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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】内照式設備
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/34 20060101AFI20230208BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230208BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20230208BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20230208BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230208BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230208BHJP
【FI】
F21V21/34 100
F21S2/00 480
F21V33/00 200
G09F13/04 L
G09F13/04 D
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019085937
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020181780
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小川 晴果
(72)【発明者】
【氏名】三谷 一房
(72)【発明者】
【氏名】水上 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】松永 成雄
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-76625(JP,U)
【文献】登録実用新案第3107982(JP,U)
【文献】特開2017-174667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/34
F21S 2/00
F21V 33/00
G09F 13/04
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造と下部構造との間に設けられる内照式設備であって、
前記上部構造と前記下部構造との間に固定された透光体と、
前記透光体を照光する発光体と、
前記上部構造と前記下部構造との間に、前記発光体の後方の後板と、前記発光体の両側の側面板と、前記両側の側面板の上端部を連結する上面板と、前記両側の側面板の下端部を連結する底板とを有する箱体とを備え、
前記箱体を、前記透光体の後方で、水平方向にスライド可能に設けたことを特徴とする内照式設備。
【請求項2】
前記側面板には、反射材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の内照式設備。
【請求項3】
前記側面板には、前記透光体との隙間からの光を遮蔽する遮光材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内照式設備。
【請求項4】
前記箱体を水平方向にスライドさせるために、前記上部構造に設けた上部ガイドを摺動するローラーを、更に設けたことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の内照式設備。
【請求項5】
前記箱体を水平方向にスライドさせるために、前記下部構造に設けた下部ガイドを摺動するローラーを、更に設けたことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の内照式設備。
【請求項6】
前記発光体の発光面と前記透光体とが平行になるようにバランスウエイトを設けたことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の内照式設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状発光パネルを用いた内照式設備に関する。
【背景技術】
【0002】
大きな領域を照らすために、有機EL(Organic Electroluminescence)等を利用した面状発光の照明装置が検討されている(例えば、特許文献1)。この文献に記載された内照式照明装置は、相互の間に隙間領域を有するように配置された複数の面状発光パネルと、複数の面状発光パネルへの電力供給を制御する駆動回路基板と、複数の面状発光パネルと対向する位置に配置され、面状発光パネルから照射される光を受ける照明パネルとを備える。更に、隙間領域に配置され、面状発光パネルから照射された光を照明パネル側に反射する光学部材を備える。駆動回路基板は、光学部材によって覆われるように隙間領域に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-2041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内照式照明装置は、比較的小型の内照式看板等に用いられることが多い。一方、この内照式照明装置を照明器具に用いる場合、正面パネルを大きくする。ここで、正面パネルとして、人工大理石を用いると、その模様を浮き出させることができ、意匠性を高めることができる。例えば、床から天井までの高さで内照式照明装置を用いると、正面パネルが大きくなる。しかしながら、内照式照明装置の場合、発光体のメンテナンスのために、内照式照明装置の本体から正面パネルを分離する必要がある。特に、正面パネルとして大面積の人工大理石を用いた場合、重量、サイズが大きくなり、移動が難しく、正面パネルの背面に設けた発光体のメンテナンスが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための内照式設備は、上部構造と下部構造の間に設けられる。そして、前記上部構造と前記下部構造の間に固定された透光体と、前記透光体を照光する発光体と、前記上部構造と前記下部構造の間に、前記発光体の後方の後板と、前記発光体の両側の側面板と、前記両側の側面板の上端部を連結する上面板と、前記両側の側面板の下端部を連結する底板とを有する箱体とを備え、前記箱体を、前記透光体の後方で、水平方向にスライド可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、透光体を介して光を放出する照明環境を実現できるとともに、メンテナンスが容易な内照式設備を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の内照式設備の斜視図。
図2】本実施形態の内照式設備の側面断面図。
図3】本実施形態の発光体収納箱の正面図。
図4】本実施形態の発光体収納箱の背面図。
図5】本実施形態の発光体収納箱の平面断面図。
図6】本実施形態の内照式設備の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図6を用いて、本実施形態の内照式設備を説明する。
図1に示すように、この内照式設備U1は、透光体の背面において、発光体としてのLEDを点灯させて、正面パネル10を介して照明を行なう。
【0009】
正面パネル10としては、人工大理石製パネルを用いる。人工大理石製パネルとしては、例えば、コーリアン(登録商標)を用いることができる。この正面パネル10は背面からの光を、所定の透過率で透過させることにより、前面側を照らす。例えば、人工大理石製パネルの裏面を刻設した凹凸のパターンにより、正面パネル10に模様を付すことができる。本実施形態では、正面パネル10は、幅700mm、高さ2655mm、厚さ10mmの人工大理石製パネルに対して、厚さ10mmのアクリル板で裏打ちされたパネルを用いる。
【0010】
図2は、内照式設備U1の側面の断面図である。
この正面パネル10は、建物躯体の梁C1(上部構造体)と床F1(下部構造体)の間に配置される。そして、正面パネル10の上部は、梁C1に固定された保持部H1及び上部固定部材11によって固定される。正面パネル10の下部は、下部固定部材12によって床F1に固定される。上部固定部材11、下部固定部材12は、正面パネル10を、板状部材で挟持する。
【0011】
図1に示すように、正面パネル10の背面には、発光体収納箱20が設けられている。この発光体収納箱20は、上面板21、側面板22,23、底板25、背面板26により構成されている。側面板22,23は、前面から向かってそれぞれ左側、右側に配置されている。側面板22,23の上端部は、上面板21で連結されており、側面板22,23の下端部は、底板25で連結されている。側面板22,23の高さは約2580mmであり、幅(奥行)は約155mmである。そして、発光体収納箱20の正面パネル10側の前面は開口されている。
更に、発光体収納箱20の内部には、正面パネル10と平行して後板24が立設される。この後板24は、側面板22,23に沿う側面部を有し、この側面部で側面板22,23に固定される。図1では、後板24において正面パネル10に平行な領域のみを示しており、前面から136mmだけ奥まった位置に配置される。
【0012】
図3は、発光体収納箱20の正面図である。後板24には、複数の発光体L1が、上端から下端に亘って、上下左右に均等な間隔で全体的に分散して配置される。発光体L1に電力を供給する配線(図では破線で示す)は、配線用穴HL1を介して、後板24の背面に設置された電源ユニットPU1(後述)に接続される。この配線用穴HL1には、ケーブルを保護する目的で、難燃性グロメットが取り付けられている。そして、上面板21、側面板22,23、後板24、底板25は、前面が開口された箱体を構成し、発光体L1の光が周囲に漏れないように遮光する。更に、箱体を構成する上面板21、側面板22,23、底板25からなる発光体収納箱20の内部空間側の全面には、反射材が貼付されている。
【0013】
本実施形態では、発光体L1として、94mm角の面発光型の有機LED素子を用いる。具体的には、定格入力電圧24V、定格入力電流100mAを用いる。面内平均輝度は、2700~3600cd/m^2である。
【0014】
図1に示すように、側面板22,23には、それぞれ、遮蔽板221,231が設けられており、遮光材として機能する。
図5の水平断面図に示すように、遮蔽板221,231は、鉛直方向に配置された弾性体(平ゴム222,232)及び側面板22,23により支持される。遮蔽板221,231及び平ゴム222,232は、後板24の前面近傍の側面部との間で挟持される。遮蔽板221,231は、側面板22,23の構成材よりも、比較的に柔軟な材料で構成する。この遮蔽板221,231は、側面板22,23と正面パネル10の隙間を埋める形状で配置される。そして、遮蔽板221,231が正面パネル10に接触した場合にも、正面パネル10を傷付けないようにクッション材として機能する。
【0015】
上面板21の上側には、ローラー211が配置される。本実施形態では、ローラー211を、上面板21の上面であって、後板24と背面板26との間の上方に設ける。
図2に示すように、ローラー211は、梁C1に固定された保持部H2に支持されたガイドレールG1(上部ガイド)を摺動する。これにより、発光体収納箱20は、梁C1に吊り下げられ、ガイドレールG1に沿って、水平移動する。
【0016】
更に、発光体収納箱20の下方において、後板24と背面板26との間は、ローラー受261(下部ガイド)が設けられている。このローラー受261は、床に固定されたローラー262を摺動する。
図5に示すように、本実施形態では、発光体収納箱20を正面パネル10の背面に設置した場合、ローラー262は、正面パネル10に向かって、正面パネル10の左端に設置されている。これにより、図1に示すように、ローラー262をローラー受261内で摺動させて、発光体収納箱20を左側にスライドさせることができる。
【0017】
そして、ローラー受261の水平方向の端部は、ネジ止めされた蓋263により閉鎖される。なお、メンテナンス時には、この蓋263のネジ止めを外すことにより、ローラー受261とローラー262とを分離することができる。
【0018】
図4は、発光体収納箱20の背面図である。背面板26の下方中央部には丸落とし251が設けられている。発光体収納箱20を正面パネル10の背面に配置した場合に、丸落とし251を、床F1に設けられた受け孔f11に嵌合させる。これにより、発光体収納箱20の位置を固定する。
【0019】
また、発光体収納箱20には、電圧や電流を調整する電源ユニットPU1が配置される。電源ユニットPU1としては、複数の発光体L1に電力を供給するために、商用電圧(115V)入力、定格入力電流が1.1Aであり、定格出力電圧が24V、最大出力電流4Aの電源装置を用いる。
【0020】
更に、後板24と背面板26との間には、この電源ユニットPU1の他に、発光体L1に電力を供給する配線や、商用電源からの配線等が設けられる。
背面板26の背面側には、板状のバランスウェイト30が固定される。このバランスウェイト30は、発光体収納箱20が鉛直方向に立設し、発光体L1の発光面と正面パネル10とが平行になるように、ローラー211に対して正面パネル10側(前面側)の重量と、電源設備側(後面側)の重量とのバランスを調節する。
【0021】
内照式設備U1を利用する場合には、ローラー受261をローラー262に係合させた状態で、ローラー211をガイドレールG1に沿わせて、発光体収納箱20を水平移動させる。
【0022】
(作用)
図6に示すように、正面パネル10の背面に、発光体収納箱20をスライドさせて配置することができる。人工大理石製パネルを移動させることなく、メンテナンスや照明を行なうことができる。この場合、正面パネル10と発光体収納箱20の側面は、遮蔽板221,231によって封鎖されるので、周囲に対して正面パネル10の模様を浮き出させることができる。
【0023】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、正面パネル10の背面に、複数の発光体L1を備えた発光体収納箱20を配置する。これにより、発光体収納箱20の上面板21、側面板22,23、後板24、底板25により、複数の発光体L1が等間隔で配置された領域を囲み、正面パネル10以外から周囲への光の漏れを抑制し、正面パネル10を強調させることができる。そして、複数の発光体L1の光により、正面パネル10の模様を浮き出させながら、前面に光を放出し、居心地のよい照明環境を実現することができる。
【0024】
(2)本実施形態では、後板24には、上端から下端に亘って、上下左右に均等な間隔で全体的に発光体L1が配置される。特に、発光体L1として有機LED素子を用いる場合、大型の正面パネル10全体に亘ってほぼ均質な明るさで投光できる。従って、人工大理石製パネルの裏面に、凹凸パターンが刻設されている場合にも、正面パネル10の後方全面から投光できるため、凹凸による影等による明るさのむらを抑制し、正面パネル10の模様を浮き出させることができる。
【0025】
(3)本実施形態では、正面パネル10は、建物躯体の梁C1と床F1の間に固定される。発光体収納箱20は、ローラー211を介して、梁C1に支持されたガイドレールG1に係合する。これにより、正面パネル10を移動させることなく、発光体L1を外部に露出させることができる。
更に、発光体収納箱20の下方において、後板24と背面板26との間は、ローラー受261が設けられている。発光体収納箱20の上側と下側とをローラーで摺動することにより、安定してスライドさせることができる。
【0026】
(4)本実施形態では、側面板22,23には、それぞれ、弾性体により支持された遮蔽板221,231を設ける。これにより、正面パネル10と側面板22,23との隙間からの光の漏れを抑制することができる。
【0027】
(5)本実施形態では、発光体収納箱20の上面板21、側面板22,23、底板25には、反射材が貼付されている。反射材により、端部における照度の低下を抑制し、照度の平準化を図ることができる。
【0028】
(6)本実施形態では、発光体収納箱20の背面板26の下方中央部には、丸落とし251が設けられている。これにより、発光体収納箱20を、正面パネル10の背面で固定することができる。
【0029】
(7)本実施形態では、発光体収納箱20の背面板26の背面側には、板状のバランスウェイト30が固定される。これにより、発光体収納箱20を鉛直方向に立設させることができる。
【0030】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ローラー211を、発光体収納箱20の背面板26に近い領域に設ける。発光体収納箱20を鉛直方向に立設させることができれば、ローラー211の配置は、これに限定されるものではない。
また、発光体収納箱20をスライドさせる場合、ローラー211、ローラー262を用いる。スライドさせるための機構は、これらに限定されるものではなく、例えば、何れか一方を用いてもよい。
【0031】
・上記実施形態では、正面パネル10は、建物躯体の梁C1と床F1の間に配置される。上部構造体や下部構造体は、梁C1、床F1に限定されるものではない。
・上記実施形態では、正面パネル10として、人工大理石製パネルを用いる。正面パネル10は、これに限定されるものではない。発光体の光を透過する素材を利用することができる。
【0032】
・上記実施形態では、発光体L1として、94mm角の面発光型の有機LED素子を用いる。発光体L1は、有機LED素子に限定されるものではない。例えば、蛍光灯等の発光体を利用することができる。また、発光体の配置も実施形態に限定されるものではない。
・上記実施形態では、内照式設備U1を照明器具として用いた。用途は、照明器具に限定されるものではなく、大型の看板等に用いることも可能である。
【0033】
・上記実施形態では、発光体収納箱20の上面板21、側面板22,23、底板25には、反射材が貼付されている。面積が大きい領域に反射材が貼付されていれば、全面である必要はない。例えば、少なくとも側面板22,23に反射材が貼付されていればよい。
【符号の説明】
【0034】
U1…内照式設備、L1…発光体、G1…ガイドレール、PU1…電源ユニット、10…正面パネル、11…上部固定部材、12…下部固定部材、20…発光体収納箱、21…上面板、211…ローラー、22,23…側面板、221,231…遮蔽板、222,232…平ゴム、24…後板、25…底板、26…背面板、261…ローラー受、262…ローラー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6