(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】HAPLN1を利用した皮膚老化の測定用または予防用または改善用の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20230207BHJP
A61K 31/728 20060101ALI20230207BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230207BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230207BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230207BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230207BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K31/728
A61K48/00
A61P17/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K8/64
A61K8/73
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2021008717
(22)【出願日】2021-01-22
(62)【分割の表示】P 2019548953の分割
【原出願日】2017-03-06
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519321708
【氏名又は名称】ハプルサイエンス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テ・キョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジチェン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ジュン・バク
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-192978(JP,A)
【文献】特表2010-523124(JP,A)
【文献】特開2014-532675(JP,A)
【文献】特開昭61-56114(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163118(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0031060(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/17
A61K 48/00
A61P 17/00
A61P 43/00
A61K 31/728
A61K 8/73
A61Q 19/08
A61K 8/64
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HAPLN1蛋白質、及びHAPLN1蛋白質をコーディングする遺伝子からなる群から選択されたいずれか1以上を有効成分として含む、皮膚老化の予防用または改善用の薬学組成物。
【請求項2】
ヒアルロン酸をさらに含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
HAPLN1蛋白質を有効成分として含む、皮膚老化の予防用または改善用の化粧料組成物。
【請求項4】
ヒアルロン酸をさらに含む、請求項3に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
HAPLN1蛋白質を有効成分として含む、しわ改善用化粧料組成物。
【請求項6】
前記皮膚老化は、しわである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項7】
前記皮膚老化は、皮膚真皮層の細胞外基質低減によって発生したしわである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項8】
非経口投与によって対象体に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項9】
ヒアルロン酸と共に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアルロン酸とプロテオグリカンとの連結タンパク質1 (HAPLN1:hyaluronan and proteoglycan link protein 1)を利用した皮膚老化測定用バイオマーカー組成物と、皮膚老化の予防用または改善用の薬学組成物、化粧料組成物または健康機能食品に関することだ。
【背景技術】
【0002】
皮膚老化による最も明らかな現象のうち一つは、真皮層の細胞外基質(extracellular matrix)の低減であり、それによってしわが発生する。真皮層の細胞外基質は、コラーゲン(collagen)、エラスチン(elastin)、糖蛋白質(glycoprotein)のような多様な蛋白質が主要成分として含まれている。それら蛋白質のうち90%以上は、コラーゲンであり、そのうちでも、約90%ほどがタイプ1コラーゲン(type 1 collagen)である。老化により、真皮層の細胞外基質において、タイプ1コラーゲンの量が約70%減少する現象が確認された。
【0003】
ヒアルロン酸(hyaluronic acid)は、アミノ糖とウロン酸とからなる多糖類の一種であり、生体の全ての組織に分布し、体内総量の50%ほどが皮膚に分布している。ヒアルロン酸は、最大1,000倍質量の水と結合することができ、真皮組織の細胞外基質を充填する役割を行う。また、ヒアルロン酸は、さまざまな糖蛋白質とプロテオグリカンとの凝集(aggregate)を形成し、多くの成長因子(growth factor)を貯蔵したり保存したりする役割を行う。臨床研究結果によれば、ヒアルロン酸は、真皮線維芽細胞(dermal fibroblast)の増殖、及びコラーゲン生成、成長因子の分泌を増加させるが、加齢しながら、皮膚において、40%以上低減すると知られている。
【0004】
皮膚老化は、大きく見て、内因性皮膚老化(intrinsic aging)と外因性皮膚老化(extrinsic aging)との2種で分けられる。外因性皮膚老化は、紫外線、喫煙のように、主に外部環境的な要因によって引き起こされ、内因性皮膚老化は、加齢に伴う皮膚老化である。現在、外因性皮膚老化を防止するために、紫外線遮断機能を有した香粧品など多くの方法が存在するが、内因性皮膚老化を防止するための方法は、今のところない実情である。従って、内因性皮膚老化を予防したり、老化された皮膚を改善させるための努力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、皮膚老化測定用バイオマーカー組成物を提供するところにある。
【0007】
本発明の他の目的は、皮膚老化測定用キットを提供するところにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、皮膚老化改善剤のスクリーニング方法を提供するところにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、皮膚老化の予防用または改善用の薬学組成物を提供するところにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、皮膚老化の予防用または改善用の化粧料組成物、またはしわ改善用化粧料組成物を提供するところにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、皮膚老化の予防用または改善用の健康機能食品、またはしわ改善用健康機能食品を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、生物学的試料から、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子を検出する製剤を含む皮膚老化測定用バイオマーカー組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、生物学的試料から、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子を検出する製剤を含む皮膚老化測定用キットを提供する。
【0014】
また、本発明は、生物学的試料に、任意の化合物を処理する段階と、前記生物学的試料から、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子の発現レベルを検出する段階と、前記発現レベルを、任意の化合物を処理していない正常対照群での同一の蛋白質または遺伝子の発現レベルとを比較する段階と、を含む皮膚老化改善剤のスクリーニング方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、HAPLN1蛋白質、それをコーディングする遺伝子、及びHAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子の発現促進またはその機能を活性化させる効能剤からなる群のうちから選択されたいずれか1以上を有効成分として含むことを特徴とする皮膚老化の予防用または改善用の薬学組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、HAPLN1蛋白質、またはHAPLN1蛋白質の発現促進、またはその機能を活性化させる効能剤のうちいずれか一つを有効成分として含むことを特徴とする皮膚老化の予防用または改善用の化粧料組成物、またはしわ改善用化粧料組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、HAPLN1蛋白質、またはHAPLN1蛋白質の発現促進、またはその機能を活性化させる効能剤のうちいずれか一つを有効成分として含むことを特徴とする皮膚老化の予防用または改善用の健康機能食品、またはしわ改善用健康機能食品を提供する。
【0018】
前述の薬学組成物、化粧料組成物または健康機能食品は、ヒアルロン酸をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、HAPLN1蛋白質は、老化個体で発現量が減少し、投与時、しわを含んだ皮膚老化を改善及び回復させる効果にすぐれるので、本発明は、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子を検出する製剤を含む、皮膚老化を診断することができる皮膚老化測定用のバイオマーカー組成物、キット、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子の発現レベルを検出する段階を含む皮膚老化予防方法または改善剤スクリーニング方法、皮膚老化の予防用または改善用の薬学組成物、化粧料組成物または健康機能食品、及びしわ改善用化粧料組成物または健康機能食品に有用に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】老化マウス(O(old))と幼いマウス(Y(young))との非同時性個体結合(heterochronic parabiosis)対におけるコラーゲの生成を確認した結果である。
【
図1B】老化マウス(O(old))と幼いマウス(Y(young))との非同時性個体結合(heterochronic parabiosis)対におけるコラーゲの生成を確認した結果である。
【
図2A】老化マウス(O(old))と幼いマウス(Y(young))との非同時性個体結合(heterochronic parabiosis)対におけるヒアルロン酸(HA)のレベルを確認した結果である。
【
図2B】老化マウス(O(old))と幼いマウス(Y(young))との非同時性個体結合(heterochronic parabiosis)対におけるヒアルロン酸(HA)のレベルを確認した結果である。
【
図3】皮膚老化と係わる内因性因子がHAPLN1であることを確認した結果である。
【
図4A】老化マウス皮膚と幼いマウス皮膚とのプロコラーゲンのmRNA量及びその分布を比較した結果である。
【
図4B】老化マウス皮膚と幼いマウス皮膚とのプロコラーゲンのmRNA量及びその分布を比較した結果である。
【
図5A】老化マウス皮膚と幼いマウス皮膚とのヒアルロン酸濃度及びその分布を比較した結果である。
【
図5B】老化マウス皮膚と幼いマウス皮膚とのヒアルロン酸濃度及びその分布を比較した結果である。
【
図6A】老化マウス皮膚と幼いマウス皮膚とのHAPLN1濃度及びその分布を比較した結果である。
【
図6B】老化マウス皮膚と幼いマウス皮膚とのHAPLN1濃度及びその分布を比較した結果である。
【
図7A】老化マウスにおいて、HAPLN1投与によるコラーゲン増加を確認した結果である。
【
図7B】老化マウスにおいて、HAPLN1投与によるコラーゲン増加を確認した結果である。
【
図8A】老化マウスにおいて、HAPLN1投与によるヒアルロン酸増加を確認した結果である。
【
図8B】老化マウスにおいて、HAPLN1投与によるヒアルロン酸増加を確認した結果である。
【
図9】ヒト正常皮膚線維芽細胞(NHDF)において、HAPLN1処理によるTGF-β誘導コラーゲン増加を確認した結果である。
【
図10A】ヒト正常皮膚線維芽細胞において、HAPLN1処理によるコラーゲン合成信号伝達経路において、TGF-β受容体IIの蛋白質発現量増加を確認した結果である。
【
図10B】ヒト正常皮膚線維芽細胞において、HAPLN1処理によるコラーゲン合成信号伝達経路において、TGF-β受容体IIの蛋白質発現量増加を確認した結果である。
【
図10C】ヒト正常皮膚線維芽細胞において、HAPLN1処理によるコラーゲン合成信号伝達経路において、TGF-β受容体IIの蛋白質発現量増加を確認した結果である。
【
図11】ヒト正常皮膚線維芽細胞において、HAPLN1処理によるTGF-β受容体IIの安定性上昇を確認した結果である。
【
図12】ヒト正常皮膚線維芽細胞において、HAPLN1処理によるTGF-β誘導ヒアルロン酸合成酵素(HAS2:hyaluronic acid synthase 2)蛋白質発現量増加を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発明者らは、老化マウスと幼いマウスとの蛋白質発現を比較した結果、老化マウスにおいて、HAPLN1(hyaluronan and proteoglycan link protein 1)の発現が低減されるということを見い出し、本発明の完成に至った。前記HAPLN1は、ヒアルロン酸をプロテオグリカンに連結し、ヒアルロン酸を安定化させる蛋白質であり、HAPLN1の皮膚老化改善効果は、現在報告されていない。
【0022】
本発明は、生物学的試料から、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子を検出する製剤を含む皮膚老化測定用バイオマーカー組成物を提供する。
【0023】
前記HAPLN1蛋白質は、(mouseHAPLN1accession:
NP_038528.3、Gene ID:12950;human HAPLN1 accession:AAH57808.1、Gene ID:1404)である、それらに制限されるものではない。
【0024】
前記製剤は、抗体、アンチセンスRNA(antisenseRNA)、アプタマー(aptamer)及び化合物からなる群のうちから選択されたいずれか一つであるが、それらに制限されるものではない。
【0025】
前記皮膚老化は、皮膚真皮層の細胞外基質低減によって発生したしわでもある。
【0026】
併せて、本発明は、生物学的試料から、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子を検出する製剤を含む皮膚老化測定用キットを提供する。
【0027】
前記製剤は、抗体、アンチセンスRNA、アプタマー及び化合物からなる群のうちから選択されたいずれか一つであるが、それらに制限されるものではない。
【0028】
前記抗体は、多クローン性抗体(polyclonal antibody)または単一クローン抗体(monoclonal antibody)である。
【0029】
前記多クローン性抗体は、当業者に知られた方法により、免疫原に、前記遺伝子によって発現された蛋白質またはその断片を、外部宿主に注射することにより、製造することができる。該外部宿主は、マウス、ラット、羊またはウサギのような哺乳動物を含む。該免疫原は、筋内、腹腔内または皮下への注射方法に注射され、一般的に抗原性を上昇させるための補助剤(adjuvant)と共に投与される。外部宿主から定期的に血清を採取し、向上した力価、及び抗原に対する特異性を示す血清を収去したり、そこから抗体を分離精製したりする。
【0030】
前記単一クローン抗体は、当業者に知られた融合による不滅化された細胞株生成技術によっても製造される。例えば、前記遺伝子によって発現された蛋白質をマウスに免疫化させたり、ペプチドを合成したりし、牛血清アルブミンと結合させ、マウスに免疫化させる。マウスから分離された抗原生産Bリンパ球を、ヒトまたはマウスの骨髄腫(myeloma)と融合させ、不滅化されたハイブリドーマ(hybridoma)を生成し、前記ハイブリドーマ細胞をもって、間接的な酵素結合免疫吸着分析法(ELISA:enzyme-linked immunoabsorbent assays)を使用し、モノクノーラル抗体の生成いかんを確認し、陽性クローンを選んで培養した後、抗体を分離精製したり、ラットの腹腔に注入したりした後、腹水を採取することにより、単一クローン抗体を製造することができる。
【0031】
前記単一クローン抗体は、一般的に、アルカリホスファターゼ(AP:alkaline phosphatase)またはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP:horseradish peroxidase)などの酵素が結合された二次抗体、及びそれらの基質を使用し、発色反応させることによって定量分析することもでき、または直接前記蛋白質に係わる単一クローン抗体に、AP酵素またはHRP酵素などが結合されたものを使用して定量分析することができる。
【0032】
前記蛋白質と抗体との反応は、ウェスタンブロット(western blot)、免疫沈降法(IP:immunoprecipitation)、酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)及び免疫染色法(IHC:immunohistochemistry)などの蛋白質確認実験を介して確認することができるが、それらに制限されるものではない。
【0033】
前記抗体を含むキットは、典型的に、凍結乾燥形態の抗体、バッファ、安定化剤、不活性蛋白質などを含み、前記抗体は、放射性核種(radionuclides)、蛍光源(fluorescors)、酵素(enzymes)などによっても標識化される。
【0034】
また、本発明は、生物学的試料に、任意の化合物を処理する段階と、前記生物学的試料から、HAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子の発現レベルを検出する段階と、前記発現レベルを、任意の化合物を処理していない正常対照群での同一の蛋白質または遺伝子の発現レベルとを比較する段階と、を含む皮膚老化改善剤のスクリーニング方法を提供する。
【0035】
前記生物学的試料は、組織、細胞、全血、血清及び血漿からなる群のうちから選択されたいずれか一つ以上でもある。
【0036】
併せて、本発明は、HAPLN1蛋白質、それをコーディングする遺伝子、及びHAPLN1蛋白質またはHAPLN1遺伝子の発現促進、またはその機能を活性化させる効能剤からなる群のうちから選択されたいずれか1以上を有効成分として含むことを特徴とする皮膚老化の予防用または改善用の薬学組成物を提供する。
【0037】
前記薬学組成物は、ヒアルロン酸(HA)をさらに含んでもよい。
【0038】
前記薬学組成物は、一般的な方法により、ゲル剤、乳剤、注射剤、散剤、顆粒剤、エアゾール剤、ペースト剤、経皮吸収剤及びパッチ剤からなる群のうちから選択された1以上の剤形によっても提供されるが、それらに制限されるものではない。
【0039】
本発明の他の具体例において、前記薬学組成物は、薬学組成物の製造に一般的に使用する適切な担体、賦形剤、崩壊剤、甘味剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤、香味剤、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、希釈剤、分散剤、界面活性剤及び結合剤からなる群のうちから選択される1以上の添加剤を追加して含んでもよい。
【0040】
具体的には、担体、賦形剤及び希釈剤は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油を使用することができ、経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、そのような固形製剤は、前記組成物に、少なくとも1以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシウムカーボネート、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤することができる。また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用することができる。経口のための液状製剤としては、懸濁液剤、耐溶液剤、乳剤、シロップ剤などがあり、一般的に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、さまざまな賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁液剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。非水性溶剤、懸濁液剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用される。坐剤の基材としては、ウイテプゾール(Witepsol)、マクロゴール、ツイーン(Tween)61、カカオ脂、ラウリンジ、ギリセロゼラテンなどが使用される。
【0041】
前述のHAPLN1蛋白質及び効能剤の望ましい投与量は、対象体の状態及び体重、老化の種類及び程度、薬物形態、投与経路及び期間によっても異なり、当業者によって適切にも選択される。
【0042】
本発明において、前記「対象体」は、ヒトを含む哺乳動物でもあるが、その例に限定されるものではない。
【0043】
また、本発明は、HAPLN1蛋白質、またはHAPLN1蛋白質の発現促進、またはその機能を活性化させる効能剤のうちいずれか一つを有効成分として含むことを特徴とする皮膚老化の予防用または改善用の化粧料組成物、またはしわ改善用化粧料組成物を提供する。
【0044】
前記化粧料組成物は、ヒアルロン酸をさらに含んでもよい。
【0045】
前記化粧料組成物は、有効成分であるHAPLN1蛋白質及び効能除以外に、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような一般的な補助剤、そして担体を含んでもよい。
【0046】
前記化粧料組成物は、当業界で一般的に製造されるいかなる剤形にも製造され、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどにも剤形化されるが、それらに限定されるものではない。さらに詳細には、サンクリーム、柔軟化粧水、収斂化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、パック、スプレーまたはパウダーの剤形にも製造される。
【0047】
前記剤形が、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが利用される。
【0048】
前記剤形が、パウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、ケイ酸カルシウムまたはポリアミドパウダーが利用され、特に、スプレーである場合には、追加してクロロプルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体を含んでもよい。
【0049】
前記剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が利用され、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0050】
前記剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁液剤、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガールまたはトラカントなどが利用される。
【0051】
また、本発明は、HAPLN1蛋白質、またはHAPLN1蛋白質の発現促進、またはその機能を活性化させる効能剤のうちいずれか一つを有効成分として含むことを特徴とする皮膚老化の予防用または改善用の健康機能食品、またはしわ改善用健康機能食品を提供する。
【0052】
前記健康機能食品は、ヒアルロン酸をさらに含んでもよい。
【0053】
前記健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、シロップまたは飲料の形態でも提供され、前記健康機能食品は、有効成分である本発明によるHAPLN1蛋白質及び効能剤以外に、他の食品または食品添加物と共に使用され、一般的な方法により、適切にも使用される。有効成分の混合量は、その使用目的、例えば、予防的、健康的または治療的な処置により、適切に決定される。
【0054】
前記健康機能食品に含有されたHAPLN1蛋白質及び効能剤の有効用量は,前記薬学組成物の有効用量に準して使用することができるが、健康及び衛生を目的にするか、あるいは健康調節を目的にする長期間の摂取の場合には、前記範囲以下でもあり、有効成分は、安全性面において、何らの問題がないために、前記範囲以上の量でも使用されるということは、確実である。
【0055】
前記健康機能食品の種類には、特別な制限がなく、例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などを挙げることができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明理解の一助とするために、実施例を挙げて詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の内容を例示するものであるのみ、本発明の範囲は、下記実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当業界で当業者に、本発明についてさらに完全に説明するために提供されるものである。
【0057】
<実施例1>皮膚老化内因性因子の探索
非同時性個体結合(heterochronic parabiosis)は、同種の老化マウスと若いマウスとの血管を連結し、血液を共有する実験法で、非同時性個体結合実験モデルを利用し、神経、心臓及び筋肉の老化を起こす生体内部因子を探索、究明するのに利用される。
【0058】
従って、生体内部で皮膚老化と係わる因子の存在いかんを確認するために、韓国基礎科学支援研究院から得た20ヵ月齢の老化C57BL/6Jマウスと、中央実験動物から得た6週齢の幼いC57BL/6Jマウスとに麻酔をかけた後、各マウスの皮膚及び腹腔筋肉を切開し、個体結合(parabiosis)した。幼いマウスの場合、右側の前足から後足までの皮膚を約5cmほど切開した後、右側腹腔筋肉を1cmほど切開し、老化マウスの場合、左側の前足から後足までの皮膚を5cmほど切開した後、左側腹腔筋肉を1cmほど切開した。切開された腹腔筋肉及び皮膚を互いに連結及び縫合して個体結合し、3週の間維持した後、安楽死させた後、各実験群マウスの血漿及び皮膚組織を採取した。眼窩採血で血液を全量取り、エチレンジアミン四酢酸(EDTA:ethylenediaminetetraacetic acid)コーティング採血管で30分ほど培養した後、10,000xgの速度で遠心分離して血漿を分離した。分離された血漿は、-70℃で保管した。皮膚組織は、マウス除毛後、首頸部の皮膚(cervical skin)を1cm×1cmサイズに採取した。
【0059】
免疫蛍光法(immunofluorescence)のために、採取した皮膚組織を10%ホルマリン(formalin)に固定させ、パラフィンセクション(paraffin section)を作製した。作製されたスライドを、パラフィン除去(deparaffinization)及び再水化(rehydration)させ、ゴート抗マウスプロコラーゲンタイプ1アルファ2 IgG(goat anti-mouse pro-COL1A2(collagen typeI α2) polyclonal IgG、Santa cruz biotechnology)抗体、ドンキー抗ゴートIgG(H+L)アレクサフルオール594(donkey anti-goat IgG(H+L) Alexa Fluor 594、Life technologies)抗体を利用して免疫蛍光染色を行った。
【0060】
qRT-PCRを行うために、分離された皮膚組織を、0.25%トリプシン/EDTA(trypsin/EDTA)において、4℃で一晩培養した後、真皮層を分離し、トリゾール試薬(trizol reagent)を利用し、総mRNAを抽出した。抽出されたmRNAを、cDNA合成キット(Life technologies)を利用し、cDNAに合成した後、proCOL1A1、proCOL1A2、proCOL3A1及びGAPDHを、qRT-PCR法で定量した。
【0061】
その結果、
図1A、
図1B、
図2A及び
図2Bのように、老化マウス(O(old))と若いマウス(Y(young))との非同時性個体結合対中の老化個体(YO-O)の皮膚組織において、コラーゲン(collagen)(
図1A及び
図1B)とヒアルロン酸(
図2A及び
図2B)との生成が、老化マウスと老化マウスとの非同時性個体結合対中の老化個体(OO-O)より増加するということを確認した。
【0062】
従って、生体内部に、皮膚老化と係わる内因性因子が存在するということを確認した。
【0063】
併せて、各実験個体のマウスから血漿を分離し、プロテオーム分析(SomaScan proteomics、米国・SomaLogic社に依頼)を介し、内因性因子を究明した。その結果、
図3のように、老化と関連性のある蛋白質がHAPLN1であるということを確認した。
【0064】
<実施例2>皮膚老化状態におけるHAPLN1の量的減少確認
1.皮膚老化時におけるコラーゲン生成低減
C57BL/6J雄20ヵ月齢老化マウスと、6週齢幼いマウスとの首頸部部位の皮膚組織を、前記実施例1と同一方法で、1cm×1cmサイズに採取し、その総mRNAを抽出した。抽出されたmRNAを、cDNA合成キットを利用し、cDNAに合成した後、プロコラーゲンタイプI(proCOL1A1及びproCOLIA2)、並びにプロコラーゲンタイプIII(proCOL3A1)のmRNA量をqRT-PCR方法で定量した。
【0065】
その結果、
図4Aのように、老化マウスにおいて、proCOL1A1、proCOLIA2及びproCOL3A1のmRNAレベルが、幼いマウス対比で、それぞれ1/4.3,1/4.2,1/5.6レベルに低下した。
【0066】
また、前記実施例1と同一方法で、老化マウスと幼いマウスとの首頸部部位の皮膚組織を、パラフィンセクションNい製造し、免疫蛍光法を遂行した。それを、共焦点顕微鏡で観察した結果、
図4Bのように、老化マウス皮膚において、プロコラーゲンタイプIの分布低下を確認した。
【0067】
2.皮膚老化時におけるヒアルロン酸量の減少
C57BL/6J雄20ヵ月齢老化マウスと6週齢幼いマウスとの首頸部部位の皮膚組織を、前記実施例1と同一方法で、1cm×1cmサイズに採取し、酵素免疫測定法(ELISA)を遂行した。まず、ブレード(blade)を利用して分離した皮膚組織から、皮下脂肪を除去した後、1Xプロテアーゼ抑制剤(protease inhibitor)を添加したリン酸緩衝食塩水(PBS:phosphate buffer saline)溶液で均質化(homogenization)させた。ヒアルロン酸ELISAキット(hyaluronic acid ELISA kit、CUSABIO)を利用し、製造社の指針に従ってヒアルロン酸を定量した。
【0068】
その結果、
図5Aのようにに、老化マウスにおいて、ヒアルロン酸の濃度が、幼いマウス対比で1/4.2レベルに低下した。
【0069】
また、老化マウスと幼いマウスとの皮膚組織切片に対し、前記実施例1と同一方法で免疫蛍光染色した。このとき、抗ヒアルロン酸抗体であるシープ抗ヒアルロン酸ポリクローナル抗体(sheep anti-hyaluronic acid polyclonal antibody、abcam)及びドンキー抗シープIgGH&Lアレクサフルオール488(donkey anti-sheep IgG H&L Alexa Fluor 488、abcam)を利用した。それを共焦点顕微鏡で観察した結果、
図5Bのように、老化マウス皮膚において、ヒアルロン酸の分布低減を確認した。
【0070】
3.皮膚老化時におけるHAPLN1の発現量減少
前記実施例2において、2のような方法で、C57BL/6J雄20ヵ月齢老化マウスと6週齢幼いマウスとの首頸部皮膚組織を取り、PBS溶液で均質化させた後、マウスヒアルロン酸及びHAPLN1 ELISAキットを利用し、HAPLN1の濃度を測定した。
【0071】
測定結果、
図6Aのように、老化マウスにおいて、HAPLN1の濃度が、幼いマウス対比で、1/4.2レベルに低下した。
【0072】
また、老化マウスと幼いマウスとの皮膚組織切片を、前記実施例1と同一方法で免疫蛍光染色した。このとき、ゴート抗HAPLN1ポリクローナルIgG(goat anti-HAPLN1 polyclonal IgG、Santa cruz biotechnology)及びドンキー抗ゴートIgG(H+L)アレクサフルオール488(donkey anti-goat IgG(H+L) Alexa Fluor 594、Life technologies)を利用した。
【0073】
それを共焦点顕微鏡で観察した結果、
図6Bのように、老化マウス皮膚において、HAPLN1の分布が低減されたということを確認した。
【0074】
<実施例3>HAPLN1投与による皮膚老化改善効果の確認
組み換えマウスHAPLN1(recombinant mouse HAPLN1、Cusabio biotech Co.から購入)をPBSに溶かし、C57BL/6J雄20ヵ月齢老化マウスに、0.1mg/kgの用量で、1日1回14日間腹腔投与した。老化マウス及び幼いマウス(6週齢)に同量のPBSを投与して対照群として比較した。
【0075】
1.老化マウスでHAPLN1投与によるコラーゲン増加確認
投与終了後、前記実施例1と同一方法で、各実験群から皮膚組織を取り、真皮層を分離し、RNAを抽出した後、プロコラーゲンタイプI(proCOL1A1及びproCOLIA2)並びにプロコラーゲンタイプIII(proCOL3A1)をqRT-PCR方法で定量した。
【0076】
その結果、
図7Aのように、HAPLN1投与群において、proCOL1A1、proCOLIA2及びproCOL3A1のmRNAレベルが非投与群対比で、それぞれ2.6倍、2.5倍、2.8倍上昇し、幼いマウスに類似したレベルに回復したということを確認した。また、皮膚組織切片を、前記実施例2における1と同一方法で、抗プロコラーゲンタイプI抗体で染色し、共焦点顕微鏡で観察した結果、
図7Bのように、HAPLN1投与群において、プロコラーゲンタイプI分布レベルが、非投与群に比べ、幼いマウスに類似したレベルに上昇したということを確認した。
【0077】
2.老化マウスにおいて、HAPLN1投与によるヒアルロン酸増加確認
投与終了後、前記実施例2における2のような方法で、各実験群の首頸部皮膚組織を取り、PBS溶液で均質化させた後、ヒアルロン酸ELISAキット(hyaluronic acid ELISA kit、CUSABIO)を利用し、製造社の指針に従い、ヒアルロン酸を定量した。
【0078】
その結果、
図8Aのように、HAPLN1投与群において、ヒアルロン酸レベルが非投与群対比で、1.5ほど上昇し、幼いマウスに類似したレベルに回復したということを確認した。
【0079】
また、皮膚組織切片に対し、前記実施例2中2と同一方法で、ヒアルロン酸を免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察した結果、
図8Bのように、HAPLN1投与群において、ヒアルロン酸分布レベルが非投与群に比べ、幼いマウスに類似したレベルに上昇したということを確認した。
【0080】
<実施例4>HAPLN1処理によるTGF-β1受容体II、TGF-β1誘導コラーゲン生成及びヒアルロン酸合成酵素(HAS2)増加の確認
1.NHDF細胞において、HAPLN1処理によるTGF-β1誘導コラーゲン生成増加の確認
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF;normal human dermal fibroblasts)細胞株において、HAPLN1がTGF-β1誘導proCOL1α2生成に影響を与える否かということを確認するために、ウェスタンブロット法を利用して測定した。TGF-βは、コラーゲン生成を誘導する因子であり、NHDF細胞株に、各濃度別(0,25,50,100ng/ml)に、組み換えヒトHAPLN1(rhHAPLN1)を処理し、30分後、1ng/ml組み換えヒトTGF-β1を24時間処理した。
【0081】
その結果、
図9のように、TGF-β1誘導proCOL1α2生成が、HAPLN1処理によって増加するということを確認した。
【0082】
2.NHDF細胞において、HAPLN1処理によるTGF-β受容体II増加の確認
HAPLN1が、TGF-βの信号伝逹に関与する否かということを確認するために、NHDF細胞株に、各濃度別(0,25,50,100ng/ml)に、組み換えヒトHAPLN1(rhHAPLN1)を処理し、24時間後、TGF-β受容体の蛋白質発現量を、ウェスタンブロット法を利用して測定した。
【0083】
その結果、
図10Aのように、2つの受容体中において、TGF-β受容体IIの蛋白質発現量が、HAPLN1処理によって濃度依存的に増加するということを確認した。同じ実験条件において、TGF-β受容体のmRNA発現量を、qRT-PCRを介して確認した結果、
図10B及び
図10Cのように、HAPLN1処理による変化がないということを確認した。
【0084】
従って、HAPLN1が、転写的調節ではない安定性調節を介して、TGF-β受容体IIの量を増加させたか否かということを確認するために、蛋白質合成抑制剤であるシクロへキシミド(cycloheximide)を10μMの濃度で1時間先処理し、100ng/ml rhHAPLN1を6時間または24時間処理した後、TGF-β受容体IIの蛋白質発現程度をウェスタンブロット法を利用して確認した。
【0085】
その結果、
図11のように、シクロヘキシミド存在下においても、rhHAPLN1処理がTGF-β受容体IIの量を増加させるということを確認した。従って、HAPLN1は、TGF-β受容体IIの安定性を上昇させると見ることができる。
【0086】
3.NHDF細胞において、HAPLN1処理によるTGF-β1誘導ヒアルロン酸生成酵素(HAS2)発現増加の確認
真皮線維芽細胞においては、ヒアルロン酸生成酵素3種(HAS1、HAS2及びHAS3)のうち、主にHAS2が存在している。NHDF細胞株において、HAPLN1が、TGF-β1誘導HAS2発現に影響を与えるか否かということを確認するために、NHDF細胞株に、各濃度別(0,25,50,100ng/mL)に、組み換えヒトHAPLN1(rhHAPLN1)を処理し、30分後、1ng/mLの組み換えヒトTGF-β1を24時間処理した後、ウェスタンブロット法を利用し、HAS2の蛋白質発現量を確認した。
【0087】
その結果、
図12のように、TGF-β1誘導HAS2発現が、HAPLN1処理によって増大するということを確認した。
【0088】
以上、本発明の特定部分を詳細に記述したが、当業界の当業者において、そのような具体的技術は、単に望ましい実施例であるのみ、それにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は、明白であろう。従って、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲と、それらの等価物とによって定義されるものである。