(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】基材の予備加熱方法及び基材の予備加熱装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230208BHJP
H01L 21/50 20060101ALI20230208BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01L21/56 B
H01L21/50 D
H01L21/50 G
H01L21/50 F
H01L21/50 J
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2018248385
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】久門 智人
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-365338(JP,A)
【文献】特開2001-237254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 21/50
H01L 23/28-23/31
H01L 23/48-23/50
B29C 33/00-33/76
B29C 43/00-43/58
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搭載したシート状の基材を樹脂封止する前に予備加熱するプレヒーターにおける
前記基材の熱による変形を抑止する
、基材の予備加熱方法であって、
前記基材を基材キャリアで保持して搬送し、前記プレヒーターの所定位置に定置する工程と、
前記基材を定置した際の
前記基材キャリアによる前記基材の保持を解除した後、又は
前記基材キャリアによる前記基材の保持の解除に合わせて、
定置された前記基材の表面と対面しながら近接するように移動可能な止め部を有する回動可能な回動シャッターの前記止め部を、定置された前記基材の互いに反対位置にある二辺に沿う
所定の部分において
、前記基材における、前記プレヒーター
に定置したときに接する面と反対の面に接する位置まで
前記回動シャッターを回動して移動させるか、又は
前記反対の面と所要の空隙を隔て
た前記基材の変形を止める位置まで
前記回動シャッターを回動して移動させる工程とを備える
基材の予備加熱方法。
【請求項2】
前記回動シャッターの回動を、前記基材を定置した後に前記基材の保持を解除する際の、前記プレヒーターが有する直動シャッターの直線的な動作に伴って行う
請求項1記載の基材の予備加熱方法。
【請求項3】
前記
回動シャッター
の止め部を、前記基材において
、前記プレヒーター
に定置したときに接する面と反対の面に接する位置まで
前記回動シャッターを回動して移動させるか、又は
前記反対の面と所要の空隙を隔て
た前記基材の変形を止める位置まで
前記回動シャッターを回動して移動させる際に、前記反対の面と離れた位置から前記反対の面に対面しながら近接する方向に移動させる
請求項1
又は2記載の基材の予備加熱方法。
【請求項4】
前記
回動シャッターを、前記基材において
、前記プレヒーター
に定置したときに接する面と反対の面に接する位置まで
前記回動シャッターを回動して移動させるか、又は
前記反対の面と所要の空隙を隔て
た前記基材の変形を止める位置まで
前記回動シャッターを回動して移動させる際に、前記プレヒーターの前記基材を定置する面と平行な軸を中心に回動
して、前記止め部を移動させる
請求項1
又は2記載の基材の予備加熱方法。
【請求項5】
前記基材を前記プレヒーターの所定位置に定置する際に、前記基材キャリアが有する、前記基材を押さえるクランパーを、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に
接する面と反対の面に接する位置まで動かし、前記基材の変形の仮止めを行う
請求項1
又は2記載の基材の予備加熱方法。
【請求項6】
電子部品を搭載したシート状の基材を樹脂封止する前に予備加熱するプレヒーターにおける
前記基材の熱による変形を抑止する
、基材の予備加熱装置であって、
前記基材を所定位置に定置し加熱するための基材定置部、及び定置状態の前記基材の互いに反対位置にある二辺に沿う
所定の部分において
、前記基材における、前記基材定置部に
接する面と反対の面に接する位置、又は該反対の面と所要の空隙を隔て
た前記基材の変形を止める位置と基材止め解除位置との間で移動
する止め部を有する回動シャッターを
備えるプレヒーターと、
該プレヒーターを含む作業経路に沿って移動可能であり、前記基材を着脱可能に保持する基材保持部、及び前記
回動シャッター
を開閉させるように駆動するシャッター駆動部を有する基材キャリアとを備える
基材の予備加熱装置。
【請求項7】
前記プレヒーターは、前記回動シャッターの回動を、定置した前記基材の保持を解除する際の直線的な動作に伴って行う直動シャッターを備える
請求項6記載の基材の予備加熱装置。
【請求項8】
前記基材保持部が保持爪を有し、前記
回動シャッターにおいて、前記保持爪の移動経路に対応する部分が切り欠
いてある
請求項6又は7記載の基材の予備加熱装置。
【請求項9】
前記
回動シャッターが、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に
接する面と反対の面に接する位置まで、又は該反対の面と所要の空隙を隔て
た前記基材の変形を止める位置まで動かす際に、前記プレヒーターの前記基材を定置する面と平行な軸を中心に回動する
請求項6
又は7記載の基材の予備加熱装置。
【請求項10】
前記基材キャリアが、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に
接する面と反対の面に接する位置まで移動して、前記基材の変形の仮止めを行うクランパーを有する
請求項6
又は7記載の基材の予備加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の予備加熱方法及び基材の予備加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種半導体パッケージ等を製造する樹脂封止成形装置は、型成形を行うプレスユニット、基材を供給する基材供給ユニット、樹脂材料を供給する樹脂材料供給ユニット、プレスユニットに基材を供給するインローダーユニット、及びプレスユニットから樹脂封止済成形品を取り出すアンローダーユニット等を備えている。
【0003】
樹脂封止成形装置による作業を効率化する上では、これら各ユニット間のリードフレーム等の基材の受け取り、及び受け渡しを円滑に行うことが、重要視されている。近年においては、基材が大型化、及び薄型化しているために、保持する際の重さによる変形量や樹脂封止に係る工程での熱による変形量が大きく、その対策は急務である。
【0004】
また、樹脂封止成形装置による作業では、チップやワイヤがボンディングされた基材をプレスユニットに搬送する前に、プレヒーターで予備加熱をする工程がある。基材の予備加熱は、プレスユニットで高温の金型に基材を載置する際の熱により基材に生じる変形応力を抑制するために行われる。
【0005】
この基材の予備加熱では、プレヒーターからプレスユニットへの基材の搬送と受け渡しを円滑に行うために、また、ボンディングされているチップやワイヤにダメージを与えないように、プレヒーターにおける基材の変形を抑止する必要がある。
【0006】
ここで、基材の予備加熱を行うと共に、熱による基材の変形を抑えるものとして、特許文献1に記載のリードフレーム加熱用ヒーターが提案されている。
【0007】
この特許文献1に記載の加熱用ヒーターは、リードフレームのパイロット孔に挿入するための一本の挿入ピンと、リードフレームの側端部に当接するための複数本の当接ピンとを具備して位置決めピン群を形成する。
【0008】
また、位置決めピン群をヒーター台の上面に突出して設けている。そして、リードフレームの移動及び回転を挿入ピンと当接ピンで規制すると共に、リードフレームの熱膨張が挿入ピンや当接ピンで規制されないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の加熱用ヒーターは、リードフレームが熱で膨張する際に位置決めピン群と干渉することで生じるストレスを無くすか、或いは小さくして、基材の変形を抑える。しかしながら、従来の加熱用ヒーターには、次のような課題があった。
【0011】
すなわち、基材は、その多くが薄型(シート状)で多数の孔等が加工され、チップやワイヤがボンディングされているために、加熱によって各部に複雑な応力が生じ、基材が平坦な形状のままで、膨張する方向に伸びることは考えにくい。
【0012】
現実的には、上記のような膨張する方向に伸びる変形だけでなく、むしろ基材の全体が波打ってうねるように変形したり、端部が反るように変形したりする等、特許文献1で想定されていない、言わば立体的な変形が起こる可能性があり、従来の加熱用ヒーターでは、このような変形を止めることはできない。したがって、従来の加熱用ヒーターは、予備加熱で基材の変形を抑止する点において、充分な対策とはなり得ない。
【0013】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、プレヒーターにおける予備加熱による基材の変形を抑止することができる、基材の予備加熱方法及び基材の予備加熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の基材の予備加熱方法は、電子部品を搭載したシート状の基材を樹脂封止する前に予備加熱するプレヒーターにおける熱による変形を抑止する基材の予備加熱方法であって、前記基材を基材キャリアで保持して搬送し、前記プレヒーターの所定位置に定置する工程と、前記基材を定置した際の前記基材の保持を解除した後、又は保持の解除に合わせて、シャッターを、少なくとも、定置された前記基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部において、前記基材の、前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置まで動かす工程とを備える。
【0015】
この基材の予備加熱方法によれば、まず、基材を基材キャリアで保持して搬送し、プレヒーターの所定位置に定置することができ、これにより基材の予備加熱をする位置が決まる。
【0016】
次に、基材を定置した際の基材の保持を解除した後、又は保持の解除に合わせて、シャッターは、少なくとも、定置された基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部において、基材の、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材が変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部で、安定的に止めることができる。
【0017】
また、シャッターは、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材のある程度の変形を許容しながら、それ以上の変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部で、安定的に止めることができる。
【0018】
なお、本発明にいう「中間部」の用語は、厳密な意味での中間、又は真ん中という意味ではなく、概ね真ん中(中間、又は真ん中を含む)であって、端ではない、意味で使用している。
【0019】
(2)上記の目的を達成するために、本発明の基材の予備加熱方法は、電子部品を搭載したシート状の基材を樹脂封止する前に予備加熱するプレヒーターにおける熱による変形を抑止する基材の予備加熱方法であって、前記基材を基材キャリアで保持して搬送し、前記プレヒーターの所定位置に定置する工程と、前記基材を定置した際の前記基材の保持を解除した後、又は保持の解除に合わせて、シャッターを、定置された前記基材の互いに反対位置にある二辺の全長に沿う部分において、前記基材の、前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置まで動かす工程とを備える。
【0020】
この基材の予備加熱方法によれば、まず、基材を基材キャリアで保持して搬送し、プレヒーターの所定位置に定置することができ、これにより基材の予備加熱をする位置が決まる。
【0021】
次に、基材を定置した際の基材の保持を解除した後、又は保持の解除に合わせて、シャッターは、定置された前記基材の互いに反対位置にある二辺の全長に沿う部分において、基材の、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材が変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺の全長に沿う部分で、安定的に止めることができる。
【0022】
また、シャッターは、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材のある程度の変形を許容しながら、それ以上の変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部で、安定的に止めることができる。
【0023】
(3)本発明の基材の予備加熱方法は、前記シャッターを、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置まで動かす際に、前記反対の面と離れた位置から前記反対の面に対面しながら近接する方向に移動させる構成としてもよい。
【0024】
この場合は、シャッターを、基材においてプレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かす際に、反対の面と離れた位置から反対の面に対面しながら近接する方向に移動することができる。
【0025】
これによれば、基材を定置したとき、シャッターは、変形する面と対面しながら近接する方向に移動するので、シャッターの動きによって基材の変形を容易に止めることができる。また、シャッターが基材のすでに変形した縁部(厚み部分)に当たることも防止できるので、シャッターの損傷、或いは基材の損傷が生じないようにすることができる。
【0026】
なお、このときのシャッターの動きは、直線的な動きであってもよいし、曲線的な動きであってもよい。また、シャッターの動きは、それらの動きを複合した動きであってもよい。
【0027】
(4)本発明の基材の予備加熱方法は、前記シャッターを、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置まで動かす際に、前記プレヒーターの前記基材を定置する面と平行な軸を中心に回動させる構成としてもよい。
【0028】
この場合は、シャッターを、基材においてプレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かす際に、プレヒーターの基材を定置する面と平行な軸を中心に回動させる構成とすることにより、シャッターが複数箇所にある場合でも、各軸を共通の軸にする等、比較的簡易な構造で、各シャッターの駆動が可能になる。
【0029】
(5)本発明の基材の予備加熱方法は、前記基材を前記プレヒーターの所定位置に定置する際に、前記基材キャリアが有する、前記基材を押さえるクランパーを、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで動かし、前記基材の変形の仮止めを行う構成としてもよい。
【0030】
この場合は、基材をプレヒーターの所定位置に定置する際に、基材キャリアが有する、基材を押さえるクランパーを、基材においてプレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで動かし、基材の変形の仮止めを行うことにより、クランパーが、シャッターが基材の変形を止める動作よりも早く基材に接して変形を止めることができるので、基材の加熱初期の変形を最小限に留めることができる。
【0031】
(6)上記の目的を達成するために、本発明の基材の予備加熱装置は、電子部品を搭載したシート状の基材を樹脂封止する前に予備加熱するプレヒーターにおける熱による変形を抑止する基材の予備加熱装置であって、前記基材を所定位置に定置し加熱するための基材定置部、及び定置状態の前記基材の互いに反対位置にある二辺に沿う、少なくとも、線状方向の中間部において、前記基材の、前記基材定置部に接触する面と反対の面に接する位置、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置と基材止め解除位置との間で移動可能なシャッターを有するプレヒーターと、該プレヒーターを含む作業経路に沿って移動可能であり、前記基材を着脱可能に保持する基材保持部、及び前記シャッターを移動させるシャッター駆動部を有する基材キャリアとを備える。
【0032】
この基材の予備加熱装置によれば、まず、基材キャリアが、基材を基材保持部で保持して、プレヒーターを含む作業経路に沿って搬送し、プレヒーターの基材定置部に定置する。これにより基材の予備加熱をする位置が決まる。
【0033】
次に、基材を定置した際の基材の保持を解除した後、又は保持の解除に合わせて、シャッターは、少なくとも、定置された基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部において、基材の、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材が変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部で、安定的に止めることができる。
【0034】
また、シャッターは、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材のある程度の変形を許容しながら、それ以上の変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部で、安定的に止めることができる。
【0035】
(7)上記の目的を達成するために、本発明の基材の予備加熱装置は、電子部品を搭載したシート状の基材を樹脂封止する前に予備加熱するプレヒーターにおける熱による変形を抑止する基材の予備加熱装置であって、前記基材を所定位置に定置し加熱するための基材定置部、及び定置状態の前記基材の互いに反対位置にある二辺の全長に沿う部分において、前記基材の、前記基材定置部に接触する面と反対の面に接する位置、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置と基材止め解除位置との間で移動可能なシャッターを有するプレヒーターと、該プレヒーターを含む作業経路に沿って移動可能であり、前記基材を着脱可能に保持する基材保持部、及び前記シャッターを移動させるシャッター駆動部を有する基材キャリアとを備える。
【0036】
この基材の予備加熱装置によれば、まず、基材キャリアが、基材を基材保持部で保持して、プレヒーターを含む作業経路に沿って搬送し、プレヒーターの基材定置部に定置する。これにより基材の予備加熱をする位置が決まる。
【0037】
次に、基材を定置した際の基材の保持を解除した後、又は保持の解除に合わせて、シャッターは、定置された前記基材の互いに反対位置にある二辺の全長に沿う部分において、基材の、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材が変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺の全長に沿う部分で、安定的に止めることができる。
【0038】
また、シャッターは、プレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かされる。これにより、シャッターは、基材のある程度の変形を許容しながら、それ以上の変形を起こさないように、基材の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部で、安定的に止めることができる。
【0039】
(8)本発明の基材の予備加熱装置は、前記基材保持部が保持爪を有し、前記シャッターにおいて、前記保持爪の移動経路に対応する部分が切り欠かれている構成としてもよい。
【0040】
この場合は、基材保持部が保持爪を有し、シャッターにおいて、保持爪の移動経路に対応する部分が切り欠かれている構成とすることにより、基材の受け渡しの際に、保持爪とシャッターとが干渉することがなく、円滑な受け渡しが可能になる。また、シャッターの大きさや数、或いは配置を比較的自由に決めることができるので、設計の自由度が高くなる。
【0041】
(9)本発明の基材の予備加熱装置は、前記シャッターが、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は該反対の面と所要の空隙を隔てた、前記基材の変形を止める位置まで動かす際に、前記プレヒーターの前記基材を定置する面と平行な軸を中心に回動する構成としてもよい。
【0042】
この場合は、シャッターが、基材においてプレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで、又は反対の面と所要の空隙を隔てた、基材の変形を止める位置まで動かす際に、プレヒーターの基材を定置する面と平行な軸を中心に回動する構成とすることにより、シャッターが複数箇所にある場合でも、各軸を共通の軸にする等、比較的簡易な構造で、シャッターの駆動が可能になる。
【0043】
(10)本発明の基材の予備加熱装置は、前記基材キャリアが、前記基材において前記プレヒーターの前記基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで移動して、前記基材の変形の仮止めを行うクランパーを有する構成としてもよい。
【0044】
この場合は、基材キャリアが、基材においてプレヒーターの基材を定置する面に接触する面と反対の面に接する位置まで移動して、基材の変形の仮止めを行うクランパーを有する構成とすることにより、基材の受け渡しにおいて、クランパーが、シャッターが基材の変形を止める動作よりも早く基材に接して変形を止めることができるので、基材の加熱初期の変形を最小限に留めることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明は、プレヒーターにおける予備加熱による基材の変形を抑止することができる、基材の予備加熱方法及び基材の予備加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明に係る基材の予備加熱装置を構成するインローダーとプレヒーターの構造を示す概略正面図である。
【
図2】
図1に示すプレヒーターの構造を示す概略平面図である。
【
図3】基材を保持したインローダーがプレヒーターの上方に位置した状態を示す正面視概略説明図である。
【
図4】基材を保持したインローダーが下降し、リードフレームをプレヒーターの基材定置部に置いた状態を示す正面視概略説明図である。
【
図5】インローダーの保持爪が開いてリードフレームの保持を解除し、プレヒーターの回動シャッターと直動シャッターが閉じた状態を示す正面視概略説明図である。
【
図6】リードフレームを基材定置部に残してインローダーが上昇し、プレヒーターの上方に位置した状態を示す正面視概略説明図である。
【
図7】予備加熱終了後、インローダーが下降し、プレヒーターの所定位置に位置した状態を示す正面視概略説明図である。
【
図8】インローダーの保持爪が閉じてリードフレームを保持し、プレヒーターの回動シャッターと直動シャッターが開いた状態を示す正面視概略説明図である。
【
図9】リードフレームを保持したインローダーが上昇し、プレヒーターの上方に位置した状態を示す正面視概略説明図である。
【
図10】本発明に係る基材の予備加熱装置におけるプレヒーターの他の例を示す概略平面視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1、
図2を参照して、本発明に係る基材の予備加熱装置の構造の概略を説明する。
なお、以下の説明において、場所や方向の説明をする際の、「前後(縦)」の表現については、
図2における紙面に沿う下側を「前」とし、同じく上側を「後」として説明する。また、「上下」の表現については、
図1における紙面に沿う上側を「上」とし、同じく下側を「下」として説明し、「左右(横)」の表現については、
図1、
図2における紙面に沿う左側を「左」とし、同じく右側を「右」として説明する。また、「内外」の表現については、
図1、
図2において左右方向の中間点に近い方を「内」、中間点から遠い方を「外」として説明する。
【0048】
基材の予備加熱装置Aは、基材キャリアであるインローダー1と、基材であるリードフレーム5の予備加熱を行うプレヒーター2を備えている。なお、以下の説明において、インローダー1が下降したときの、プレヒーター2に対する位置決めのための構造については、便宜上、後述するガイドピン205を除き、説明を省略する。
【0049】
インローダー1は、電子部品を搭載したリードフレーム5を、プレヒーター2の後述する基材定置部20、20aに受け渡し、更に基材定置部20、20aで予備加熱したリードフレーム5を受け取って、樹脂封止を行うプレスユニット(図示省略)へ受け渡すものである。
【0050】
〔インローダー1〕
インローダー1は、図示しない移行駆動部により上記したように移行することができ、リードフレーム5の搬送が可能である。
【0051】
インローダー1は、前後方向に長い長方形状の枠体(図示省略)を有している。枠体には、枠体の短手方向に並設された基材保持部11、11aを備えている。基材保持部11、11aは、それぞれ、アクチュエータ(図示省略)等の駆動部により、枠体の短手方向に互いに逆方向へ連動して進退動する駆動バー111、112を備えている(
図1参照)。
【0052】
基材保持部11、11aの外側の各駆動バー111の外側となる面には、長手方向に所定の間隔をおいて各二箇所に、L形のアーム113を介し、基材保持部11、11aを構成する外側保持爪114が設けられている。
【0053】
また、基材保持部11、11aの内側の各駆動バー112の外側となる面には、長手方向に所定の間隔をおいて各二箇所に、L形のアーム115を介し、基材保持部11、11aを構成する内側保持爪116が設けられている。
【0054】
上記外側保持爪114と内側保持爪116は、対向する位置に配置され、1枚のリードフレーム5を左右二箇所ずつ、合計四箇所で保持できるようにしている。なお、各内側保持爪114と各外側保持爪116は、先端の爪部(符号省略)が鉤状に内向きとなった左右対称形状である(
図1、及び後述する
図3乃至
図9等参照)。
【0055】
また、基材保持部11、11aの内側の各駆動バー112の長手方向の両端部には、それぞれL形のフレーム12が固定されている。各フレーム12の下部先端部には、駆動ピン120が垂下して設けてある。
【0056】
このように、合計四箇所に設けられている駆動ピン120は、後述する直動シャッター23、24、23a、24aに設けてあるピン孔232、242(
図2参照)に挿入される。
【0057】
この状態で、各駆動バー111、112が左右方向へ移動することにより、外側保持爪114と内側保持爪116は、拡縮方向へ移動する。なお、基材定置部20、20aに対応する各駆動バー112は、同じタイミングでは逆方向に動くようになっている。
【0058】
また、同時に、各駆動ピン120が各駆動バー112と共に動くことにより、直動シャッター23、24、23a、24aが左右方向へスライドして、後述する回動シャッター21、22を開閉する。
【0059】
なお、インローダー1が有している上記駆動バー112、駆動バー112を駆動する駆動部、フレーム12、及び駆動ピン120は、回動シャッター21、22を開閉させるように駆動するシャッター駆動部を構成する。
【0060】
〔プレヒーター2〕
プレヒーター2は、リードフレーム5を定置して予備加熱をするための長方形状で平板状の基材定置部20、20aを備えている。基材定置部20、20aは、ほぼ四角形のベース部材200(
図2参照)上に所定間隔をおいて二箇所に同じ高さで並設され、かつ水平に設けられている。基材定置部20、20aの上面(符号省略)は、定置されるリードフレーム5とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0061】
ベース部材200には、基材定置部20、20aの左右側において、長手方向の所要間隔をおいて二箇所には、ガイドピン205が鉛直方向に立設されている(
図2、
図3乃至
図9等参照)。各ガイドピンは、上記インローダー1の枠体に設けてある嵌合孔(図示省略)と嵌合して、インローダー1の縦横方向の位置決めをするものである。
【0062】
各基材定置部20、20aの短手方向の両側には、長手方向の縁に沿うように、回動シャッター21、22が設けられている。回動シャッター21は、各基材定置部20、20aの外側に設けられ、回動シャッター22は、各基材定置部20、20aの内側に設けられている(
図1、
図2参照)。
【0063】
回動シャッター21、22の構造を説明する。回動シャッター21、22は、基材定置部20、20aのそれぞれを挟んで対向して、ほぼ対称形状に形成されている。回動シャッター21、22は、基材定置部20、20aの長手方向のほぼ全長に沿う回転軸201(
図4、
図5の拡大図参照)を有している。
【0064】
また、回転軸201には、回動体202(
図4、
図5の拡大図参照)が固定されている。なお、共通の回転軸201で回動シャッター21、22を回動させる構造は、比較的簡易な構造でつくることができる。
【0065】
回動体202は、正面視でほぼL形に形成されており、回動体202のうち基材定置部20、20aの長手方向の両端に対応する上端部には、閉じたときの上下方向に長い長孔203(
図4、
図5の拡大図参照)が形成されている。上記直動シャッター23、24、23a、24aには係合ピン204(
図4、
図5の拡大図参照)が形成されている。
【0066】
すなわち、直動シャッター23、23aの長手方向の両端部には、一方の基材定置部20に対応する回動シャッター21と、他方の基材定置部20aに対応する回動シャッター22の各長孔203に係合する係合ピン204が設けられている(
図1参照)。
【0067】
また、直動シャッター24、24aの長手方向の両端部には、一方の基材定置部20に対応する回動シャッター22と、他方の基材定置部20aに対応する回動シャッター21の各長孔203に係合する係合ピン204が設けられている。直動シャッター23、24、23a、24aが左右方向にスライドすることにより、上記対となる回動シャッター21、22の回動体202は同じ方向に回動し、開閉する。
【0068】
回動体202上部の長孔203の下方には、長手方向において複数箇所に、リードフレーム5の変形を止める止め部202aが下向きに設けられている(
図4、
図5の拡大図左図参照)。止め部202aは、回動して閉じたときに、定置されているリードフレーム5の上面(定置面とは反対側の面)に接触してもよいし、上面と隙間を以て配置されていてもよい。本実施の形態では、後者である。
【0069】
止め部202aは、回動シャッター21、22共に、長手方向に七箇所設けられており、それぞれの長さも異なる。各止め部202aは、回動体202の回動により、リードフレーム5の表面と、最後は対面しながら近接する方向へ動くようになっている。
【0070】
回動シャッター21、22の回動体202には、外側保持爪114と内側保持爪116を通す切り欠き206(
図2でガイドピン205が通されている切り欠き)が設けてあるので、外側保持爪114と内側保持爪116は回動体202に干渉せず、リードフレーム5の円滑な受け取り、及び受け渡しが可能である。また、回動シャッター21、22の大きさや数、或いは配置を比較的自由に決めることができるので、設計の自由度が高くなる。
【0071】
なお、インローダー1は、リードフレーム5をプレヒーター2の基材定置部20、20aに定置する際に、リードフレーム5を押さえて仮止めするクランパー3を備えている。上記止め部202aの配置と長さは、このクランパー3の形状に対応している(
図2、
図3参照)。
【0072】
つまり、各止め部202aは、クランパー3において、リードフレーム5を押さえる押圧部30が欠如している切欠部31(
図2の拡大図参照)に対応して入り込むように設けられている(
図2の拡大図参照)。なお、クランパー3の形状は、基材保持部11、11aにおいて点対称形状となっている。
【0073】
ここで、上記インローダー1の各基材定置部20、20aに対応する内側の各駆動バー112によって駆動される直動シャッター23、24、23a、24aについて説明する。なお、直動シャッター23、24、23a、24aは、基材定置部20、20aの長手方向の両端側に配置されている。直動シャッター23、24と直動シャッター23a、24aは、点対称構造である(
図2参照)。
【0074】
なお、直動シャッター23、24、23a、24aは、上記したように回動シャッター21、22を作動させるための、上記シャッター駆動部からの駆動力の中継部としての機能と共に、以下のようにリードフレーム5の四隅部分の変形を止める機能を備えている。
【0075】
直動シャッター23、24は、
図2において後側に配置されている。直動シャッター23a、24aは、
図2において、前側に配置されており、構造は、直動シャッター23、24と対称であるだけで同様の構造を有しているので、
図2では直動シャッター23a、24aに直動シャッター23、24の各部と同じ符号を付してその説明を援用し、説明を省略する。
直動シャッター23、24は、図示していないガイドに沿って所要の範囲内で左右方向に移動できるように設けられている。
【0076】
まず、一方の直動シャッター23は、先部分が、隣接する右側の直動シャッター24を避けるように、前方へ屈曲してクランク状に設けられ、その先端部には、閉じたときに、定置されているリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さる止め部230aを有するシャッター板230が設けてある。
【0077】
また、直動シャッター23の基端部には、閉じたときに、定置されているリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さる止め部231aを有するシャッター板231が設けてある。直動シャッター23の中間部からずれた位置には、上記したようにピン孔232が形成されている。
【0078】
次に、他方の直動シャッター24は、先部分が、隣接する左側の直動シャッター23を避けるように、直動シャッター23の下を通っており、その先端部には、閉じたときに、定置されているリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さる止め部240aを有するシャッター板240が設けてある。
【0079】
また、直動シャッター24の基端部には、閉じたときに、定置されているリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さる止め部241aを有するシャッター板241が設けてある。直動シャッター24の中間部からずれた位置には、ピン孔242が形成されている。
【0080】
なお、上記各止め部230a、231a、及び止め部240a、241aは、各止め部202aが回動してリードフレーム5の表面と対面しながら近接する方向へ動く上記回動シャッター21、22とは異なり、同じ高さで直線的に移動する。
【0081】
したがって、定置されて、まだ変形していないとしても、リードフレーム5の表面に接触して止める構成とするのは難しいため、上記のようにリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さる構成としている。
【0082】
そして、上記したように、基材定置部20、20aを長手方向に挟んで、直動シャッター23、24と対称構造の直動シャッター23a、24aを設けることにより、インローダー1の各駆動バー112の動きを円滑にして、各駆動バー112により駆動される回動シャッター21、22が円滑に作動できるようにしている。
【0083】
(作用)
図1、
図2及び
図3乃至
図9を参照して、基材の予備加熱装置Aの作用、及び予備加熱装置Aを使用した予備加熱方法について説明する。
図3乃至
図9の各図において、プレヒーター2の左側の図は直動シャッター23と回動シャッター21、22の動きを示し、右側の図は下降したインローダーの外側保持爪114の状態を示し、左側の下図は直動シャッター23、24の動きを示す説明図である。なお、左側の下図は、便宜上、分離して表しているが、実際は上図のプレヒーター2と同じ高さにある。
【0084】
〔1〕
図2、
図3を参照する。
インローダー1が、チップやワイヤがボンディングされたリードフレーム5をプレヒーター2の上方の所定位置へ搬送してくる。このとき、両側の基材保持部11、11aの外側保持爪114と内側保持爪116は閉じて、それぞれリードフレーム5を保持し、クランパー3を定位置から若干(例えば0.2mm)持ち上げている。また、プレヒーター2の回動シャッター21、22、及び直動シャッター23、24と直動シャッター23a、24aは開いている。
【0085】
〔2〕
図2、
図4を参照する。
インローダー1が下降すると、各ガイドピン205に嵌合孔が嵌合してインローダー1の縦横方向の位置が決まり、上下方向の位置(高さ)も決まる。同時に、各駆動バー112に固定されているフレーム12の駆動ピン120が、直動シャッター23、24、23a、24aのピン孔232、242に挿入される。
【0086】
このとき、外側保持爪114と内側保持爪116は閉じているが、基材定置部20、20aの切り欠かれた逃げ部(符号省略)に入ることにより、支障なくリードフレーム5を基材定置部20、20a上に置くことができ、自身はリードフレーム5から下方へやや離れてリードフレーム5の保持を解除する(
図4の拡大図右図を参照)。
【0087】
なお、インローダー1が備えているクランパー3は、定置部20、20a上に置かれたリードフレーム5の四辺の縁部の所定箇所を押圧部30で押さえて、回動シャッター21、22、及び直動シャッター23、24、23a、24aが作動するまで、動かないように仮止めを行う。クランパー3は、各シャッターがリードフレーム5の変形を止める動作よりも早く接して変形を止めることができるので、リードフレーム5の加熱初期の変形を最小限に留めることができる。
【0088】
また、クランパー3は、回動シャッター21、22、及び直動シャッター23、24、23a、24aが止めることができない範囲を押さえることができるので、リードフレーム5全体に対する変形の抑止が一層充分になる。
【0089】
また、回動シャッター21、22は開いているので、リードフレーム5の下降に支障はない(
図4の拡大図左図を参照)。このようにして、リードフレーム5が、基材定置部20、20a上に置かれる。なお、基材定置部20、20aは、予備加熱のために、既に所定の温度に加熱されている。
【0090】
〔3〕
図2、
図5を参照する。
各駆動バー111、112が、
図5に矢印で示すように互いに逆方向へ動き、各駆動バー112同士も逆方向(内方向)へ動く。これにより、外側保持爪114と内側保持爪116は開いて、上昇の際にリードフレーム5に掛かることがないようにする(
図5の拡大図右図を参照)。
【0091】
また、各駆動バー112と共に動く駆動ピン120により、直動シャッター23、24がそれぞれ内方向へ動き、シャッター板231、240がそれぞれ内方向へ動いて、一方のリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さり、シャッター板230、241がそれぞれ内方向へ動いて、他方のリードフレーム5の隅部に隙間を以て被さり、リードフレーム5のある程度の変形(例えば立体的な変形)を許容しながら、それ以上の変形を起こさないように、リードフレーム5の熱による膨張等に伴う変形を安定的に止めることができる。
【0092】
同時に、内方向へ動く直動シャッター23が、各回動シャッター21の回動体202を内方へ回動させ、同じく内方向へ動く直動シャッター24が、各回動シャッター22を内方へ回動させる。
【0093】
これにより、回動シャッター21、22は閉じ方向へ回動し、各回動体202の止め部202aが、リードフレーム5の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部に隙間を以て被さり(
図5の拡大図左図を参照)、リードフレーム5のある程度の変形を許容しながら、それ以上の変形を起こさないように、リードフレーム5の熱による膨張等に伴う、波打ったり反ったりする変形を安定的に止めることができる。
【0094】
また、回動体202の止め部202aは、リードフレーム5の変形する面と対面しながら近接する方向に移動するので、この移動においては、変形を起こしている面に接したときに、その面からのみ抵抗を受けることになり、止め部202aの動きによってリードフレーム5の変形を容易に止めることができる。
【0095】
また、止め部202aがリードフレーム5のすでに変形した縁部に当たることも防止でき、この縁部のような硬い部分に止め部202aが接することに起因する回動シャッター21、22の損傷、或いはリードフレーム5の損傷を抑制することができる。
【0096】
これによれば、リードフレーム5は、直動シャッター23、24、23a、24aにより、四隅部分の変形が止められると共に、回動シャッター21、22により、互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部の変形が止められるので、リードフレーム5が予備加熱により変形しようとしても、その変形を止めることができる。
【0097】
〔4〕
図2、
図6を参照する。
インローダー1が所定の高さまで上昇する。外側保持爪114と内側保持爪116は開いており、リードフレーム5の保持は解除されているので、インローダー1は支障なく上昇することができる。
【0098】
リードフレーム5は、基材定置部20、20a上に、回動シャッター21、22と直動シャッター23、24、23a、24aにより、変形が止められる状態で残る。なお、加熱によりリードフレーム5がやや変形すると、変形部が各止め部202a、230a、231a、240a、241aに当たり、リードフレーム5はその圧力で実質的に固定された状態になる。そして、この状態でリードフレーム5の予備加熱が所定時間行われる。
【0099】
〔5〕
図2、
図7を参照する。
リードフレーム5の予備加熱が終了すると、インローダー1が上記〔2〕に示す所定位置まで下降する。また、各駆動バー112に固定されているフレーム12の駆動ピン120が、直動シャッター23、24、23a、24aのピン孔232、242に挿入される。
【0100】
外側保持爪114と内側保持爪116は、継続して開いている(
図5の拡大図右図を参照)。回動シャッター21、22は継続して閉じており(
図5の拡大図左図を参照)、リードフレーム5は、基材定置部20、20a上に実質的に固定されている。
【0101】
〔6〕
図2、
図8を参照する。
各駆動バー111、112が、
図8に矢印で示すように互いに逆方向へ動き、各駆動バー112同士も逆方向(外方向)へ動く。これにより、外側保持爪114と内側保持爪116は閉じて、リードフレーム5の下面に掛かるようにする(
図4の拡大図右図を参照)。
【0102】
また、各駆動バー112と共に動く駆動ピン120により、直動シャッター23、24がそれぞれ外方向へ動き、シャッター板231、240がそれぞれ外方向へ動いて、一方のリードフレーム5の隅部から外れ、シャッター板230、241がそれぞれ外方向へ動いて、他方のリードフレーム5の隅部から外れる。
【0103】
同時に、外方向へ動く直動シャッター23が、各回動シャッター21の回動体202を外方へ回動させ、同じく外方向へ動く直動シャッター24が、各回動シャッター22を外方へ回動させる。これにより、回動シャッター21、22は開き、各回動体202の止め部202aが、リードフレーム5の互いに反対位置にある二辺に沿う線状方向の中間部から外れる(
図4の拡大図左図を参照)。
【0104】
これにより、リードフレーム5は、外側保持爪114と内側保持爪116で保持可能となり、回動シャッター21、22と直動シャッター23、24、23a、24aによる実質的な固定は解除される。
【0105】
〔7〕
図2、
図9を参照する。
インローダー1が、リードフレーム5を外側保持爪114と内側保持爪116により保持した状態で、所定の高さまで上昇する。回動シャッター21、22によるリードフレーム5の実質的な固定は解除されているので、インローダー1は支障なく上昇することができる。この後、インローダー1は、リードフレーム5を次工程のプレスユニットへ搬送し受け渡し、基材の予備加熱装置Aは、上記〔1〕乃至〔7〕の工程を繰り返す。
【0106】
図10を参照して、プレヒーターの他の例を説明する。
なお、以下の説明では、上記プレヒーター2と同等箇所については同等の符号を付して示しており、構造及び作用の重複する説明は省略し、相違する構造及び作用についてのみ説明する。
【0107】
プレヒーター2aは、クランパー3aの定置されたリードフレーム5の互いに反対位置にある長手方向の二辺に沿う押圧部30と、回動シャッター21、22の止め部202aが並行する態様である。押圧部30と止め部202aは、互いに接触した状態で並行していてもよいし、接触せず隙間を以て並行していてもよい。
【0108】
これによれば、リードフレーム5の受け取り、及び受け渡しに支障がなければ、更にリードフレーム5の長手方向の二辺に沿う押圧部30と、回動シャッター21、22の止め部202aを、リードフレーム5のほぼ全長に渡り対応した構造として、リードフレーム5の変形を、安定的に、かつより確実に止めることが可能になる。
【0109】
また、この場合、リードフレーム5の四隅部分の変形も止めることができるので、直動シャッター23、24、23a、24aを省いた構成とすることもできる。
【0110】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0111】
A 基材の予備加熱装置
1 インローダー
11、11a 基材保持部
111、112 駆動バー
113 アーム
114 外側保持爪
115 アーム
116 内側保持爪
12 フレーム
120 駆動ピン
2 プレヒーター
20、20a 基材定置部
21、22 回動シャッター
23、24 直動シャッター
230 シャッター板
230a 止め部
231 シャッター板
231a 止め部
232 ピン孔
240 シャッター板
240a 止め部
241 シャッター板
241a 止め部
242 ピン孔
23a、24a 直動シャッター
200 ベース部材
201 回転軸
202 回動体
202a 止め部
203 長孔
204 係合ピン
205 ガイドピン
206 切り欠き
3 クランパー
30 押圧部
31 切欠部
5 リードフレーム
2a プレヒーター
3a クランパー