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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20230207BHJP
   G06F 21/81 20130101ALI20230207BHJP
   G06F 9/4401 20180101ALI20230207BHJP
【FI】
G06F21/62
G06F21/81
G06F9/4401
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021212509
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】▲片▼山 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】祁 儀穎
(72)【発明者】
【氏名】森重 勇作
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0171928(US,A1)
【文献】特開2014-170429(JP,A)
【文献】特開2006-060544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06F 21/81
G06F 9/4401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、
報知音を出力する音出力部と、
BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、
予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記音出力部から前記報知音を出力させるように制御するとともに、前記特定の信号を受信したことを示す所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するEC(Embedded Controller)と、
を備え、
前記ECは、
前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示し、
前記CPUは、
前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記ECは、
前記システムがシャットダウンされている状態において前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記CPUに対して前記システムを起動させるように指示した後に前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御し、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記CPUは、
前記ECが前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記ECの制御に基づいて前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させる、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記CPUは、
前記システムがシャットダウンされている状態において前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かを判定し、前記所定の情報が記憶されていないと判定した場合には前記システムを起動させ、前記所定の情報が記憶されていると判定した場合には前記システムを起動させない、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記CPUは、
前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されていると判定した場合、さらに前記機器と前記近距離無線通信を用いて通信可能である場合には、前記システムを起動させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記CPUは、
一定距離以内に存在する前記機器と前記近距離無線通信を用いて通信可能である場合には、前記システムを起動させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記CPUは、
前記システムを起動させた場合、前記不揮発性メモリに記憶されている前記所定の情報を削除する、
請求項5または請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、
BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、
予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するEC(Embedded Controller)と、
を備え、
前記ECは、
前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示し、
前記CPUは、
前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御する、
情報処理装置。
【請求項9】
近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、報知音を出力する音出力部と、BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、EC(Embedded Controller)とを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記ECが、
予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記音出力部から前記報知音を出力させるように制御するステップと、
前記特定の信号を受信したことを示す所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するステップと、
前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示するステップと、
前記CPUが、
前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせるステップと、
前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御するステップと、
を含む制御方法。
【請求項10】
情報処理装置における制御方法であって、
近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、EC(Embedded Controller)とを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記ECが、
予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するステップと、
前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示するステップと、
前記CPUが、
前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせるステップと、
前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紛失また盗難にあった物を探索するための技術がある。例えば、特許文献1には、夜間などに広い駐車場に駐車して車から離れたような場合、後でどの場所に車を駐車したのかわからなくことがあるが、携帯用送信機のスイッチを押すことにより、自車にわりあてられた特定の電波が送信されて、自車に載置された受信機によりその特定の電波が受信されて、ランプの点灯またはブザーを鳴らして、離れた場所から自車の位置の確認できる技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ノート型パソコンに代表される移動端末(情報処理装置)の盗難または紛失を防止するために、第1移動端末の現在位置と第2移動端末の現在位置との間の距離が所定値以上となった場合、少なくともいずれか一方に警告音を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-035191号公報
【文献】特開2008-294688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紛失したり盗難にあったりした物を発見できるように、遠隔で音などを出力させてその場所を知らせるようにする技術があるが、反面、音を発しているものは持ち主の手から離れていることが悟られてしまうことになる。例えば、ノート型パソコンなどの情報処理装置を紛失した場合、持ち主の手から離れていることが悟られてしまうと盗難のターゲットとなる懸念がある。情報処理装置が盗難されると、データの持ち出しなど不正に使用されてしまう懸念が生じる。例えば、通信ネットワークを用いて情報処理装置を遠隔でOS(Operating System)レベルでロックする機能は従来からあるが、再起動後に繰り返しパスワードが試されたり、パスワードが盗まれたりといったことにより、他者によって不正に使用されてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、紛失または盗難の際の不正使用を防止する情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、報知音を出力する音出力部と、BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記音出力部から前記報知音を出力させるように制御するとともに、前記特定の信号を受信したことを示す所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するEC(Embedded Controller)と、を備え、前記ECは、前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示し、前記CPUは、前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御する。
【0008】
上記情報処理装置において、前記ECは、前記システムがシャットダウンされている状態において前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記CPUに対して前記システムを起動させるように指示した後に前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御し、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示してもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記CPUは、前記ECが前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記ECの制御に基づいて前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させてもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記CPUは、前記システムがシャットダウンされている状態において前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かを判定し、前記所定の情報が記憶されていないと判定した場合には前記システムを起動させ、前記所定の情報が記憶されていると判定した場合には前記システムを起動させなくてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記CPUは、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されていると判定した場合、さらに前記機器と前記近距離無線通信を用いて通信可能である場合には、前記システムを起動させてもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記CPUは、一定距離以内に存在する前記機器と前記近距離無線通信を用いて通信可能である場合には、前記システムを起動させてもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、前記CPUは、前記システムを起動させた場合、前記不揮発性メモリに記憶されている前記所定の情報を削除してもよい。
【0014】
また、本発明の第2態様に係る情報処理装置は、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するEC(Embedded Controller)と、を備え、前記ECは、前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示し、前記CPUは、前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御する。
【0015】
また、本発明の第3態様に係る、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、報知音を出力する音出力部と、BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、EC(Embedded Controller)とを備える情報処理装置における制御方法は、前記ECが、予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記音出力部から前記報知音を出力させるように制御するステップと、前記特定の信号を受信したことを示す所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するステップと、前記近距離無線通信により前記特定の信号を受信した場合、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示するステップと、前記CPUが、前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせるステップと、前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御するステップと、を含む。
【0016】
また、本発明の第4態様に係る、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、BIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)に基づいてシステムの処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、EC(Embedded Controller)とを備える情報処理装置における制御方法は、前記ECが、予め登録された機器から前記近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するステップと、前記所定の情報を前記不揮発性メモリに記憶させるように制御した後に前記システムをシャットダウンさせるように前記CPUへ指示するステップと、前記CPUが、前記ECの指示に応じて前記システムをシャットダウンさせるステップと、前記システムをシャットダウンさせた後、前記システムを起動させるトリガが入力された場合、前記不揮発性メモリに前記所定の情報が記憶されているか否かに基づいて前記システムを起動させるか否かを制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、情報処理装置の紛失または盗難の際の不正使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を示す図。
図2】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図3】実施形態に係るシステムロック制御の構成の一例を示すブロック図。
図4】実施形態に係るシステムロック制御処理の一例を示すフローチャート。
図5】実施形態に係るシステムロック解除処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、携帯端末50(端末装置の一例)とを備えている。情報処理装置10は、ノート型(クラムシェル型)のPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)などのコンピュータ装置の一例である。情報処理装置10は、屋内または屋外を問わず様々な場所へ移動して利用可能であるため、紛失または盗難の可能性がある。携帯端末50は、スマートフォンなどの携帯型のコンピュータ装置の一例である。
【0020】
携帯端末50と情報処理装置10とが互いの識別情報をペアリングの情報として予め登録しておくことで、携帯端末50と情報処理装置10との間で通信が可能である。例えば、携帯端末50と情報処理装置10とは、Bluetooth(登録商標)機能を利用して通信を行うビーコン(Beacon)を用いて通信可能である。
【0021】
情報処理装置10を紛失した場合または情報処理装置10が盗難にあった場合、ユーザは、携帯端末50からビーコンを用いて特定の情報を情報処理装置10へ送信することにより、情報処理装置10からビープ(Beep)音などの報知音を出力させることができる。例えば、紛失したり盗難にあったりした情報処理装置10を発見できるように、情報処理装置10から大きな音量のビープ音を出力させることで、情報処理装置10の場所を知らせることができる。
【0022】
ここで、携帯端末50から情報処理装置10へ送信する特定の情報のことを、以下では、「紛失防止タグ」と称する。携帯端末50からビーコンを用いて紛失防止タグを送信すると、情報処理装置10がビーコンの届く範囲(例えば、100m程度の範囲)にあれば、その紛失防止タグを受信してビープ音を出力する。
【0023】
また、情報処理装置10は、携帯端末50から紛失防止タグを受信すると、ビープ音を出力した後にシステムをシャットダウンさせて、システムをロックさせる(システムLock)。このシステムのロックは、OSレベルのロックではなく、OSのロード以前のシステムレベルでのロック(起動のロック)である。つまり、紛失または盗難にあった情報処理装置10を他者が勝手に使用しようとしても、情報処理装置10は、起動せず、OSのログイン画面(パスワードの入力画面)まで至らない。よって、繰り返しパスワードが試されたり、パスワードが盗まれたりといったことにより他者によってパスワードを解除されてしまう懸念が無く、紛失または盗難にあった情報処理装置10の不正使用を防止することができる。
【0024】
[情報処理装置のハードウェア構成]
次に、図2を参照して、情報処理装置10の主要なハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
情報処理装置10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、不揮発性メモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、LANアダプタ25と、USBコネクタ26と、近距離無線通信部27と、エンベデッドコントローラ31と、スピーカ32と、操作部33と、電源ボタン34と、電源回路35とを備える。
【0026】
CPU11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOS(Basic Input Output System)に基づく処理を実行する。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。
【0027】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んで構成されている。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0028】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを含んで構成されており、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画像を表示する。
【0029】
チップセット21は、CPU11と各種デバイスとの橋渡しを行う。例えば、チップセット21は、USB、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、不揮発性メモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、LANアダプタ25と、USBコネクタ26と、近距離無線通信部27と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0030】
不揮発性メモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成されている。不揮発性メモリ22は、BIOSのプログラム、BIOSが利用する設定データなどを記憶する。
【0031】
記憶媒体23は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶媒体23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションなどの各種プログラム、及び各種プログラムが利用するデータなどを記憶する。
【0032】
オーディオシステム24は、スピーカ32が接続され、各種の音データの再生及び出力を行う。なお、オーディオシステム24は、不図示のマイクが接続されてもよく、マイクを介して入力される音に基づく音データを生成して記録する。なお、マイク及びスピーカは、一例として、情報処理装置10に内蔵されているが、外部マイクまたは外部スピーカとして接続されてもよい。
【0033】
LANアダプタ25は、有線または無線により、ネットワークを介して他の装置と通信を行う。ネットワークとは、例えば、インターネットや、携帯電話網、VPN(Virtual Private Network)網、専用通信回線網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆交換電話網)など、またはこれらの組み合わせによって構成される通信ネットワークである。
【0034】
USBコネクタ26は、USB規格に対応した各種機器(周辺機器)と接続するためのコネクタ(接続端子)である。USBコネクタ26は、チップセット21が備えるUSBコントローラと接続されており、USB規格に対応した各種機器(周辺機器)と接続可能なUSBポートとして構成されている。
【0035】
近距離無線通信部27は、所定の通信方式を用いて他の機器(例えば、携帯端末50)と近距離無線通信を行う。例えば、近距離無線通信部27は、Bluetooth(登録商標)による通信を行う。一例として、近距離無線通信部27は、BLE(Bluetooth Low Energy)の通信規格に対応したビーコンを用いて、携帯端末50から電波を受信する。近距離無線通信部27は、チップセット21と接続されている。近距離無線通信部27とCPU11とは、チップセット21を介してデータの送受信を行う。
【0036】
また、近距離無線通信部27は、エンベデッドコントローラ31とも接続されている。例えば、近距離無線通信部27は、エンベデッドコントローラ31のデジタル入力端子と接続されており、携帯端末50からビーコンを用いて紛失防止タグを受信すると、紛失防止タグを受信したことを示す情報をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0037】
スピーカ32は、オーディオシステム24によって再生された音データに基づく音を出力する。また、スピーカ32は、エンベデッドコントローラ31にも接続されており、エンベデッドコントローラ31の制御によりビープ音などを出力する。
【0038】
操作部33は、キーボードや、タッチパッド、電源ボタンなどを含んで構成されている。操作部33は、ユーザの操作に基づいて操作信号をエンベデッドコントローラ31へ出力する。なお、操作部33は、USBコネクタ26などを介して接続される外部機器であってもよい。外部機器としては、キーボードや、マウス、タッチパッドなどが挙げられる。
【0039】
電源ボタン34は、情報処理装置10の電源をオンするための操作子である。例えば、電源ボタン34は、ユーザの操作に応じた操作信号をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0040】
電源回路35は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路35は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリなどから供給される直流電圧を、情報処理装置10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路35は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、情報処理装置10の各部に電力を供給する。
【0041】
エンベデッドコントローラ(EC:Embedded Controller)31は、OSやBIOSの処理を実行するCPU11とは別に設けられているプロセッサである。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31には、それぞれの入力端子を介して、例えば、スピーカ32、操作部33、電源ボタン34、及び電源回路35などが接続されている。また、エンベデッドコントローラ31は、バスを介して接続されているチップセット21を経由して、CPU11とデータの授受を行う。
【0042】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、電源ボタン34に対するユーザの操作に応じた操作信号を取得した場合、電源回路335の制御、及びCPU11に対するシステムの起動の指示などを行う。また、エンベデッドコントローラ31は、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことを示す情報を近距離無線通信部27から取得すると、スピーカ32からビープ音を出力させるための制御、及びシステムをシャットダウンさせてシステムをロックさせる制御を行う。
【0043】
以下では、情報処理装置10が携帯端末50から送信された紛失防止タグを受信したことに応じて行う制御のことを「システムロック制御」と称する。このシステムロック制御を行う構成について、図3を参照して詳しく説明する。
【0044】
[システムロック制御の構成]
図3は、本実施形態に係るシステムロック制御の構成の一例を示すブロック図である。この図では、図2に示す構成のうちシステムロック制御に関する構成を示している。
【0045】
近距離無線通信部27は、チップセット21を介してCPU11とデータの送受信を行う。例えば、近距離無線通信部27は、CPU11で実行されるBIOSまたはOSの処理により、外部の機器と通信を行う。また、近距離無線通信部27は、エンベデッドコントローラ31のデジタル入力端子と接続されており、携帯端末50から紛失防止タグを受信すると、紛失防止タグを受信したことを示す「-BT_INT」信号をアサートする。
【0046】
エンベデッドコントローラ31は、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号がアサートされると、スピーカ32からビープ音を出力させるように制御するとともに、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことを示すフラグ情報(以下、「紛失防止フラグ」と称する)を不揮発性メモリ22に記憶させるように制御する。また、エンベデッドコントローラ31は、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させるように制御した後にシステムをシャットダウンさせるように制御する。
【0047】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号がアサートされると、電源オフの状態(システムがシャットダウンされている状態)では、システムを一旦起動させる指示を示すWake信号を、チップセット21を介してCPU11へ送信する。そして、電源オンの状態(システムが起動している状態)になると、エンベデッドコントローラ31は、システムロック制御を要求する「Attention(Lock Request)」信号を、チップセット21を介してCPU11へ送信する。この「Attention(Lock Request)」信号は、ビープ音の出力の制御と紛失防止フラグの記憶の制御とを指示する信号である。
【0048】
CPU11は、エンベデッドコントローラ31からチップセット21を介してWake信号を取得すると、BIOSのプログラムをロードして、BIOSを起動させる。また、CPU11は、BIOSの起動後にOSのプログラムをロードして、OSを起動させる。ここで、図11に示すBIOS111は、CPU11がBIOSを実行することにより実現される機能構成を示している。また、図11に示すOS112は、CPU11がOSを実行することにより実現される機能構成を示している。
【0049】
BIOS111は、エンベデッドコントローラ31からチップセット21を介して「Attention(Lock Request)」信号を取得すると、スピーカ32からビープ音をさせるように制御する。例えば、BIOS111は、ビープ音を要求する「Beep Request」信号を、チップセット21を介してエンベデッドコントローラ31へ送信する。エンベデッドコントローラ31は、「Beep Request」信号を取得すると、スピーカ32からビープ音を出力させる。
【0050】
なお、BIOS111は、「Attention(Lock Request)」信号を取得すると、「Beep Request」信号をエンベデッドコントローラ31へ送信せずに、チップセット21を介してスピーカ32からビープ音を出力させてもよい。また、エンベデッドコントローラ31は、BIOS111からの指示ではなく、「-BT_INT」信号がアサートされたことに応じて、スピーカ32からビープ音を出力させてもよい。
【0051】
また、BIOS111は、エンベデッドコントローラ31からチップセット21を介して「Attention(Lock Request)」信号を取得した場合、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させる。
【0052】
また、エンベデッドコントローラ31は、スピーカ32からビープ音を出力させた後、システムのシャットダウンを要求する「Attention(Shutdown)」信号を、チップセット21を介してCPU11(OS112)へ送信する。OS112は、「Attention(Shutdown)」信号を取得すると、シャットダウン処理を実行する。これにより、情報処理装置10は、システムがロックされた状態になる。
【0053】
システムがシャットダウンされている状態において、システムを起動させるトリガ(例えば、電源ボタン34に対する操作)が入力された場合、CPU11は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されているか否かを判定する。そして、CPU11は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていないと判定した場合には、システムがロックされている状態ではないため、通常の起動処理によりシステムを起動させる。
【0054】
一方、CPU11は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていると判定した場合には、システムがロックされた状態であるため、システムを起動させない。ここで、システムロックを解除する条件は、情報処理装置10のユーザがシステムを起動させるトリガ(例えば、電源ボタン34に対する操作)を行った場合である。例えば、CPU11は、ペアリングされている携帯端末50からビーコンの電波を受信できる場合、システムロックを解除してもよい。より安全とするには、CPU11は、ペアリングされている携帯端末50からビーコンの電波を受信できるだけではなく、さらに携帯端末50との距離が一定距離(例えば、1m以内)以内の場合、システムロックを解除してもよい。
【0055】
なお、ペアリングされている携帯端末50であるか否かは、携帯端末50の識別情報がペアリングの情報として予め登録されているか否かによって判断できる。このペアリングの情報は、例えば不揮発性メモリ22に保存されている。識別情報は、ビーコンを受信できる機器を特定可能な識別情報であれば任意の情報を用いることができる。例えば、識別情報は、ユーザ情報またはMACアドレス(Media Access Control address)等を用いることができる。
【0056】
例えば、CPU11は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていると判定した場合、さらにペアリングされている携帯端末50とビーコンを用いて通信可能であるか否かに基づいてシステムを起動させるか否かを制御する。CPU11は、不揮発性メモリ22に保存されているペアリングの情報を参照し、ビーコンで受信した機器の識別情報が予め登録されている識別情報と合致するか否かを判定する。そして、CPU11は、ビーコンで受信した機器の識別情報が予め登録されている識別情報と合致すると判定した場合、ビーコンで受信した機器がペアリングされている機器であると判定する。CPU11は、ペアリングされている携帯端末50とビーコンを用いて通信可能である場合には、システムを起動させる。
【0057】
また、より安全とするには、CPU11は、一定距離以内に存在する携帯端末50とビーコンを用いて通信可能である場合には、システムを起動させてもよい。
【0058】
例えば、情報処理装置10が携帯端末50とビーコンで通信可能な範囲は50m~100m程度であるが、ビーコンのRSSI(受信電波強度)で携帯端末50との距離を検出することができる。一例として、RSSIが-90dBmの場合の距離は15m、RSSIが-75dBmの場合の距離は5m、RSSIが-50dBmの場合の距離は1m、RSSIが-40dBmの場合の距離は30cmなどとして検出可能である。近距離になるほど距離の精度が高くなるため、情報処理装置10のユーザ(携帯端末50を生じしているユーザ)が近くに存在するか否かを判定するのに適している。
【0059】
[システムロック制御処理の動作]
次に、情報処理装置10が、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことによりシステムをロックさせるシステムロック制御処理の動作について説明する。
図4は、本実施形態に係るシステムロック制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
(ステップS101)近距離無線通信部27は、携帯端末50から送信された紛失防止タグを受信すると、ステップS103の処理へ進む。
【0061】
(ステップS103)近距離無線通信部27は、紛失防止タグを受信すると、紛失防止タグを受信したことを示す「-BT_INT」信号をアサートする。そして、ステップS105の処理へ進む。
【0062】
(ステップS105)エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号がアサートされると、電源オフの状態(システムがシャットダウンされている状態)では、Wake信号を、チップセット21を介してCPU11へ送信する。電源オフの状態(システムがシャットダウンされている状態)では、CPU11は、エンベデッドコントローラ31からチップセット21を介してWake信号を取得すると、BIOS及びOSのプログラムをロードして、システムを起動させる。なお、電源オンの状態(システムが起動している状態)では、エンベデッドコントローラ31は、Wake信号を送信しなくてもよい。そして、ステップS107の処理へ進む。
【0063】
(ステップS107)エンベデッドコントローラ31は、システムロック制御を要求する「Attention(Lock Request)」信号を、チップセット21を介してCPU11へ送信する。そして、ステップS109の処理へ進む。
【0064】
(ステップS109)CPU11(BIOS111)は、「Attention(Lock Request)」信号を取得すると、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させる。
【0065】
(ステップS111)また、CPU11(BIOS111)は、ビープ音を要求する「Beep Request」信号を、チップセット21を介してエンベデッドコントローラ31へ送信する。なお、ステップS109とステップS111の処理の順序は逆でもよい。そして、ステップS113の処理へ進む。
【0066】
(ステップS113)エンベデッドコントローラ31は、「Beep Request」信号を取得すると、スピーカ32からビープ音を出力させる。そして、ステップS115の処理へ進む。
【0067】
(ステップS115)エンベデッドコントローラ31は、スピーカ32からビープ音を出力させた後、システムのシャットダウンを要求する「Attention(Shutdown)」信号をチップセット21へ送信する。そして、ステップS117の処理へ進む。
【0068】
(ステップS117)チップセット21は、「Attention(Shutdown)」信号を取得したことに応じて、システムをシャットダウンさせるシャットダウン指示をOS112へ送信する。OS112は、シャットダウン指示に応じてシャットダウン処理を実行する。これにより、情報処理装置10は、システムがロックされた状態になる。
【0069】
[システムロック解除処理の動作]
次に、情報処理装置10が、システムがロックされた状態からシステムロックを解除するシステムロック解除処理の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係るシステムロック解除処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
(ステップS201)エンベデッドコントローラ31は、システムを起動させるトリガ(例えば、電源ボタン34に対する操作:Power ON)が入力されると、ステップS203の処理へ進む。
【0071】
(ステップS203)エンベデッドコントローラ31は、システムを起動させるトリガが入力されると、「Power ON」信号を、チップセット21を介してCPU11へ送信する。そして、ステップS205の処理へ進む。
【0072】
(ステップS205)CPU11は、「Power ON」信号を取得すると、BIOSをロードして、POST(Power On Self Test)処理を開始する。
【0073】
(ステップS207)CPU11(BIOS111)は、POST処理の途中で、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されているか否かを判定する(Check Flag)。
【0074】
(ステップS209)CPU11(BIOS111)は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていると判定した場合(TRUE)、ステップS211の処理へ進む。なお、CPU11(BIOS111)は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていないと判定した場合(FALSE)には、POST処理を継続して、通常の起動処理によりシステムを起動させる。
【0075】
(ステップS211)CPU11(BIOS111)は、一定距離内にユーザ(情報処理装置10のユーザ)が居るかを確認するための「Check User」信号を、チップセット21を介して近距離無線通信部27へ送信する。
【0076】
(ステップS213)近距離無線通信部27は、「Check User」信号を取得すると、ビーコンで受信した機器の識別情報(「Device ID」)を、チップセット21を介してCPU11(BIOS111)へ送信する。そして、ステップS215の処理へ進む。
【0077】
(ステップS215)CPU11(BIOS111)は、近距離無線通信部27から送信された機器の識別情報を受信すると、不揮発性メモリ22に保存されているペアリングの情報を参照し、受信した識別情報と予め登録されている識別情報(ペアリングされている機器の識別情報)とが合致するか否かを判定する。CPU11(BIOS111)は、受信した識別情報と予め登録されている識別情報(ペアリングされている機器の識別情報)とが合致すると判定した場合(YES)、POSTを継続してOS112へ起動の指示を行い、システムを起動させる。CPU11(BIOS111)は、システムを起動させた場合、不揮発性メモリ22に記憶されている紛失防止フラグを削除する。一方、CPU11(BIOS111)は、受信した識別情報と予め登録されている識別情報(ペアリングされている機器の識別情報)とが合致しないと判定した場合(NO)、ステップS217の処理へ進む。
【0078】
(ステップS217)CPU11(BIOS111)は、シャットダウン処理を実行する。即ち、ビーコンで受信した機器が予め登録されていない機器(ペアリングされていない機器)である場合には、シャットダウン処理を実行し、システムをロックさせる。
【0079】
なお、CPU11(BIOS111)は、ビーコンで受信した機器が予め登録されていない機器(ペアリングされていない機器)であっても、通信距離が一定距離(例えば、1m)以内ではない場合には、シャットダウン処理を実行し、システムをロックさせてもよい。また、CPU11(BIOS111)は、いずれの機器ともビーコンを用いて通信できていない場合も、シャットダウン処理を実行し、システムをロックさせる。
【0080】
[実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置10は、近距離無線通信(例えば、ビーコン)を行う近距離無線通信部27と、ビープ音(報知音の一例)を出力するスピーカ32(音出力部の一例)と、BIOS及びOSに基づいてシステムの処理を実行するCPU11と、CPU11とは別のプロセッサであるエンベデッドコントローラ31とを備えている。エンベデッドコントローラ31は、予め登録された(例えば、ペアリングされた)携帯端末50(機器の一例)から近距離無線通信により紛失防止タグ(特定の信号の一例)を受信した場合、スピーカ32からビープ音を出力させるように制御するとともに、紛失防止タグを受信したことを示す紛失防止フラグ(所定の情報の一例)を不揮発性メモリ22に記憶させるように制御する。また、エンベデッドコントローラ31は、
近距離無線通信により紛失防止タグを受信した場合、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させるように制御した後にシステムをシャットダウンさせるようにCPU11へ指示する。CPU11は、エンベデッドコントローラ31の指示に応じてシステムをシャットダウンさせた後、システムを起動させるトリガ(例えば、電源ボタン34に対する操作)が入力された場合、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されているか否かに基づいてシステムを起動させるか否かを制御する。
【0081】
これにより、情報処理装置10は、紛失または盗難の際に発見できるように携帯端末50からの遠隔操作により音を出力することができるとともに、システムレベルで起動しないようにすることができるため、紛失または盗難の際の不正使用を防止することができる。情報処理装置10は、システムレベルで起動しないようにすることができるため、OSレベルでロックする機能のように、再起動後に繰り返しパスワードが試されたり、パスワードが盗まれたりといったことにより、他者によって不正に使用されてしまう懸念がなく、より安全性を高めることができる。
【0082】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、システムがシャットダウンされている状態において近距離無線通信により紛失防止タグを受信した場合、CPU11に対してシステムを起動させるように指示した後に紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させるように制御する。また、エンベデッドコントローラ31は、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させるように制御した後にシステムをシャットダウンさせるようにCPU11へ指示する。
【0083】
これにより、情報処理装置10は、紛失したり盗難にあったりした場合に、シャットダウンしている状態であっても、携帯端末50からの遠隔操作により音を出力することができるとともに、その後シャットダウンしてシステムレベルで起動させないようにすることができる。
【0084】
また、CPU11は、エンベデッドコントローラ31が近距離無線通信により紛失防止タグを受信した場合、エンベデッドコントローラ31の制御に基づいて紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させる。
【0085】
これにより、情報処理装置10は、紛失したり盗難にあったりした場合に、携帯端末50からの遠隔操作により音を出力してシャットダウンしたことを、シャットダウン後も保持することができる。
【0086】
また、CPU11は、システムがシャットダウンされている状態においてシステムを起動させるトリガが入力された場合、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されているか否かを判定し、紛失防止フラグが記憶されていないと判定した場合にはシステムを起動させ、紛失防止フラグが記憶されていると判定した場合にはシステムを起動させない。
【0087】
これにより、情報処理装置10は、正常にシャットダウンした状態ではシステムの起動が可能であるが、紛失したり盗難にあったりしたことにより携帯端末50からの遠隔操作によりシャットダウンした状態ではシステムを起動しないようにすることができる。
【0088】
また、CPU11は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていると判定した場合には、さらに携帯端末50と近距離無線通信を用いて通信可能であるか否かに基づいてシステムを起動させるか否かを制御する。例えば、CPU11は、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されていると判定した場合、さらに携帯端末50と近距離無線通信を用いて通信可能である場合には、システムを起動させる。
【0089】
これにより、情報処理装置10は、紛失したり盗難にあったりしたことにより携帯端末50からの遠隔操作によりシャットダウンした状態でも、近距離無線通信の届く範囲にユーザが存在する場合にはシステムの起動が可能であるため、他者によって不正に使用されてしまう懸念を抑制しつつ、正規のユーザに対しては使用可能とすることができる。
【0090】
例えば、CPU11は、一定距離以内に存在する携帯端末50と近距離無線通信を用いて通信可能である場合には、システムを起動させる。
【0091】
これにより、情報処理装置10は、紛失したり盗難にあったりしたことにより携帯端末50からの遠隔操作によりシャットダウンした状態でも、一定距離(例えば、1m)以内にユーザが存在する場合にはシステムの起動が可能であるため、他者によって不正に使用されてしまう懸念を抑制しつつ、正規のユーザに対しては使用可能とすることができる。
【0092】
また、CPU11は、システムを起動させた場合、不揮発性メモリ22に記憶されている紛失防止フラグを削除する。
【0093】
これにより、情報処理装置10は、システムを起動させた後は、再び紛失防止タグを受信するまでは、システムロック状態とはならず、通常の起動及びシャットダウン処理を実行することができる。
【0094】
また、情報処理装置10における制御方法は、エンベデッドコントローラ31が、予め登録された(例えば、ペアリングされた)携帯端末50(機器の一例)から近距離無線通信により紛失防止タグ(特定の信号の一例)を受信した場合、スピーカ32からビープ音を出力させるように制御するステップと、紛失防止タグを受信したことを示す紛失防止フラグ(所定の情報の一例)を不揮発性メモリ22に記憶させるように制御するステップと、エンベデッドコントローラ31が、近距離無線通信により紛失防止タグを受信した場合、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させるように制御した後にシステムをシャットダウンさせるようにCPU11へ指示するステップと、を含む。また、情報処理装置10における制御方法は、CPU11が、エンベデッドコントローラ31の指示に応じてシステムをシャットダウンさせるステップと、システムをシャットダウンさせた後、システムを起動させるトリガ(例えば、電源ボタン34に対する操作)が入力された場合、不揮発性メモリ22に紛失防止フラグが記憶されているか否かに基づいてシステムを起動させるか否かを制御するステップとを含む。
【0095】
これにより、情報処理装置10は、紛失または盗難の際に発見できるように携帯端末50からの遠隔操作により音を出力することができるとともに、システムレベルで起動しないようにすることができるため、紛失または盗難の際の不正使用を防止することができる。情報処理装置10は、システムレベルで起動しないようにすることができるため、OSレベルでロックする機能のように、再起動後に繰り返しパスワードが試されたり、パスワードが盗まれたりといったことにより、他者によって不正に使用されてしまう懸念がなく、より安全性を高めることができる。
【0096】
以上、この発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の各実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0097】
また、上記実施形態では、情報処理装置10は、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことに応じてビープ音を出力する例を説明したが、ビープ音以外の報知音を出力してもよく報知音の種類は任意の音とすることができる。
【0098】
また、情報処理装置10は、携帯端末50から紛失防止タグを受信した際に、ビープ音(報知音)を出力しなくてもよい。つまり、情報処理装置10は、携帯端末50から紛失防止タグを受信した場合、ビープ音(報知音)を出力せずに、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させてシステムをシャットダウンさせてもよい。例えば、図4に示すシステムロック制御処理において、ステップS111~S117の処理を削除し、BIOS111は、CPU11(BIOS111)は、「Attention(Lock Request)」信号を取得すると、紛失防止フラグを不揮発性メモリ22に記憶させ(ステップS109)、その後、システムをシャットダウンさせるシャットダウン指示をOS112へ送信してもよい。この場合、情報処理装置10は、紛失または盗難の際に、携帯端末50からの遠隔操作により音の出力は無いものの、システムレベルで起動しないようにすることができるため、紛失または盗難の際の不正使用を防止することができる。
【0099】
なお、紛失防止フラグには、紛失防止タグを送信した携帯端末50の識別情報を関連付けて記憶させてもよい。また、紛失防止タグに関連付けている識別情報との合致を、システムロックを解除する条件の一つとして含めてもよい。
【0100】
なお、上述した情報処理装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0101】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0102】
また、上述した実施形態における情報処理装置10及びが備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 情報処理システム、10 情報処理装置、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、21 チップセット、22 不揮発性メモリ、23 記憶媒体、24 オーディオシステム、25 LANアダプタ、26 USBコネクタ、27 近距離無線通信部、31 エンベデッドコントローラ、32 スピーカ、33 操作部、34 電源ボタン、35 電源回路、111 BIOS、112 OS
【要約】
【課題】情報処理装置の紛失または盗難の際の不正使用を防止すること。
【解決手段】情報処理装置は、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、報知音を出力する音出力部と、システムの処理を実行するCPUと、予め登録された機器から近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、音出力部から報知音を出力させるように制御するとともに、特定の信号を受信したことを示す所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御するECとを備える。ECは、近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、所定の情報を不揮発性メモリに記憶させるように制御した後にシステムをシャットダウンさせるようにCPUへ指示する。CPUは、ECの指示に応じてシステムをシャットダウンさせた後、システムを起動させるトリガが入力された場合、不揮発性メモリに所定の情報が記憶されているか否かに基づいてシステムを起動させるか否かを制御する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5