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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】波長変換装置及び波長変換方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/572 20130101AFI20230208BHJP
   G02F 1/365 20060101ALI20230208BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20230208BHJP
   H04B 10/07 20130101ALI20230208BHJP
【FI】
H04B10/572
G02F1/365
H04J14/02
H04B10/07
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019012386
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020120355
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 剛二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智行
(72)【発明者】
【氏名】星田 剛司
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-337357(JP,A)
【文献】特開2002-023210(JP,A)
【文献】特開平08-095093(JP,A)
【文献】特開2018-169487(JP,A)
【文献】特開2006-091876(JP,A)
【文献】TORII K. et al.,Efficiency improvement of optical fiber wavelength converter without spectral spread using synchronous phase/frequency modulations,Journal of Lightwave Technology,米国,IEEE,2003年,VOL. 21, NO. 4,pages 1039-1045
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位相変調信号に応じてポンプ光を位相変調する第1の位相変調部と、
第2の位相変調信号に応じて信号光を位相変調する第2の位相変調部と、
前記位相変調後の信号光と前記位相変調後のポンプ光とを合波して前記ポンプ光に応じて前記信号光を波長変換する波長変換部と、
前記波長変換部で波長変換後の前記信号光から周波数変調成分を抽出し、抽出された前記周波数変調成分を変換して強度変調成分を検出する検出部と、
前記検出された前記強度変調成分が最小になるように前記第1の位相変調信号及び前記第2の位相変調信号を生成する生成部と
を有することを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記波長変換部の後段に配置され、前記波長変換後の前記信号光から前記強度変調成分を検出することをと特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
第1の位相変調信号に応じてポンプ光を位相変調する第1の位相変調部と、
第2の位相変調信号に応じて信号光を位相変調する第2の位相変調部と、
前記位相変調後の信号光と前記位相変調後のポンプ光とを合波する合波部と、
前記合波部からの前記ポンプ光に応じて前記信号光を波長変換する波長変換部と、
前記信号光及び前記ポンプ光の一部の何れか一方を前記第2の位相変調部に切替入力する切替部
前記第1の位相変調部と前記合波部との間に配置され、前記第1の位相変調部にて位相変調後の前記ポンプ光から周波数変調成分を抽出し、抽出された前記周波数変調成分を変換して強度変調成分である前記ポンプ光の第1の変調成分を検出する第1の検出部と、
前記第2の位相変調部と前記合波部との間に配置され、前記切替部にて切替入力された前記第2の位相変調部にて位相変調後の前記ポンプ光から周波数変調成分を抽出し、抽出された前記周波数変調成分を変換して強度変調成分である前記ポンプ光の第2の変調成分を検出する第2の検出部と
前記第1の変調成分と前記第2の変調成分との差分が最小になるように前記第1の位相変調信号及び前記第2の位相変調信号を生成する生成部と、
を有することを特徴とする波長変換装置。
【請求項4】
第1の位相変調信号に応じてポンプ光を位相変調する第1の位相変調部と、
第2の位相変調信号に応じて信号光を位相変調する第2の位相変調部と、
前記位相変調後の信号光と前記位相変調後のポンプ光とを合波する合波部と、
前記合波部からの前記ポンプ光に応じて前記信号光を波長変換する波長変換部と、
前記第1の位相変調部と前記合波部との間に配置され、前記第1の位相変調部にて位相変調後の前記ポンプ光から周波数変調成分を抽出し、抽出された前記周波数変調成分を変換して強度変調成分である前記ポンプ光の第1の変調成分を検出する第1の検出部と、
前記第2の位相変調部と前記合波部との間に配置され、前記第2の位相変調部にて位相変調後の前記ポンプ光から周波数変調成分を抽出し、抽出された前記周波数変調成分を変換して強度変調成分である前記信号光の第2の変調成分を検出する第2の検出部と
前記第1の変調成分と前記第2の変調成分との差分が最小になるように前記第1の位相変調信号及び前記第2の位相変調信号を生成する生成部と、
を有することを特徴とする波長変換装置。
【請求項5】
前記信号光と同一のローカル光及び前記ポンプ光の一部の何れか一方を前記第1の位相変調部に切替入力する切替部を有し、
前記検出部は、
前記切替部にて切替入力され、前記第1の位相変調部で位相変調された前記ローカル光と、前記第2の位相変調部で位相変調された前記信号光とを合波して差周波成分を検出する第3の検出部を有し、
前記生成部は、
前記差周波成分が最小になるように前記第1の位相変調信号及び前記第2の位相変調信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記位相変調後の信号光の変調度と前記位相変調後のポンプ光の変調度との差分及び、前記位相変調後の信号光の位相タイミングと前記位相変調後のポンプ光の位相タイミングとの差分が最小になるように前記第1の位相変調信号及び前記第2の位相変調信号を生成することを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載の波長変換装置。
【請求項7】
信号光とポンプ光とを合波して前記ポンプ光に応じて信号光を波長変換する波長変換装置が、
第1の位相変調信号に応じて前記ポンプ光を位相変調し、
第2の位相変調信号に応じて前記信号光を位相変調し、
前記位相変調後の信号光と前記位相変調後のポンプ光とを合波して前記ポンプ光に応じて前記信号光を波長変換し、
波長変換後の前記信号光から周波数変調成分を抽出し、抽出された前記周波数変調成分を変換して強度変調成分を検出し、
前記検出された前記強度変調成分が最小になるように前記第1の位相変調信号及び前記第2の位相変調信号を生成する
処理を実行することを特徴とする波長変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換装置及び波長変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信需要の拡大に伴って、例えば、光ファイバ芯数を増やしたり、1波長あたりの光信号容量を増やしたり、波長分割多重(WDM:Wavelength Divisional Multiplex)チャネル数を増やすことで、伝送容量の拡大が図られている。
【0003】
しかしながら、光ファイバの敷設コスト等が高いため、光ファイバ芯数を増やさずに伝送容量を拡大することが求められる。伝送装置としては、光信号容量とWDMチャネル数を増やすことで伝送容量を拡大することが求められるが、従来の通信帯域、例えば、C(Conventional)帯のみでの伝送容量の拡大には限界があり、更なる伝送容量の拡大のためには、C帯のみでなく、長波長領域のL(Long)帯や短波長領域のS(Short)帯を利用する必要がある。
【0004】
しかしながら、例えば、S帯及びL帯用の光送受信器、波長合分波器や光増幅器等の光部品は、それぞれ個別に開発する必要があり、C帯の光部品のみを用いた伝送装置に比べて、L帯やS帯の光部品を用いた伝送装置は高コストとなる。従って、波長変換装置を用いることでC帯の光部品を使用した伝送装置で大容量伝送が可能となる。
【0005】
しかしながら、波長変換装置では、波長変換効率を高めることが重要となるが、波長変換効率を高めるためには、ポンプ光のパワーを強くする必要がある。しかし、光ファイバに高強度の単色のポンプ光を入力すると、入力された光は後方に散乱されて伝搬しなくなる誘導ブリルアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)が発生する。特に、高非線形ファイバと呼ばれるコア径の小さなファイバを用いる場合にはSBSが発生し易くなる。
【0006】
そこで、従来技術では、単色のポンプ光に数100MHz~数GHz程度の位相変調をかけてポンプ光のスペクトル幅を拡張することで、SBSを抑制する。その結果、高パワーのポンプ光が光ファイバに入力できるようになるため、高い波長変換効率を確保できる。
【0007】
そこで、波長変換装置では、波長変換前の信号光及びポンプ光を位相変調し、位相変調後の信号光の変調成分と位相変調後のポンプ光の変調成分とが相殺されることで波長変換後の信号光には変調成分が消え、波長変換後の信号特性の劣化を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-318395号公報
【文献】特開平10-221656号公報
【文献】特開平11-225109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、波長変換装置では、波長変換前の信号光及びポンプ光を位相変調する場合、位相変調後の信号光の位相タイミングと、位相変調後のポンプ光の位相タイミングとの差分や、位相変調後の信号光の変調度と、位相変調後のポンプ光の変調度との差分が生じ、これらの差分で波長変換後の信号光に変調成分が残留する。その結果、残留する変調成分によって波長変換後の信号特性が劣化してしまう。
【0010】
一つの側面では、波長変換後の信号特性の劣化を抑制できる波長変換装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様の波長変換装置は、第1の位相変調部と、第2の位相変調部と、波長変換部と、検出部と、生成部とを有する。第1の位相変調部は、第1の位相変調信号に応じてポンプ光を位相変調する。第2の位相変調部は、第2の位相変調信号に応じて信号光を位相変調する。波長変換部は、位相変調後の信号光と位相変調後のポンプ光とを合波してポンプ光に応じて信号光を波長変換する。検出部は、位相変調後の信号光及び位相変調後のポンプ光から変調成分を検出する。生成部は、検出された変調成分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。
【発明の効果】
【0012】
一つの態様では、波長変換後の信号特性の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施例のWDMシステムの一例を示す説明図である。
図2図2は、実施例1の波長変換装置の一例を示す説明図である。
図3図3は、検出部の一例を示す説明図である。
図4図4は、検出部内の光フィルタの処理の一例を示す説明図である。
図5図5は、生成部の一例を示す説明図である。
図6図6は、生成部の遅延調整前及び遅延調整後の周波数強度の一例を示す説明図である。
図7図7は、調整処理に関わる制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施例2の波長変換装置の一例を示す説明図である。
図9図9は、制御部の一例を示す説明図である。
図10図10は、電圧生成部の出力電圧と位相差との関係の一例を示す説明図である。
図11図11は、電圧生成部の出力電圧と第1の遅延量との関係の一例を示す説明図である。
図12図12は、実施例3の波長変換装置の一例を示す説明図である。
図13図13は、実施例4の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本願の開示する波長変換装置等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1のWDMシステム1の一例を示す説明図である。図1に示すWDM(Wavelength Division Multiplexing)システム1は、第1の伝送装置2Aと、第2の伝送装置2Bと、第1の伝送装置2Aと第2の伝送装置2Bとの間を接続する光ファイバ等の伝送路3とを有する。WDMシステム1は、異なる波長帯域、例えば、C帯、L帯及びS帯の多重光を伝送するマルチバンドシステムである。
【0016】
第1の伝送装置2Aは、第1の送信群10Aと、第2の送信群10Bと、第3の送信群10Cと、第1の波長変換装置20A(20)と、第2の波長変換装置20B(20)と、波長合波器30とを有する。第1の送信群10Aは、複数のC帯の送信器11と、光合波器12と、光増幅器13とを有する。送信器11は、異なるC帯波長の信号光を光合波器12に出力する。光合波器12は、各送信器11からの信号光を合波してC帯の第1の多重光を光増幅器13に出力する。尚、光増幅器13は、例えば、EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)とする。光増幅器13は、第1の多重光を光増幅し、光増幅後のC帯の第1の多重光を第1の波長変換装置20Aに出力する。
【0017】
第2の送信群10Bは、複数のC帯の送信器11と、光合波器12と、光増幅器13とを有する。送信器11は、異なるC帯波長の信号光を光合波器12に出力する。光合波器12は、各送信器11からの信号光を合波してC帯の第1の多重光を光増幅器13に出力する。光増幅器13は、第1の多重光を光増幅し、増幅後のC帯の第1の多重光を波長合波器30に出力する。
【0018】
第3の送信群10Cは、複数のC帯の送信器11と、光合波器12と、光増幅器13とを有する。送信器11は、異なるC帯波長の信号光を光合波器12に出力する。光合波器12は、各送信器11からの信号光を合波してC帯の第1の多重光を光増幅器13に出力する。光増幅器13は、第1の多重光を光増幅し、増幅後のC帯の第1の多重光を第2の波長変換装置20Bに出力する。尚、第1の送信群10A、第2の送信群10B及び第3の送信群10Cは、光増幅器13を内蔵したが、光合波器12からの第1の多重光が十分なパワーが得られる場合にはなくても良く、適宜設定変更可能である。
【0019】
第1の波長変換装置20Aは、第1の送信群10AからのC帯の第1の多重光をポンプ光を用いてL帯の第2の多重光に波長変換する縮退型四光波混合方式の波長変換器である。第1の波長変換装置20Aは、波長変換後のL帯の第2の多重光を波長合波器30に出力する。
【0020】
第2の波長変換装置20Bは、第3の送信群10CからのC帯の第1の多重光をポンプ光を用いてS帯の第3の多重光に波長変換する縮退型四光波混合方式の波長変換器である。第2の波長変換装置20Bは、波長変換後のS帯の第3の多重光を波長合波器30に出力する。
【0021】
波長合波器30は、第2の送信群10BからのC帯の第1の多重光と、第1の波長変換装置20AからのL帯の第2の多重光と、第2の波長変換装置20BからのS帯の第3の多重光とを合波し、第1~第3の多重光を伝送路3に出力する。
【0022】
第2の伝送装置2Bは、波長分波器40と、第3の波長変換装置20C(20)と、第4の波長変換装置20D(20)と、第1の受信群50Aと、第2の受信群50Bと、第3の受信群50Cとを有する。波長分波器40は、伝送路3から受信した多重光からC帯の第1の多重光、L帯の第2の多重光及びS帯の第3の多重光に分波する。波長分波器40は、第1の多重光を第2の受信群50Bに出力すると共に、第2の多重光を第3の波長変換装置20Cに出力すると共に、第3の多重光を第4の波長変換装置20Dに出力する。
【0023】
第2の受信群50Bは、光増幅器51と、光分波器52と、複数の受信器53とを有する。光増幅器51は、波長分波器40からのC帯の第1の多重光を光増幅し、光増幅後の第1の多重光を光分波器52に出力する。尚、光増幅器51は、例えば、EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)とする。光分波器52は、第1の多重光を波長単位のC帯の信号光に分波して各受信器53に出力する。
【0024】
第3の波長変換装置20Cは、ポンプ光を用いて、波長分波器40からのL帯の第2の多重光をC帯の第1の多重光に波長変換し、波長変換後のC帯の第1の多重光を第1の受信群50Aに出力する。第1の受信群50Aは、光増幅器51と、光分波器52と、複数の受信器53とを有する。光増幅器51は、第3の波長変換装置20Cからの波長変換後のC帯の第1の多重光を光増幅し、光増幅後の第1の多重光を光分波器52に出力する。光分波器52は、第1の多重光を波長単位のC帯の信号光に分波して各受信器53に出力する。尚、第1の送信群10A内の送信器11は、送信器11毎に任意のC帯の波長を使用して第1の受信群50A内の複数の受信器53の内、送信器11に対応した受信器53と通信する。例えば、第1の送信群10A内のTx-11の送信器11と第1の受信群50A内のRx-12の受信器53とが同一波長C1の信号光を使用し、Tx-11の送信器11は、Rx-12の受信器53と同一波長C1の信号光で送信する。同様に、第2の送信群10B内の送信器11も、送信器11毎に任意のC帯の波長を使用して第2の受信群50B内の複数の受信器53の内、送信器11に対応した受信器53と通信する。つまり、送信器11と受信器53とが同一波長を使用した通信ペアの関係となる。
【0025】
第4の波長変換装置20Dは、ポンプ光を用いて、波長分波器40からのS帯の第3の多重光をC帯の第1の多重光に波長変換し、波長変換後のC帯の第1の多重光を第3の受信群50Cに出力する。第3の受信群50Cは、光増幅器51と、光分波器52と、複数の受信器53とを有する。光増幅器51は、第4の波長変換装置20Dからの波長変換後のC帯の第1の多重光を光増幅し、光増幅後の第1の多重光を光分波器52に出力する。光分波器52は、第1の多重光を波長単位のC帯の信号光に分波して各受信器53に出力する。第3の送信群10C内の送信器11も、送信器11毎に任意のC帯の波長を使用して第3の受信群50C内の複数の受信器53の内、送信器11に対応した受信器53と通信する。例えば、第3の送信群10C内のTx-32の送信器11と第3の受信群50C内のRx-31の受信器53とが同一波長C2の信号光を使用し、Tx-31の送信器11は、Rx-32の受信器53と同一波長C2の信号光で送信する。つまり、送信器11と受信器53とが同一波長を使用した通信ペアの関係となる。
【0026】
図2は、実施例1の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、図2に示す波長変換装置20は、例えば、第1の波長変換装置20Aを例示して説明する。図2に示す第1の波長変換装置20Aは、ポンプ光源61と、第1の位相変調部62と、第2の位相変調部63と、合波部64と、波長変換部65と、波長フィルタ66と、光スプリッタ67と、検出部68と、制御部69と、生成部70とを有する。ポンプ光源61は、ポンプ光、例えば、第1のポンプ光を生成する光源である。第1の位相変調部62は、第1の位相変調信号に応じてポンプ光源61からの第1のポンプ光を位相変調する。その結果、波長変換後の信号光には、位相変調によってSBS成分が抑圧できる。第2の位相変調部63は、第2の位相変調信号に応じて第1の送信群10Aからの第1の多重光を位相変調する。その結果、波長変換後の信号光には、位相変調によってSBS成分が抑圧できる。合波部64は、第1の位相変調部62からの位相変調後の第1のポンプ光と、第2の位相変調部63からの位相変調後の第1の多重光とを合波する。波長変換部65は、例えば、HNLF(Highly Nonlinear Fiber Optical)等で構成し、合波部64からの第1の多重光及び第1のポンプ光を用いて、C帯の第1の多重光をL帯の第2の多重光に波長変換する。その結果、L帯の第2の多重光には、位相変調によってSBS成分が抑圧できる。波長フィルタ66は、波長変換部65からの波長変換後の第2の多重光を透過する。光スプリッタ67は、波長フィルタ66で透過後の第2の多重光を波長合波器30及び検出部68に光分岐する。
【0027】
検出部68は、光スプリッタ67からの第2の多重光から第1の位相変調部62及び第2の位相変調部63の変調成分を検出する。変調成分は、位相変調後の信号光の位相タイミングと位相変調後のポンプ光の位相タイミングとの差分と、位相変調後の信号光の変調度と位相変調後のポンプ光の変調度との差分とを含む。制御部69は、検出部68で検出された変調成分に基づき、検出部68で検出される変調成分が最小になるように生成部70を制御する。生成部70は、制御部69からの制御信号に応じて第1の位相変調部62を調整する第1の位相変調信号及び第2の位相変調部63を調整する第2の位相変調信号を生成する。
【0028】
図3は、検出部68の一例を示す説明図である。図3に示す検出部68は、光フィルタ681と、低速PD(Photo Diode)68Bとを有する。光フィルタ68Aは、光スプリッタ67で光分岐された第2の多重光から変調成分を抽出する、波長依存性損失を有する光フィルタである。光フィルタ681は、第2の多重光の変調成分を透過して低速PD682に出力する。低速PD682は、変調成分を電気変換する光電変換部である。低速PD682は、電気変換後の変調成分を制御部69に出力する。
【0029】
図4は、検出部68内の光フィルタ681の処理の一例を示す説明図である。光フィルタ681は、例えば、特定の波長のみ損失が小さい特性を有する波長フィルタや、周期的な損失特性を有するフィルタ等で構成する。光フィルタ681は、第2の多重光の周波数変調成分を強度変調成分に変換し、当該強度変調成分を変調成分として低速PD682に出力する。
【0030】
図5は、生成部70の一例を示す説明図である。図5に示す生成部70は、電圧生成部711と、第1の遅延部721Aと、第1の調整部731Aと、第2の遅延部721Bと、第2の調整部731Bとを有する。電圧生成部711は、制御部69からの制御信号に応じて電圧信号である第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。第1の遅延部721Aは、電圧生成部711から第1の位相変調信号の遅延量を調整して調整後の第1の位相変調信号を位相調整する。第1の調整部731Aは、抵抗値を調整し、第1の遅延部721Aで調整後の第1の位相変調信号の変調度を調整し、調整後の第1の位相変調信号を第1の位相変調部62に出力する。
【0031】
第2の遅延部721Bは、電圧生成部711から第2の位相変調信号の遅延量を調整して調整後の第2の位相変調信号を位相調整する。第2の調整部731Bは、抵抗値を調整し、第2の遅延部721Bから位相調整後の第2の位相変調信号の変調度を調整し、調整後の第2の位相変調信号を第2の位相変調部63に出力する。
【0032】
図6は、生成部70の遅延調整前及び遅延調整後の周波数強度の一例を示す説明図である。電圧生成部711は、図6に示すように変調成分(周波数強度)が最小になるように第1の遅延部721A又は第2の遅延部721Bの遅延量を調整する。電圧生成部711は、変調成分が最小となる第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。すなわち、電圧生成部711は、ポンプ光の変調成分と信号光の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、ポンプ光の変調成分と信号光の変調成分との間の変調度の差分が最小となるための第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。第1の位相変調部62は、第1の位相変調信号に応じて、合成部64で第1の多重光の変調成分が最小(キャンセル)になるようにポンプ光を位相変調する。また、第2の位相変調部63も、第2の位相変調信号に応じて、合成部64でポンプ光の変調成分が最小(キャンセル)になるように第1の多重光を位相変調する。尚、電圧生成部711は、ポンプ光の変調成分と信号光の変調成分とが合成部64で同相又は逆相で打ち消すように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。
【0033】
次に実施例1の波長変換装置20の動作について説明する。第1の波長変換装置20A内の第1の位相変調部62は、ポンプ光源61からの第1のポンプ光を入力し、生成部70からの第1の位相変調信号に応じて第1のポンプ光を位相変調する。第1の位相変調部62は、位相変調後の第1のポンプ光を合波部64に出力する。
【0034】
第2の位相変調部63は、第1の送信群10Aからの第1の多重光を入力し、生成部70からの第2の位相変調信号に応じて第1の多重光を位相変調する。第2の位相変調部63は、位相変調後の第1の多重光を合波部64に出力する。合波部64は、位相調整後の第1のポンプ光と位相調整後の第1の多重光とを合波して波長変換部65に出力する。
【0035】
波長変換部65は、合波部64からの第1のポンプ光及び第1の多重光を入力し、第1のポンプ光を用いてC帯の第1の多重光をL帯の第2の多重光を波長変換し、波長変換後の第2の多重光を波長フィルタ66経由で光スプリッタ67に出力する。光スプリッタ67は、第2の多重光を波長合波器30及び検出部68に光分岐する。
【0036】
検出部68は、光分岐後の第2の多重光内の変調成分を強度変換し、強度変換後の変調成分を制御部69に出力する。制御部69は、検出部68からの変調成分に基づき、変調成分が最小にする制御信号を生成部70に出力する。生成部70は、制御信号に応じて第1の位相変調部62に印加する第1の位相変調信号及び、第2の位相変調部63に印加する第2の位相変調信号を生成する。
【0037】
第1の位相変調部62は、第1のポンプ光が通過する導波路に第1の位相変調信号を印加することで第1のポンプ光を位相調整する。また、第2の位相変調部63は、第1の多重光が通過する導波路に第2の位相変調信号を印加することで第1の多重光を位相調整する。波長変換部65では、位相調整後の第1のポンプ光を用いて、位相調整後の第1の多重光を第2の多重光に波長変換する。その結果、SBSを抑圧することで第2の多重光の信号特性の劣化が抑制できる。
【0038】
図7は、調整処理に関わる制御部69の処理動作の一例を示すフローチャートである。図7において制御部69は、検出部68にて検出した周波数強度(変調成分)をモニタし(ステップS11)、モニタ結果に基づき、第1の遅延部721Aの第1の遅延量を1ステップ大きくする(ステップS12)。尚、1ステップは、所定の遅延量である。制御部69は、第1の遅延量を大きくし、周波数強度(変調成分)が小さくなるか否かを判定する(ステップS13)。制御部69は、周波数強度(変調成分)が小さくなる場合(ステップS13肯定)、更に、第1の遅延量を1ステップ大きくすべく、ステップS12の処理に戻る。
【0039】
制御部69は、周波数強度(変調成分)が小さくならない場合(ステップS13否定)、第1の遅延量を1ステップ戻し(ステップS14)、第1の遅延量を1ステップ小さくする(ステップS15)。制御部69は、第1の遅延量を小さくし、周波数強度(変調成分)が小さくなるか否かを判定する(ステップS16)。制御部69は、周波数強度(変調成分)が小さくなる場合(ステップS16肯定)、更に、第1の遅延量を1ステップ小さくすべく、ステップS15の処理に戻る。制御部69は、周波数強度(変調成分)が小さくならない場合(ステップS16否定)、第1の遅延量を1ステップ戻し(ステップS17)、図7に示す処理動作を終了する。
【0040】
調整処理を実行する制御部69は、周波数強度(変調成分)が最小になるように第1の遅延量及び第2の遅延量を調整するため、位相変調後のポンプ光の変調成分の位相タイミングと位相変調後の信号光の変調成分の位相タイミングとの差分が最小になる。その結果、ポンプ光及び信号光の変調成分の位相タイミングの差分が最小になるため、波長変換後の信号光のSBSの抑制は勿論のこと、波長変換後の信号光の変調成分を削除できる。
【0041】
また、制御部69は、変調成分が最小になるようにポンプ光の変調成分の変調度と信号光の変調成分の変調度との差分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、ポンプ光及び信号光の変調成分の変調度の差分が最小になるため、波長変換後の信号光のSBSの抑制は勿論のこと、波長変換後の信号光の変調成分を削除できる。
【0042】
実施例1の第1の波長変換装置20Aは、波長変換後の第2の多重光から変調成分を検出し、変調成分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20Aは、第2の多重光から変調成分が最小限になるため、第2の多重光の信号特性の劣化を抑制できる。
【0043】
第1の波長変換装置20Aは、位相変調後の第1のポンプ光の変調成分の位相タイミングと位相変調後の第1の多重光(信号光)の変調成分の位相タイミングとの差分及び、位相変調後のポンプ光の変調成分の変調度と位相変調後の信号光の変調成分の変調度との差分が最小となるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20Aは、信号光の変調成分とポンプ光の変調成分とがキャンセルされて信号光の変調成分とポンプ光の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、変調度の差分が最小となることで、第2の多重光の信号特性の劣化が抑制できる。
【0044】
尚、位相タイミングの同期と変調度の制御は、どちらを変化させても検出される変調成分に違いはないため、同時に制御すると、最適点を通らない可能性がある。したがって、制御を行う場合は、位相タイミングの同期か変調度のどちらか一方のみを変化させて制御し、最適点に追い込む場合も交互に制御する。
【0045】
実施例1の第1の波長変換装置20Aでは、検出部68を用いて波長変換部65で波長変換後の第2の多重光から変調成分を検出する場合を例示したが、第2の波長変換装置20B、第3の波長変換装置20C及び第4の波長変換装置20Dでも適用可能である。例えば、第2の波長変換装置20Bは、検出部68を用いて波長変換部65で波長変換後の第3の多重光から変調成分を検出する。また、第3の波長変換装置20C及び第4の波長変換装置20Dは、検出部68を用いて波長変換部65で波長変換後の第1の多重光から変調成分を検出する。
【0046】
また、実施例1の第1の波長変換装置20Aでは、波長変換部65で波長変換後の第2の多重光から変調成分を検出し、変調成分が最小なるように第1の位相変調部62及び第2の位相変調部63を調整する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、波長変換前の第1の位相変調部62で位相変調後のポンプ光の変調成分と、波長変換前の第2の位相変調部63で位相変調後のポンプ光の変調成分との差分が最小になるように第1の位相変調部62及び第2の位相変調部63を調整しても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例2】
【0047】
図8は、実施例2の波長変換装置20の一例を示す説明図である。図8に示す波長変換装置20は、説明の便宜上、例えば、第1の波長変換装置20A1を例示して説明する。第1の波長変換装置20A1は、ポンプ光源61、第1の位相変調部62、第2の位相変調部63、合波部フィルタ68164、波長変換部65及び波長フィルタ66の他に、第1の光SW71、第2の光SW72と、第1の光スプリッタ73Aと、第2の光スプリッタ73Bと、第1の検出部68Aと、第2の検出部68Bと、制御部69Aと、生成部70Aとを有する。
【0048】
第1の光SW71は、ポンプ光源61と第1の位相変調部62との間に配置され、ポンプ光源61からのポンプ光を光分岐し、光分岐後のポンプ光を第1の位相変調部62及び第2の光SW72に出力する。尚、説明の便宜上、第1の位相変調部62に入力するポンプ光を第1のポンプ光とし、第2のSW72に入力するポンプ光を第2のポンプ光とする。第2の光SW72は、第1の送信群10A内の光増幅器13と第2の位相変調部63との間に配置され、第1の光SW71からの第2のポンプ光又は光増幅器13からの第1の多重光を第2の位相変調部63に切替えて出力する。つまり、第2の光SW72は、運用開始前は、第1の光SW71からの第1のポンプ光を第2の位相変調部63に切替出力すると共に、運用開始後は、光増幅器13からの第1の多重光を第2の位相変調部63に切替出力する。
【0049】
第1の光スプリッタ73Aは、第1の位相変調部62と合波部64との間に配置され、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光を光分岐し、光分岐後の第1のポンプ光を合波部64及び第1の検出部68Aに出力する。第2の光スプリッタ73Bは、第2の位相変調部63と合波部64との間に配置され、第2の位相変調部63で位相変調後の第2のポンプ光又は第1の多重光を光分岐し、光分岐後の第2のポンプ光又は第1の多重光を合波部64及び第2の検出部68Bに出力する。
【0050】
第1の検出部68Aは、第1の光スプリッタ73Aで光分岐後の第1のポンプ光内の第1の変調成分を検出する。第2の検出部68Bは、第2の光スプリッタ73Bで光分岐後の第2のポンプ光内の第2の変調成分を検出する。制御部69Aは、第1の検出部68Aで検出された第1の変調成分と、第2の検出部68Bで検出された第2の変調成分との差分に基づき、第1の変調成分と第2の変調成分との差分、例えば、位相差が最小になる位相変調信号を生成するための制御信号を生成部70Aに出力する。生成部70Aは、制御部69Aからの制御信号に応じて、第1の位相変調部62内の導波路に印加する第1の位相変調信号と、第2の位相変調部63内の導波路に印加する第2の位相変調信号とを生成する。
【0051】
第1の位相変調部62は、第1の位相変調信号に応じて第1のポンプ光を位相変調し、位相変調後の第1のポンプ光を第1の光スプリッタ73Aに出力する。また、第2の位相変調部63は、運用開始前は、第2の位相変調信号に応じて第2のポンプ光を位相変調し、位相変調後の第2のポンプ光を第2の光スプリッタ73Bに出力する。また、第2の位相変調部63は、運用開始後は、第2の位相変調信号に応じて第1の多重光を位相変調し、位相変調後の第1の多重光を第2の光スプリッタ73Bに出力する。合波部64は、運用開始後、第1の光スプリッタ73Aで光分岐後の位相変調後の第1のポンプ光と、第2の光スプリッタ73Bで光分岐後の位相変調後の第1の多重光とを合波して波長変換部65に出力する。波長変換部65は、運用開始後、位相変調後の第1のポンプ光と位相変調後の第1の多重光とを入力し、第1のポンプ光を用いて第1の多重光を第2の多重光に波長変換する。
【0052】
図9は、実施例2の制御部69Aの一例を示す説明図である。図9に示す制御部69Aは、位相比較部81を有する。位相比較部81は、第1の検出部68Aからの第1の変調成分と、第2の検出部68Bからの第2の変調成分とを比較し、第1の変調成分と第2の変調成分との位相差を出力する。
【0053】
図10は、電圧生成部711の出力電圧と位相差との関係の一例を示す説明図である。電圧生成部711は、制御部69A内の位相比較部81からの位相差を検出し、図10に示すように位相差に応じた出力電圧(位相変調信号)を生成する。図11は、電圧生成部711の出力電圧(位相変調信号)と第1の遅延量との関係の一例を示す説明図である。電圧生成71部は、出力電圧(第1の位相変調信号)に応じた第1の遅延量を生成する。また、電圧生成部711は、出力電圧(第2の位相変調信号)に応じた第2の遅延量を生成する。
【0054】
次に実施例2の第1の波長変換装置20A1の動作について説明する。第1の波長変換装置20A1内の第1の光SW71及び第2の光SW72は、運用開始前の場合、第2のポンプ光を第2の位相変調部63に切替出力する。第2の位相変調部63は、第2の光SW72経由での第2のポンプ光を入力し、入力後の第2のポンプ光を位相変調する。第2の位相変調部63は、位相変調後の第2のポンプ光を第2の光スプリッタ73Bに出力する。第2の検出部68Bは、第2の光スプリッタ73B経由で位相変調後の第2のポンプ光内の第2の変調成分を検出する。
【0055】
第1の位相変調部62は、第1の光SW71からの第1のポンプ光を入力し、入力後の第1のポンプ光を位相変調する。第1の位相変調部62は、位相変調後の第1のポンプ光を第1の光スプリッタ73Aに出力する。第1の検出部68Aは、第1の光スプリッタ73A経由で位相変調後の第1のポンプ光内の第1の変調成分を検出する。
【0056】
制御部69Aは、第1の検出部68Aからの第1の変調成分と、第2の検出部68Bからの第2の変調成分とを比較し、変調成分の差分が最小になる制御信号を生成し、生成した制御信号を生成部70Aに出力する。生成部70Aは、制御信号に応じて第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成し、第1の位相変調信号を第1の位相変調部63Aに入力すると共に、第2の位相変調信号を第2の位相変調部63Bに入力する。
【0057】
そして、制御部69Aは、変調成分の差分が最小になった場合、運用開始として、第1の光SW71及び第2の光SW72を切替制御し、第1の光SW71の出力を第1の位相変調部62側に切替え、第2の光SW72の入力を第1の送信群10A側に切替える。第2の光SW72は、第1の多重光を第2の位相変調部63に出力する。第2の位相変調部63は、第2の位相変調信号に応じて第1の多重光を位相変調し、位相変調後の第1の多重光を第2の光スプリッタ73B経由で合波部64に出力する。
【0058】
また、第1の位相変調部62は、第1の位相変調信号に応じて第1のポンプ光を位相変調し、位相変調後の第1のポンプ光を第1の光スプリッタ73A経由で合波部64に出力する。合波部64は、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光と、第2の位相変調部63で位相変調後の第1の多重光とを合波し、合波後の第1の多重光及び第1のポンプ光を波長変換部65に出力する。波長変換部65は、第1の多重光を第1のポンプ光に応じて第2の多重光に波長変換し、波長変換後の第2の多重光を波長フィルタ66に出力する。その結果、第1の波長変換装置20A1は、SBSを抑圧した第2の多重光が出力できる。
【0059】
実施例2の第1の波長変換装置20A1では、運用開始前にポンプ光の一部を第2の位相変調部63に切替入力し、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光から第1の変調成分を検出する。更に、第1の波長変換装置20A1は、第2の位相変調部63で位相変調後の第2のポンプ光から第2の変調成分を検出する。第1の波長変換装置20A1は、第1の変調成分と第2の変調成分との差分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20A1は、第2の多重光から変調成分が最小限になるため、運用開始後における第2の多重光の信号特性の劣化を抑制できる。
【0060】
第1の波長変換装置20A1は、運用開始前に第1の変調成分と第2の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、第1の変調成分と第2の変調成分との間の変調度の差分が最小となるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20A1は、運用開始後、信号光の変調成分とポンプ光の変調成分とがキャンセルされて信号光の変調成分とポンプ光の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、変調度の差分が最小となる。そして、運用開始後における第2の多重光の信号特性の劣化が抑制できる。
【0061】
尚、実施例2の第1の波長変換装置20A1では、第1の多重光を第2の多重光に波長変換する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、第2の波長変換装置20B、第3の波長変換装置20Cや第4の波長変換装置20Dにも適用可能である。
【0062】
実施例2の第1の波長変換装置20A1では、運用開始前にポンプ光を第1の位相変調部62及び第2の位相変調部63に入力し、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光の第1の変調成分と、第2の位相変調部63で位相変調後の第2のポンプ光の第2の変調成分とを比較する場合を例示した。しかしながら、位相変調後のポンプ光の変調成分同士の比較に限定されるものではなく、位相変調後のポンプ光の変調成分と位相変調後の多重光の変調成分とを比較しても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例3】
【0063】
図12は、実施例3の第1の波長変換装置20A2の一例を示す説明図である。尚、実施例2の第1の波長変換装置20A1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図12に示す第1の波長変換装置20A2が図9に示す第1の波長変換装置20A1と異なるところは、第1の光SW71及び第2の光SW72を削除し、第1の位相変調部62の位相変調後の第1のポンプ光の変調成分と、第2の位相変調部63の位相変調後の第1の多重光の変調成分とを比較する点にある。
【0064】
第1の位相変調部62は、ポンプ光源61からの第1のポンプ光を入力し、入力後の第1のポンプ光を位相変調する。第1の位相変調部62は、位相変調後の第1のポンプ光を第1の光スプリッタ73Aに出力する。第1の検出部68A1は、位相変調後の第1のポンプ光内の第1の変調成分を検出する。
【0065】
第2の位相変調部63は、光増幅器13からの第1の多重光を入力し、入力後の第1の多重光を位相変調する。第2の位相変調部63は、位相変調後の第1の多重光を第2の光スプリッタ73Bに出力する。第2の検出部68B1は、位相変調後の第1の多重光内の第3の変調成分を検出する。
【0066】
制御部69Bは、第1の検出部68A1からの第1の変調成分と、第2の検出部68B1からの第3の変調成分とを比較し、変調成分の差分が最小になる制御信号を生成し、生成した制御信号を生成部70Bに出力する。生成部70Bは、制御信号に応じて第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成し、第1の位相変調信号を第1の位相変調部62に入力すると共に、第2の位相変調信号を第2の位相変調部63に入力する。
【0067】
そして、第2の位相変調部63は、第2の位相変調信号に応じて第1の多重光を位相変調し、位相変調後の第1の多重光を第2の光スプリッタ73B経由で合波部64に出力する。また、第1の位相変調部62は、第1の位相変調信号に応じて第1のポンプ光を位相変調し、位相変調後の第1のポンプ光を第1の光スプリッタ73A経由で合波部64に出力する。合波部64は、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光と、第2の位相変調部63で位相変調後の第1の多重光とを合波し、合波後の第1の多重光及び第1のポンプ光を波長変換部65に出力する。波長変換部65は、第1の多重光を第1のポンプ光に応じて第2の多重光に波長変換し、波長変換後の第2の多重光を波長フィルタ66に出力する。その結果、第1の波長変換装置20A2は、SBSを抑圧した第2の多重光が出力できる。
【0068】
実施例3の第1の波長変換装置20A2では、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光から第1の変調成分を検出し、第2の位相変調部63で位相変調後の第1の多重光から第3の変調成分を検出する。第1の波長変換装置20A2は、第1の変調成分と第3の変調成分との差分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20A2は、第2の多重光から変調成分が最小限になるため、第2の多重光の信号特性の劣化を抑制できる。
【0069】
第1の波長変換装置20A2は、第1の変調成分と第3の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、第1の変調成分と第3の変調成分との間の変調度の差分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20A2は、信号光の変調成分とポンプ光の変調成分とがキャンセルされて信号光の変調成分とポンプ光の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、変調度の差分が最小になる。そして、第2の多重光の信号特性の劣化が抑制できる。
【0070】
尚、実施例3の第1の波長変換装置20A2では、第1の多重光を第2の多重光に波長変換する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、第2の波長変換装置20B、第3の波長変換装置20Cや第4の波長変換装置20Dにも適用可能である。
【0071】
実施例1の波長変換装置20では、波長変換部65で波長変換後の第2の多重光から変調成分を検出する場合を例示したが、運用開始前に、第1の送信群10Aからの第1の多重光の変調成分と、ローカル光源からのローカル光の変調成分とを比較しても良く、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
【実施例4】
【0072】
図13は、実施例4の第1の波長変換装置20A3の一例を示す説明図である。尚、実施例3の第1の波長変換装置20A2と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図13に示す第1の波長変換装置20A3は、ポンプ光源61、第1の位相変調部62、第2の位相変調部63、第1の光スプリッタ73A、第2の光スプリッタ73B、合波部64、波長変換部65及び波長フィルタ66の他に、ローカル光源75と、光SW76と、第4の光カプラ77と、ヘテロダインPD78と、制御部69Cと、生成部70Cを有する。
【0073】
ローカル光源75は、運用開始前に使用し、ローカル光を発光し、発光したローカル光を光SW76に出力する。ローカル光は、例えば、第1の送信群10Aと接続する場合、第1の送信群10Aから出力する第1の多重光内の任意の波長の信号光である。
【0074】
光SW76は、ポンプ光源61からの第1のポンプ光又はローカル光源75からのローカル光を第1の位相変調部62に出力する。光SW76は、運用開始前、ローカル光源75からのローカル光を第1の位相変調部62に切替出力すると共に、運用開始後、ポンプ光源61からの第1のポンプ光を第1の位相変調部62に切替出力する。第1の位相変調部62は、運用開始前、第1の位相変調信号に応じてローカル光を位相変調し、位相変調後のローカル光を第1の光スプリッタ73Aに出力する。第2の位相変調部63は、運用開始前、第2の位相変調信号に応じて第1の多重光を位相変調し、位相変調後の第1の多重光を第2の光スプリッタ73Bに出力する。
【0075】
第4の光カプラ77は、第1の光スプリッタ73Aからの第1の位相変調部62で位相変調後のローカル光と、第2の光スプリッタ73Bからの第2の位相変調部63で位相変調後の信号光とを合波し、位相変調後の合波光をヘテロダインPD78に出力する。ヘテロダインPD78は、位相変調後の合波光による差周波成分を検出し、差周波成分を制御部69Cに出力する。制御部69Cは、差周波成分に基づき、ローカル光の変調成分と信号光の変調成分とが最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する制御信号を生成部70Cに出力する。
【0076】
生成部70Cは、制御信号に応じて第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成し、第1の位相変調信号を第1の位相変調部62に入力すると共に、第2の位相変調信号を第2の位相変調部63に入力する。制御部69Bは、運用開始後、光SW76の入力をローカル光源75からポンプ光源61に切替え、切替後の第1のポンプ光を第1の位相変調部62に出力する。
【0077】
そして、第1の位相変調部62は、第1の位相変調信号に応じて第1のポンプ光を位相変調し、位相変調後の第1のポンプ光を第1の光スプリッタ73A経由で合波部64に出力する。第2の位相変調部63は、第2の位相変調信号に応じて第1の多重光を位相変調し、位相変調後の第1の多重光を第2の光スプリッタ73B経由で合波部64に出力する。合波部64は、第1の位相変調部62で位相変調後の第1のポンプ光と、第2の位相変調部63で位相変調後の第1の多重光とを合波し、合波後の第1のポンプ光及び第1の多重光を波長変換部65に出力する。波長変換部65は、第1の多重光を第1のポンプ光に応じて第2の多重光に波長変換し、波長変換後の第2の多重光を波長フィルタ66に出力する。その結果、第1の波長変換装置20A3は、SBSを抑圧した第2の多重光が出力できる。
【0078】
実施例4の第1の波長変換装置20A3では、運用開始前、ローカル光を第1の位相変調部62に切替入力し、切替入力された第1の位相変調部62で位相変調後のローカル光と、第2の位相変調部63で位相変調後の信号光とを合波して差周波成分を検出する。第1の波長変換装置20A3は、差周波成分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20A3は、第2の多重光から変調成分が最小限になるため、運用開始後における第2の多重光の信号特性の劣化を抑制できる。
【0079】
第1の波長変換装置20A3は、ポンプ光の変調成分と信号光の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、ポンプ光の変調成分と信号光の変調成分との間の変調度の差分が最小になるように第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する。その結果、第1の波長変換装置20A3は、運用開始後、信号光の変調成分とポンプ光の変調成分とがキャンセルされて位相変調後の信号光の変調成分とポンプ光の変調成分との間の位相タイミングの差分及び、変調度の差分が最小になる。そして、第2の多重光の信号特性の劣化が抑制できる。
【0080】
また、本実施例では、例えば、C帯の多重光をL帯の多重光に波長変換する波長変換装置20を例示した。しかしながら、多重光に限定されるものではなく、C帯の信号光をL帯の信号光に波長変換する波長変換装置に適用しても良く、適宜変更可能である。尚、説明の便宜上、C帯を基準にしたが、S帯からL帯へ、L帯からS帯へのS帯とL帯との相互間で波長変換する場合の伝送システムに適用しても良く、適宜変更可能である。
【0081】
上記実施例のWDMシステム1では、波長変換装置20に使用するポンプ光を光増幅器等の光部品に使用しても良く、適宜変更可能である。
【0082】
波長変換装置20は、多重光とポンプ光とを非線形ファイバに伝搬させることで多重光任意の波長帯域に変換するが、FM変調(又はPM変調)のポンプ光を用いても良い。
【0083】
上記実施例では、C帯の光部品を使用し、C帯の多重光をS帯やL帯に波長変換して伝送路3に伝送するシステムを例示した。しかしながら、S帯の光部品を使用し、S帯の多重光をC帯やL帯に波長変換して伝送路3に伝送するシステムや、L帯の光部品を使用し、L帯の多重光をC帯やS帯に波長変換して伝送路3に伝送するシステムにも適用可能である。
【0084】
上記実施例では、C帯、L帯及びS帯を使用する場合を例示したが、C帯、L帯及びS帯に限定されるものではなく、例えば、O帯、E帯やU帯に適用しても良く、適宜変更可能である。
【0085】
波長変換装置20では、第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を調整し、波長変換後の信号光の変調成分が最小になるように調整後の第1の位相変調信号及び第2の位相変調信号を生成する場合を例示した。波長変換後の変調成分が最小になるように同相又は逆相でキャンセルするように調整しても良く、適宜変更可能である。
【0086】
波長変換装置20では、単一波長の励起光を用いて波長変換する場合を例示したが、単一波長の励起光に限定されるものではなく、2波長の励起光を用いて波長変換しても良い。
【0087】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0088】
20 波長変換装置
62 第1の位相変調部
63 第2の位相変調部
65 波長変換部
68 検出部
68A 第1の検出部
68B 第2の検出部
69(69A,69B,69C) 制御部
70(70A,70B,70C) 生成部
71 第1の光SW
72 第2の光SW
76 光SW
78 ヘテロダインPD
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