(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】露光装置および露光方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020507095
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2018099543
(87)【国際公開番号】W WO2019029601
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】201710682101.5
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チエン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ スーホン
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-026511(JP,A)
【文献】実開昭61-116319(JP,U)
【文献】特開平09-320932(JP,A)
【文献】特開平11-023365(JP,A)
【文献】特開2004-327660(JP,A)
【文献】特開平08-139009(JP,A)
【文献】特開2006-343684(JP,A)
【文献】特開2001-237169(JP,A)
【文献】特表平11-504443(JP,A)
【文献】特開2003-203853(JP,A)
【文献】特開2003-295459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G02B 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムと、光源システムと、複数の照明システムと、複数の投影対物レンズとを備える露光装置であって、
前記光源システムは、前記複数の照明システムに入射する複数の第1の照明ビームを放射するように構成され、
前記照明システムのそれぞれは、可変減衰器と、分岐エネルギー検出器とを備え、
前記分岐エネルギー検出器は、前記照明システムのうちの対応する1つで発生する第2の照明ビームの照度レベルを検出し、検出した照度レベルを前記制御システムにフィードバックするように構成され、
前記制御システムは、前記可変減衰器を制御することにより、対応する照明システムにおける第2の照明ビームの照度レベルを調整するように構成され、
前記露光装置は、さらに、それぞれの前記投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルを検出するように構成された較正エネルギー検出器を含み、
前記制御システムは
、前記露光光ビームの検出された照度レベルに基づいて、前記第2の照明ビームの照度レベルを互いに一致させるように構成され
、
前記第2の照明ビームの照度レベルを互いに一致させるために以下を含む露光装置
:
工程1、前記照明システムの前記可変減衰器をゼロ化して、減衰をゼロにする工程;
工程2、テスト露光を行い、前記較正エネルギー検出器により、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルを検出し、前記照明システムの前記分岐エネルギー検出器を較正する工程;
工程3、さらにテスト露光を行い、前記較正エネルギー検出器により、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルを検出し、検出された照度レベルの最小値に対応する前記可変減衰器の1つを基準として、残りの前記可変減衰器の減衰レベルを算出し、前記減衰レベルに基づいて前記可変減衰器を構成する工程;
工程4、さらにテスト露光を行い、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルが、照度マッチングの要件を満たすかどうかを判定した後、前記分岐エネルギー検出器を較正するための量を記憶し、前記判定が肯定的である場合には、前記可変減衰器の減衰レベルを機械定数として取り、前記照度マッチングを完了し、前記判定が否定的である場合には、工程2に戻る工程。
【請求項2】
前記光源システムが、光源発生器と、光ビームユニットとを備え、前記光ビームユニットが、前記光源発生器から放射された光ビームを、それぞれが前記照明システムのそれぞれ1つに入射する複数の前記第1の照明ビームに分割するように構成される、請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記光源システムが、それぞれが前記照明システムのそれぞれ1つに入射する前記第1の照明ビームのうちの1つを放射するように構成された、複数の光源発生器を備える、請求項1に記載の露光装置。
【請求項4】
前記可変減衰器が、それぞれが複数の貫通孔を有する位置調整可能な遮光板を2枚備え、2枚の前記遮光板の間の相対位置を調整することにより、前記第1の照明ビームの対応する1つの透過率を制御する、請求項1に記載の露光装置。
【請求項5】
前記光源発生器のそれぞれが、水銀ランプを含む、請求項2または3に記載の露光装置。
【請求項6】
前記光源システムが、さらに、複数の定光強度検出器を備え、各検出器が、前記光源発生器のそれぞれ1つによって発生する前記第1の照明ビームの光強度を検出するように構成される、請求項3に記載の露光装置。
【請求項7】
前記照明システムのそれぞれが、さらに、光均質化ユニットを備え、前記分岐エネルギー検出器が、前記光均質化ユニットにおいて発生する前記第2の照明ビームの照度レベルを検出するように構成される、請求項1に記載の露光装置。
【請求項8】
前記光均質化ユニットのそれぞれが、第1の均質化ロッドと、前記第1の均質化ロッドに接続された第2の均質化ロッドとを備え、前記分岐エネルギー検出器が、前記第1の均質化ロッドと、前記第2の均質化ロッドとの間の接合部から出射する前記第2の照明ビームの照度レベルを検出するように構成される、請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記光均質化ユニットのそれぞれが、さらに、分岐反射ミラーと、絞りとを備え、前記第1の均質化ロッドと、前記第2の均質化ロッドとの間の接合部から出射する前記第2の照明ビームが、前記分岐エネルギー検出器で検出される前に、前記分岐反射ミラーで反射されて、前記絞りを通過する、請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
請求項1に記載の露光装置を用いて、前記露光装置の前記投影対物レンズの像面に配置されたワークに対して露光処理を行う露光方法であって、以下の工程を含む露光方法:
前記ワークの露光処理を行う前に、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルを検出し、前記第2の照明ビームの照度レベルを互いに一致させる工程;並びに
前記ワークを装着して露光処理を行い、リアルタイムで前記分岐エネルギー検出器によって、各照明システムにおける前記第2の照明ビームの照度レベルを検出してフィードバックし、リアルタイムで前記第2の照明ビームのエネルギー変動を測定する工程;
前記エネルギー変動が、エネルギー変動閾値によって規定される範囲内にある場合、調整に必要なエネルギー量をリアルタイムで計算し、調整を行うために、各可変減衰器を制御する工程;
前記エネルギー変動が、前記エネルギー変動閾値によって規定される範囲を超えた場合、露光処理を停止して、アラームを発生し、
以下を行う工程
:
工程1、前記照明システムの前記可変減衰器をゼロ化して、減衰をゼロにする工程;
工程2、テスト露光を行い、前記較正エネルギー検出器により、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルを検出し、前記照明システムの前記分岐エネルギー検出器を較正する工程;
工程3、さらにテスト露光を行い、前記較正エネルギー検出器により、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルを検出し、検出された照度レベルの最小値に対応する前記可変減衰器の1つを基準として、残りの前記可変減衰器の減衰レベルを算出し、前記減衰レベルに基づいて前記可変減衰器を構成する工程;
工程4、さらにテスト露光を行い、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルが、照度マッチングの要件を満たすかどうかを判定した後、前記分岐エネルギー検出器を較正するための量を記憶し、前記判定が肯定的である場合には、前記可変減衰器の減衰レベルを機械定数として取り、前記照度マッチングを完了し、前記判定が否定的である場合には、工程2に戻る工程。
【請求項11】
前記光源システムが、それぞれが前記照明システムのそれぞれ1つに入射する前記第1の照明ビームのうちの1つを生成するように構成された、複数の光源発生器を備え、前記光源システムが、さらに、それぞれが前記光源発生器のそれぞれ1つによって提供される前記第1の照明ビームの光強度を検出するように構成された、定光強度検出器を備え、
工程1と工程2との間に、さらに以下を含む、請求項
10に記載の露光方法:
テスト露光を行い、前記較正エネルギー検出器により、各投影対物レンズの像面における前記露光光ビームの照度レベルを検出し、検出された照度レベルの最小値に対応する前記定光強度検出器の1つを基準として、残りの前記定光強度検出器を較正する工程;並びに
較正されたそれぞれの前記定光強度検出器を用いて、前記光源発生器により発生する前記第1の照明ビームの光強度を測定し、検出された光強度の最小値に対応する前記光源発生器の1つを基準として、残りの前記光源発生器の電力レベルを計算し、計算された電力レベルに基づいて、前記光源発生器を構成する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の技術分野に関し、より具体的には、露光装置および露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術で採用されているフォトリソグラフィは、超微細構造を作製するための既存の加工技術の中で最良で最も一般的なものである。特に、フォトリソグラフィの一部として、露光は、現代の大規模集積体(LSI)、微小電気機械構造(MEMS)、およびパネル表示デバイス(例えば、LCD、OLEDなど)を製造するための重要なプロセスである。
【0003】
フォトリソグラフィのメカニズムは、カメラ写真(photography)と似ている。光源発生器を使用して、所望のパターンを有するフォトマスク上に所望の非常に均一な照射視野(FOV)を形成し、マスクステージ上に保持することができ、照射されたマスクパターンの収差のない画像(image)を、投影対物レンズによって、ワークステージ上に保持された基板上に投影し、その後、所望の超微細構造を形成するための後続のプロセスを行うことができる。所望の高均一照射FOVに加えて、使用される露光装置はまた、精密な露光量制御の能力を有することが必要とされる。しかし、最終製品の大型化に伴い、より大きな走査幅が常に要求され、そのような露光装置に対する要求はますます厳しくなっている。
【0004】
したがって、露光精度をどのように向上させるかが当業者の課題となっている。
【0005】
開示の概要
本発明の目的は、まさしく、露光精度を向上させた露光装置および露光方法を提供することにある。
【0006】
この目的のために、本発明は、制御システムと、光源システムと、複数の照明(照射)(illumination)システムと、複数の投影対物レンズとを備える、露光装置を提供する。前記光源システムは、複数の照明システムに入射する複数の第1の照明ビームを放射するように構成されており、各照明システムは、可変減衰器と、分岐(branch)エネルギー検出器とを備えている。前記分岐エネルギー検出器は、照明システムのうちの対応する1つで生成される第2の照明ビームの照度レベルを検出し、検出された照度レベルを制御システムにフィードバックするように構成される。前記制御システムは、可変減衰器を制御することによって、対応する照明システムにおける第2の照明ビームの照度レベルを調整するように構成される。
【0007】
任意に、露光装置において、光源システムは、光源発生器と、光ビームユニットとを含み、光ビームユニットは、光源発生器から放射された光ビームを、それぞれが照明システムのそれぞれ1つに入射する、複数の第1の照明ビームに分割するように構成される。
【0008】
任意に、露光装置において、光源システムは、それぞれが照明システムのそれぞれ1つに入射する第1の照明ビームのうちの1つを放射するように構成された複数の光源発生器を含む。
【0009】
任意に、露光装置において、前記可変減衰器は、それぞれが複数の貫通孔(through-hole)を有する2つ(2枚)の位置調整可能な遮光板を備え、前記2つの遮光板間の相対位置を調整することにより、前記第1の照明ビームの対応する1つの透過率を制御してもよい。
【0010】
任意に、露光装置において、光源発生器の各々は、水銀ランプを含む。
【0011】
任意に、露光装置において、光源システムは、さらに、複数の定光強度検出器(constant light intensity detector)を含み、各検出器は、光源発生器のそれぞれ1つによって生成される第1の照明ビームの光強度を検出するように構成される。
【0012】
任意に、露光装置において、照明システムの各々は、さらに、光均質化(homogenizing)ユニットを含み、分岐エネルギー検出器は、該光均質化ユニットにおいて生成される第2の照明ビームの照度レベルを検出するように構成される。
【0013】
任意に、露光装置において、各光均質化ユニットは、第1の均質化ロッド(rod)と、第1の均質化ロッドに接続される第2の均質化ロッドとを含み、分岐エネルギー検出器は、第1の均質化ロッドと第2の均質化ロッドとの間の接合部(joint)から出る(come out)第2の照明ビームの照度レベルを検出するように構成される。
【0014】
任意に、露光装置において、各光均質化ユニットは、さらに、分岐反射ミラーと、絞り(diaphragm)とを含み、第1の均質化ロッドと第2の均質化ロッドとの間の接合部から出る第2の照明ビームは、分岐エネルギー検出器によって検出される前に、該分岐反射ミラーによって反射され、絞りを通過する。
【0015】
任意に、露光装置は、さらに、それぞれの投影対物レンズの像面(image plane)における露光光ビームの照度レベルを検出するように構成された較正エネルギー検出器を含み、制御システムは、検出された露光光ビームの照度レベルに基づいて、第2の照明ビームの照度レベルを互いに一致させるように構成される。
【0016】
本発明はまた、請求項10に記載の露光装置を用いて、該露光装置の投影対物レンズの像面に配置されたワークに対して露光処理を行う、露光方法を提供し、当該方法は、以下の工程を含む:
ワークの露光処理を行う前に、それぞれの投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルを検出し、第2の照明ビームの照度レベルを互いに一致させる工程;並びに
ワークを装着(load)して露光処理を実行し、リアルタイムで分岐エネルギー検出器によって、それぞれの照明システムにおける第2の照明ビームの照度レベルを検出してフィードバックし、リアルタイムで第2の照明ビームのエネルギー変動を測定する工程;エネルギー変動がエネルギー変動閾値で規定される範囲内にある場合、調整に必要なエネルギー量をリアルタイムで計算し、調整を行うためにそれぞれの可変減衰器を制御する工程;エネルギー変動がエネルギー変動閾値で規定される範囲を超える場合、露光処理を停止して、アラームを発生する工程。
【0017】
任意に、前記露光方法において、エネルギー変動がエネルギー変動閾値によって規定される範囲を超える場合、さらに、以下を含む:
工程1、照明システムの可変減衰器をゼロ化して(zeroing)、減衰をゼロにする工程;
工程2、テスト露光を行い、較正エネルギー検出器により、それぞれの投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルを検出し、照明システムの分岐エネルギー検出器を較正する工程;
工程3、さらにテスト露光を行い、較正エネルギー検出器により、それぞれの投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルを検出し、検出された照度レベルの最小値に対応する可変減衰器の1つを基準(reference)として、残りの可変減衰器の減衰レベルを算出し、該減衰レベルに基づいて可変減衰器を構成する工程;
工程4、さらにテスト露光を行い、それぞれの投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルが、照度マッチングの要件を満たすかどうかを判定(determine)した後、分岐エネルギー検出器を較正するための量を記憶し、前記判定が肯定的である場合には可変減衰器の減衰レベルを機械定数として取り照度マッチングを完了し、前記判定が否定的である場合には工程2に戻る(loop back)工程。
【0018】
任意に、前記露光方法において、光源システムは、照明システムのそれぞれ1つに入射する第1の照明ビームのうちの1つを生成するようにそれぞれが構成された複数の光源発生器を含み、該光源システムは、さらに、光源発生器のそれぞれの1つによって提供される第1の照明ビームの光強度を検出するようにそれぞれ構成された定光強度検出器を含み、該露光方法は、工程1と工程2との間に、さらに以下を含む:
テスト露光を行い、較正エネルギー検出器により、それぞれの投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルを検出し、検出された照度レベルの最小値に対応する定光強度検出器の1つを基準として、残りの定光強度検出器を較正する工程;並びに
それぞれの較正された定光強度検出器を用いて、光源発生器によって発生する第1の照明ビームの光強度を測定し、検出された光強度の最小値に対応する光源発生器の1つを基準として、残りの光源発生器の電力レベルを計算し、計算された電力レベルに基づいて光源発生器を構成する工程。
【0019】
要約すると、本発明で提供される露光装置および方法によれば、露光装置は、可変減衰器および分岐エネルギー検出器をそれぞれ有する複数の照明システムを有し、該分岐エネルギー検出器は、それぞれの分岐(ブランチ)における照明ビームの照度レベルを検出して、それを制御システムにフィードバックし、次に、該制御システムは、それぞれの照明システムにおける可変減衰器を制御して、それぞれの分岐における照明ビームの照度レベルを調整する。その結果、露光装置のエネルギー制御戦略が最適化され、フォトリソグラフィ装置の他の性能面にわずかな影響を与える一方で、露光性能が向上し、より微細でより高速なエネルギー調整が可能となり、全体的なエネルギー損失が低減される。その結果、精密な制御と露光精度の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る露光装置における単一照明システムおよび単一光源システムの構造概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る露光装置における可変減衰器の概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る露光装置における光均質化ユニットの構造概略図である。
【0021】
詳細な説明
次に、本発明の目的、特徴および利点をより良く理解するために、添付の図面を参照する。図中の構造的、比例的、寸法的およびその他の詳細は、本明細書の開示と併せて、本発明を実施することができる条件を制限することを意図するのではなく、当業者の理解および読解を容易にする目的でのみ提示されることに留意されたい。したがって、それらは技術的に実質的な意味を持たず、本発明の利点および目的に影響を及ぼさないあらゆる全ての構造的修正、比例的変化または寸法変化は、本明細書の教示の範囲内にあるとみなされる。
【0022】
本発明は、制御システム、光源システム、複数の照明システムおよび複数の投影対物レンズを含む、露光装置を提供する。前記光源システムは、複数の照明システムに入射する複数の第1の照明ビームを放射するように構成される。照明システムの各々は、可変減衰器と、分岐エネルギー検出器とを含む。各照明システムの分岐エネルギー検出器は、それぞれの照明システムで生成される第2の照明ビームの照度レベルを検出し、それを制御システムにフィードバックするように構成される。前記制御システムは、それぞれの照明システムの可変減衰器を制御することによって、第2の照明ビームの照度レベルを調整するように構成される。
【0023】
光源発生器および光ビームユニットを含む、1つの光源システムのみを含んでいてもよい。前記光ビームユニットは、光源発生器から放射される光ビームを、複数の第1の照明ビームに分割するように構成される。第1の照明ビームの各々は、照明システムのそれぞれ1つに入射する。このように、1つの光源システムは、複数の照明システムに対応して、光源システムと照明システムとの間の1対多(one-to-many)の対応関係を実現することができる。
【0024】
あるいは、それぞれが照明システムのそれぞれ1つに対応する、複数の光源システムを含んでいてもよく、複数の光源システムと、複数の照明システムとの間の1対1の対応関係を実現することにより、様々な種類の製品における要件を満たしてもよい。
【0025】
図1に示すように、例えば、露光装置では、1つの光源システムが、複数の照明システムに対応している。前記露光装置は、1つの光源システムと、複数の照明システムと、複数の投影対物レンズ30と、制御システムとを含むことができる。簡単にするために、照明システムの1つおよび投影対物レンズ30の1つのみを
図1に示す。光源システムは、光源発生器10を含み、照明システムは、可変減衰器20を含む。光源発生器10は、照明ビームを放射するように構成され、可変減衰器20は、エネルギー制御用の照明ビームの一部を除去するように構成され、そのようなエネルギー制御を受けた照明ビームは、投影対物レンズ30から放射される。一対多の対応関係の場合、光源システムは、さらに、光源発生器10によって発生される照明ビームを、複数の第1の照明ビームに分割するように構成される光ビームユニット60を含む。これらの第1の照明ビームの各々は、同じ光源発生器10から生じる複数の第1の照明ビームが異なる分岐を形成するように、パラメータの同じ組み合わせを有することができる。
【0026】
図2に示すように、可変減衰器20は、2つの遮光板を含む。2つの遮光板21は、それぞれ複数の貫通孔を有している。この貫通孔のおかげで、遮光板21は、エネルギー制御のためのそれぞれの第1の照明ビームの供給(feed)量を制御することができ、各光分岐における第1の照明ビームのエネルギーを、遮光板21により別々に調整することができる。本実施形態では、第1の照明ビームは、貫通孔を通過するだけでなく、2つの遮光板21の間の遮光されていない中間領域を通過してもよい。2つの遮光板21を相対的に移動させることにより、中間領域のサイズを調整することで、第1の照明ビームの供給量を制御することができる。貫通孔は、照明ビームの良好な均一性を維持するのに役立ち、したがって、照明ビームが、シェーディングおよび回折に起因する悪い不均一性を示すことを防ぐ。図は、図示のように上下に配置された2つの矩形の遮光板で達成される供給量制御を示しているが、そのような供給量制御は、例えば、円形状などの様々な形状またはそれらの組み合わせの遮光板によって達成されてもよいし、あるいは、図示のように、左から右などに配置された遮光板によって達成されてもよいことが理解されよう。
【0027】
本実施形態では、光源発生器10は、反射面を有する椀状体(bowl shaped body)11と、該椀状体11の内部に両方配置された、水銀ランプ12および反射ミラー13とを含むことができる。水銀ランプ12により発生する照明ビームは、椀状体11および反射ミラー13により反射され、それによって焦点面の位置、すなわち、光ビームユニット60の入射位置に収束する(converge)。水銀ランプは、発光効率が高く、長寿命であり、好ましい発光色であることから、好ましい光源として用いることができる。
【0028】
任意に、各光源システムは、さらに、それぞれの光源発生器10によって発生する照明ビームの光強度を検出するように構成される定光強度検出器14を含むことができる。光源発生器10のサービス時間の増加によって、照明ビームが影響を受けるのを防ぐために、定光強度検出器14を使用して照明ビームの光強度を検出し、照明ビームが要件を満たしているかどうかを判定することが望ましい。水銀ランプ12の光強度をリアルタイムでモニタすることにより、その電力をリアルタイムで調整し、常に照明ビームの照度レベルを良好に保つことができる。
【0029】
本実施形態において、露光装置は、さらに、エネルギー制御されたそれぞれの照明ビームにそれぞれが結合作用を与えるように構成された結合ユニット40を含むことができる。照明ビームの融合性能および開口数(NA)パラメータは、結合ユニット40によって加えられる結合作用の下で調整することができ、したがって、所望の照明ビームを形成することができ、改善された利用が達成される。加えて、結合作用は、光ビームの断面形状を、円形から、それぞれの分岐によって所望される矩形または正多角形に変化させることができる。
【0030】
本実施形態において、各照明システムは、さらに、光均質化ユニット50を含むことができる。光均質化ユニット50における分岐エネルギー検出器51は、それぞれの分岐における光均質化ユニット50によって生成される第2の照明ビームを検出するように構成される。光均質化ユニット50は、照明ビームが所望の均質性を有するように、結合作用を受けた照明ビームを均質化することができる。均質化レベルが不十分であると、露光精度が低下することがある。光均質化ユニット50において十分に均質化した後、照明ビームは、放射端面において均質な光スポットを放射する。
【0031】
また、
図3に示すように、光均質化ユニット50は、第1の均質化ロッド52と、第1の均質化ロッド52に接続された第2の均質化ロッド53とを含むことができ、分岐エネルギー検出器51は、第1の均質化ロッド52と、第2の均質化ロッド53との間の接合部から放射される第2の照明ビームを検出し、照明ビームの一部は、接合部から放射され、分岐エネルギー検出器51によって検出され、照明ビームのほんの一部のみが迂回される可能性があり(パーセンテージは0.1%未満であるため、第1の照明ビームのエネルギーバランスに対するその影響を無視することができる)、照明ビームの迂回された部分は、分岐エネルギー検出器51に入る第2の照明ビームを形成し、光均質化ユニット50における全体の照明ビームのパラメータを反射するために使用される。このようにして、露光装置における照明ビームのエネルギー変化をリアルタイムでフィードバックすることができる。第1の均質化ロッド52および/または第2の均質化ロッド53は、石英で構成されてもよく、それを通過する照明ビームをより均質にすることができる。溶融石英などの石英は、均質化ロッドに好ましい材料である。
【0032】
本実施形態では、光均質化ユニット50は、分岐反射ミラー511と、絞り512とを含むことができ、第1の均質化ロッド52と第2の均質化ロッド53との間の接合部から出射する第2の照明ビームは、分岐反射ミラー511で反射され、絞り512を通過して、分岐エネルギー検出器51に到達する。
【0033】
任意に、照明システムのそれぞれ1つにそれぞれ対応する、複数の投影対物レンズ30を含むことができる。露光装置は、さらに、投影対物レンズの像面上の露光光ビームの照度レベルを検出するように構成された較正エネルギー検出器70を備えることができる。制御システムは、像面上の露光光ビームの検出された照度レベルに基づいて、投影対物レンズ30に入射する照明ビームの照度レベルを互いに一致させることができる。露光光ビームは、投影対物レンズ30から較正エネルギー検出器70に放射され、較正エネルギー検出器70は、基板の平面に配置することができる。較正エネルギー検出器70は、動作状態の較正が必要な場合にのみ、光路内に配置することができ、通常の製造プロセスのために取り外すことができる。較正エネルギー検出器70を用いて、露光光ビームの照度レベルを検出することにより、水銀ランプ12のための定光強度制御器14または分岐エネルギー検出器51に対して、補正あるいは較正を行うことができる。
【0034】
複数のサブシステムが含まれる場合、露光サブシステムからの露光光ビームのエネルギーが互いに一致せず、エネルギーの差がフォトリソグラフィ装置全体の性能を低下させる可能性がある。本発明によれば、照度マッチングをサブシステムに対して実行することで、異なるサブシステムによって生成される露光光ビームを等しい照度レベルにすることを達成でき、その結果、露光サブシステムからの露光光ビームのエネルギーの差を回避することができ、それによって、フォトリソグラフィ装置の他の性能面にわずかな影響を与える一方で、極めて正確なエネルギー調整、迅速なマッチング収束、および全体的なエネルギー損失の低減を達成することができる。その結果、例えば、TFTを作製するためのフォトリソグラフィ装置における露光システムの露光精度を向上させることができる。
【0035】
本実施形態によれば、単一の光源システムが複数の照明システムに対応するため、それぞれの照明システムに入射する第1の照明ビームは、同一の光源発生器10から発せられ、したがって、実質的に同一の照明パラメータを有し、これにより、それぞれの照明システムで受光される第1の照明ビームは、良好な固有の整合性(intrinsic consistency)を有する。したがって、定光強度制御器14を省略することができる。
【0036】
本発明の別の実施形態では、複数の光源システムが使用され、複数の光源システムのそれぞれは、複数の照明システムのそれぞれ1つに対応する。この場合、
図1の光ビームユニット60を省略することができ、それぞれの光源発生器10で生成された第1の照明ビームを、それぞれの照明システムにおけるそれぞれの可変減衰器20に直接導くことができる。しかしながら、それぞれの光源発生器10からの第1の照明ビームの間の整合性を良好にするために、光源発生器10は、それぞれの固定された光強度制御器14の検出値に基づいて光源発生器10を調整できるように、それぞれの定光強度制御器14を備えることが好ましい。本実施形態のその他の構成は、
図1に示す実施形態と同じであることができる。本発明はまた、上述したような露光装置を用いて、投影対物レンズ30の像面に配置されたワークに対して露光処理を行う、露光方法を提供する。当該方法は、以下に詳述する工程を含む。
【0037】
ワークへの露光処理を行う前に、それぞれの投影対物レンズ30の像面に入射する露光光ビームの照度レベルを検出する。この検出結果に基づいて、投影対物レンズ30に入射する照明ビームの照度レベルを互いに一致させる。投影対物レンズの像面の位置は、続いて装着されるワークの表面の位置に対応する。
【0038】
ワークの装着に続く露光処理の間、分岐エネルギー検出器51は、それぞれの照明システムにおける第2の照明ビームの照度レベルをリアルタイムで検出してフィードバックし、制御システムは、第2の照明ビームにおけるエネルギー変動をリアルタイムで測定し、エネルギー変動がエネルギー変動閾値によって規定される範囲内にある場合、調整に必要なエネルギーをリアルタイムで計算し、それぞれの可変減衰器20を制御して調整を行う;エネルギー変動がエネルギー変動閾値によって規定される範囲を超える場合には、露光処理は停止され、続いて、アラームを発するか、またはそれぞれの投影対物レンズ30に互いに入射する照明ビームの照度マッチングを誘発する。
【0039】
この露光方法において、投影対物レンズ30に互いに入射する照明ビームの照度マッチングは、以下の工程を含む:
工程1:照明システムにおける可変減衰器20をゼロ化して、減衰をゼロにする工程;
工程2:テスト露光を行い、較正エネルギー検出器70により、それぞれの投影対物レンズ30の像面上の露光光ビームの照度レベルを検出し、照明システムにおける分岐エネルギー検出器51を較正する工程;
工程3:別のテスト露光を行い、較正エネルギー検出器70により、それぞれの投影対物レンズ30の像面上の露光光ビームの照度レベルを検出し、検出した照度レベルの最小値に対応する可変減衰器20の1つを基準として、残りの全ての可変減衰器20の減衰レベルを算出し、算出した減衰レベルに基づいて可変減衰器20を構成する工程;
工程4:さらに別のテスト露光を行い、それぞれの投影対物レンズ30の像面上の露光光ビームの照度レベルが互いに一致しているか否かを判定する工程。そうである場合、分岐エネルギー検出器51を較正するための量および可変減衰器20のための減衰レベルは、機械定数として記憶され、したがって、処理全体が終了する。それ以外の場合は、処理が工程2に戻る。
【0040】
任意に、露光装置が複数の光源システムを含む場合、それぞれが光源システムのそれぞれ1つに対応し、それぞれの光源システムにおいて光源発生器10によって発生された照明ビームの光強度を検出するように構成された、定光強度検出器14をさらに含むことができる。この場合、前記方法は、工程1と工程2との間に、さらに以下を含むことができる:
テスト露光を行い、較正エネルギー検出器70により、それぞれの投影対物レンズ30の像面上の露光光ビームの照度レベルを検出し、その検出された照度レベルの最小値に対応する定光強度検出器14の1つを基準として、残りの全ての定光強度検出器14を較正する工程;並びに
較正されたそれぞれの定光強度検出器14を用いて、光源発生器10で発生する第1の照明ビームの光強度を測定し、検出された光強度の最小値に対応する光源発生器10の1つを基準として、残りの全ての光源発生器10の電力レベルを算出し、算出した電力レベルに基づいて、光源発生器10を構成する工程。
【0041】
露光処理の前に前記露光装置で行われる露光較正(キャリブレーション)は、以下の工程を含むことができる。
【0042】
1.較正モードが起動され、露光装置は照度マッチングプログラムを開始する。
【0043】
2.それぞれの分岐における可変減衰器はゼロ化され、それらの減衰レベルは、調光器を構成することによってゼロ化することができる。
【0044】
3.第1のテスト露光を行い、それぞれの分岐の投影対物レンズの像面における露光光ビームの照度レベルを得る。特に、それぞれの分岐の露光光ビームの照度レベルは、較正エネルギー検出器によって得ることができる。
【0045】
4.光源発生器は、それぞれの分岐の照度レベルの最小値で較正され、最小値が較正基準としてフィードバックされ、それに基づいて、光源発生器の電力レベルが計算され、光源発生器が構成される。特に、光源発生器として、水銀ランプ12を用いることができ、それぞれの光源発生器10で発生した第1の照明ビームの光強度を定光強度検出器14で検出することができる。全ての定光強度検出器の最小値を基準として、残りの光源発生器の電力レベルを、定光強度検出器で検出された光強度が互いに等しくなるように調整することができる。
【0046】
5.第2の露光テストを行い、較正エネルギー検出器は、再び、それぞれの分岐の投影対物レンズの像面上の露光光ビームの照度レベルを得る。
【0047】
6.較正計算を行い、照明ビームを較正する。分岐の照度レベルの最小値を基準として、それぞれの分岐の可変減衰器20の減衰レベルを算出して適用する。特に、較正エネルギー検出器は、分岐エネルギー検出器51によって検出された第2の照明ビームに対して較正を行うことができる。
【0048】
7.第3のテスト露光を行い、較正エネルギー検出器は、それぞれの分岐の投影対物レンズの像面上の露光光ビームの照度レベルを得る。
【0049】
8.照度レベルが所定の(predefined)基準を満たしているか否かを判定する。そうである場合、処理は工程9に進む。そうでない場合、処理は較正計算を行う工程に戻る。
【0050】
9.可変減衰器の減衰レベルおよび較正エネルギー検出器の較正結果は、機械定数として記憶され、それによって照度マッチング処理が完了する。可変減衰器の減衰レベルおよび較正エネルギー検出器の較正結果を含む、得られた機械定数は、その後、製造プロセスにおける構成のためのパラメータとして使用される。
【0051】
保証された露光精度を得るために、本発明の露光装置は、以下の工程を含む露光モニタリング方法で設計することができる。
【0052】
1.分岐エネルギー検出器が、それぞれの分岐における照明ビームの照度レベルをリアルタイムでフィードバックする工程。
【0053】
2.分岐エネルギー検出器からフィードバックされた照度レベルに基づいて、それぞれの分岐における照明ビームのエネルギー変動が、一致した照度レベルを判定するための所定の基準を満たしているかどうかをリアルタイムで判定する工程。判定が肯定的である場合、処理は前の工程に戻る。それ以外の場合、処理は次の工程に進む。
【0054】
3.照明ビームのエネルギー変動が所定の範囲を超えているかどうかを判定する工程。そうである場合、露光処理は停止され、同時にアラームが発生し、露光較正方法が誘発される。そうでない場合、処理は次の工程に進む。
【0055】
4.リアルタイムで調整する必要のあるエネルギー量を計算する工程。
【0056】
5.調整方法を、手動介入または可変減衰器による自動エネルギー制御などの所定の範囲に従って選択する工程。
【0057】
6.処理が、リアルタイムモニタリングのために最初に戻る工程。
【0058】
上記実施形態の理解を容易にするために、上記説明は、光ビームの経路に基づいて行っている。なお、上記説明および添付図面において、光学レンズ等の他の構成要素の説明および図示を省略しているが、これらの構成要素の特性値および入出力関係は、較正によって得ることができ、光路に応じて、それらの相対位置を調整することができる。
【0059】
要約すると、本発明で提供される露光装置および方法によれば、露光装置は、可変減衰器および分岐エネルギー検出器をそれぞれ有する複数の照明システムを有し、前記分岐エネルギー検出器は、各分岐における照明ビームの照度レベルを検出し、それを制御システムにフィードバックする。そして、前記制御システムは、各照明システムにおける可変減衰器を制御して、各分岐における照明ビームの照度レベルを調整する。その結果、露光装置のエネルギー制御戦略が最適化され、フォトリソグラフィ装置の他の性能面にわずかな影響を与える一方で、露光性能が向上し、より微細でより高速なエネルギー調整が可能となり、全体的なエネルギー損失が低減される。その結果、精密な制御と露光精度の向上を達成することができる。
【0060】
以上の説明は、本発明のいくつかの好ましい実施形態の説明に過ぎず、いかなる意味でもその範囲を限定するものではない。上記の教示に基づいて当業者によってなされるありとあらゆる全ての変更および修正は、添付の特許請求の範囲で定義される範囲内に含まれるものである。