(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】使い捨て消毒剤ワイプ装置
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20230207BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20230207BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20230207BHJP
B65D 75/30 20060101ALI20230207BHJP
A45D 37/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
B65D83/08 G
B65D83/00 B
B65D75/30
A45D37/00
(21)【出願番号】P 2020507492
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 US2018028404
(87)【国際公開番号】W WO2018195333
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-16
(32)【優先日】2017-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519375398
【氏名又は名称】パラス,ベンジャミン,エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】パラス,ベンジャミン,エス.
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-359331(JP,A)
【文献】米国特許第03057467(US,A)
【文献】実開昭63-184050(JP,U)
【文献】特開2004-321386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0182738(US,A1)
【文献】特開平03-256856(JP,A)
【文献】米国特許第06551265(US,B1)
【文献】国際公開第2010/055892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
B65D 83/08
B65D 83/00
B65D 75/30
A45D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置の前に患者の皮膚を清浄化するための使い捨て消毒剤ワイプ装置であって、
内部小室を有する防菌包装容器であって、開封後は再封できない防菌包装容器と、
消毒剤材料を注入された消毒剤ワイプであって、前記消毒剤ワイプは、追加の消毒ワイプを伴わずに前記内部小室内に設置され、前記消毒剤ワイプは、巻状円筒形状を有する、消毒剤ワイプと、を備え、
前記防菌包装容器の一部分は、前記消毒剤ワイプの巻状円筒形状の軸方向の一方の端部
のうち患者の皮膚に当接させる部分全体を露出させた状態で前記消毒剤ワイプから除去可能であり、同時に、前記防菌包装容器の他部分は、前記消毒剤ワイプの巻状円筒形状の軸方向の他方の端部が前記内部小室に設置された状態で前記消毒剤ワイプから除去されずに残り
、前記防菌包装容器から押し出されることなく、巻状円筒形状の消毒ワイプの前記他方の端部が前記内部小室の奥まで収容された状態で前記内部小室に設置された前記消毒剤ワイプの巻状円筒形状の側面
が前記防菌包装容器の他部分を介してユーザによって把持
され、前記消毒ワイプを患者の皮膚に当接可能である、使い捨て消毒剤ワイプ装置。
【請求項2】
前記防菌包装容器は、前記防菌包装容器の一部分と前記防菌包装容器の他部分とを引裂くための水平方向引裂き構造を備える、請求項1に記載の使い捨て消毒剤ワイプ装置。
【請求項3】
医療処置の前に患者の皮膚を清浄化するための使い捨て消毒剤ワイプ装置であって、
内部小室を有する防菌包装容器であって、開封後は再封できない防菌包装容器と、
消毒剤材料を注入された消毒剤ワイプであって、前記消毒剤ワイプは、追加の消毒ワイプを伴わずに前記内部小室内に設置され、前記消毒剤ワイプは、巻状円筒形状を有する、消毒剤ワイプと、を備え、
前記防菌包装容器の一部分は、前記消毒剤ワイプの巻状円筒形状の軸方向の一方の端部
のうち患者の皮膚に当接させる部分全体を露出させた状態で前記消毒剤ワイプから除去されずに残り、同時に、前記防菌包装容器の他部分は、前記消毒剤ワイプの巻状円筒形状の軸方向の他方の端部が前記内部小室に設置された状態で前記消毒剤ワイプから除去されずに残り
、前記防菌包装容器から押し出されることなく、巻状円筒形状の消毒ワイプの前記他方の端部が前記内部小室の奥まで収容された状態で前記内部小室に設置された前記消毒剤ワイプの巻状円筒形状の側面
が前記防菌包装容器の一部分及び前記防菌包装容器の他部分を介してユーザによって把持
され、前記消毒ワイプを患者の皮膚に当接可能である、使い捨て消毒剤ワイプ装置。
【請求項4】
前記防菌包装容器は、前記防菌包装容器に沿って軸方向に設置された鉛直方向引裂き構造を更に備え、前記鉛直方向引裂き構造は、前記防菌包装容器を細長軸線に沿って開放するために、ユーザによって引張り可能な少なくとも1つのタブであり、前記防菌包装容器の1つの半分は、接着縁に沿って別の半分から分離する、請求項3に記載の使い捨て消毒剤ワイプ装置。
【請求項5】
医療処置の前に患者の皮膚を清浄化するための使い捨て消毒剤ワイプ装置であって、
内部小室を有する防菌包装容器であって、開封後は再封できない防菌包装容器と、
消毒剤材料を注入された消毒剤ワイプであって、前記消毒剤ワイプは、追加の消毒ワイプを伴わずに前記内部小室内に設置され、前記消毒剤ワイプは、巻状円筒形状を有する、消毒剤ワイプと、を備え、
前記防菌包装容器は、前記防菌包装容器の2つの反対側側面に沿った複数の穿孔を更に備え、前記使い捨て消毒剤ワイプ装置は、前記複数の穿孔によってベルトに沿って誘導可能である、使い捨て消毒剤ワイプ装置。
【請求項6】
使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムであって、
ディスペンサであって、
外側ハウジング、
前記外側ハウジングの内部の出口端部に設置された保持器、及び、
前記外側ハウジング上に設置された前進機構を備えるディスペンサと、
を備え、
前記外側ハウジング内部に連続して設置された複数の使い捨て消毒剤ワイプであって、それぞれの使い捨て消毒剤ワイプは、
内部小室を有する防菌包装容器、及び、
消毒剤材料を注入された消毒剤ワイプであって、前記消毒剤ワイプは、前記内部小室内に設置され、前記消毒剤ワイプは、中心軸を中心に巻かれた巻状円筒形状を有する、消毒剤ワイプを備える、複数の使い捨て消毒剤ワイプと、を備え、
前記前進機構は、前記複数の使い捨て消毒剤ワイプのうちの少なくとも1つを前記中心軸に平行な方向に前記外側ハウジングの出口端部に向かって前進させるために、前記外側ハウジングの外部からユーザによって制御可能である、システム。
【請求項7】
前記前進機構は、実質的に前記外側ハウジングの全長に沿って位置する溝内を前記外側ハウジングの入口端部と前記外側ハウジングの出口端部との間で移動可能なスライド式パドルであり、前記スライド式パドルは、前記外側ハウジングの出口端部に向かってスライドすることによって前記複数の使い捨て消毒剤ワイプを前進させる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記外側ハウジングの溝は、防菌包装容器の実質的に1つの全長だけそれぞれ間隔が空いている複数のノッチを更に備え、前記スライド式パドルは、1つの防菌包装容器の刻み幅でノッチからノッチまで前進可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記外側ハウジングの出口端部において前記外側ハウジングの内部に位置する包装除去具を更に備え、前記包装除去具は、前記防菌包装容器を、前記包装除去具を越えて前進する前記複数の使い捨て消毒剤ワイプのそれぞれから接触可能に分離しながら、前記複数の使い捨て消毒剤ワイプが前記包装除去具を越えて前進することを可能にするようなサイズである、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記外側ハウジングは、
前記外側ハウジングの出口端部の内部に設置されたブレードと、
前記ブレードに当接して前記外側ハウジングの外部に設置されたボタンであって、前記ボタンを押圧すると、前記ブレードは、前記防菌包装容器の一部分を前記消毒剤ワイプから係合解除するように係合可能である、ボタンと、を更に備える、請求項6乃至9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記外側ハウジング内部に位置し、実質的に前記外側ハウジングの全長に沿って走行する2つの通路を更に備え、前記2つの通路は、それぞれ溝を備え、前記複数の使い捨て消毒剤ワイプの前記防菌包装容器は、前記溝に沿って整列可能であり、移動可能である、請求項6乃至10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記外側ハウジング内部に位置する内側ハウジングと、
前記外側ハウジングの出口端部の反対側の前記内側ハウジング上に位置するバイアス式ボタンであって、前記ボタンは、ユーザが前記ボタンを押圧することを可能にするために前記外側ハウジングから突出している、バイアス式ボタンと、
前記外側ハウジングの出口端部において前記内側ハウジング上に位置する複数のクラッチアームであって、前記複数のクラッチアームは、最初に閉じたクラッチ操作位置にあり、前記ボタンは、前記前進機構であり、前記ボタンを押圧すると、前記複数のクラッチアームが開いて、前記外側ハウジングの出口端部に向かって延長し、前記ボタンを解放すると、前記ボタン及び前記複数のクラッチアームは、それらの初期位置まで戻ることにより、前記複数の使い捨て消毒剤ワイプを前進させる、複数のクラッチアームと、を更に備える、請求項6乃至11のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年4月19日に出願された、名称が「Disposable Antiseptic Wipe Apparatus」である米国仮特許出願第62/487,324号の利益を主張し、この出願の開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、消毒剤ワイプに関し、より具体的には、使い捨て消毒剤ワイプ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の消毒剤ワイプは、針による注射の前に、患者の身体上の注射領域を清浄化するために病院内で使用される。それらは、また、IV流体をIVポートに接続する前に、患者の腕の周辺IVポート又は患者に近接した別の装置を清浄化するために使用される。これらの消毒剤ワイプは、一般に、アルコール、過酸化水素、ヨウ素、ポリヘキサニド、その他等の消毒剤材料を注入されたファブリック材料から作成され、当該ファブリック材料は、折り畳まれて、箔裏張りパケット内にそれぞれ包装される。箔裏張りパケットは、その上部縁で開放可能であることにより、ユーザは、包装を引き裂いて開けて、消毒剤注入されたファブリック材料の露出された縁を把持することによってそこからファブリック材料を除去してもよい。
【0004】
図1~
図3は、先行技術に従う消毒剤ワイプ10についての図である。具体的には、
図1は、包装14内部のファブリック材料12を表す従来の消毒剤ワイプ10を示し、
図2は、包装14が開放されて、消毒剤注入ファブリック材料12に接触することが可能になった状態の消毒剤ワイプ10を示す。
図3は、包装14から除去した後の消毒剤注入ファブリック材料12を示す。一般に、消毒剤注入ファブリック材料12は、
図3に示すように、単一の材料シートであり、当該シートは、包装内部に置かれる前に層に折り畳まれ、次いで、包装14から除去した後に展開される。消毒剤ワイプが使用されるとき、ファブリック材料は、包装から除去され、選択的に展開され、次いで、患者の注射領域又は患者内部のIVポート付近を擦らされることにより、ファブリック材料内に注入された消毒剤材料によって選択領域を清浄化する。消毒剤注入ファブリック材料12と患者上の選択区域との間の接触は、一般に、注射中の又はIVポートによる感染又は敗血症の可能性を低減することに好結果を得る。
【0005】
しかし、従来の消毒剤ワイプ10の使用に、欠点がないわけではない。患者の皮膚に消毒剤ワイプを稀に使用しても、消毒剤材料が患者の皮膚に炎症をめったに生じさせないけれども、消毒剤材料は、1日に多数回消毒剤ワイプを使用する看護師、医師、又は別の医療専門家の指にかなりの炎症を生じさせることがある。実際、医療専門家が、消毒剤ワイプを毎日30~50回を使用することは稀ではない。この反復使用によって、ユーザの指及び親指は、消毒剤材料に絶えず反復して露出され、これが、指及び親指の痛み、ひび割れた乾いた皮膚の出血をもたらし、そして遂には、皮膚の指紋線の減少をもたらす。ユーザの指への影響は痛みを伴い、そして、ユーザの指に負の美的問題をもたらす。一部のユーザは、消毒剤ワイプを使用する必要があるとき、使い捨て医療手袋(ラテックス又はその他)を着用することによって、この問題を解決しようとしてきたけれども、毎日30~50個の手袋を使用することは無駄が多く、非効率で、費用がかかる。標準の使い捨てラテックス手袋は、それぞれ、医療施設に約0.06ドルを費やさせる。1年間について、1日に50個の手袋を使用する医療専門家は、医療施設に約750ドルを費やさせる。また、そのように多くの生物分解性でない手袋を使用することからの有意な負の環境結果が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、上記の欠陥及び不完全性を対象とする、これまで対象にされなかったニーズが、産業内に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、使い捨て消毒剤ワイプ装置のためのシステム及び方法を提供する。簡単に説明すると、構成において、システムの一実施形態は、とりわけ次のように実装されてもよい。使い捨て消毒剤ワイプ装置は、内部小室を有する防菌包装容器を含む。消毒剤ワイプは、消毒剤材料を注入されて、内部小室内に設置される。消毒剤ワイプは、巻状にされた円筒形状を有する。包装容器の一部分は、消毒剤ワイプの巻状円筒形状の1つの端部を露出させるように消毒剤ワイプから除去可能であり、同時に、消毒剤ワイプの巻状円筒形状の露出されていない端部は、包装容器を介してユーザによって把持可能である。
【0008】
本開示は、また、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムを提供するものと見なされてもよい。簡単に説明すると、構成において、システムの一実施形態は、とりわけ、次のように実装されてもよい。システムは、外側ハウジングと、外側ハウジングの内部の出口端部に設置された保持器と、外側ハウジング上に設置された前進機構と、を有するディスペンサを含む。複数の使い捨て消毒剤ワイプが、外側ハウジング内部に連続して設置される。それぞれのワイプは、内部小室を有する防菌包装容器を含む。消毒剤ワイプは、消毒剤材料を注入されている。消毒剤ワイプは、内部小室内に設置され、巻状円筒形状を有する。前進機構は、複数の消毒剤ワイプを外側ハウジングの出口端部に向かって前進させるように、外側ハウジングの外面からユーザによって制御可能である。
【0009】
本開示は、また、消毒剤ワイプによって領域を殺菌する方法を提供すると考えられてもよい。この点に関して、とりわけ、1つの方法が、以下のステップ、防菌包装容器内の消毒剤材料を注入された消毒剤ワイプを把持するステップであって、消毒剤ワイプは、巻状円筒形状を有する、ステップと、消毒剤ワイプの巻状円筒形状の1つの端部を露出させるために包装容器の一部分を除去するステップと、包装容器越しに消毒剤ワイプの露出されていない端部を把持するステップと、消毒剤ワイプの露出された端部によって、領域が殺菌されるまでその領域を拭くステップと、を含むと概括的に要約されてもよい。
【0010】
本開示は、また、使い捨て消毒剤ワイプ装置を作成する方法を提供すると考えられてもよい。この点に関して、とりわけ、1つの方法が、以下のステップ、消毒剤ワイプの平坦シートを少なくとも一度折り畳むステップと、折り畳まれたシートを円筒形に巻くステップと、消毒剤材料を巻状シートに注入するステップと、内部小室を有する防菌包装容器内部に巻状シートを置くステップであって、包装容器の一部分が、巻状シートの1つの端部を露出させるために消毒剤ワイプから除去可能であり、同時に、巻状シートの露出されない端部が包装容器を介してユーザによって把持可能である、ステップと、を含むと概括的に要約されてもよい。
【0011】
本開示の別のシステム、方法、特徴及び長所が、以下の図面及び詳細な説明を考察すると、当業者にとって明らかであり、又は明らかになるであろう。全てのかかる追加的なシステム、方法、特徴及び長所が本説明内に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付クレームによって保護されることが、意図されている。
【0012】
本開示の多くの態様が、以下の図面を参照してよりよく理解されてもよい。図面内の構成要素は、必ずしも共通の尺度を有するわけではなく、その代わりに、本開示の原理を明確に示す際に強調がなされる。更に、図面において、いくつかの図にわたって、同様の参照番号が対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】先行技術に従う消毒剤ワイプ10についての説明図である。
【
図2】先行技術に従う消毒剤ワイプ10についての説明図である。
【
図3】先行技術に従う消毒剤ワイプ10についての説明図である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、本開示の第1の例示的実施形態に従う、使い捨て式消毒剤ワイプ装置についての側面図である。
【
図5】本開示の第1の例示的実施形態に従う、
図4A~
図4Bの使い捨て消毒剤ワイプ装置についての上面断面図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、本開示の第1の例示的実施形態に従う、ユーザの指によって把持されている使い捨て消毒剤ワイプ装置についての側面図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、本開示の第1の例示的実施形態に従う、様々な包装容器を有する使い捨て消毒剤ワイプ装置についての側面図である。
【
図8】本開示の第1の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプ装置を折り畳むことについての概略フローチャートである。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、本開示の第2の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプ装置の等大側面図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、本開示の第2の例示的実施形態に従う、ユーザの指によって把持されている使い捨て消毒剤ワイプ装置の側面図である。
【
図11】
図11A乃至
図11Eは、本開示の第3の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムの図である。
【
図12】
図12A及び
図12Bは、本開示の第3の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムの図である。
【
図13】
図13A及び
図13Bは、本開示の第3の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムの図である。
【
図14】
図14A及び
図14Bは、本開示の第3の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムの図である。
【
図15】
図15A及び
図15Bは、本開示の第3の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムの図である。
【
図16】
図16A乃至
図16Cは、本開示の第4の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するための装置及びシステムの図である。
【
図17】消毒剤ワイプによって領域を殺菌する方法を示すフローチャートである。
【
図18】使い捨て消毒剤ワイプ装置を作成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4A~
図4Bは、本開示の第1の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプ装置110の側面図である。
図5は、本開示の第1の例示的な実施形態に従う、
図4A~
図4Bの使い捨て消毒剤ワイプ装置の上面断面図である。
図4A~
図5を参照すると、使い捨て消毒剤ワイプ装置110は、単に「装置110」と呼ばれることがあって、内部小室122を有する防菌包装容器120を含む。消毒剤ワイプ130は、消毒剤材料を注入されている。消毒剤ワイプ130は、内部小室122内に設置されている。消毒剤ワイプ130は、巻状にされた円筒形状132を有する。包装容器120の部分120Aは、巻状円筒形状132の消毒剤ワイプ130の1つの端部134を露出させるために、消毒剤ワイプ130から除去可能であり、同時に、巻状円筒形状132の消毒剤ワイプ130の露出されない端部136が包装容器120を介してユーザによって把持される。
【0015】
包装材料120は、箔ベース材料又は類似材料を含んでもよく、当該材料は、防菌性、耐水性又は防液性であり、そして、別途、包装120の内部小室122内にある間の消毒剤ワイプ130の不慮の汚染を防止できる。したがって、包装は、既知の方法によってそれの端部及び縁に沿って密封されることにより、内部小室122を殺菌状態に維持してもよい。消毒剤ワイプ130は、消毒剤材料を注入されるか又は飽和されることができる使い捨てファブリック材料又は類似材料から形成されてもよい。消毒剤材料は、アルコール、過酸化水素、ヨウ素、ポリヘキサニド等を含む任意の既知の消毒剤物質を含んでもよい。消毒剤ワイプ130は、ファブリック材料の平坦シートを実質的に密着した円筒に折り畳むことと巻くことの組合せによって形成されてもよい巻状円筒形状を有し、それにより、ファブリック材料の軸方向剛性が、平坦シート形式のファブリック材料の剛性を実質的に超過する。言い換えると、巻状円筒形状132は、消毒剤ワイプ130の1つの端部に横方向の力が作用したときの軸方向偏向抵抗の大幅な向上を可能にする。
図5に示すように、巻状円筒形状132は、ファブリック材料の多数の重複層を有する密着した螺旋を含んでもよく、一方、包装120は、巻状円筒形状の消毒剤ワイプ130を受け取り得る内部小室122を有するようなサイズにされてもよい。
【0016】
装置110の使用前において、消毒剤ワイプ130は、
図4Aに示すように、包装120の内部小室122内に完全に設置されてもよい。装置110が必要とされるとき、
図4Bに示すように、ユーザは、包装120の一部分120Aを引裂いて、巻状円筒形状132の消毒剤ワイプ130の1つの端部134を露出させ、一方、消毒剤ワイプ130の反対側端部が包装120内部に残ったままであってもよい。包装120の裂かれた部分120Aは、廃棄されてもよく、消毒剤ワイプ130は、使用されてもよい。消毒剤ワイプ130の使用法は、変化してもよいが、通常は、2つの異なるタイプの使用法を含んでもよい。第1の使用法は、消毒剤ワイプ130が包装120から完全に除去されて、巻状円筒形状132で、あるいはそれが巻きを解かれた及び/又は折りが展開された後に、のいずれかにおいて患者に適用される。消毒剤ワイプ130のこの使用法は、従来の消毒剤ワイプが業界内で使用される態様と類似していてもよい。
【0017】
装置110の第2の使用法は、消毒剤ワイプ130が依然として包装120内部に部分的に収容されたままで、ユーザが包装120を介して消毒剤ワイプ130を把持しながら、当該消毒剤ワイプが使用されることを含んでもよい。
図6A~
図6Bは、本開示の第1の例示的実施形態に従って、ユーザの指102によって把持されている装置110についての側面図である。示すように、ユーザは、巻状円筒形消毒剤ワイプ130を、包装120内部に残っている第2部分136において把持してもよく、それにより、ユーザは、皮膚を消毒剤ワイプ130と直接接触させる必要がなく、むしろ、包装120がユーザの指先102と消毒剤ワイプ130との間の物理インタフェースとして作用することを可能にしてもよい。この位置において、
図6Bに示すように、ユーザは、ユーザが消毒剤ワイプ130内部に注入された消毒剤材料と接触する必要を全く伴わずに、消毒剤ワイプ130の露出した端部134と、患者104の注射領域106、患者のIVポート、又は清浄化されるべき任意の別の望ましい位置との間で接触させてもよい。消毒剤ワイプ130が巻状円筒形状132を有するので、それは、過度に屈曲することなく患者104上の場所を清浄化するのに十分な力によって、消毒剤ワイプ130の半径方向に沿って(例えば、1本のチョークを用いて書くことの動作に類似した動作を使用して)又は円運動で、患者の皮膚に当接して擦られるのに十分な耐久性及び剛性を有してもよく、それにより、消毒剤ワイプ130は、消毒剤材料を軟質ブラシのように患者に適用してもよい。消毒剤材料の穏やかな適用を可能するような消毒剤ワイプ130の能力は、露出した端部134において患者に接触することが、使い捨て手袋を必要とすることなく、そして、医療専門家が消毒剤材料に接触することなく、消毒剤ワイプ130を使用することを可能にするときでも、依然として軸方向に偏向することを防止する。
【0018】
装置110は、診療所、病院、外科センター又は任意の別の医療環境を含む、医療現場のいずれかの環境内で用いられて、患者上の注射領域を清浄化、又は周辺IVポート等の医療設備を清浄化してもよい。従来の消毒剤ワイプは、一般に医療専門家によって指で包装から除去されて把持されるが、それと異なり、装置110は、ユーザがワイプ上の消毒剤材料に接触する必要がなく、そしてユーザが医療手袋を着用する必要がなく、消毒剤ワイプの適正使用を可能にしてもよい。この能力は、消毒剤ワイプ130を部分的に収容し、そしてワイプ130内部の消毒剤材料とユーザの指との間のバリヤとして作用する包装材料の使用を介して少なくとも部分的に達成される。巻状円筒形状132の使用は、ユーザが包装120を把持するだけでありながら、装置を患者の皮膚に有効に適用することを可能にすることによって、装置110の使用を更に向上させてもよい。更に、消毒剤ワイプ130が包装120から完全に除去された後に、ユーザがその使用を望むときにこれを実行できることは、
図1~
図3に関連して説明したような従来の消毒剤ワイプを使用することよりも難しくはない。したがって、装置110は、従来の消毒剤ワイプの欠陥について改善して、消毒剤ワイプ130のほぼ従来の使用法を可能にする。
【0019】
装置110の包装120の一部分だけを除去するユーザの能力を助けるために、包装120は、包装120内に形成された引裂き構造124を含んでもよい。
図7A~
図7Bは、本開示の第1の例示的実施形態に従う、様々な包装容器120を有する使い捨て消毒剤ワイプ装置110についての側面図である。
図4A~
図4B及び
図7A~
図7Bに示すように、引裂き構造124は、包装材料120内部にスリット、切取り及び/又は部分的穿孔を含むことにより、ユーザは、包装120の除去部分120Aを容易に引き離してもよい。
図7Aでは、引裂き構造124は、包装120の1つの側面に設置された切取りであり、一方、
図4Aでは、2つの切取りが含まれる。
図7Bでは、引裂き構造124は、包装120内の部分的穿孔である。例えば、穿孔が、外側包装材料内に含まれるけれども、包装120の箔裏張りを通っていない場合の部分的穿孔は、内部小室の殺菌完全性を保持しながら包装120を引き裂くことを支援するために用いられてもよい。引裂き構造124は、それが無くとも装置110の包装120を引き裂くこと又は破ることができるので、全ての設計において必要であるわけでない。引裂き構造124は、また、ユーザが包装120から除去される部分120Aを分離すべき位置についての標示又は印を含んでもよい。一例では、引裂き構造124は、包装容器120に沿って軸方向に設置されてもよい。例えば、
図7A~
図7Bは、包装容器120に沿って水平に設置された引裂き構造124を示す。鉛直方向の引裂き構造が、同様に含まれてもよい。本明細書に記載した使用法のために包装120を適切に開放することを支援するためのなんらかの別の種類の引裂き構造又は別の構造が、また、用いられてもよく、それらの全てが本開示の範囲内にあると考えられる。
【0020】
図8は、本開示の第1の例示的実施形態に従う、
図4A~
図7Bの使い捨て消毒剤ワイプ装置110を折り畳むことについての概略フローチャート200である。特に、
図8は、消毒剤ワイプ130が巻状円筒形状132に形成され得る方法の1つの例を示す。ブロック202において、消毒剤ワイプ130は、ファブリック材料又は別の材料、例えば、紙又は織物ベース材料の平坦シートであってもよい。消毒剤ワイプ130は、ブロック204に示すように、一度半分に折られてもよく、次いで、ブロック206に示すように、更に半分に折られてもよい。ブロック206に見られるように、消毒剤ワイプ130は、互いに近接して設置された4つの材料の層を有してもよい。この折り畳まれる設計は、次いで、ブロック208に示すように、円筒形設計へとそれ自体の上に巻かれてもよい。層をなした消毒剤ワイプ130を円筒形設計へと巻くことが、結果として生じた構造内に軸方向剛性を形成してもよく、それにより、それは、
図6A~6Bに関連して論じられたように用いられてもよい。
【0021】
図9A~
図10Bは、本開示の第2の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプ装置910の等大側面図である。
【0022】
図9Aは、巻状円筒形状の消毒剤ワイプ930を収容する防菌包装容器920を含む使い捨て消毒剤ワイプ装置910を示す。装置910は、装置910の鉛直軸線に沿って細長い。包装容器920の上端部において、2つのタブ924が、装置910の中心から離れる方に延在してもよい。2つのタブ924は、接着縁926に沿って接着接続されていない包装容器920の部分である。接着縁926は、巻状消毒剤ワイプ930を包囲していてもよい。一例では、接着縁926は、装置910の上面、底面及び側面に沿って延在する。グルー、エポキシ等を含む任意の好適な接着剤が、包装容器920を消毒剤ワイプ930の周りに接着するために用いられてもよい。接着剤は、ユーザがわずかな労力で包装容器920を引き離すことができるほど十分に弱くてもよいけれども、巻状消毒剤ワイプを実質的に気密で無菌の環境内に保持できるほど十分に強くてもよい。タブ924が、
図9Bに示すように、包装容器920を引き離すために用いられてもよい。ユーザは、タブ924を把持して、装置910の細長軸線に沿って鉛直方向に引っ張ってもよい。このことは、包装容器920の1つの半分928を別の半分928から包装容器920の接着縁926に沿って分離してもよい。半分同士928が分割されて、折り返されると、消毒剤ワイプ930の1つの端部が、露出された端部934になってもよく、一方、別のものが、露出されていない端部936のままである。露出されていない端部936は、包装容器920の内部小室922内に収容されている。
【0023】
図10A~
図10Bは、本開示の第2の例示的実施形態に従う、ユーザの指102によって把持されている使い捨て消毒剤ワイプ装置910の側面図である。上述のように包装容器920を開いた後に、ユーザは、包装容器920の半分同士928を折り返して、2本以上の指102によって装置910を把持してもよい。ユーザは、次いで、患者104の注射領域106等の領域を拭くことによって、消毒剤ワイプ930を適用してもよい。消毒剤ワイプ930の露出された端部934の部分931が、使用中にわずかに偏向してもよいけれども、部分931は、それの巻状円筒形状のために軸方向偏向抵抗の増加を呈してもよい。この軸方向偏向抵抗の増加が、適用中の消毒剤ワイプ930の有用性を向上させ、その理由は、ワイプ930が、素早く、そして軸方向偏向を補償するための不必要な追加の力を伴わずに適用されることを可能にするからである。
【0024】
図11A~
図15Bは、本開示の第3の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステムについての図である。
【0025】
図11A~
図11Eでは、システム1100は、外側ハウジング940を有するディスペンサを含む。外側ハウジング940は、消毒剤ワイプ110を保持して分注するための任意の好適な形状及びサイズであってもよい。一例では、外側ハウジングは、細長鉛直軸線を有する中空管又は中空半長方形ペンとして形成されてもよい。外側ハウジング940のペン形状は、消毒剤ワイプ110が容易に順々に分注されることを可能にしてもよい。外側ハウジング940は、任意の好適な数の消毒剤ワイプ110を保持するようなサイズであってもよい。外側ハウジング940は、プラスチック、木、金属、硬質ゴム、セラミック等の任意の好適な剛性材料から作成されてもよい。外側ハウジング940は、使用中、システム110に対する安定性を提供できるほど十分に剛性が高くあるべきであり、そして、それは、ユーザのポケット内に置かれることに耐えることができるほど十分に耐久性があってもよい。外側ハウジング940は、細長軸線の一方又は両方の側に開放端を有してもよい。開放端は、消毒剤ワイプ110が外側ハウジング940の内外に移動するのを可能にしてもよい。
【0026】
ディスペンサは、外側ハウジング940上に設置された前進機構944を含む。前進機構944は、複数の消毒剤ワイプ110を外側ハウジング940の出口端部に向かって前進させるように、外側ハウジング940の外部からユーザによって制御可能である。
図11A~
図11Cに示す前進機構は、外側ハウジング940の外側に沿って鉛直方向に設置されたスライド式パドル944である。外側ハウジング940の内部に水平に設置されたアーム945が、スライド式パドル944に取り付けられている。スライド式パドル944は、外側ハウジング940の実質的に全長に沿って位置する溝941内で外側ハウジング940に沿って移動可能である。溝941は、スライド式パドル944が、外側ハウジングの上端部として
図11Aに示された、外側ハウジング940の入口端部と、消毒剤ワイプ110が外側ハウジング940を出る端部として
図11B~11Cに示された、外側ハウジング940の出口端部との間で移動することを可能にする。スライド式パドル944が外側ハウジング940の入口端部から出口端部まで動かされるときに、アーム945は、外側ハウジング940内部に設置された複数の使い捨て消毒剤ワイプ110を押す。消毒剤ワイプ110は、順々に連続して設置されている。そのため、スライド式パドル944を外側ハウジング940に沿って前進させることが、外側ハウジング940を通してそれぞれの消毒剤ワイプ110を前進させることになる。
【0027】
消毒剤ワイプ110が、
図11B~
図11Dに示すように、外側ハウジングを通して少なくとも部分的に前進させられるとき、消毒剤ワイプ110の一部分が、使用のために露出される。
図11Cは、包装容器120の一部分120Aが、包装容器120から除去されることにより、消毒剤ワイプ110の端部134が露出されることを示す。露出されない端部136は、外側ハウジング940内部に全体的又は部分的に残ってもよい。使用後に、スライド式パドル944は、外側ハウジング940を通して使用済み消毒剤ワイプ110を完全に前進させ、そして、次の消毒剤ワイプ110を前進させて使用のために部分的に露出させる。
図11A~
図11Cは、前進プロセスを示す。
図11Aでは、外側ハウジングが、消毒剤ワイプ110で充填される。
図11Bでは、スライド式パドル944が用いられて、使用のための消毒剤ワイプ110を前進させる。
図11Cでは、最後の残っている消毒剤ワイプ110が、使用のために前進させられて露出される。
【0028】
図11Cに示す一例において、溝941は、実質的に1つの包装容器120の全長だけそれぞれ間隔を空けられたいくつかのノッチ1102を含む。スライド式パドル944は、それが外側ハウジング940に沿って前進するときに、それぞれのノッチ1102を捕えて、スライド式パドル944の動きを軽く停止させるような形状にされてもよい。このことは、ユーザがスライド式パドル944を、必要とされる前進量について考える必要を伴わずに、約1つの包装容器120の刻み幅でノッチからノッチまで前進させることを可能にしてもよい。このことは、システム1100が殺菌部位から殺菌部位まで迅速に使用されることを可能にしてもよい。
【0029】
外側ハウジング940は、外側ハウジング940の、出口端部の反対側の入口端部に除去式キャップ942を含んでもよい。除去式キャップ942は、ダスト及び別のデブリが入口端部を通って外側ハウジング940に入ることを防止してもよい。一例では、交換されるべき消毒剤ワイプ110の供給が必要であるとき、キャップ942が除去されて、スライド式パドル944が除去されることを可能にする。消毒剤ワイプ110が外側ハウジング940中に装填されて、スライド式パドル944及びキャップ942が交換されてもよい。
【0030】
図11Dは、外側ハウジング940上に位置する例示的な包装除去具946を示す。包装除去具946は、ブレード、刃又は別の鋭利なものを含んでもよい。包装除去具946は、外側ハウジング940の出口端部で外側ハウジング940の内側に設置されてもよく、そして、使用のための消毒剤ワイプ110が外側ハウジング940を通して部分的に前進させられるとき、包装容器920の部分120Aを除去することに役に立ってもよい。消毒剤ワイプ110の望ましい部分が外側ハウジング940を通して前進させられたときに、ユーザは、外側ハウジング940上に位置するボタン948を押圧してもよい。ボタン948は、押圧されると、包装除去具946を消毒剤ワイプ110に向かって内側へ押すバイアス要素であってもよい。包装除去具は、その中に収容された巻状消毒剤ワイプ130に触れずに、包装容器120を切るか又は引き裂いてもよい。このことは、包装容器120の部分120Aが、ユーザが手で引き裂くか又は別の方法でそれを除去する必要を伴わずに、消毒剤ワイプ110から除去されるようにしてもよい。一例では、ボタン948及び包装除去具946は、円形であってもよく、そして外側ハウジング940の外周全体を取り巻いてもよい。
【0031】
図11Eは、外側ハウジング940の内部の出口端部に設置された保持器950を有するディスペンサを示す。保持器950は、消毒剤ワイプ110が外側ハウジング940から抜け落ちることを防止する任意の構造であってもよい。一例では、保持器950は、消毒剤ワイプ110のうちの1つのものの経路中に少なくとも部分的に延在する可撓性停止構造であってもよい。可撓性停止構造は、ゴム、プラスチック、ポリマ等を含む任意の好適な可撓性材料でできていてもよい。
図11Eに示す例では、可撓性停止構造は、外側ハウジング940の出口端部の下端において、外側ハウジング940の内面に取り付けられたゴムリングである。リングは、外側ハウジング940の上方及びその中へわずかに湾曲している。リングは、外側ハウジング940の中間に開放空間を有することにより、消毒剤ワイプ110が通過するのを可能にする。最初、開放空間が消毒剤ワイプ110の直径よりも小さいことにより、消毒剤ワイプ110は、保持器950を通り越して外側ハウジング940を出ることにならない。しかし、ユーザが力を前進機構944に適用すると、リングは、下向きに屈曲して、消毒剤ワイプ110が通過するのに十分な空間を与える。消毒剤ワイプ110が使用された後に、ユーザは、使用済みワイプをディスペンサから外に前進させて、残りの消毒剤ワイプ110を前進させることを続けてもよい。可撓性停止構造950は、それの最初の位置まで戻って、次の消毒剤ワイプ110が外側ハウジングから出ることを防止してもよい。一例では、可撓性停止構造950は、最初に下向きに屈曲して消毒剤ワイプ110が通過することを防止し、次いで、圧力がユーザによって適用されたときに拡張してもよい。
【0032】
別の一例では、可撓性停止構造950は、外側ハウジング940の出口端部に取り付けられてもよいキャップ952内に収容されてもよい。キャップ952は、外側ハウジング940に類似したサイズの直径及び内孔を有してもよい。キャップ952は、ねじ又は圧入によって取り付けられてもよい。一例では、システム1100の消毒剤ワイプ110が空になった後に、ユーザは、キャップ952を除去して、消毒剤ワイプ110で外側ハウジング940を補充してもよい。キャップ952は、交換されてもよく、システム1100は、前の通りに再利用されてもよい。
【0033】
図12A~
図12Bは、使い捨て消毒剤ワイプ110を分注するためのシステム1200の別の一例を示す。システム1200は、外側ハウジング940内部に位置し、実質的に外側ハウジング940の全長に沿って走行する少なくとも2つの通路972を含む。2つの通路972は、それぞれ溝974を有する。複数の消毒剤ワイプ110の包装容器120は、溝974に沿って整列可能及び移動可能である。通路972は、外側ハウジング940内部で実質的に互いに反対側に位置してもよい。それぞれの通路972下の溝974は、包装容器120の縁を受け取るようなサイズであってもよい。包装容器120は、消毒剤ワイプ110が外側ハウジング940中に装填されるとき、通路972の溝974内に置かれることにより、消毒剤ワイプを整列させるのを支援してもよい。
図12Aは、外側ハウジングの細長軸線に沿ったシステム1200の断面図である。消毒剤ワイプ110は、鉛直方向に装填されて、通路972に沿って下方にスライドする。
図12Bは、包装容器120の縁が通路972の溝974中に嵌合している場合を示すシステム1200の俯瞰図である。
【0034】
図13A~
図13Bは、使い捨て消毒剤ワイプ110を分注するためのシステム1300の別の一例を示す。
図13Aでは、前進機構は、ベルト982が外側ハウジング940内部に少なくとも部分的に位置し、実質的に外側ハウジング940の全長に沿って走行するように示されている。ベルト982は、外側ハウジング940内側の複数の消毒剤ワイプ110に接触し、ベルト982の運動は、消毒剤ワイプ110に外側ハウジング940の出口端部に向かって前進させる。ベルト982は、ベルトを作成するための任意の好適な耐久材料から作成されてもよい。ベルト982は、外側ハウジング940の内部に接続された内蔵ベアリング986の周りを走行させられてもよい。ベルト982は、実質的に外側ハウジング940の全長上を走行するループを形成する。ループは、接触を介して消毒剤ワイプ110を強制的に動かすことによって、消毒剤ワイプ110のための前進機構として作用する。外側ハウジング940の外側で、ベルト982の部分982Aが露出されて、ユーザによって接触可能であってもよい。
図13Bは、外側ハウジング940上の部分982Aのクローズアップを示す。ユーザは、自身の指を用いて部分982Aを上向き方向984に前進させてもよい。上向き方向984は、外側ハウジング940の内側では下向き方向になり、消毒剤ワイプ110を外側ハウジング940の出口端部に向かって動かす。
【0035】
図14A~
図14Bは、使い捨て消毒剤ワイプ110を分注するためのシステム1400の別の一例を示す。
図14Aでは、システム1400は、外側ハウジング1410と、内側ハウジング1420と、を有する。内側ハウジング1420は、外側ハウジング1410内部に位置する。バイアス式ボタン1422が、外側ハウジング1410の出口端部の反対側の内側ハウジング1420上に位置する。ボタン1422は、外側ハウジング1410から突出していることにより、ユーザがボタン1422を押圧することを可能にする。ボタン1422及び内側ハウジング1420は、プラスチック、金属、木、ゴム、セラミック等を含む、外側ハウジング1410に類似した材料から作成されてもよい。
【0036】
内側ハウジング1420は、第1スリーブ1424を含んでもよく、当該第1スリーブの周りにばね1428又は別の可撓性要素が置かれる。第1スリーブ1424は、ばね1428がバイアスをかけるための縁を提供してもよい。外側ハウジング1410は、外側ハウジング1410の出口端部近傍に棚1412を含んでもよい。第2スリーブ1426は、内側ハウジング1420の周りに設置されて、棚1412に当接して静止してもよい。ボタン1422が押圧されると、内側ハウジング1420は、外側ハウジング1410を通して出口端部に向かって動かされる。第1スリーブ1424と第2スリーブ1426とは、内側ハウジング1420が外側ハウジング1410の棚1412に対して動くにつれて、ばね1428に逆らって押圧して、ばね1428を圧縮してもよい。ボタンが解放されると、ばね1428は、第1スリーブ1424にバイアスをかけて、内側ハウジング1420をそれの元の位置まで戻してもよい。
【0037】
システム1400は、内側ハウジング1420内に連続して積み重ねられた複数の消毒剤ワイプ110を含む。複数のクラッチアーム1430が、外側ハウジング1410の出口端部において内側ハウジング1420上に位置する。クラッチアーム1430は、消毒剤ワイプ110を前進させて、一番先の消毒剤ワイプ110を使用のための適所に保持するように機能する。
【0038】
図14Bは、最初の閉じたクラッチ操作位置にあるクラッチアーム1430を示す。クラッチアーム1430は、一番先の消毒剤ワイプ110を当接状態で押圧させられて、それを使用のための適所に保持する。巻状消毒剤ワイプ130の露出部分134が、外側ハウジングから突出して、ユーザが露出部分134によって領域を拭くことを可能にする。消毒剤ワイプ110が使用済みになったとき、それは、1回から数回の間でボタン1422を押圧することによって廃棄されてもよい。ボタン1422のそれぞれの押圧中、内側ハウジング1420は、下方に向かって前進して、複数の消毒剤ワイプ110を外側ハウジング1410に対して前方に押す。同時に、内側ハウジング1420に取り付けられているクラッチアーム1430が、同じ方向に押され、
図14Aに示すように、外側ハウジング1410の空間を満たすように拡張してそれらを開かせることを可能にされる。一番先の消毒剤ワイプ110が前進させられる。ボタン1422が解放されると、クラッチアーム1430がそれらの元の位置に戻って、前進させられた消毒剤ワイプ110上に再び閉じる。十分なボタン押圧の後に、一番先の消毒剤ワイプ110が、システム1400から除去されて廃棄されてもよい。次の消毒剤ワイプ110が、使用のための位置に前進させられる。
【0039】
図15A~
図15Bは、
図9A~
図10Bの消毒剤ワイプ装置910(「消毒剤ワイプ910」)を用いるスライド式パドル1544前進機構を有するシステム1500を示す。
図15Aは、外側ハウジング940と、スライド式パドル1544及びアーム1546と、複数の消毒剤ワイプ910と、を有するシステム1500を示す。一例では、外側ハウジング940は、システム1500が再装填されることを可能にするために除去されてもよい最上部又はキャップ1542を含んでもよい。
【0040】
システム1500は、消毒剤ワイプ910のそれぞれの巻状消毒剤ワイプ920から包装容器930のシースを外すための構造を含んでもよい。構造は、外側ハウジング940の出口端部に位置する鋭利な刃1548であってもよい。一例では、刃1548は、外側ハウジング940の内部に位置するリングであってもよい。リングは、消毒剤ワイプ910がシステム1500を通って前進させられるときに、当該消毒剤ワイプが通過できるほど十分に大きい開放空間を残してもよい。鋭利な刃1548は、消毒剤ワイプ910が外側ハウジング940を通して押されるとき、当該消毒剤ワイプのタブ924を捕えるようなサイズにされて設置されてもよい。
図15Bに示すように、このことは、タブを鋭利な刃1548のところで引き開かせて、包装容器920を接着縁に沿って半分同士928に分離させてもよい。巻状消毒剤ワイプ930の露出部分934が、殺菌での使用に対して準備完了であってもよい。このことは、消毒剤ワイプ910が使用のための位置まで前進させられたときに、システム1500が消毒剤ワイプを自動開放させることを可能にしてもよい。一例では、消毒剤ワイプ910は、包装容器920が巻状消毒剤ワイプ930から分離することにはならない基部を含む。このことは、ユーザが、ワイプに触れることなく、使用済み消毒剤ワイプ910を処分することを可能にしてもよい。その代わりに、ユーザは、スライド式パドル1544を前進させて、使用済み消毒剤ワイプ910を処分してもよい。
【0041】
図16A~
図16Cは、本開示の第4の例示的実施形態に従う、使い捨て消毒剤ワイプを分注するための装置及びシステムの説明図である。
【0042】
図16Aは、上記で開示したような、包装容器1620と、巻状円筒形消毒剤ワイプ1630と、を含む使い捨て消毒剤ワイプ装置1610を示す。それに加えて、装置1610は、包装容器1620の2つの反対側側面に沿った複数の穿孔1612を含む。穿孔1612は、実質的に包装容器1620の全体に沿って含まれてもよく、そして、使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステム1600で使用されるときに、装置1610を誘導するために用いられてもよい。
【0043】
図16B~
図16Cは、システム1600を示す。システム1600は、外側ハウジング1640と、外側ハウジング1640内部の複数の消毒剤ワイプ1610と、を含む。システム1600は、また、歯車ベルト1642を含み、当該歯車ベルトは、外側ハウジング1640内部に位置し、実質的に外側ハウジング1640の全長上を走行する。歯車ベルト1642は、歯車ベルト1642に沿って全ての歯1644を有し、当該歯は、歯車ベルト1642が前進させられるときに前進する。歯車ベルト1642は、内蔵ベアリング1646又は外側ハウジング1640内部の別の構造の周りに巻かれてもよい。消毒剤ワイプ1610は、穿孔1612によって歯1644と整列させられてもよい。消毒剤ワイプ1610は、外側ハウジング1640中に給送されてもよく、そこにおいて、歯1644は、穿孔1612と係合することにより、消毒剤ワイプ1610を整列させ、そして前進させてもよい。
図16Cは、外側ハウジング1640内部で、歯1644と整列し、連続した位置にある消毒剤ワイプ1610を示す。ホイール1648が、外側ハウジング1640の外部に位置してもよく、そして、
図16Bのベアリングと機械的に接続していてもよい。ユーザは、ホイール1648を回転させて歯車ベルト1642を係合してもよく、当該歯車ベルトは、消毒剤ワイプ1610を外側ハウジング1640の出口端部に向かって順に前進させてもよい。一旦歯車ベルト1642が十分に前進させられて消毒剤ワイプ1610のうちの1つを露出させると、包装容器1630は、上記のように自動的に又は手動で除去されてもよく、そして、露出部分1634は、領域を殺菌するために使用されてもよい。
【0044】
図17は、消毒剤ワイプによって領域を殺菌する方法1700を示すフローチャートである。注記すべきは、本開示の技術分野における当業者によって理解されるであろうように、フローチャート内のいずれかのプロセス説明又はブロックは、プロセス内の特定の論理機能を実装するための1つ又は複数の命令を含むモジュール、セグメント又はステップを表現するものとして理解されなければならないことと、機能が、関係する機能に基づいて、実質的に並行的である又は逆の順序であることを含む、示された又は論じられた順序から外れた順序で実行されてもよい代替の実装が、本開示の範囲内に含まれることと、である。
【0045】
ステップ1710は、防菌包装容器内の消毒剤材料を注入された消毒剤ワイプを把持することであって、消毒剤ワイプは巻状円筒形状を有する、ことを含む。
【0046】
ステップ1720は、包装容器の一部分を除去して、消毒剤ワイプの巻状円筒形状の1つの端部を露出させることを含む。包装容器は、巻状消毒剤ワイプから、引き裂かれても、引き離されても、剥がされても又は別の態様で分離されてもよい。一例では、包装容器の除去される部分は、包装容器の半分未満であってもよい。このことは、ユーザが、消毒剤ワイプを使用しながら、強い把持力を適用するのを可能にしてもよい。
【0047】
ステップ1730は、消毒剤ワイプの露出されていない端部を包装容器越しに把持することを含む。露出されていない端部は、依然として包装容器の一部分によって覆われていてもよく、それで、消毒剤材料が露出されていない端部の外部と接触していないことがある。ユーザは、消毒剤材料又は巻状ワイプのいずれにも直接接触することなく、露出されていない端部を把持してもよい。この点で、部分的に露出された巻状ワイプ及び包装容器内の巻状ワイプの露出されていない部分が、頑強な摩耗防止拭き装置をユーザに提供する。ワイプの巻状形状は、使用中の軸方向偏向の増加を提供し、それは、消毒剤ワイプが殺菌中、通常の力で用いられてもよいことを意味する。そして、包装容器の保護カバーは、長期間にわたってかかるワイプを繰返し使用しなければならないユーザに隔離を提供する。
【0048】
ステップ1740は、領域が殺菌されるまで消毒剤ワイプの露出された端部によって領域を拭くことを含む。
【0049】
図18は、使い捨て消毒剤ワイプ装置を作成する方法1800を示すフローチャートである。
【0050】
ステップ1810は、消毒剤ワイプの平坦シートを少なくとも1回だけ折り畳むことを含む。一例では、平坦シートは、複数回だけ折り畳まれて、望ましいサイズ、形状又は層厚を達成してもよい。このことは、平坦シートの最初のサイズ及び完成された消毒剤ワイプ装置の望ましいサイズに依存してもよい。
【0051】
ステップ1820は、折り畳まれたシートを円筒に巻くことを含む。一例では、円筒は、円筒の端部同士の間の長さが円筒の直径以上であるような細長形状を有する。細長形状は、消毒剤ワイプが後に使用されるときに、消毒剤材料に触れることなく把持するのに役に立ってもよい。
【0052】
ステップ1830は、消毒剤材料を巻状シートに注入することを含む。このことは、消毒剤材料をシートに注入するために一般に用いられる方法によって行なわれてもよい。
【0053】
ステップ1840は、内部小室を有する防菌包装容器内部に巻状シートを置くことを含み、包装容器の一部分は、巻状シートの露出されていない端部が包装容器を介してユーザによって把持可能でありながら、巻状シートの1つの端部を露出させるように消毒剤ワイプから除去可能である。巻状シートは、包装容器の1つの半分に置かれてもよい。接着剤が、包装容器のその半分の縁に沿って適用されてもよく、第2の半分が第1の半分に貼付されてもよい。半分同士は、一緒に結束されて、後の使用のために消毒剤ワイプを密封してもよい。
【0054】
強調すべきは、本開示の上記の実施形態、特に、いずれかの「好ましい」実施形態は、単にあり得る実装例であって、単に本開示の原理の明確な理解のために述べられているに過ぎないことである。多くの変形及び修正が、本開示の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく、本開示の上記の実施形態に対してなされてもよい。全てのかかる修正及び変形は、本明細書において、本開示の範囲及び本開示に含まれ、以下のクレームによって保護されることが意図されている。
【符号の説明】
【0055】
102 ユーザの指
104 患者
106 注射領域
110 使い捨て消毒剤ワイプ装置
120 防菌包装容器
120A 防菌包装容器の部分
122 内部小室
124 引裂き構造
130 消毒剤ワイプ
132 巻状円筒形状
134 露出される端部
136 露出されない端部
910 使い捨て消毒剤ワイプ装置
920 防菌包装容器
922 内部小室
924 タブ
926 接着縁
928 包装容器の半分
930 巻状円筒形消毒剤ワイプ
934 露出される端部
936 露出されていない端部
940 外側ハウジング
941 溝
944 前進機構(スライド式パドル)
950 保持器(可撓性停止構造)
952 キャップ
972 通路
974 溝
982 ベルト
986 内蔵ベアリング
1100 使い捨て消毒剤ワイプを分注するためのシステム
1410 外側ハウジング
1420 内側ハウジング
1422 ボタン
1424 第1スリーブ
1426 第2スリーブ
1428 ばね
1430 クラッチアーム