(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】膜濾過機及び膜濾過機の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20230207BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D65/02
B01D65/02 530
(21)【出願番号】P 2021183782
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】392035972
【氏名又は名称】株式会社ヤマト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】川端 洋之進
(72)【発明者】
【氏名】新井 忠男
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-266809(JP,A)
【文献】特開昭64-018407(JP,A)
【文献】特開2000-210540(JP,A)
【文献】特開2015-226884(JP,A)
【文献】特開2018-167162(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103055699(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/44
B01D61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に膜エレメントを収納したケーシングと、前記ケーシングを備えた膜カセットと、濾過対象の水を取水し前記膜カセットに供給する取水管と、前記膜カセットを通過した濾過水を吐出する濾水管と、前記濾水管から吐水した濾過水を貯留する処理水槽と、を有し、前記処理水槽の濾過水を測定水として工業用計器に供給する膜濾過機において、
前記取水管は前記膜カセットが濾過する濾過水量の
2倍~3倍の水を供給するとともに、
前記膜カセットには前記取水管から供給される余剰な水を排出する余剰水排出管と、前記膜エレメントの洗浄動作時に前記ケーシング内に供給された水を排出するフラッシング排出管と、が接続し、
前記フラッシング排出管の配管抵抗は前記濾水管の配管抵抗と前記膜カセットの膜濾過抵抗とを合わせた値よりも低いことを特徴とする膜濾過機。
【請求項2】
余剰水排出管とフラッシング排出管とが、取水管が取水する槽内へ水を排出することを特徴とする請求項1記載の膜濾過機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の膜濾過機の洗浄方法であって、
ケーシング内にエアを送出し前記ケーシング内をバブリングする空洗工程と、逆洗水を膜エレメントの内側から表面側へ通水する逆洗工程と、フラッシング工程と、を有し、
前記フラッシング工程は、膜カセットの濾過動作を停止した状態で、取水管が濾過水量の
2倍~3倍の水を前記膜カセットへ圧送するとともに、圧送された水をフラッシング排出管から排出して濾過動作時よりも多くの水を前記ケーシング内に流入させることで前記膜エレメントの表面に沿った強い平行流を生じさせ前記膜エレメントの表面を洗浄することを特徴とする膜濾過機の洗浄方法。
【請求項4】
濾過動作とフラッシング工程とで取水管からの水の供給量が変化しないことを特徴とする請求項3記載の膜濾過機の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理設備等に設けられた工業用計器の前段に設置して、懸濁物質を除去した清澄な水を測定水として工業用計器に供給する膜濾過機及びこの膜濾過機の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業用計器とは製品の工程や途中状態、品質、製造装置の運転状態等を常時監視するための測定機器であり、例えば浄水施設等の水処理設備では各処理段階での水質を測定する残塩濃度計、pH計、色度計、アルカリ度計、電気伝導度計、濁度計等が挙げられる。そして、水処理設備ではこれらの工業用計器の水質測定の結果により、各段階、各槽での水処理状態のモニタや、水処理設備の処理動作の制御が行われる。このように工業用計器は水処理設備を管理していく上で重要な役割を担うものである。
【0003】
しかしながら、これらの工業用計器の内、残塩濃度計、pH計、色度計、アルカリ度計、電気伝導度計等の多くの測定機器は、測定水中に懸濁物質が存在すると正確な測定を行えない。従って、処理段階の水に懸濁物質が含まれる場合には測定が行えず、懸濁物質の除去後の段階で測定を行うこととなる。このような場合、水質変化の発見が遅れ対応が間に合わないという問題点がある。このため、懸濁物質が含まれる水に対して水質測定を行う場合、処理中の水を分取して懸濁物質を除去し工業用計器に供給する方法が用いられる。この懸濁物質の除去方法の一つとしては、例えば個々の工業用計器の前段にカートリッジフィルタ等の濾過装置をそれぞれ個別に設置することが挙げられる。しかしながら、カートリッジフィルタの管理や汚れ具合等の確認は個別に行う必要があり、交換頻度、汚れ状況の差異に依る測定結果の変動が水処理設備の適正な管理に支障をきたす場合がある。
【0004】
また、懸濁物質の除去方法の一つとして濾過膜を使用した膜濾過機を用いる方法が挙げられる。この膜濾過機は自動運転が容易であり、他の濾過方法に比べて日常的な維持管理の負担が少ないという利点がある。また、他の濾過方法に比べて装置規模が小さく、少ないスペースでの設置が可能であるという利点がある。しかしながら、膜濾過機では継続的な使用によって濾過膜表面に懸濁物質が付着して目詰まりを起こし、濾過水量の低下や一次圧力上昇などの機能低下が生じる。このため、濾過膜に対する定期的な洗浄が必要となる。
【0005】
ここで、下記[特許文献1]では、濾過水の一部を濾過膜の2次側から1次側へ通水して懸濁物質を剥離する逆洗に加えて、原水あるいは濾過水を濾過膜の表面に沿って流し、この平行流によって濾過膜の表面に残る懸濁物質を洗い流す、所謂フラッシングを行う膜洗浄方法に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的な膜濾過機は供給する水を全て濾過する全量濾過であるため、膜濾過機への水の供給量は濾過膜の能力に準じたものとなり比較的水量が少なく、十分なフラッシングを行う程の流量が確保できないという問題点がある。また、フラッシング時のみ供給量を増大させることも考えられるが、送水手段への動作切替等が必要となり制御系が複雑化するという問題点がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で大流量でのフラッシングを行うことが可能な膜濾過機及びこの膜濾過機の洗浄方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1)内部に膜エレメント42を収納したケーシング44と、前記ケーシング44を備えた膜カセット40と、濾過対象の水を取水し前記膜カセット40に供給する取水管26と、前記膜カセット40を通過した濾過水を吐出する濾水管56と、前記濾水管56から吐水した濾過水を貯留する処理水槽50と、を有し、前記処理水槽50の濾過水を測定水として工業用計器30に供給する膜濾過機において、
前記取水管26は前記膜カセット40が濾過する濾過水量の2倍~3倍の水を供給するとともに、前記膜カセット40には前記取水管26から供給される余剰な水を排出する余剰水排出管27と、前記膜エレメント42の洗浄動作時に前記ケーシング44内に供給された水を排出するフラッシング排出管28と、が接続し、
前記フラッシング排出管28の配管抵抗は前記濾水管56の配管抵抗と前記膜カセット40の膜濾過抵抗とを合わせた値よりも低いことを特徴とする膜濾過機80を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)余剰水排出管27とフラッシング排出管28とが、取水管26が取水する槽内へ水を排出することを特徴とする上記(1)記載の膜濾過機80を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)上記(1)または上記(2)に記載の膜濾過機80の洗浄方法であって、
ケーシング44内にエアを送出し前記ケーシング44内をバブリングする空洗工程と、逆洗水を膜エレメント42の内側から表面側へ通水する逆洗工程と、フラッシング工程と、を有し、
前記フラッシング工程は、膜カセット40の濾過動作を停止した状態で、取水管26が濾過水量の2倍~3倍の水を前記膜カセット40へ圧送するとともに、圧送された水をフラッシング排出管28から排出して濾過動作時よりも多くの水を前記ケーシング44内に流入させることで前記膜エレメント42の表面に沿った強い平行流を生じさせ前記膜エレメント42の表面を洗浄することを特徴とする膜濾過機80の洗浄方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)濾過動作とフラッシング工程とで取水管26からの水の供給量が変化しないことを特徴とする上記(3)記載の膜濾過機80の洗浄方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る膜濾過機及びこの膜濾過機の洗浄方法は、濾過動作時には余剰な水を余剰水排出管から排出してケーシング内に適量の水しか流入させず、洗浄動作のフラッシング工程時にはフラッシング排出管を開いて大部分の水をケーシング内に流入させて強い平行流を発生させる。これにより、送水手段に対する切り替え動作や設備等を用いることなく、濾過動作時とフラッシング工程時とでケーシング内に流入させる水の量を切り替えることができ、制御系や装置規模を大きくすることなく、効果的なフラッシング洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る膜濾過機を備えた水処理設備の例を示す図である。
【
図3】本発明に係る膜濾過機の膜カセットの例を示す図である。
【
図4】本発明に係る膜濾過機の膜カセットの動作を説明する図である。
【
図5】本発明に係る洗浄方法のフラッシング工程の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る膜濾過機について図面に基づいて説明する。尚、ここでは水処理設備100として浄水施設を例に説明を行うが、本発明は浄水施設への適用に限定されるものではなく、温泉施設、温浴施設、プール、養魚施設、排水処理施設、汚水処理施設等、如何なる水処理設備100の工業用計器30に対しても適用が可能である。
【0013】
先ず、本例で示す水処理設備100に関して説明を行う。
図1に示す水処理設備100としての浄水施設は、着水槽8と混和槽20とフロック形成槽10と沈澱槽12と砂濾過槽14と浄水槽16とを有している。そして、河川等の水源から取水され比較的大きな砂等が除去された原水は取水ポンプによって着水槽8に圧送され混和槽20に流入する。尚、混和槽20には、流入した原水に凝集剤を注入する凝集剤注入装置22aと、次亜塩素酸等の周知の殺菌剤を注入する殺菌注入装置22bと、原水と凝集剤とを攪拌する撹拌装置24と、を有している。そして、この混和槽20で所定量の凝集剤と殺菌剤とが注入され、撹拌装置24が原水と凝集剤とを急速に攪拌することで、原水中に分散していた細かな土砂やシルト等の懸濁物質は凝集して微小なマイクロフロックを形成する。
【0014】
マイクロフロックが形成された原水は、次にフロック形成槽10に流入して比較的緩い速度で攪拌される。これにより、マイクロフロック同士がさらに凝集して比較的大きなフロックへと成長する。また、フロックの形成された原水は、次に沈澱槽12に流入し静置される。これにより、フロックは沈澱槽12の下方に沈殿して上澄水と分離する。次に、沈澱槽12の上澄水は例えばアンスラサイトやマンガン砂等の周知の濾過材が充填した砂濾過槽14に通水され濾過される。そして、砂濾過槽14を通過した原水は浄水槽16にて再度、殺菌処理が施された後、給水施設等に送水される。
【0015】
また、水処理設備100は必要に応じて槽内の水質を常時測定する工業用計器30が設けられる。尚、工業用計器30の測定結果は水質の監視及び記録に使用されるのみならず、例えば殺菌注入装置22bの吐出量の制御と連動させて自動水質管理に用いることも可能である。ここで、浄水施設に設けられる工業用計器30としては前述のように残塩濃度計、pH計、色度計、アルカリ度計、電気伝導度計、濁度計等が挙げられる。このうち濁度計以外の工業用計器30は懸濁物質やマイクロフロック等が測定水中に存在すると正確な測定が行えない。そして、本発明に係る膜濾過機80は、水処理設備100の槽内の水を分取して懸濁物質等を除去し清浄な測定水として工業用計器30に供給するものである。尚、ここでは混和槽20の水質測定を行う工業用計器30に本発明の膜濾過機80を適用した例を用いるが、対象となる槽は混和槽20に限定されるものではなく、着水槽8、フロック形成槽10、沈澱槽12等、工業用計器30が設置され測定に濾過が必要な全ての槽に適用が可能である。また、水処理設備100の各種配管ライン等の水を測定の対象としても良い。また、本例では処理水槽50からの測定水(濾過水)を1台の工業用計器30に供給する例を図示しているが、膜濾過機80から測定水を供給する工業用計器30の台数には特に制限は無く、工業用計器30を複数台、直列もしくは並列に接続して、1台の膜濾過機80から複数の工業用計器30に測定水を供給するようにしても良い。
【0016】
次に、本発明に係る膜濾過機80の構成を
図2を用いて説明する。先ず、本発明に係る膜濾過機80は、ケーシング44内に濾過膜としての膜エレメント42を備えた膜カセット40と、濾過対象の水(ここでは、混和槽20内の水)を取水し膜カセット40に供給する取水管26と、この膜エレメント42を通過した濾過水を外部に吐出する濾水管56と、この濾水管56から吐水した濾過水を貯留する処理水槽50と、取水管26から供給される余剰な水を排出する余剰水排出管27と、膜エレメント42の洗浄動作時にケーシング44内に供給された水を排出するフラッシング排出管28と、を有している。
【0017】
尚、本発明の膜カセット40で用いる膜濾過は浄水方法として広く用いられている技術であり、濾過膜の膜孔のサイズが0.01μm~2μmと幅広く、膜孔のサイズを選択することで水中の懸濁物質やクリプトスポリジウム等の一定以上の大きさの不純物を物理的に除去することができる。また、膜濾過機は前述のように、他の濾過方法に比べて自動運転が容易であり、日常的な維持管理が楽で省力化が可能である。また、比較的装置規模が小さく小型化が可能でスペースをとらないなどの特徴がある。尚、膜濾過機の濾過装置としては、処理対象となる水の中に濾過膜を浸漬して用いるタイプと濾過膜を所定のケーシング44内に収納し、そのケーシング44内に水を導入して用いるカセットタイプとがある。本発明に用いる膜カセット40は、後者のカセットタイプに相当する。そして特に、濾過膜(膜エレメント42)の外側を1次側として濾過対象の水を圧送し、2次側としての濾過膜の内側へ透過させ濾過水を得る外圧式カセット収納型を用いることが好ましい。
【0018】
ここで、本発明に好適な膜カセット40を
図3に示す。本発明に好適な膜カセット40は、前述の外圧式カセット収納型の膜モジュールが複数並列に接続して構成されている。尚、膜モジュールを用いた濾過設備を使用する際には、必要な濾過水の量に対して必要な膜モジュールの数を算出し、この数を満たすように膜モジュールもしくは膜カセットを並列に連結して本発明の膜カセット40を構成する。尚、本例では膜モジュールを3つ並列に接続した膜カセット40を例に用いている。そして、この膜モジュールは、外径が0.5mm~3mm程度の繊維状の中空糸膜が多数束ねられて膜エレメント42とされ、この膜エレメント42が二つ折りにされて集水部46によって両端部が纏められ略円筒形のケーシング44の内部に収納されて構成されている。
【0019】
また、膜エレメント42は、前述のように周知のUF膜(限外濾過膜)あるいはMF膜(精密濾過膜)等の中空糸膜で構成され、中空の繊維体の表面から内部の中空に貫通した微細な膜孔を多数有している。尚、本発明の膜エレメント42の膜孔の径は0.05μm~0.1μmのものを用いることが好ましい。そして、膜エレメント42を構成する中空糸膜の中空は集水部46と繋がっており、膜エレメント42の膜孔を通過した濾過水は内部の中空を通って集水部46に集められる。尚、本発明の膜カセット40では後述の空洗工程でのバブリングを効率的に行うために集水部46を上にして設置することが好ましい。
【0020】
また、膜カセット40に濾過対象の水を供給する取水管26には、濾過対象となる槽内の水を取水する送水手段としての送水ポンプP1と、取水管26を開閉する取水弁B1とが設置されている。また、取水管26には取水量を取得する流量計もしくは圧力計等の流量取得手段M1を設け、この取水量をモニタもしくは記録して管理するようにしても良い。さらに、この取水管26には後述の逆洗工程で使用する逆洗排水管66が接続し、この逆洗排水管66には逆洗排水弁B6が設置されている。
【0021】
また、余剰水排出管27は、
図3に示すように、膜カセット40のケーシング44内への水の供給口と並列に接続し、取水管26から膜カセット40に供給される余剰な水をケーシング44内へ入れることなく外部へ排出する。尚、余剰水排出管27は管径を細めたり、流量調整弁で流量を減少させることなどにより配管抵抗を上昇させ、取水管26から流入する水の1/2~1/3が膜カセット40側(ケーシング44内)に供給されるように最適化する。また、余剰水排出管27には開閉弁としての余剰水排水弁B7が設けられる。
【0022】
また、フラッシング排出管28の配管抵抗は、濾水管56の配管抵抗と膜カセット40の膜濾過抵抗とを合わせた値、即ち濾過動作時の2次側の配管抵抗よりも低く、また、余剰水排出管27の配管抵抗よりも低く設計し、後述のフラッシング工程では取水管26から流入する水の多くがケーシング44を通してフラッシング排出管28へ流れるように設計する。尚、フラッシング排出管28はケーシング44内に平行流が生じるように、ケーシング44への水の供給口よりも遠い位置、例えばケーシング44の上部側面に接続することが好ましい。またフラッシング排出管28には、開閉弁としてのフラッシング水排水弁B5が設けられる。そして、これら余剰水排出管27、フラッシング排出管28、逆洗排水管66は、例えば返送管29と接続し、この返送管29はこれらの管から流入した水を水処理設備100の取水した槽(本例では混和槽20)もしくはこの槽よりも上流の槽に返送する。この構成では、余剰水排出管27、フラッシング排出管28、逆洗排水管66から排出される水が無駄にならず、水処理効率の低下を防止することができる。
【0023】
また、膜カセット40には、送気手段60から送出されるエアを膜カセット40内に供給するエア管62が接続する。そして、このエア管62には、開閉弁としての空洗弁B4と、膜カセット40に供給するエアの量を規定する風流量調節弁BF4とが設けられる。尚、エア管62にはエアの流量を取得する流量取得手段M4を設け、エアの流量をモニタもしくは記録して管理するようにしても良い。また、エア管62はバブリングを効率良く行う観点からケーシング44の下部側面に接続することが好ましい。
【0024】
さらに、膜カセット40の集水部46には、膜エレメント42を通過した濾過水を処理水槽50に送る濾水管56が接続し、この濾水管56には開閉弁としての濾水弁B2と膜カセット40で濾過する水の量(濾過水量)を規定する濾過水量調節弁BF2とが設けられている。また、濾水管56には濾過水量を取得する流量取得手段M2を設け、この濾過水量をモニタもしくは記録して管理するようにしても良い。
【0025】
また、処理水槽50には、この処理水槽50内に貯留した濾過水を測定水として工業用計器30に供給する供給管52と、この処理水槽50内の余剰な濾過水を槽内に排出するオーバーフロー管54と、膜カセット40の逆洗工程時に処理水槽50内の濾過水を逆洗水として膜カセット40に圧送する逆洗管64とが接続する。また、逆洗管64には、処理水槽50内の水を逆洗水として圧送するための逆洗ポンプP2と、逆洗管64を開閉する逆洗弁B3と、逆洗管64を流れる逆洗水の流量を規定する逆洗水量調節弁BF3とが設けられている。尚、逆洗管64には逆洗水の流量を取得する流量取得手段M3を設け、この逆洗水の流量をモニタもしくは記録して管理するようにしても良い。さらに、逆洗工程時に、逆洗ポンプP2と連動して次亜塩素酸ナトリウム等の周知の薬剤を逆洗管64の配管ラインに注入する機構を設けても良い。そして、この逆洗工程時に薬剤を注入する構成では、逆洗工程やフラッシング工程での膜エレメント42の洗浄効果を更に向上することができる。特に目詰まりした物質が有機物である場合、次亜塩素酸ナトリウム併用による洗浄効果は大きくなる。しかも次亜塩素酸ナトリウム等の薬剤は、逆洗工程やフラッシング工程で逆洗排水管66やフラッシング排出管28より排水され、濾過水には含まれないことから、工業用計器30へ測定水を供給する膜濾過機80としての性能を損うことはない。
【0026】
また、工業用計器30には、この工業用計器30で使用した測定水を槽内に排出するドレイン管58が接続する。尚、処理水槽50は工業用計器30よりも上の位置に設け、供給管52による測定水の供給を重力流下によって行うことが省エネルギーの観点から好ましい。また、処理水槽50及び工業用計器30は水処理設備100の槽よりも上の位置に設け、オーバーフロー管54及びドレイン管58による水の排水を重力流下によって行うことが省エネルギーの観点から好ましい。
【0027】
尚、本例ではオーバーフロー管54、ドレイン管58の排水先も取水した槽、即ち混和槽20としているが、これらの配管の排水先は必ずしも取水した槽ではなくとも良い。ここで、本発明に係る膜濾過機80は工業用計器30に測定水を供給するものであるから、膜濾過機80の濾過水の量は一般的に水処理設備100の全体の水の流量に対して圧倒的に少ない。よって、オーバーフロー管54、ドレイン管58の排出先を取水した槽としても工業用計器30の測定結果には大きな影響を与えない。ただし、水処理設備100の全体の水量が比較的少ない設備では、オーバーフロー管54、ドレイン管58の排出先を取水した槽よりも後段の槽、本例では例えばフロック形成槽10に排出するようにしても良い。この構成では膜濾過機80を流れた水が槽内で循環せず一過式となる。よって、工業用計器30での測定結果には膜濾過機80を通過した水の影響は反映されず、全体の水量が比較的少ない水処理設備100でも工業用計器30による水質測定を精度良く行うことができる。尚、本発明に係る膜濾過機80では前述の余剰水排出管27、フラッシング排出管28、逆洗排水管66等も含め、基本的に取水した水を全て水処理設備100のいずれかの槽へ戻す。このため水処理設備100が取水した水の総量は減少せず、水量が比較的少ない水処理設備100でも水処理効率の低下が生じることはない。
【0028】
次に、本発明に係る膜濾過機80の動作と洗浄方法に関して
図4を用いて説明する。尚、
図4では便宜上、膜カセット40が1つの膜モジュールで構成された例を図示している。先ず、本発明の膜濾過機80は、濾過動作と洗浄動作とを交互に繰り返すサイクル運転を行い、濾過膜の目詰まりを解消しつつ工業用計器30の測定水として十分に清浄な濾過水を継続的に取得することを目的としている。また、洗浄動作は、空洗工程と逆洗工程とフラッシング工程の3つの工程で構成される。
【0029】
先ず、濾過動作では、取水管26の取水弁B1と濾水管56の濾水弁B2と余剰水排出管27の余剰水排水弁B7を開状態とし、逆洗管64の逆洗弁B3とフラッシング排出管28のフラッシング水排水弁B5とエア管62の空洗弁B4と逆洗排水管66の逆洗排水弁B6と閉状態とする。尚、濾水管56の濾過水量調節弁BF2は予め設定された所定の開度となっている。そして、送水ポンプP1を動作させる。これにより、取水管26は槽内の水(ここでは混和槽20の原水)を取水して、
図4(a)に示すように、ケーシング44の下端部から膜カセット40内へ圧送する。このときの取水管26からの水の供給量は膜カセット40で濾過する濾過水量の2倍~3倍の量であり、供給される水の1/2~2/3は余剰となる。この余剰な水は余剰水排出管27から排出され、返送管29を通って取水点(ここでは混和槽20)に戻される。例えば、膜カセット40の濾過水量Qwを5L/min~8L/minとし、膜カセット40へ供給する供給水流量QinをQwの2倍~3倍の15L/min~20L/minとした場合、余剰水排出管27から排出される余剰水流量Qoutは Qout=Qin-Qw となり、概ね7L/min~15L/minとなる。そして、膜カセット40内へ圧送された水は膜エレメント42の表面から膜孔を通って中空内に透過し濾過水となって集水部46で集められ、濾水管56を通って処理水槽50に吐出する。このとき水中の懸濁物質は膜孔を通過できず膜エレメント42の表面に残留する。これにより、濾過対象の水(原水)に対する濾過が行われる。尚、この濾過動作は装置規模や必要な濾過水量にもよるが、概ね8分~30分とすることが好ましい。
【0030】
また、処理水槽50に吐出した濾過水は処理水槽50に内に貯留し、一部が測定水として供給管52を通り工業用計器30に供給される。また、濾過動作が進んで濾過水が処理水槽50の上限水位を超えると、この余剰な濾過水はオーバーフロー管54を通して槽内に排出される。そして、工業用計器30は処理水槽50から供給された測定水を用いて槽内の水質測定を行う。尚、このときの測定水は膜カセット40によって懸濁物質が除去された濾過水であるから、いずれの工業用計器30であっても水質測定を問題なく行うことができる。そして、工業用計器30で使用された測定水はドレイン管58を通して槽内に排出される。尚、工業用計器30による測定結果はモニタもしくは然るべき装置に出力され、水質管理等に用いられる。例えば、水処理設備100が浄水施設の場合には、工業用計器30が混和槽20の残塩濃度を測定し、その測定結果に応じて殺菌注入装置22bによる殺菌剤の注入量を制御する。
【0031】
そして、この濾過動作が継続するにつれ水中の懸濁物質が膜エレメント42の表面に徐々に付着し、膜カセット40の濾過能力が低下する。このため、サイクル動作として定期的に膜カセット40に対する洗浄動作を行う。この洗浄動作は前述のように、以下に示す空洗工程と逆洗工程とフラッシング工程とを順に行う。尚、この洗浄動作中も処理水槽50に貯留している濾過水は継続して工業用計器30に供給され、工業用計器30による水質測定は洗浄動作中も継続して行われる。このため、洗浄動作中に処理水槽50の濾過水が不足しないよう、1サイクルの濾過動作で生成する濾過水の量を、逆洗工程で使用する逆洗水の量と、濾過動作と洗浄動作の1サイクル中に工業用計器30に供給する測定水の量の合計よりも多くする必要がある。これに関しては、必要な逆洗水の流量と逆洗時間、及び工業用計器30の測定水の使用量とから1サイクル中に必要な濾過水の量を導出し、この量を満たすように送水ポンプP1の能力、流量調節弁BF1、BF2の開度、膜カセット40の濾過能力、濾過動作の運転時間等を設計することで行う。
【0032】
より具体的には、Qw[L/min]を膜カセット40の濾過水量とし、tw[min]を濾過動作の時間とし、Qz[L/min]を工業用計器30へ供給する濾過水の水量とし、Qr[L/min]は逆洗工程で使用する逆洗水流量とし、tr[min]を逆洗工程の時間とし、tu[min]を洗浄動作の時間(濾過が行われない時間)としたときに、
Qw×tw≧Qz×(tw+tu)+Qr×tr
が成り立つように、Qw及びtwを設定する。
【0033】
次に、本発明に係る洗浄動作に関して説明を行う、先ず、洗浄動作の空洗工程では濾過動作時に稼働していた送水ポンプP1の運転を停止し、取水弁B1と濾水弁B2と余剰水排水弁B7とを閉状態とする。また、逆洗弁B3と逆洗排水弁B6は閉状態のまま維持する。そして、エア管62の空洗弁B4とフラッシング排出管28のフラッシング水排水弁B5を開状態とする。このとき、エア管62の風流量調節弁BF4は予め設定された所定の開度となっている。そして、コンプレッサ等の周知の送気手段60を動作させる。これにより、送気手段60が送出したエアがエア管62を通ってケーシング44の下部から噴出し、
図4(b)に示すように、ケーシング44内に残留した水をバブリングする。そして、このバブリングによって生じる乱流により膜エレメント42の表面に付着した懸濁物質を剥離する。また、ケーシング44内に供給されたエアはケーシング44の上部に接続したフラッシング排出管28を通して槽側に排出される。そして、この空洗工程が予め設定された時間行われると、送気手段60の運転を停止するとともに空洗弁B4を閉状態とする。そして、逆洗工程に移行する。尚、この空洗工程は洗浄動作の約1/4の時間とすることが好ましく、仮に洗浄動作が2分の場合、約30秒程度とすることが好ましい。
【0034】
また、逆洗工程では逆洗弁B3と逆洗排水弁B6とを開状態とする。尚、このとき逆洗管64の逆洗水量調節弁BF3は予め設定された所定の開度となっている。また、フラッシング水排水弁B5は開状態のまま維持し、取水弁B1と濾水弁B2と余剰水排水弁B7は閉状態を維持する。そして、逆洗ポンプP2を動作させる。これにより、処理水槽50に貯留した濾過水が逆洗水として逆洗管64を通り、
図4(c)に示すように、膜カセット40の集水部46に圧送される。そして、この逆洗水は膜エレメント42の内側の中空から膜孔を通って膜エレメント42の表面側へと通水し、この際、膜孔を閉塞していた懸濁物質を剥離除去する。この膜孔に通水した逆洗水は剥離した懸濁物質とともにフラッシング排出管28及び逆洗排水管66から排出され、返送管29を通して槽内に排出される。これにより膜カセット40に対する逆洗が行われる。そして、この逆洗工程が予め設定された時間行われると、逆洗ポンプP2の運転を停止するとともに逆洗弁B3と逆洗排水弁B6を閉状態とする。そして、フラッシング工程に移行する。尚、この逆洗工程は洗浄動作の約1/2の時間とすることが好ましく、仮に洗浄動作が2分の場合、1分前後とすることが好ましい。
【0035】
また、フラッシング工程では取水弁B1と余剰水排水弁B7を開状態とし、フラッシング水排水弁B5は開状態のまま維持する。また、濾水弁B2と空洗弁B4と逆洗弁B3と逆洗排水弁B6は閉状態を維持する。そして、送水ポンプP1を動作させる。尚、送水ポンプP1の送水能力は濾過動作時と同一であり、濾過動作時とフラッシング工程時で切り替え制御等は行わない。これにより、取水管26は槽内の水を取水して、ケーシング44の下端部から膜カセット40内へ圧送する。尚、このときの取水管26からの水の供給量は濾過動作と同じ濾過水量の2倍~3倍の量となる。ただし、フラッシング工程では濾水弁B2が閉状態であるため、膜エレメント42内に水は流れず濾過は行われない。また、開状態にあるフラッシング排出管28は余剰水排出管27並びに、濾水管56の配管抵抗と膜カセット40の膜濾過抵抗とを合わせた値よりも配管抵抗が低く、例えば、供給水流量Qinを15L/min~20L/minとした場合、フラッシング排出管28を流れるフラッシング排水量Qdが10L/min~15L/minとなるように設計されている。このため、一部の水は余剰水排出管27から排出されるものの、ケーシング44内へ濾過動作時よりも多くの水が流入することとなる。
【0036】
このようにしてケーシング44内へ圧送された水は、
図4(d)に示すように膜エレメント42の表面に沿った強い平行流となって、膜エレメント42の表面に付着した懸濁物質を剥離除去する。この剥離した懸濁物質は供給された水とともにフラッシング排出管28から排出され、返送管29を通って槽内に排出される。そして、このフラッシング工程が予め設定された時間行われると、濾水弁B2を開状態にするとともに、フラッシング水排水弁B5を閉状態とする。これにより、膜エレメント42の外側(1次側)の圧力が上昇して、ケーシング44内の水が膜エレメント42の膜孔を通過して濾過が行われる。これにより、膜濾過機80は洗浄動作から濾過動作に移行する。尚、このフラッシング工程は洗浄動作の約1/4の時間とすることが好ましく、仮に洗浄動作が2分の場合、約20秒~30秒とすることが好ましい。
【0037】
次に、本発明に係る膜濾過機80の洗浄方法のフラッシング工程の効果に関して検証する。先ず、本発明の試験機として外圧式カセット収納型の膜カセット40を用意した。尚、膜エレメント42は膜孔径0.1μmのMF膜を用い膜面積は3.1m2とした。また、膜カセット40へ供給する水は濁度5度とし供給水流量Qinは15L/minとした。また、濾過水量Qwは5L/minとした。よって、余剰水流量Qoutはその差分の10L/minとなる。また、濾過動作は18min、洗浄動作は2minとし、この洗浄動作中のフラッシング工程は20secとした。また、フラッシング工程における供給水流量Qinは濾過動作時と同じ15L/minであり、フラッシング排出管28から排水されるフラッシング排水量Qdは10L/minとした。よって、フラッシング工程における余剰水流量Qoutはその差分の5L/minとなる。
【0038】
また、比較例として同一の外圧式カセット収納型の膜カセット40を用意した。尚、この比較例には余剰水排出管27は設けず、従来通り全量濾過とした。よって、供給水流量Qinは濾過水量Qwと同じ5L/minとなる。また、洗浄動作におけるフラッシング工程時の供給水流量Qinも濾過動作時と同じ5L/minとなり、フラッシング排水量Qdもこれと同じ5L/minとなる。尚、フラッシング工程以外の洗浄動作は本発明の試験機と同条件とした。
【0039】
そして、濾過動作18分と洗浄動作2分(うち、フラッシング工程20秒)を1サイクルとして繰り返しながら、上記の濾過を3日間継続して行い、その濾過水量Qwの変化を測定した。尚、濾過が進行し膜エレメント42が懸濁物質で詰まると濾過水量Qwが減少する。この濾過水量Qwの低下は洗浄動作によって回復するが、濾過が継続するにつれ、これらの洗浄動作では除去しきれない懸濁物質が蓄積し濾過水量Qwが徐々に減少傾向を示す。よって、濾過水量Qwの減少量が少ない程、洗浄動作による懸濁物質の除去効果が高いことを意味する。尚、ここでは洗浄動作のうちフラッシング工程のみが異なる。よって、ここでの濾過水量Qwの減少量はフラッシング工程による洗浄効果の強弱を意味する。
【0040】
ここで、
図5に濾過時間と濾過水量の線形近似直線のグラフと近似式を示す。ここで、
図5中の実線が本発明の試験機の近似直線であり、
図5中の破線が比較例の近似直線である。尚、洗浄動作中は濾過水量Qwがゼロとなるため、洗浄動作中の濾過水量Qwの値は演算から除外している。
【0041】
図5より、本発明の近似直線の傾きは-0.0038であったのに対し、比較例の近似直線の傾きは-0.0048であり、比較例の傾きの方が本発明のものと比較して約20%小さく濾過水量Qwの減少量が大きいことが判る。即ち、本発明のフラッシング工程の方が比較例のものよりも洗浄効果が高く、これは本発明のフラッシング工程の方が比較例のものよりも水量が多く平行流の流速が速いことに起因するものと考えられる。
【0042】
以上のように、本発明に係る膜濾過機80は、膜カセット40の水の供給口と並列に接続した余剰水排出管27を有し、濾過動作時に取水管26から膜カセット40に供給される余剰な水はこの余剰水排出管27から排出される。これにより、膜エレメント42やケーシング44側には過大な水圧が掛からず、膜カセット40側へ供給する水の量を濾過水量の2倍~3倍にすることができる。また、膜濾過機80の膜カセット40には、濾水管56の配管抵抗と膜カセット40の膜濾過抵抗とを合わせた値よりも配管抵抗の低いフラッシング排出管28が接続する。そして、洗浄動作のフラッシング工程時にはフラッシング排出管28を開いて膜カセット40側へ供給される水の多くをケーシング44内へ流入させフラッシング排出管28から排出させる。これにより、ケーシング44内には膜エレメント42の表面に沿った強い平行流が発生し、この平行流によって膜エレメント42の表面に付着した懸濁物質を剥離除去することができる。
【0043】
このように、本発明に係る膜濾過機80及び洗浄方法は、濾過動作時には余剰な水を余剰水排出管27から排出してケーシング44内に適量の水しか流入させず、反対にフラッシング工程時には配管抵抗の低いフラッシング排出管28を開いて大部分の水をケーシング44内に流入させ強い平行流を生じさせる。これにより、送水手段に対する切り替え動作や設備等を用いることなく、濾過動作時とフラッシング工程時とでケーシング44内に流入させる水の量を切り替えることができる。これにより、制御系や装置規模を大きくすることなく、効果的なフラッシング洗浄を行うことができる。
【0044】
尚、本例で示した膜濾過機80の各部の構成、動作、機構、配管経路等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。また、本例で示した膜濾過機80の洗浄方法の手順、数値等は一例であるから、本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
26 取水管
27 余剰水排出管
28 フラッシング排出管
30 工業用計器
40 膜カセット
42 膜エレメント
44 ケーシング
50 処理水槽
56 濾水管
80 膜濾過機
【要約】
【課題】簡単な構成で大流量でのフラッシングを行うことが可能な膜濾過機及びこの膜濾過機の洗浄方法を提供する。
【解決手段】この膜濾過機80は、膜カセット40の水の供給口と並列に接続した余剰水排出管27を有し、濾過動作時に供給される余剰な水はこの余剰水排出管27から排出される。これにより、膜カセット40側へ供給する水の量を濾過水量の2倍~3倍にすることができる。また、膜カセット40には、配管抵抗の低いフラッシング排出管28が接続する。そして、フラッシング工程時にはフラッシング排出管28を開いて膜カセット40側へ供給される水の多くをケーシング44内へ流入させフラッシング排出管28から排出させる。これにより、ケーシング44内には膜エレメント42の表面に沿った強い平行流が発生し、膜エレメント42の表面に付着した懸濁物質を剥離除去することができる。
【選択図】
図2