(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】表示方法、表示プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20230208BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20230208BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230208BHJP
【FI】
A63B71/06 Z
G06T7/70 B
G06T7/00 660B
A63B71/06 M
(21)【出願番号】P 2018222339
(22)【出願日】2018-11-28
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 和己
(72)【発明者】
【氏名】内藤 宏久
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/069985(WO,A1)
【文献】特開2014-133015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/00-71/16
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得し、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、
前記表示中の技または姿勢
が静止姿勢を含む場合、前記静止姿勢と、前記静止姿勢の次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定し、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する
処理を実行することを特徴とする表示方法。
【請求項2】
前記強調表示する処理は、前記時間情報に対応する時間から所定時間前までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報、または、前記時間情報に対応する時間から所定時間後までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報を強調表示することを特徴とする請求項1に記載の表示方法。
【請求項3】
前記評価指標の前記時間変化に係る情報は、前記3Dセンシングデータから認識された前記競技者の複数の関節の位置情報を含む骨格認識結果に基づく、関節間距離または関節角度の時間変化を示す情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示方法。
【請求項4】
前記強調表示する処理は、前記所定時間部分に含まれる前記関節間距離または前記関節角度の最大値および最小値を更に表示する処理を含むことを特徴とする請求項3に記載の表示方法。
【請求項5】
前記強調表示する処理は、前記時間変化に係る情報を表示する際に、静止と判断される範囲をしめす情報を、前記時間変化に係る情報に重畳する処理を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項6】
前記特定する処理は、再生時刻または再生停止時刻の選択を受け付け、前記再生時刻または再生停止時刻と前記認識結果とを基にして、前記再生時刻または再生停止時刻の前記選択により表示される前記表示中の技または姿勢が、静止姿勢を含むか否かを判定する処理を含み、
前記強調表示する処理において、前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合に、前記時間情報に対応する時間から、前記所定時間部分が強調表示されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示方法。
【請求項7】
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得し、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、
前記表示中の技または姿勢
が静止姿勢を含む場合、前記静止姿勢と、前記静止姿勢の次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定し、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする表示プログラム。
【請求項8】
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得する取得部と、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、前記表示中の技または姿勢
が静止姿勢を含む場合、前記静止姿勢と、前記静止姿勢の次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定する特定部と、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する表示制御部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得し、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、
前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合、前記静止姿勢と、前記静止姿勢の直前の技または直前の姿勢との境界となる時間情報を特定し、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する
処理を実行することを特徴とする表示方法。
【請求項10】
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得し、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、
前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合、前記静止姿勢と、前記静止姿勢の直前の技または直前の姿勢との境界となる時間情報を特定し、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする表示プログラム。
【請求項11】
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得する取得部と、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合、前記静止姿勢と、前記静止姿勢の直前の技または直前の姿勢との境界となる時間情報を特定する特定部と、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する表示制御部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
体操競技として、男子は床運動、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目、女子は跳馬、段違い平行棒、平均台、床運動の4種目が行われている。男女とも跳馬以外の種目では、複数の技を連続して行うことで、1つの演技が構成される。
【0003】
演技のスコアは、D(Difficulty)スコアとE(Execution)スコアとの合計で算出される。たとえば、Dスコアは、技の成立不成立に基づいて算出されるスコアである。Eスコアは、技の完成度に応じて、減点法により算出されるスコアである。技の成立不成立や、技の完成度は、採点規則を記したルールブックに基づく、審判員の目視により判断される。
【0004】
なお、Dスコアについて、得点表示直後、あるいは遅くとも次の選手またはチームの得点表示前に限り、得点の問合せ(Inquiries of the score)が認められている。競技エリアに入ることを許されたコーチのみが、問合せをする権利を有する。すべての問合せは上級審判員により審査される必要があり、ビデオ撮影された選手の映像を確認し、スコアが適切であるか否かを協議する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-45782号公報
【文献】特開2015-167676号公報
【文献】特開2015-33476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
問合せがあると、審判員はビデオ撮影された選手の映像を確認することになる。たとえば、技には一連の動きの中で、一定期間(たとえば、2秒)所定の姿勢を静止させる静止姿勢を含むものがある。審判員は、かかる静止姿勢が一定期間保たれていなければ、技が失敗したと判断し、スコアを減点する。ここで、問合せの対象となった技に静止姿勢が含まれていると、巻き戻し、早送りなどを行って、静止姿勢に対応する再生箇所を見つけだし、確認することになるが、選手は一連の演技の中で複数の技を行っており、該当する静止姿勢の期間を確認することは難しく、技を評価することが難しい。
【0007】
1つの側面では、本発明は、採点の対象となる技であって、静止姿勢を含む技を評価することを支援する表示方法、表示プログラムおよび情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の案では、コンピュータが以下の処理を実行する。コンピュータは、採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、一連の演技に含まれる複数の技または技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得する。コンピュータは、認識結果を基にして、一連の演技に対応する3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定する。コンピュータは、表示中の技または姿勢について、次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定する。コンピュータは、複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する。
【発明の効果】
【0009】
採点の対象となる技であって、静止姿勢を含む技を評価することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、開始姿勢および静止姿勢の一例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、演技に含まれる技の切れ目の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、参考技術の情報処理装置が生成する表示画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、参考技術のグラフの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施例に係る技認識装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、本実施例に係るセンシングDBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施例に係る関節定義データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施例に係る関節位置DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施例に係る3DモデルDBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施例に係る技辞書データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施例に係る技認識結果DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施例に係る情報処理装置が生成する表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本実施例に係るグラフの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【
図16】
図16は、本実施例に係る映像DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本実施例に係る評価指標テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、情報処理装置のその他の処理を説明するための図である。
【
図20】
図20は、情報処理装置が表示するその他の表示画面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本実施例に係る技認識装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本実施例に係る情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する表示方法、表示プログラムおよび情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
競技者は、複数の技を連続して行い、一つの演技が構成される。また、一つの技は、技の開始姿勢から開始され、技の終末姿勢により終了する。技の終末姿勢は、一定期間(たとえば、2秒)、所定の姿勢を静止させる静止姿勢となる場合が多い。以下の説明では、一定期間、所定の姿勢を静止させる終末姿勢および静止姿勢をまとめて、「静止姿勢」と表記する。
【0013】
図1は、開始姿勢および静止姿勢の一例を説明するための図である。
図1では一例として、競技者5が技「後ろ振り上がり中水平支持(2秒)」を行う例を示している。競技者5は、期間Taにおいて、開始姿勢「後ろ振り上がり」を行い、期間Tbにおいて、静止姿勢「中水平支持(2秒)」を行っている。この開始姿勢「後ろ振り上がり」と静止姿勢「中水平支持(2秒)」との組合せにより、技「後ろ振り上がり中水平支持(2秒)」となる。このように、開始姿勢および静止姿勢が決まると、技も決まる。なお、静止姿勢の期間Tbが、2秒未満である場合には、審判員は、技「後ろ振り上がり中水平支持(2秒)」が失敗であると判断する。
【0014】
図1において、期間Taの終了時刻(期間Tbの開始時刻)が、技または姿勢の切れ目となる。また、
図1に示した技の後に、次の技が続く場合には、期間Tbの終了時刻が、技または姿勢の切れ目となる。以下の説明では、技または姿勢の切れ目を、単に、「技の切れ目」と表記する。
【0015】
図1で説明したように、開始姿勢と静止姿勢との組み合わせから1つの技が決定され、
図2に示すように、競技者は複数の技を行うことで、一つの演技が構成される。
図2は、演技に含まれる技の切れ目の一例を示す図である。たとえば、技の切れ目は、次の技または次の姿勢との境界に対応するものである。
図2に示すように、競技者5は、技「後ろ振り上がり中水平支持(2秒)」の後に、「後ろ振り上がり水平支持(2秒)」を行い、「アザリアン:伸腕伸身逆上がり十字懸垂(2秒)」を行っている。そして、競技者5は、「アザリアン」の後に、「後ろ振り上がり十字倒立(2秒)」を行い、「後ろ振り上がり倒立(2秒)」を行っている。
【0016】
技「後ろ振り上がり中水平支持(2秒)」の技の切れ目は、静止姿勢「中水平支持(2秒)」の開始時刻Ta1および終了時刻Tb1となる。技「後ろ振り上がり水平支持(2秒)」の技の切れ目は、静止姿勢「水平支持(2秒)」の開始時刻Ta2および終了時刻Tb2となる。
【0017】
技「アザリアン:伸腕伸身逆上がり十字懸垂(2秒)」の技の切れ目は、静止姿勢「十字懸垂」の開始時刻Ta3および終了時刻Tb3となる。技「後ろ振り上がり十字倒立(2秒)」の技の切れ目は、静止姿勢「十字倒立(2秒)」の開始時刻Ta4および終了時刻Tb4となる。技「後ろ振り上がり倒立(2秒)」の技の切れ目は、静止姿勢「倒立」の開始時刻Ta5および終了時刻Tb5となる。
【0018】
なお、各技は、グループと、枝番とを組み合わせた技番号により識別される。たとえば、技「後ろ振り上がり中水平支持(2秒)」の技番号は「G3(グループ)-53(枝番)」となる。技「後ろ振り上がり水平支持(2秒)」の技番号は「G3-70」となる。技「アザリアン:伸腕伸身逆上がり十字懸垂(2秒)」の技番号は「G2-52」となる。技「後ろ振り上がり十字倒立(2秒)」の技番号は「G3-94」となる。技「後ろ振り上がり倒立(2秒)」の技番号は「G1-87」となる。
【0019】
次に、本実施例の説明を行う前に、本願発明に至る参考技術について説明する。この参考技術は、従来技術ではない。
【0020】
図3は、参考技術の情報処理装置が生成する表示画面の一例を示す図である。
図3に示すように、この表示画面10には、領域10a,11,12,13,14が含まれる。
【0021】
領域10aは、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御するボタンを含む領域である。審判員は、領域10aの各ボタンを押下することで、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御する。
【0022】
領域11は、映像データに基づく映像を表示する領域である。領域11に表示される映像は、領域10aで押下されたボタンに応じて、再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等がなされる。
【0023】
領域12は、予め指定される仮想視点方向から、3Dモデル映像を表示する領域である。領域12に表示される3Dモデル映像は、領域10aで押下されたボタンに応じて、再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等がなされる。
【0024】
領域13は、各技にそれぞれ関連する評価指標のアイコンを表示する領域である。評価指標は、技のスコアを決定するための指標であり、評価指標が理想的な値から乖離するほど、スコアが悪くなる。評価指標には、競技者の複数の関節を通るある直線と複数の直線を通る他の直線とのなす角度(関節角度)、ある直線と他の直線との距離、基準線(基準面)とある直線とのなす角度などが含まれる。一例をあげると、評価指標には、膝角度、肘角度、肩角度、膝間の距離、競技者のある関節位置と垂線との距離等が含まれる。
【0025】
審判員は、領域13に表示される複数のアイコンのうち、いずれかのアイコンを選択する。たとえば、情報処理装置は、肩角度に対応するアイコン131-3が選択されると、肩角度に関する補助情報121-3を表示する。
【0026】
領域14は、選択されたアイコンの評価指標について、時間変化に係る情報を時系列に示すグラフを表示する領域である。審判員は、領域14のグラフを参照することで、競技者が演技した静止姿勢が成立条件を満たしているか否かを確認する。静止姿勢の成立条件には、一定期間(2秒)、競技者が静止しているという条件がある。たとえば、情報処理装置70は、肩角度に対応するアイコン131-3が選択されると、肩角度の時間変化を、グラフにより時系列に表示する。肩角度の最大値と最小値との差が小さい場合に、(肩周りに関しては)競技者が静止していると判断される。
【0027】
図4は、参考技術のグラフの一例を示す図である。グラフ15の縦軸は、評価指数に関する値であり、たとえば、肩角度に対応するものである。グラフ15の横軸は、時間に対応する軸である。審判員は、競技者の静止姿勢を評価する場合、
図3に示した領域12の3Dモデル映像を参照し、競技者の姿勢が静止姿勢となったことを確認すると、領域10aの停止ボタンを押下する。たとえば、審判員が停止ボタンを押下したタイミング(時刻)を「Current」とする。
【0028】
情報処理装置は、停止ボタンが押下されると、グラフ15において、「Current」から所定時間前(たとえば、2秒)までの所定時間部分15aを強調表示する。また、情報処理装置は、所定時間部分15aにおいて、肩角度の最大値を示すマーカ16aと、最小値を示すマーカ16bとを表示する。審判官は、領域14に表示されるグラフ15の所定時間部分15aを参照して、競技者の姿勢が、静止姿勢の成功条件を満たす「2秒」以上静止しているか否かを確認する。最大値と最小値との差が大きい場合には、競技者が静止していないと判断される。
【0029】
ここで、参考技術によれば、領域11に現在表示されている時点を基準として、グラフ15において、所定時間が強調表示されるため、停止時刻が実際の静止姿勢の終了時刻よりも前となる場合があり、審判員が静止姿勢の静止期間が足りないと誤判断してしまう場合がある。競技者が実際に行った静止姿勢の期間を時刻Ts~Teとすると、
図4に示す例では「Current」が、静止姿勢の終了時刻Tsよりも前の時刻となっており、所定時間部分15aにおいて、マーカ16aとマーカ16bとの差が大きい。この場合には、審判員は、競技者が行った静止姿勢が成功条件を満たしていないと判断する場合がある。
【0030】
これに対して、競技者が実際に行った静止姿勢の期間を時刻Ts~Teとすると、時刻Ts~Teにおける最大値と最小値との差が閾値未満であるため、時刻Ts~Teにおいて、競技者は静止しているといえ、また、時刻Ts~Teの期間が2秒以上であるため、静止姿勢の成功条件を満たしている。すなわち、参考技術では、競技者の静止姿勢に対する評価を審判官が行うことを支援できない場合がある。
【0031】
次に、本実施例に係るシステムの一例について説明する。
図5は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図5に示すように、このシステムは、3Dレーザセンサ50と、カメラ55と、技認識装置80と、情報処理装置100とを有する。ここでは一例として、競技者5は、3Dレーザセンサ50およびカメラ55の前方で体操演技を行う場合について説明するが、競技者5が他の採点競技を行う場合にも同様に適用することができる。
【0032】
たとえば、他の採点競技は、トランポリン、水泳の飛び込み、フィギュアスケート、空手の型、社交ダンス、スノーボード、スケートボード、スキーエアリアル、サーフィンを含む。また、クラシックバレエ、スキージャンプ、モーグルのエアー、ターン、野球、バスケットボールのフォームチェック等にも適用してもよい。また、剣道、柔道、レスリング、相撲などの競技にも適用してもよい。
【0033】
3Dレーザセンサ50は、競技者5に対して3Dセンシングを行うセンサである。3Dレーザセンサ50は、センシング結果となる3Dセンシングデータを、認識装置60に出力する。以下の説明では、3Dセンシングデータを、単に、「センシングデータ」と表記する。センシングデータには、複数のフレームが含まる。フレームは、フレーム番号と、競技者5上の各点までの距離情報とを含む。センシングデータの各フレームには、フレーム番号が昇順に付与される。
【0034】
カメラ55は、競技者5の映像データを撮影する装置である。カメラ55は、映像データを、情報処理装置100に出力する。映像データには、競技者5の画像に相当する複数のフレームが含まれ、各フレームには、フレーム番号が割り振られる。映像データのフレーム番号と、センシングデータのフレーム番号とは、同期しているものとする。また、下記の説明では、適宜、センシングデータに含まれるフレームを、「センシングフレーム」と表記し、映像データのフレームを「映像フレーム」と表記する。
【0035】
技認識装置80は、3Dレーザセンサ50がセンシングしたセンシングデータを基にして、3Dモデルデータを生成する。技認識装置80は、3Dモデルデータを基にして、競技者5が行った種目および技を認識する。技認識装置80は、3Dモデルデータおよび認識結果データを、情報処理装置100に出力する。認識結果データには、フレーム番号と、認識した種目および技の種別とが含まれる。この認識結果データには、姿勢認識結果も含まれる。
【0036】
図6は、本実施例に係る技認識装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、この技認識装置80は、通信部81と、記憶部82と、制御部83とを有する。
【0037】
通信部81は、3Dレーザセンサ50と、情報処理装置100とのデータ通信を実行する処理部である。通信部81は、通信装置に対応する。
【0038】
記憶部82は、センシングDB82a、関節定義データ82b、関節位置DB82c、3DモデルDB82d、技辞書データ82e、技認識結果DB82fを有する。記憶部82は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。
【0039】
センシングDB82aは、3Dレーザセンサ50から取得するセンシングデータを格納するDBである。
図7は、本実施例に係るセンシングDBのデータ構造の一例を示す図である。
図7に示すように、このセンシングDB82aは、演技IDと、フレーム番号と、フレームとを対応づける。演技ID(Identification)は、競技者5が行った一つの演技を一意に識別する情報である。フレーム番号は、同一の演技IDに対応する各センシングフレームを一意に識別する番号である。センシングフレームは、3Dレーザセンサ50にセンシングされたセンシングデータに含まれるフレームである。
【0040】
関節定義データ82bは、競技者5の各関節位置を定義するデータである。
図8は、本実施例に係る関節定義データのデータ構造の一例を示す図である。
図8に示すように、関節定義データ82bは、公知の骨格モデルで特定される各関節をナンバリングした情報を記憶する。たとえば、
図8に示すように、右肩関節(SHOULDER_RIGHT)にはA7番が付与され、左肘関節(ELBOW_LEFT)にはA5番が付与され、左膝関節(KNEE_LEFT)にはA11番が付与され、右股関節(HIP_RIGHT)にはA14番が付与される。ここで、本実施例では、A8番の右肩関節のX座標をX8、Y座標をY8、Z座標をZ8と記載する場合がある。なお、点線の数字は、骨格モデルから特定されても、採点には利用されない関節等である。
【0041】
関節位置DB82cは、3Dレーザセンサ50のセンシングデータを基に生成される競技者5の各関節の位置データである。
図9は、本実施例に係る関節位置DBのデータ構造の一例を示す図である。
図9に示すように、この関節位置DB82cは、演技IDと、フレーム番号と、「X0、Y0、Z0、・・・、X17、Y17、Z17」を対応づける。演技IDに関する説明は、センシングDB82aで行った説明と同様である。
【0042】
図9において、フレーム番号は、同一の演技IDに対応する各センシングフレームを一意に識別する番号である。「X0、Y0、Z0、・・・、X17、Y17、Z17」は、各関節のXYZ座標であり、たとえば「X0、Y0、Z0」は、
図8に示すA0番号の関節の3次元座標である。
【0043】
図9は、演技ID「P101」のセンシングデータにおける各関節の時系列の変化を示しており、フレーム番号「1」では、各関節の位置が「X0=100、Y0=20、Z0=0、・・・、X17=200、Y17=40、Z17=5」あることを示す。そして、フレーム番号「2」では、各関節の位置が「X0=101、Y0=25、Z0=5、・・・、X17=202、Y17=39、Z17=15」へ移動したことを示す。
【0044】
3DモデルDB82dは、センシングデータを基に生成される競技者5の3Dモデルのデータを格納するデータベースである。
図10は、本実施例に係る3DモデルDBのデータ構造の一例を示す図である。
図10に示すように、3DモデルDB82dは、演技IDと、フレーム番号と、骨格データと、3Dモデルデータとを対応づける。演技ID、フレーム番号に関する説明は、センシングDB82aで行った説明と同様である。
【0045】
骨格データは、各関節位置を接続することで推定される競技者5の骨格を示すデータである。3Dモデルデータは、センシングデータから得られる情報と、骨格データとを基にして推定される競技者5の3Dモデルのデータである。
【0046】
技辞書データ82eは、競技者5が行う演技に含まれる技を認識する場合に用いられる辞書データである。
図11は、本実施例に係る技辞書データのデータ構造の一例を示す図である。
図11に示すように、この技辞書データ82eは、種目と、技番号と、技名と、成立条件とを対応付ける。種目は、演技の種目を示す。技番号は、技を一意に識別する情報である。技名は、技の名称である。成立条件は、技が成立する条件を示すものである。成立条件には、該当する技が成立するための各関節位置、各関節角度、各関節位置の推移などが含まれる。技が静止姿勢を含む場合には、成立条件には、静止姿勢が成立する条件が含まれる。図示を省略するが、技辞書データ82eにおいて、枝番号毎に、静止姿勢を含むか否かの情報を設定してもよい。また、成立条件には、姿勢の成立条件が含まれていてもよい。また、技辞書データ82eは、この姿勢の成立条件と、姿勢の名称とを対応付けていてもよい。
【0047】
技認識結果DB82fは、技の認識結果を格納するデータベースである。
図12は、本実施例に係る技認識結果DBのデータ構造の一例を示す図である。
図12に示すように、この技認識結果DB82fは、種目、演技ID、技番号、第1開始時刻、第1終了時刻、フラグ、第2開始時刻、第2終了時刻、技名を対応付ける。
【0048】
種目、技番号、技名に関する説明は、技辞書データ82eで説明したものと同様である。第1開始時刻は、各技の開始時刻を示す。演技IDは、演技を一意に識別する情報である。第1終了時刻は、各技の終了時刻を示す。フラグは、該当する技に静止姿勢が含まれているか否かを示す情報である。技に静止姿勢が含まれている場合には、フラグは「オン」となる。技に静止姿勢が含まれていない場合には、フラグは「オフ」となる。
【0049】
第2開始時刻は、技に含まれる静止姿勢の開始時刻を示す。第2終了時刻は、技に含まれる静止姿勢の終了時刻を示す。
図12に示す例では、演技者が一連の演技で行った技の順番は、「G3-53、G2-52、G1-87、G1-51、G1-52、G3-16、G1-49、G3-69、G1-81、G1-26、G4-41」となる。
【0050】
図6の説明に戻る。制御部83は、取得部83a、モデル生成部83b、技認識部83c、通知部83dを有する。制御部83は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって実現できる。また、制御部83は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0051】
取得部83aは、3Dレーザセンサ50から、センシングデータを取得する処理部である。取得部83aは、取得した3Dレーザセンサ50を、センシングDB82aに格納する。
【0052】
モデル生成部83bは、センシングDB82aを基にして、各演技IDの各フレーム番号に対応する3Dモデルデータを生成する処理部である。以下において、モデル生成部83bの処理の一例について説明する。モデル生成部83bは、センシングDB82aのセンシングフレームと、関節定義データ82bに定義された各関節の位置関係とを比較して、センシングフレームに含まれる各関節の種別および関節の3次元座標を特定する。モデル生成部83bは、各演技IDのフレーム番号毎に上記処理を繰り返し実行することで、関節位置DB82cを生成する。
【0053】
モデル生成部83bは、関節位置DB82cに格納された各関節の3次元座標を、関節定義データ82bに定義された接続関係を基にしてつなぎ合わせることで、骨格データを生成する。また、モデル生成部83bは、推定した骨格データを、競技者5の体格に合わせた骨格モデルに当てはめることで、3Dモデルデータを生成する。モデル生成部83bは、各演技IDのフレーム番号毎に上記処理を繰り返し実行することで、3DモデルDB82dを生成する。
【0054】
技認識部83cは、3DモデルDB82dに格納される各骨格データをフレーム番号順に辿り、各骨格データと技辞書データ82eに格納される成立条件とを比較して、成立条件にヒットするか否かを認識する。技認識部83cは、ある成立条件にヒットした場合には、ヒットしたある成立条件に対応する種目、技番号、技名を特定する。また、技認識部83cは、予め設定されたFPS(Frames per second)を基にして、ある成立条件にヒットした一連のフレーム番号の開始フレーム番号を第1開始時刻に変換し、一連のフレーム番号の終了フレームを第1終了時刻に変換する。技認識部83cは、種目、演技ID、技番号、第1開始時刻、第1終了時刻、技名を対応付けて、技認識結果D82fに格納する。また、技認識部83cは、各骨格データと技辞書データ82eに格納される姿勢の成立条件とを比較して、成立する姿勢を更に特定してもよい。
【0055】
技認識部83cは、特定した技に静止姿勢が含まれるか否かを判定する。技認識部83cは、技に静止姿勢が含まれない場合には、技認識結果DB82fのフラグを「オフ」に設定する。一方、技認識部83cは、技に静止姿勢が含まれる場合には、技認識結果DB82fのフラグを「オン」に設定する。技認識結果DB82fは、静止姿勢の開始時刻を、第2開始時刻とし、静止姿勢の終了時刻を、第2終了時刻として、技認識結果DB82fに格納する。なお、ここでいう、「時刻」は、時間情報の一例である。たとえば、時間情報は、日付および時刻を含む情報であってもよいし、演技開始からの経過時間を示すものでもよい。
【0056】
技認識部83cは、成立条件にヒットする度に、上記処理を繰り返し実行することで、技認識結果DB82fを生成する。
【0057】
通知部83dは、3DモデルDB82dの情報と技認識結果DB82fの情報とを、情報処理装置100に送信する処理部である。
【0058】
図5の説明に戻る。情報処理装置100は、映像および3Dモデル映像を表示する表示画面の情報を生成し、表示部(図示略)に表示させる処理部である。
図13は、本実施例に係る情報処理装置が生成する表示画面の一例を示す図である。
図13に示すように、この表示画面20には、領域20a、21、22a~22d、23を有する。
【0059】
領域20aは、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御するボタンを含む領域である。審判員は、領域20aの各ボタンを押下することで、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御する。
【0060】
領域21は、映像データに基づく映像を表示する領域である。領域21に表示される映像は、領域20aで押下されたボタンに応じて、再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等がなされる。
【0061】
領域22は、予め指定される仮想視点方向から、3Dモデル映像を表示する領域である。領域22に表示される3Dモデル映像は、領域20aで押下されたボタンに応じて、再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等がなされる。
【0062】
領域23は、各技にそれぞれ関連する評価指標のアイコンを表示する領域である。評価指標は、技のスコアを決定するための指標であり、評価指標が理想的な値から乖離するほど、スコアが悪くなる。評価指標には、競技者5の複数の関節を通るある直線と複数の直線を通る他の直線とのなす角度(関節角度)、ある直線と他の直線との距離、基準線(基準面)とある直線とのなす角度などが含まれる。一例をあげると、評価指標には、膝角度、肘角度、肩角度、膝間の距離、競技者のある関節位置と垂線との距離等が含まれる。
【0063】
審判員は、領域23に表示される複数のアイコンのうち、いずれかのアイコンを選択する。たとえば、情報処理装置100は、肩角度に対応するアイコン231-3が選択されると、肩角度に関する補助情報221-3を表示する。
【0064】
領域24は、選択されたアイコンの評価指標について、時間変化に係る情報を時系列に示すグラフを表示する領域である。審判員は、領域24のグラフを参照することで、競技者が演技した静止姿勢が成立条件を満たしているか否かを確認する。静止姿勢の成立条件には、一定期間(2秒)、競技者5が静止しているという条件がある。たとえば、情報処理装置100は、肩角度に対応するアイコン231-3が選択されると、肩角度の時間変化を、グラフにより時系列に表示する。肩角度の最大値と最小値との差が大きい場合に、(肩周りに関しては)競技者5が静止していると判断される。
【0065】
図14は、本実施例に係るグラフの一例を示す図である。グラフ25の縦軸は、評価指数に関する値であり、たとえば、肩角度に対応するものである。グラフ25の横軸は、時間に対応する軸である。審判員は、競技者5の静止姿勢を評価する場合、
図14に示した領域22の3Dモデル映像を参照し、競技者5の姿勢が静止姿勢となったことを確認すると、領域20aの停止ボタンを押下する。たとえば、審判員が停止ボタンを押下したタイミング(時刻)や、再生されている時刻を「Current」とする。
【0066】
情報処理装置100は、停止ボタンが押下されると、「Current」において競技者5により演技されている技を特定する。なお。一時停止にかかわらず、情報処理装置100は、再生されている時刻「Current」において、競技者5により演技されている技を特定する。情報処理装置100は、特定した技に含まれる静止姿勢の第2終了時刻「Te」を特定し、第2終了時刻から所定時間前(たとえば、2秒)までの所定時間部分25aを強調表示する。
【0067】
情報処理装置100は、所定時間部分25aにおいて、肩角度の最大値を示すマーカ26aと、最小値を示すマーカ26bとを表示する。審判官は、領域24に表示されるグラフ25の所定時間部分25aを参照して、競技者5の姿勢が、静止姿勢の成功条件を満たす「2秒」以上静止しているか否かを確認する。最大値と最小値との差が大きい場合には、競技者5が静止していないと判断される。
【0068】
図14に示すように、本実施例に係る情報処理装置100は、技に含まれる静止姿勢の第2静止時刻から所定時間前(たとえば、2秒)までの所定時間部分25aを強調表示する。
図4で説明した参考技術と異なり、情報処理装置100は、審判員が停止ボタンを押下したタイミングにおいて、競技者5の技に静止姿勢が含まれてさえいれば、第2静止時刻から所定時間前までの所定時間部分25aを強調表示されるので、審判員は、静止姿勢の成立条件を満たしているか否かを適切に判断することができる。また、参考技術のグラフの表示方法と比較して、審判員の誤判断を抑止できるので、スコアの採点精度が改善される。
【0069】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図15は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す図である。
図15に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0070】
通信部110は、カメラ55および技認識装置80とデータ通信を行う処理部である。たとえば、通信部110は、技認識装置80から3DモデルDB82dの情報および技認識結果DB82fの情報を受信し、受信した3DモデルDB82dの情報および技認識結果DB82fの情報を制御部150に出力する。また、通信部110は、カメラ55から映像データを受信し、受信した映像データを制御部150に出力する。後述する制御部150は、通信部110を介して、カメラ55、技認識装置80とデータをやり取りする。
【0071】
入力部120は、各種の情報を情報処理装置100に入力するための入力装置である。たとえば、入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。審判員は、入力部120を操作して、
図13等に示した表示画面20の領域20aのボタンを選択することで、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御する。また、入力部120を操作して、審判員は、
図13に示した表示画面20の領域23に含まれるアイコンを選択する。
【0072】
表示部130は、制御部150から出力される各種の情報を表示する表示装置である。たとえば、表示部130は、
図13等に示した表示画面20の情報を表示する。また、審判員が領域23に含まれるアイコンを押下することで、領域24に表示させる評価指標のグラフを切り替える。
【0073】
記憶部140は、映像DB140a、3DモデルDB92d、技認識結果DB92f、評価指標テーブル140dを有する。記憶部140は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDDなどの記憶装置に対応する。
【0074】
映像DB140aは、映像フレームを格納するデータベースである。
図16は、本実施例に係る映像DBのデータ構造の一例を示す図である。
図16に示すように、この映像DB140aは、演技IDと、フレーム番号と、映像フレームとを対応付ける。演技IDは、競技者5が行った一つの演技を一意に識別する情報である。フレーム番号は、同一の演技IDに対応する各映像フレームを一意に識別する番号である。映像フレームは、カメラ55に撮影された映像データに含まれるフレームである。
図7に示したセンシングフレームのフレーム番号と、映像フレームのフレーム番号とは同期しているものとする。
【0075】
3DモデルDB92dは、技認識装置80により生成される競技者5の3Dモデルの情報を格納するデータベースである。3DモデルDB92dのデータ構造は、
図10で説明した3DモデルDB82dのデータ構造と同様である。
【0076】
技認識結果DB92fは、技認識装置80により生成される一連の演技に含まれる各技の認識結果を格納するデータベースである。技認識結果DB92fのデータ構造は、
図12で説明した技認識結果DB82fのデータ構造と同様である。
【0077】
評価指標テーブル140bは、アイコンの評価指標に関する各種の情報を保持するテーブルである。
図17は、本実施例に係る評価指標テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図17に示すように、この評価指標テーブル140bは、アイコン識別番号と、アイコン画像と、評価指標と、定義とを対応付ける。
【0078】
アイコン識別番号は、アイコンを一意に識別する情報である。アイコン画像は、
図13の領域23に示した各アイコンの画像を示すものである。評価指標は、技のスコアを決定するための指標である。定義は、競技者5の評価指標を骨格データから導くための定義を示すものである。たとえば、骨格データに含まれる複数の関節の内、ある関節とある関節とを結ぶ直線、および、2つの直線のなす角度(関節角度)などにより、評価指標が定義される。
【0079】
図15の説明に戻る。制御部150は、取得部150aと、表示制御部150bと、特定部150cとを有する。制御部150は、ASICやFPGAなどのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0080】
取得部150aは、カメラ55から映像データを取得し、取得した映像データを、映像DB140aに格納する。取得部150aは、技認識装置80から3DモデルDB82dの情報および技認識結果DB82fの情報を取得し、取得した3DモデルDB82dの情報を、3DモデルDB92dに格納する。また、取得部150aは、技認識結果DB82fの情報を技認識結果DB92fに格納する。
【0081】
表示制御部150bは、
図13に示した表示画面20の情報を生成し、表示部130に表示する処理部である。表示制御部150bは、映像DB140aから映像フレームを順に読み出し、表示画面20の領域21において、映像を再生する。
【0082】
表示制御部150bは、3DモデルDB92dから3Dモデルデータを順に読み出し、表示画面20の領域22において、3Dモデル映像を再生する。各領域22に表示される3Dモデル映像は、予め指定された仮想視点方向から、3Dモデルデータを撮影した映像である。
【0083】
表示制御部150bは、領域21に表示する映像の時刻(フレーム番号)と、各領域22に表示される各3Dモデル映像の時刻(フレーム番号)とを同期させて再生させるものとする。表示制御部150bは、審判員により、領域20aに表示されるボタンを押下された場合には、押下されたボタンに応じて、領域21の映像、領域22の3Dモデル映像に関して、再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を行う。
【0084】
表示制御部150bは、領域22に現在表示している3Dモデル映像の再生時刻の情報を、特定部150cに出力する。以下の説明では、領域22に現在表示している3Dモデル映像の再生時刻を単に「再生時刻」と表記する。この再生時刻は、
図14のグラフに示した「Current」に対応するものである。なお、本実施例では、再生時刻を用いて説明するが、領域21、22の表示時刻であってもよい。
【0085】
表示制御部150bは、評価指標テーブル140bを参照して、アイコンのアイコン画像を取得し、各アイコンを表示画面20の領域23にそれぞれ表示する。表示制御部150bは、審判員により、表示画面20の領域23に表示した複数のアイコン(アイコン画像)のうち、いずれかのアイコンが選択されると、選択されたアイコンに対応する評価指標のグラフを生成し、領域24に表示させる。
【0086】
表示制御部150bがグラフを生成する処理の一例について説明する。表示制御部150bは、審判員に選択されたアイコンのアイコン識別番号と、評価指標テーブル140bとを比較し、選択されたアイコンに関する評価指標を特定する。表示制御部150bは、特定した評価指標の定義と、3DモデルDB92dの骨格データとを比較して、評価指標に関する時間変化の値を算出する。たとえば、表示制御部150bは、再生時刻よりも所定時間前の時刻Thsと、再生時刻から所定時間後の時刻Theとを特定する。表示制御部150bは、時刻Ths~Theの骨格データを基にして、時刻Ths~Theの評価指標に関する時間変化の値を算出し、グラフを生成する。
【0087】
表示制御部150bは、後述する特定部150cから、特定情報を取得する。特定情報には、静止姿勢の第2開始時刻と、第2終了時刻とが含まれる。表示制御部150bは、上記処理により生成したグラフにおいて、第2終了時刻から所定時間前までの所定時間部分を強調表示する。
図14で説明したグラフ25では、所定時間部分25aが強調表示される。また、表示制御部150bは、所定時間部分に含まれる評価指標の時間変化の値を走査して、最大値および最小値を特定し、最大値および最小値となる部分にマーカを設定する。表示制御部150bは、所定時間部分に含まれる最大値および最小値の数値を、表示画面に表示してもよい。
【0088】
表示制御部150bは、審判員により、表示画面20の領域23に表示した複数のアイコン(アイコン画像)のうち、いずれかのアイコンが選択されると、選択されたアイコンのアイコン識別情報に対応する補助情報を、領域22の3Dモデル映像に重畳して表示する。
図13に示す例では、肩角度に関する補助情報22
1-3を表示されている。アイコン識別情報に対応する補助情報は、予め設定されているものとする。また、表示制御部150bは、上記のグラフを生成する際に算出した評価指標に対応する値を、3Dモデル映像の補足情報に合わせて表示してもよい。
【0089】
特定部150cは、表示制御部150bから再生時刻の情報を基にして、特定情報を生成し、特定情報を表示制御部150bに出力する処理部である。たとえば、特定部150cは、再生時刻と、技認識結果DB92fとを比較して、再生時刻に対応する技番号を特定する。特定部150cは、技番号に対応するフラグが「オフ」である場合には、特定情報の生成を行わず、処理をスキップする。
【0090】
特定部150cは、技番号に対応するフラグが「オン」である場合には、枝番号に対応する第2開始時刻および第2終了時刻を取得し、取得した第2開始時刻および第2終了時刻を含む特定情報を生成する。特定部150cは、生成した特定情報を、表示制御部150bに出力する。特定部150cは、再生時刻の情報を受け付ける度に、上記処理を繰り返し実行する。
【0091】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の処理手順の一例について説明する。
図18は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図18に示すように、情報処理装置100の取得部150aは、映像データと、3DモデルDB82dの情報と、技認識結果DB82fの情報とを取得し、記憶部140に格納する。
【0092】
情報処理装置100の表示制御部150bは、映像データおよび3Dモデル映像の再生を開始する(ステップS102)。表示制御部150bは、再生開始時刻の変更指定を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。表示制御部150bは、再生開始時刻の変更指定を受け付けていない場合には(ステップS103,No)、ステップS105に移行する。
【0093】
一方、表示制御部150bは、再生開始時刻の変更指定を受け付けた場合には(ステップS103,Yes)、再生時刻を変更して再生を継続し(ステップS104)、ステップS105に移行する。
【0094】
情報処理装置100の特定部150cは、再生に同期して、再生時刻に対応する技番号を特定する(ステップS105)。特定部150cは、技認識結果DB92fにおいて、枝番号に対応するフラグがオンでない場合には(ステップS106,No)、ステップS109に移行する。
【0095】
特定部150cは、技番号に対応する技の静止姿勢の第2終了時刻(および第2開始時刻)を特定する(ステップS107)。表示制御部150bは、選択中のアイコンに対応する評価指標の時間変化の情報を、時系列に(グラフで)表示し、第2終了時刻から所定時間前までの所定時間部分を強調表示する(ステップS108)。
【0096】
表示制御部150bは、3Dモデル映像に、アイコンに対応する補助情報を重畳して表示する(ステップS109)。表示制御部150bは、処理を継続する場合には(ステップS110,Yes)、ステップS103に移行する。一方、表示制御部150bは、処理を継続しない場合には(ステップS110,No)、処理を終了する。
【0097】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の効果について説明する。情報処理装置100は、再生時刻に対応する技または姿勢の切れ目となる時刻を特定する。情報処理装置100は、複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を時系列に表示する際に、技または姿勢の切れ目となる時刻から、所定時間部分を強調表示する。これによって、競技者5の技を評価することを支援することが可能となる。
【0098】
たとえば、
図14で説明したように、情報処理装置100は、技に含まれる静止姿勢の第2静止時刻から所定時間前(たとえば、2秒)までの所定時間部分25aを強調表示する。
図4で説明した参考技術と異なり、情報処理装置100は、審判員が停止ボタンを押下したタイミングにおいて、競技者5の技に静止姿勢が含まれてさえいれば、第2終了時刻から所定時間前までの所定時間部分25aを強調表示されるので、審判員は、静止姿勢の成立条件を満たしているか否かを適切に判断することができる。また、参考技術のグラフの表示方法と比較して、審判員の誤判断を抑止できるので、スコアの採点精度が改善される。
【0099】
情報処理装置100は、第2静止時刻から所定時間前までの所定時間部分25aを強調表示する場合に、所定時間部分25aにおける評価指標に関する値の最大値および最小値を特定して、マーカで表示する。これによって、審判官は、最大値および最小値の比較により、競技者5が静止しているか否かを容易に判断することができる。
【0100】
情報処理装置100は、映像または3Dモデル映像の再生時刻と同期して、再生時刻に対応する技が、静止姿勢を含むか否かを判定する。情報処理装置100は、再生時刻に対応する技に、静止姿勢が含まれる場合に、第2静止時刻から所定時間前までの所定時間部分25aを強調表示する処理を実行するため、情報処理装置100の処理負荷を軽減することができる。
【0101】
ところで、上述した情報処理装置100の処理は一例であり、情報処理装置100は、その他の処理を実行してもよい。たとえば、情報処理装置100の表示制御部150bは、審判員が停止ボタンを押下したタイミングにおいて、競技者5の技に静止姿勢が含まれてさえいれば、第2開始時刻から所定時間後までの所定時間部分を強調表示してもよい。
【0102】
図19は、情報処理装置のその他の処理を説明するための図である。グラフ35の縦軸は、評価指数に関する値であり、たとえば、肩角度に対応するものである。グラフ35の横軸は、時間に対応する軸である。たとえば、審判員が停止ボタンを押下したタイミング(時刻)や再生されている時刻を「Current」とする。表示制御部150bは、特定した技に含まれる静止姿勢の第2開始時刻「Ts」を特定し、第2開始時刻から所定時間後(たとえば、2秒)までの所定時間部分35aを強調表示する。また、情報処理装置100は、所定時間部分35aにおいて、肩角度の最大値を示すマーカ36aと、最小値を示すマーカ36bとを表示する。
【0103】
審判員が停止ボタンを押下したタイミングにおいて、競技者5の技に静止姿勢が含まれてさえいれば、第2開始時刻から所定時間前までの所定時間部分35aを強調表示されるので、審判員は、静止姿勢の成立条件を満たしているか否かを適切に判断することができる。
【0104】
図20は、情報処理装置が表示するその他の表示画面の一例を示す図である。
図20に示すように、この表示画面30は、領域30a、31、32a~32d、33を有する。
【0105】
領域30aは、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御するボタンを含む領域である。審判員は、領域20aの各ボタンを押下することで、映像、3Dモデル映像の再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等を制御する。
【0106】
領域32a~32dは、予め指定される仮想視点方向から、3Dモデル映像をそれぞれ表示する領域である。領域32a~32dに表示される3Dモデル映像は、領域30aで押下されたボタンに応じて、再生、停止、コマ送り、早送り、巻き戻し等がなされる。
【0107】
領域33は、各技にそれぞれ関連する評価指標のアイコンを表示する領域である。審判員は、領域33に表示される複数のアイコンのうち、いずれかのアイコンを選択する。
【0108】
領域34は、選択されたアイコンの評価指標について、時間変化に係る情報を時系列に示すグラフを表示する領域である。審判員は、領域34のグラフを参照することで、競技者が演技した静止姿勢が成立条件を満たしているか否かを確認する。たとえば、情報処理装置100は、再生時刻において競技者5が演技している技に静止姿勢が含まれる場合に、静止姿勢の開始時刻Tsから終了時刻Teの領域を強調表示してもよい。
【0109】
なお、
図5に示したシステムでは、技認識装置80と、情報処理装置100とが別の装置に実装される場合について説明したがこれに限定されるものではなく、情報処理装置100が、技認識装置80の機能を有していてもよい。たとえば、情報処理装置100が、技認識装置80の制御部83に示す機能を有し、記憶部82に格納された情報を基にして、3DモデルDB82d、技認識結果DB82fを生成してもよい。
【0110】
次に、本実施例に示した技認識装置80および情報処理装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
図21は、本実施例に係る技認識装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0111】
図21に示すように、コンピュータ400は、各種演算処理を実行するCPU401と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置402と、ディスプレイ403とを有する。また、コンピュータ400は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置404と、有線または無線ネットワークを介して、3Dレーザセンサ50等との間でデータの授受を行うインタフェース装置405とを有する。コンピュータ400は、各種情報を一時記憶するRAM406と、ハードディスク装置407とを有する。そして、各装置401~407は、バス408に接続される。
【0112】
ハードディスク装置407は、取得プログラム407a、モデル生成プログラム407b、技認識プログラム407c、通知プログラム407dを有する。CPU401は、受信プログラム407a、生成プログラム407b、技認識プログラム407c、通知プログラム407dを読み出してRAM406に展開する。
【0113】
取得プログラム407aは、取得プロセス406aとして機能する。モデル生成プログラム407bは、モデル生成プロセス406bとして機能する。技認識プログラム407cは、技認識プロセス406cとして機能する。通知プログラム407dは、通知プロセス406dとして機能する。
【0114】
取得プロセス406aの処理は、取得部83aの処理に対応する。モデル生成プロセス406bの処理は、モデル生成部83bの処理に対応する。技認識プロセス406cの処理は、技認識部83cの処理に対応する。通知プロセス406dの処理は、通知部83dの処理に対応する。
【0115】
なお、各プログラム407a~407dについては、必ずしも最初からハードディスク装置407に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ400に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ400が各プログラム407a~407dを読み出して実行するようにしてもよい。
【0116】
図22は、本実施例に係る情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0117】
図22に示すように、コンピュータ500は、各種演算処理を実行するCPU501と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置502と、ディスプレイ503とを有する。また、コンピュータ500は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置504と、有線または無線ネットワークを介して、カメラ55、技認識装置80等との間でデータの授受を行うインタフェース装置505とを有する。コンピュータ500は、各種情報を一時記憶するRAM506と、ハードディスク装置507とを有する。そして、各装置501~507は、バス508に接続される。
【0118】
ハードディスク装置507は、取得プログラム507a、表示制御プログラム507b、特定プログラム507cを有する。CPU501は、取得プログラム507a、表示制御プログラム507b、特定プログラム507cを読み出して、RAM506に展開する。
【0119】
取得プログラム507aは、取得プロセス506aとして機能する。表示制御プログラム507bは、表示制御プロセス506bとして機能する。特定プログラム507cは、特定プロセス506cとして機能する。
【0120】
取得プロセス506aの処理は、取得部150aの処理に対応する。表示制御プロセス506bの処理は、表示制御部150bの処理に対応する。特定プロセス506cの処理は、特定部150cの処理に対応する。
【0121】
なお、各プログラム507a~507cについては、必ずしも最初からハードディスク装置507に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ500に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ400が各プログラム507a~507cを読み出して実行するようにしてもよい。
【0122】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0123】
(付記1)コンピュータが、
採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得し、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、
前記表示中の技または姿勢について、次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定し、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する
処理を実行することを特徴とする表示方法。
【0124】
(付記2)前記強調表示する処理は、前記時間情報に対応する時間から所定時間前までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報、または、前記時間情報に対応する時間から所定時間後までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報を強調表示することを特徴とする付記1に記載の表示方法。
【0125】
(付記3)前記評価指標の前記時間変化に係る情報は、前記3Dセンシングデータから認識された前記競技者の複数の関節の位置情報を含む骨格認識結果に基づく、関節間距離または関節角度の時間変化を示す情報であることを特徴とする付記1または2に記載の表示方法。
【0126】
(付記4)前記強調表示する処理は、前記所定時間部分に含まれる前記関節間距離または前記関節角度の最大値および最小値を更に表示する処理を含むことを特徴とする付記3に記載の表示方法。
【0127】
(付記5)前記強調表示する処理は、前記時間変化に係る情報を表示する際に、静止と判断される範囲をしめす情報を、前記時間変化に係る情報に重畳する処理を含むことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか一項に記載の表示方法。
【0128】
(付記6)前記特定する処理は、再生時刻または再生停止時刻の選択を受け付け、前記再生時刻または再生停止時刻と前記認識結果とを基にして、前記再生時刻または再生停止時刻の前記選択により表示される前記表示中の技または姿勢が、静止姿勢を含むか否かを判定する処理を含み、
前記強調表示する処理において、前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合に、前記時間情報に対応する時間から、前記所定時間部分が強調表示されることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか一項に記載の表示方法。
【0129】
(付記7)採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得し、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、
前記表示中の技または姿勢について、次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定し、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする表示プログラム。
【0130】
(付記8)前記強調表示する処理は、前記時間情報に対応する時間から所定時間前までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報、または、前記時間情報に対応する時間から所定時間後までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報を強調表示することを特徴とする付記7に記載の表示プログラム。
【0131】
(付記9)前記評価指標の前記時間変化に係る情報は、前記3Dセンシングデータから認識された前記競技者の複数の関節の位置情報を含む骨格認識結果に基づく、関節間距離または関節角度の時間変化を示す情報であることを特徴とする付記7または8に記載の表示プログラム。
【0132】
(付記10)前記強調表示する処理は、前記所定時間部分に含まれる前記関節間距離または前記関節角度の最大値および最小値を更に表示する処理を含むことを特徴とする付記9に記載の表示プログラム。
【0133】
(付記11)前記強調表示する処理は、前記時間変化に係る情報を表示する際に、静止と判断される範囲をしめす情報を、前記時間変化に係る情報に重畳する処理を含むことを特徴とする付記7乃至付記10のいずれか一項に記載の表示プログラム。
【0134】
(付記12)前記特定する処理は、再生時刻または再生停止時刻の選択を受け付け、前記再生時刻または再生停止時刻と前記認識結果とを基にして、前記再生時刻または再生停止時刻の前記選択により表示される前記表示中の技または姿勢が、静止姿勢を含むか否かを判定する処理を含み、
前記強調表示する処理において、前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合に、前記時間情報に対応する時間から、前記所定時間部分が強調表示されることを特徴とする付記7乃至付記11のいずれか一項に記載の表示プログラム。
【0135】
(付記13)採点競技の競技者による一連の演技をセンシングした3Dセンシングデータと、前記採点競技における技および姿勢の特徴を定義した技辞書データとを基にして認識された、前記一連の演技に含まれる複数の技または前記技を行う競技者の姿勢に関する認識結果を取得する取得部と、
前記認識結果を基にして、前記一連の演技に対応する前記3Dセンシングデータに基づく3Dモデル映像において、表示中の技または姿勢を特定し、前記表示中の技または姿勢について、次の技または次の姿勢との境界となる時間情報を特定する特定部と、
複数の評価指標に係る複数の選択肢の中から選択された選択肢に対応する評価指標について、時間変化に係る情報を表示する際に、前記時間情報に対応する時間から所定時間部分を強調表示する表示制御部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0136】
(付記14)前記表示制御部は、前記時間情報に対応する時間から所定時間前までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報、または、前記時間情報に対応する時間から所定時間後までの時間部分に含まれる、選択された前記選択肢に対応する前記評価指標の前記時間変化に係る情報を強調表示することを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0137】
(付記15)前記評価指標の前記時間変化に係る情報は、前記3Dセンシングデータから認識された前記競技者の複数の関節の位置情報を含む骨格認識結果に基づく、関節間距離または関節角度の時間変化を示す情報であることを特徴とする付記13または14に記載の情報処理装置。
【0138】
(付記16)前記表示制御部は、前記所定時間部分に含まれる前記関節間距離または前記関節角度の最大値および最小値を更に表示する処理を含むことを特徴とする付記15に記載の情報処理装置。
【0139】
(付記17)前記表示制御部は、前記時間変化に係る情報を表示する際に、静止と判断される範囲をしめす情報を、前記時間変化に係る情報に重畳する処理を含むことを特徴とする付記13乃至付記16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0140】
(付記18)前記特定部は、再生時刻または再生停止時刻の選択を受け付け、前記再生時刻または再生停止時刻と前記認識結果とを基にして、前記再生時刻または再生停止時刻の前記選択により表示される前記表示中の技または姿勢が、静止姿勢を含むか否かを判定する処理を含み、
前記表示制御部は、前記表示中の技または姿勢が静止姿勢を含む場合に、前記時間情報に対応する時間から、前記所定時間部分が強調表示されることを特徴とする付記13乃至付記17のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0141】
50 3Dレーザセンサ
55 カメラ
100 情報処理装置
80 技認識装置
81,110 通信部
82,140 記憶部
82a センシングDB
82b 関節定義データ
82c 関節位置DB
82d 3DモデルDB
82e 技辞書データ
82f 技認識結果DB
83,150 制御部
83a,150a 取得部
83b モデル生成部
83c 技認識部
83d 通知部
120 入力部
130 表示部
140a 映像DB
140b 評価指標テーブル
150b 表示制御部
150c 特定部