(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】治療薬送達システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20230207BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61M5/20 572
A61M5/32 510K
A61M5/20 530
(21)【出願番号】P 2021533811
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2019065904
(87)【国際公開番号】W WO2020131552
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-14
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】アターベリー,ウィリアム ゴッドウィン
(72)【発明者】
【氏名】ベニソン,コリー ジョー
(72)【発明者】
【氏名】エリス,ジェフリー ルクレア
(72)【発明者】
【氏名】ホリー,デイビッド アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ピアット,ビバリー アン
(72)【発明者】
【氏名】タラリコ,ジョン ポール
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539679(JP,A)
【文献】特表2010-540059(JP,A)
【文献】特表2015-531311(JP,A)
【文献】特表2014-505544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬送達システムであって、
遠位端部分を有するハウジングと、
前記ハウジングによって担持される治療薬送達アセンブリであって、前記治療薬送達アセンブリが、
通路を含むチャンバと、
前記通路内に担持される治療薬と、
前記通路と連通する針と、を含み、
前記治療薬送達アセンブリが、収納構成から展開構成まで前記ハウジングに対して並進可能あり、前記展開構成では、前記針が、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する、治療薬送達アセンブリと、
ユーザによって作動されるように構成されているユーザ入力部であって、前記ユーザ入力部の作動が、前記治療薬送達アセンブリを前記収納構成から前記展開構成に並進させる、ユーザ入力部と、
第1の回転構成から第2の回転構成まで前記ハウジングに対して回転可能な入力抑制部であって、前記第1の回転構成では、前記入力抑制部が、前記ユーザ入力部の作動を防止し、前記第2の回転構成では、前記入力抑制部が、前記ユーザ入力部の作動を許容する、入力抑制部と、
露出構成から格納構成まで前記ハウジングに対して並進可能なスリーブであって、前記露出構成では、前記スリーブが、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在し、前記スリーブが、前記露出構成から前記格納構成まで並進するときに、前記入力抑制部を前記第1の回転構成から前記第2の回転構成まで回転させる、スリーブと、を含
み、
前記治療薬送達アセンブリが、圧力発生アクチュエータをさらに含み、前記ユーザ入力部の作動により、前記圧力発生アクチュエータが前記治療薬を加圧し、前記治療薬を前記通路から前記針に送達し、前記針から前記治療薬を排出し、
前記圧力発生アクチュエータが、混合チャンバおよび前記混合チャンバによって担持されるシャトルを含み、前記圧力発生アクチュエータは、前記シャトルが前記混合チャンバに対して回転すると、前記治療薬を加圧する、
治療薬送達システム。
【請求項2】
前記入力抑制部を前記スリーブに結合するカムおよびスロット機構をさらに含み、前記カムおよびスロット機構は、前記スリーブが前記露出構成から前記格納構成まで並進するときに、前記入力抑制部を前記第1の回転構成から前記第2の回転構成まで回転させる、請求項
1に記載の治療薬送達システム。
【請求項3】
前記カムおよびスロット機構が、スロットおよび前記スロットにスライド可能に受容されるカムを含み、前記スリーブが前記スロットを含み、前記入力抑制部が前記カムに結合する、請求項
2に記載の治療薬送達システム。
【請求項4】
前記ハウジングが長手方向軸を画定し、前記針が、前記長手方向軸に実質的に平行な送達方向で、前記収納構成から前記展開構成まで並進する、請求項1~
3のいずれか
1項に記載の治療薬送達システム。
【請求項5】
前記入力抑制部が、前記長手方向軸に実質的に平行な回転軸の周りで前記第1の回転構成から前記第2の回転構成まで回転する、請求項
4に記載の治療薬送達システム。
【請求項6】
前記ユーザ入力部は、前記長手方向軸に実質的に平行な作動方向に作動されるように構成されている、請求項
4又は5に記載の治療薬送達システム。
【請求項7】
前記スリーブを前記露出構成に向けて付勢するばねをさらに含む、請求項1~
6のいずれか
1項に記載の治療薬送達システム。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記遠位端部分とは反対側の近位端部分をさらに含み、前記ユーザ入力部が、前記ハウジングの前記近位端部分から近位に延在する、請求項1~
7のいずれか
1項に記載の治療薬送達システム。
【請求項9】
治療薬送達システムであって、
遠位端部分を有するハウジングと、
前記ハウジングによって担持される治療薬送達アセンブリであって、前記治療薬送達アセンブリが、
通路を含むチャンバと、
前記通路内に担持される治療薬と、
前記通路と連通する針と、
前記通路と連通する圧力発生アクチュエータであって、前記圧力発生アクチュエータの作動が、前記通路から前記針への前記治療薬の送達および前記針からの前記治療薬の排出を引き起こす、圧力発生アクチュエータと、を含み、
前記治療薬送達アセンブリが、収納構成から展開構成まで前記ハウジングに対して並進可能あり、前記展開構成では、前記針が、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する、治療薬送達アセンブリと、
ユーザによって作動されるように構成されたユーザ入力部であって、前記ユーザ入力部の作動が、前記圧力発生アクチュエータを作動させる、ユーザ入力部と、
第1の回転構成から第2の回転構成まで前記ハウジングに対して回転可能な入力抑制部であって、前記第1の回転構成では、前記入力抑制部が、前記ユーザ入力部の作動を防止し、前記第2の回転構成では、前記入力抑制部が、前記ユーザ入力部の作動を許容する、入力抑制部と、
露出構成から格納構成まで前記ハウジングに対して並進可能なスリーブであって、前記露出構成では、前記スリーブが、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在し、前記スリーブが、前記露出構成から前記格納構成まで並進するときに、前記入力抑制部を前記第1の回転構成から前記第2の回転構成まで回転させる、スリーブと、を含
み、
前記圧力発生アクチュエータが、混合チャンバおよび前記混合チャンバによって担持されるシャトルを含み、前記圧力発生アクチュエータは、前記シャトルが前記混合チャンバに対して回転すると、作動される、
治療薬送達システム。
【請求項10】
前記入力抑制部を前記スリーブに結合するカムおよびスロット機構をさらに含み、前記カムおよびスロット機構は、前記スリーブが前記露出構成から前記格納構成まで並進するときに、前記入力抑制部を前記第1の回転構成から前記第2の回転構成まで回転させる、請求項
9に記載の治療薬送達システム。
【請求項11】
前記ハウジングが長手方向軸を画定し、前記治療薬送達アセンブリが、前記長手方向軸に実質的に平行な送達方向で、前記収納構成から前記展開構成まで並進する、請求項
9又は10に記載の治療薬送達システム。
【請求項12】
治療薬送達システムであって、
遠位端部分を有するハウジングと、
前記ハウジングによって担持される治療薬送達アセンブリであって、前記治療薬送達アセンブリが、
通路を含むチャンバと、
前記通路内に担持される治療薬と、
前記通路と連通する針と、
前記通路と連通する圧力発生アクチュエータであって、前記圧力発生アクチュエータの作動が、前記通路から前記針への前記治療薬の送達および前記針からの前記治療薬の排出を引き起こす、圧力発生アクチュエータと、を含み、
前記治療薬送達アセンブリが、収納構成から展開構成まで前記ハウジングに対して並進可能あり、前記展開構成では、前記針が、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する、治療薬送達アセンブリと、
ユーザによって作動されるように構成されているユーザ入力部であって、前記ユーザ入力部の作動が、前記治療薬送達アセンブリを前記収納構成から前記展開構成に並進させ、前記圧力発生アクチュエータを作動させる、ユーザ入力部と、
第1の構成から第2の構成まで前記ハウジングに対して移動可能な入力抑制部であって、前記第1の構成では、前記入力抑制部が、前記ユーザ入力部の作動を防止し、前記第2の構成では、前記入力抑制部が、前記ユーザ入力部の作動を許容する、入力抑制部と、
露出構成から格納構成まで前記ハウジングに対して並進可能なスリーブであって、前記露出構成では、前記スリーブが、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在し、前記スリーブが、前記露出構成から前記格納構成まで並進するときに、前記入力抑制部を前記第1の構成から前記第2の構成まで移動させる、スリーブと、を含
み、
前記圧力発生アクチュエータが、混合チャンバおよび前記混合チャンバによって担持されるシャトルを含み、前記圧力発生アクチュエータは、前記シャトルが前記混合チャンバに対して回転すると、作動される、
治療薬送達システム。
【請求項13】
前記ハウジングが長手方向軸を画定し、前記治療薬送達アセンブリが、前記長手方向軸に実質的に平行な送達方向で、前記収納構成から前記展開構成まで並進する、請求項
12に記載の治療薬送達システム。
【請求項14】
治療薬送達システムであって、
近位端部分および遠位端部分を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記近位端部分に結合され、ユーザによって作動されるように構成されているユーザ入力部と、
前記ハウジングの前記遠位端部分に結合されたスリーブと、
前記ハウジングによって担持される治療薬送達アセンブリであって、前記治療薬送達アセンブリが、
通路を含むチャンバと、
前記通路内に担持される治療薬と、
前記通路と連通する針と、
前記通路と連通する圧力発生アクチュエータと、を含む、治療薬送達アセンブリと、
を含み、
前記治療薬送達システムは、
前記スリーブが、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在するロック構成と、
前記スリーブが、前記ハウジングの前記遠位端部分に押し込まれるロック解除構成と、
前記針が、前記ハウジングの前記遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する展開構成と、
前記圧力発生アクチュエータからの加圧流体が、前記通路から前記針への治療薬の送達および前記針からの前記治療薬の排出を引き起こす作動構成と、を有する、
治療薬送達システム。
【請求項15】
前記ロック構成では、前記ユーザ入力部の作動を防止し、前記ロック解除構成では、前記ユーザ入力部の作動を許容する回転可能な入力抑制部をさらに含む、請求項
14に記載の治療薬送達システム。
【請求項16】
前記スリーブを前記ロック構成に付勢する伸長ばねと、
前記針を前記展開構成に付勢する展開ばねと、をさらに含む、請求項
14又は15に記載の治療薬送達システム。
【請求項17】
薬物をさらに含む、請求項
14~16のいずれか
1項に記載の治療薬送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月19日に出願された米国仮出願第62/781,662号(代理人整理番号第P21837号)の優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、治療薬の非経口送達のためのプロセスおよびデバイスに関する。より具体的には、本開示は、高粘度治療用流体(例えば、タンパク質治療薬)の非経口送達のためのプロセスおよびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質治療薬は、自己免疫障害、心血管疾患、糖尿病、および癌などの広範囲の疾患に治療を提供する新たに生まれた分類の薬物療法である。モノクローナル抗体などのいくつかのタンパク質治療薬の一般的な送達方法は、静脈内注入によるものであり、そこでは大量の希釈溶液が経時的に送達される。静脈内注入は、通常、医師または看護師の監督を必要とし、臨床現場で行われる。これは患者にとっては不便であり得、家庭でタンパク質治療薬の送達を可能にするための努力がなされている。望ましくは、タンパク質治療製剤は、静脈内投与を必要とする代わりに皮下送達用の注射器を使用して投与され得る。皮下注射は、一般に、例えば、糖尿病患者によるインスリンの投与において、専門家でない人によって投与される。
【0004】
静脈内送達から注射器および注射ペンのような注射デバイスへの治療用タンパク質製剤の移行は、患者にとって容易で、信頼性があり、かつ最小限の痛みしか引き起こさない方式で高濃度の高分子量分子を送達することと関連付けられた課題に取り組むことを必要とする。これに関して、静脈内バッグは典型的には1リットルの容量を有するが、注射器の標準容量は、0.3ミリリットル~最大25ミリリットルの範囲である。このように、薬物に応じて、同量の治療用タンパク質を送達するために、濃度を40倍以上増加させなければならない場合がある。また、注射療法は、患者の快適さおよび服薬遵守を目的として、より小さい針直径およびより速い送達時間に移行している。
【0005】
タンパク質治療薬の送達もまた、かかる治療製剤と関連付けられた高い粘度、およびかかる製剤を、非経口デバイスを通して押し出すのに必要とされる高い力のために困難である。40~60センチポアズ(cP)を超える絶対粘度を有する製剤は、複数の理由で従来のばね駆動式自動注入器によって送達することが困難であり得る。構造的には、送達される圧力の量に対するばねの設置面積が、比較的大きく、特定の形状に固定されており、これは、送達デバイスの設計の柔軟性を低下させる。次に、自動注入器は、通常プラスチック部品から作られる。しかしながら、高粘度の流体を確実に送達するためには、大量のエネルギーをばね内に蓄える必要がある。適切に設計されていない場合、この蓄えられたエネルギーは、プラスチック部品が応力下で永久的に変形する傾向であるクリープによりプラスチック部品を損傷させることがある。自動注入器は、典型的には、ばねを使用して、針収容内部構成要素を注射器のハウジングの外縁に向かって押すことによって動作する。ばね式自動注入器の動作と関連付けられた音は、患者の不安を引き起こし、将来の服薬遵守を低下させる可能性がある。このようなばね駆動式自動注入器の発生圧力対時間プロファイルは、容易に修正することができず、これはユーザが彼らの送達ニーズを満たすために圧力を微調整することを妨げる。
【0006】
治療用流体、特に高粘度流体を妥当な時間内に限られた注入スペースで自己投与することができるプロセスおよびデバイスを提供することが望ましいであろう。これらのプロセスおよびデバイスは、高濃度タンパク質、高粘度医薬製剤、または他の治療用流体を送達するために使用され得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、治療薬送達システムは、遠位端部分を有するハウジングを含む。治療薬送達アセンブリは、ハウジングによって担持される。治療薬送達アセンブリは、通路を有するチャンバを含む。治療薬は通路内に担持され、針は通路と連通する。治療薬送達アセンブリは、収納構成から展開構成までハウジングに対して並進可能である。展開構成では、針は、ハウジングの遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する。ユーザ入力部は、ユーザによって作動されるように構成されている。ユーザ入力部の作動は、治療薬送達アセンブリを収納構成から展開構成まで並進させる。入力抑制部は、第1の回転構成から第2の回転構成まで、ハウジングに対して回転可能である。第1の回転構成では、入力抑制部は、ユーザ入力部の作動を防止し、第2の回転構成では、入力抑制部は、ユーザ入力部の作動を許容する。スリーブは、露出構成から格納構成まで、ハウジングに対して並進可能である。露出構成では、スリーブは、ハウジングの遠位端から遠位に部分的に延在する。スリーブは、露出構成から格納構成に並進するときに、入力抑制部を第1の回転構成から第2の回転構成に回転させる。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、治療薬送達システムは、遠位端部分を有するハウジングを含む。治療薬送達アセンブリは、ハウジングによって担持される。治療薬送達アセンブリは、通路を含むチャンバを含む。治療薬は通路内に担持される。針は通路と連通する。圧力発生アクチュエータは通路と連通し、圧力発生アクチュエータの作動は、通路から針への治療薬の送達および針からの治療薬の排出を引き起こす。治療薬送達アセンブリは、収納構成から展開構成までハウジングに対して並進可能である。展開構成では、針は、ハウジングの遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する。ユーザ入力部は、ユーザによって作動されるように構成されている。ユーザ入力部の作動により、圧力発生アクチュエータが作動する。入力抑制部は、第1の回転構成から第2の回転構成まで、ハウジングに対して回転可能である。第1の回転構成では、入力抑制部は、ユーザ入力部の作動を防止し、第2の回転構成では、入力抑制部は、ユーザ入力部の作動を許容する。スリーブは、露出構成から格納構成まで、ハウジングに対して並進可能である。露出構成では、スリーブは、ハウジングの遠位端部分から遠位に部分的に延在し、スリーブは、露出構成から収納構成に並進するときに、入力抑制部を第1の回転構成から第2の回転構成に回転させる。
【0009】
本開示のさらに別の実施形態によれば、治療薬送達システムは、遠位端部分を有するハウジングを含む。治療薬送達アセンブリは、ハウジングによって担持される。治療薬送達アセンブリは、通路を有するチャンバを含む。治療薬は通路内に担持される。針は通路と連通する。圧力発生アクチュエータは通路と連通する。圧力発生アクチュエータの作動は、通路から針への治療薬の送達および針からの治療薬の排出を引き起こす。治療薬送達アセンブリは、収納構成から展開構成までハウジングに対して並進可能である。展開構成では、針は、ハウジングの遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する。ユーザ入力部は、ユーザによって作動されるように構成されている。ユーザ入力部の作動は、治療薬送達アセンブリを収納構成から展開構成に並進させ、圧力発生アクチュエータを作動させる。入力抑制部は、第1の構成から第2の構成まで、ハウジングに対して移動可能である。第1の構成では、入力抑制部は、ユーザ入力部の作動を防止し、第2の構成では、入力抑制部は、ユーザ入力部の作動を許容する。スリーブは、露出構成から格納構成まで、ハウジングに対して並進可能である。露出構成では、スリーブは、ハウジングの遠位端部分から遠位に部分的に延在し、スリーブは、露出構成から格納構成に並進するときに、入力抑制部を第1の構成から第2の構成に移動させる。
【0010】
本開示のさらに別の実施形態によれば、治療薬送達システムは、近位端部分および遠位端部分を有するハウジングを含む。ユーザ入力部は、ハウジングの近位端部分に結合され、ユーザによって作動されるように構成されている。スリーブは、ハウジングの遠位端部分に結合されている。治療薬送達アセンブリは、ハウジングによって担持される。治療薬送達アセンブリは、通路を含むチャンバと、通路内に担持される治療薬と、通路と連通する針と、通路と連通する圧力発生アクチュエータと、を含む。治療薬送達システムは、スリーブがハウジングの遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在するロック構成と、スリーブがハウジングの遠位端部分に押し込まれるロック解除構成と、針がハウジングの遠位端部分から少なくとも部分的に遠位に延在する展開構成と、圧力発生アクチュエータからの加圧流体が、通路から針への治療薬の送達および針からの治療薬の排出を引き起こす作動構成と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上述および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方式は、本発明の実施形態の以下の説明を添付の図面と併せて参照することによってより明らかになり、またよりよく理解されよう。
【
図1】本開示の一実施形態による治療薬送達システムの上面斜視図である。
【
図3】
図1の線3-3に沿った治療薬送達システムの縦断面図である。
【
図4】
図1の治療薬送達システムのハウジングの遠位ハウジング部分の上面斜視図である。
【
図5】
図4の線5-5に沿った遠位ハウジング部分の縦断面図である。
【
図6】
図4の線6-6に沿った遠位ハウジング部分の縦断面図である。
【
図7】
図1の治療薬送達システムのハウジングの近位ハウジング部分の上面斜視図である。
【
図8】
図7の線8-8に沿った近位ハウジング部分の縦断面図である。
【
図9】
図7の線9-9に沿った近位ハウジング部分の縦断面図である。
【
図10】
図1の治療薬送達システムのスリーブの上面斜視図である。
【
図11】
図10の線11-11に沿ったスリーブの縦断面図である。
【
図12】
図10の線12-12に沿ったスリーブの縦断面図である。
【
図13】
図1の治療薬送達システムのユーザ入力部サポートの上面斜視図である。
【
図14】
図1の治療薬送達システムのユーザ入力部の上面斜視図である。
【
図15】
図1の治療薬送達システムの入力抑制部の上面斜視図である。
【
図16】
図1の治療薬送達システムの治療薬送達アセンブリの圧力発生アクチュエータの底面斜視図である。
【
図17】
図16の圧力発生アクチュエータの上面斜視図である。
【
図18】
図16の圧力発生アクチュエータの分解斜視図である。
【
図19】
図16の線19-19に沿った圧力発生アクチュエータの縦断面図である。
【
図20】
図1の治療薬送達システムの治療薬送達アセンブリの注射器アセンブリの側面図である。
【
図21】
図20の線21-21に沿った注射器アセンブリの縦断面図である。
【
図22】
図1の治療薬送達システムの電子機器アセンブリの上面斜視図である。
【
図24】
図1の治療薬送達システムの遠位端部分から取り外されているエンドキャップおよび針カバーの上面斜視図である。
【
図25】第1の構成における
図1の治療薬送達システムの側面斜視図であり、ハウジングは、内部構成要素を例示するために隠線で示されている。
【
図26】第1の構成における
図25の線26-26内の治療薬送達システムの詳細な上面斜視図である。
【
図27】第1の構成における
図1の治療薬送達システムの部分縦断面図であり、ハウジングは、内部構成要素を例示するために隠線で示されている。
【
図28】第1の構成における
図27の線28-28内の治療薬送達システムの詳細な側面斜視図である。
【
図29】第2の構成における
図1の治療薬送達システムの側面斜視図であり、ハウジングは、内部構成要素を例示するために隠線で示されている。
【
図30】第2の構成における
図29の線30-30で内治療薬送達システムの詳細な上面斜視図である。
【
図31】第2の構成における
図1の治療薬送達システムの部分縦断面図であり、ハウジングは、内部構成要素を例示するために隠線で示されている。
【
図32】第2の構成における
図31の線32-32内の治療薬送達システムの詳細な側面斜視図である。
【
図33】ユーザ入力部を作動させたときの
図1の治療薬送達システムの詳細な上面斜視図であり、ハウジングは、内部構成要素を例示するために隠線で示されている。
【
図34】ユーザ入力部を作動させたときの
図33の線34-34に沿った治療薬送達システムの断面図である。
【
図35】展開ばねが伸長し、治療薬送達アセンブリをハウジングに対して遠位に移動させたときの、
図1の治療薬送達システムの詳細な上面斜視図であり、ハウジングは、内部構成要素を例示するために隠線で示されている。
【
図36】治療薬送達アセンブリが展開構成に移動したときの、
図1の治療薬送達システムの部分縦断面図である。
【
図37】圧力発生アクチュエータの第1および第2の混合チャンバに対して回転し、それにより、アクチュエータを作動させる、圧力発生アクチュエータのシャトルの縦断面図である。
【
図38】作動構成におけるシャトルおよび圧力発生アクチュエータの混合ピストンの縦断面図である。
【
図39】注射器ピストンが注射器通路内を移動して針から治療薬を排出するときの、
図1の治療薬送達システムの部分縦断面図であり、注射器チャンバは、注射器ピストンを例示するために隠線で示されている。
【
図40】注射器通路および針が引き抜き構成に移動するときの、
図1の治療薬送達システムの縦断面図であり、注射器チャンバは、注射器ピストンを例示するために隠線で示されている。
【
図41】ハウジングのタブとスリーブが互いに係合するときの、
図1の治療薬送達システムの縦断面図であり、注射器チャンバは隠線で示されている。
【
図42】本開示の別の実施形態による治療薬送達システムの縦断面図である。
【
図43】
図42の線43-43内の治療薬送達システムの詳細な縦断面図である。
【
図44】圧力発生アクチュエータの混合ピストンが作動構成に移動するときの、
図42の線43-43内の治療薬送達システムの詳細な縦断面図である。
【
図45】中間ピストンおよび注射器アセンブリの並進のときの、
図42の治療薬送達システムの縦断面図である。
【
図46】
図45の線46-46内の治療薬送達システムの詳細な縦断面図である。
【
図47】注射器ピストンの並進および治療薬の送達のときの、
図42の治療薬送達システムの部分縦断面図である。
【0012】
いくつかの図を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される例証は、本発明の例示的な実施形態を示し、そのような例証は、いかなる方式においても本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、高粘度治療用流体などの治療薬の非経口送達のためのシステム、デバイス、およびプロセスに関する。
【0014】
1.薬物/治療薬
本開示によるシステムおよびデバイスは、薬物を担持し、対象への薬物の送達を容易にし得る。「薬物」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、デュラグルチドまたはリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療用抗体、および本開示によるデバイスによって送達が可能な任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。薬物には、1つ以上の賦形剤が配合され得る。本開示によるデバイスは、患者、介護者、または医療従事者によって概して本明細書に記載されているような方式で操作されて、薬物を対象に送達する。
【0015】
ある実施形態において、治療薬は、モノクローナル抗体などのタンパク質、または治療上有用な何らかの他のタンパク質である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、流体中で約75mg/mL~約500mg/mLの濃度を有し得る。ある実施形態において、タンパク質は、約150mg/mL、200mg/mL、250mg/mL、またはそれ以上の濃度を有し得る。薬物は、水、ペルフルオロアルカン溶媒、ベニバナ油、または安息香酸ベンジルなどの、溶媒または非溶媒をさらに含有し得る。
【0016】
薬物は、流体、より具体的には高粘度流体であってもよく、約5cP~約1000cPの絶対粘度を有し得る。ある実施形態において、高粘度流体は、少なくとも約10cP、20cP、30cP、40cP、50cP、60cP、またはそれ以上の絶対粘度を有する。
【0017】
2.治療薬送達システム
図1~
図3は、本開示の一実施形態による治療薬送達システム10を例示する。例示的に、治療薬送達システム10は、概して、自動注射器ペンのプロファイルを含むが、他のプロファイルを代替的に使用してもよい。概して、治療薬送達システム10は、長手方向軸14に沿って延びるハウジング12を含む。ハウジング12は、治療薬送達アセンブリ16を担持する。治療薬送達アセンブリ16は、治療薬および針18を含み、治療薬送達アセンブリ16は、ハウジング12に対して、収納構成(
図1~
図3に例示的に示されるように、針18が完全にハウジング12内に配置されている構成)から、展開構成(他の図に示され、例えば、針18がハウジング12から少なくとも部分的に露出され、対象と係合し、治療薬を対象に送達するように構成されている構成)まで並進する。治療薬送達アセンブリ16はまた、ハウジング12に対して、展開構成から引き抜き構成(他の図に示され、例えば、針18が完全に治療薬送達システム10内に配置されている構成)まで並進する。治療薬送達システム10の近位端部分20は、治療薬送達アセンブリ16を作動させる(すなわち、針18を収納構成から展開構成に移動させ、治療薬をユーザに送達する)ように作動されるユーザ入力部22(例示的には、押し下げ可能なボタン)を含む。治療薬送達システム10は、通常、ユーザ入力部22が作動するのを防止する(別の言い方をすれば、ユーザ入力部22は、通常、「ロック」されている)。治療薬送達システム10は、システム10の遠位端部分26で通常露出されているスリーブ24をさらに含む。スリーブ24は、表面(例えば、対象の皮膚)に押し付けられて、ユーザ入力部22を作動させることを許容する(別の言い方をすれば、ユーザ入力部22を「ロック解除」する)。次に、治療薬送達システム10は、ユーザ入力部22を押すことによって作動され得る。治療薬送達システム10を表面から切り離した後、針18は、引き抜き構成まで並進され、展開構成に並進するのを防止する(別の言い方をすれば、システム10は「ロックアウト」される)。治療薬送達システム10のこれらの態様、特徴および構成要素は、以下でさらに詳細に説明される。
【0018】
図4~
図6は、ハウジング12の遠位ハウジング部分28を例示する。遠位ハウジング部分28は、概して、円筒形の本体30を含む。本体30は、治療薬送達システム10の他の構成要素を担持する内側通路32を含む。内側通路32に隣接して、遠位ハウジング部分28の内面34は、以下でさらに詳細に説明されるように、選択的に治療薬送達アセンブリ16と係合する抑制特徴を担持する。例示的に、抑制特徴は、2つの半径方向内向きに延在するタブ36を含む。
図5に示されるように、タブ36は、遠位端部分26(
図1)に向かって進み、半径方向内側に向かってテーパ状になっている。他の実施形態では、遠位ハウジング部分28の異なる構成が可能である。例えば、抑制特徴は、テーパ状ではないタブであってもよい。
【0019】
図7~
図9は、ハウジング12の近位ハウジング部分38を例示する。近位ハウジング部分38は、概して、円筒形の本体40を含む。本体40は、治療薬送達システム10の他の構成要素を担持する内側通路42を含む。内側通路42に隣接して、近位ハウジング部分38の内面44は、以下でさらに詳細に説明されるように、選択的に治療薬送達アセンブリ16と係合し、この作動を容易にする作動特徴(例示的には、2つのらせん状に延在するランプ46)を担持する。近位ハウジング部分38の内面44は、内側通路42内のスリーブ24の並進を容易にする並進特徴(例示的には、4つの軸方向に延在する隆起48)を担持する。内面44はまた、以下にさらに詳細に説明するように、ばね(他の図に示す)と係合するバイアス特徴(例示的に、半径方向内向きに延在するフランジ50)を担持する。近位ハウジング部分38は、遠位ハウジング部分28に結合するための結合特徴(例示的には、複数のスナップコネクタ52)を含む。他の実施形態では、近位ハウジング部分38の異なる構成が可能である。例えば、近位ハウジング部分38は、遠位ハウジング部分28とモノリシックに形成されてもよい。
【0020】
図10~
図12は、治療薬送達システム10のスリーブ24を例示する。例示的に、スリーブ24は、以下でさらに詳細に説明されるように、治療薬送達システム10の電子機器アセンブリ(他の図に示す)の構成要素を動作可能に結合することを容易にする導電性材料(例えば、金属)で形成される。スリーブ24は、概して円筒形の遠位スリーブ部分54を含む。遠位スリーブ部分54は、治療薬送達アセンブリ16の構成要素を担持する内側通路56を含む。遠位スリーブ部分54は、遠位ハウジング部分28の抑制特徴(例示的に、半径方向内向きに延在し、内向きに偏向可能な2つのタブ36)と選択的に係合するための抑制特徴(例示的に、半径方向外向きに延在する2つのタブ58)を含み、以下でさらに詳細に説明するように、遠位ハウジング部分28に対してスリーブ24の並進を選択的に防止する。
図11に示されるように、タブ58は、遠位端部分26(
図1)から離れるように進み、半径方向外側に向かってテーパ状になっている。遠位スリーブ部分54は、近位および軸方向に延在する2つのアーム60に結合する。軸方向に延在するアーム60は、近位ハウジング部分38の並進特徴(例示的には、4つの軸方向に延在する隆起48)と係合する並進特徴(例示的には、4つの軸方向に延在する隆起62)を担持して、ハウジング12内のスリーブ24の並進を容易にし、この回転を防止する。軸方向に延在するアーム60はまた、治療薬送達アセンブリ16とともに、ハウジング12に対してスリーブ24が並進すると、ハウジング12に対する治療薬送達アセンブリ16の回転を容易にするカムおよびスロット機構を画定する。例示的に、軸方向に延在するアーム60は各々、カムおよびスロット機構のスロット64を含み、スロット64は、治療薬送達アセンブリ16(他の図に示す)のカムを並進可能に受容する。スロット64は、例示的に、らせん状に延在する近位スロット部分66および軸方向に延在する遠位スロット部分68を含む。他の実施形態では、スリーブ24の異なる構成が可能である。例えば、軸方向に延在するアーム60のスロット64は、異なる形状を有してもよいし、軸方向に延在するアーム60は、スロットの代わりにカムを含んでもよい。
【0021】
図13は、治療薬送達システム10のユーザ入力部サポート70を例示する。ユーザ入力部サポート70は、遠位ハウジング部分28の反対側の近位ハウジング部分38に結合する。ユーザ入力部サポート70は本体72を含み、本体72は近位ハウジング部分38に結合するための結合特徴(例示的には、複数のスナップコネクタ74)を担持する。本体72は、ユーザ入力部22を受け入れる内側通路76を含む。内側通路76に隣接して、ユーザ入力部サポート70の内面78は、ユーザ入力部サポート70に対するユーザ入力部22の並進を容易にする並進特徴(例示的には、複数の軸方向に延在する隆起80)を担持する。他の実施形態では、ユーザ入力部サポート70の異なる構成が可能である。
【0022】
図14は、治療薬送達システム10のユーザ入力部22を例示する。ユーザ入力部22は、ユーザ入力部サポート70の並進特徴(例示的には、複数の軸方向に延在する隆起80)と係合するための並進特徴(例示的には、複数の軸方向に延在するチャネル82)を含み、ユーザ入力部サポート70およびハウジング12に対するユーザ入力部22の並進を容易にする。並進特徴に隣接して、ユーザ入力部22は、ユーザ入力部サポート70およびハウジング12に対してユーザ入力部22を並進させるためにユーザによって押される露出部分84を含む。ユーザ入力部22はまた、治療薬送達アセンブリ16の作動を容易にする作動特徴を含む。例示的に、作動特徴は、露出部分84の反対側に配置された2つのアーム86を含む。アーム86の各々は、抑制面(例示的には、円周方向に延在する面88)および作動面(例示的には、らせん状に延在する面90)を含む。アーム86と治療薬送達システム10の他の構成要素との相互作用は、以下でさらに詳細に説明される。他の実施形態では、ユーザ入力部22の異なる構成が可能である。
【0023】
図15は、治療薬送達システム10の入力抑制部92を例示する。入力抑制部92は、ユーザ入力部22の作動特徴と相互作用するように構成されている作動特徴を含む。例示的に、入力抑制部92の作動特徴は、2つの部分フランジ94と、部分フランジ94間に配置された2つの開口部96とを含む。部分フランジ94の各々は、特定の状況において、以下でさらに詳細に説明されるように、ユーザ入力部22の抑制面88の1つと係合して、ハウジング12に対するユーザ入力部の並進を防止する抑制面(例示的には、円周方向に延在する面98)を含む。部分フランジ94の各々はまた、特定の状況において、ハウジング12に対してユーザ入力部22を並進させると、ユーザ入力部22の作動面90の1つと係合して、ハウジング12に対する入力抑制部92の回転を容易にする作動面(例示的には、開口部96の1つに隣接する丸い角100)を含む。作動特徴とは反対に、入力抑制部92は、入力抑制部92を治療薬送達アセンブリ16に取り外し可能に結合する取り外し可能な結合特徴(例示的には、複数の棚102または半径方向外向きに延在するL字形の突起102)を含む。他の実施形態では、入力抑制部92の異なる構成が可能である。
【0024】
図16~
図19は、治療薬送達アセンブリ16の圧力発生アクチュエータ104を例示する。概して、圧力発生アクチュエータ104は、入力抑制部92を介してユーザ入力部22によって作動され、1つ以上の加圧流体(例えば、1つ以上のガス)を発生させる内部担持化学試薬の混合を容易にする。適切な試薬と発生ガスの例を以下に提示する。以下でさらに詳細に説明するように、加圧流体(複数可)は、治療薬送達アセンブリ16の他の構成要素に送達され、その移動を容易にする。
【0025】
圧力発生アクチュエータ104は、例示的に互いにモノリシックに形成された第1の混合チャンバ106および第2の混合チャンバ108を含む。出口端部110において、混合チャンバ106、108は、治療薬送達アセンブリ16の別の構成要素に結合するための出口結合特徴(例示的に、雄ねじ面112)を含む。出口端部110はまた、加圧流体が圧力発生アクチュエータ104から排出されるアクチュエータ出口114を含む。混合チャンバ106、108はまた、スリーブ24と共に、カムおよびスロット機構を画定する。例示的に、混合チャンバ106、108は、カムおよびスロット機構の半径方向外向きに延在するフィンガーまたはカム116を担持し、カム116は、スリーブ24のスロット64に並進可能に受容される。他の実施形態では、異なる構成が可能である。例えば、混合チャンバ106、108は、カムの代わりにスロットを含んでもよい。
【0026】
内部的に、混合チャンバ106、108は、軸方向に積み重ねられた配置で、アクチュエータばね118、混合ピストン120、および回転可能なシャトル122を担持する。回転可能なシャトル122は、凹部124を含み、凹部124は、入力抑制部92の取り外し可能な結合特徴(例示的には、複数の棚102)と係合する取り外し可能な特徴(例示的には、複数の棚126または半径方向外向きに延在するL字形の突起126)を担持する。第1の混合チャンバ106およびシャトル122は、互いに移動可能に結合するためのらせん結合を形成する。例示的に、シャトル122は、らせん状に延在する隆起128を含み、第1の混合チャンバ106は、隆起128を受容するらせん状に延在する溝130を含む。シャトル122は、以下でさらに詳細に説明されるように、近位ハウジング部分38の作動特徴(例示的には、2つのらせん状に延在するランプ46)と係合し、これによって駆動される作動特徴(例示的には、半径方向外向きに延在する2つのフィンガー132)を含む。内部的に、シャトル122は、混合ピストン120と係合する第1の抑制特徴(例示的には、半径方向内向きに延在する8つのタブ134)を含む。例示的に、シャトル122はまた、隣接するタブ134の間に配置されたチャネル136を含む。混合ピストン120は、シャトル122の第1の抑制特徴と係合する第2の抑制特徴(例示的には、半径方向外向きに延在する8つのタブ138)を含む。最初に、
図19に示されるように、第1の抑制特徴は、第2の抑制特徴と係合して(例示的に、シャトル122の半径方向内向きに延在するタブ134が、混合ピストン120の半径方向外向きに延在するタブ138と角度的に整列し、これらと係合して)、第1の混合チャンバ106と第2の混合チャンバ108との間の位置に混合ピストン120を保持する。それにより、混合ピストン120は、第1の混合チャンバ106および第2の混合チャンバ108における試薬の分離を維持する。最初に、アクチュエータばね118はまた、第2の混合チャンバ108内で混合ピストン120に対して圧縮される。後続の構成では、以下でさらに詳細に説明するように、シャトル122は、第1の混合チャンバ106および第2の混合チャンバ108に対して回転して、第1の抑制特徴を第2の抑制特徴から切り離す(例示的には、シャトル122の半径方向内向きに延在するタブ134が、混合ピストン120の半径方向外向きに延在するタブ138と角度的にずれるか、または角度的にオフセットされ、チャネル136は、混合ピストン120の半径方向外向きに延在するタブ138と角度的に整列する)。その結果、アクチュエータばね118が伸長し、混合ピストン120をシャトル122および第1の混合チャンバ106内に移動させ、これにより、第1の混合チャンバ106および第2の混合チャンバ108内の試薬が混合するのを許容する。試薬の混合は、1つ以上の加圧流体(例えば、1つ以上のガス)を生成し、加圧流体(複数可)は、治療薬送達アセンブリ16の他の構成要素に送達される。試薬は、第1の混合チャンバ106のみで、または混合チャンバ106、108の両方で混合され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、圧力発生アクチュエータ104は、異なる構造を有する。例えば、適切な圧力発生アクチュエータ104には、「Chemical Engines and Methods for Their Use,Especially in the Injection of Highly Viscous Fluids」と題される米国特許第9,795,740号、「Processes and Devices for Delivery of Fluid by Chemical Reaction」と題され、2018年2月9日に出願された国際PCT出願第PCT/US2018/017547号、および「System for Controlling Gas Generation with a Drug Delivery Device」と題され、2018年8月31日に出願された国際PCT出願第PCT/US2018/049048号に記載されたものが挙げられ、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0028】
任意の適切な1つ以上の化学試薬を使用して、本開示の圧力発生アクチュエータ104内に1つ以上の加圧流体を発生させることができる。発生するガスの例には、二酸化炭素ガス、窒素ガス、酸素ガス、塩素ガスなどが含まれる。望ましくは、発生するガスは、不活性かつ不燃性である。治療薬送達アセンブリ16の他の構成要素の移動を容易にするために必要なガスの量は、圧力発生アクチュエータ104において使用される各試薬のタイプ、量、および濃度に影響を及ぼすことがある。試薬は、乾燥形態(例えば、粉末形態、錠剤形態、および/または低密度凍結乾燥固体形態)および/または液体形態(例えば、溶液、コロイド、または安定もしくは非安定の懸濁液)であり得る。
【0029】
例示的な一実施形態では、重炭酸塩(これは乾燥形態で存在し得る)が酸(これは液体形態で存在し得る)と反応して、圧力発生アクチュエータ104内に二酸化炭素ガスを生成する。好適な重炭酸塩の例には、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および重炭酸アンモニウムが含まれる。珪藻土などの他の成分もまた、重炭酸塩と共に存在してもよい。好適な酸の例には、酢酸、クエン酸、酒石酸水素カリウム、ピロリン酸二ナトリウム、およびリン酸二水素カルシウムが含まれる。特定の一例において、重炭酸塩は重炭酸カリウムであり、酸はクエン酸水溶液であり、これらは反応して、二酸化炭素ガスと、水と溶解したクエン酸カリウムとの液体混合物と、を生成し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、他の反応を使用し得る。一例において、炭酸銅または炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩が、熱分解されて、圧力発生アクチュエータ104内に二酸化炭素ガスおよび対応する金属酸化物を生成する。別の例では、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加熱して、圧力発生アクチュエータ104内に窒素ガスを生成する。さらに別の例では、酵素(例えば酵母)を糖と反応させて、圧力発生アクチュエータ104内に炭酸ガスを生成する。一部の物質は容易に昇華し、固体から気体になる。そのような物質には、ナフタレンおよびヨウ素が含まれるがこれらに限定されない。さらに別の例では、過酸化水素は酵素(例えば、カタラーゼ)または二酸化マンガンなどの触媒で分解されて、圧力発生アクチュエータ104内に酸素ガスを生成する。さらに別の例では、塩化銀を、光に曝すことによって分解して、圧力発生アクチュエータ104内にガスを発生させる。適切な試薬、化学製剤、および反応は、上記に組み込まれた米国特許第9,795,740号、国際PCT出願第PCT/US2018/017547号、および国際PCT出願第PCT/US2018/049048号にさらに記載されている。
【0031】
図20~
図21は、治療薬送達アセンブリ16の注射器アセンブリ140を例示する。注射器アセンブリ140は、入口部分142を含み、入口部分142は、圧力発生アクチュエータ104の出口結合特徴(例示的に、雄ねじ面112)に結合する入口結合特徴(例示的に、雌ねじ面144)を含む。入口部分142はまた、圧力発生アクチュエータ104の出口114から加圧流体(複数可)を受容する入口146を含む。入口部分142は、注射器チャンバ148に結合し、注射器チャンバ148は、入口部分142から加圧流体(複数可)を受容する注射器通路150を含む。注射器通路150は、注射器ピストン152を担持し、注射器ピストン152は、注射器通路150が加圧流体(複数可)を受容するときに、注射器アセンブリ140の入口部分142から離れて出口部分154に向かって並進する。例示的かつ以下でさらに詳細に説明するように、注射器ピストン152は、注射器通路150内の注射器ピストン152の位置を決定することを容易にする磁気構成要素156を担持する。注射器通路150はまた、注射器ピストン152と出口部分154、より具体的には針18との間で治療薬(例示的には、2.25mLの治療薬であるが、例えば、2.08mL、1.08mL、または0.58mLを含む他の適切な容量が代替的に担持されてもよい)を担持する。したがって、注射器通路150内の注射器ピストン152の並進により、針18が治療薬をそこから排出する。他の実施形態では、異なる構成が可能である。例えば、入口部分142および注射器チャンバ148は、互いにモノリシックに形成されてもよいし、注射器アセンブリ140は、蛇腹またはブラダー構造などの別のタイプの治療薬容器と交換することができる。
【0032】
図22~
図23は、治療薬送達システム10の電子機器アセンブリ158を例示する。電子機器アセンブリ158は、電源162(例示的には、バッテリー)に動作可能に結合され、かつそこから電力を受け取る電子コントローラ160を含む。コントローラ160は、スリーブ24がハウジング12に対して並進されたかどうかを決定するスリーブセンサ164に動作可能に結合され、それにより、ユーザ入力部22が「ロック解除」される(例示的には、スリーブ24がハウジング12に対して並進するときに、2つの電気接点166がスリーブ24と係合して、それによって回路を閉じる)。コントローラ160は、システム10の状態を示すインジケータデバイス168(例えば、視覚および/または音声インジケータを含む)に動作可能に結合される(例えば、スリーブ24がハウジング12に対して並進して、それにより、ユーザ入力部22がロック解除される)。コントローラ160は、ユーザ入力部22が作動されたかどうかを決定するユーザ入力部センサ169(例示的には、電気スイッチ170)に動作可能に結合されている。インジケータデバイス210は、ユーザ入力部22が作動された場合に、表示(例えば、視覚的および/または聴覚的表示)を提供し得る。コントローラ160は、注射器チャンバ148内の注射器ピストン152の位置を決定するように(例えば、注射器ピストン152が注射器出口部分154に向かって移動したかどうかを決定して、それにより、治療薬が針18から排出されたことを示す)構成されているピストンセンサ172に動作可能に結合される。例示的に、ピストンセンサ172は、注射器ピストン152によって担持される磁気構成要素156を感知するように構成されているホール効果センサ174である。他の実施形態では、ピストンセンサ172は、光学センサであり得る。インジケータデバイス210は、磁気構成要素156および注射器ピストン152が注射器出口部分154に向かって移動した場合に表示(例えば、視覚的および/または聴覚的表示)を提供し得る。
【0033】
例示的に、治療薬送達システム10の作動は以下のとおりである。
図24に示されるように、エンドキャップ176および針カバー178は、治療薬送達システム10の遠位端部分26から取り外される。
図25~
図28は、第1の構成(「ロック」構成とも呼ばれ得る)の治療薬送達システム10を例示する。第1の構成では、スリーブ24は露出構成で配置され(すなわち、スリーブ24は遠位ハウジング部分28から部分的に延在する)、スリーブ24と近位ハウジング部分38との間で圧縮された伸長ばね180(
図27および
図28を参照)は、スリーブ24を付勢して、露出構成のままにする。第1の構成では、
図25に具体的に示されているように、圧力発生アクチュエータ104のカム116は、スリーブ24の近位スロット部分66に配置されている。第1の構成では、
図26に具体的に示されているように、入力抑制部92は、ユーザ入力部22およびハウジング12に対して第1の回転構成で配置されている。第1の回転構成では、入力抑制部92は、入力抑制部92の抑制面98とユーザ入力部22の抑制面88との間の接触により、ユーザ入力部22の作動を防止する。第1の構成では、
図27に具体的に示されるように、治療薬送達アセンブリ16は、収納構成(例示的には、針18が完全にハウジング12内に配置される構成)で配置されている。第1の構成では、
図28に具体的に示されているように、スリーブ24は、電気接点166から離れて配置されている。
【0034】
図29~
図30は、第2の構成(「ロック解除」構成とも呼ばれ得る)の治療薬送達システム10を例示する。治療薬送達システム10は、スリーブ24を表面(例えば、対象の皮膚)に押すか、または押し付けて、ハウジング12に対してスリーブ24を露出構成から格納構成(例示的には、スリーブ24が完全にハウジング12内に配置されている構成)に並進させると、第1の構成から第2の構成に移動する。
図29および
図30に具体的に示されるように、スリーブ24を露出構成から格納構成に移動させることにより、圧力発生アクチュエータ104のカム116とスリーブ24のスロット64の相対的な移動が生じる。より具体的には、カム116は、スロット64のらせん状に延在する近位部分66内を並進する。この並進により、圧力発生アクチュエータ104、圧力発生アクチュエータ104と入力抑制部92との間で圧縮された展開ばね182、および入力抑制部92が、ハウジング12に対して第1の回転構成から第2の回転構成に回転する。第2の構成では、
図31および
図32に具体的に示されているように、スリーブ24は、電気接点166と係合し、それにより、回路を閉じる。回路が閉じると、インジケータデバイス168は、表示(例えば、視覚的および/または聴覚的表示)を提供し得る。第2の構成では、治療薬送達システム10は、治療薬送達システム10を表面から離して移動させることによって(より具体的には、伸長ばね180を伸長させてスリーブ24を露出構成に移動させることによって)第1の構成に戻り得る。
【0035】
図33~
図34を参照すると、第2の構成では、入力抑制部92の抑制面98は、ユーザ入力部22の抑制面88と角度的にずれており、入力抑制部92の開口部96は、ユーザ入力部22の抑制面88と角度的に整列する。したがって、ユーザ入力部22は、(例示的には、ハウジング12に対して、長手方向軸14に実質的に平行な方向(すなわち、±5度平行)にユーザ入力部22を並進させることによって)作動され得、これにより、ユーザ入力部22の作動面90が入力抑制部92の作動面100と係合する。ユーザ入力部22は、それにより、入力抑制部92を第2の回転構成から第3の回転構成に回転させ、これにより、
図34に具体的に示されるように、入力抑制部92の棚102が、シャトル122の棚126上をスライドして、そこから切り離される。ユーザ入力部22はまた、スイッチ170を作動させることができ、インジケータデバイス168は、表示(例えば、視覚的および/または聴覚的表示)を提供し得る。
【0036】
図35に示されるように、展開ばね182は、入力抑制部92およびシャトル122から切り離されると、相対的に拘束されていない。したがって、展開ばね182は、伸長し、治療薬送達アセンブリ16をハウジング12に対して遠位方向に押す。
図36に示されるように、治療薬送達アセンブリ16は、それにより、収納構成から展開構成(例示的には、針18がハウジング12の遠位端部分26で部分的に露出され、対象と係合して治療薬を対象に送達するように構成されている構成)に移動する。例示的に、針18は、長手方向軸14に実質的に平行な方向(すなわち、±5度平行)で、収納構成から展開構成に並進する。再び
図35を参照すると、ハウジング12に対して遠位方向に治療薬送達アセンブリ16を並進させることにより、シャトル122の半径方向外向きに延在するフィンガー132も、近位ハウジング部分38のらせん状に延在するランプ46に係合して、その上をスライドする。この係合により、シャトル122は、圧力発生アクチュエータ104の混合チャンバ106、108に対して(例示的には、長手方向軸14に実質的に平行な軸(すなわち、±5度平行)周りに)回転し、これは、圧力発生アクチュエータ104を作動させる。より具体的には、
図37に示されるように、第1および第2の混合チャンバ106、108に対してシャトル122を回転させることにより、シャトル122の半径方向内向きに延在するタブ134と混合ピストン120の半径方向外向きに延在するタブ138とが角度的にずれ、シャトル122のチャネル136と混合ピストン120の半径方向外向きに延在するタブ138が角度的に整列する。結果として、アクチュエータばね118は相対的に拘束されておらず、
図38に示されるように、アクチュエータばね118は伸長し、混合ピストン120をシャトル122および第1の混合チャンバ106内に並進させる。次いで、第1の混合チャンバ106および第2の混合チャンバ108内の試薬は、混合および反応して加圧ガスを提供し、これを、圧力発生アクチュエータ104がアクチュエータ出口114から送達する。
【0037】
ここで
図39を参照すると、圧力発生アクチュエータ104は、加圧ガスを注射器通路150に送達し、これは、注射器ピストン152を注射器通路150内で遠位に並進させる。したがって、注射器ピストン152は、治療薬を針18に向けて遠位に押し、針18は、治療液を排出し、治療液を対象に送達する。ピストンセンサ172は、磁気構成要素156、および注射器ピストン152が注射器アセンブリ140の出口部分154の近くに配置されていることを感知し得、インジケータデバイス168は、表示(例えば、視覚的および/または聴覚的表示)を提供し得る。
【0038】
治療薬送達システム10が治療薬を対象に向けて排出した後、
図40~
図41に示されるように、ユーザは、治療薬送達システム10を表面に押し付けるのをやめてもよい。結果として、伸長ばね180は相対的に拘束されておらず、伸長して、ハウジング12および治療薬送達アセンブリ16をスリーブ24に対して近位に並進させる。それにより、針18は、引き抜き構成(例示的には、針18が完全にスリーブ24内に配置されている構成)に配置される。
図41に具体的に示されるように、遠位ハウジング部分28の半径方向内向きに延在するタブ36およびスリーブ24の半径方向外向きに延在するタブ58は、互いに係合してスライドし、ハウジング12および治療薬送達アセンブリ16がスリーブ24に対して遠位に並進することを防止する(すなわち、治療薬送達システム10は「ロックアウト」され得る)。次いで、治療薬送達システム10を廃棄することができる。
【0039】
図42~
図47は、本開示の別の実施形態による治療薬送達システム210を例示する。例示的に、治療薬送達システム210は、以下の記載を除いて、治療薬送達システム10と同じ構造を有する。治療薬送達システム210は、スリーブ212を表面(例えば、対象の皮膚)に押し付け、スリーブ212をハウジング214に対して近位に並進させることによって、第1の構成から第2の構成(「ロック解除」構成とも呼ばれ得る)に移動する。次いで、ユーザ入力部218は、デバイスを作動させるために遠位に並進され得る。より具体的には、
図43に示されるように、ユーザ入力部218の半径方向外向きに延在するタブ216は、圧力発生アクチュエータ226のアクチュエータシャトル224の凹部222に形成されたらせん状に延在するランプ220に係合して、その上をスライドする。アクチュエータシャトル224は、それにより、圧力発生アクチュエータ226のアクチュエータ混合チャンバ228に対して回転し、圧力発生アクチュエータ226は、上記の圧力発生アクチュエータ104と同じ方式で作動される。
図45~
図46に示されるように、圧力発生アクチュエータ226は、加圧ガスをアクチュエータカップリング232の内側通路230に送達する。加圧ガスは、中間ピストン234および注射器アセンブリ236を遠位に押し、それにより、針238は、収納構成から展開構成まで移動する。
図47に示されるように、針238が展開構成に到達した後、加圧ガスは、注射器ピストン240を注射器チャンバ242内で遠位に押す。注射器チャンバ242は、圧力発生アクチュエータ226の反対側に治療薬を担持し、注射器ピストン240の遠位方向の動きにより、注射器チャンバ242が治療薬を針238に送達させ、それにより、針238は治療薬を排出する。次いで、針238を引き抜き構成に移動させ得、次いで、治療薬送達システム210を、上記の治療薬送達システム10と同じ方式でロックアウトし得る。次いで、治療薬送達システム210を廃棄することができる。
【0040】
本発明は例示的な設計を有するものとして記載されてきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内でさらに修正することができる。したがって、本出願は、本発明の一般的原理を用いた本発明の任意の変形、使用、または適応を網羅することが意図される。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲の制限の範囲内に入る、当該技術分野で既知のまたは慣習的な実施の範囲内に入るものとして、本開示からのそのような逸脱を網羅することを意図する。