(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ワイヤレス通信の通信ネットワークアクセスポイント、通信ネットワーク、および方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20230207BHJP
H04W 72/20 20230101ALI20230207BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20230207BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230207BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20230207BHJP
H01Q 21/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W72/04 136
H04W16/26
H04W16/28
H01Q15/14 Z
H01Q21/00
(21)【出願番号】P 2020504243
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 FR2018051765
(87)【国際公開番号】W WO2019020894
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-21
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519416532
【氏名又は名称】グリーナーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】515185843
【氏名又は名称】エコール・シュペリュール・ドゥ・フィシック・エ・ドゥ・シミー・アンデュストリエル・ドゥ・ラ・ヴィル・ドゥ・パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョフロワ・ルロゼ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フィンク
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・ルムー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・オーブリー
(72)【発明者】
【氏名】ティミー・フルーム
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-536931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0263408(US,A1)
【文献】国際公開第2016/043867(WO,A1)
【文献】特開2000-307494(JP,A)
【文献】特開2009-153095(JP,A)
【文献】特開2011-211515(JP,A)
【文献】特開2005-260965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H01Q 15/14
H01Q 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主波を発するおよび/または受信するため、ならびにワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するためのネットワークアンテナ(18)を含む送信モジュール(13)を含む通信ネットワークアクセスポイント(12)であって、
波形成形デバイスにパラメータを送信するように適合され、前記パイロット信号に含まれる少なくとも1つの情報に基づいて前記パラメータを決定する制御ユニット(22)をさらに含み、前記波形成形デバイスが、前記制御ユニットから受信された前記パラメータに応じて反射波内で前記主波を反射するおよび/または送信するように適合され、前記情報が、アクセスポイント(12)によって発せられた前記主波および前記波形成形デバイスによって反射された前記波
に関する値である、アクセスポイント(12)において、
- 前記送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、前記制御ユニットが、最適化動作モードにあり、前記最適化動作モードにおいて、前記制御ユニットが、前記波形成形デバイスにパラメータを送信し、前記パラメータの各々の送信が、前記送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、前記制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを
反復的に決定し、
- 前記送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信しない限り、前記制御ユニットが、探索動作モードにあり、前記探索動作モードにおいて、前記制御ユニットが、前記波形成形デバイスにパラメータを送信し、前記パラメータの各々の送信が、前記送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられることを特徴とする、アクセスポイント(12)。
【請求項2】
前記ネットワークアンテナ(18)が、複数のアンテナである請求項1に記載のアクセスポイント。
【請求項3】
前記制御ユニットが前記波形成形デバイスのパラメータを最適化する前記最適化動作モードになることを可能にする前に、前記ワイヤレス通信デバイスに向けた前記アクセスポイントの放出を前記アクセスポイントの前記ネットワークアンテナ(18)によって調整する請求項2に記載のアクセスポイント。
【請求項4】
前記波形成形デバイスが、アンテナ(24)を含み、前記制御ユニットが前記波形成形デバイスのパラメータを最適化する前記最適化動作モードになることを可能にする前に、前記波形成形デバイスの前記アンテナに向けた前記アクセスポイントの放出を前記アクセスポイントの前記ネットワークアンテナ(18)によって調整する請求項2に記載のアクセスポイント。
【請求項5】
前記制御ユニット(22)による前記波形成形デバイスの最適化の完了後に、前記ワイヤレス通信デバイスに向けたまたは前記波形成形デバイスに向けた前記アクセスポイントの放出を前記アクセスポイントの前記ネットワークアンテナ(18)によって調整する請求項1から4のいずれか一項に記載のアクセスポイント。
【請求項6】
- 主波を発するおよび/または受信するため、ならびにワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するためのネットワークアンテナ(18)を含む送信モジュール(13)を含むアクセスポイント(12)と、
- 前記パイロット信号に含まれる少なくとも1つの情報を制御ユニット(22)に送信する前記アクセスポイントのフィードバック送信モジュール(20)を介して前記アクセスポイントと通信している制御ユニット(22)であって、前記情報に基づいてパラメータを決定する、制御ユニット(22)と、
- 前記制御ユニット(22)と通信しており、前記制御ユニットから受信された前記パラメータに応じて反射波内で前記主波を反射するおよび/または送信するように適合される波形成形デバイス(14)であって、前記情報が、前記アクセスポイントによって発せられた前記主波および波形成形デバイスによって反射された前記波
に関する値である、波形成形デバイス(14)とを含み、
- 前記送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、前記制御ユニットが、最適化動作モードにあり、前記最適化動作モードにおいて、前記制御ユニットが、前記波形成形デバイスにパラメータを送信し、前記パラメータの各々の送信が、前記送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、前記制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを
反復的に決定し、
- 前記送信モジュールが前記ワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信しない限り、前記制御ユニットが、探索動作モードにあり、前記探索動作モードにおいて、前記制御ユニットが、前記波形成形デバイスにパラメータを送信し、前記パラメータの各々の送信が、前記送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられる、通信ネットワーク。
【請求項7】
前記ネットワークアンテナ(18)が、複数のアンテナである請求項6に記載の通信ネットワーク。
【請求項8】
前記アクセスポイントが、前記制御ユニットが前記波形成形デバイスのパラメータを最適化する前記最適化動作モードになることを可能にする前に、前記ワイヤレス通信デバイスに向けた前記アクセスポイントの放出を前記アクセスポイントの前記ネットワークアンテナ(18)によって調整する請求項7に記載の通信ネットワーク。
【請求項9】
前記波形成形デバイスが、アンテナ(24)を含み、前記制御ユニットが前記波形成形デバイスのパラメータを最適化する前記最適化動作モードになることを可能にする前に、前記波形成形デバイスの前記アンテナに向けた前記アクセスポイントの放出を前記アクセスポイントの前記ネットワークアンテナ(18)によって調整する請求項7に記載の通信ネットワーク。
【請求項10】
前記アクセスポイントが、前記制御ユニット(22)による前記波形成形デバイスの最適化の完了後に、前記ワイヤレス通信デバイスに向けたまたは前記波形成形デバイスに向けた前記アクセスポイントの放出を前記アクセスポイントの前記ネットワークアンテナ(18)によって調整する請求項6から9のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項11】
前記波形成形デバイス(14)が、アンテナ(24)を含み、前記波形成形デバイス(14)が、パイロット信号を受信することによって、前記アクセスポイント(12)によって検出されないワイヤレス通信デバイスの存在を検出するために前記アンテナ(24)を使用し、前記波形成形デバイスが、前記制御ユニットが前記波形成形デバイスのパラメータを最適化する前記最適化動作モードになることを可能にするために前記アクセスポイントに前記検出を送信する請求項6から10のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項12】
前記制御ユニット(22)が、データベースを含み、前記最適化動作モードの前記パラメータが、少なくとも部分的に前記データベースから来る請求項6から11のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項13】
前記アクセスポイントの前記フィードバック送信モジュール(20)によって受信される前記パイロット信号が、前記ワイヤレス通信デバイスに関するジオロケーション座標情報を含み、前記制御ユニット(22)が、前記ワイヤレス通信デバイスの前記ジオロケーション座標に基づいて前記最適化動作モードの前記パラメータを決定する請求項6から12のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項14】
前記探索動作モードの前記パラメータが、ランダムに決定される請求項6から13のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項15】
前記アクセスポイントと前記波形成形デバイスとの間の距離が、前記アクセスポイントの範囲の少なくとも10分の1である請求項6から14のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項16】
前記制御ユニット(22)が、管理チャネルにおいてワイヤレスリンクを介して前記波形成形デバイスに前記パラメータを送信する請求項6から15のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項17】
前記アクセスポイントが、第1の主波(W1)を発する第1のアクセスポイント(12)であり、前記通信ネットワークが、第2のアクセスポイント(12')をさらに含み、前記第2のアクセスポイントが、第2の主波(W1')を発し、前記波形成形デバイス(14)が、前記第1の主波を第1の反射波(W2)として反射および/または
送信し、前記第2の主波を第2の反射波(W2')として反射および/または
送信するように適合される請求項6から16のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項18】
前記波形成形デバイスが、第1の波形成形デバイス(14)であり、前記通信ネットワークが、第2の波形成形デバイス(14')をさらに含み、前記制御ユニット(22)が、前記第1の波形成形デバイスのために決定された前記パラメータとは独立して前記第2の波形成形デバイスにパラメータを送信する請求項6から16のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項19】
前記ワイヤレス通信デバイスが、第1のワイヤレス通信デバイス(16)であり、前記パイロット信号が、前記第1のワイヤレス通信デバイスによって発せられた第1のパイロット信号であり、前記通信ネットワークが、第2のパイロット信号を発する第2のワイヤレス通信デバイス(16')をさらに含み、前記アクセスポイント(12)が、前記第1のパイロット信号および前記第2のパイロット信号からの少なくとも一部の情報を前記制御ユニット(22)に送信し、その結果、前記制御ユニットが、前記第1のパイロット信号および前記第2のパイロット信号に基づいて前記パラメータを決定し得る請求項6から16のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項20】
前記波形成形デバイス(14)が、2つの部分を含み、前記2つの部分の各々が、もう一方の部分の帯域幅と異なる帯域幅内の主波を修正するように適合され、前記2つの部分の各々が、互いに独立して構成可能である請求項6から16のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項21】
前記主波(W1)が、ワイヤレス電話ネットワーク、ワイヤレスコンピュータネットワーク、および接続されたもののネットワークを含むリストから選択された種類のネットワークの通信チャネルの波に対応する請求項6から16のいずれか一項に記載の通信ネットワーク。
【請求項22】
- 主波を発するおよび/または受信するためのネットワークアンテナ(18)を含む送信モジュール(13)を含むアクセスポイント(12)と、
- 前記アクセスポイントのフィードバック送信モジュール(20)を介して前記アクセスポイントと通信している制御ユニット(22)と、
- 前記制御ユニット(22)と通信している波形成形デバイス(14)と
を含む通信ネットワークに実装されるワイヤレス通信の方法であって、
- ワイヤレス通信デバイスが、受信された主波に応答してパイロット信号を発し、
- 前記アクセスポイントが、前記パイロット信号に含まれる少なくとも1つの情報を前記フィードバック送信モジュール(20)を介して前記制御ユニット(22)に送信し、
- 前記制御ユニットが、前記情報に基づいてパラメータを決定し、前記波形成形デバイスに前記パラメータを送信し、
- 前記波形成形デバイス(14)が、前記制御ユニットから受信された前記パラメータに応じて反射波内で前記主波を反射および/または送信し、前記情報が、前記アクセスポイントによって発せられた前記主波および前記波形成形デバイスによって反射された前記波
に関する値であり、
- 前記送信モジュールが前記ワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、前記制御ユニットが、最適化動作モードにあり、前記最適化動作モードにおいて、前記制御ユニットが、前記波形成形デバイスにパラメータを送信し、前記パラメータの各々の送信が、前記送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、前記制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを
反復的に決定し、
- 前記送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信しない限り、前記制御ユニットが、探索動作モードにあり、前記探索動作モードにおいて、前記制御ユニットが、前記波形成形デバイスにパラメータを送信し、前記パラメータの各々の送信が、前記送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークアクセスポイント、波形成形(wave shaping)デバイスとアクセスポイントとを含む通信ネットワーク、ならびにワイヤレス通信の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文献WO2015/039769は、モバイル電子デバイスからのパイロット信号を使用する波形成形デバイスの使用を示す。モバイル電子デバイスは、たとえば、モバイル電話またはラップトップコンピュータである。このパイロット信号は、たとえば、モバイル電子デバイスにおける入射波の受信品質またはレベルを含む。
【0003】
この成形デバイスは、モバイル電子デバイスにリンクされ、このモバイル電子デバイスは、互いに独立している2つのデバイス、すなわち、ネットワークおよび成形デバイスとの通信を管理しなければならないので、実用的でないかまたは非常に限定的であることがある。
【0004】
文献「Intelligent walls as autonomous parts of smart indoor environments」、L. Subrt、P. Pechacは、能動的で周波数選択的な表面を備えた壁を制御する屋内通信ネットワークを示す。これらの能動的な表面は、磁気を透過する状態と遮断(insulation)状態との間で制御可能であり、これは、そのような設備を備えた壁によって画定される部屋の間の電磁的マスキング(electromagnetic masking)を制御することを可能にする。
【0005】
このシステムは、部屋の間の制御を提供するだけであり、モバイル電子デバイスに関する受信にいかなる改善も行わない。加えて、そのようなシステムは、屋外通信ネットワークに関連して働き得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2015/039769
【文献】米国特許第6,538,621号
【非特許文献】
【0007】
【文献】「Intelligent walls as autonomous parts of smart indoor environments」、L. Subrt、P. Pechac
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上で説明された問題を解決することを目標とし、主波(primary wave)を発するおよび/または受信するため、ならびにワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するためのネットワークアンテナを含む送信モジュールを含む通信ネットワークアクセスポイントを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このアクセスポイントは、波形成形デバイスにパラメータを送信するように適合され、パイロット信号に含まれる少なくとも1つの情報に基づいてパラメータを決定する制御ユニットをさらに含み、波形成形デバイスが、制御ユニットから受信されたパラメータに応じて反射波内で主波を反射するおよび/または送信するように適合され、情報が、アクセスポイントによって発せられた主波および波形成形デバイスによって反射された波の関数であり、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、制御ユニットが、最適化動作モードにあり、最適化動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを決定し、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信しない限り、制御ユニットが、探索動作モードにあり、探索動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられることを特徴とする。
【0010】
これらの配列によって、アクセスポイントは、ワイヤレス通信デバイスとのワイヤレス通信を管理し、波形成形デバイスの最適化動作モードを管理し、最適化動作モードの間に、制御ユニットは、ワイヤレス通信デバイスとの通信を改善するために波形成形デバイスを最適化しようとする。この波形成形デバイスとの協力または動作は、アクセスポイントの範囲を改善するおよび/または環境に送信されるアクセスポイントの放出(emission)の電力を削減する。
【0011】
さらに、アクセスポイントは、ワイヤレス通信デバイスの検出を可能にする波形成形デバイスの探索動作モードも(上の最適化動作モードと組み合わせて)管理する。
【0012】
本発明によるアクセスポイントの様々な実施形態においては、以下の配列のうちの1つまたは複数も、恐らく使用される可能性がある。
【0013】
1つの態様によれば、ネットワークアンテナは、複数のアンテナである。
【0014】
1つの態様によれば、アクセスポイントは、制御ユニットが波形成形デバイスのパラメータを最適化する最適化動作モードになることを可能にする前に、ワイヤレス通信デバイスに向けたアクセスポイントの放出をアクセスポイントのネットワークアンテナによって調整する。
【0015】
1つの態様によれば、波形成形デバイスは、アンテナを含み、制御ユニットが波形成形デバイスのパラメータを最適化する最適化動作モードになることを可能にする前に、波形成形デバイスの前記アンテナに向けたアクセスポイントの放出をアクセスポイントのネットワークアンテナによって調整する。
【0016】
1つの態様によれば、アクセスポイントは、制御ユニットによる波形成形デバイスの最適化の完了後に、ワイヤレス通信デバイスに向けたまたは波形成形デバイスに向けたアクセスポイントの放出をアクセスポイントのネットワークアンテナによって調整する。
【0017】
本発明は、
- 主波を発するおよび/または受信するため、ならびにワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するためのネットワークアンテナを含む送信モジュールを含むアクセスポイントと、
- パイロット信号に含まれる少なくとも1つの情報を制御ユニットに送信するアクセスポイントのフィードバック送信モジュールを介してアクセスポイントと通信している制御ユニットであって、前記情報に基づいてパラメータを決定する、制御ユニットと、
- 制御ユニットと通信しており、制御ユニットから受信されたパラメータに応じて反射波内で主波を反射するおよび/または送信するように適合される波形成形デバイスであって、情報が、アクセスポイントによって発せられた主波および波形成形デバイスによって反射された波の関数である、波形成形デバイスとを含み、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、制御ユニットが、最適化動作モードにあり、最適化動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを決定し、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信しない限り、制御ユニットが、探索動作モードにあり、探索動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられる通信ネットワークにも関する。
【0018】
通信ネットワークの様々な実施形態においては、以下の配列のうちの1つまたは複数も、恐らく使用される可能性がある。
【0019】
1つの態様によれば、ネットワークアンテナは、複数のアンテナである。
【0020】
1つの態様によれば、アクセスポイントは、制御ユニットが波形成形デバイスのパラメータを最適化する最適化動作モードになることを可能にする前に、ワイヤレス通信デバイスに向けたアクセスポイントの放出をアクセスポイントのネットワークアンテナによって調整する。
【0021】
1つの態様によれば、波形成形デバイスは、アンテナを含み、制御ユニットが波形成形デバイスのパラメータを最適化する最適化動作モードになることを可能にする前に、波形成形デバイスの前記アンテナに向けたアクセスポイントの放出をアクセスポイントのネットワークアンテナによって調整する。
【0022】
1つの態様によれば、アクセスポイントは、制御ユニットによる波形成形デバイスの最適化の完了後に、ワイヤレス通信デバイスに向けたまたは波形成形デバイスに向けたアクセスポイントの放出をアクセスポイントのネットワークアンテナによって調整する。
【0023】
1つの態様によれば、波形成形デバイスは、アンテナを含み、波形成形デバイスは、パイロット信号を受信することによって、アクセスポイントによって検出されないワイヤレス通信デバイスの存在を検出するために前記アンテナを使用し、波形成形デバイスは、制御ユニットが波形成形デバイスのパラメータを最適化する最適化動作モードになることを可能にするためにアクセスポイントにこの検出を送信する。
【0024】
1つの態様によれば、制御ユニットは、データベースを含み、パラメータは、少なくとも部分的に前記データベースから来る。
【0025】
1つの態様によれば、アクセスポイントのフィードバック送信モジュールによって受信されるパイロット信号は、ワイヤレス通信デバイスに関するジオロケーション座標情報を含み、制御ユニットは、ワイヤレス通信デバイスの前記ジオロケーション座標に基づいて最適化動作モードのパラメータを決定する。
【0026】
1つの態様によれば、探索動作モードのパラメータは、ランダムに決定される。
【0027】
1つの態様によれば、アクセスポイントと波形成形デバイスとの間の距離は、アクセスポイントの範囲の少なくとも10分の1である。
【0028】
1つの態様によれば、制御ユニットは、管理チャネルにおいてワイヤレスリンクを介して波形成形デバイスにパラメータを送信する。
【0029】
1つの態様によれば、アクセスポイントは、第1の主波を発する第1のアクセスポイントであり、通信ネットワークは、第2のアクセスポイントをさらに含み、第2のアクセスポイントは、第2の主波を発し、波形成形デバイスは、第1の主波を第1の反射波として反射および/または送信し、第2の主波を第2の反射波として反射および/または送信するように適合される。
【0030】
1つの態様によれば、波形成形デバイスは、第1の波形成形デバイスであり、通信ネットワークは、第2の波形成形デバイスをさらに含み、制御ユニットは、第1の波形成形デバイスのために決定されたパラメータとは独立して第2の波形成形デバイスにパラメータを送信する。
【0031】
1つの態様によれば、ワイヤレス通信デバイスは、第1のワイヤレス通信デバイスであり、パイロット信号は、第1のワイヤレス通信デバイスによって発せられた第1のパイロット信号であり、通信ネットワークは、第2のパイロット信号を発する第2のワイヤレス通信デバイスをさらに含み、アクセスポイントは、第1のパイロット信号および第2のパイロット信号からの少なくとも一部の情報を制御ユニットに送信し、その結果、制御ユニットは、第1のパイロット信号および第2のパイロット信号に基づいてパラメータを決定し得る。
【0032】
1つの態様によれば、波形成形デバイスは、2つの部分を含み、2つの部分の各々は、もう一方の部分の帯域幅と異なる帯域幅内の主波を修正するように適合され、2つの部分の各々は、互いに独立して構成可能である。
【0033】
1つの態様によれば、主波は、ワイヤレス電話ネットワーク、ワイヤレスコンピュータネットワーク、および接続されたもの(connected object)のネットワークを含むリストから選択された種類のネットワークの通信チャネルの波に対応する。
【0034】
本発明は、
- 主波を発するおよび/または受信するためのネットワークアンテナを含む送信モジュールを含むアクセスポイントと、
- アクセスポイントのフィードバック送信モジュールを介してアクセスポイントと通信している制御ユニットと、
- 制御ユニットと通信している波形成形デバイスとを含む通信ネットワークに実装されるワイヤレス通信の方法であって、
- ワイヤレス通信デバイスが、受信された主波に応答してパイロット信号を発し、
- アクセスポイントが、パイロット信号に含まれる少なくとも1つの情報をフィードバック送信モジュールを介して制御ユニットに送信し、
- 制御ユニットが、前記情報に基づいてパラメータを決定し、波形成形デバイスにパラメータを送信し、
- 波形成形デバイスが、制御ユニットから受信されたパラメータに応じて反射波内で主波を反射および/または送信し、情報が、アクセスポイントによって発せられた主波および波形成形デバイスによって反射された波の関数であり、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、制御ユニットが、最適化動作モードにあり、最適化動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを決定し、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信しない限り、制御ユニットが、探索動作モードにあり、探索動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられることを特徴とする、方法にも関する。
【0035】
その他の特徴および利点は、添付の図面を参照し、非限定的な例として与えられるいくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】ワイヤレス通信ネットワークの第1の実施形態の概略図である。
【
図2】ワイヤレス通信ネットワークの第2の実施形態の概略図である。
【
図3】ワイヤレス通信ネットワークの第3の実施形態の概略図である。
【
図4】ワイヤレス通信ネットワークの第4の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
異なる図において、同じ参照番号は、同一のまたは同様の要素を示す。
【0038】
本発明は、電磁的、音響的、または振動性の性質を持っている可能性がある波に基づく通信ネットワークに関する。簡単にするために、下の説明は、特に、モバイル電話において使用するための電磁波に言及する。しかし、説明される通信ネットワークは、任意の波の周波数の領域に当てはまる。
【0039】
図1を参照すると、例として与えられる第1の実施形態による通信ネットワーク10が、アクセスポイント12、制御ユニット22、波形成形デバイス14、およびワイヤレス通信デバイス16、典型的にはモバイル電話を含む。
【0040】
アクセスポイント12は、グローバル通信ネットワークのその他のアクセスポイント12'を相互に接続するネットワークリンクL1を含む前記グローバル通信ネットワークに有利に接続され、これは、非常に離れたユーザを接続することを可能にする。したがって、アクセスポイント12は、通信ネットワーク10のために、グローバル通信ネットワークの入口または出口(ゲートウェイ)を構成する。通信ネットワークは、チャネルタイプの情報(電話)および/またはデータタイプの情報(インターネット)を運ぶことができる。チャネル通信、つまり、電話への応用において、アクセスポイント12は、たとえば、モバイル電話ネットワーク基地局またはフェムトセルまたはピコセルに対応する。データ通信への応用の場合、アクセスポイント12は、たとえば、インターネットのグローバルコンピュータネットワークと、たとえばWiFiなどのワイヤレスリンクを介した建物内のローカルエリアネットワークとの間のゲートウェイとして働くように適合された、インターネットボックスと呼ばれることが多いインターネットモデムに対応する。変更形態において、アクセスポイントは、ローカルエリアネットワークのその他の機能を統合するモデムであり、したがって、そのとき、このデバイスは、ルータ(ネットワークアドレスサーバ)であり得る。変更形態において、アクセスポイントは、ローカルエリアネットワークの補助デバイス、たとえば、ローカルエリアネットワークの範囲を拡張するリピータである。
【0041】
アクセスポイント12は、
- 通常は主波W1と呼ばれる波を発するおよび/または受信するように適合され、第1の通信チャネルC1においてモバイル電話通信を発することおよび受信すること可能にする送信モジュール13と、
- たとえば、モバイル電話などのワイヤレス通信デバイス16から来るパイロット信号SPを受信するように適合されたフィードバック送信モジュール20とを含む。
【0042】
送信モジュール13は、主波W1を発するおよび/または受信するネットワークアンテナ18を含む。ネットワークアンテナ18は、単一のアンテナまたは(「多入力多出力」のための)MIMOタイプのリンクを確立するための複数のアンテナである可能性がある。ネットワークアンテナ18は、無指向性アンテナまたは指向性である可能性がある。
【0043】
フィードバック送信モジュール20は、任意の手段によっておよび恐らくは送信モジュール13によってワイヤレス通信デバイス16から来るパイロット信号SPを受信し、そのパイロット信号SPの一部(特定の情報)またはそのパイロット信号SPのすべてを制御ユニット22に直接的にまたは間接的に転送する。任意で、フィードバック送信モジュール20は、計算および/または変換および/または符号化によってパイロット信号SPから情報を抽出するためおよび/または前記情報を変換するためにパイロット信号SPを前処理する。たとえば、フィードバック送信モジュール20は、第1の送信チャネルC1に関する受信推定値、すなわち、ワイヤレス通信デバイス16とアクセスポイント12との間(アップリンク)のこの第1の通信チャネルC1の利得および位相変化の推定値を確立または評価する。アクセスポイント12自体は、逆方向、すなわち、アクセスポイント12とワイヤレス通信デバイス16との間(ダウンリンク)の第1の送信チャネルC1に関する放出推定値を相互的に確立または評価するためにワイヤレス通信デバイス16が使用する放出パイロット信号を発する。そして、ワイヤレス通信デバイス16は、放出推定値をアクセスポイント12に送信し、反対に、アクセスポイント12は、受信推定値をワイヤレス通信デバイス16に送信する。第1の通信チャネルC1に関する受信および放出推定値のこの交換は、2つの通信方向の送信を改善することを可能にする。
【0044】
制御ユニット22は、パイロット信号SPおよび/または前記パイロット信号から抽出された情報および/または前記パイロット信号から評価された/推定された情報を受信するためにアクセスポイント12のフィードバック送信モジュール20に接続される。制御ユニット22は、波形成形デバイス14を構成するために波形成形デバイス14にリンクされる。したがって、概して、上の変更形態において、制御ユニット22は、下で説明されるように、パイロット信号SPを処理して成形デバイス14に関する構成パラメータを生成する。
【0045】
第1の変更形態によれば、制御ユニット22は、アクセスポイント12の統合された一部分である。
【0046】
第2の変更形態によれば、制御ユニット22は、下で説明される波形成形デバイス14の統合された一部分である。
【0047】
波形成形デバイス14は、たとえば、主波W1などの入射波を、波形成形デバイス14の適合可能な(電磁的な)表面15によるその反射および/または送信中に修正された反射波W2内で反射および/または送信する適合可能な表面15を含む。
【0048】
波形成形デバイス14は、その動作のためのコントローラ21も含む可能性がある。このコントローラ21は、制御ユニット22によって決定された構成パラメータに従って前記適合可能な表面15を制御するため、特に、電磁インピーダンスを変え、したがって、主波W1が反射されるおよび/または送信される方法を修正するために電磁的な表面に接続される。
【0049】
したがって、波形成形デバイス14は、入射波の反射/送信を修正する受動的なデバイスである。したがって、波形成形デバイス14は、その適合可能な表面15上の状態を修正することによってその波形成形デバイス14の周辺の波の分布を修正する。このデバイスは、環境に電磁エネルギーを加えないが、その空間的な分布を修正する。
【0050】
波形成形デバイス14は、電磁波を発し、放射し、したがって、環境に電磁エネルギーの放出を追加するアンテナなどの能動的なデバイスではない。
【0051】
米国特許第6,538,621号は、波形成形デバイス14において使用され得る適合可能なまたは修正可能なインピーダンスのある種の電磁的な表面を示す。この電磁的な表面は、複数の共振要素を含み、各共振要素は、チューニング可能である。本発明の電磁的な表面は、グラウンドプレーン(ground plane)から離れて置かれたアレー要素を含み、隣接するアレー要素は、可変キャパシタの配列によって互いに接続され、各可変キャパシタは、指令電位(command potential)によって制御可能である。電磁的な表面のインピーダンスは、たとえば、修正された波を焦点に集めるため、または修正された波に方向を与えるために相応に修正される。
【0052】
国際出願WO2015/039769に記載された別の例は、2つの別々の共振器要素を含む複数のチューニング可能な要素を示す。第1の共振器は、たとえば、第1の周波数で共振し、第2の共振器は、第1の周波数とは異なる第2の周波数で共振する。周波数は、調整可能である。チューニング可能な要素の組は、異なる状態を含む可能性がある。チューニング可能な状態が、電磁的な表面に関する特定のインピーダンスを定義する。電磁的な表面のインピーダンスは、波形成形デバイス14における主波W1の反射を修正する。これらのチューニング可能な要素の状態を制御することは、したがって、波形成形デバイス14を制御する。
【0053】
波形成形デバイス14のその他の実施形態が可能である。
【0054】
波形成形デバイス14は、ワイヤレス通信デバイス16からその波形成形デバイス14にアクセスポイント12を介して送信されるパイロット信号SPに含まれる情報から決定されたパラメータに基づいて、アクセスポイント12のネットワークアンテナ18によって発せられた主波W1の特定の反射を生成する。パラメータは、たとえば、成形デバイス14の適合可能な表面15のチューニング可能な要素に関する、この適合可能な表面15の電磁インピーダンスを定義することを可能にする設定である。
【0055】
アクセスポイント12は、制御ユニット22にパイロット信号SP全体またはワイヤレス通信デバイス16との通信に関連するパイロット信号SPの一部分だけを中継し得る。抽出される情報は、たとえば、
- アクセスポイント12とワイヤレス通信デバイス16との間の第1の通信チャネルC1を通じたワイヤレス通信デバイス16による主波W1の受信のレベル(振幅、電力、強度、エネルギー)の推定値、または
- アクセスポイント12とワイヤレス通信デバイス16との間の第1の通信チャネルC1を通じたワイヤレス通信デバイス16による主波W1の受信の品質(干渉のレベル、帯域幅、レート、雑音レベル)の推定値、または
- 送信および/もしくは受信におけるチャネルの推定値(または、「チャネル状態情報」CSI)、たとえば、ワイヤレス通信デバイスの各アンテナおよび/もしくはアクセスポイントの各アンテナの間の振幅および位相の推定値。この推定値は、恐らくは、第1の通信チャネルC1の帯域幅の複数の周波数に関して作成され、これは、チャネルの行列を形成することを可能にする。
【0056】
制御ユニット22に送信される抽出された情報は、ワイヤレス通信デバイス16において決定されたかまたはアクセスポイント12自体において決定されたかのどちらかである、ワイヤレス通信デバイス16とアクセスポイント12との間の第1の通信チャネルC1またはその他の未使用の通信チャネルを使用する近隣のネットワークに関するデータも含む可能性がある。近隣のネットワークまたはその他のワイヤレス通信に関するこれらのデータは、たとえば、(第1の通信チャネルC1とは異なる)その他のチャネルのこれらのネットワークの各々に関して受信されたレベル(振幅、電力)を恐らく伴う、(WiFiネットワークの「サービスセット識別子」SSIDなどの)これらのその他のチャネルを使用するネットワーク識別名である。
【0057】
パイロット信号SPに含まれる情報は、その他の推定値を含む可能性がある。
【0058】
したがって、波形成形デバイス14は、主波W1の制御された反射によって、ワイヤレス通信デバイス16を包含するエリア内および波形成形デバイス14の近傍のワイヤレス通信デバイス16の受信を改善するために使用され得る。波形成形デバイス14は、たとえば、干渉し、特に、ワイヤレス通信デバイス16の受信を途絶させる(品質を落とす)および/またはワイヤレス通信デバイス16の受信の振幅を小さくする主波の局所的な弱め合う(destructive)組合せを引き起こす電磁波の複雑な反射を含む環境において有用である。
【0059】
制御ユニット22は、パイロット信号SPに応じて所望のまたは少なくとも最適化された反射波W2を生成するように波形成形デバイス14を構成するために波形成形デバイス14を制御する。制御ユニット22は、適合可能な表面15のチューニング可能な要素を修正するために、パイロット信号SPに含まれるおよび/またはパイロット信号SPから評価された情報からパラメータを決定し、これらのパラメータを管理チャネルCgを介して波形成形デバイス14に送信し、これは、結果として、反射波W2を修正する。したがって、アクセスポイント12は、ワイヤレス通信デバイス16による主波W1の受信を修正するために制御ユニット22を介して波形成形デバイス14を制御することができる。たとえば、それは、反射波W2の分布のおかげでこの受信を改善する。
【0060】
制御ユニット22は、アクセスポイント12および成形デバイス14とは物理的に分かれているものとして
図1に示される。そのような場合、制御ユニットは、たとえば、制御ユニットリンクL2(有線またはワイヤレス)によってアクセスポイント12に接続される。この制御ユニットリンクL2は、(示されるように)ローカルエリアネットワークの一部であるか、またはグローバル通信ネットワークのネットワークリンクL1の一部である。
しかし、すべての実施形態に適合可能な一部の変更形態によれば、制御ユニット22は、アクセスポイント12かまたは成形デバイス14かのどちらかに、たとえば、どちらかの処理ユニットに組み込まれた「簡単な」ソフトウェアの形態で含まれる可能性がある。
【0061】
制御ユニット22は、パイロット信号SPからの情報に基づいて波形成形デバイス14を制御する目的でこの情報を受信するためにアクセスポイント12と通信する。1つの変更形態によれば、制御ユニット22は、アクセスポイント12を通過することなく直接的にパイロット信号SPを受信し、制御ユニット22自体が、処理するためおよび特に適合可能な表面15に関する調整パラメータを決定するために必要な情報を抽出する。上述の別の変更形態によれば、制御ユニット22は、波形成形デバイス14に含まれる。この場合、制御ユニットは、恐らくは、アクセスポイント12を通過することなく直接的にパイロット信号SPを受信する可能性があり、処理するためおよび特にパラメータを決定するための情報を抽出する。
【0062】
管理チャネルCgは、有線またはワイヤレスリンクを使用する可能性がある。有線リンクは、たとえば、イーサネット(登録商標)、USB、または光ファイバタイプのリンクである。ワイヤレスリンクは、たとえば、モバイル電話リンク、たとえば、第4世代(4G)など、またはワイヤレスローカルエリアネットワークリンク、たとえば、WiFi、またはBluetooth(登録商標)リンク、またはモノのインターネットIoTタイプのリンクである。
【0063】
制御ユニット22は、ワイヤレスである可能性がありまたはワイヤレスでない可能性もある方法でアクセスポイント12と相互に通信する可能性もある。
【0064】
ワイヤレス通信デバイス16は、ワイヤレスで通信する任意のモバイルまたは固定デバイスである。ワイヤレス通信デバイス16は、たとえば、
- 第1世代1G、第2世代2G、第3世代3G、第4世代4GもしくはLTE、第5世代5Gの任意の電気通信プロトコルを実装するモバイル電話モジュール、および/または
- ワイヤレスローカルエリアネットワークモジュール、たとえば、WiFiもしくはBluetooth(登録商標)もしくはIoTを備えたモバイル電話、ラップトップコンピュータである。
【0065】
ワイヤレス通信デバイス16は、たとえば、上述のように、モバイル電話モジュールまたはワイヤレスローカルエリアネットワークモジュールを備えた任意の周辺デバイスである。
【0066】
ワイヤレス通信デバイス16は、コンセントによって給電されるかまたは内部バッテリによって給電される可能性がある。ワイヤレス通信デバイス16はモバイルではない可能性がある。
【0067】
ワイヤレス通信デバイス16は、範囲内のデバイスに
- 前記デバイス(1つもしくは複数のアクセスポイント、様々な機器など)に近い環境内のワイヤレス通信デバイス16の存在、および/または
- たとえば第1の通信チャネルC1において送信された主波W1の受信に関連するいくつかの情報を伝達するために一定の間隔でパイロット信号SPを発する。
【0068】
パイロット信号SPは、たとえば、ワイヤレス通信デバイス16によって受信された主波W1の振幅および/もしくは品質ならびに/または通信チャネルC1に関する推定値に関する情報と、任意で、近傍のその他のデバイスの存在についての情報とを含む。
【0069】
ワイヤレス通信デバイス16は、(直接的に、または環境要素における反射、たとえば、反射波W2によって間接的に)主波W1を受信するおよび/または発するためのアンテナ17と、アンテナ17からのおよびアンテナ17への信号を処理するためならびにパイロット信号SPを形成するためにアンテナ17に接続された処理ユニット19とを含む。
【0070】
第1の変更形態によれば、ワイヤレス通信デバイス16は、第1の通信チャネルC1においてアンテナ17によって発せられる主波W1を介してパイロット信号を送信するおよび/または評価する。
【0071】
第2の変更形態によれば、ワイヤレス通信デバイス16は、第2の通信チャネルC2においてアンテナ17によってまたは補助アンテナによって発せられる副波(secondary wave)W1'を介してパイロット信号SPを送信するおよび/または評価する。このパイロット信号SPを受信すべきデバイスは、この第2の通信チャネルC2に適合されたアンテナを相互的に持っている。第2の通信チャネルは、第1の通信チャネルの種類と同じ種類または異なる種類のリンクである。たとえば、第1の通信チャネルC1は、WiFiリンクであり、第2の通信チャネルC2は、Bluetooth(登録商標)リンクである。
【0072】
通信ネットワーク10は、たとえば、以下の方法で動作する。
【0073】
場所(たとえば、部屋、もしくは住居、建物)、または輸送手段(たとえば、車、ボート、バス、飛行機)さえもが、制御ユニット22を介してアクセスポイント12によって制御される波形成形デバイス14を備える。
【0074】
アクセスポイント12のネットワークアンテナ18は、使用されるテクノロジー(ワイヤレスリンクの種類)に応じて決まる範囲を有する。この範囲の距離または範囲は、遮るもののないエリア(空き環境、主波の周波数帯域内で反射するものがない)内で通常定義される距離である。この範囲の距離は、たとえば、主波がネットワークアンテナ18におけるその放出と比較して90%に弱められた振幅を有する距離開始である。実際の環境において、主波がそのような減衰をする距離は、環境の干渉する要素(建物、乗り物など)が原因で範囲の距離よりも短い。
【0075】
波形成形デバイス14は、その波形成形デバイス14が主波W1を受信し、主波W1を、電磁環境を修正するのに十分な振幅の反射波W2へと修正することができるように、前記範囲の距離よりも短いアクセスポイント12(そのネットワークアンテナ18)からの設置距離に置かれる。設置距離は、最小距離よりも長い可能性があり、つまり、成形デバイス14は、モバイルワイヤレス通信デバイス16の受信に影響を与えることを可能にするアクセスポイント12からの距離に置かれ、モバイルワイヤレス通信デバイス16自体は、通常、アクセスポイント12から可変の距離にある。
【0076】
しかし、ワイヤレス通信デバイスの近距離受信(レベルおよび品質)は、多くの場合良好であるかまたは非常に良好でありさえし、距離に伴う減衰ならびに環境からの複数の反射および/またはこれらの反射の弱め合う干渉が原因で距離が長くなるにつれて悪化する。したがって、範囲の距離に近いかまたはこの範囲の距離の半分から範囲の距離までの間に含まれる設置距離に波形成形デバイス14を置くことが、有利である可能性がある。しかし、これは、実際の環境に大きく依存し、測定および/または最適化が、前記環境内の前記波形成形デバイス14の位置の妥協点を明らかにする。
【0077】
たとえば、アクセスポイント12と波形成形デバイス14との間の設置距離は、アクセスポイント12の主波W1の範囲の距離の少なくとも10分の1である。任意で、この設置距離は、環境の各構成に応じて範囲の距離の10分の2または半分さえも超える。成形デバイス14は、アクセスポイント12から設置距離に、および特に、たとえば、十分にサービスの届いていないエリアをカバーするためにワイヤレス通信デバイス16によるワイヤレス通信ネットワークのカバーエリア(アクセス可能な表面エリア)を改善することができる環境内の位置に置かれる。
【0078】
ワイヤレス通信デバイス16は、そのワイヤレス通信デバイス16の環境内に存在するデバイスによっておよび特にアクセスポイント12によって検出されるためにパイロット信号SPを発する。
【0079】
第1の例において、アクセスポイント12は、ワイヤレス通信デバイス16から来るパイロット信号SPを受信しない。これは、たとえば、
1)ワイヤレス通信デバイス16がアクセスポイント12の範囲外にある、言い換えると、主波W1が低すぎる振幅もしくは品質で通信デバイス16に到達する場合、または
2)アクセスポイント12がワイヤレス通信デバイス16の範囲外にある、言い換えると、パイロット信号SPがアクセスポイント12に到達しない場合、たとえば、パイロット信号がアクセスポイント12に感知されない程にパイロット信号SPが距離によってまたはワイヤレス通信デバイス16の環境内のその他の波の存在によって減衰させられすぎる場合に当てはまる可能性がある。
【0080】
アクセスポイント12がパイロット信号SPを受信しない限り、アクセスポイント12は、ワイヤレス通信デバイス16の存在を知らない。そのような場合、ワイヤレス通信デバイス16を検出するために、制御ユニット22は、第1のモード、探索動作モードになり、波形成形デバイス14に第1のパラメータと呼ばれるパラメータを周期的に送信する。これらの第1のパラメータは、チューニング可能な要素の構成を変更し、したがって、適合可能な表面15のインピーダンスを周期的に修正し、適合可能な表面15が、前記適合可能な表面15によって反射される反射波W2を修正する。したがって、チューニング可能な要素の各構成に関して、言い換えると、波形成形デバイス14に送信されるそれぞれの第1のパラメータに関して、異なる反射波W2が生成される。反射波W2は、その反射波W2が、波形成形デバイス14のそのような構成に関して、アクセスポイント12によって発せられた主波W1ならびにその他のデバイスのまたは環境のその他の波および/または反射波との組合せによって、ワイヤレス通信デバイス16によって以前は受信されなかったかまたはあまりよく受信されなかったワイヤレス通信デバイス16によって受信される主波W1の受信を可能にする強め合う(constructive)(足し合わされる)干渉を生成するようなものである可能性がある。
【0081】
したがって、アクセスポイント12がパイロット信号SPを受信しない限り、制御ユニット22は、アクセスポイント12によるパイロット信号SPのあり得る受信を時間間隔の間に観測するために前記時間間隔で第1のパラメータを送信する。
【0082】
パラメータの送信は、周期的(言い換えると、一定の時間間隔)であるかまたは非周期的(言い換えると、一定でない時間間隔)である可能性がある。第1のパラメータは、たとえば、ランダムに選択される可能性があり、またはアダマール行列の一部である可能性がある。パラメータは、制御ユニット22のデータベースから取得される可能性もある。このデータベースは、ワイヤレス通信デバイス16が使用されるにつれてパイロット信号の以前の受信に基づいて徐々にデータを入れられる可能性があり、または制御ユニット22がプログラミングされるときにもしくは現場すなわち環境における学習フェーズによって所定の値を予め入れられる可能性がある。アクセスポイント12は、パイロット信号SPが受信されるまで新しい第1のパラメータを発し、パイロット信号SPの検出を反復的に観測する。
【0083】
アクセスポイント12がワイヤレス通信デバイス16からパイロット信号SPを受信すると、制御ユニット22は、第2のモード、最適化動作モードになり、ここで第2のパラメータと呼ばれるパラメータを決定し、レイアウトデバイス14に送信する。
【0084】
第1の変更形態によれば、第2のパラメータは、たとえば、アクセスポイント12とワイヤレス通信デバイス16との間およびその逆の通信を改善するために、パイロット信号SPに含まれる情報に基づいて値を発展させる目的で決定される。たとえば、値は、単純に、通信チャネルC1のレベル(振幅もしくは電力もしくは強度)または品質(干渉のレベル、帯域幅、レート)または推定値などのパイロット信号SPに含まれる情報の一部であるか、あるいはこの情報の単純なもしくは重み付けされた組合せまたは任意のコスト関数である。値は、複数のネットワークの間の干渉を防止するために近隣のネットワークに関するデータの組合せを用いて決定される可能性もある。代替的に、制御ユニット22は、通信チャネルを変更すると判断する可能性があり、アクセスポイント12および/または波形成形デバイス14および/またはワイヤレス通信デバイス16に(直接的にまたは上述の要素のうちの1つによって間接的に)知らせる可能性がある。
【0085】
各時間間隔の後に、制御ユニット22は、上で説明された前記値および(以前の時間期間からの)以前の値および(以前の期間からの)以前の第2のパラメータを使用して成形デバイス14によって適用される新しい第2のパラメータを計算する最適化アルゴリズムを実行する。毎期間、アルゴリズムは、前記値を最適化し、制御ユニット22のアルゴリズムに前もって記憶された関数またはコスト関数の種類に応じて前記値を最小化または最大化する。
【0086】
第2のパラメータは、第1のパラメータと少なくとも部分的に異なる。第2のパラメータは、第1のパラメータとは異なる目的を果たす。第1のパラメータがワイヤレス通信デバイス16を検出するために使用される一方、第2のパラメータは、パイロット信号SPの関数である値、言い換えると、パイロット信号SPに含まれる情報の関数である値を最適化するために使用される。
【0087】
パイロット信号SPの関数である値は、その他の値に応じて最小化される、最大化される、および/または調節される可能性がある。たとえば、値は、ワイヤレス通信デバイス16によって受信される電力である。(その種類によらず)値の最適化は、アクセスポイント12の放出の電力の増加または減少をやはりもたらし得る。制御ユニットのアルゴリズムは、アクセスポイント12の放出の電力を同時に削減しながら、放出のこの電力を考慮に入れ、ワイヤレス通信デバイス16における通信の受信を最大化するために第2のパラメータを最適化する可能性もある。特に、(電磁エネルギーを加えない)受動的なデバイスである波形成形デバイスのおかげで、したがって、受信を改善することとネットワークアンテナ18の放出を削減することとの両方が可能である。
【0088】
下でより詳細に説明されるようにいくつかのワイヤレス通信デバイス16、16'が存在する別の例においては、第1のワイヤレス通信デバイス16に向けたアクセスポイント12の放出の電力が、たとえばより多くの帯域幅を必要とする環境内に存在する第2のワイヤレス通信デバイス16'とのより良い通信を可能にするために削減されるかまたは最小化される可能性がある。したがって、ワイヤレス通信デバイス16、16'の通信の間の干渉を軽減または削減し、スペクトルリソース(利用可能な帯域幅)をワイヤレス通信デバイスの間に分散させる、つまり、それぞれのワイヤレス通信デバイスの個々の必要に応じてスペクトルリソースを分散させるためにスペクトルリソースを最適化することが可能である。制御ユニット22のアルゴリズムは、アクセスポイント12自体に関連するデータまたはいくつかのワイヤレス通信デバイスからのパイロット信号SPに由来する複数の情報に基づいて第2のパラメータを計算するためのそのアルゴリズムのコスト関数を修正することができる。
【0089】
上で説明されたように、アルゴリズムは、パイロット信号SPの以前の受信および前の第2のパラメータに基づいて第2のパラメータを決定する。制御ユニット22は、次の時間間隔の間にパイロット信号SPのあり得る受信を観測するために時間間隔をおいて第2のパラメータを送信する。したがって、たとえば、望まれることがワイヤレス通信デバイス16による受信のレベルを最大化することである場合、制御ユニット22は、ワイヤレス通信デバイス16の前記受信レベルを反復的に高めることを可能にする新しい第2のパラメータのテストをリアルタイムで行う。
【0090】
第2の変更形態によれば、第2のパラメータは、反復的な最適化アルゴリズムの計算によって決定されず、データベースに記憶された第2のパラメータからやはり選択される可能性がある。これらの第2のパラメータは、以前の受信に対応する可能性があり、たとえば、既に最適化された値に対応するかまたは最適化アルゴリズムによって最適化済みである。加えて、たとえば、ワイヤレス通信デバイス16のジオロケーションが可能である場合、制御ユニット22は、ワイヤレス通信デバイス16の同じ空間的位置に関して通信の受信を最適化した、過去に収集された第2のパラメータを関連付ける可能性もある。
【0091】
第3の変更形態によれば、第2のパラメータは、第1の通信チャネルC1の推定値によって決定される可能性もある。ネットワークアンテナ18による放出および/またはワイヤレス通信デバイス16のアンテナ17による受信を用いる多数のアンテナ要素の場合、第1の通信チャネルC1の推定値は、チャネル伝達行列(channel transfer matrix)の行である可能性がある。そのような場合、制御ユニットのアルゴリズムは、知られているように、したがって、この行列の逆転(inversion)、または共役(conjugation)、または特異値への分解を使用して最適化の行列の計算を有利に実行する。
【0092】
第4の変更形態によれば、制御ユニット22の最適化アルゴリズムは、パイロット信号SPの各受信の後に最適化の計算を実行せず、パイロット信号SPの所定の回数の受信の後に第2のパラメータの最適化の計算を実行し、これは、予期せぬ状況により影響されにくく、より安定している収束(convergence)を得ることを可能にする。第2のパラメータは、より遅く更新されるが、結局のところ、最適な構成により迅速に収束し得る。
【0093】
第5の変更形態によれば、第2のパラメータの各計算の間の時間間隔は、一定でなく、つまり、時間期間は、いつも必ず周期的とは限らない。
【0094】
通信ネットワーク10は、別れてまたは互いに組み合わせて使用されるその他の変更形態を有する可能性があり、それらの変更形態の一部は、下で説明される。
【0095】
たとえば、波形成形デバイス14が、アンテナ24も含む。アクセスポイント12のネットワークアンテナ18が複数のアンテナを用いるMIMOタイプである場合、アクセスポイント12は、適合可能な表面15において受信された主波W1のレベルを真っ先に上げ、したがって、反射波W2のレベルを上げるために波形成形デバイス14のアンテナ24においてその放出および/または受信を調整するようにプログラミングされ得る。
【0096】
この調整は、焦点集中(focusing)、またはビームフォーミング技術、またはチャネル等化技術、または記憶された設定、または任意の知られている技術によって実現され得る。
【0097】
このようにして、成形デバイス14は、ワイヤレス通信デバイス16の近くの電磁場に対して、つまり、ワイヤレス通信デバイス16によって受信される反射波W2に対してより大きな影響を有する。
【0098】
主波W1のビームフォーミングは、アクセスポイント12のネットワークアンテナ18のアンテナ要素の各信号の遅延および利得を調整することによって得られる。この調整は、アンテナ24における主波W1の受信のレベルを最大化しようとするアクセスポイント12によって実行される第1の最適化である。この目的のために、成形デバイス14は、任意の手段によってならびにたとえば管理チャネルCgおよび/またはネットワークリンクL1および/または制御ユニットリンクL2によってアクセスポイント12にこのレベルを返す。
【0099】
ビームフォーミングが成形デバイス14のアンテナ24において正しく調整されると、アクセスポイント12は、制御ユニット22が引き継ぐように制御ユニット22にコマンドを送信する。したがって、
- ワイヤレス通信デバイス16が検出されない場合、制御ユニット22は、第1の探索モードにあり、制御ユニット22は、ワイヤレス通信デバイスを検出することを試みるために適合可能な表面15に関する第1の調整パラメータを使用し、
- ワイヤレス通信デバイス16が検出される場合、制御ユニット22は、第2の最適化動作モードにあり、制御ユニット22は、既に検出されたワイヤレス通信デバイス16による主波W1の受信を改善するために適合可能な表面15に関する第2の調整パラメータを使用する。
【0100】
したがって、制御ユニット22は、アクセスポイント12によって実行される第1の最適化(たとえば、ビームフォーミングによる成形デバイスにおける調整)の後に第2の最適化(成形デバイスの適合)を実行する。
【0101】
適合可能な表面15に関する第2の調整パラメータが安定した方法で取得されるや否や、言い換えると、第2の最適化が終了基準に達するや否や、制御ユニット22は、アクセスポイント12に最適化終了情報を送信することができ、アクセスポイントは、恐らくは、成形デバイス14のアンテナ24におけるそのアクセスポイントの放出および/または受信を調整する第1の最適化モードに戻る可能性がある。したがって、アクセスポイント12および制御ユニット22の一揃いは、成形デバイスにおけるアクセスポイントの第1の調整の最適化と成形デバイスの調整パラメータの第2の最適化との間を周期的に交互に切り替わり得る。反復の期間および回数は、アクセスポイントによって定義される可能性がある。
【0102】
したがって、適合可能な表面15の最適化の前に(たとえば、ビームフォーミングによる)成形デバイス14のアンテナ24におけるアクセスポイントの調整を優先することは、それが
- ワイヤレス通信デバイス16を探索する第1の動作モードの間のワイヤレス通信デバイス16の検出と、
- 最適化の第2の動作モードの間の適合可能な表面の最適化とを改善するので制御ユニット22にとって有益である。
【0103】
したがって、第1のおよび第2のパラメータが、より迅速に決定される。そのような動作中に、波形成形デバイス14の適合可能な表面15は、適合可能な表面15が成形デバイス14のアンテナ24におけるアクセスポイント12の(たとえば、ビームフォーミングによる)放出および/または受信の調整によって改善された強度を有する入射主波W1を反射するおよび/または送信するので、あたかもそれがアクセスポイント12の位置から離れているかまたはアクセスポイント12の位置から成形デバイス14の位置に向かって動かされるネットワークアンテナであるかのように機能する。
【0104】
上の配置によって、アクセスポイント12および成形デバイス14は、ワイヤレス通信デバイスとの通信を改善するために結合される。
【0105】
別の例において、アクセスポイントのネットワークアンテナ18は、やはり、複数のアンテナを用いるMIMOタイプであり、パイロット信号SPがアクセスポイント12によって受信されるおよび/または評価されると、アクセスポイント12は、主にワイヤレス通信デバイス16における受信を高めるおよび/または改善するためにその放出および/または受信をワイヤレス通信デバイス16において直接的に調整することができる。
【0106】
この調整は、たとえば、焦点集中技術、またはビームフォーミング技術、またはチャネル等化技術、または記憶された設定、または任意の知られている技術によって送信および/または受信においてなされ得る。
【0107】
この焦点集中が(たとえば、ビームフォーミングによって)ワイヤレス通信デバイス16のアンテナ17において正しく設定されると、アクセスポイント12は、上述のように第2のパラメータが決定される(第2の)最適化の第2の動作モードになるために制御ユニット22を認可するコマンドを制御ユニット22に送信する。そして、適合可能な表面15は、ワイヤレス通信デバイス16との通信の受信および/または放出をさらに改善するように構成される。
【0108】
適合可能な表面15に関する第2の調整パラメータが安定した方法で取得されるや否や、言い換えると、第2の最適化が終了基準に達するや否や、制御ユニット22は、アクセスポイント12に最適化終了情報を送信することができ、アクセスポイントは、恐らくは、ワイヤレス通信デバイス16のアンテナ17における焦点集中の第1の最適化モードに戻る可能性がある。したがって、アクセスポイント12および制御ユニット22の一揃いは、ワイヤレス通信デバイスにおけるアクセスポイントの第1の焦点集中の最適化と成形デバイスの調整パラメータの第2の最適化との間を周期的に交互に切り替わり得る。反復の期間および回数は、アクセスポイントによって定義される可能性がある。
【0109】
したがって、ワイヤレス通信デバイス16のアンテナ17におけるビームフォーミングによる焦点集中を優先することは、波形成形デバイス14とは独立してワイヤレス通信デバイス16による受信を真っ先に改善することを可能にする。この動作は、ワイヤレス通信デバイス16の検出を改善しないが、そのワイヤレス通信デバイス16の通信をより迅速に(受信および/または放出)改善することを可能にする。
【0110】
上の配置によって、アクセスポイント12および成形デバイス14は、ワイヤレス通信デバイスとの通信を改善するために結合される。
【0111】
別の例において、波形成形デバイス14は、アンテナ24を含み、このアンテナ24の範囲内にあり、たとえばより遠くにあるアクセスポイント12のネットワークアンテナ18の範囲内にないワイヤレス通信システム16のあり得る存在を検出するためにアンテナ24を使用する。波形成形デバイス14の範囲内のこの検出は、アクセスポイント12によるパイロット信号SPの受信の前でさえも環境内の1つまたは複数のワイヤレス通信デバイス16の存在を判定することを可能にし、したがって、第1のパラメータおよび恐らくは成形デバイス14におけるネットワークアンテナ18のビームフォーミングを用いて制御ユニット22をその探索状態に置くことを可能にする。
【0112】
さらに別の例において、アクセスポイント12とワイヤレス通信デバイス16との間の第1の通信チャネルC1は、対称的であり、言い換えると、(上述の)第1の方向および第1の方向と反対の方向(つまり、ワイヤレス通信デバイス16とアクセスポイント12との間)の通信は、前記第1の通信チャネルの同じ帯域幅において行われる。変更形態として、第1の通信チャネルは、たとえば、第1の方向かまたは反対方向かのどちらかのレートを高めるために非対称である(つまり、2つの帯域幅にある)。
【0113】
さらに別の例において、アクセスポイント12と波形成形デバイス14との間の管理チャネルCg(および恐らくはさらにアクセスポイントとワイヤレス通信デバイス16との間の第1の通信チャネルC1)は、非対称であり、言い換えると、2つ以上の帯域幅上で通信し、したがって、2つ(以上)の通信サブチャネルCg、Cg'、またはC1、C1'を生成する。たとえば、2.43GHzの帯域幅および2.47GHzの帯域幅。波形成形デバイス14は、各帯域幅上の信号を独立して最適化するために制御ユニット22によって制御される可能性がある。たとえば、制御ユニット22は、第1の帯域幅上で最適化を行うように適合可能な表面15のチューニング可能な要素の1つの部分を制御し、第1の帯域幅上で最適化を行うようにチューニング可能な要素の第2の部分を制御する可能性がある。別の例においては、2つの並置された波形成形デバイス14が、制御ユニット22によって制御され、それぞれの波形成形デバイス14が、第1の関連する通信チャネルC1、C1'に応じて最適化される。波形成形デバイス14のこの空間的な分割は、これらの2つの第1の通信チャネルを同時に処理することを可能にする。各帯域幅は、異なるワイヤレス通信デバイス16(たとえば、環境内に存在する2つのモバイル電話)または同じワイヤレス通信デバイス16に関する2つの異なる動作モード、すなわち、たとえば、通信アップリンクおよび通信ダウンリンクに関連付けられ得る。
【0114】
以下で
図2を参照して、第2の実施形態による通信ネットワーク10'が、説明される。
【0115】
第2の実施形態の通信ネットワーク10'が第2のアクセスポイント12'を含むことを除いて、通信ネットワーク10'は第1の実施形態の通信ネットワーク10と同様であり、その変更形態はやはり同じそれぞれの利点を伴って適用され得る。通信ネットワーク10'および通信ネットワーク10に共通する要素は、再度説明されない。
【0116】
第2のアクセスポイント12'は、アクセスポイント12(明瞭にするために、以降、第1のアクセスポイント12と呼ばれる)と同様であり、第1の通信チャネルC1における主波W1'のための送信モジュール13'と、制御ユニット22にパイロット信号SPを再送信するフィードバック送信モジュール20'とを含む。送信モジュール13'は、主波W1'を発するネットワークアンテナ18'を含む。ネットワークアンテナ18'は、単一のアンテナまたは(「多入力多出力」のための)MIMOタイプの複数のアンテナである可能性がある。フィードバック送信モジュール20'は、ワイヤレス通信デバイス16から生じるパイロット信号SPを受信し、そのパイロット信号SPを波形成形デバイス14に(直接的にまたは間接的に)伝達する。第2のアクセスポイント12'は、波形成形デバイス14と直接通信しない可能性がある。第2のアクセスポイント12'は、恐らくは、たとえば、グローバル通信ネットワークのネットワークリンクL1を介してまたはローカルエリアネットワークリンクを介して第1のアクセスポイント12とネットワーク接続される可能性がある。たとえば、建物をカバーするために(ローカルまたはグローバル)通信ネットワークがいくつかのアクセスポイント12を含む場合、第1のおよび第2のアクセスポイント12、12'のうちの少なくとも1つが、パイロット信号SPまたはパイロット信号SPに含まれる情報を中継するために制御ユニット22に接続される。
【0117】
波形成形デバイス14は、第2のアクセスポイント12'から生じる主波W1'を反射し、その主波W1'を反射波W2'として反射する。この反射波W2'は、ワイヤレス通信デバイス16においてその他の波W1、W2、およびW1'と組み合わさる。制御ユニット22は、ワイヤレス通信デバイス16から生じるパイロット信号SPからの、第1のアクセスポイント12および第2のアクセスポイント12'との通信に関連する情報を考慮に入れる。たとえば、制御ユニット22は、両方のアクセスポイントからのこの情報を利用する最適化値を評価することによって成形デバイス14の構成パラメータを反復的に決定する可能性がある。たとえば、より短い距離または送信におけるより少ない干渉などのいずれかの理由で第1のアクセスポイント12との通信が第2のアクセスポイント12'との通信よりも良好である場合、制御ユニット22の最適化アルゴリズムは、反射波W2'のレベルに対して反射波W2のレベルを上げることによって、第2のアクセスポイント12'を介するよりも第1のアクセスポイント12を介したワイヤレス通信デバイスからの通信を優先する可能性がある。
【0118】
したがって、2つのアクセスポイント12、12'によって共有された成形デバイス14は、第2のアクセスポイント12'との別のワイヤレス通信デバイス16'の通信を容易にしながら、第1のアクセスポイント12とのワイヤレス通信デバイス16の通信を容易にし得る。したがって、波形成形デバイス14は、様々なワイヤレス通信デバイス16、16'をアクセスポイントと関連付けるのに役立ち、これは、様々なアクセスポイント12、12'の間の通信ネットワークのセルラ化(cellularization)に対応する。
【0119】
この第2の実施形態の通信ネットワーク10'は、制御ユニット22が波形成形デバイス14のパラメータを決定するために2つのアクセスポイント(第1のアクセスポイント12および第2のアクセスポイント12')の存在ならびにそれらのアクセスポイントの固有の性能またはワイヤレス通信デバイス16との通信に関するそれらのアクセスポイントの性能を考慮に入れることを除いて、第1の実施形態の通信ネットワーク10と同様に動作する。
【0120】
2つのアクセスポイント12、12'のみの場合が上で検討されたが、通信ネットワーク10'がワイヤレス通信デバイス16と通信することを試みるために3つ以上のアクセスポイントを有することが、可能である。
【0121】
以下で
図3を参照して、第3の実施形態による通信ネットワーク10''が、説明される。
【0122】
第3の実施形態の通信ネットワーク10''は、第1の実施形態の通信ネットワーク10と同様であり、その変更形態は、やはり同じそれぞれの利点を伴って適用され得る。通信ネットワーク10''は、上述の実施形態のワイヤレス通信デバイス16(明瞭にするために、以降、第1のワイヤレス通信デバイス16と呼ばれる)と同様の第2のワイヤレス通信デバイス16'を含むという点で本質的に異なる。第1の実施形態の通信ネットワーク10および/または第2の実施形態の通信ネットワーク10'に共通の要素は、再度説明されない。
【0123】
通信ネットワーク10'は、制御ユニット22がワイヤレス通信デバイス16、16'の各々の存在および恐らくは需要(それらのワイヤレス通信デバイス16、16'は互いに異なる通信の要件を有する可能性がある)に基づいて2つの通信チャネル、第1のワイヤレス通信デバイス16との第1の通信チャネルC1および第2のワイヤレス通信デバイス16'との第2の通信チャネルC1'を最適化するために波形成形デバイス14のパラメータを決定する際に第2のワイヤレス通信デバイス16'を考慮に入れることを除いて第1の実施形態の通信ネットワーク10と同様に機能する。
【0124】
第1の変更形態によれば、第2のワイヤレス通信デバイス16'は、アクセスポイント12によって受信され、制御ユニット22に送信されるパイロット信号SP'を送信する。制御ユニット22は、波形成形デバイス14の新しいパラメータを決定するために各ワイヤレス通信デバイス16、16'から生じる2つのパイロット信号SP、SP'を考慮に入れる。このパラメータは、通信の各々を最適化することの間の妥協の結果であり、第1のパイロット信号SPおよび第2のパイロット信号SP'の値に影響を与える。
【0125】
ワイヤレス通信デバイス16、16'が異なる通信チャネルを使用して、成形デバイス14が2つの部分、第1の通信チャネルC1に適合された第1の部分および第2の通信チャネルC1'に適合された第2の部分を含む第2の変更形態によれば、制御ユニット22は、そのとき、関連する波形成形デバイス14のそれぞれの部分のために1つずつ、2つの新しいパラメータを各反復において決定する。
【0126】
通信ネットワーク10''が空間的に別れているかまたは並置されているが同じ制御ユニット22に接続される2つの波形成形デバイス14、14'を含む第3の変更形態によれば、制御ユニット22は、パイロット信号SP、SP'から、2つの波形成形デバイス14、14'の各々のために1つの新しいパラメータずつ、2つの新しいパラメータを各反復において決定する。
【0127】
上の変更形態のそれぞれの部分またはそれぞれの成形デバイスのためのパラメータは、並列に計算される可能性がある。
【0128】
初期状態において、第1のワイヤレス通信デバイス16のみがアクセスポイント12の範囲内にある場合、波形成形デバイス14(アンテナ24を備えている場合)は、第2のワイヤレス通信デバイス16'などの別のワイヤレス通信デバイスのあり得る存在を検出しようと試みるために環境の探索を実行することができる。アクセスポイント12の範囲外のあり得るワイヤレス通信デバイスの検出を継続する別の方法は、アクセスポイント12による第2のパイロット信号SP'のいつか生じる受信まで、ワイヤレス通信デバイス16への第2の最適化パラメータの放出の間に第1の検出パラメータの放出を挿入することである。
【0129】
アクセスポイント12および/または波形成形デバイス14の近くのワイヤレス通信デバイスの存在を検出するその他の方法が、可能である。
【0130】
アクセスポイント12が2つのパイロット信号SP、SP'を受信すると、制御ユニット22は、アクセスポイント12と2つのワイヤレス通信デバイス16、16'の各々との間の2つの通信チャネルC1およびC1'を最適化するために第2のパラメータを決定することができる。たとえば、第1のワイヤレス通信デバイス16が大きなファイルをダウンロードし、それが第2の通信チャネルC1'において第2のワイヤレス通信デバイス16'のために必要とされる使用量よりも多い帯域幅を第1の通信チャネルC1において必要とする可能性がある場合、制御ユニット22は、第2のワイヤレス通信デバイス16'の受信よりも第1のワイヤレス通信デバイス16の受信を容易にすることができる(帯域幅の需要に関する情報は、たとえば、パイロット信号SPおよびSP'の各々に含まれる)。
【0131】
2つのワイヤレス通信デバイス16、16'の場合が上で検討されたが、通信ネットワーク10''が3つ以上のワイヤレス通信デバイスを有することが、可能である。
【0132】
以下で
図4を参照して、第4の実施形態による通信ネットワーク10'''が、説明される。
【0133】
第4の実施形態の通信ネットワーク10'''は、第1の実施形態の通信ネットワーク10と同様であり、その変更形態は、やはり同じそれぞれの利点を伴って適用され得る。通信ネットワーク10'''は、波形成形デバイス14(以降、第1の成形デバイス14と呼ばれる)と同様の第2の波形成形デバイス14'を含むという点で本質的に異なる。上で説明された通信ネットワークの共通の要素は、再度説明されない。
【0134】
制御ユニット22は、制御ユニット22と第1の波形成形デバイス14との間の管理チャネルCg(第1の管理チャネル)および制御ユニット22と第2の波形成形デバイス14'との間の第2の管理チャネルCg'を介して第1のおよび第2の成形デバイス14、14'を制御する。第2の管理チャネルCg'は、有線またはワイヤレスである可能性がある。第1のおよび第2の成形デバイス14、14'の各々は、任意で、関連する制御ユニット22または22'を有し、これらの制御ユニット22、22'は、任意で、グローバル通信ネットワークまたはローカルエリアネットワークを介してネットワーク接続される。
【0135】
第2の波形成形デバイス14'は、第1の波形成形デバイス14と同様である。第2の波形成形デバイス14'は、任意で、アンテナ24'を有する可能性がある。アンテナ24'は、第2の管理チャネルCg'において制御ユニット22によって送信されたパラメータを受信するために使用される可能性がある。アンテナ24'は、たとえば、第2の成形デバイス14'のアンテナ24'の範囲内にあり、および/またはアクセスポイント12の範囲内になく、および/または第1の成形デバイス14の範囲内にない(そのデバイスが同様のアンテナ24を備えている場合)ワイヤレス通信デバイス16を検出する手段として働く可能性もある。
【0136】
第4の実施形態の通信ネットワーク10'''は、以下のようにして機能する。
【0137】
主波W1は、波W2内で第1の波形成形デバイス14によって反射される。この波W2は、波W3内で第2の波形成形デバイス14'によって反射される。加えて、主波W1は、反射波W4内で第2の成形デバイス14'によって直接反射される。したがって、ワイヤレス通信デバイス16の環境内の場は、波W1、W2、W3、およびW4を含む。
【0138】
制御ユニット22は、第1のおよび第2の波形成形デバイス14、14'のパラメータをまとめて決定し、言い換えると、それらのパラメータは、第2の成形デバイス14'による反射が第1の成形デバイス14からの波W2の反射を含むので互いに依存している。したがって、反射波W2のすべての修正は、反射波W3の修正を引き起こす。
【0139】
波形成形デバイス14、14'が互いに近いとき、制御ユニット22は、第1のおよび第2の波形成形デバイス14、14'のパラメータをまとめて決定する。「近い」は、第2の波形成形デバイス14'が第1の波形成形デバイス14の範囲内にあることを意味すると理解される。
【0140】
ネットワークアンテナ18と同様に、波形成形デバイス14は、使用されるテクノロジー(ワイヤレスリンクの種類)に応じて決まる範囲の距離(または範囲)を有する。この範囲の距離は、通常、遮るもののないエリアにおいて定義される。この範囲の距離は、たとえば、波形成形デバイス14によって送信されたおよび/または反射された主波が波形成形デバイス14におけるその主波の振幅と比較して90%に弱められた振幅を有する距離開始である。
【0141】
特に、波形成形デバイス14の範囲の距離は、波形成形デバイス14の適合可能な表面15のチューニング可能な要素の数および表面積の関数であるが、互いに対するそれらのチューニング可能な要素の配列(すべてのこれらの要素を包含する総表面積など)の関数でもある。
【0142】
しかし、波形成形デバイス14は、電磁波を発し、その放出および/またはその受信の増幅によってその範囲を広げることが可能であるために能動的であるネットワークアンテナ18と違って、(環境に電磁エネルギーを加えず)受動的であるという点でネットワークアンテナ18とは異なる。波形成形デバイス14の動作は、たとえば、この増幅を制限し、したがって、波形成形デバイスの助けを借りて、一定の効率--カバレッジまたは全体的な有効範囲--でネットワークアンテナ18によって発せられる電磁エネルギーのレベルを削減する可能性があることに留意されたい。
【0143】
第1のおよび第2の波形成形デバイス14、14'は、互いに近くない可能性もある。
【0144】
第2の波形成形デバイス14'がアクセスポイント12の範囲外にあるが、両方ともワイヤレス通信デバイス16の範囲内にある場合、ワイヤレス通信デバイス16の周りの場は、波W2およびW3を含む。したがって、ワイヤレス通信デバイス16に対する波形成形デバイス14、14'の間の配列および距離に応じて、通信ネットワーク10'''は、各波形成形デバイス14、14'の寄与を加えるようにして動作し得る。
【0145】
第2の波形成形デバイス14'がアクセスポイント12の範囲外にあり、第2の成形デバイス14のみがワイヤレス通信デバイス16の範囲内にある場合、それらは、順々に動作し、つまり、第2の波形成形デバイス14'が、反射波W2のみを受信し、ワイヤレス通信デバイス16が、第2の波形成形デバイス14'において反射された波W3のみを受信する。
【0146】
制御ユニット22は、第1のおよび第2の波形成形デバイス14、14'のパラメータを互いに独立して決定する可能性もある。これは、第2の波形成形デバイス14'が波W2を受信しないほど第1の波形成形デバイス14から離れている場合に当てはまる可能性がある。第2の波形成形デバイス14'は、恐らくはアクセスポイント12から主波W1を引き続き受信する可能性がある。これは、たとえば、波形成形デバイス14、14'の各々が異なる部屋にあり、アクセスポイント12がこれら2つの部屋の間にある場合に当てはまる可能性がある。
【0147】
概して、第2の波形成形デバイス14'は、第1の波形成形デバイス14の範囲の限界に置かれる。波形成形デバイスの範囲の限界にあることは、アクセスポイント12自体によってまたは第1の成形デバイス14の助けを借りてさえもカバーされないエリアに届くように波形成形デバイスを順々に使用することを可能にする。これは、広い空間、または通信の届きにくいゾーン(たとえば、L字形の廊下もしくは建物の間のエリア)を有する空間に当てはまる可能性がある。
【0148】
2つの波形成形デバイス14、14'の場合が上で検討されたが、通信ネットワーク10'''は、3つ以上のワイヤレス通信デバイスを含む可能性がある。
【0149】
同様に、通信ネットワーク10'、10''、および10'''の一部またはすべてが、一緒に組み合わされる可能性がある。たとえば、通信ネットワークは、上で検討されたように、2つ以上のアクセスポイント12、および/または2つ以上のワイヤレス通信デバイス16、および/または2つ以上の波形成形デバイス14を含む可能性がある。そのとき、そのようなネットワークの動作モードは、上述の動作モードの組合せである。
【0150】
1つの態様によれば、通信ネットワークアクセスポイント12は、主波を発するおよび/または受信するためならびにパイロット信号を発し、ワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するためのネットワークアンテナ18を含む送信モジュール13dを含み、アクセスポイントは、波形成形デバイスにパラメータを送信するように適合され、パイロット信号に関連する情報に基づいてパラメータを決定する制御ユニット22をさらに含み、波形成形デバイスは、制御ユニットから受信されたパラメータに応じて反射波内で主波を反射するおよび/または送信するように適合され、パイロット信号は、アクセスポイントによって発せられた主波および波形成形デバイスによって反射された波の関数であり、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、制御ユニットは、最適化動作モードにあり、最適化動作モードにおいて、制御ユニットは、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信は、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、制御ユニットは、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを決定する。
【0151】
1つの態様によれば、通信ネットワークは、
- 主波を発するおよび/または受信するためならびにパイロット信号を発し、ワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するためのネットワークアンテナ18を含む送信モジュール13を含むアクセスポイント12と、
- パイロット信号に関連する少なくとも1つの情報を制御ユニット22に送信するアクセスポイントのフィードバック送信モジュール20を介してアクセスポイントと通信している制御ユニット22であって、前記情報に基づいてパラメータを決定する、制御ユニット22と、
- 制御ユニット22と通信し、制御ユニットから受信されたパラメータに応じて反射波内で主波を反射するおよび/または送信するように適合される波形成形デバイス14であって、パイロット信号が、アクセスポイントによって発せられた主波および波形成形デバイスによって反射された波の関数である、波形成形デバイス14とを含み、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、制御ユニットは、最適化動作モードにあり、最適化動作モードにおいて、制御ユニットは、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信は、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、制御ユニットは、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを決定する。
【0152】
1つの態様によれば、通信ネットワークに実装されるワイヤレス通信方法は、
- 主波を発するおよび/または受信するためのネットワークアンテナ18を含む送信モジュール13を含むアクセスポイント12と、
- アクセスポイントのフィードバック送信モジュール20を介してアクセスポイントと通信している制御ユニット22と、
- 制御ユニット22と通信している波形成形デバイス14とを含み、
前記方法は、
- ワイヤレス通信デバイスが、受信された主波に応答してパイロット信号を発し、
- アクセスポイントが、パイロット信号に関連する少なくとも1つの情報をフィードバック送信モジュール20を介して制御ユニット22に送信し、
- 制御ユニットが、前記情報に基づいてパラメータを決定し、波形成形デバイスにパラメータを送信し、
- 波形成形デバイス14が、制御ユニットから受信されたパラメータに応じて反射波内で主波を反射および/または送信し、パイロット信号が、アクセスポイントによって発せられた主波および波形成形デバイスによって反射された波の関数であり、
- 送信モジュールがワイヤレス通信デバイスからパイロット信号を受信するとき、制御ユニットが、最適化動作モードにあり、最適化動作モードにおいて、制御ユニットが、波形成形デバイスにパラメータを送信し、パラメータの各々の送信が、送信モジュールによるパイロット信号の受信を可能にする継続時間によって時間的に分けられ、制御ユニットが、以前受信されたパイロット信号および以前決定されたパラメータの時間的連続の関数である値を最適化する最適化アルゴリズムによって新しいパラメータを決定することを特徴とする。
【符号の説明】
【0153】
10 通信ネットワーク
10' 通信ネットワーク
10'' 通信ネットワーク
10''' 通信ネットワーク
12 アクセスポイント
12' アクセスポイント
13 送信モジュール
13' 送信モジュール
13d 送信モジュール
14 波形成形デバイス
14' 波形成形デバイス
15 適合可能な表面
16 ワイヤレス通信デバイス
16' ワイヤレス通信デバイス
17 アンテナ
18 ネットワークアンテナ
18' ネットワークアンテナ
19 処理ユニット
20 フィードバック送信モジュール
20' フィードバック送信モジュール
21 コントローラ
22 制御ユニット
22' 制御ユニット
24 アンテナ
24' アンテナ
C1 通信チャネル
C1' 通信チャネル
Cg 管理チャネル
Cg' 管理チャネル
SP パイロット信号
SP' パイロット信号
W1 主波
W1' 主波
W2 反射波
W2' 反射波