(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】制御装置及びモータ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/30 20160101AFI20230208BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20230208BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H02K11/30
H02K11/215
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2018208782
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】東出 智寛
(72)【発明者】
【氏名】谷川 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】南田 尚武
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-032930(JP,A)
【文献】特開2003-189522(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/30
H02K 11/215
H02K 5/22
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品と、
前記電子部品が実装されている回路基板と、
前記回路基板に設けられるとともに、外部機器との間で情報を授受するコネクタ部とを備え、
前記電子部品は、前記コネクタ部と隣接している特定電子部品を含み、
前記コネクタ部は、前記回路基板の板厚方向に延びているベース部と、前記ベース部から前記回路基板の延びる方向に延びている延出部とを有し、
前記延出部は、前記特定電子部品の接着固定先であって、前記特定電子部品を接着して固定している台座部を有し
、
前記特定電子部品は、前記回路基板から当該回路基板の板厚方向に沿って延びる部位であって、前記回路基板の延びる方向において前記台座部と向かい合う対向部を有するように実装され、
前記台座部と前記特定電子部品とは、前記回路基板の延びる方向において前記台座部と前記対向部とが互いに向かい合い、当該台座部と当該対向部との間を前記接着して固定されている制御装置。
【請求項2】
前記台座部は、前記特定電子部品における前記特定電子部品の重心よりも前記回路基板の板厚方向において前記回路基板から離れている請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記台座部は、前記特定電子部品における前記回路基板の板厚方向における中間地点よりも前記回路基板から離れている請求項
1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記台座部は、前記コネクタ部から前記特定電子部品へ向かうにつれて、前記特定電子部品との間の隙間が小さくなる傾斜面をなしている請求項1~
3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の制御装置と、モータと、前記モータを収容するモータハウジングと、前記回路基板及び前記コネクタ部を覆うカバーとを備えるモータ装置であって、
前記回路基板の板厚方向は、前記モータの軸方向であり、
前記回路基板には、前記モータの回転軸の延長線上において、前記回転軸の回転角度を検出するための磁気センサが実装され、
前記特定電子部品は、前記回路基板の周縁部分に実装されているコイルであるモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及びモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、モータと、モータの駆動を制御するための回路が構成された回路基板とが一体化されたモータ装置が知られている。こうしたモータ装置では、外部の配線と接続するためのコネクタ部が回路基板に設けられている。回路基板には、複数の電子部品が実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
路面反力等が車両に作用した場合、電子部品は、回路基板との電気的な接続部分を起点として振動することがある。電子部品が振動することを抑制する方法としては、回路基板の表面と電子部品とを接着して固定する方法がある。しかし、回路基板の表面と当該電子部品とを接着して固定する場合には、当該電子部品が振動する際の起点となる振動起点と回路基板に対して接着して固定する部分とが近いため、当該電子部品の振動を抑制する効果が小さい。このため、当該電子部品の振動による影響を効果的に抑制する方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する制御装置は、複数の電子部品と、前記電子部品が実装されている回路基板と、前記回路基板に設けられるとともに、外部機器との間で情報を授受するコネクタ部とを備え、前記電子部品は、前記コネクタ部と隣接している特定電子部品を含み、前記コネクタ部は、前記回路基板の板厚方向に延びているベース部と、前記ベース部から前記回路基板の延びる方向に延びている延出部とを有し、前記延出部は、前記特定電子部品の接着固定先であって、前記特定電子部品を接着して固定している台座部を有している。
【0006】
上記構成によれば、特定電子部品を接着して固定するための台座部を、ベース部から回路基板の延びる方向に延びている延出部に設けている。これにより、特定電子部品と台座部との間を接着して固定する位置を、特定電子部品と回路基板との間を接着して固定する位置よりも、回路基板から離れた位置とすることができる。このため、特定電子部品を接着して固定する部分を、特定電子部品を回路基板に対して接着して固定する場合と比べて、特定電子部品の振動の起点となる振動起点から離すことができる。このことから、特定電子部品と回路基板との間を接着して固定する場合と比べて、特定電子部品の振動を抑制する効果を高めることができるため、特定電子部品の振動による影響を効果的に抑制することができる。
【0007】
上記の制御装置において、前記台座部と前記特定電子部品とは、前記回路基板の延びる方向において、接着して固定されていることが好ましい。
特定電子部品は、回路基板に実装されていることから、その実装箇所を起点として振動することになる。この振動は、主として、回路基板の延びる方向と近似の方向に生じる。上記構成によれば、回路基板の延びる方向において、台座部と特定電子部品とを接着して固定していることから、台座部と特定電子部品との接着固定を特定電子部品の振動態様に合わせたものとすることができる。
【0008】
上記の制御装置において、前記台座部は、前記特定電子部品における前記特定電子部品の重心よりも前記回路基板の板厚方向において前記回路基板から離れていることが好ましい。
【0009】
特定電子部品の重心よりも回路基板から離れている部分は、特定電子部品の重心よりも回路基板に近い部分に比べて大きく振動する。上記構成によれば、特定電子部品が大きく振動する特定電子部品の重心よりも回路基板から離れている部分を台座部に接着して固定していることから、特定電子部品の重心よりも回路基板に近い部分を台座部に接着して固定している場合に比べて、特定電子部品の振動による影響をさらに効果的に抑制することができる。
【0010】
上記の制御装置において、前記台座部は、前記特定電子部品における前記回路基板の板厚方向における中間地点よりも前記回路基板から離れていることが好ましい。
特定電子部品の回路基板の板厚方向における中間地点よりも回路基板から離れた部分は、特定電子部品の回路基板の板厚方向における中間地点よりも回路基板に近い部分に比べて大きく振動する。上記構成によれば、特定電子部品が大きく振動する特定電子部品の回路基板の板厚方向における中間地点よりも回路基板から離れている部分を台座部に接着して固定していることから、特定電子部品の回路基板の板厚方向における中間地点よりも回路基板に近い部分を台座部に接着して固定している場合と比べて、特定電子部品の振動による影響をさらに効果的に抑制することができる。
【0011】
上記の制御装置において、前記台座部は、前記コネクタ部から前記特定電子部品へ向かうにつれて、前記特定電子部品との間の隙間が小さくなる傾斜面をなしていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、仮に、台座部に接着剤を供給する場合、その接着剤は、傾斜面の傾斜に沿って、特定電子部品に傾斜面が接近するに従って台座部と特定電子部品との間の隙間に案内されることになる。
【0013】
上記の制御装置と、モータと、前記モータを収容するモータハウジングと、前記回路基板及び前記コネクタ部を覆うカバーとを備えるモータ装置であって、前記回路基板の板厚方向は、前記モータの軸方向であり、前記回路基板には、前記モータの回転軸の延長線上において、前記回転軸の回転角度を検出するための磁気センサが実装され、前記特定電子部品は、前記回路基板の周縁部分に実装されているコイルである。
【0014】
特定電子部品が周囲に磁気が漏れやすい電子部品であるコイルの場合、回路基板におけるモータの回転軸の延長上に設けられている磁気センサからできる限り離して配置する結果、回路基板の周縁部分にコイルが実装されやすい。このようなコイルには、回路基板に実装されている他の部品のうちに接着固定先となる部品が周りにないことがある。このため、上記構成を採用することによって、コイルの接着固定先となる台座部をコネクタ部に設けて、この台座部にコイルを接着して固定することで、コイルの振動による影響を抑制することは好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の制御装置及びモータ装置によれば、特定電子部品の振動による影響を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】モータ装置の断面図(
図1のL-L線断面図)。
【
図4】カバーを取り外した状態のモータ装置の平面図。
【
図6】他の実施形態において、カバーを取り外した状態のモータ装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、制御装置を搭載したモータ装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び
図2に示すように、モータ装置1は、モータ2と、モータ2の作動を制御する回路が構成された回路基板3と、回路基板3に設けられたコネクタ部4と、モータ2を収容するモータハウジング5と、回路基板3及びコネクタ部4を覆うカバー6とを備えている。なお、以下では、説明の便宜上、モータ2の軸方向Xを基準として、カバー6側を第1軸方向、モータ2側を第2軸方向という。軸方向Xは、モータ2の回転軸41の延びる方向である。モータ装置1は、車両の電動パワーステアリング装置に搭載されている。
【0018】
モータ2及びモータハウジング5の構成について説明する。
図3に示すように、モータ2は、モータハウジング5内に固定されたステータ11と、ステータ11の内周に回転可能に配置されたロータ12とを備えている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、モータハウジング5は、有底筒状体のハウジング本体21と、ハウジング本体21の開口を閉塞する平板状の天板22とを有している。天板22は、ヒートシンクとして機能する。ハウジング本体21の底部の中央には、軸方向Xに貫通した第1挿通孔23が形成され、天板22の中央には、軸方向Xに貫通した第2挿通孔24が形成されている。ハウジング本体21の開口端部21aは、略長方形と略長方形の一方の長辺を底辺とした略台形とが一体となっている略六角形状をなしている。略長方形の2つの長辺は、略台形の2つの底辺と略平行である。開口端部21aの外周面には、複数の係合突部25が形成されている。また、天板22には、第1軸方向(
図3中の上側)に突出した複数の支持部26が形成されている。
【0020】
ステータ11は、ハウジング本体21の筒状部の内側に固定された円筒状のステータコア31、及びステータコア31に巻回されたモータコイル32を備えている。モータコイル32の接続端子32aは、バスバー33を介して回路基板3に接続されている。
【0021】
ロータ12は、回転軸41と一体回転可能に固定された円筒状のロータコア42、及びロータコア42の外周に固定された複数の永久磁石43を備えている。永久磁石43は、その磁極がロータコア42の周方向において、N極及びS極が交互に入れ替わるように配置されている。モータハウジング5のハウジング本体21に設けられた第1挿通孔23には、第1軸受44が設けられている。第1軸受44は、ハウジング本体21の第1挿通孔23に対して回転軸41の第2軸方向側の端部を回転可能に支持する。モータハウジング5の天板22に設けられた第2挿通孔24には、第2軸受45が設けられている。第2軸受45は、天板22の第2挿通孔24に対して回転軸41の第1軸方向側の端部を回転可能に支持する。これにより、回転軸41は、第1軸受44及び第2軸受45を介してモータハウジング5に対して回転可能に支持されている。
【0022】
回路基板3及びコネクタ部4の構成について説明する。
図2~
図4に示すように、回路基板3は、ハウジング本体21の開口端部21aに対応した略六角形の平板状に形成されている。回路基板3には、モータ2に供給する駆動電流の目標値等の演算を行うための制御回路や、当該制御回路の演算した目標値に従ってモータ2に駆動電流を供給するための駆動回路や、各種の電子部品70が実装されている。回路基板3は、そのコネクタ部4側の表面に配線パターンが露出しているプリント基板である。また、回路基板3におけるコネクタ部4と反対側の面には、モータ2の回転軸41の回転角を検出する磁気センサ71が実装されている。回転軸41における回路基板3と対向している端部、すなわち回転軸41における第1軸方向側の端部には、磁石72が取り付けられている。磁気センサ71は、回転軸41の軸方向Xにおいて、磁石72と隙間を介して対向している。磁気センサ71は、磁石72の回転に伴い変化する磁界に応じた電気信号を生成する。この電気信号は、モータ2の回転軸41の回転角の演算に用いられる。なお、特許請求の範囲で記載した制御装置は、回路基板3、コネクタ部4、及び電子部品70によって構成されている。
【0023】
回路基板3は、複数のねじ90が挿通されていることにより、モータハウジング5の天板22に対して固定されている。ねじ90は、軸部90a及び頭部90bを有している。軸部90aの外周面には、ねじ溝が形成されている。頭部90bは、半球状をなしている。頭部90bの外周面は、軸部90aよりも拡径している。回路基板3を挿通しているねじ90の軸部90aがモータハウジング5の天板22の支持部26に螺着することにより、回路基板3は天板22に固定されている。
【0024】
図2~4に示すように、コネクタ部4は、回路基板3の板厚方向に延びているベース部51と、ベース部51から回路基板3の延びる方向に延びている延出部52とを有している。コネクタ部4は、回路基板3に設けられるとともに、外部機器との間で情報を授受する。ベース部51は、延出部52よりも第1軸方向に延びている。足部53は、ベース部51及び延出部52から第2軸方向に延びている。軸方向Xから見たとき、すなわち回路基板3の板厚方向から見たとき、延出部52は、モータ2の回転軸41を中心として、回路基板3における略台形の部分に偏って配置された状態で回路基板3に固定されている。各ベース部51は、筒状に形成されているとともに、軸方向Xから見たとき、楕円形状をなしている。各ベース部51は、外部機器から延びる配線が接続可能に形成されている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、コネクタ部4は、複数の足部53を有している。各足部53は、略円柱状に形成されている。コネクタ部4の各足部53の先端は、回路基板3に接触している。ねじ91が回路基板3を貫通して各足部53に螺着していることにより、コネクタ部4は回路基板3に固定されている。ねじ91は、回路基板3におけるコネクタ部4と反対側の面から回路基板3に挿通されている。コネクタ部4が回路基板3に固定された状態で、ベース部51内のターミナル(図示略)から延びる接続端子は、回路基板3における予め設定された位置に接続されている。
【0026】
図2~4に示すように、延出部52の回路基板3と反対側の面には、カバー6の底壁部62に当接している当接部54が設けられている。軸方向Xから見たとき、環状に形成されている当接部54は、ベース部51を取り囲んでいる。当接部54は、延出部52の周縁部分に設けられている。
【0027】
図2、
図4、及び
図5に示すように、電子部品70は、特定電子部品としてのコイル80を有している。コイル80は、電磁ノイズを低減するための電子部品である。コイル80は、コネクタ部4に隣接している電子部品である。コイル80は、回路基板3におけるコネクタ部4側の面に配置されているとともに、電気的構成である巻き線を収容したコイルハウジング81を有している。コイルハウジング81の回路基板3の延びる方向における断面形状は、楕円形状をなしている。コイルハウジング81の回路基板3の延びる方向における側面形状は、平面形状をなしている2つの第1平面部81a及び曲面形状をなしている2つの第1曲面部81bから構成されている。2つの第1平面部81aは、互いに平行に設けられている。また、第1曲面部81bは、一方の第1平面部81aの端縁と他方の第1平面部81aの端縁との間に設けられている。コイル80は、コイルハウジング81における回路基板3側の面から第2軸方向に延びている端子82を有している。端子82は、回路基板3に形成されている貫通孔3aに挿通されている。端子82は、回路基板3におけるコネクタ部4と反対側の面に半田付けされている。半田83は、回路基板3に形成されている貫通孔3aの内周面と端子82の外周面との間にも入り込んでいる。これにより、コイル80は、半田83によって回路基板3に固定されている。また、電子部品70は、コンデンサ84を有している。コンデンサ84は、回路基板3におけるコネクタ部4側の面に配置されている。コンデンサ84における回路基板3の延びる方向の断面形状は、円形状をなしている。コンデンサ84は、コイル80よりも小さい体格をなしている。また、コンデンサ84は、コイル80よりも回路基板3の板厚方向における高さが低い。
【0028】
路面反力等が車両に作用した場合、モータ装置1にその力が伝達することで、電子部品70は、電子部品70の回路基板3への実装箇所を起点として振動することがある。この電子部品70の振動は、主として、回路基板3の延びる方向と近似の方向に生じる。なお、コイル80は、電子部品70の中でも回路基板3の板厚方向における高さが最も高いことから、電子部品70の中でも特にその振動が抑制されることが求められている。ここで、コイル80が振動する際の起点となる振動起点Pは、コイル80の回路基板3への実装箇所、すなわちコイルハウジング81と端子82との間の部分である。コイル80は、振動起点Pを起点として、回路基板3上で振動する。コイル80は、回路基板3の周縁部分に実装されている。コイル80は、回路基板3に実装されている他の電子部品との間で接着して固定することが困難な距離だけ他の電子部品から離れている。コイル80がこのように配置されている理由として、コイル80は電子部品の中でも周囲に磁気が漏れやすい電子部品として知られていることから、磁石72の回転に伴い変化する磁界を検出する磁気センサ71からできる限り離して配置したいことが挙げられる。そこで、本実施形態では、コネクタ部4の延出部52に台座部100を設け、この台座部100をコイル80の接着固定先としている。
【0029】
延出部52は、環状部55、支持部56、及び台座部100を有している。環状部55は、ベース部51を回路基板3の延びる方向において取り囲んでいる。支持部56は、環状部55に対して台座部100を支持している。台座部100は、コイル80の接着固定先である。台座部100は、軸方向Xから見たとき、略円弧形状をなしている。すなわち、台座部100は、軸方向Xから見たとき、コイル80の側面形状に沿った形状をなしている。台座部100は、平面形状をなしている1つの第2平面部100a及び曲面形状をなしている2つの第2曲面部100bを有している。第2平面部100aは、回路基板3の延びる方向において、第1平面部81aと向かい合って設けられている。第2平面部100aと第1平面部81aとの間には、隙間が形成されている。第2曲面部100bは、回路基板3の延びる方向において、第1曲面部81bと向かい合って設けられている。第2曲面部100bと第1曲面部81bとの間には、隙間が形成されている。第2平面部100aは、一方の第2曲面部100bの端縁と他方の第2曲面部100bの端縁との間に設けられている。台座部100の第2平面部100a及び第2曲面部100bは、軸方向Xにおいて、コイル80の重心よりも回路基板3から離れている。また、台座部100の第2平面部100a及び第2曲面部100bは、コイル80の軸方向Xにおける中間地点よりも回路基板3から離れている。コイル80の軸方向Xにおける中間地点は、コイル80の軸方向Xにおける高さが、コイル80の軸方向Xにおける全高Hの半分の値である「H/2」となる地点のことである。台座部100における回路基板3と反対側の面には、傾斜面101が形成されている。傾斜面101は、コネクタ部4からコイル80へ向かうにつれて、コイル80との間の隙間が小さくなる傾斜をなしている。傾斜面101は、第2平面部100a及び第2曲面部100bにそれぞれ設けられている。傾斜面101の傾斜の延びる方向は、回路基板3の延びる方向に対して交差している。傾斜面101は、コネクタ部4からコイル80へ向かうにつれて、台座部100の軸方向Xにおける厚みが小さくなるように傾斜している。
【0030】
台座部100の傾斜面101には、接着剤102が塗布されている。接着剤102は、台座部100よりも回路基板3と反対側に配置された接着剤射出装置(図示略)から射出されることによって台座部100に塗布される。接着剤102に塗布された接着剤102は、傾斜面101の傾斜に沿って、傾斜面101がコイル80に接近するに従って台座部100とコイル80との間に案内される。モータ装置1は、軸方向Xが重力方向となるように車両の電動パワーステアリング装置に搭載されており、回路基板3が台座部100よりも重力方向下側に位置する場合には、台座部100に塗布された接着剤102は、重力の影響によって傾斜面101の傾斜に従って台座部100とコイル80との間に案内される。これにより、コイル80は接着固定先である台座部100に接着して固定されている。
【0031】
カバー6の構成について説明する。
図2及び
図3に示すように、カバー6は、ハウジング本体21の開口端部21aの形状に対応した有底角筒状に形成されている。カバー6は、金属材料から構成されている。カバー6は、筒状の側壁部61及び底壁部62を有している。側壁部61には、第2軸方向に突出した板状の取付部63が複数箇所に形成されている。各取付部63には、その板厚方向に貫通した係合孔64が形成されている。
【0032】
カバー6の底壁部62には、底壁部62を軸方向Xに貫通する貫通孔65が形成されている。貫通孔65は、コネクタ部4の延出部52よりも一回り小さな略L字状に形成されている。貫通孔65の内周縁部65aは、延出部52の当接部54と軸方向Xにおいて当接する。カバー6は、貫通孔65を介してベース部51がカバー6から突出するようにモータハウジング5に装着され、取付部63の係合孔64に係合突部25が係合していることにより、固定されている。
【0033】
カバー6の底壁部62には、軸方向Xから見たとき、略六角形状をなすカバー6の底壁部62における略長方形状の部分において、回路基板3に近付くように段差形状をなす段差部66が形成されている。
【0034】
このように構成されたモータ装置1は、回路基板3を介して駆動電流がモータコイル32に対して供給されると、ステータ11に回転磁界が発生し、その回転磁界に基づいてロータ12が回転する。
【0035】
接着剤102の塗布手順について説明する。
回路基板3に形成されている貫通孔3aにコイル80の端子82を挿通させた状態で、コイル80を回路基板3に載置する。端子82を回路基板3におけるコネクタ部4と反対側の面に半田付けすることにより、コイル80を回路基板3に固定する。また、各種の電子部品70についても、回路基板3に固定する。複数のねじ91を挿通して各足部53に螺着することにより、コネクタ部4を回路基板3に固定する。複数のねじ90を挿通してモータハウジング5の天板22に螺着することにより、回路基板3をモータハウジング5に固定する。このように、回路基板3に、コネクタ部4、コイル80、及び各種の電子部品70が組み付けられる。これにより、コネクタ部4の延出部52に設けられている台座部100と、コイル80のコイルハウジング81の側面とが隙間を空けて対向配置される。回路基板3へのコネクタ部4、コイル80、及び各種の電子部品70の組み付け後、図示しない接着剤射出装置から台座部100の傾斜面101に液体状の接着剤102を塗布する。傾斜面101に塗布された液体状の接着剤102は、傾斜面101の傾斜に沿って、コイル80に傾斜面101が接近するに従って台座部100とコイル80の側面との間の隙間に案内される。そして、液体状の接着剤102が固化することによって、台座部100にコイル80を接着して固定している。
【0036】
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)コイル80を接着して固定するための台座部100を、ベース部51から回路基板3の延びる方向に延びている延出部52に設けている。これにより、コイル80と台座部100との間を接着して固定する位置を、コイル80と回路基板3との間を接着して固定する位置よりも、回路基板3から離れた位置とすることができる。このため、コイル80を接着して固定する部分を、コイル80を回路基板3に対して接着して固定する場合と比べて、コイル80の振動の起点となる振動起点から離すことができる。このことから、コイル80と回路基板3との間を接着して固定する場合と比べて、コイル80の振動を抑制する効果を高めることができるため、コイル80の振動による影響を効果的に抑制することができる。これにより、コイル80が振動することに起因してコイル80が回路基板3から脱落することも抑えることができるようになる。
【0037】
(2)コイル80は、回路基板3に実装されていることから、その実装箇所を起点として振動することになる。この振動は、主として、回路基板3の延びる方向と近似の方向に生じる。すなわち、コイル80は、振動起点Pを起点として振動する。上記構成によれば、回路基板3の延びる方向において、台座部100とコイル80とを接着して固定していることから、台座部100とコイル80との接着固定をコイル80の振動態様に合わせたものとすることができる。
【0038】
(3)コイル80におけるコイル80の重心よりも回路基板3から離れている部分は、コイル80の重心よりも回路基板3に近い部分に比べて大きく振動する。本実施形態によれば、コイル80が大きく振動するコイル80の重心よりも回路基板3から離れている部分を台座部100に接着して固定していることから、コイル80の重心よりも回路基板3に近い部分を台座部100に接着して固定している場合に比べて、コイル80の振動による影響をさらに効果的に抑制することができる。
【0039】
(4)コイル80の回路基板3の板厚方向における中間地点よりも回路基板3から離れた部分は、コイル80の回路基板3の板厚方向における中間地点よりも回路基板3に近い部分に比べて大きく振動する。本実施形態によれば、コイル80が大きく振動するコイル80の回路基板3の板厚方向における中間地点よりも回路基板3から離れている部分を台座部100に接着して固定している。このことから、コイル80の回路基板3の板厚方向における中間地点よりも回路基板3に近い部分を台座部100に接着して固定している場合と比べて、コイル80の振動による影響をさらに効果的に抑制することができる。
【0040】
(5)台座部100に接着剤102を塗布する場合、その接着剤102は、傾斜面101の傾斜に沿って、コイル80に傾斜面101が接近するに従って台座部100とコイル80との間の隙間に案内されることになる。
【0041】
(6)台座部100よりも回路基板3が重力方向下側に位置する場合には、台座部100に塗布された接着剤102は、重力の影響によって傾斜面101の傾斜に従って台座部100とコイル80との間に案内されることになる。
【0042】
(7)コイル80は、周囲に磁気が漏れやすい電子部品である。このため、このコイル80は、回路基板3におけるモータ2の回転軸41の延長上に設けられている磁気センサ71からできる限り離して配置する結果、回路基板3の周縁部分に実装されやすい。このようなコイル80には、回路基板3に実装されている他の部品のうちに接着固定先となる部品が周りにないことがある。このため、上記構成を採用することによって、コイル80の接着固定先となる台座部100をコネクタ部4に設けて、この台座部100にコイル80を接着して固定することで、コイル80の振動による影響を抑制することは好適である。
【0043】
本実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・コイル80の実装箇所は、回路基板3の周縁部分に限らず、コネクタ部4の延出部52から所定距離離れたところに設けられていてもよい。場合によっては、コイル80は、回路基板3における回転軸41の延長上に設けられてもよい。
【0044】
・傾斜面101は、コネクタ部4からコイル80へ向かうにつれて、台座部100の軸方向Xにおける厚みが小さくなるように傾斜していたが、これに限らない。例えば、台座部100の軸方向Xにおける厚みが一定であり、台座部100の軸方向Xにおける両面が回路基板3の延びる方向と交差するように傾斜していてもよい。
【0045】
・台座部100には、傾斜面101を設けなくてもよい。この場合、例えば台座部100とコイル80の側面との間の間隙を埋めるように接着剤102を塗布することにより、台座部100とコイル80とを接着固定すればよい。
【0046】
・台座部100は、コイル80の軸方向Xにおける中間地点よりも回路基板3に近接していてもよい。この場合であっても、コイル80を回路基板3に対して接着して固定する場合と比べると、コイル80を接着して固定する位置を振動起点Pから離すことができるため、コイル80の振動を抑制する効果が得られる。
【0047】
・台座部100は、軸方向Xにおいて、コイル80の重心よりも回路基板3から離れていたが、コイル80の重心よりも回路基板3に近接していてもよい。この場合であっても、コイル80を回路基板3に対して接着して固定する場合と比べると、コイル80を接着して固定する位置を振動起点Pから離すことができるため、コイル80の振動を抑制する効果が得られる。
【0048】
・コイル80を台座部100に対して接着して固定することに加えて、コイル80を回路基板3に対して接着して固定することで、コイル80の振動を抑制するようにしてもよい。
【0049】
・台座部100は、平面形状をなしている第2平面部100a及び曲面形状をなしている第2曲面部100bにより構成されていたが、第2平面部100aのみで構成されてもよいし、第2曲面部100bのみで構成されてもよい。このように、台座部100の形状は、特定電子部品の側面形状に沿った形状をなしていればよく、例えば特定電子部品の側面形状が円周面である場合、台座部100は、第2平面部100aのみによって構成される。
【0050】
・台座部100の形状は、振動抑制の対象の側面形状に加えて、周囲にある各部品の配置を考慮して決定されてもよい。例えば
図6に示すように、ねじ90を回路基板3に挿通する際に用いられる工具等の作業性を考慮して、
図4に示す2つの第2曲面部100bのうちいずれか一方を設けないようにしてもよい。
【0051】
・台座部100の形状は、振動抑制の対象の側面形状に沿った形状をなしていたが、振動抑制の対象の側面と接着して固定することができれば、振動抑制の対象の側面形状に沿っていない形状であってもよい。
【0052】
・台座部100が回路基板3の板厚方向においてコイル80と重なるように配置され、台座部100における回路基板3側の面とコイル80における回路基板3と反対側の面との間に接着剤102を塗布することにより、コイル80を台座部100に接着して固定してもよい。
【0053】
・特定電子部品は、コイル80に限らず、コンデンサ84等の回路基板3に実装されている他の電子部品70であってもよい。例えば、コンデンサ84は、電子部品70の中でも比較的体格が大きい電子部品であることから、台座部100に接着して固定することで振動抑制が行われることが好ましい。
【0054】
・モータ装置1は、軸方向Xが重力方向となるように車両の電動パワーステアリング装置に搭載されていたが、これに限らない。例えば、回路基板3が台座部100よりも重力方向上側に位置してもよい。
【0055】
・コイル80と台座部100とを接着して固定するために接着剤102を用いたが、これに限らない。例えば、接着剤102の代わりに、粘着性のあるテープ等を用いて接着固定してもよい。
【0056】
・回路基板3及びカバー6は、略六角形状をなしていたが、例えば略四角形状をなしていてもよい。すなわち、回路基板3及びカバー6の形状は、適宜変更可能である。
・モータ装置1は、車両の電動パワーステアリング装置に搭載されるものに限らず、例えば車両の車輪を駆動させる駆動装置に搭載されるものであってもよい。
【0057】
・制御装置は、モータ装置1に搭載されるものに限らず、コネクタ部4を有する電子機器に搭載されるものであればよい。
【符号の説明】
【0058】
1…モータ装置、2…モータ、3…回路基板、3a…貫通孔、4…コネクタ部、5…モータハウジング、6…カバー、11…ステータ、12…ロータ、21…ハウジング本体、22…天板、26…支持部、31…ステータコア、32…モータコイル、41…回転軸、42…ロータコア、43…永久磁石、51…ベース部、52…延出部、53…足部、54…当接部、61…側壁部、62…底壁部、63…取付部、64…係合孔、65…貫通孔、65a…内周縁部、66…段差部、70…電子部品、71…磁気センサ、72…磁石、80…コイル、81…コイルハウジング、81a…第1平面部、81b…第1曲面部、82…端子、83…半田、84…コンデンサ、90,91…ねじ、100…台座部、100a…第2平面部、100b…第2曲面部、101…傾斜面、102…接着剤、H…全高、P…振動起点、X…軸方向。