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特許7221908自動運転車両及び自動運転車両用のシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】自動運転車両及び自動運転車両用のシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/035 20120101AFI20230207BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20230207BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20230207BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20230207BHJP
   B60W 50/023 20120101ALI20230207BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230207BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B60W50/035
B60W10/26
B60W10/30
B60W40/02
B60W50/023
B60W60/00
G08G1/16 C
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020112520
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2021031052
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】201910753923.7
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201921323822.8
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】リジュン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】チャンファ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンピン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ヤン
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-077414(JP,A)
【文献】特表2018-504309(JP,A)
【文献】特表2018-518412(JP,A)
【文献】特開2019-134301(JP,A)
【文献】特開2019-083450(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230132(WO,A1)
【文献】特開2002-274305(JP,A)
【文献】特開2018-196252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00~10/30
B60W 30/00~60/00
G08G 1/00~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両(100)用のシステムであって、
第1電源出力(140)と第2電源出力(142)とを含む電力供給ユニット(130)と、
前記第1電源出力(140)によって電力供給されるように配置され、且つ前記第2電源出力(142)を検出したことに応じて、前記自動運転車両(100)の動作を制御するように構成され、前記第1電源出力(140)を調整することにより第3電源出力(144)を提供するように構成されるマスタコンピューティングユニット(102)と、
前記第2電源出力(142)によって電力供給されるように配置され、且つ前記マスタコンピューティングユニット(102)の故障を検出したことに応じて、前記自動運転車両(100)の動作を制御するように構成されるスレーブコンピューティングユニット(104)と、
前記第2電源出力(142)によって電力供給されるように配置され、且つ前記マスタコンピューティングユニット(102)および前記スレーブコンピューティングユニット(104)に通信可能に結合されるスイッチ(106)と、
前記スイッチ(106)に通信可能に結合され、且つ前記第3電力出力(144)によって電力供給されるように配置されるレーザレーダであって、前記自動運転車両(100)の周辺の環境情報を取得し、前記環境情報を前記スイッチ(106)に送信するように構成されるレーザレーダ(116,118)と、
前記マスタコンピューティングユニット(102)に通信可能に結合され、且つ前記第3電源出力(144)によって電力供給されるように配置されるカメラであって、前記自動運転車両(100)の周辺の光学画像を取得し、前記光学画像を前記マスタコンピューティングユニット(102)に送信するように構成されるカメラ(110)と、
前記第2電源出力(142)によって電力供給されるように配置され、且つ前記マスタコンピューティングユニット(102)及び前記スレーブコンピューティングユニット(104)に通信可能に結合されるミリ波レーダーであって、前記自動運転車両(100)の周辺のマイクロ波画像を取得し前記マイクロ波画像を前記マスタコンピューティングユニット(102)および前記スレーブコンピューティングユニット(104)に送信するように構成されるミリ波レーダ(126,128)と、
を含む、システム。
【請求項2】
前記スイッチ(106)に通信可能に結合され、且つ前記第3電源出力(144)によって電力供給されるように配置される測位デバイスであって、前記自動運転車両(100)のための位置情報を取得し、前記位置情報を前記スイッチ(106)に送信するように構成される測位デバイス(112,114)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記第3電源出力(144)によって電力供給されるように配置され、且つ前記自動運転車両(100)が外部デバイスと通信するために、前記スイッチ(106)に通信可能に結合されるV2Xデバイス(120)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2電源出力(142)によって電力供給されるように配置され、且つ前記スイッチ(106)に通信可能に結合されるセキュリティゲートウェイであって、前記自動運転車と外部デバイスとの間の安全通信するために外部デバイスと通信可能に接続されるように構成されるセキュリティゲートウェイ(122)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2電源出力(142)によって電力供給されるように配置され、且つ前記セキュリティゲートウェイ(122)に通信可能に結合されるように構成され、前記自動運転車の運転関連情報を取得し記憶するためのブラックボックス(124)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記電力供給ユニット(130)は、
前記第1電源出力(140)に結合され、且つ前記第1電源出力(140)を提供するために、前記自動運転車両(100)の電源に対してDC-DC変換を実行するように構成されるDC-DCコンバータ(132)と、
前記DC-DCコンバータ(132)と並列に前記第1電源出力(140)に結合される電池(134)とを含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記電力供給ユニット(130)は、
前記DC-DCコンバータ(132)及び前記電池(134)と前記第2電源出力(142)との間に結合されるスイッチ(138)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電力供給ユニット(130)は、
前記DC-DCコンバータ(132)及び前記電池(134)と前記第1電源出力(140)との間に結合されるヒューズ(136)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のシステムを含む自動運転車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、自動運転分野に関し、より具体的には、自動運転車両および自動運転車両用のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両において、安全性は、非常に重要な検討課題である。電源供給が故障した場合に、自動運転車両の走行安全を確保できなければ、非常に深刻な事故を引き起こしやすく、自動運転車両の安全性及び実用性に影響を与える。従って、より安全な電源管理方式を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例によれば、自動運転車両および自動運転車両用のシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様では、自動運転車両用のシステムが提供される。当該システムは、第1電源出力と第2電源出力とを含む電力供給ユニットと、前記第1電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記第2電源出力を検出したことに応じて、前記自動運転車両の動作を制御するように構成され、前記第1電源出力を調整することにより第3電源出力を提供するように構成されるマスタコンピューティングユニットと、前記第2電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記マスタコンピューティングユニットの故障を検出したことに応じて、前記自動運転車両の動作を制御するように構成されるスレーブコンピューティングユニットとを含む。
【0005】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記第2電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記マスタコンピューティングユニットおよび前記スレーブコンピューティングユニットに通信可能に結合されるスイッチとをさらに含む。
【0006】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記スイッチに通信可能に結合され、且つ前記第3電力出力によって電力供給されるように配置されるレーザレーダであって、前記自動運転車両の周辺の環境情報を取得し、前記環境情報を前記スイッチに送信するように構成されるレーザレーダをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記スイッチに通信可能に結合され、且つ前記第3電源出力によって電力供給されるように配置される測位デバイスであって、前記自動運転車両のための位置情報を取得し、前記位置情報を前記スイッチに送信するように構成される測位デバイスをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記第3電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記自動運転車両が外部デバイスと通信するために、前記スイッチに通信可能に結合されるV2Xデバイスをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記第2電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記スイッチに通信可能に結合されるセキュリティゲートウェイであって、外部デバイスと安全に通信するように構成されるセキュリティゲートウェイをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記第2電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記セキュリティゲートウェイに通信可能に結合されるように構成されるブラックボックスをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記マスタコンピューティングユニットに通信可能に結合され、且つ前記第3電源出力によって電力供給されるように配置されるカメラであって、前記自動運転車両の周辺の光学画像を取得し、前記光学画像を前記マスタコンピューティングユニットに送信するように構成されるカメラをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記システムは、前記第3電源出力によって電力供給されるように配置され、且つ前記マスタコンピューティングユニット及び前記スレーブコンピューティングユニットに通信可能に結合されるミリ波レーダーであって、前記自動運転車両の周辺のマイクロ波画像を取得し前記マイクロ波画像を前記マスタコンピューティングユニットおよび前記スレーブコンピューティングユニットに送信するように構成されるミリ波レーダーをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記電力供給ユニットは、前記第1電源出力に結合され、且つ前記第1電源出力を提供するために、前記自動運転車両の電源に対してDC-DC変換を実行するように構成されるDC-DCコンバータと、前記DC-DCコンバータと並列に前記第1電源出力に結合される電池とを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記電力供給ユニットは、前記DC-DCコンバータ及び前記電池(134)と前記第2電源出力との間に結合されるスイッチをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施例では、前記電力供給ユニットは、前記DC-DCコンバータ及び前記電池と前記第1電源出力との間に結合されるヒューズをさらに含む。
【0016】
第2態様では、自動運転車両が提供される。当該自動運転車両は、第1態様にかかるシステムを含む。
【0017】
本開示の実施例による自動運転車両では、電源のレイアウトが自動運転車両の安全性を向上させて、配電システムの故障が自動運転車両に制御不能な影響を与えることを防止する。
【0018】
発明の概要に記載された内容は、本開示の実施例の主な又は重要な特徴を限定することを意図するものではなく、本開示の範囲を限定するものでもないことが理解されるべきである。本開示の他の特徴は、以下の説明により容易に理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の各実施例の上記および他の特徴、利点および態様は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって、より明確になる。図面において、同一又は類似の参照符号は同一又は類似の要素を示す。
図1】本開示のいくつかの実施例による自動運転車両の模式図である。
図2】本開示のいくつかの実施例による自動運転車両の模式図である。
図3】本開示のいくつかの実施例による電力供給ユニットの模式図である。
図4】本開示の実施例を実施可能なデバイスの模式ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の各実施例の上記および他の特徴、利点および態様は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって、より明確になる。図面において、同一又は類似の参照符号は同一又は類似の要素を示す。
【0021】
以下、図面に示す各種の例示的な実施例を参照して本発明の思想を説明する。これらの実施例の説明は、当業者が本開示をよりよく理解し、さらに実施することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。なお、可能であれば、図面において、類似または同一の要素を示す類似または同一の参照符号を使用することができる。当業者であれば、以下の説明から、本明細書に記載の構造および/または方法の代替実施例が、説明された本開示の原理および思想から逸脱することなく採用されることができることを理解するであろう。
【0022】
本開示の文脈では、「含む」という用語およびその様々な変形は、「含むが、それに限定されない」を意味するオープン型用語であると理解されることができ、「基づく」という用語は、「少なくとも部分的に基づく」と理解されることができ、「一実施例」という用語は、「少なくとも1つの実施例」として理解されることができ、「他の実施例」という用語は、「少なくとも1つの他の実施例」として理解されることができる。明示される可能性があるが、ここで言及されていない他の用語は、明示的に述べられていない限り、本開示の実施例が基づく思想に反するように解釈または制限されるべきではない。
【0023】
図面を参照して対応する実施例又は示例を説明すると、方向に関する用語は、本開示の実施例の説明を容易に理解するために使用されるものであり、例えば「上(部)」、「下(部)」、「垂直方向」、「水平(横方向)」、「縦方向」、「頂(部)」、「底(部)」などであり、それらは、閲覧者が図面を見る時に提示される方向に基づき、又は製品自体の通常の使用方向に基つくものであり、本開示の保護範囲には望ましくない制限を与えることがない。
【0024】
図1は、本開示のいくつかの実施例による自動運転車両100の模式図を示す。自動運転車両100は、車両設計が適用されるシーン又は作業条件において、完全自動運転の機能を有するL4自動運転車両とされることができる。図1に示すように、自動運転車両100は、自動車が走行するように駆動するために、自動運転車両100のシャーシを制御するための自動車シャーシ制御システム108を含む。
【0025】
マスタコンピューティングユニット102は、様々なセンサなどのデバイスから取得した情報により、自動車シャーシ制御システム108に対する制御指令又は制御信号、例えば、車速、加速、減速、走行方向などの情報を決定することができる。マスタコンピューティングユニット102は、自動車シャーシ制御システム108に通信可能に結合され、且つ、例えば走行などの自動運転車両100の動作を制御するために、自動車シャーシ制御システム108に対応する制御指令又は制御信号を提供することができる。例えば、マスタコンピューティングユニット102は、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスを介して自動車シャーシ制御システム108に結合されることができる。
【0026】
スレーブコンピューティングユニット104は、様々なセンサなどのデバイスから取得した情報により、自動車シャーシ制御システム108に対する制御指令又は制御信号、例えば、車速、加速、減速、走行方向などの情報を決定することができる。スレーブコンピューティングユニット104は、自動車シャーシ制御システム108に通信可能に結合され、且つ、例えば走行などの自動運転車両100の動作を制御するために、自動車シャーシ制御システム108に対応する制御指令又は制御信号を提供することができる。例えば、スレーブコンピューティングユニット104は、CANバスを介して自動車シャーシ制御システム108に結合されることができる。
【0027】
図1に示すように、マスタコンピューティングユニット102は、スレーブコンピューティングユニット104に通信可能に結合されることができ、例えばCANバスを介して通信可能に結合される。スレーブコンピューティングユニット104は、冗長性を提供するためのコンピューティングユニットとされることができる。マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104は、互いの動作状態を監視することができ、特に、自動運転に危険が発生することを防止するために、相手が故障しているか否かを検出する。例えば、マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104は、ハートビートメッセージの方式で相手が故障しているか否かを検出することができる。
【0028】
例えば、マスタコンピューティングユニット102は、通常運転中に使用されるために、スレーブコンピューティングユニット104よりも複雑で完全な機能を有することができる。スレーブコンピューティングユニット104は、冗長性の機能を提供するので、高い信頼性を有するが、低い複雑さ及び比較的簡単な機能を有する。
【0029】
いくつかの実施例では、マスタコンピューティングユニット102が例えばスレーブコンピューティングユニット104のハートビートメッセージからスレーブコンピューティングユニット104の故障を検出すると、マスタコンピューティングユニット102は、自動運転車両100がリンプモードに入るように、自動車シャーシ制御システム108に指令を送信することができる。リンプモードでは、自動車シャーシ制御システム108は、車両が安全な場所に安全に駐車することができるように、シャーシを簡単に制御することができる。スレーブコンピューティングユニット104が例えばマスタコンピューティングユニット102のハートビートメッセージからマスタコンピューティングユニット102の故障を検出すると、スレーブコンピューティングユニット104は、自動運転車両100がリンプモードに入るように、自動車シャーシ制御システム108に指令を送信することができる。リンプモードでは、自動車シャーシ制御システム108は、車両が安全な場所に安全に駐車することができるように、シャーシを簡単に制御することができる。
【0030】
例えば、自動運転車両100は、自動運転車両100の周辺の光学画像を取得するためのカメラ110をさらに含むことができる。例えば、カメラ100の数は複数であってもよく、自動運転車両100の前方や後方などの各位置に設けられることができる。カメラ100は、通信ケーブルを介してマスタコンピューティングユニット102に結合され、自動運転車両100の走行を指示するために、取得された光学画像をマスタコンピューティングユニット102に提供する。
【0031】
図1に示すように、自動運転車両100は、マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104に通信可能に結合されるスイッチ106をさらに含む。スイッチ106は、自動運転車両100の通信ハブとして機能し、自動運転車両100のマスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104とセンサなどの他のデバイスとの通信を協調して中継するためのものである。
【0032】
自動運転車両100は、ナビゲーションなどのサービスを提供するために、自動運転車両100の位置情報を取得するように構成される測位デバイス112、114をさらに含むことができる。測位デバイス112、114は、個別に動作することができ、且つ、異なるタイプの測位モジュールによって実現されることができる。例えば、測位デバイス112は、通常の状態で使用するために、測位デバイス114よりも優れた性能を有することができる一方、測位デバイス114は、測位デバイス112が故障した場合のみにサービスを提供する。いくつかの実施例では、マスタコンピューティングユニット102および/またはスレーブコンピューティングユニット104は、測位サービスがどの測位デバイスにより提供されるかを決定するために、スイッチ106を介して測位デバイス112、114の状態を監視することができる。図1には2つの測位デバイスを示すが、当業者であれば、より多い又はより少ない測位デバイスが提供されてもよいことを理解するであろう。
【0033】
図1に示すように、自動運転車両100は、自動運転車両100の周辺の環境情報を取得するためのレーザレーダ116、118をさらに含むことができる。レーザレーダ116、118は、異なる視野範囲をカバーするために、自動運転車両100の異なる位置に設けられることができる。レーザレーダ116、118は、スイッチ106に通信可能に結合され、且つマスタコンピューティングユニット102および/またはスレーブコンピューティングユニット104に環境情報を送信する。マスタコンピューティングユニット102および/またはスレーブコンピューティングユニット104は、それらの環境情報に基づいて決定を行うことができる。図1には2つのレーザレーダを示すが、自動運転車両100は、より多いまたはより少ないレーザレーダを含んでもよく、本開示はこれに限定されないことを理解するであろう。
【0034】
また、自動運転車両100は、他のデバイスと通信するためのV2Xデバイス120をさらに含むことができる。それらのデバイスは、例えば信号灯などのV2X通信をサポートする任意の適切なデバイスとされることができる。V2X通信とは、車両に影響を及ぼす可能性のある他のエンティティに情報を送信するとともに、これらエンティティから情報を受信する通信である。当該車両通信システムは、交通安全、交通効率およびエネルギー節約という機能を提供することができる。V2Xデバイス120は、スイッチ106に結合されることにより、マスタコンピューティングユニット102および/またはスレーブコンピューティングユニット104が外部デバイスと通信可能になるので、より安全で効率的な自動運転制御が提供される。
【0035】
いくつかの実施例では、自動運転車両100は、安全な通信を提供するために、セキュリティゲートウェイ122をさらに含むことができる。例えば、セキュリティゲートウェイ122は、より多くの安全性を提供するために、プライベートプロトコルまたはベンダ固有プロトコルをサポートすることができる。セキュリティゲートウェイ122は、外部装置と通信するために、アンテナ(図示せず)に接続されることができ、例えば、ワイヤレスアップグレード(OTA)など、マスタコンピューティングユニット102および/またはスレーブコンピューティングユニット104上で実行される自動運転ソフトウェアのアップデートパッケージを受信する。
【0036】
自動運転車両100は、運転関連情報を取得するために、セキュリティゲートウェイ122に通信可能に結合されるブラックボックス124をさらに含むことができる。運転関連情報には、マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104により生成された運転指令や各デバイスの故障情報などが含まれることができる。このように、交通事故などの事故が発生すると、システムをより良く改善するために、ブラックボックス124を介して関連事故原因を取得することができる。
【0037】
図1に示すように、自動運転車両100は、自動運転車両100の周辺のマイクロ波画像を取得するためのミリ波レーダー126、128をさらに含むことができる。ミリ波レーダーは、高速シーンに対応し、または判断を行うように提供されるために、例えば60m~100mなどの遠距離の障害物情報を取得することができる。ミリ波レーダー126、128は、異なる方向および位置をカバーするために、自動運転車両100の異なる位置に設けられることができる。ミリ波レーダー126、128は、マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104にマイクロ波画像を送信するために、マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104に通信可能に結合される。例えば、ミリ波レーダー126、128は、CANバスを介して両方のコンピューティングユニットに結合されてもよい。図1には2つのミリ波レーダーを示すが、自動運転車両100は、より多いまたはより少ないミリ波レーダーを含んでもよく、本開示はこれに限定されないことを理解するであろう。
【0038】
マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104を提供するので、自動運転車両100は、マスタコンピューティングユニット102及びスレーブコンピューティングユニット104のいずれか一方が故障すると、自動運転車両100の安全を保証するために、リンプモードに入ることができる。例えば、マスタコンピューティングユニット102が故障した場合に、自動運転車両100は、リンプモードに入る。スレーブコンピューティングユニット104は、ミリ波レーダー126、128により提供されたマイクロ波画像に基づいて制御指令を提供することにより、自動運転車両100を安全な場所にドラッグすることができる。スレーブコンピューティングユニット104が故障した場合にも、自動運転車両100は、リンプモードに入ることができる。このようにして、少なくともL4クラスの自動運転を実現することができる。
【0039】
例えば、スイッチ106が故障した場合にも、マスタコンピューティングユニット102がスイッチ106からデータを受信できないので、スイッチ106が故障していると判断することができるため、リンプモードに入ることができる。リンプモードでは、カメラ110及びミリ波レーダー126、128は、依然として、対応するセンシング情報をマスタコンピューティングユニット102に提供することができる。それらの情報に基づいて、マスタコンピューティングユニット102は、自動運転車両100を安全な場所にドラッグするなどのために、簡単な制御を行うことができる。
【0040】
1つまたは複数のセンサが故障すると、他のセンサは、対応するセンシング情報を提供することができる。マスタコンピューティングユニット102は、センサの故障の状況によって、リンプモードに入るかどうかを決定することができる。図1に示す自動運転車両100では、自動運転制御システムのいずれかのデバイスが故障しても、自動運転車両100に安全問題が発生することはない。このようにして、L4自動運転の安全性を確保することができる。
【0041】
図2は、本開示のいくつかの実施例による自動運転車両100の模式図を示す。図2は、図1に比べて自動運転車両100の電源システムをさらに示している。
【0042】
図2に示すように、電力供給ユニット130は、第1電源出力140と第2電源出力142とを含む。第1電源出力140は、マスタコンピューティングユニット102に結合され、マスタコンピューティングユニット102に電力を供給する。第2電源出力142は、スレーブコンピューティングユニット104に結合され、スレーブコンピューティングユニット104に電力を供給する。また、第2電源出力142は、さらに、始動検出機能を提供するために、マスタコンピューティングユニット102に結合される。具体的には、マスタコンピューティングユニット102が第2電源出力142を検出すると、自動車シャーシ制御システム108への制御を始動させるために、自動車シャーシ制御システム108に制御信号を送信することができる。いくつかの実施例では、第1電源出力140は常時電源であってもよく、第2電源出力142はアクサセリ電源であってもよいし、イグニッション電源であってもよい。
【0043】
図2に示すように、第2電源出力142は、スイッチ106、セキュリティゲートウェイ122ブラックボックス124、及びミリ波レーダー126,128に結合されて、これらの部品に電力を供給することができる。
【0044】
マスタコンピューティングユニット102は、自動車用グレードの電源出力、すなわち第3電源出力144を取得するために、第1電源出力140を処理することができる。例えば、第3電源出力144は、ASIL(自動車安全性要求レベル)-B以上のレベルであってもよい。第3電源出力144は、カメラ110、測位デバイス112,114、レーザレーダ116,118、V2Xデバイス120どに電力を供給することができる。
【0045】
例えば、マスタコンピューティングユニット102は、第1電源出力140を第3電源出力144に変換するための電源管理モジュールを含むことができる。また、第1電源出力140は、マスタコンピューティングユニット102内に、マスタコンピューティングユニット102における主な処理モジュールや部品(例えば、プロセッサ、メモリ、グラフィックスプロセッサ、ニューラルネットワークプロセッサなど)に電力を供給することができる第4電力出力(図示せず)をさらに含む。このように、マスタコンピューティングユニット102の第4電源出力が故障すると、第3電源出力144は依然として正常に動作することができる。代替的には、電力管理モジュールは、マスタコンピューティングユニット102により提供されることではなく、別途のデバイスにより提供されてもよい。
【0046】
以上のように、スレーブコンピューティングユニット104は、マスタコンピューティングユニット102の故障が検出されると、自動運転車両100の制御を自動的に引き継ぐことができる。マスタコンピューティングユニット102の故障は、マスタコンピューティングユニット102の主な機能が実現できないことを引き起こす第4電源出力の故障を含むことができる。
【0047】
第4電源出力が故障すると、又は別途の電源管理モジュールの場合に、第1電源出力140が故障すると、スレーブコンピューティングユニット104は、自動運転車両100を簡単に制御するために、スイッチ106から各デバイス(例えば、測位デバイス、レーザレーダなど)のセンシング情報などの情報を受信するとともに、ミリ波レーダー126、128からマイクロ波画像を受信することができる。
【0048】
第2電源出力142が故障すると、マスタコンピューティングユニット102は、自動運転車両100を簡単に制御するために、カメラ110から自動運転車両の周辺の光学画像を受信することができる。
【0049】
第3電源出力144が故障すると、マスタコンピューティングユニット102は、ミリ波レーダー126、128からセンシング情報を取得し、これらのセンシング情報に基づいて自動運転車両100を簡単に制御することができる。
【0050】
図2に示す自動運転車両100では、電源のレイアウトが自動運転車両100の安全性を向上させて、配電システムの故障が自動運転車両100に制御不能な影響を与えることを防止する。
【0051】
図3は、本開示のいくつかの実施例による電力供給ユニット130の模式図を示す。電力供給ユニット130は、例示に過ぎず、当業者が他の適切な電源を使用することができることを理解するであろう。
【0052】
電力供給ユニット130は、並列に接続されるDC-DCコンバータ132と、電池134、例えばバッテリとを含む。DC-DCコンバータ132は、自動運転車両100の電源を第1電源出力に変換することができる。例えば、当該電源は、他のバッテリによって提供されてもよい。このようにして、電源の故障の発生を防止するために、冗長電源システムを提供することができる。例えば、外部電源が故障すると、DC-DCコンバータ132が動作不能になるが、バックアップの電池134は依然として電源を供給することができる。また、いくつかの例では、電力供給ユニット130には、外部電源またはDC-DCコンバータ132の故障をマスタコンピューティングユニット102に提供するための検出回路が設けられてもよい。マスタコンピューティングユニット102は、当該故障の信号を受信すると、走行速度を低下させ安全な場所に入って駐車するために、自動運転車両100がリンプモードに入るように制御することができる。
【0053】
また、過負荷保護などの機能を提供するために、DC-DCコンバータ132及び電池134と第一電源出力との間にさらにヒューズ136が設けられている。
【0054】
図3に示すように、電力供給ユニット130は、第1電源出力140と第2電源出力142との間に結合されるスイッチ138をさらに含むことができる。具体的には、スイッチ138は、ヒューズ136と第1電源出力140とのノードと第2電源出力142との間に結合される。スイッチ138は、自動運転車両100の始動キー又はボタンによって制御されることができ、スイッチ138のオンは自動運転車両100の始動をトリガーすることができる。
【0055】
以上、図3を参照して電力供給ユニット130の例を説明する。しかしながら、他の適切な電力供給ユニット130が提供されてもよいことを理解するであろう。
【0056】
図4は、本開示の実施例を実施可能なデバイス400の模式ブロック図を示す。図1および図2に示すようなマスタコンピューティングユニット102および/またはスレーブコンピューティングユニット104は、デバイス400によって実現されることができる。図4に示すように、デバイス400は、ROM(Read Only Memory)402に記憶されているコンピュータプログラムコマンド、または記憶手段408からRAM(Random Access Memory)403にロードされたコンピュータプログラムコマンドに従って各種の適切な動作および処理を実行する中央処理ユニット(CPU)401を含む。RAM403には、デバイス400が動作するために必要な各種プログラムやデータも記憶されることができる。CPU401、ROM402及びRAM403は、バス404を介して相互に接続されている。また、バス404には、入出力(I/O)インタフェース405も接続されている。
【0057】
キーボードやマウスなどの入力手段406と、様々なタイプのディスプレイやスピーカなどの出力手段407と、磁気ディスクや光ディスクなどの記憶手段408と、ネットワークカードやモデム、無線通信送受信機などの通信手段409を含むデバイス400の複数の構成要素は、I/Oインターフェース405に接続されている。通信手段409は、デバイス400がインターネットなどのコンピュータネットワークおよび/または様々な電気通信ネットワークを介して他のデバイスと情報/データを交換することを許容する。
【0058】
本開示のいくつかの実施例が示例によって詳細に示されたが、当業者であれば、上記の示例は、例示的なものであり、本開示の範囲を限定するのではないことが意図されることを理解するであろう。当業者であれば、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、上述の実施例を変更することができることを理解するであろう。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって限定されるものである。
図1
図2
図3
図4