(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 8/00 20060101AFI20230207BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230207BHJP
B62D 21/00 20060101ALI20230207BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20230207BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230207BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20230207BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20230207BHJP
【FI】
B60K8/00
B60K1/04 Z
B62D21/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/10 101
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2020022104
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 康彦
(72)【発明者】
【氏名】山形 浩
(72)【発明者】
【氏名】小松 祐太
(72)【発明者】
【氏名】濱野 耕平
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-154691(JP,A)
【文献】特開2004-042828(JP,A)
【文献】特開2017-128202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0295217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 8/00
B60K 1/04
B62D 21/00
H01M 8/00
H01M 8/04
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
マウント部を介して車両にマウントされる燃料電池アッセンブリであって、
第1燃料電池ユニットと、
前記第1燃料電池ユニットが載置されて固定される第1フレーム部と、
第2燃料電池ユニットと、
前記第2燃料電池ユニットが載置されて固定される第2フレーム部と、
前記第1燃料電池ユニットよりも上方に前記第2燃料電池ユニットが位置するように、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部と、
を備える、燃料電池アッセンブリ
を備え、
運転者が搭乗する客室の後方に貨物が積載される貨物車両として構成され、
前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとは、発電により生じた生成水を排出する配管を接続される配管接続部であって、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの前記車両の後方側の端部にそれぞれ設置された配管接続部を有し、
前記燃料電池アッセンブリは、前記客室の下方の領域に設置されており、前記車両の前後方向に対して、前記燃料電池アッセンブリの前記車両の後方側が下方に傾斜するように設置されている、車両。
【請求項2】
請求項1記載の
車両であって、
前記第1燃料電池ユニットと、前記第2燃料電池ユニットとは、前記車両の前後方向に互いにオフセットされた位置に配置されている、
車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の
車両であって、
前記第2フレーム部は、前記マウント部より上方の位置であって、前記マウント部から離れた位置に設けられており、
前記第2フレーム部を構成する部材の強度は、前記第1フレーム部を構成する部材の強度より低い、
車両。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の
車両であって、
前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとは、前記車両の高さ方向に見たときに互いに重なり合う部位を有するように支持されている、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池アッセンブリおよびそれを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両には、複数の燃料電池ユニットが搭載される場合がある。例えば、下記の特許文献1には、燃料電池ユニットに相当する2つの燃料電池スタックが、車両の幅方向に並べて配置される燃料電池車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池車両では、通常、燃料電池ユニットは、車両本体から伝達される振動や衝撃を弾性変形により吸収する弾性緩衝部材を含むマウント部を介して燃料電池車両のフレームに固定される。この場合には、マウント部における弾性緩衝部材の弾性変形により燃料電池ユニットが変位する可能性がある。そのため、燃料電池車両では、燃料電池ユニットと、その周囲の構造物との干渉を抑制するために、燃料電池ユニットの周囲には、燃料電池ユニットの変位を許容するための十分な空隙が設けられていることが望ましい。また、燃料電池車両では、一般に、燃料電池ユニットの周囲には、燃料電池ユニットの組み付けやメンテナンス等の作業を容易化するための空隙が確保されていることが望ましい。
【0005】
上記の特許文献1のように、複数の燃料電池ユニットを幅方向に一列に並べて燃料電池車両に搭載する場合には、そうした各燃料電池ユニットの周囲の空隙を確保しようとすると、車両の幅方向の寸法を増大させる必要が生じる可能性がある。このように、車両内の限られた空間内に複数の燃料電池ユニットを搭載する方法については依然として改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、車両が提供される。この車両は、マウント部を介して車両にマウントされる燃料電池アッセンブリであって、第1燃料電池ユニットと、前記第1燃料電池ユニットが載置されて固定される第1フレーム部と、第2燃料電池ユニットと、前記第2燃料電池ユニットが載置されて固定される第2フレーム部と、前記第1燃料電池ユニットよりも上方に前記第2燃料電池ユニットが位置するように、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部と、を備える、燃料電池アッセンブリを備え、運転者が搭乗する客室の後方に貨物が積載される貨物車両として構成され、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとは、発電により生じた生成水を排出する配管を接続される配管接続部であって、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットと前記車両の後方側の端部にそれぞれ設置された配管接続部を有し、前記燃料電池アッセンブリは、前記客室の下方の領域に設置されており、前記車両の前後方向に対して、前記燃料電池アッセンブリの前記車両の後方側が下方に傾斜するように設置されている。
【0007】
(1)第1の形態は、マウント部を介して前記車両にマウントされる燃料電池アッセンブリであって、第1燃料電池ユニットと、前記第1燃料電池ユニットが載置されて固定される第1フレーム部と、第2燃料電池ユニットと、前記第2燃料電池ユニットが載置されて固定される第2フレーム部と、前記第1燃料電池ユニットよりも上方に前記第2燃料電池ユニットが位置するように、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部とを連結する連結部と、を備える、燃料電池アッセンブリとして提供される。
この形態の燃料電池アッセンブリによれば、第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとを、共通のマウント部を介して一体的にまとめて車両にマウントすることができるため、効率的である。また、この形態の燃料電池アッセンブリによれば、第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとが、高さ方向に位置をずらした状態で支持される。そのため、各燃料電池ユニットの前後左右の領域に、マウント部による燃料電池ユニットの変位を許容したり、メンテナンス作業を容易化したりするための空隙を容易に設けることができる。
(2)上記形態の燃料電池アッセンブリにおいて、前記第1燃料電池ユニットと、前記第2燃料電池ユニットとは、前記車両の前後方向に互いにオフセットされた位置に配置されてよい。
この形態の燃料電池アッセンブリによれば、各燃料電池ユニットを互いに前後方向にオフセットさせた位置に固定することができる。これにより、各燃料電池ユニットをオフセットさせることによって形成された空間に、燃料電池ユニットに接続される補機類等を搭載することができるため、車両内の限られた空間を効率的に利用することができる。
(3)上記形態の燃料電池アッセンブリにおいて、前記第2フレーム部は、前記マウント部より上方の位置であって、前記マウント部から離れた位置に配置されており、前記第2フレーム部を構成する部材の強度は、前記第1フレーム部を構成する部材の強度より低くてよい。
この形態の支持フレームによれば、マウント部は、第2フレーム部から離れた位置において燃料電池アッセンブリに連結される。これにより、第2フレーム部は、車両衝突時の衝撃が直接的に伝わることが抑制されるため、マウント部とともに第2フレーム部の下方に配置されている第1フレーム部よりも強度を低くすることが許容される。第2フレーム部の強度を低くすれば、第2フレーム部の軽量化が容易になるため、支持フレームの全体としての軽量化が可能になる。
(4)上記形態の燃料電池アッセンブリにおいて、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとは、前記車両の高さ方向に見たときに互いに重なり合う部位を有するように支持されてよい。
この形態の燃料電池アッセンブリによれば、複数の燃料電池ユニットを、車両内の限られた空間内に一体的にコンパクトに搭載することができ、車両が前後方向や幅方向に大型化することを抑制できる。
(5)第2の形態は、車両であって、上記形態の燃料電池アッセンブリを備え、運転者が搭乗する客室の後方に貨物が積載される貨物車両として構成され、前記燃料電池アッセンブリは、前記客室の下方の領域に設置されている、車両として提供される。
この形態の車両によれば、貨物車両内における高さ方向に寸法を取りやすい空間を利用して、複数の燃料電池ユニットを上下二段で搭載することができる。
本開示の技術は、燃料電池アッセンブリおよびそれを備える車両以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、複数の燃料電池ユニットを支持する支持フレームや、車両への燃料電池ユニットの搭載方法、車両における燃料電池ユニットの搭載構造等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態:
図1は、本実施形態における車両10を示す概略側面図である。
図1には、互いに直交するX方向、Y方向、および、Z方向を示す矢印が図示されている。X方向は、車両10の幅方向に相当し、Y方向は、車両10の前後方向に相当し、Z方向は車両10の高さ方向に相当する。X方向、Y方向、および、Z方向を示す矢印は、後に参照する各図においても
図1に対応するように図示されている。
【0010】
車両10は、燃料電池を電力源として備える燃料電池車両である。本実施形態では、車両10は、複数の燃料電池ユニット100を備える。本明細書において「燃料電池ユニット」とは、燃料電池と、燃料電池本体に一体的に取り付けられている機器と、で構成されるユニットを意味する。「燃料電池本体に一体的に接続される機器」には、例えば、燃料電池を収納するケースや、センサー類、バルブ、ポンプ、配管接続部材などが含まれる。
【0011】
本実施形態の燃料電池は、固体高分子形燃料電池であり、後述するように、単体でも発電が可能な要素である単セルが複数個積層された燃料電池スタックとして構成されている。なお、燃料電池ユニット100が有する燃料電池は、固体高分子形燃料電池に限定されることはない。他の実施形態では、燃料電池として、例えば固体酸化物形燃料電池など、種々のタイプの燃料電池を採用することが可能である。
【0012】
本実施形態では、車両10は、貨物車両として構成され、牽引車両であるトラクターヘッド11と、貨物が積載される被牽引車両であるトレーラー12と、を備える。トラクターヘッド11は、本体ボディ11bの内部に運転者を含む乗員が搭乗する客室13を有する。また、トラクターヘッド11は、X方向に配列されたサイドフレームを構成する一対の車両フレーム15を備える。各車両フレーム15は、Y方向に沿って配置され、客室13の下方領域から本体ボディ11bの後方へとY方向に沿って延び出ている。上述した燃料電池ユニット100は、後述する支持フレームに支持されて、燃料電池アッセンブリとして一体的に車両10の車両フレーム15に固定される。車両10における燃料電池ユニット100の搭載方法については後述する。
【0013】
トラクターヘッド11の前輪16および後輪17は、X方向において、車両フレーム15の両外側に取り付けられている。前輪16は、客室13の下方に位置しており、後輪17は、車両フレーム15の後端部近傍に位置している。前輪16は、図示しない駆動力源に接続され、当該駆動力源から伝達される駆動力によって回転する駆動輪である。本実施形態では、駆動力源はモータによって構成され、燃料電池ユニット100の出力電力で駆動する。後輪17の上方には、トレーラー12の荷室の前方側端部が配置されている。
【0014】
図2は、燃料電池アッセンブリ200のトラクターヘッド11における設置位置と、燃料電池ユニット100が備える燃料電池スタック110と、を示す概略図である。
図2には、便宜上、トラクターヘッド11をX方向に見たときの本体ボディ11bの外周輪郭線および本体ボディ11b内における客室13の形成領域を破線で示し、トラクターヘッド11の車両フレーム15を一点鎖線で示してある。また、
図2には、燃料電池スタック110を破線で図示してある。
【0015】
本実施形態では、複数の燃料電池ユニット100は、第1燃料電池ユニット101と、第2燃料電池ユニット102と、を含む。第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とは、共通の支持フレーム20に支持されることにより、燃料電池アッセンブリ200を構成する。詳細は後述するが、燃料電池アッセンブリ200では、支持フレーム20によって、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とは上下二段で支持される。第1燃料電池ユニット101は下方に配置され、第2燃料電池ユニット102は上方に配置される。
【0016】
燃料電池アッセンブリ200は、支持フレーム20が、後述するマウント部を介して、一対の車両フレーム15に固定されることにより、車両10にマウントされる。
図2では、便宜上、マウント部の図示は省略されている。本実施形態では、燃料電池アッセンブリ200は、客室13の下方において、一対の車両フレーム15の間に配置されている。また、燃料電池アッセンブリ200は、前輪16にX方向に挟まれる位置に配置されている。
【0017】
本実施形態では、燃料電池アッセンブリ200の支持フレーム20は、後方側が下方に下がるように、Y方向に対してわずかに傾斜した状態で設置されている。支持フレーム20は、例えば、Y方向に対して1~10°程度傾いた状態で設置される。これにより、支持フレーム20に支持されている第1燃料電池ユニット101および第2燃料電池ユニット102は、車両10において、後方側が下方に下がるようにY方向に対して傾斜した状態で配置される。なお、他の実施形態では、支持フレーム20は、Y方向に対して傾斜した状態で設置されていなくてもよい。
【0018】
第1燃料電池ユニット101および第2燃料電池ユニット102はそれぞれ、複数の
単セル111が積層された燃料電池スタック110を備える。図示は省略するが、各単セル111は、固体電解質膜の両側に電極が配置された膜電極接合体を有する。各燃料電池ユニット101,102の燃料電池スタック110は、単セル111の積層方向の一端が車両10の前方側に位置し、他端が車両10の後方側に位置するように配置される。燃料電池スタック110の後方側の端部には、燃料電池スタック110に反応ガスの供給および排出をおこなうための配管が接続される第1配管接続部113が設けられている。一方、燃料電池スタック110の前方側の端部には、燃料電池スタック110に対する冷媒の供給および排出をおこなうための配管が接続される第2配管接続部114が設けられている。
【0019】
上記のように、支持フレーム20がY方向に対して傾斜して設置されていることにより、燃料電池スタック110は、後方側が下方に下がるようにY方向に対して傾斜した状態で配置される。これにより、燃料電池スタック110において発電により生じた生成水が、重力の作用により燃料電池スタック110の後方側の端部へと誘導されやすくなる。よって、第1配管接続部113を通じた燃料電池スタック110からの排水が容易化される。
【0020】
図3、
図4、
図5、および、
図6を参照して、燃料電池アッセンブリ200が備える支持フレーム20の構成の詳細を説明する。
図3は、車両10の車両フレーム15に固定された使用状態にある支持フレーム20を斜め上方から見たときの概略斜視図である。
図4は、使用状態にある支持フレーム20をX方向に見たときの概略側面図である。
図5は、使用状態にある支持フレーム20を上方から下方に向かってZ方向の逆方向に見たときの概略平面図である。
図6は、使用状態にある支持フレーム20を前方から後方に向かってY方向の逆方向に見たときの概略正面図である。
【0021】
図3~
図6では、便宜上、車両フレーム15を一点鎖線で図示してある。また、
図4~
図6では、車両フレーム15に加えて、支持フレーム20を車両フレーム15に固定するマウント部18および連結部材19も一点鎖線で図示してある。
図3では、燃料電池ユニット100を破線で図示するとともに、マウント部18および連結部材19の図示は省略されている。また、
図4には、後述するシステム補機120a,120bの搭載領域を二点鎖線で図示してある。
【0022】
図3を参照する。支持フレーム20は、複数の細長い直線状のフレーム部材31~37を連結させた略直方体形状の枠体として構成されている。本実施形態では、各フレーム部材31~37は、中空の角柱状の金属製部材によって構成される。各フレーム部材31~37は、角柱状ではなく、丸柱状や、細長い平板状の形状を有していてもよいし、長手方向に直交する断面が略L字形状や矩形波形状を有するアングル部材として構成されていてもよい。各フレーム部材31~37は、例えば、押出成形によって作製され、溶接によって互いに連結される。
【0023】
支持フレーム20は、第1燃料電池ユニット101が上に載置されて固定される第1フレーム部21と、第2燃料電池ユニット102が上に載置されて固定される第2フレーム部22と、を備える。第2フレーム部22は、第2燃料電池ユニット102が第1燃料電池ユニット101よりも上方に位置するように、第1フレーム部21より上方に設けられている。
【0024】
図3に示すように、第1フレーム部21では、一対の並列な第1フレーム部材31と、第1フレーム部材31に交差する複数の第2フレーム部材32と、によって第1燃料電池ユニット101の載置面が構成される。一対の第1フレーム部材31は、支持フレーム20の底辺を構成し、車両10において、X方向に離れて配列される。
図5に示すように、各第1フレーム部材31は、互いに平行に配置される。
図3~6に示すように、各第1フレーム部材31は、車両10において、車両フレーム15とX方向に隣り合う位置において、車両フレーム15に沿って配置される。また、
図3および
図4に示すように、各第1フレーム部材31は、車両10において、後方側ほど下方に位置するように、Y方向に対して傾斜した状態で配置される。
【0025】
図3、
図5、および、
図6に示すように、複数の第2フレーム部材32は、一対の第1フレーム部材31の間においてX方向に架設され、両端が、一対の第1フレーム部材31の側面に連結される。
図3および
図5に示すように、本実施形態では、第2フレーム部材32は、第1フレーム部材31の前方側に寄った位置に設けられている。
図3に示すように、第1燃料電池ユニット101は、第2フレーム部材32の上に配置されて、図示しない電池用マウントを介して、ボルトなどによって第2フレーム部材32に固定される。複数の第2フレーム部材32は、支持フレーム20において、第1燃料電池ユニット101が固定される第1固定部として機能する。
【0026】
図3に示すように、第2フレーム部22では、並列な一対の第3フレーム部材33と、第3フレーム部材33に交差する複数の第4フレーム部材34と、によって第2燃料電池ユニット102の載置面が構成される。一対の第3フレーム部材33は、支持フレーム20の上辺を構成し、車両10において、X方向に離れて配列され、略Y方向に沿って互いに平行に配置される。
図5に示すように、各第3フレーム部材33は、第1フレーム部材31とZ方向に見たときに重なり合う位置において第1フレーム部材31と平行に配置されている。
図3および
図4に示すように、各第3フレーム部材33は、車両10において、第1フレーム部材31と同様に、後方側が下がるように傾斜した状態で配置される。
【0027】
図3、
図5および
図6に示すように、複数の第4フレーム部材34は、一対の第3フレーム部材33の間に架設され、両端が、一対の第3フレーム部材33の側面に連結される。
図3および
図5に示すように、本実施形態では、第4フレーム部材34は、第3フレーム部材33の後方側に寄った位置に設けられている。
図3に示すように、第2燃料電池ユニット102は、第4フレーム部材34の上に配置されて、図示しない電池用マウントを介して、ボルトなどによって第4フレーム部材34に固定される。複数の第4フレーム部材34は、支持フレーム20において、第2燃料電池ユニット102が固定される第2固定部として機能する。
【0028】
本実施形態では、第2フレーム部材32によって構成される第1固定部と、第4フレーム部材34によって構成される第2固定部とは、第1フレーム部材31および第3フレーム部材33に沿った方向において互いにオフセットされた位置に設けられている。これによって、車両10では、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とが、
図4および
図5に示すように、車両10の前後方向にオフセットされた位置に搭載される。なお、本実施形態では、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とは、支持フレーム20によって、Z方向に見たときに互いに重なり合う部位を有する位置において支持される。
【0029】
本実施形態では、第2フレーム部22は、さらに、第5フレーム部材35を備える。第5フレーム部材35は、第3フレーム部材33の前方側の端部において、第3フレーム部材33の上方に架設されている。第5フレーム部材35によって、一対の第3フレーム部材33の歪みが抑制される。第5フレーム部材35は省略されてもよい。
【0030】
図3、
図4、および、
図6に示すように、支持フレーム20は、さらに、第1フレーム部21と第2フレーム部22とを連結する複数の第6フレーム部材36を備える。第6フレーム部材36は、第2燃料電池ユニット102が第1燃料電池ユニット101よりも上方に位置するように、第1フレーム部21と第2フレーム部22とを連結する連結部として機能する。各第6フレーム部材36は、上下に配列されている第1フレーム部材31と第3フレーム部材33との間においてZ方向に架設されている。各第6フレーム部材36の一方の端部は、第1フレーム部材31の底面に連結され、他方の端部は、第3フレーム部材33の上面に連結されている。本実施形態では、各第6フレーム部材36は、互いに平行に配列されており、第1フレーム部材31と第3フレーム部材33とに直交している。各第6フレーム部材36の長さは、第1燃料電池ユニット101の高さより大きい。
【0031】
本実施形態では、支持フレーム20は、さらに、筋交いとして機能する複数の第7フレーム部材37を備える。第7フレーム部材37は、第1フレーム部材31と第3フレーム部材33と第6フレーム部材36のそれぞれに対して斜めに交差するように連結されている。第7フレーム部材37を有することにより、支持フレーム20のY方向への歪みが抑制される。なお、第7フレーム部材37は省略されてもよい。
【0032】
本実施形態の支持フレーム20は、第2フレーム部22を構成するフレーム部材33,34の強度は、第1フレーム部21を構成するフレーム部材31,32の強度よりも低い。本実施形態では、第1フレーム部21と第2フレーム部22とで異なる強度の金属材料を使用することにより、そのような強度の差を生じさせている。本実施形態では、例えば、第1フレーム部21のフレーム部材31,32は、ステンレス鋼によって構成され、第2フレーム部22のフレーム部材33,34は、アルミニウム合金によって構成される。このように、第1フレーム部21と第2フレーム部22とで構成部材の強度を変えている理由については後述する。なお、本実施形態では、支持フレーム20の第2フレーム部22以外の部位を構成するフレーム部材36~37については、第1フレーム部21と同様に、第1フレーム部21を構成するフレーム部材31,32と同様に強度の高い材料で構成される。
【0033】
図4~
図6に示すように、支持フレーム20は、複数のマウント部18および連結部材19を介して、車両10の車両フレーム15に固定される。各マウント部18は、車両10の車両フレーム15に連結されている。連結部材19は、支持フレーム20の側方に連結される板状の部材であり、支持フレーム20と各マウント部18との連結を介在する。本実施形態では、連結部材19は、車両10の前後方向に沿って配置されており、第6フレーム部材36または第7フレーム部材37に固定されている。各マウント部18は、連結部材19に連結されている。
【0034】
各マウント部18は、連結部材19との連結部位に、エラストマーなどの樹脂部材によって構成される緩衝弾性部材18eを備える。緩衝弾性部材18eの弾性変形によって、車両フレーム15を介して支持フレーム20および燃料電池ユニット100へと伝達される車両10の走行時の振動や車両10の外部からの衝撃が低減される。他の実施形態では、緩衝弾性部材18eは金属製のスプリングによって構成されてもよい。車両10では、各燃料電池ユニット101,102の周囲に、緩衝弾性部材18eの弾性変形による各燃料電池ユニット101,102の変位を許容するための空隙が確保されている。
【0035】
本実施形態の燃料電池アッセンブリ200によれば、支持フレーム20によって、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とを共通のマウント部18を介して車両10にマウントすることができる。よって、車両10におけるマウント部18の個数を低減でき、効率的である。なお、本実施形態では、支持フレーム20は、その高さ方向の中央部付近において、マウント部18に連結されている。これにより、緩衝弾性部材18eが弾性変形したときの支持フレーム20の上端部や下端部における変位幅が低減されるため、緩衝弾性部材18eの弾性変形によって各燃料電池ユニット101,102が変位する範囲が縮小されている。
【0036】
本実施形態の燃料電池アッセンブリ200では、支持フレーム20によって、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とが、高さ方向に位置をずらした状態で支持されている。これにより、各燃料電池ユニット101,102の配置領域が車両10の前後方向や幅方向に干渉し合うことを抑制できる。そのため、各燃料電池ユニット101,102の前後左右の領域に、上述した緩衝弾性部材18eの弾性変形による各燃料電池ユニット101,102の変位を許容する空隙を十分に確保することができる。また、各燃料電池ユニット101,102のメンテナンスのための作業空間が車両10の前後方向や幅方向に干渉し合うことを抑制できる。よって、各燃料電池ユニット101,102の前後左右の領域に、そうした作業空間を確保することが容易になる。加えて、そうした燃料電池ユニット101,102の変位のための空隙やメンテナンスのための作業空間を含めた燃料電池ユニット101,102のための領域を設けつつ、各燃料電池ユニット101,102のX方向やY方向における距離を縮めることもできる。
【0037】
図4を参照する。本実施形態の燃料電池アッセンブリ200によれば、支持フレーム20によって、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とが、車両10の高さ方向に見たときに、互いに重なり合う部位を有するように設置される。そのため、2つの燃料電池ユニット101,102の配置領域が車両10の前後方向や幅方向に大きくなってしまうことを抑制でき、車両10の前後方向や幅方向におけるサイズが拡大することが抑制される。
【0038】
本実施形態の支持フレーム20では、第2フレーム部22は、マウント部18から離れた位置であって、車両フレーム15およびマウント部18より上方の位置に配置されている。これによって、車両10の衝突時などに車両フレーム15やマウント部18を通じて伝達される衝撃は、第2フレーム部22の方が、車両フレーム15やマウント部18に近い位置にある第1フレーム部21よりも低減される。そのため、第2フレーム部22に求められる強度は、第1フレーム部21よりも小さい。第2フレーム部22は、強度を低くすれば容易に軽量化できる。そこで、本実施形態の支持フレーム20では、第2フレーム部22を構成するフレーム部材33,34の強度を、第1フレーム部21を構成するフレーム部材31,32の強度より低くし、その上で、第2フレーム部22を第1フレーム部21より軽量化している。これにより、本実施形態の支持フレーム20では、各燃料電池ユニット101,102の保護性能の低下を抑制しつつ、全体としての軽量化が実現されている。
【0039】
本実施形態の燃料電池アッセンブリ200によれば、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とは、車両10の前後方向にオフセットされた位置に支持される。これにより、車両10では、そのオフセットによって生じる2つの燃料電池ユニット101,102のそれぞれに面する空間を、例えば、以下のように、各燃料電池ユニット101,102に接続される補機類の設置空間として有効活用することができる。
【0040】
本実施形態の車両10では、支持フレーム20上における第1燃料電池ユニット101の後方の領域であって、第2燃料電池ユニット102の後端側における下方の領域には、第1システム補機120aが支持される。第1システム補機120aは、各燃料電池ユニット101,102に対する反応ガスの供給および排出をおこなうためのコンプレッサやバルブ、配管類を含む。上述したように、本実施形態では、燃料電池ユニット101,102の後端側に、反応ガス用の第1配管接続部113が設けられている。そのため、第1システム補機120aが前述した位置に設置されていれば、第1システム補機120aと各燃料電池ユニット101,102との間の配管距離を短くすることができ、燃料電池システムをコンパクトにまとめることができる。
【0041】
また、本実施形態の車両10では、支持フレーム20上における第1燃料電池ユニット101の前端側における上方の領域であって、第2燃料電池ユニット102の前方の領域には、第2システム補機120bが支持される。第2システム補機120bは、各燃料電池ユニット101,102に対する冷媒の供給および排出をおこなうためのポンプや、バルブ、配管類を含む。上述したように、本実施形態では、各燃料電池ユニット101,102の前端側に、冷媒用の第2配管接続部114が設けられている。そのため、第2システム補機120bが前述した位置に設置されていれば、第2システム補機120bと各燃料電池ユニット101,102との間の配管距離を短くすることができ、燃料電池システムをコンパクトにまとめることができる。
【0042】
本実施形態の燃料電池アッセンブリ200では、支持フレーム20は、上述したように、直線状のフレーム部材31~37を連結した枠体によって構成されている。そうした枠体であれば、各フレーム部材31~37間の隙間が多いため、燃料電池ユニット100に接続される配管や配線を配設するための経路の自由度が高まる。また、燃料電池ユニット100にそうした配管や配線、種々の機器を取り付ける際の機械や工具のアクセスが容易化される。
【0043】
図2を参照する。本実施形態の車両10では、燃料電池アッセンブリ200は、トラクターヘッド11の客室13の下方に搭載される。トラクターヘッド11は、乗用車などの普通車両に比較して車高が高く、客室13の下方領域は、乗員のシート下の領域など、高さ方向の寸法を比較的大きく取りやすい。よって、トラクターヘッド11であれば、2つの燃料電池ユニット101,102が上下に配置される燃料電池アッセンブリ200の設置が容易である。
【0044】
以上のように、本実施形態の支持フレーム20によれば、各燃料電池ユニット101,102を、上下二段で、一体的にまとまった状態で、車両10に容易に搭載できる。また、燃料電池ユニット101,102の周囲に必要な空隙を確保しつつ、車両10内の空間を有効に活用することができる。
【0045】
2.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の各実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0046】
・他の実施形態1:
上記実施形態の燃料電池アッセンブリ200が備える支持フレーム20において、第1フレーム部21や第2フレーム部22は、直線状のフレーム部材31~34の代わりに、上下二段に配置された板状の部材によって構成されてもよい。また、第1燃料電池ユニット101が固定される第1固定部は、複数の第2フレーム部材32の代わりに、第1フレーム部材31の間に架設される一枚または複数枚の板状部材によって構成されてもよい。第2燃料電池ユニット102が固定される第2固定部は、複数の第4フレーム部材34の代わりに、第3フレーム部材33の間に架設される一枚または複数枚の板状部材によって構成されてもよい。
【0047】
・他の実施形態2:
上記実施形態の燃料電池アッセンブリ200において、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とは、車両10の前後方向にオフセットされた位置に配置されていなくてもよい。また、第1燃料電池ユニット101と第2燃料電池ユニット102とは、車両10の高さ方向に見たときに互いに重なり合う部位を有しない状態で配置されていてもよい。
【0048】
・他の実施形態3:
上記実施形態の支持フレーム20において、第2フレーム部22の上方に、さらに、燃料電池ユニット100を支持する1または2以上のフレーム部が追加されてもよい。
【0049】
・他の実施形態4:
上記実施形態の支持フレーム20において、第1フレーム部21を構成する部材と第2フレーム部を構成する部材とは、同じ種類の金属で構成されてもよいし、同程度の強度や重量を有するように構成されていてもよい。
【0050】
・他の実施形態5:
上記の実施形態において、支持フレーム20は、車両フレーム15の上や下に架設されていてもよい。この場合には、連結部材19は省略され、マウント部18は、支持フレーム20の下方や上方から第1フレーム部21を直接支持してもよい。上記実施形態において、支持フレーム20は、マウント部18を介して車両フレーム15以外の部位、例えば、車両10のボディに固定されてもよい。
【0051】
・他の実施形態6:
車両10は、トラクターヘッド11とトレーラー12とを備える貨物車両に限定されることはない。車両10は、トラクターヘッド11単体によって構成されていてもよいし、客室を有する本体ボディと、貨物を積載する荷台とが一体化されている貨物車両によって構成されていてもよい。また、車両10は、貨物車両として構成されていなくてもよく、例えば、普通自動車として構成されていてもよい。
【0052】
3.その他:
本開示の技術は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須ではないと説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…車両、11…トラクターヘッド、11b…本体ボディ、12…トレーラー、13…客室、15…車両フレーム、16…前輪、17…後輪、18…マウント部、18e…緩衝弾性部材、19…連結部材、20…支持フレーム、21…第1フレーム部、22…第2フレーム部、31…第1フレーム部材、32…第2フレーム部材、33…第3フレーム部材、34…第4フレーム部材、35…第5フレーム部材、36…第6フレーム部材、37…第7フレーム部材、100…燃料電池ユニット、101…第1燃料電池ユニット、102…第2燃料電池ユニット、110…燃料電池スタック、111…単セル、113…第1配管接続部、114…第2配管接続部、120a…第1システム補機、120b…第2システム補機、200…燃料電池アッセンブリ