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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/32 20060101AFI20230207BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20230207BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20230207BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H01F27/32 103
H01F27/29 Q
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/28 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021043705
(22)【出願日】2021-03-17
(62)【分割の表示】P 2019168574の分割
【原出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021100143
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0002630
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ビュン ス
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、テ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジュ ファン
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182205(JP,A)
【文献】特開2009-10137(JP,A)
【文献】登録実用新案第3213692(JP,U)
【文献】特開2010-16337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/32
H01F 27/29
H01F 17/04
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合う一面及び他面を有するモールド部と、
前記モールド部の一面に配置され、前記モールド部の一面の中央部から外側に、最内側ターン(turn)、少なくとも一つの中間ターン(turn)、及び最外側ターン(turn)を形成した巻線コイルと、
前記巻線コイルをカバーするように、前記モールド部の一面上に配置されるカバー部と、
前記巻線コイルと連結され、前記モールド部の他面に互いに離隔配置された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記カバー部のうち前記最内側ターン上に配置された一領域の厚さは、前記カバー部のうち前記最外側ターン上に配置された他領域の厚さよりも厚く、
前記モールド部の一面には、前記最内側ターンの形状及び前記中間ターンの形状に対応して前記最内側ターン及び前記中間ターンをそれぞれ収容する収容溝が形成されており、
前記最内側ターンを収容する前記収容溝の底面から前記モールド部の他面までの距離は、前記最外側ターンが配置された前記モールド部の一面から前記モールド部の他面までの距離よりも短い、コイル部品。
【請求項2】
前記モールド部の一面と他面との間の距離は、前記カバー部の一領域の厚さよりも大きい値を有する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記最内側ターンの幅は前記最外側ターンの幅よりも大きい、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記巻線コイルの両端部は、
前記第1及び第2外部電極と連結されるように、前記モールド部を貫通して前記モールド部の他面に露出する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記巻線コイルの両端部は、
前記第1及び第2外部電極と連結されるように、前記モールド部の側面を介して前記モールド部の他面に露出する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記モールド部の他面には、前記第1外部電極と第2外部電極との間に溝部が形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記モールド部の一面の中央部には、前記巻線コイルを貫通するコアが配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記最内側ターンの幅及び厚さはそれぞれ、前記最外側ターンの幅及び厚さと同一である、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記モールド部及び前記カバー部のうち少なくとも一つは、絶縁樹脂、及び前記絶縁樹脂に分散した磁性粉末を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
互いに向かい合う一面及び他面を有する支持部、及び前記支持部の一面上に配置されたカバー部を有する本体と、
前記支持部の一面に配置され、前記本体内に埋設され、前記本体の中央部を中心に巻線され、最内側ターン(turn)、少なくとも一つの中間ターン(turn)、及び最外側ターン(turn)を形成した巻線コイルと、を含み、
前記カバー部のうち前記最内側ターン上に配置された一領域の厚さは、前記カバー部のうち前記最外側ターン上に配置された他領域の厚さよりも厚く、
前記支持部の一面と他面との間の距離は、前記カバー部の一領域の厚さよりも大きい値を有しており、
前記支持部の一面には、前記最内側ターンの形状及び前記中間ターンの形状に対応して前記最内側ターン及び前記中間ターンをそれぞれ収容する収容溝が形成され、
前記最内側ターンを収容する前記収容溝の底面から前記支持部の他面までの距離は、前記最外側ターンが配置された前記支持部の一面から前記支持部の他面までの距離よりも短い、コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。
【0002】
コイル部品を製造するために磁性モールドと巻線型コイルを用いる場合がある。
【0003】
コイル部品の薄型化(low-profile)に関し、磁性モールドは部品全体の物理的強度及び硬度の確保と関わっているため薄型化には限界があり、コイルの上部に配置されるカバー部の厚さが次第に薄くなっている。
【0004】
これによると、コイルの下部に配置される磁性モールドとコイルの上部に配置されるカバー部との間の厚さの非対称現象が益々深刻化せざるを得ない。また、カバー部を基準に、磁束はカバー部の中央部に集中するが、カバー部が次第に薄くなるにつれて磁束のネッキング(necking)現象が発生し、Ls及びDC-Biasなどの部品特性が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3381573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、薄型化を可能にするとともに、部品の特性を維持することができるコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、互いに向かい合う一面及び他面を有するモールド部と、上記モールド部の一面に配置され、上記モールド部の一面の中央部から外側に、最内側ターン(turn)、少なくとも一つの中間ターン(turn)、及び最外側ターン(turn)を形成した巻線コイルと、上記巻線コイルをカバーするように、上記モールド部の一面上に配置されるカバー部と、上記巻線コイルと連結され、上記モールド部の他面に互いに離隔配置された第1及び第2外部電極と、を含み、上記カバー部のうち上記最内側ターン上に配置された一領域の厚さは、上記カバー部のうち上記最外側ターン上に配置された他領域の厚さよりも厚く、上記モールド部の一面には、上記最内側ターンの形状及び上記中間ターンの形状に対応して上記最内側ターン及び上記中間ターンをそれぞれ収容する収容溝が形成されており、上記最内側ターンを収容する上記収容溝の底面から上記モールド部の他面までの距離は、上記最外側ターンが配置された上記モールド部の一面から前記モールド部の他面までの距離よりも短い、コイル部品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、コイル部品を薄型化するとともに、部品の特性を維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示す図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3】モールド部の変形例を概略的に示す図である。
図4図1のI-I'線に沿った断面を示す図である。
図5】本発明の第2実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
図6】本発明の第3実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
図7】本発明の第4実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
図8】本発明の第5実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
図9】本発明の第5実施例によるコイル部品に適用されるモールド部を概略的に示す斜視図である。
図10】本発明の第6実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定する意図ではない。また、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などという用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。また、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上又は下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0011】
また、組み合わせとは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間の物理的に直接接触している場合だけを意味するのではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合までを包括する概念として使用する。
【0012】
図面に示された各構成のサイズ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであって、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。
【0013】
図面において、L方向は第1方向又は長さ方向、W方向は第2方向又は幅方向、T方向は第3方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0014】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の実施例によるコイル部品及びその製造方法について詳細に説明する。添付の図面を参照して説明するにあたり、同一であるか、又は対応する構成要素に対しては同一の図面符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0015】
電子機器には、様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間には、ノイズ除去などを目的に、様々な種類のコイル部品が適切に用いられることができる。
【0016】
すなわち、電子機器のコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、コモンモードフィルタ(Common Mode Filter)などで用いられることができる。
【0017】
(第1実施例)
図1は本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示す図であり、図2図1の分解斜視図であり、図3はモールド部の変形例を概略的に示す図面であり、図4図1のI-I'線に沿った断面を示す図である。一方、図2は、説明の便宜のために、重要構成であるモールド部100、巻線コイル300、及びカバー部200のみを示している。また、図4の場合、図1に示された巻線コイル300の中間ターンの一部を省略して示しているが、これは、最内側ターンT1と最外側ターンT3の幅及び厚さの差をより明確に図示して説明するためのものである。図5から図8及び図10も同様である。
【0018】
図1から図4を参照すると、本発明の第1実施例によるコイル部品1000は、本体B、巻線コイル300、及び外部電極400、500を含む。本体Bは、モールド部100及びカバー部200を含む。モールド部100は、支持部110及びコア120を含むことができる。
【0019】
本体Bは、本実施例によるコイル部品1000の外観をなし、内部に巻線コイル300を埋設する。
【0020】
本体Bは、全体的に六面体状に形成されることができる。
【0021】
本体Bは、図1及び図2を基準に、長さ方向Lにおいて向かい合う第1面101及び第2面102、幅方向Wにおいて向かい合う第3面103及び第4面104、厚さ方向Tにおいて向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体Bの第1面から第4面101、102、103、104はそれぞれ、本体Bの第5面105と第6面106を連結する本体Bの壁面に該当する。以下、本体Bの両端面は本体Bの第1面101及び第2面102を意味し、本体Bの両側面は本体Bの第3面103及び第4面104を意味することができる。
【0022】
本体Bは、例示的に、後述する外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0023】
一方、本体Bはモールド部100及びカバー部200を含み、カバー部200は、図1を基準に、モールド部100の上部に配置され、モールド部の下面を除いたすべての表面を囲む。これにより、本体Bの第1面から第5面101、102、103、104、105は、カバー部200によって形成され、本体Bの第6面106は、モールド部100及びカバー部200によって形成される。
【0024】
モールド部100は互いに向かい合う一面及び他面を有する。モールド部100は、支持部110及びコア120を含む。支持部110は、巻線コイル300を支持する。コア120は、巻線コイル300を貫通する形で支持部110の一面の中央部に配置される。上記の理由により、本明細書において、モールド部100の一面及び他面はそれぞれ支持部110の一面及び他面と同一の意味で用いられる。
【0025】
支持部110の厚さdmは200μm以上であってもよい。支持部110の厚さdmが200μm未満の場合には、剛性を確保することが難しくなる可能性がある。コア120の厚さは、150μm以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0026】
カバー部200は、モールド部100、及び後述する巻線コイル300をカバーする。カバー部200は、モールド部100の支持部110とコア120、及び巻線コイル300上に配置された後、加圧されてモールド部100に結合することができる。
【0027】
モールド部100及びカバー部200のうち少なくとも一つは磁性物質を含む。本実施例の場合、モールド部100及びカバー部200がすべて磁性物質を含む。モールド部100は、モールド部100を形成するための金型に磁性物質を充填して形成することができる。または、モールド部100は、金型に磁性物質及び絶縁樹脂を含む複合物質を充填することによって形成することができる。金型内の磁性物質または複合物質に高温及び高圧を加える成形工程をさらに行うことができるが、これに制限されるものではない。支持部110とコア120は金型によって一体に形成されることができる。カバー部200は、絶縁樹脂に磁性物質が分散した磁性複合シートをモールド部100上に配置した後、加熱加圧することで形成することができる。
【0028】
磁性物質はフェライトまたは金属磁性粉末であってもよい。
【0029】
フェライト粉末は、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であってもよい。
【0030】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、及びニッケル(Ni)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であってもよい。
【0031】
金属磁性粉末は、非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0032】
フェライト及び金属磁性粉末はそれぞれ、平均直径が約0.1μm~30μmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0033】
モールド部100及びカバー部200はそれぞれ、2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類を有するとは、磁性物質が、平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれかで互いに区別されることを意味する。
【0034】
絶縁樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
巻線コイル300は、本体Bに埋設され、コイル部品の特性を発現する。例えば、本実施例のコイル部品1000がパワーインダクタで活用される場合、巻線コイル300は、電場を磁場で保存して出力電圧を維持することにより、電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0036】
巻線コイル300はモールド部100の一面に配置される。具体的には、巻線コイル300は、コア120を中心に巻かれた形で支持部110の一面に配置される。
【0037】
巻線コイル300は、空芯コイルであり、平角コイルで構成されることができる。巻線コイル300は、表面が絶縁物質で被覆された銅ワイヤなどの金属ワイヤをスパイラル(spiral)状に巻いて形成されることができる。
【0038】
巻線コイル300は、複数の層で構成されることができる。巻線コイル300のそれぞれの層は、平面らせん状に形成され、複数のターン(turn)数を有することができる。すなわち、巻線コイル300は、モールド部100の一面の中央部から外側に、最内側ターンT1、少なくとも一つの中間ターンT2、及び最外側ターンT3を形成する。
【0039】
本体B内において、巻線コイル300の各ターンの位置に応じた磁束分布を見ると、コア120から最も遠く離れた最外側ターンT3の付近に比べて、コア120と隣接する最内側ターンT1の付近に磁束が集中する。これにより、本発明では、巻線コイル300の最内側ターンT1と最外側ターンT3との間に高さ差が生じるようにし、カバー部200のうち最内側T1ターン上に配置された一領域の厚さdc1を最外側ターンT3上に配置された他領域の厚さdc3よりも厚く形成した。カバー部200のうち中間ターンT2上に配置された領域の厚さdc2は、一領域の厚さdc1よりは薄く、他領域の厚さdc3よりは厚くてよい。
【0040】
これにより、本実施例によるコイル部品1000は、磁束が集中する領域における磁性体の体積を増加させることができる。また、ネッキング(necking)現象を防止することができ、インダクタンス(Ls)の低下などという部品の特性の低下を防止することができる。尚、部品内における磁束分布に対応してカバー部200の厚さを変更させるため、部品全体の厚さを薄型化するのに有利である。
【0041】
本実施例の場合、最内側ターンT1と最外側ターンT3との間の高さ差のために、最内側ターンT1の厚さが最外側ターンT3の厚さよりも薄く形成される。この場合、インダクタンス(Ls)の低下及び直流抵抗(Rdc)の増加を防止するように、最内側ターンT1及び最外側ターンT3は、断面積が同一の単一の金属ワイヤで形成されることが好ましい。したがって、本実施例の場合、別の加工を介して最内側ターンT1の幅WT1を最外側ターンT3の幅WT3より大きくする。一例として、最内側ターンT1は、巻線工程または巻線工程後の工程で変形させることができる。前者の場合には、最内側ターンT1を巻線した後、最内側ターンT1の上下部を加圧して変形させ、中間ターンT2を巻線した後、中間ターンT2を加圧して変形させ、最外側ターンT3を巻線することができる。
【0042】
一方、モールド部100の一面と他面との間の距離、すなわち、支持部110の厚さdmは、カバー部200の一領域の厚さdc1よりも厚く形成される。支持部110の厚さdmは、製造工程中、巻線コイル300を支持するようにカバー部200よりも厚く形成されることができる。また、支持部110の厚さdmが比較的カバー部200よりも厚いため、コア120の下部側ではネッキング(necking)現象が発生しない。
【0043】
巻線コイル300の両端部は支持部110の他面、すなわち、本体Bの第6面106に露出する。支持部110の他面に露出する巻線コイル300の両端部は、支持部110の他面に互いに離隔配置された第1及び第2外部電極400、500と連結される。
【0044】
巻線コイル300の両端部は支持部110の他面に露出する。一例として、図2に示すように、支持部110には、支持部110を貫通する一対の貫通孔の形の収容部111が形成され、収容部111内に巻線コイル300の両端部がそれぞれ配置されることができる。一方、貫通孔の形の収容部111の形状及び形成位置は任意に変更することができる。制限されない一例として、図2に示すものと異なり、収容部111は、円形または楕円形の断面状を有するように形成されることができる。
【0045】
他の例として、図3に示すように、巻線コイル300の両端部は、支持部110の側面に配置され、支持部110の他面に露出することもできる。この際、支持部110の側面には、巻線コイル300の両端部を収容するための溝の形の収容部111が形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0046】
第1及び第2外部電極400、500は、本体Bの第6面106、すなわち、支持部110の他面上に互いに離隔配置され、巻線コイル300の両端部とそれぞれ連結される。
【0047】
第1及び第2外部電極400、500は、単層または複数層の構造で形成されることができる。一例として、第1外部電極400は、銅(Cu)を含む第1層、第1層上に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2層、及び第2層上に配置され、スズ(Sn)を含む第3層で構成されることができる。第1及び第2外部電極400、500は、電解めっきで形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0048】
第1及び第2外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
一方、図面に示されてはいないが、本実施例によるコイル部品1000は、本体Bの第6面106のうち、外部電極400、500が配置された領域を除いた領域に配置された絶縁層をさらに含むことができる。絶縁層は、電解めっきで外部電極400、500を形成するにあたり、めっきレジストとして用いることができるが、これに制限されるものではない。また、絶縁層は、本体Bの第1面から第5面101、102、103、104、105のうち少なくとも一部にも配置されることができる。
【0050】
(第2実施例)
図5は、本発明の第2実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
【0051】
図1から図5を参照すると、本実施例によるコイル部品2000は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と比較するとき、モールド部100が異なる。したがって、本実施例を説明するにあたり、第1実施例と異なるモールド部100についてのみ説明する。本実施例の残りの構成に対しては、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0052】
モールド部100の他面、すなわち、支持部110の他面には、第1外部電極と第2外部電極との間に溝部Rが形成されることができる。
【0053】
溝部Rは、第1及び第2外部電極400、500を電解めっきで形成するにあたり、必要なめっきレジストが不要に除去されることを防止することができる。すなわち、外部電極400、500のめっき形成のために、外部電極形成領域に対応する開口部を含むめっきレジストを本体Bの第6面106に形成するにあたり、研磨などにより開口部を形成するとき、外部電極形成領域以外の領域が除去されることがあるが、溝部Rは、これを防止することができる。上述した理由により、溝部Rには、めっきレジストなどの絶縁層が配置されることができる。
【0054】
一方、巻線コイル300の下部側において磁束のネッキング(necking)現象を防止するように支持部110の一面と他面との間の距離の最小値、すなわち、支持部110の厚さの最小値dmをカバー部200の一領域の厚さdc1よりも厚く形成する。
【0055】
これにより、本実施例によるコイル部品2000は、外部電極400、500を電解めっきで形成するにあたり、めっきにじみなどを防止することができる。
【0056】
(第3及び第4実施例)
図6は、本発明の第3実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。また、図7は、本発明の第4実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
【0057】
図1から図7を参照すると、本発明の第3及び第4実施例によるコイル部品3000、4000は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と比較するとき、モールド部100及び巻線コイル300が異なる。したがって、本実施例を説明するにあたり、第1実施例と異なるモールド部100及び巻線コイル300についてのみ説明する。本実施例の残りの構成に対しては、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0058】
巻線コイル300は、各ターンT1、T2、T3の幅WT1、WT2、WT3及び厚さが互いに同一に形成される。すなわち、最内側ターンT1、中間ターンT2、及び最外側ターンT3の幅WT1、WT2、WT3が互いに同一であり、最内側ターンT1、中間ターンT2、及び最外側ターンT3の厚さが互いに同一である。すなわち、本実施例に適用される巻線コイル300は、本発明の第1実施例とは異なり、各ターンに対して別の変形工程が行われない。したがって、総工程数が減少することができる。
【0059】
一方、本実施例の場合、巻線コイル300の各ターンT1、T2、T3の厚さが互いに同一であるため、各ターンT1、T2、T3におけるカバー部200の厚さ差のために、モールド部100の形状を変形する。具体的には、モールド部100の支持部110の一面は、コア120側に向かって傾斜が形成された傾斜面に形成される。これにより、支持部110の一面と他面との間の距離、すなわち、支持部110の厚さは、支持部110の中央部から外側に行くほど次第に増加する。
【0060】
厚さ方向Tによる断面を基準に、支持部110の一面は、他面との関係で所定の角度(θ)を形成することができる。所定の角度は、3°超過30°以下であることができる。所定の角度が3°以下の場合には、カバー部200の一領域の磁束密度とカバー部200の他領域の磁束密度との間の差が小さく、部品の特性の改善に大きい効果を期待することが難しい。これに対し、所定の角度30°を超えると、最内側ターンT1と最外側ターンT3との間の高さ差が過度に発生し、部品全体の厚さが増加し、薄型化に不利である。
【0061】
一方、巻線コイル300の下部側において磁束のネッキング(necking)現象を防止するように支持部110の一面と他面との間の距離の最小値、すなわち、支持部110の厚さの最小値dmをカバー部200の一領域の厚さdc1よりも厚く形成する。
【0062】
これにより、本実施例によるコイル部品3000は、比較的容易に磁束のネッキング(necking)現象を防止することができる。すなわち、比較的容易ではない巻線コイル300の形状変更は行うことなく、金型を用いて比較的容易に変更することができるモールド部100の形状を変更する。
【0063】
図7を参照すると、第4実施例によるコイル部品4000は、第3実施例によるコイル部品3000と比較するとき、溝部Rが形成されることが異なる。溝部Rについての説明は、本発明の第2実施例でされているため、詳細な説明は省略する。
【0064】
一方、第3及び第4実施例の場合には、支持部110の一面が傾斜面に形成されたことに主な特徴があるため、上述とは異なり、各ターンT1、T2、T3の幅及び厚さが異なる本発明の第1及び第2実施例の巻線コイル300が本実施例に適用されてもよい。
【0065】
(第5及び第6実施例)
図8は、本発明の第5実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。図9は、本発明の第5実施例によるコイル部品に適用されるモールド部を概略的に示す斜視図である。また、図10は、本発明の第6実施例によるコイル部品を示す図であって、図1のI-I'線に沿った断面に対応する図である。
【0066】
図1から図4、及び図8から図10を参照すると、本発明の第5及び第6実施例によるコイル部品5000、6000は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と比較するとき、モールド部100及び巻線コイル300が異なる。したがって、本実施例を説明するにあたり、第1実施例と異なるモールド部100及び巻線コイル300についてのみ説明する。本実施例の残りの構成に対しては、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0067】
巻線コイル300は、各ターンT1、T2、T3の幅WT1、WT2、WT3及び厚さが互いに同一に形成される。すなわち、最内側ターンT1、中間ターンT2、及び最外側ターンT3の幅WT1、WT2、WT3が互いに同一であり、最内側ターンT1、中間ターンT2、及び最外側ターンT3の厚さが互いに同一である。すなわち、本実施例に適用される巻線コイル300は、本発明の第1実施例とは異なり、各ターンに別の変形工程が行われない。したがって、総工程数が減少することができる。
【0068】
一方、本実施例の場合には、巻線コイル300の各ターンT1、T2、T3の厚さが互いに同一であるため、各ターンT1、T2、T3上におけるカバー部200の厚さ差のために、モールド部100の形状を変形する。具体的には、モールド部100の支持部110の一面には、最内側ターンT1及び中間ターンT2をそれぞれ収容する収容溝R1、R2が形成されることができる。中間ターンT2を収容するための収容溝R2は、支持部110の一面から所定の深さに形成され、最内側ターンT1を収容するための収容溝R1は、中間ターンT2を収容するための収容溝R2よりも深く形成される。収容溝R1、R2は、最内側ターンT1及び中間ターンT2の形状に対応するようにリング状に形成される。
【0069】
収容溝R1、R2により、図7の方向を基準に、最内側ターンT1の上面及び最外側ターンT3の上面には高さ差が発生し、最内側ターンT1上に配置されたカバー部200の一領域の厚さdc1が、最外側ターンT3上に配置されたカバー部200の他領域の厚さdc3よりも厚く形成されることができる。
【0070】
この場合も、巻線コイル300の下部側において磁束のネッキング(necking)現象を防止するように支持部110の一面と他面との間の距離の最小値、すなわち、支持部110の厚さの最小値dmは、カバー部200の一領域の厚さdc1よりも厚く形成される。
【0071】
これにより、本実施例によるコイル部品5000は、比較的容易に磁束のネッキング(necking)現象を防止することができる。すなわち、比較的容易ではない巻線コイル300の形状変更は行うことなく、金型を用いて比較的容易に変更することができるモールド部100の形状を変更する。
【0072】
図10を参照すると、第6実施例によるコイル部品6000は、第5実施例によるコイル部品5000と比較するとき、溝部Rが形成されることが異なる。溝部Rについての説明は、本発明の第2実施例でなされたため、詳細な説明は省略する。
【0073】
一方、第5及び第6実施例の場合には、支持部110の一面に収容溝R1、R2が形成されたことに主な特徴があるため、上述とは異なり、各ターンT1、T2、T3の幅及び厚さが異なる本発明の第1及び第2実施例の巻線コイル300が本実施例に適用されてもよい。この場合、収容溝R1、R2の幅は互いに異なってもよい。すなわち、最内側ターンT1の幅Wt1が中間ターンT2の幅よりも大きいため、最内側ターンT1を収容する収容溝R1の幅は、中間ターンT2を収容する収容溝R2の幅よりも大きくてよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0075】
100 モールド部
110 支持部
111 収容部
120 コア
200 カバー部
300 巻線コイル
400、500 外部電極
B 本体
R 溝部
R1、R2 収容溝
T1、T2、T3 巻線コイルの各ターン(turn)
1000、2000、3000、4000、5000、6000 コイル部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10