(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-06
(45)【発行日】2023-02-14
(54)【発明の名称】スキッドの積み重ねシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 57/00 20060101AFI20230207BHJP
B65G 60/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B65G57/00 A
B65G60/00 G
(21)【出願番号】P 2022146263
(22)【出願日】2022-09-14
【審査請求日】2022-09-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522365535
【氏名又は名称】阪和流通センター東京株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】亀井 政宏
(72)【発明者】
【氏名】宮下 俊之
(72)【発明者】
【氏名】横田 智
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第2676573(JP,B2)
【文献】実開昭59-68733(JP,U)
【文献】実公昭53-010053(JP,Y2)
【文献】特開平05-155439(JP,A)
【文献】特開平04-085214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00
B65G 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて平行に配置された複数の縦桁の上面に複数の横桁を直交するように装着した標準姿勢のスキッドと、この標準姿勢のスキッドを上下反転させて前記縦桁が上で前記横桁が下の反転姿勢のスキッドとが交互に積み重ねられたスキッド積層体を構築するシステムであって、
前記標準姿勢のスキッドを一旦持ち上げ、その下方に前記反転姿勢のスキッドを移動させる際、上方から見て前記標準姿勢のスキッドの縦桁同士の間に前記反転姿勢のスキッドの縦桁が位置するように前記反転姿勢のスキッドの位置を定め、その反転姿勢のスキッドの上に前記標準姿勢のスキッドを降ろしてスキッドペアとするための縦桁位相ずらしスキッド重ね装置と、
前記スキッドペアを構成する前記標準姿勢のスキッドと前記反転姿勢のスキッドとを相対的に夫々の縦桁に沿って移動させ、上方から見て前記標準姿勢のスキッドの横桁に対する前記反転姿勢のスキッドの横桁の位相をずらしてずらしスキッドペアを構築し、該ずらしスキッドペアを一旦持ち上げ、その下方において同様にして前記横桁の位相をずらした新たなずらしスキッドペアを構築し、その新たなずらしスキッドペアに前記ずらしスキッドペアを重ねて前記スキッド積層体とする横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置と、
を備えたことを特徴とするスキッドの積み重ねシステム。
【請求項2】
前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置は、
前記標準姿勢のスキッドおよび前記反転姿勢のスキッドを夫々の縦桁と直交する方向に搬送するスキッドコンベヤと、
該スキッドコンベヤの搬送路に出没自在に設けられ、没入時に前記標準姿勢のスキッドおよび前記反転姿勢のスキッドの通過を許容し、突出時に前記スキッドコンベヤによって搬送されている前記標準姿勢のスキッドの縦桁に当接して前記標準姿勢のスキッドの縦桁の位置を所定の位置に定める第1ストッパピンと、
前記スキッドコンベヤの搬送路に前記第1ストッパピンに対して前記搬送路に沿って位置をずらして出没自在に設けられ、没入時に前記標準姿勢のスキッドおよび前記反転姿勢のスキッドの通過を許容し、突出時に前記スキッドコンベヤによって搬送されている前記反転姿勢のスキッドの縦桁に当接して前記反転姿勢のスキッドの縦桁の位置を上方から見て前記標準姿勢のスキッドの縦桁同士の間に位置決めする第2ストッパピンと、
前記第1ストッパピンによって所定の位置に位置決めされた前記標準姿勢のスキッドを持ち上げ、持ち上げた前記標準姿勢のスキッドを、その下方にて前記第2ストッパピンによって位置決めされた前記反転姿勢のスキッドの上に重ねるように下ろして前記スキッドペアとするための持ち上げ下げ爪と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスキッドの積み重ねシステム。
【請求項3】
前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置は、
前記スキッドコンベヤの搬送路に、前記第1ストッパピンおよび前記第2ストッパピンよりも前記スキッドコンベヤの搬送方向前方に位置して出没自在に設けられた第3ストッパピンを更に備えており、
該第3ストッパピンは、没入時に前記標準姿勢のスキッドおよび前記反転姿勢のスキッドの通過を許容し、突出時に、前記スキッドペアを前記スキッドコンベヤによって搬送するとき、前記スキッドペアを構成する前記標準姿勢のスキッドの縦桁に当接して前記標準姿勢のスキッドの移動を規制し、前記反転姿勢のスキッドのみの移動を許容することで前記反転姿勢のスキッドの縦桁を前記標準姿勢のスキッドの縦桁に押し付けた状態とする機能を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のスキッドの積み重ねシステム。
【請求項4】
前記横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置は、
前記スキッドペアをその縦桁に沿った方向に搬送するスキッドペアコンベヤと、
該スキッドペアコンベヤの搬送路に出没自在に設けられ、没入時に前記スキッドペアの通過を許容し、突出時に前記スキッドペアを構成する前記標準姿勢のスキッドの縦桁の端部と前記反転姿勢のスキッドの縦桁の端部とに前記スキッドペアコンベヤの搬送方向に前後に位置を異ならせて当接する段違い当接部材とを備え、
該段違い当接部材に前記スキッドペアを構成する前記標準姿勢のスキッドの縦桁の端部と前記反転姿勢のスキッドの縦桁の端部とが当接することで、前記標準姿勢のスキッドの横桁と前記反転姿勢のスキッドの横桁との位相がずらされ、前記ずらしスキッドペアとなる、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のスキッドの積み重ねシステム。
【請求項5】
前記横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置は、
前記ずらしスキッドペアを持ち上げるリフターと、
該リフターによって持ち上げられた前記ずらしスキッドペアを支持すべく前記リフターの左右に水平方向に出没自在に設けられた保持爪とを備え、
該保持爪を突出させることで前記保持爪に支持された前記ずらしスキッドペアの下方にて、前記段違い当接部材によって前記横桁の位相をずらした新たなずらしスキッドペアを構築し、
この新たなずらしスキッドペアを前記リフターで持ち上げて、前記保持爪に支持されている前記ずらしスキッドペアに押し当てて、前記ずらしスキッドペアおよび前記新たなずらしスキッドペアの重量を前記リフターによって支持した状態で、前記ずらしスキッドペアを支持している前記保持爪を没入させ、
前記ずらしスキッドペアおよび前記新たなずらしスキッドペアを前記リフターで更に持ち上げて前記新たなずらしスキッドペアの下方に前記保持爪を突出させ、上下に重ねられた前記ずらしスキッドペアおよび前記新たなずらしスキッドペアからなる前記スキッド積層体の重量を前記保持爪で支持する、ことを特徴とする請求項4に記載のスキッドの積み重ねシステム。
【請求項6】
前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置の前工程の位置に、前記標準姿勢のスキッドを上下反転させて前記反転姿勢のスキッドとするためのスキッド反転装置が配置されており、
該スキッド反転装置は、前記標準姿勢のスキッドを反転させることなく前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に送り出す機能と、前記標準姿勢のスキッドを反転させて前記反転姿勢のスキッドとして前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に送り出す機能とを備えており、前記標準姿勢のスキッドと前記反転姿勢のスキッドとを交互に前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に送り出すものである、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のスキッドの積み重ねシステム。
【請求項7】
前記スキッド反転装置の前工程の位置に、前記縦桁と前記横桁とから前記標準姿勢のスキッドを組み立てるスキッド組立装置が配置されており、該スキッド組立装置によって組み立てられた前記標準姿勢のスキッドが前記スキッド反転装置に送り出される、ことを特徴とする請求項6項に記載のスキッドの積み重ねシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等において荷物を搬送する際に荷物が載せられるスキッドを、空荷の状態でコンパクトに複数積み重ねるスキッドの積み重ねシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1(a)に示すように、スキッドは、例えば、間隔を隔てて平行に配置された複数の縦桁1の上面に複数の横桁2を直交するようにネジ釘等によって固定して構成されており、工場等において荷物が載せられフォークリフトによって搬送されるものである。かかるスキッドは、使用していな空荷の状態のとき、複数積み重ねられて保管される。
【0003】
本発明者等は、
図1(a)に示すように、縦桁1が下で横桁2が上の標準姿勢のスキッドS1を上下反転させ、
図1(b)に示すように、縦桁1が上で横桁2が下の反転姿勢のスキッドS2とし、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とを交互に積み重ね、重ねる際、標準姿勢のスキッドS1の縦桁1の間に反転姿勢のスキッドS2の縦桁1を位置させ、且つ、標準姿勢のスキッドS1の横桁2の間に反転姿勢のスキッドS2の横桁2を位置させることを創案した。
【0004】
これにより、上下に隣り合う標準姿勢のスキッドS1の縦桁1の高さと反転姿勢のスキッドS2の縦桁1の高さが相殺され、且つ、上下に隣り合う標準姿勢のスキッドS1の横桁2の高さと反転姿勢のスキッドS2の横桁2の高さが相殺されるので、縦桁1の高さおよび横桁2の高さが相殺されない場合と比べ、積み重ねられたスキッド積層体の高さを1/2に軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4837136号公報
【文献】特開2003-176026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、
図1(a)に示す標準姿勢のスキッドS1と
図1(b)に示す反転姿勢のスキッドS2とを交互に積み上げる作業を、作業員の手作業によって行うことは、スキッドS1、S2の重量を考慮すると作業負荷が大きく現実的には困難である。
【0007】
また、フォークリフトを使用して積み上げたとしても、上下に隣り合うスキッドS1、S2同士の縦桁1および横桁2の高さを相殺するためには、縦桁1の位相と横桁2の位相をずらすように位置を調節しながら、且つ荷崩れしないように一つずつスキッドS1、S2を積み上げる必要があり、慎重で煩雑な作業が避けられず、時間が掛かってしまう。
【0008】
また、作業員による手作業をそのまま機械化し、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とを一つずつ交互に積み上げていく装置を考えた場合、上下に隣り合う各スキッドS1、S2について一つずつ縦桁1の位相と横桁2の位相をずらし、縦桁1同士および横桁2同士が重ならないように積み上げる必要があり、装置の構成および制御が複雑化してしまう。
【0009】
なお、特許文献1、2には、パレットを積み重ねる装置が記載されているが、これらの装置には、スキッドS1、S2を積み重ねる際にスキッドS1、S2の縦桁1同士の高さを相殺すると共に横桁2同士の高さを相殺するという発想はない。すなわち、特許文献1、2には、本発明を創案するための動機付けが記載されていない。
【0010】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、標準姿勢のスキッドと反転姿勢のスキッドとが交互に積み重ねられたスキッド積層体を構築する際、縦桁の位相ずらしと横桁の位相ずらしを分離することで、簡単な構成で的確に位相ずらしを行えるスキッドの積み重ねシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、間隔を隔てて平行に配置された複数の縦桁の上面に複数の横桁を直交するように装着した標準姿勢のスキッドと、この標準姿勢のスキッドを上下反転させて縦桁が上で横桁が下の反転姿勢のスキッドとが交互に積み重ねられたスキッド積層体を構築するシステムであって、標準姿勢のスキッドを一旦持ち上げ、その下方に反転姿勢のスキッドを移動させる際、上方から見て標準姿勢のスキッドの縦桁同士の間に反転姿勢のスキッドの縦桁が位置するように反転姿勢のスキッドの位置を定め、その反転姿勢のスキッドの上に標準姿勢のスキッドを降ろしてスキッドペアとするための縦桁位相ずらしスキッド重ね装置と、スキッドペアを構成する標準姿勢のスキッドと反転姿勢のスキッドとを相対的に夫々の縦桁に沿って移動させ、上方から見て標準姿勢のスキッドの横桁に対する反転姿勢のスキッドの横桁の位相をずらしてずらしスキッドペアを構築し、ずらしスキッドペアを一旦持ち上げ、その下方において同様にして横桁の位相をずらした新たなずらしスキッドペアを構築し、その新たなずらしスキッドペアにずらしスキッドペアを重ねてスキッド積層体とする横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置と、を備えたことを特徴とするスキッドの積み重ねシステムが提供される。
【0012】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムにおいては、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置は、標準姿勢のスキッドおよび反転姿勢のスキッドを夫々の縦桁と直交する方向に搬送するスキッドコンベヤと、スキッドコンベヤの搬送路に出没自在に設けられ、没入時に標準姿勢のスキッドおよび反転姿勢のスキッドの通過を許容し、突出時にスキッドコンベヤによって搬送されている標準姿勢のスキッドの縦桁に当接して標準姿勢のスキッドの縦桁の位置を所定の位置に定める第1ストッパピンと、スキッドコンベヤの搬送路に第1ストッパピンに対して搬送路に沿って位置をずらして出没自在に設けられ、没入時に標準姿勢のスキッドおよび反転姿勢のスキッドの通過を許容し、突出時にスキッドコンベヤによって搬送されている反転姿勢のスキッドの縦桁に当接して反転姿勢のスキッドの縦桁の位置を上方から見て標準姿勢のスキッドの縦桁同士の間に位置決めする第2ストッパピンと、第1ストッパピンによって所定の位置に位置決めされた標準姿勢のスキッドを持ち上げ、持ち上げた標準姿勢のスキッドを、その下方にて第2ストッパピンによって位置決めされた反転姿勢のスキッドの上に重ねるように下ろしてスキッドペアとするための持ち上げ下げ爪と、を備えていてもよい。
【0013】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムにおいては、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置は、スキッドコンベヤの搬送路に、第1ストッパピンおよび第2ストッパピンよりもスキッドコンベヤの搬送方向前方に位置して出没自在に設けられた第3ストッパピンを更に備えており、第3ストッパピンは、没入時に標準姿勢のスキッドおよび反転姿勢のスキッドの通過を許容し、突出時に、スキッドペアをスキッドコンベヤによって搬送するとき、スキッドペアを構成する標準姿勢のスキッドの縦桁に当接して標準姿勢のスキッドの移動を規制し、反転姿勢のスキッドのみの移動を許容することで反転姿勢のスキッドの縦桁を標準姿勢のスキッドの縦桁に押し付けた状態とする機能を有するものであってもよい。
【0014】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムにおいては、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置は、スキッドペアをその縦桁に沿った方向に搬送するスキッドペアコンベヤと、スキッドペアコンベヤの搬送路に出没自在に設けられ、没入時にスキッドペアの通過を許容し、突出時にスキッドペアを構成する標準姿勢のスキッドの縦桁の端部と反転姿勢のスキッドの縦桁の端部とにスキッドペアコンベヤの搬送方向に前後に位置を異ならせて当接する段違い当接部材とを備え、段違い当接部材にスキッドペアを構成する標準姿勢のスキッドの縦桁の端部と反転姿勢のスキッドの縦桁の端部とが当接することで、標準姿勢のスキッドの横桁と反転姿勢のスキッドの横桁との位相がずらされ、ずらしスキッドペアとなるものであってもよい。
【0015】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムにおいては、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置は、ずらしスキッドペアを持ち上げるリフターと、リフターによって持ち上げられたずらしスキッドペアを支持すべくリフターの左右に水平方向に出没自在に設けられた保持爪とを備え、保持爪を突出させることで保持爪に支持されたずらしスキッドペアの下方にて、段違い当接部材によって横桁の位相をずらした新たなずらしスキッドペアを構築し、新たなずらしスキッドペアをリフターで持ち上げて、保持爪に支持されているずらしスキッドペアに押し当てて、ずらしスキッドペアおよび新たなずらしスキッドペアの重量をリフターによって支持した状態で、ずらしスキッドペアを支持している保持爪を没入させ、ずらしスキッドペアおよび新たなずらしスキッドペアをリフターで更に持ち上げて新たなずらしスキッドペアの下方に保持爪を突出させ、上下に重ねられたずらしスキッドペアおよび新たなずらしスキッドペアからなる前記スキッド積層体の重量を前記保持爪で支持するものであってもよい。
【0016】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムにおいては、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置の前工程の位置に、標準姿勢のスキッドを上下反転させて反転姿勢のスキッドとするためのスキッド反転装置が配置されており、スキッド反転装置は、標準姿勢のスキッドを反転させることなく縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に送り出す機能と、標準姿勢のスキッドを反転させて反転姿勢のスキッドとして前記縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に送り出す機能とを備えており、標準姿勢のスキッドと反転姿勢のスキッドとを交互に縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に送り出すものであってもよい。
【0017】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムにおいては、スキッド反転装置の前工程の位置に、縦桁と横桁とから標準姿勢のスキッドを組み立てるスキッド組立装置が配置されており、スキッド組立装置によって組み立てられた標準姿勢のスキッドがスキッド反転装置に送り出されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るスキッドの積み重ねシステムによれば、次のような効果を発揮できる。
(1)縦桁位相ずらしスキッド重ね装置によって反転姿勢のスキッドと標準姿勢のスキッドとを重ねることで上下に隣り合うスキッドの縦桁の位相がずらされたスキッドペアとなり、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置によってスキッドペア同士を重ねることで上下に隣り合うスキッドペアの横桁の位相がずらされたスキッド積層体となる。この結果、縦桁および横桁の高さが相殺され、縦桁および横桁の高さが相殺されない場合と比べ、積み重ねられたスキッド積層体の高さを半減できる。
(2)縦桁の位相ずらしと横桁の位相ずらしを分離したので、縦桁および横桁の夫々について、簡単な構成の装置(縦桁位相ずらしスキッド重ね装置、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置)で的確に位相ずらしが行える。仮に、標準姿勢のスキッドと反転姿勢のスキッドとを一つずつ交互に積み重ねる装置を考えると、上下に隣り合う各スキッドについて一つずつ縦桁の位相と横桁の位相をずらして縦桁同士および横桁同士が重ならないように積み重ねる必要があり、装置の構成および制御が複雑化してしまう。
(3)標準姿勢のスキッドと反転姿勢のスキッドとが積み重ねられたスキッド積層体は、上下に隣り合うスキッドの縦桁および横桁の位相がずらされており、上下の縦桁同士および横桁同士が同一水平面内にて組み合わされた状態となるので、高さが半減することとも相俟って、荷姿が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は標準姿勢のスキッドの斜視図、(b)は反転姿勢のスキッドの斜視図である。なお、標準姿勢のスキッドは白抜きで表され、反転姿勢のスキッドはドットで表されているが、これは標準姿勢のスキッドと反転姿勢のスキッドとを区別し易くするための表現に過ぎず、反転姿勢のスキッドがドットの模様に塗装されているわけではない。
【
図2】本発明の一実施形態に係るスキッドの積み重ねシステムの概要を示す平面図である。
【
図3】
図2を部分的に拡大したスキッド反転装置を示す平面図であり、(a)は反転装置に標準姿勢のスキッドが搬送される前の状態を示し、(b)は反転装置に標準姿勢のスキッドが搬送された状態を示す。
【
図4】反転装置の作動を示す説明図であり、(a)は
図3(b)のIV-IV線矢視図、(b)は(a)に続く工程を示す説明図、(c)は(b)に続く工程を示す説明図である。
【
図5】(d)は
図4(c)に続く工程を示す説明図、(e)は(d)に続く工程を示す説明図、(f)は(e)に続く工程を示す説明図である。
【
図6】
図2を部分的に拡大した縦桁位相ずらしスキッド重ね装置の概要を示す平面図であり、(a)は標準姿勢のスキッドが位置決めされる前を示し、(b1)は標準姿勢のスキッドが位置決めされた状態を示す。(b2)は(b1)の側面図である。
【
図7】
図6の縦桁位相ずらしスキッド重ね装置に反転姿勢のスキッドが搬送されてきた様子を示す平面図であり、(c)は反転姿勢のスキッドが位置決めされる前を示し、(d1)は反転姿勢のスキッドが位置決めされた状態を示す。(d2)は(d1)の側面図である。
【
図8】
図7(d1)、
図7(d2)に続く工程を示す説明図であり、(e1)は反転姿勢のスキッドに標準姿勢のスキッドを重ねた様子を示す平面図、(e2)は(e1)の側面図、(f1)は(e1)に続く工程を示す平面図、(f2)は(f1)の側面図である。
【
図9】(a)は
図8(f1)、
図8(f2)によって得られたスキッドペアの斜視図、(b)はスキッドペアの横桁の位相をずらしたずらしスキッドペアの斜視図である。
【
図10】(a1)は縦桁位相ずらしスキッド重ね装置から横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置に搬送されるスキッドペアの平面図、(a2)はその側面図、(b1)は
図2を部分的に拡大した横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置によって横桁の位相がずらされたずらしスキッドペアの平面図、(b2)はその側面図である。
【
図11】横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置の作動を示す側面図であり、(a)はずらしスキッドペアがリフターに載置された状態を示す側面図、(b)は(a)に続く工程を示す側面図、(c)は(b)に続く工程を示す側面図である。
【
図12】(d)は
図11(c)に続く工程を示す側面図、(e)は(d)に続く工程を示す側面図、(f)は(e)に続く工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(スキッドの積み重ねシステムの概要)
本発明の一実施形態に係るスキッドの積み重ねシステムは、
図1(a)に示すように、間隔を隔てて平行に配置された複数の縦桁1の上面に複数の横桁2を直交するように装着した標準姿勢のスキッドS1と、
図1(b)に示すように、この標準姿勢のスキッドS1を上下反転させて縦桁1が上で横桁2が下の反転姿勢のスキッドS2とが、縦桁1同士の位相をずらすと共に横桁2同士の位相をずらすようにして、交互に積み重ねられたスキッド積層体を構築するものである。
【0022】
図2に、本実施形態に係るスキッドの積み重ねシステムXの概要を表した平面図を示す。このスキッドの積み重ねシステムXは、標準姿勢のスキッドS1を組み立てるスキッド組立装置3と、標準姿勢のスキッドS1を上下反転させるスキッド反転装置4と、反転姿勢のスキッドS2に標準姿勢のスキッドS1を、縦桁1の位相をずらして重ねてスキッドペアとする縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5と、スキッドペアを構成する標準姿勢のスキッドS1および反転姿勢のスキッドS2の横桁2の位相をずらしたずらしスキッドペアを構築し、ずらしスキッドペア同士を重ねてスキッド積層体とする横桁移動ずらしスキッドペア重ね装置6とを備えている。以下、各装置3、4、5、6について説明する。
【0023】
(スキッド組立装置3)
図2に示すように、スキッド組立装置3は、三本の縦桁1が夫々載置されそれらを長手方向に搬送する縦桁コンベヤと、縦桁コンベヤに直交するように配置され縦桁1の上面に載置される横桁2が上下方向に複数積み重ねられた横桁ストッカー7と、横桁ストッカー7から縦桁1の上面に載置された横桁2を縦桁1に固定する釘打ち機8とを備えている。
【0024】
図2に示すように、三本の縦桁1は縦桁コンベヤによって所定距離移動され、それら縦桁1の上面に横桁ストッカー7から供給された横桁2が所定間隔で三本架け渡すように載置され、各横桁2が釘打ち機8によって縦桁1の上面にネジ釘で固定される。なお、縦桁1および横桁2の数は、三本に限られず、二本以上であればよい。こうして組み立てられた標準姿勢のスキッドS1は、ローラーコンベヤによってスキッド反転装置4に搬送される。
【0025】
(スキッド反転装置4)
図3(a)、
図3(b)は、
図2を部分的に拡大したスキッド反転装置4の平面図であり、
図3(a)はローラーコンベヤ9によってスキッド組立装置3から搬送されてきた標準姿勢のスキッドS1がスキッド反転装置4に到達する前の状態を示し、
図3(b)は標準姿勢のスキッドS1がスキッド反転装置4に到達した状態を示す。標準姿勢のスキッドS1は、縦桁1がローラーコンベヤ9のローラー9aに載置された状態で搬送され、スキッド反転装置4に到達すると停止される。
【0026】
図3(b)のIV-IV線矢視図である
図4(a)にも示すように、スキッド反転装置4は、ローラー9aの間に配置され根元部の回動中心Aを中心に回動される反転フォーク10と、反転フォーク10の回動中心Aの近傍から斜め上方に延出された反転受け部材11と、ローラー9aの間に昇降自在に配置された搬送コンベヤ12とを備えている。このスキッド反転装置4によって、標準姿勢のスキッドS1を上下反転させて反転姿勢のスキッドS2とする工程を説明する。
【0027】
図4(a)に示すように、ローラーコンベヤ9のローラー9aに載せられてスキッド組立装置3から搬送されてきた標準姿勢のスキッドS1(縦桁1が下、横桁2が上)は、スキッド反転装置4の反転フォーク10の上方の位置に停止される。
図4(b)に示すように、搬送コンベヤ12が上昇され、標準姿勢のスキッドS1は、縦桁1がローラー9aから離れて搬送コンベヤ12に持ち上げられる。
図4(c)に示すように、反転フォーク10が回動中心Aを中心に上方に回動され、標準姿勢のスキッドS1は、縦桁1が反転フォーク10に載った状態で傾けられ、下部(図中の右端の縦桁1a)が搬送コンベヤ12に支持された状態となる。
【0028】
図5(d)に示すように、反転フォーク10が更に回動され、90度を超えた辺りで反転フォーク10に載っていた標準姿勢のスキッドS1が反転フォーク10から離れ、反転受け部材11に受け渡される。このスキッドS1は、上部の縦桁1bが反転受け部材11に支持され、下部の縦桁1aが搬送コンベヤ12に支持された状態となっている。
図5(e)に示すように、その後、反転フォーク10が逆方向に回動されると、反転受け部材11に受け渡されたスキッドS1は、搬送コンベヤ12に支持されている下部の縦桁1aが反転フォーク10によって押さえられつつ、反転フォーク10の回動に応じて反転受け部材11から滑り落ちる。滑り落ち速度は反転フォーク10の回動速度に応じて調節でき、滑り落ちるスキッドS1に生じるショックがなるべく小さくなるように反転フォーク10の回動速度が制御される。
図5(f)に示すように、反転フォーク10が逆方向に更に回動され水平状態(
図4(a)の状態)とされると、スキッドS1が反転受け部材11から完全に滑り落ち、反転姿勢のスキッドS2(縦桁1が上、横桁2が下)となって搬送コンベヤ12に載置された状態となる。この反転姿勢のスキッドS2は、縦桁1が搬送コンベヤ12に支持され、横桁2がローラーコンベヤ9のローラー9a同士の間に位置する(
図3(b)参照)。
【0029】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図5(d)、
図5(e)、
図5(f)を用いて反転工程を説明した
図3(a)、
図3(b)に示すスキッド反転装置4は、スキッド組立装置3から搬送されてきた標準姿勢のスキッドS1を全て反転させて
図2に示す縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5へ搬送するのではなく、一つおきに反転させて縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5へ搬送する。すなわち、スキッド反転装置4は、標準姿勢のスキッドS1をそのままの状態で縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5へ搬送する機能と、反転させて縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5へ搬送する機能とを有する。詳しくは、
図3(b)に示すように、スキッド反転装置4に標準姿勢で搬送されてきたスキッドS1は、奇数番目に搬送されてきたスキッドが
図4(b)の状態で搬送コンベヤ12を作動させることで標準姿勢のまま縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5へ搬送され、偶数番目に搬送されてきたスキッドが
図5(f)の状態で搬送コンベヤ12を作動させることで反転姿勢とされて縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5へ搬送される。
【0030】
(縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5)
図2およびその部分拡大図である
図6(a)に、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5の概要を示す。縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5は、
図6(b1)、
図6(b2)に示すように標準姿勢のスキッドS1を一旦持ち上げ、その下方に
図7(d1)、
図7(d2)に示すように反転姿勢のスキッドS2を移動させる際、
図8(e1)、
図8(e2)に示すように上方から見て標準姿勢のスキッドS1の縦桁1同士の間に反転姿勢のスキッドS2の縦桁1が位置するように反転姿勢のスキッドS2の位置を定め、その反転姿勢のスキッドS2の上に標準姿勢のスキッドS1を降ろして
図8(f1)、
図8(f2)、
図9(a)に示すスキッドペアSPとするための装置である。
【0031】
(スキッドコンベヤ13)
縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5は、
図6(a)、
図6(b1)に示すように標準姿勢のスキッドS1をその縦桁1と直交する方向に移動させると共に、
図7(c)、
図7(d1)に示すように反転姿勢のスキッドS2をその縦桁1と直交する方向に移動させるスキッドコンベヤ13を有する。スキッドコンベヤ13は、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2を交互に搬送するものであり、
図3(a)
図3(b)に示す搬送コンベヤ12と同様の構成となっている。すなわち、スキッドコンベヤ13は、上下に昇降自在となっており(
図4(a)、
図4(b)の搬送コンベヤ12を参照)、標準姿勢のスキッドS1の縦桁1または反転姿勢のスキッドS2の縦桁1を支持し、これらスキッドS1、S2を縦桁1と直交する矢印B(
図6(a)、
図7(c)参照)の方向に搬送する。
【0032】
(第1ストッパピン、第2ストッパピン)
図6(a)に示すように、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5は、スキッドコンベヤ13の搬送路に出没自在に設けられた第1ストッパピン14、第2ストッパピン15を有する。第1ストッパピン14、第2ストッパピン15は、夫々、スキッドコンベヤ13の搬送路に直交する方向に間隔を隔てて一対配設されている。なお、第1ストッパピン14、第2ストッパピン15は、
図6~
図8において 黒塗りのものが突出した状態を表し、白抜きのものが没入した状態を表す。
【0033】
図6(a)に示すように、第1ストッパピン14は、スキッドコンベヤ13の搬送路に配設されており、没入時に、標準姿勢のスキッドS1および反転姿勢のスキッドS2の通過を許容し、
図6(b1)に示すように、突出時に、スキッドコンベヤ13によって搬送されている標準姿勢のスキッドS1の縦桁1に当接して標準姿勢のスキッドS1の縦桁1の位置を所定の位置に定める。
【0034】
図7(c)に示すように、第2ストッパピン15は、第1ストッパピン14に対してスキッドコンベヤ13の搬送路の搬送方向手前側に位置をずらし、第1ストッパピン14から間隔Lを隔てて、出没自在に設けられている。第2ストッパピン15は、没入時に、標準姿勢のスキッドS1および反転姿勢のスキッドS2の通過を許容し、
図7(d1)に示すように、突出時に、スキッドコンベヤ13によって搬送されている反転姿勢のスキッドS2の縦桁1に当接し、反転姿勢のスキッドS2の縦桁1の位置を上方から見て標準姿勢のスキッドS1の縦桁1同士の間に位置決めする(
図7(d2)参照)。第1ストッパピン14と第2ストッパピン15との間隔Lは、このように双方のスキッドS1、S2の縦桁1の位相がずれるように設定されている。
【0035】
(持ち上げ下げ爪)
図6(b1)、
図6(b2)に示すように、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5は、第1ストッパピン14によって所定の位置に位置決めされた標準姿勢のスキッドS1を持ち上げ、持ち上げた標準姿勢のスキッドS1を、その下方にて、
図7(d1)、
図7(d2)に示すように、第2ストッパピン15によって位置決めされた反転姿勢のスキッドS2の上に重ねるように下ろす(
図8(e1)、
図8(e2)参照)持ち上げ下げ爪16を有する。
【0036】
図6(b1)に示すように、持ち上げ下げ爪16は、上方から見て標準姿勢のスキッドS1の外側の四方を囲むように配置された4本の柱部16aと、柱部16aの下端から標準姿勢のスキッドS1に向けて水平方向に延出された爪部16bとを有する。柱部16aは、スキッドコンベヤ13の長手方向に沿った水平面内を移動自在であると共に、上下方向にも移動自在である。持ち上げ下げ爪16は、柱部16aを下降させることで爪部16bをスキッドコンベヤ13に支持されている標準姿勢のスキッドS1の縦桁1よりも低い位置とし、柱部16aをスキッドコンベヤ13の長手方向に沿って縦桁1に近付けて爪部16bを縦桁1の下方に位置させ、柱部16aを上昇させることで
図6(b2)に示すように爪部16bによって標準姿勢のスキッドS1の縦桁1を支持し、標準姿勢のスキッドS1をスキッドコンベヤ13から持ち上げる。
【0037】
また、持ち上げ下げ爪16は、
図7(d1)、
図7(d2)に示すように、持ち上げた標準姿勢のスキッドS1を、その下方にて第2ストッパピン15によって位置決めされた反転姿勢のスキッドS2の上に重ねるように下ろす。これにより、
図8(e1)、
図8(e2)に示すように、反転姿勢のスキッドS2に標準姿勢のスキッドS1が、双方の縦桁1の位相をずらした状態で重ねられる。その後、持ち上げ下げ爪16は、重ねられたスキッドS1、S2と干渉しないように、スキッドS1、S2から離間される。こうして重ねられた反転姿勢のスキッドS2と標準姿勢のスキッドS1とは、次に説明する第3ストッパピン17およびスキッドコンベヤ13によって、
図8(f1)、
図8(f2)に示すように、双方の縦桁1同士が接触した状態とされ、
図9(a)に示すスキッドペアSPとされる。
【0038】
(第3ストッパピン17)
図8(e1)、
図8(f1)に示すように、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5は、スキッドコンベヤ13の搬送路に、第1ストッパピン14および第2ストッパピン15よりもスキッドコンベヤ13の搬送方向前方(矢印Bの前方)に位置して、出没自在に設けられた第3ストッパピン17を更に備えている。第3ストッパピン17は、スキッドコンベヤ13の搬送路に直交する方向に間隔を隔てて一対配設されており、黒塗りのものが突出した状態を表し、白抜きのものが没入した状態を表す。
【0039】
第3ストッパピン17は、没入時に、標準姿勢のスキッドS1および反転姿勢のスキッドS2の通過を許容し、突出時に、
図8(e1)、
図8(e2)に示すように、縦桁1同士が離間している標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とをスキッドコンベヤ13によって矢印Bの方向に搬送するとき、
図8(f1)に示すように、標準姿勢のスキッドS1の縦桁1に当接して標準姿勢のスキッドS1の移動を規制し、反転姿勢のスキッドS2のみの移動を許容する。これにより、反転姿勢のスキッドS2の縦桁1が標準姿勢のスキッドS1の縦桁1に押し付けられ、
図9(a)に示すスキッドペアSPとなる。このスキッドペアSPは、次に説明する横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6によって、双方の横桁2の位相がずらされ、
図9(b)に示すずらしスキッドペアZSPとなる。
【0040】
(横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6)
図2およびその部分拡大図である
図10(b1)に、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6の概要を示す。横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6は、
図10(a1)に示すように、スキッドペアSPを構成する標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とを相対的に夫々の縦桁1に沿って移動させ、
図10(b1)に示すように、上方から見て標準姿勢のスキッドS1の横桁2に対する反転姿勢のスキッドS2の横桁2の位相をずらしてずらしスキッドペアZSPを構築する。また、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6は、
図11(a)、
図11(b)に示すように、ずらしスキッドペアZSPを一旦持ち上げ、
図11(c)に示すように、その下方において同様にして横桁2の位相をずらした新たなずらしスキッドペアNZSPを構築し、
図12(d)、
図12(e)、
図12(f)に示すように、その新たなずらしスキッドペアNZSPにずらしスキッドペアZSPを重ねてスキッド積層体18とする。
【0041】
(スキッドペアコンベヤ19)
図2、
図10(a1)、
図10(a2)に示すように、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6は、スキッドペアSPをその縦桁1に沿った方向に搬送するスキッドペアコンベヤ19を有する。
図2に示すように、スキッドペアコンベヤ19は、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5における一対のスキッドコンベヤ13の間に直交するようにして配置された第1スキッドペアコンベヤ19aと、それに繋げて横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6に向けて配置された第2スキッドペアコンベヤ19bと、それに繋げて横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6まで配置された第3スキッドペアコンベヤ19cとを備えている。これら第1、第2、第3スキッドペアコンベヤ19a、19b、19cは、既述のスキッドコンベヤ13と同様の構成となっており、
図10(a1)、
図10(a2)に示すように、スキッドペアSPを構成する反転姿勢のスキッドS2の横桁2を支持し、スキッドペアSPを縦桁1に沿って
図10(b1)、
図10(b2)に示す段違い当接部材20、21まで搬送する。
【0042】
(段違い当接部材20、21)
図2、
図10(b1)に示すように、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6は、第3スキッドペアコンベヤ19cの搬送路に出没自在に設けられ、没入時にスキッドペアSPの通過を許容し、突出時にスキッドペアSPを構成する標準姿勢のスキッドS1の縦桁1の端部と反転姿勢のスキッドS2の縦桁1の端部とに、スキッドペアコンベヤS1、S2の搬送方向に前後に位置を異ならせて当接する段違い当接部材20、21を有する。
図10(b1)に示すように、スキッドペアSPの搬送方向右方の段違い当接部材20は、第3スキッドペアコンベヤ19cと直交するように水平方向に移動自在な段違い爪20aから構成され、スキッドペアの搬送方向左方の段違い当接部材21は、鉛直軸廻りに回動自在な段違いブラケット21aに立設された段違いポール21bから構成されている。
【0043】
図10(b1)に示すように、段違い爪20aを第3スキッドペアコンベヤ19cの搬送路に突出させ、段違いブラケット21aを時計方向に回動させて段違いポール21bが第3スキッドペアコンベヤの搬送路に突き出た状態で、
図10(a1)に示すスキッドペアSPを第3スキッドペアコンベヤ19cによって搬送すると、搬送路に突出された段違い爪20aと段違いポール21bとに、第3スキッドペアコンベヤ19cによって搬送されているスキッドペアSPを構成する標準姿勢のスキッドS1の縦桁1の端部と反転姿勢のスキッドS2の縦桁1の端部とが当接する。これにより、第3スキッドペアコンベヤ19cによって搬送されているスキッドペアSPは、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とが縦桁1に沿って相対的移動され、標準姿勢のスキッドS1の横桁2に対する反転姿勢のスキッドS2の横桁2の位相がずらされ、ずらしスキッドペアZSPとなる。
【0044】
(リフター22)
図11(a)、
図11(b)に示すように、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6は、ずらしスキッドペアZSPを持ち上げるリフター22を備えている。リフター22は、
図2に示すように、第3スキッドペアコンベヤ19cの間に配置された昇降板22aを有し、
図10(b1)、
図10(b2)に示すように、第3スキッドペアコンベヤ19cに支持されているずらしスキッドペアZSPを、昇降板22aを上昇させることによって持ち上げる。リフター22によるずらしスキッドペアZSPの持ち上げ高さは、持ち上げられるずらしスキッドペアZSPの縦桁1の下面が、次に説明する保持爪23よりも高い高さとなっている。
【0045】
(保持爪23)
図10(b1)、
図11(b)に示すように、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6はリフター22によって持ち上げられたずらしスキッドペアZSPを支持すべくリフター22の左右に水平方向に出没自在に設けられた保持爪23を備えている。保持爪23は、
図10(b1)に示すように、上方から見てずらしスキッドペアZSPの外側の四方を囲むように4個配置されており、夫々、高さを変えずに内方に出没自在となっている。保持爪23の高さは、
図11(b)に示すように、リフター22で持ち上げたずらしスキッドペアZSPの縦桁1の下面を、内方に突出させた保持爪23によって支持したとき、
図11(c)に示すように、保持爪23に支持されたずらしスキッドペアZSPの下方に、新たなずらしスキッドペアNZSPを第3スキッドペアコンベヤ19c(
図10(b1)、
図10(b2)参照)によって搬入するスペースが確保できる高さに配置されている。
【0046】
(リフター22、保持爪23の作動)
図10(b1)に示すリフター22および保持爪23の作動を説明する。
図10(b1)、
図10(b2)に示すように、ずらしスキッドペアZSPは、保持爪23がずらしスキッドペアZSPから離間した状態で、
図11(a)に示すリフター22の昇降板22aによって
図11(b)に示すように持ち上げられ、保持爪23を突出させることで保持爪23に支持される。
図11(c)に示すように、保持爪23に支持されたずらしスキッドペアZSPの下方において、
図10(b1)に示す段違い当接部材20、21によって横桁2の位相をずらした新たなずらしスキッドペアNZSPが構築される。
【0047】
図12(d)に示すように、この新たなずらしスキッドペアNZSPをリフター22で持ち上げて、保持爪23に支持されているずらしスキッドペアZSPに押し当て、ずらしスキッドペアZSPおよび新たなずらしスキッドペアNZSPの重量をリフター22によって支持した状態で、ずらしスキッドペアZSPを支持している保持爪23を没入させ、保持爪23で支持していたずらしスキッドペアZSPの重量をリフター22に移し替える。こうして重ねられたずらしスキッドペアZSP及び新たなずらしスキッドペアZSPは、スキッド積層体18となる。
【0048】
図12(e)に示すように、ずらしスキッドペアZSPおよび新たなずらしスキッドペアNZSPからなるスキッド積層体18をリフター22で更に持ち上げ、新たなずらしスキッドペアNZSPの縦桁1の下面が没入状態の保持爪23より僅かに上方となったときリフター22による持ち上げを停止し、保持爪23を突出させ、リフター22を僅かに下げる。これにより、上下に重ねられたずらしスキッドペアZSPおよび新たなずらしスキッドペアNZSPからなるスキッド積層体18の重量が保持爪23で支持された状態となる。その後、
図12(f)に示すように、リフター22を基準位置まで下げる。
【0049】
以降、かかる工程を繰り返すことで、標準姿勢のスキッドとS1反転姿勢のスキッドS2を、夫々の縦桁1と横桁2の位相をずらして複数積み重ねたスキッド積層体18が、
図12(f)に示す保持爪23に次々と支持された状態となる。
【0050】
こうして、保持爪23に所定の数(例えば10段)のスキッドS1、S2が交互に積み重ねられたスキッド積層体18が構築された後、
図12(f)に示すリフター22を上昇させてそのスキッド積層体18の重量をリフター22に支持した状態で保持爪23を没入させ、リフター22を下げてスキッド積層体18を
図10(b1)に示す第3スキッドペアコンベヤ19cに支持させる。その後、
図10(b1)に示す段違い部材20、21(段違い爪20a、段違いブラケット21a)を第3スキッドペアコンベヤ19cの搬送路から退去させ、スキッド積層体18を第3スキッドコンベヤ19cによって
図2、
図10(b1)の左方に搬送する。こうして横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6の左方に搬送されたスキッド積層体18は、最終的に、フォークリフト(図示省略)によって所望の場所に搬送される。
【0051】
(作用・効果)
本発明の一実施形態に係るスキッドの積み重ねシステムXによれば、次のような作用・効果を発揮できる。
【0052】
図6~
図8に示すように、縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5によって反転姿勢のスキッドS2と標準姿勢のスキッドS1とを重ねることで、上下に隣り合うスキッドS1、S2の縦桁1の位相がずらされたスキッドペアSP(
図9(a)参照)となり、
図10~
図12に示すように、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6によってスキッドペアSP同士を重ねることで、上下に隣り合うスキッドペアSPの横桁2の位相がずらされたスキッド積層体18となる。この結果、得られたスキッド積層体18は、縦桁1および横桁2の高さが相殺され、縦桁1および横桁2の高さが相殺されない場合と比べ、積み重ねられたスキッド積層体18の高さを半減できる。
【0053】
このように、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とを重ねる際、縦桁1の位相ずらしと横桁2の位相ずらしを分離したので、縦桁1および横桁2の夫々について、簡単な構成の装置(縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5、横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6)で的確に位相ずらしが行える。仮に、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とを一つずつ交互に積み重ねる装置を考えると、上下に隣り合う各スキッドS1、S2について一つずつ縦桁1の位相と横桁2の位相をずらして縦桁1同士および横桁2同士が重ならないように積み重ねる必要があり、装置の構成および制御が本実施形態よりも複雑化してしまう。
【0054】
また、
図12(f)に示すように、標準姿勢のスキッドS1と反転姿勢のスキッドS2とが積み重ねられたスキッド積層体18は、上下に隣り合うスキッドS1、S2の縦桁1および横桁2の位相がずらされており、上下の縦桁1同士および横桁2同士が同一水平面内にて組み合わされた(噛み合わされた)状態となるので、高さが半減することとも相俟って、荷姿が安定する。
【0055】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、工場等において荷物を搬送する際に荷物が載せられるスキッドを、空荷の状態でコンパクトに複数積み重ねるスキッドの積み重ねシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 縦桁
2 横桁
3 スキッド組立装置
4 スキッド反転装置
5 縦桁位相ずらしスキッド重ね装置
6 横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置
13 スキッドコンベヤ
14 第1ストッパピン
15 第2ストッパピン
16 持ち上げ下げ爪
17 第3ストッパピン
18 スキッド積層体
19 スキッドペアコンベヤ
20 段違い当接部材
21 段違い当接部材
22 リフター
23 保持爪
S1 標準姿勢のスキッド
S2 反転姿勢のスキッド
SP スキッドペア
ZSP ずらしスキッドペア
NZSP 新たなずらしスキッドペア
X スキッドの積み重ねシステム
【要約】
【課題】複数の縦桁の上面に複数の横桁に装着した標準姿勢のスキッドと、これを上下反転させた反転姿勢のスキッドとが交互に積み重ねられたスキッド積層体を構築する際、簡単な構成で的確に位相ずらしを行えるスキッドの積み重ねシステムを提供する。
【解決手段】標準姿勢のスキッドS1を一旦持ち上げ、その下方に反転姿勢のスキッドS2を移動させ、上方から見て双方のスキッドS1、S2の縦桁1の位相をずらして重ねてスキッドペアSPとする縦桁位相ずらしスキッド重ね装置5と、スキッドペアSPを構成する双方のスキッドS1、S2を相対的に縦桁1に沿って移動させて横桁2の位相をずらしたずらしスキッドペアZSPを構築し、ずらしスキッドペアZSPを一旦持ち上げ、その下方において新たなずらしスキッドペアNZSPを構築し、これらを重ねてスキッド積層体18とする横桁位相ずらしスキッドペア重ね装置6とを備えている。
【選択図】
図2