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特許7222168脱水銀型塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム
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  • 特許-脱水銀型塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム 図1
  • 特許-脱水銀型塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】脱水銀型塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20230208BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230208BHJP
   G01N 27/333 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G01N27/30 311C
G01N27/30 311Z
G01N27/416 351K
G01N27/333 321A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020192066
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073821
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】598039792
【氏名又は名称】株式会社イオン電極研究所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 辰夫
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-254936(JP,A)
【文献】特開昭51-027392(JP,A)
【文献】実開平02-063450(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記参照電極は、作用電極と組み合わせて構成され、前記参照電極側が演算増幅器の非反転入力端子に接続され、前記作用電極側が前記演算増幅器の反転入力端子に接続されること特徴とする請求項1又は2に記載の塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水銀を含有しない脱水銀型参照電極を適用した塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システムにおいては、参照電極の液絡部から流出する内部液に塩素イオンが存在してはならないため、硫酸カリウム溶液を内部液とする硫酸水銀参照電極やダブルジャンクション型銀塩化銀参照電極が組み合わされ使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
昨今の有害物質規制により水銀含有製品は使用制限が厳しくなっており硫酸水銀参照電極もその部類に入っている。
【0004】
硫酸水銀参照電極は加水分解性があり劣化し易く、また汚染に弱くクリーニングを行っても正常電位復帰性に乏しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の解決のため、本発明は請求項1-3に記載した以下の構成を採用した。
(1)pH測定用ガラス電極を含めたガラス膜型カチオン選択性電極を内部電極として用いた参照電極を有する塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システムであって、前記ガラス膜型カチオン選択性電極の内部電極には銀塩化銀電極が用いられ、前記ガラス膜型カチオン選択性電極の内部液には前記ガラス膜が選択的に応答するカチオンと塩素イオンを含む電解液が用いられ、前記参照電極の液絡部から流出する参照電極内部液として前記ガラス膜が選択的に応答するカチオンを含みかつ塩素イオンを含まない電解液が用いられる参照電極を有することを特徴とする塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム。
(2)前記参照電極は、構成素材に水銀を含有しない脱水銀型参照電極であることを特徴とする、請求項1に記載の塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム。
(3)前記参照電極は、作用電極と組み合わせて構成され、前記参照電極側が演算増幅器の非反転入力端子に接続され、前記作用電極側が前記演算増幅器の反転入力端子に接続されること特徴とする請求項1又は2に記載の塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システム。
請求項1-3に記載の本発明測定システムに組み込まれる脱水銀型参照電極は水銀を含有せず、測定液に塩素イオンの混入もない図1のような構成、構造となっており、また本発明測定システムにおける請求項3に記載の電極信号入力の初段演算増幅器との接続方式については、上記脱水銀型参照電極の内部抵抗が作用電極の内部抵抗より大幅に高いため、電極信号の安定性保持とノイズ防止の目的で図2に示すような接続方式をとっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明測定システムは脱水銀を実現することに加え、上記脱水銀型参照電極は劣化しにくく、汚染時のクリーニングによる正常電位復帰性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 本発明の測定システムに組み込まれる脱水銀型参照電極の構成図である。
図2】 本発明測定システムの実施例となる塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2は本発明の測定システムを適用する基本形態も示しており、脱水銀型参照電極と作用電極を組み合わせて測定液の塩素イオン濃度測定もしくは塩素イオンに関する電位差測定を行う形態となる。
【実施例
【0009】
本発明を実施する典型的形態としては、脱水銀型参照電極と作用電極を分離したかたちで使用する方法に加え、それらをコンパクトに一体化した複合型電極に仕上げ、外観上従来品と同じ形態で使用できる。
【0010】
本発明測定システムの具体的実施例として脱水銀複合型塩素イオン電極を製作し測定データによる検証を試みた。請求項1-2の記載に含まれるガラス膜型ナトリウムイオン選択性電極を脱水銀型参照電極の内部電極とし、そのガラス電極内部液として塩化ナトリウム溶液を用い、参照電極内部液として硝酸ナトリウムと硝酸カリウムの混合溶液を用いた。また作用電極として固体膜型塩素イオン選択性電極を適用した。それらを複合型電極に組み立て、塩素イオン濃度の異なる複数の測定溶液で電位差測定を実施し、正常な検量線や測定データが得られることを確認できた。
【符号の説明】
【0011】
1 脱水銀型参照電極
2 カチオン選択性ガラス電極
3 銀塩化銀電極
4 ガラス電極内部液
5 参照電極内部液
6 液絡部
7 作用電極
8 測定システム
9 測定液
10 初段入力演算増幅器
図1
図2