-4):(フェニル)(ペンタ-4-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ハフニウムジメチル
工程1:6-フェニル-6-(3-フェニルプロピル)フルベン
【0186】
【0187】
1.15g(50mmol)のナトリウム金属及び40mlの乾燥エタノールから得られたナトリウムエトキシドの溶液に、50mlのTHF、引き続き11.2g(49.9mmol)の1,4-ジフェニルブタン-1-オン(ABCR,98%)が加えられた。形成された暗赤色の溶液が0℃に冷やされ、そして次に、8.4mlの新たに砕かれたシクロペンタ1,3-ジエンが滴下された。結果として生じた混合物が、4時間、室温で撹拌された。反応混合物が500mlの水中に注がれ、そして、形成された混合物が150mlのジクロロメタンで抽出された。有機層が分離され、そして、水性相が2x75mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物が無水K2CO3で乾燥され、そして次に、蒸発乾固されて、暗赤色の油性液体を与えた。この粗生成物は、シリカゲル60でのフラッシュクロマトグラフィー(300ml,40~63um;溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=100/1,容量)によって精製されて、明るい橙色の液体として7.89g(58%)の6-フェニル-6-(3-フェニルプロピル)フルベンを与えた。
【0188】
C21H20についての計算値:C,92.60;H,7.40。実測値:C,92.79;H,7.60
1H NMR(CDCl3,400MHz,27℃):δ7.42~7.29(m,5H),7.27~7.19(m,2H),7.19~7.12(m,1H),7.11~7.04(m,2H),6.58~6.53(m,2H),6.47(ddd,J=5.2Hz,J=1.5Hz,J=1.5Hz,1H),6.11(ddd,J=5.2Hz,J=1.5Hz,J=1.5Hz,1H),2.94(t,J=7.7Hz,2H),2.60(t,J=7.7Hz,2H),1.75(quin,J=7.7Hz,2H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ154.18,143.52,141.71,140.56,131.89,131.53,129.45,128.34,128.26,128.12,127.84,125.80,123.86,120.89,35.69,35.54,30.99
【0189】
工程2:[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(3-フェニルプロピル)-1-フェニルメタン]ハフニウムジクロリド
【0190】
【0191】
-50℃に冷やされた、200mlのエーテル中の8.07g(28.98mmol)の2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンの溶液に、ヘキサン中の12ml(29.16mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。結果として生じた橙色の溶液が-50℃に冷やされ、そして、25mlのエーテル中の7.89g(28.97mmol)の6-フェニル-6-(3-フェニルプロピル)フルベンの溶液が一度に添加された。5時間、室温で撹拌後に、橙色の反応混合物が-50℃に冷やされ、そしてヘキサン中の11.9ml(28.92mmol)の2.43M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。かなりの量の橙色の沈殿物を有する、結果として生じた橙色の溶液が-50℃に冷やされ、そして9.28g(28.97mmol)のHfCl4が添加された。形成された混合物が、24時間、室温で撹拌され、そして次に、約100mlに蒸発された。形成された橙色の沈殿物が(G3)で濾別され、70mlのトルエンで加熱され、LiClから再び濾過され、そして母液が約10mlに蒸発された。一晩、室温で沈殿された赤色の結晶が(G3)で濾別され、そして次に、真空で乾燥された。この手順は、7.56gの[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(3-フェニルプロピル)-1-フェニルメタン]-ハフニウムジクロリドを与えた。母液が、(蒸発された反応混合物からの)エーテルの母液と一緒にされ、結果として生じた混合物はほぼ乾固され、そして残留物が60mlのn-ヘキサンで粉砕された。形成された沈殿物が(G3)で濾別されて、3.71gの目的の錯体を与えた。すなわち、この合成において分離された[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(3-フェニルプロピル)-1-フェニルメタン]ハフニウムジクロリドの総収量は11.27g(49%)であった。
【0192】
C42H44Cl2Hfについての計算値:C,63.20;H,5.56。実測値:C,63.38;H,5.59
1H NMR(CDCl3):δ7.98(d,J=8.9Hz,1H),7.93(d,J=8.9Hz,1H),7.85(d,J=7.3Hz,1H),7.67(s,1H),7.61(d,J=8.5Hz,2H),7.59~7.52(m,1H),7.48(d,J=8.5Hz,1H),7.45~7.36(m,2H),7.30~7.21(m,2H),7.21~7.03(m,3H),6.29(s,1H),6.19(s,1H),6.08(s,1H),5.58~5.51(m,2H),3.06~2.80(m,3H),2.69~2.36(m,1H),1.99~1.85(m,1H),1.85~1.71(m,1H),1.38(s,9H),0.97(s,9H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ152.11,149.61,143.18,141.56,130.16,128.74,128.46,128.32,127.26,127.17,126.01,124.15,124.02,123.45,122.56,120.24,119.84,119.53,118.84,118.72,117.84,116.65,114.07,99.69,99.56,77.90,53.61,40.15,35.89,35.39,34.83,31.19,30.51,25.91
【0193】
工程3:[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(3-フェニルプロピル)-1-フェニルメタン]ハフニウムジメチル
【0194】
【0195】
40mlのトルエン及び30mlのエーテルの混合物中の3.7g(5.0mmol)の[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(3-フェニルプロピル)-1-フェニルメタン]ハフニウムジクロリドの溶液に、エーテル中の7.0ml(18.9mmol)の2.7M MeMgBrが添加された。結果として生じた混合物が、30分間還流され、そして次に、約30mlに蒸発された。得られた溶液が80~90℃に加熱され、そしてガラスフリット(G3)を通じて熱い間に濾過されて、不溶性のマグネシウム塩を除去した。濾過ケーキが、10 mlの 温トルエンでさらに洗われた。一緒にされた濾液が約15mlに蒸発され、80~90℃に加熱され、そして次に、ガラスフリット(G3)を通じて熱い間に濾過された。母液が約10mlに蒸発され、そして次に、10mlのn-ヘキサンが加えられた。一晩、室温でこの溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして、真空で乾燥された。この手順は、2.11g(60%)の純粋な[1-(η5-シクロペンタジエン-1-イル)-1-(η5-2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)-1-(3-フェニルプロピル)-1-フェニルメタン]ハフニウムジメチルを与えた。
【0196】
C44H50Hfについての計算値:C,69.78;H,6.65。実測値:C,69.86;H,6.83
1H NMR(CDCl3):δ8.07(d,J=8.7Hz,1H),7.98(d,J=8.7Hz,1H),7.82(dm,J=7.7Hz,1H),7.62~7.54(m,2H),7.53~7.44(m,2H),7.39~7.29(m,3H),7.27~7.19(m,2H),7.19~7.08(m,3H),6.24~6.19(m,1H),6.13~6.08(m,1H),5.99(br.d,J=0.9Hz,1H),5.48~5.41(m,1H),5.34~5.30(m,1H),2.89~2.76(m,2H),2.71(td,J=13Hz,J=4.3Hz,1H),2.58(dt,J=14Hz,J=8.0Hz,1H),1.91~1.76(m,1H),1.76~1.62(m,1H),1.37(s,9H),0.96(s,9H),-1.80(s,3H),-1.92(s,3H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ150.24,147.86,144.20,141.95,30.42,128.36,127.97,127.34,126.72,125.83,124.50,123.76,122.88,122.77,121.03,120.69,119.06,117.57,116.38,115.86,112.87,111.16,109.13,101.02,100.60,53.47,40.26,38.14,37.45,36.10,35.33,34.76,31.46,30.77,25.96
【0197】
比較例の為の錯体(CC-1)
(フェニル)(ヘキサ-5-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ジルコニウムジメチル
工程1:1-フェニル-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタン
【0198】
【0199】
-78℃に冷やされた、170mlのTHF中の13.92g(50.0mmol)の2,7-ジ-tert-ブチルフルオレンの溶液に、ヘキサン中の20.0ml(50.0mmol)の2.5M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。結果として生じた明橙色の溶液が-50℃に冷やされ、そして170mlのTHF中の12.44g(52.6mmol,1.05当量)の6-フェニル-6-(ヘキサ-5-エン-1-イル)フルベンの溶液が一度に添加された。一晩、室温で撹拌後、暗赤色の反応混合物が氷浴中で冷やされ、そして次に、10% HClで、わずかに酸性のpHにクエンチされた。橙色の混合物が400mlの水で希釈され、そして500mlのジエチルエーテルで抽出された。有機層が分離され、そして水性層が150mlのジクロロメタンで抽出された。一緒にされた有機抽出物がNa2SO4で乾燥され、そしてシリカゲル60(40~63μm)のパッドを通じて濾過され、それは2x50mlのジクロロメタンによってさらに洗われた。真空下での溶媒の除去は半結晶性の黄色の塊を与え、それは50mlのn-ヘキサンで粉砕され、濾別され、そして真空で乾燥されて、白色の固体として16.62gの1-フェニル-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタンを与えた。母液が蒸発乾固され、そして残留物が100mlの熱n-ヘキサン中に溶解された。一晩、-30℃でこの溶液から沈殿された固体は濾別され、30mlの冷n-ヘキサンで洗われ、そして真空で乾燥された。この手順は、異性体の混合物として、7.82gのわずかに黄色の、標記生成物の固体を与えた。すなわち、この合成において分離された1-フェニル-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタンの総収量は24.44g(94.8%)であった。
【0200】
C39H46についての計算値:C,90.99;H,9.01。実測値:C,91.15;H,9.20
1H NMR(CDCl3):δ7.57~6.95(m,11H),6.34~5.59(m,4H),4.98~4.70(m,3H),2.93~2.55(m,2H),2.49~2.15(m,2H),2.04~1.80(m,2H),1.46~0.91(m,22H)
【0201】
工程2:(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ジルコニウムジクロリド
【0202】
【0203】
-50℃に冷やされた、300mlのエーテル中の16.51g(32.07mmol)の1-フェニル-1-(ヘキサ-5-エン-1-イル)-1-シクロペンタジエニル-1-(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル)メタンの溶液に、ヘキサン中の25.7ml(64.25mmol)の2.5M nBuLiが一度に添加された。この混合物が、一晩、室温で撹拌された。結果として生じた、黄色の沈殿物を有する黄色の溶液が-50℃に冷やされ、そして7.48g(32.1mmol)のZrCl4が添加された。結果として生じた混合物が24時間、室温で撹拌され、そして次に、蒸発乾固された。残留物が150mlの温トルエンで撹拌され、そして、形成された懸濁物がガラスフリット(G4)を通じて濾過された。濾過物が約40mlに蒸発され、そして70mlのn-ヘキサンが加えられた。一晩、-30℃で沈殿された赤色の固体が集められ、そして真空で乾燥された。この手順は、トルエンとの1対1の溶媒和物として19.7g(91%)の(フェニル)(5-ヘキセン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ジルコニウムジクロリドを与えた。
【0204】
C39H44Cl2Zr*C7H8についての計算値:C,72.03;H,6.83。実測値:C,72.24;H,7.09
1H NMR(CDCl3):δ8.04(d,J=8.7Hz,1H),7.98(d,J=8.7Hz,1H),7.82(dm,J=7.7Hz,1H),7.67(s,1H),7.66(dd,J=9.4Hz,J=1.4Hz,1H),7.64~7.60(m,1H),7.59~7.51(m,2H),7.44~7.38(m,2H),6.41~6.37(m,1H),6.28~6.24(m,1H),6.09(m,1H),5.84~5.80(m,1H),5.80~5.68(m,1H),5.59~5.55(m,1H),4.97~4.86(m,2H),3.10~2.97(m,1H),2.82~2.69(m,1H),2.15~1.96(m,2H),1.64~1.44(m,4H),1.39(s,9H),0.98(s,9H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ152.50,149.95,143.09,138.34,130.47,128.56,128.36,127.26,127.09,124.58,124.32,124.29,123.84,123.63,121.45,121.38,120.51,120.03,119.77,118.32,117.64,114.67,111.87,102.14,77.73,53.80,40.88,35.48,34.90,33.76,31.11,30.50,29.43,23.57
【0205】
工程3:(フェニル)(ヘキサ-5-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ジルコニウムジメチル
【0206】
【0207】
50mlのトルエン及び25mlのエーテルの混合物中の3.37g(4.99mmol)の(フェニル)(ヘキサ-5-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ジルコニウムジクロリドの溶液に、エーテル中の7.0ml(14.77mmol)の2.11M MeMgBrが添加された。結果として生じた混合物が、30分間還流され、そして次に、約25mlに蒸発された。得られた懸濁物が80~90℃に加熱され、そしてガラスフリット(G3)を通じて熱い間に濾過されて、不溶性のマグネシウム塩を除去した。濾過ケーキが、2x15mlのトルエンでさらに洗われた。一緒にされた濾液が、約10mlに蒸発された。得られた溶液が80~90℃に再び加熱され、そしてガラスフリット(G3)を通じて熱い間に濾過された。母液が蒸発乾固され、そして残留物が12mlのn-ヘキサン中に溶解された。一晩、-40℃で、この溶液から沈殿された黄色の粉末が集められ、そして真空で乾燥された。この手順は、1.68g(53.1%)の純粋な(フェニル)(ヘキサ-5-エン-1-イル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン-9-イル)ジルコニウムジメチルを与えた。
【0208】
C41H50Zrについての計算値:C,77.66;H,7.95。実測値:C,77.62;H,8.19
1H NMR(CDCl3):δ8.10(d,J=8.6Hz,1H),8.00(d,J=8.9Hz,1H),7.79(dm,J=7.9Hz,1H),7.61~7.54(m,2H),7.52(dd,J=8.9Hz,J=1.2Hz,1H),7.50~7.44(m,1H),7.37(dd,J=8.9Hz,J=1.6Hz,1H),7.35~7.30(m,2H),6.35~6.29(m,1H),6.22~6.15(m,1H),5.97(s,1H),5.80~5.63(m,2H),5.36~5.30(m,1H),4.92(dm,J=17.2Hz,1H),4.87(dm,J=10.0Hz,1H),2.89~2.74(m,1H),2.60~2.45(m,1H),2.11~1.92(m,2H),1.58~1.39(m,4H),1.38(s,9H),0.97(s,9H),-1.57(s,3H),-1.71(s,3H)。13C{1H} NMR(CDCl3):δ150.24,147.86,144.21,138.65,130.62,128.09,127.96,127.22,126.63,125.03,123.57,123.27,122.78,121.01,120.57,119.42,117.91,117.31,117.09,114.42,113.10,111.42,106.37,102.02,101.49,74.70,53.59,40.88,35.35,34.77,33.86,32.24,31.55,31.43,30.80,29.60,23.70
【0209】
【0210】
b)重合手順
重合試験が、底部バルブを装えた125mLのリアクター中、160℃で、且つ液相における異なるC8/C2重量比で実施された。種々の触媒負荷が、10分間の重合中にほぼ一定の温度及び圧力を保証する為の最適な量を見つける為に試験された。TEA(IsoparE中、7x10-2mol/kg)が、全ての実験についてのスカベンジャーとして使用されている。
【0211】
活性化手順
2つの異なる、下記のボレート活性化剤が試験されている:本発明の実施例のIE-3についてのトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TB)、及び全ての他の実験についてのN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(AB)。全ての場合において、1.25のB/Hfモル比が使用されている。錯体及び活性化剤は、4mlのトルエン中に別々に溶解された。次に、ボレート溶液が反応器供給ラインに注入され、続いて錯体溶液が注入され、そして上記の2つが、窒素過圧による反応器内への注入の前に数秒間接触された。
【0212】
重合手順
該反応器は、所望の量(57~73ml)の溶媒(isopar E)(表1を参照)、スカベンジャー(0.035mmol TEA)及び1-オクテンで充填された。溶媒及びモノマーの量は、重合条件での初期液量が80mLになるように選択された。
【0213】
次に、該反応器が加熱され、そしてエチレン(25~28バールg)で慎重に加圧された。条件が安定したら、該エチレン圧力が30バールgに調整され、そして、残留エチレンの取り込みを測定する為に、混合物が750rpmで10分間攪拌された。
【0214】
この時間の後、触媒(4mLのトルエンで溶解された)及び助触媒(4mLのトルエンでまた溶解)が注入ラインで一緒にされ、窒素過圧により該反応器内に直ちに注入された。次に、圧力が、エチレンを供給することにより一定に保たれ、そして10分後、重合が、遷移金属錯体に対して大過剰モルのキリング剤(CO2)を添加することによってクエンチされた。直後に、該反応器が通気され、温度が下げられ、容器が開けられた。溶液は、数ミリグラム(生成されたコポリマーに関して約500ppm)のIrganox 1076を含むアルミニウム鍋に排出された。次に、該鍋が、揮発物が蒸発するまで、十分に換気されたヒュームフードの下に置かれた。集められた残留物質が、ポリマー特性評価の段落で報告された方法に従って、HT-SEC及びDSCによって分析された。
【0215】
【0216】
全ての例について、助触媒ABとしてがIE3を除いて用いられ、TBが助触媒として使用された。
【0217】
表1は、ジルコニウム錯体のより高い活性にもかかわらず、下記を示す:
a)本発明に従うハフニウム錯体は、ジルコニウム類似体と比較してはるかに高いコモノマー反応性を有する、
b)より高いオクテンの含有量(低い密度)を有するコポリマーの場合でも、該ハフニウム錯体はジルコニウム類似体と比較してはるかに高い分子量能力を有する。
【0218】
すなわち、該ハフニウム錯体は、低密度、高分子量のC2/アルファ-オレフィン(好ましくは、オクテン)コポリマーの製造について、全体的にそれらのジルコニウム類似体よりも優れた性能を有する。