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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】焼結機及びパレット台車
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/08 20060101AFI20230208BHJP
   C22B 1/20 20060101ALN20230208BHJP
【FI】
F27B21/08 D
C22B1/20 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019085993
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020180768
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
【審査官】岡田 眞理
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202792971(CN,U)
【文献】実開昭58-184197(JP,U)
【文献】実開昭62-032998(JP,U)
【文献】特開平08-029070(JP,A)
【文献】特開2020-046097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/00-21/14
C22B 1/20
F27D 7/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端軌道に配置される複数のパレット台車を有する焼結機であって、
前記パレット台車は、
パレットフレームと、
前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、
前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、を備え、
さらに前記パレット台車は、
原料を積載して搬送される際の搬送方向前側の端面に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームの前記シールバーの近傍に至る第1の溝と、
前記第1の溝に挿入される第1シール部材と、
前記搬送方向後ろ側の端面に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームの前記シールバーの近傍に至る第2の溝と、
前記第2の溝に挿入される第2シール部材と、を備え、
前記第1の溝は、前記第1シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第1外側壁を備え、
前記第2の溝は、前記第2シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第2外側壁を備え、
前記無端軌道において原料を積載した前記パレット台車の各々は、前記第1シール部材が、前記搬送方向の前の隣接するパレット台車の第2シール部材に接した状態で搬送される、
焼結機。
【請求項2】
請求項1の焼結機であって、
前記パレット台車は、
幅方向の両側に形成された一対の前記第1の溝と、
幅方向の両側に形成された一対の前記第2の溝と、
前記一対の第1の溝に挿入される一対の前記第1シール部材と、
前記一対の第2の溝に挿入される一対の前記第2シール部材と、を備え、
前記一対の第1の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられ、
前記一対の第2の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられ、
前記一対の第1の溝の前記一対の第1シール部材が挿入される領域と、前記一対の第2の溝の前記一対の第2シール部材が挿入される領域は、前記パレット台車の幅方向の同じ位置に設けられる、
焼結機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の焼結機であって
前記第1シール部材は、前記第1の溝と着脱可能であり、
前記第2シール部材は、前記第2の溝と着脱可能である、
焼結機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の焼結機であって、
前記第1の溝は、前記第1外側壁の位置での上面視の断面において、内面が幅方向に出っ張る凸部を備え、
前記第2の溝は、前記第2外側壁の位置での上面視の断面において、内面が幅方向に出っ張る凸部を備え、
前記第1シール部材は、前記第1の溝に挿入された状態で、前記断面において、前記第1の溝の前記凸部よりも搬送方向内側にあって幅方向の最大幅が前記凸部における溝の幅よりも大きい部分と、前記第1の溝の凸部よりも搬送方向外側に突出する部分とを備え、
前記第2シール部材は、前記第2の溝に挿入された状態で、前記断面において、前記第2の溝の凸部よりも搬送方向内側にあって幅方向の最大幅が前記凸部における溝の幅よりも大きい部分と、前記第2の溝の凸部よりも搬送方向外側に突出する部分とを備える、
焼結機。
【請求項5】
請求項4に記載の焼結機であって、
前記第1シール部材は、上面視の断面で、隣接するパレット台車の第2シール部材と接触する部分が前記隣接するパレット台車の前記第2シール部材に向かって凸状であり、
前記隣接するパレット台車の前記第2シール部材は、上面視の断面で、前記第2の溝より突出する部分の幅方向の幅が前記第2の溝の凸部における溝の幅より大きく、且つ、前記第1シール部材と接触する部分が凹状である、
焼結機。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の焼結機であって、
前記第1シール部材は、弾性部材を備え、前記第1の溝に挿入された状態で、前記弾性部材により前記溝から搬送方向に押し出されるよう付勢される、
焼結機。
【請求項7】
無端軌道に配置される複数のパレット台車を有する焼結機を構成するパレット台車であって、
パレットフレームと、
前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、
前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、を備え、
さらに、
搬送方向の一方の端面の幅方向両側に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る一対の第1の溝と、
前記一対の第1の溝に挿入される一対の第1シール部材と、を備え、
搬送方向のもう一方の端面の幅方向両側に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る一対の第2の溝と、
前記一対の第2の溝に挿入される一対の第2シール部材と、を備え、
前記一対の第1の溝の各々は、前記第1シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第1外側壁を備え、
前記一対の第2の溝の各々は、前記第2シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第2外側壁を備え、
前記一対の第1の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられ、
前記一対の第2の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられ、
前記一対の第1の溝と前記一対の第2の溝は、前記パレット台車の幅方向の同じ位置に設けられる、
パレット台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機、及びパレット台車に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結機は、無端軌道上に配置した複数のパレット台車を有する。複数のパレットは互いに隣接し、連続した搬送コンベヤーを形成する。連続する複数のパレットの上に焼結用の原料が積載され、搬送される。搬送中に、積載した原料中の粉コークス等の燃料に点火される。原料が積載された複数のパレットの下には、複数の連続した負圧を生じさせる風箱群が配置される。風箱群は、誘引排風機に接続される。点火後、原料中の粉コークスが燃焼することで、鉄鉱石が加熱され、部分溶融して焼結鉱を形成する。
【0003】
焼結機において、原料を積載した複数のパレット台車には、例えば、焼結機駆動スプロケットにより、排鉱部に向けて押す力が作用する。この力により、複数のパレット台車に加速度的な動きが生じて、パレット間の隙間が生じることがある。隙間ができた瞬間にダスト粒子が挟み込まれる。これ以後、パレット端面同士が密着することなく隙間が空いたまま焼成が進んでしまう。隙間は、漏風の原因となる。漏風とは、焼成反応の燃焼に寄与しないで、風箱内に引き込まれる空気のことである。漏風は、積載した原料層内を通過せず、例えば、パレット台車間、パレット台車と風箱間、又は、側板と原料層との隙間を通過して風箱に至る。漏風が多いと、誘引排風機の電力を増大させるとともに、生産性を著しく低下させることになる。そのため、従来から漏風削減技術に関し多くの提案がなされてきた。
【0004】
その1つに、側板の範囲において側板間の隙間についてシール板を取り付けるシール構造を設けた技術がある。例えば、実開昭61-034099号公報(特許文献1)(実公昭63―40782号公報)には、サイドウォールの前端面の凹溝に、シートプレートが挿入される構成が開示されている。このシートプレートは、前方向に向かって下向きに傾斜する長穴を有する。この長穴を貫通する支持ピンによって、シートプレートが、凹溝から可能に支持される。隣り合うサイドウォール間に隙間が生じると、シートプレートは自重によって、凹溝から突出して隙間を塞ぐ。
【0005】
実開昭59-186797号公報(特許文献2)には、パレットフレームとパレットサイドフレームの端面と、これらに隣接する他のパレットフレームとパレットサイドフレームの端面との間の間隙を気密に閉塞するシール板と、押圧金具とを備えるシール機構が開示されている。
【0006】
実開昭61-038497号公報(特許文献3)には、サイドウォールのシールプレート座に、シールプレートを隣接するサイドウォールの方向に押圧するバネ機構が開示されている。
【0007】
特開平9-14856号公報(特許文献4)には、シールプレートのピン又はボルトと、サイドウォールのピン又はボルトを連結材で連結して、シールプレートの端面が、サイドウォールの端面に対して平行移動可能に圧着されるよう構成することが開示されている。
【0008】
実開昭62-130398号公報(特許文献5)には、パレットの側板の端面の切り欠き段部に、押え金物をボルトで側板に取り付けて形成される垂直な溝に管状シール体を嵌挿することが開示されている。管状シール体の一部は、溝から突出して、隣接する他のパレットの側板に密接する。管状シール体は、内部にコイルスプリングが挿入された薄肉の管状体で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開昭61-034099号公報
【文献】実開昭59-186797号公報
【文献】実開昭61-038497号公報
【文献】特開平9-14856号公報
【文献】実開昭62-130398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば、実開昭61-034099号公報(特許文献1)のような側板間をシールするシールプレートを用いる場合、シールプレートは、鋳物等の剛体となる。シールプレートは、隣接するパレットとは自重により接触する。そのため、わずかなダストの噛み込みや、シールプレートを支持するピンの動きの悪さによって、接触状態が悪くなったり、最下端までシールプレートが届いていなかったりする場合がある。この場合、隙間が残る。特開平9-14856号公報(特許文献4)の構成でも同様の現象が起こり得る。
【0011】
また、実開昭59-186797号公報(特許文献2)の構成の場合、シール板がボルトによって押圧金具に固定されている。押圧金物も、側板にボルトで固定されている。この構成では、位置の誤差が大きい。そのため、シール板が出過ぎたり引っ込みすぎたりして確実なシールが難しい。また、シール板がダスト等の噛み込みで塑性変形してしまうとそれ以降は、変形したシールド板によって、逆にパレット間の隙間を広げてしまう。さらに、シール板は、側板範囲とフレーム範囲で分割されているため、分割位置の漏風が防げなかった。また、パレットフレームの下面において、シール部材とシールバーの間に隙間があり、漏風が生じる。
【0012】
実開昭61-038497号公報(特許文献3)は、パレット台車が、隣接するパレット台車に対して、搬送方向と直角な方向に位置ずれする場合、いわゆる蛇行した場合には、シールプレートが、隣接するパレット台車の端面にうまく当接せず、むしろ、突っ掛ける恐れがある。
【0013】
実開昭62-130398号公報(特許文献5)の構成では、シール部材を押さえる押さえ金具が、ボルトにより側板に取り付けられる。そのため、焼結機駆動力によってボルトが緩む場合がある。また、ボルトで締結した金物が、ダストを挟み込んでしまうとボルトが折損する場合もある。また、この構成は、パレット端面全体をシールするものではない。
【0014】
このように、焼結機における漏風削減は、従来からの課題であるが、シール構造の改良は望まれている。そこで、本発明は、上記従来とは異なる構成により、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができる焼結機及びパレット台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態における焼結機は、無端軌道に配置される複数のパレット台車を有する焼結機である。前記パレット台車は、パレットフレームと、前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、を備える。さらに、前記パレット台車は、原料を積載して搬送される際の搬送方向前側の端面に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る第1の溝と、前記第1の溝に挿入される第1シール部材と、前記搬送方向後ろ側の端面に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る第2の溝と、前記第2の溝に挿入される第2シール部材と、を備える。前記第1の溝は、前記第1シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第1外側壁を備える。前記第2の溝は、前記第2シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第2外側壁を備える。前記無端軌道において原料を積載したパレット台車の各々は、前記第1シール部材が、前記搬送方向の前の隣接するパレット台車の第2シール部材に接した状態で搬送される。
【発明の効果】
【0016】
本願開示によれば、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態におけるパレット台車を、搬送方向前方から見た図である。
図2図2は、隣接する2つのパレット台車の側面図である。
図3図3は、図1の溝を含む部分の拡大図である。
図4図4は、図2の2台のパレット台車の間付近の拡大図である。
図5図5は、図4における領域R5の拡大図である。
図6A図6Aは、図5におけるXA-XA線の断面図である。
図6B図6Bは、図5におけるXB-XB線の断面図である。
図6C図6Cは、図5におけるXC-XC線の断面図である。
図7A図7Aは、パレットフレームにおける溝を含む部分の構成例を示す図である。
図7B図7AのA-A線における断面図である。
図8図8は、パレットフレームにおける溝を含む部分の変形例を示図である。
図9図9は、図2の2台のパレット台車を上から見た拡大図である。
図10図10は、溝とシール部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
焼結機においては、焼結用の原料を積載したパレット台車の下に、複数の連続した負圧(例えば、概ね-1600mmAq)の風箱群を配置される。風箱の上端に位置するウェアーバー(スライドベッド)に、パレット台車の下端に設けられたシールバーが接触しながら移動する。これにより、パレット台車の下の風箱の空間が、大気と遮断されている。シールバーから上方の隣接するパレット台車間の隙間の漏風の量は、例えば、パレット端面の凹凸状態、密着性、又は、パレット台車の押し力の一定性によって、影響される。なお、パレット台車の加速度的動きが少ないほど、パレット台車の押し力の一定性は高いと言える。
【0019】
隣接するパレット台車の端面は、パレット台車の数だけ存在する。そのため、端面間の隙間が、たとえわずかでも、パレット台車の数が多い(例えば、100台から200台)と、相当な開口となる。発明者らは、パレット台車の端面の隣接するパレット台車端面との密着性を向上させ、漏風を低減する構造を検討した。
【0020】
従来、主に提案されてきた側板のシール対策から、視点を変えて、側板の上端から、パレットフレーム下端のシールバーに至るまでの間を一体的にシールする構成を検討した。検討の結果、下記実施形態の構成に想到した。
【0021】
(構成1)
本発明の実施形態における焼結機は、無端軌道に配置される複数のパレット台車を有する焼結機である。前記パレット台車は、パレットフレームと、前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、を備える。さらに、前記パレット台車は、原料を積載して搬送される際の搬送方向前側の端面に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る第1の溝と、前記第1の溝に挿入される第1シール部材と、前記搬送方向後ろ側の端面に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る第2の溝と、前記第2の溝に挿入される第2シール部材と、を備える。前記第1の溝は、前記第1シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第1外側壁を備える。前記第2の溝は、前記第2シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第2外側壁を備える。前記無端軌道において原料を積載したパレット台車の各々は、前記第1シール部材が、前記搬送方向の前の隣接するパレット台車の第2シール部材に接した状態で搬送される。
【0022】
上記構成1によれば、パレット台車の端面と隣接するパレット台車の端面との間において、側板の上端近傍から、前記パレットフレームのシールバー近傍に至るまで、第1シール部材と第2シール部材が互いに接触して位置することになる。これにより、側板の端面及びパレットフレームの端面を一体的にシールすることができる。そのため、パレット台車の端面と隣接するパレット台車の端面の間の密閉性を向上させることができる。また、第1シール部材及び第2シール部材の幅方向外側には、上下方向に断続的に配置された複数の第1外側壁及び複数の第2外側壁が配置される。第1の溝の複数の第1外側壁の間の部分は、幅方向外側に開口している。第2の溝の複数の第2外側壁の間の部分は、幅方向外側に開口している。そのため、第1の溝及び第2の溝には、ダストが溜まりにくくなる。このように、従来とは異なる構成により、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができる。
【0023】
前記第1の溝及び第2の溝(以下、特に区別しない場合は、単に「溝」と称する)は、前記側板の上端近傍から、前記パレットフレームの前記シールバー近傍に至り形成される。すなわち、溝は、前記側板の上端近傍から、前記パレットフレームの内部に至りさらにシールバーに近づくように形成される。これにより、シール部材の一方の端が側板の上端の近くに、シール部材の他方の端がシールバーの近くに配置される。そのため、パレット台車の端面と隣接するパレット台車の端面の間の密閉性をより向上させることができる。側壁の上端近傍に至る溝の例として、例えば、溝と側板の上端との最短距離を、50mm以下とすることができる。溝と側板上端との最短距離を、20mm以下とすることがより好ましい。シールバー近傍に至る溝の例として、例えば、前記溝と前記シールバーとの最短距離を、20mm以下とすることができる。前記溝と前記シールバーとの最短距離を、5mm以下とすることが好ましい。前記溝は、側板の上端に達してもよい。なお、溝と側板との最短距離は、溝と側板が最も近づく部分の両者間の距離である。溝とシールバーとの最短距離は、溝とシールバーが最も近づく部分の両者間の距離である。
【0024】
前記第1の溝及び前記第2の溝の上方は、前記側板の上面を構成する部分によって覆われてもよい。すなわち、前記第1の溝及び前記第2の溝の上端は、側板の上面から下方に離れた位置にあってもよい。これにより、第1の溝の上端から第1シール部材が抜けるのを防ぐことができ、第2の溝の上端から第2シール部材が抜けるのを防ぐことができる。また、第1の溝の上端からダストが第1の溝に入りにくくなり、第2の溝の上端からダストが第2の溝に入りにくくなる。この場合、第1の溝の上端から側板の上面までの寸法及び第2の溝の上端から側板の上面までの寸法は、第1シール部材及び第2シール部材の抜け止めのして必要な強度分の厚みを有することが好ましい。
【0025】
(構成2)
上記構成1の焼結機において、前記パレット台車は、前記幅方向の両側に形成された一対の前記第1の溝と、前記幅方向の両側に形成された一対の前記第2の溝と、前記一対の第1の溝に挿入される一対の前記第1シール部材と、前記一対の第2の溝に挿入される一対の前記第2シール部材と、を備えてもよい。この場合、前記一対の第1の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられてもよい。前記一対の第2の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられてもよい。前記一対の第1の溝の前記一対の第1シール部材が挿入される領域と、前記一対の第2の溝の前記一対の第2シール部材が挿入される領域は、前記パレット台車の幅方向の同じ位置に設けられてもよい。
【0026】
この構成により、パレット台車の前の端面において、一対の側板の両方に第1の溝が形成される。パレット台車の後ろの端面において、一対の側板の両方に第2の溝が形成される。パレット台車の前の他面及び後ろの端面において、一対の側板の両方に溝とシール部材を設けることで、パレット台車端面の幅方向の両端から漏風を効果的に防ぐことができる。また、一対の第1の溝と、一対の第2の溝は、幅方向に対称な位置に設けられるため、パレット台車の製造工程において、溝の形成がしやすくなる。
【0027】
なお、前記一対の第1の溝及び一対の第2の溝が、パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられるとは、一対の第1の溝及び一対の第2の溝が、パレット台車の幅方向の中央の仮想面に対して対称な位置に設けられることである。
【0028】
(構成3)
上記構成1又は2において、前記第1シール部材は、前記第1の溝と着脱可能であってもよい。また、前記第2シール部材は、前記第2の溝と着脱可能であってもよい。
【0029】
(構成4)
上記構成1~3のいずれかにおいて、前記第1の溝は、前記第1外側壁の位置での上面視の断面において、内面が幅方向に出っ張る凸部を備えてもよい。前記第2の溝は、前記第2外側壁の位置での上面視の断面において、内面が幅方向に出っ張る凸部を備えてもよい。前記第1シール部材は、前記第1の溝に挿入された状態で、前記断面において、前記第1の溝の前記凸部よりも搬送方向内側にあって幅方向の最大幅が前記凸部における溝の幅よりも大きい部分と、前記第1の溝の凸部よりも搬送方向外側に突出する部分とを備えてもよい。前記第2シール部材は、前記第2の溝に挿入された状態で、前記断面において、前記第2の溝の凸部よりも搬送方向内側にあって幅方向の最大幅が前記凸部における溝の幅よりも大きい部分と、前記第2の溝の凸部よりも搬送方向外側に突出する部分とを備えてもよい。これにより、第1の溝から第1シール部材が外れにくくなり、第2の溝から第2シール部材が外れにくくなる。
【0030】
前記第1の溝の前記第1外側壁の位置での上面視の断面は、前記第1外側壁を通り、上下方向に垂直な面の第1の溝の断面である。前記第1の溝の凸部は、幅方向において前記第1の溝の内側に向かって出っ張る。前記第2の溝の前記第2外側壁の位置での上面視の断面は、前記第2外側壁を通り、上下方向に垂直な面の第2の溝の断面である。前記第2の溝の凸部は、幅方向において前記第2の溝の内側に向かって出っ張る。なお、凸部は、溝の外側壁に設けられてもよいし、外側壁と幅方向に対向する溝の内面に設けられてもよい。
【0031】
前記第1外側壁及び前記第2外側壁は、前記パレットの前記側板の幅方向の端面に対して、幅方向外側に突出しないことが好ましい。これにより、例えば、パレットの側板の幅方向外方に配置される部材と側板の端面との隙間を小さくすることができる。
【0032】
第1外側壁の位置における第1の溝の凸部は、第1外側壁の少なくとも一部の位置において設けられてもよい。すなわち、第1外側壁の上下方向の全体にわたって凸部が設けられてもよし、第1外側壁の上下方向の一部において凸部が設けられてもよい。第2外側壁の位置における第2の溝の凸部は、第2外側壁の少なくとも一部の位置において設けられてもよい。すなわち、第2外側壁の上下方向の全体にわたって凸部が設けられてもよいし、第2外側壁の上下方向の一部において凸部が設けられてもよい。
【0033】
(構成5)
上記構成4において、前記第1シール部材は、上面視の断面で、隣接する前記パレット台車の前記第2シール部材と接触する部分が前記第2シール部材に向かって凸状であってもよい。この場合、前記第2シール部材は、上面視の断面で、前記第2の溝より突出する部分の幅方向の幅が前記第2の溝の凸部における溝の幅より大きく、且つ、隣接する前記パレット台車の前記第1シール部材と接触する部分が凹状であってもよい。これにより、第1シール部材と第2シール部材の接触面を大きくし、シール性を高めることができる。
【0034】
(構成6)
上記構成4又は5において、前記第1シール部材は、弾性部材を備え、前記第1の溝に挿入された状態で、前記弾性部材により前記溝から搬送方向に押し出されるよう付勢される構成であってもよい。この構成により、弾性部材は、第1シール部材を溝から突出する方向に押すため、第1シール部材が、隣接するパレット台車の第2シール部材を押す力が増える。そのため、第1シール部材及び第2シール部材による密封性が向上する。また、異物が、第1シール部材と隣接するパレット台車の第2シール部材の端面との間に噛み込まれた場合、第1シール部材の噛み込みの部分が、第1の溝に引っ込む。これにより、異物の噛み込みによる漏風を少なくすることができる。また、第1シール部材が引っ込んだ部分では、第1の溝に入り込んだダスト粒子を溝から排出しやすくなる。
【0035】
なお、上記構成5又は6において、前記第2シール部材は、弾性部材を備え、前記第2の溝に挿入された状態で、前記弾性部材により前記溝から搬送方向に押し出されるよう付勢される構成であってもよい。
【0036】
前記第1シール部材の前記弾性部材は、前記複数の第1外側壁の少なくとも1つに掛けられてもよい。前記第2シール部材の前記弾性部材は、前記複数の第2外側壁の少なくとも1つに掛けられてもよい。これにより、弾性部材のずれや脱落を防止することができる。例えば、弾性部材は、第1の外側壁の上下において、パレット幅方向の外側に突出する2つの突出部を有してもよい。この場合、2つの突出部は、第1の外側壁の上面及び下面に掛けられる。このように、上下方向において弾性部の2つの突出部の間に第1の外側壁が位置する状態で、弾性部材が第1の外側壁に掛けられてもよい。同様に、上下方向において弾性部材の2つの突出部の間に第2の外側壁が位置する状態で、弾性部材が2つの突出部に掛けられてもよい。
【0037】
(構成7)
本発明の実施形態におけるパレット台車は、無端軌道に配置される複数のパレット台車を有する焼結機を構成するパレット台車である。前記パレット台車は、パレットフレームと、前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、を備える。前記パレット台車は、さらに、搬送方向の一方の端面の幅方向両側に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る一対の第1の溝と、前記一対の第1の溝に挿入される一対の第1シール部材と、搬送方向のもう一方の端面の幅方向両側に形成された、前記側板の上端近傍から前記パレットフレームのシールバーの近傍に至る一対の第2の溝と、前記一対の第2の溝に挿入される一対の第2シール部材と、を備える。前記一対の第1の溝の各々は、前記第1シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第1外側壁を備える。前記一対の第2の溝の各々は、前記第2シール部材の幅方向外側に、上下方向に断続的に配置される複数の第2外側壁を備える。前記一対の第1の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられる。前記一対の第2の溝は、前記パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられる。前記一対の第1の溝と前記一対の第2の溝は、前記パレット台車の幅方向の同じ位置に設けられる。
【0038】
本明細書において、パレット台車において、焼結用の原料が積まれる方向が上であり、その反対方向が下である。搬送方向は、パレット台車が進む方向である。幅方向は、搬送方向及び上下方向と直交する方向とする。
【0039】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0040】
本実施形態における焼結機は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を備える。図1は、本実施形態におけるパレット台車を、搬送方向の前方から見た図である。図1に示す直交座標系のx軸は、幅方向であり、y軸は、搬送方向であり、z軸は、上下方向である。パレット台車10は、パレットフレーム2と、パレットフレーム2の幅方向の両端部に配置された一対の側板1と、一対の側板1の間のパレットフレーム2に配置される複数のグレートバー8を備える。複数のグレートバー8は、火格子を構成する。一対の側板1は、パレットフレーム2の上面に取り付けられる。一対の側板1は、パレットフレーム2から上方に延びる。パレットフレーム2には、一対の車輪7が回転可能に取り付けられる。一対の車輪7の車軸7aは、パレットフレーム2の幅方向に延びる。焼結用の原料は、火格子上に積載される。すなわち、複数のグレートバー8の火格子と一対の側板1で囲まれる空間に焼結用の原料が収納される。
【0041】
車輪7は、搬送方向に延びるレール11の上を転がる。レール11の内側には、搬送方向に延びる一対のウェアーバー13と、一対のウェアーバー13をそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポート12(ウェアーバー支持部)が配置される。パレットフレーム2の下面には、搬送方向に延びる2つの凹部2bが形成される。2つの凹部2bは、幅方向に離間している。2つの凹部2bのそれぞれに、搬送方向に延びる一対のシールバー4が挿入される。一対のシールバー4の各々は、パレットフレーム2に対して上下方向の可動な状態で取り付けられる。パレット台車10が原料を積載して搬送される時には、シールバー4の下面が、ウェアーバー13の上面に接した状態で、シールバー4がウェアーバー13に対して搬送方向に相対移動する。
【0042】
パレット台車10の下方には、複数の風箱(図示略)が配置される。複数の風箱は、搬送方向すなわちy方向に並んで配置される。パレット台車のグレートバー8の下方であって、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、及び一対のウェアーバーサポート12の間の空間は、風箱内の空間と繋がっている。風箱内のガスは、誘引排風機(図示略)によって吸引される。風箱内には負圧が生じる。すなわち、グレートバー8と、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、一対のウェアーバーサポート12、及び風箱で囲まれる空間は負圧となる。
【0043】
パレット台車10の搬送方向の端面は、側板1の端面1aとパレットフレーム2の端面2aを含む。パレット台車10が搬送される際、パレット台車10の搬送方向前側の端面は、隣接するパレット台車(図示略)の搬送方向後ろ側の端面と対向する。図1は、パレット台車10の搬送方向前側の端面(以下、「前の端面」と称する)を示している。
【0044】
パレット台車10の前の端面において、側板1の端面1aの上端1u近傍から、パレットフレーム2の端面2aの内部に至るまで、第1の溝51が連続して形成される。第1の溝51は、一対の側板1のそれぞれに設けられる。第1の溝51は、側板1の端面1aの上端1u近傍から、パレットフレーム2の端面2aのシールバー4近傍に至る。第1の溝51には第1シール部材31が挿入される。第1シール部材31は、パレット台車10の端面1aから突出する。第1シール部材31は、第1の溝51の上端から下端まですなわち第1の溝51の全体にわたって配置される。第1の溝51は、複数の第1外側壁5a1を備える。複数の第1外側壁5a1は、上下方向に断続的に配置される。複数の第1外側壁5a1は、第1シール部材31の幅方向外側に配置される。本例では、第1外側壁5a1は、第1シール部材31を幅方向外側から支持する。
【0045】
パレット台車10の搬送方向後ろ側の端面(以下、「後ろの端面」と称する)も、図1に示す構成と同様に構成することができる。パレット台車10の後ろの端面に、第2の溝、第1の溝に挿入される第2シール部材が設けられる。第2の溝、及び第2シール部材の構成は、上記第1の溝51、及び第1シール部材31と同様である。第2の溝は、上下方向に断続的に配置される第2外側壁を備える。第2外側壁は、第2シール部材の幅方向外側に配置される。本例では、第2外側壁は、幅方向外側から第2シール部材を支持する。
【0046】
図1に示す例では、パレット台車の前の端面において、幅方向の両側に一対の第1の溝51が形成される。すなわち、一対の側板1のそれぞれに、第1の溝51が形成される。一対の第1の溝51は、パレット台車の幅方向に対称な位置に設けられる。すなわち、パレット台車の幅方向中央線CLに対して対称な位置に一対の第1の溝51が設けられる。パレット台車の後ろの端面においても、同様に、幅方向の両側に一対の第2の溝が形成される。一対の第2の溝も、幅方向に対称で第1の溝と同じ位置に設けられる。また、一対の第1の溝51の一対の第1シール部材31が挿入される領域と、一対の第2の溝の一対の第2シール部材が挿入される領域は、パレット台車の幅方向の同じ位置に設けられる。すなわち、一対の第1の溝51の一対の第1シール部材31が挿入される領域は、搬送方向から見て、一対の第2の溝の一対の第2シール部材が挿入される領域と重なる。
【0047】
図2は、隣接する2つのパレット台車10A、10Bを側方(幅方向の外側)から見た側面図である。図2は、無端軌道において搬送される、原料を積載した複数のパレット台車のうちの連続する2台を示している。図2に示すように、パレット台車10Aは、前の端面の第1シール部材31が、搬送方向の前の隣接するパレット台車10Bの第2シール部材32に接した状態で搬送される。この搬送の際、パレット台車10Aの後ろの端面の第2シール部材32は、後ろの隣接するパレット台車(図示せず)の前の端面の第1シール部材に接した状態となる。
【0048】
具体的には、パレット台車10Aの前の端面のシールバー4近傍から側板1の上端1u近傍まで設けられた第1シール部材31が、隣接する前のパレット台車10Bの後ろの端面のシールバー4近傍から側板1の上端1u近傍まで設けられた第2シール部材32に接する。これにより、隣接するパレット台車10A、10Bの間において、シールバー4近傍から側板1の上端1u近傍に至るまでの間が第1シール部材31及び第2シール部材32によって塞がれる。これにより、パレット台車10と隣接するパレット台車10Bの隙間Sからの漏風を防ぐことができる。
【0049】
図3は、図1の第1の溝51を含む部分の拡大図である。図3に示すように、第1の溝51は、側板1の上端1u近傍から下方に行くにしたがってパレット台車10の内側に寄るように斜めに延びて形成される。第1の溝51とシールバー4との幅方向の距離は、下方に行くにしたがって小さくなる。第1の溝51の下端5dは、第1の溝51の上端5uより幅方向内方に位置する。第1の溝51とシールバー4との幅方向の距離は、第1の溝51の下端5dで最も小さくなる。第1の溝51の下端5dは、パレットフレーム2の端面2aの内部に位置する。具体例として、第1の溝51の下端5dは、シールバー4の近傍に位置する。すなわち、凹部2bの開口の縁(角)の近傍に第1の溝51の下端5dが位置している。第1の溝51の下端5dは、シールバー4が挿入されるパレットフレーム2の凹部2bの上端2buより下に位置する。パレットフレーム2における第1の溝51は、パレットフレーム2の上端から凹部2bの縁(角)に向かって斜めに延びる。第1の溝51とシールバー4との最短距離は、好ましくは20mm以下とすることができる。一例として、第1の溝51の下端5dと、シールバー4が挿入される凹部2bとの幅方向の距離T1は、20mm以内とすることができる。
【0050】
図3に示す例では、第1の溝51の上端5uは、側板1の上端1u(すなわち側板1の上面)に達していない。すなわち、第1の溝51の上方は、側板1の上面を構成する部分によって覆われる。これにより、第1の溝51に挿入される第1シール部材31は、第1の溝51から抜けにくくなる。パレット台車は、原料を排出し焼結機をリターンする復路において、逆さになる。第1の溝51の上方が側板1の上面の部分で覆われることで、パレット台車の復路において、シール部材31が、第1の溝51から抜けるを効果的に防止できる。この抜け止めの観点から、第1の溝51の上端5uと側壁1の上端1uとの上下方向における距離D1は、50mm以内、好ましくは20mm以内とすることができる。このようにシール部材が側板1の上端1uに達しない構成であっても、側板1の上端1u近傍は原料の表面近くなので、漏風を防ぐ効果の減少は殆ど無い。
【0051】
なお、この距離D1を0mmとし、第1の溝51が側板1の上面を貫通してもよい。この場合、シール部材の抜け止めのために、例えば、シール部材を、側板の上端からシールバー近傍まで到達する屈曲した一体物とすることができる。また、シール部材を、側板1に挿入する部分と、パレットフレーム2に挿入する部分とに2分割する場合、側板部分のシール部材は、保持金物を利用した抜け止めピン(図示略)などを取り付けることが可能である。
【0052】
シール部材を、側板1の上端近傍からシールバー近傍まで到達する一体物で形成する場合、例えば、次のように、シール部材を溝に配置することができる。パレットフレーム2に側板1を取り付ける前に、パレットフレームの溝にシール部材の一方端を挿入し、側板1をパレットフレーム2に取り付ける際に、シール部材の他方端を側板1の溝に挿入することができる。シール部材の断面形状は、一方端から他方端まで同じであってもよい。又は、側板1の溝に挿入されるシール部材と、パレットフレーム2の溝に挿入されるシール部材の断面形状を異ならせてもよい。
【0053】
なお、第2の溝52も、上記の第1の溝51の構成と同様にすることができる。すなわち、図3において、第1の溝51を第2の溝52とし、第1シール部材31と第2シール部材32としてもよい。
【0054】
また、図示しないが、ウェアーバーサポート12に取り付けられ、シールバー4近傍のパレットフレーム2に接するシールシートが設けられてもよい。シールシートは、例えば、ウェアーバーサポート12に取り付けられ、シールバー4よりも幅方向の外方におけるパレット台車10の下面の水平な面と接するよう設けられる。シールシートが設けられる場合は、溝5の下端をシールシートがパレットフレーム2に接する位置の近傍に配置することができる。例えば、シールシートと溝5の下端との距離が、20mm以下、好ましくは5mm以下となるようにしてもよい。溝の下端がパレットフレーム2の下端又はシールバーに達していてもよい。このような形態も、溝5の下端をシールバー4の近傍に配置する形態の一例である。
【0055】
図3に示す例では、第1の溝51は、パレットフレーム2の下面に達していない。すなわち、第1の溝51は、パレットフレーム2を貫通していない。変形例として、第1の溝51及び第2の溝52の少なくとも一方は、パレットフレーム2の下面に達して、パレットフレーム2を貫通してもよい。
【0056】
図3に示すように、第1の溝51及び第2の溝52を、側板1の上端1u近傍からパレットフレーム2の下部のシールバー4の近傍に至るまで連続し、第1の溝51及び第2の溝52に、それぞれ、第1シール部材31、第2シール部材32を挿入することにより、側板1及びパレットフレーム2の端面1a、2aを一体的にシールすることができる。そのため、側板1及びパレットフレーム2の端面の密閉性を向上させることができる。また、溝5にシール部材3を挿入する構成であるため、シール部材を支持するための締結部材や押え金具等が不要である。そのため、ダストの噛み込みや、シール部材のずれによる漏風が生じにくい。
【0057】
図3に示す例では、側板1の端面1aにおける第1の溝51の幅方向の傾きよりも、パレットフレーム2の端面2aにおける第1の溝5の幅方向の傾きの方が大きい。側板1の端面1aにおける第1の溝5と、パレットフレーム2の端面2aにおける第1の溝51とは、側板1とパレットフレーム2との境において、互いに接続される。
【0058】
図3に示す例では、第1シール部材31(第2シール部材32)は、第1の溝51(第2の溝52)の側板1に配置される部分と、第1の溝51(第2の溝52)のパレットフレーム2に配置される部分とに、分かれている。これに対して、第1の溝51(第2の溝52)の全体、すなわち、側板1の上端1u近傍から、パレットフレーム2のシールバー4近傍に至るまでを、1本のシール部材が充填するように配置されてもよい。また、第1の溝51及び第2の溝52は、パレット台車10の搬送方向の端面において、側板1の上端1u近傍からシールバー4近傍に至るまでの間で、直線状に延びてもよいし、湾曲して延びてもよい。
【0059】
図3に示すように、第1の溝51(第2の溝52)は、上下方向に断続的に配置された複数の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備える。複数の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)は、互いに上下方向に離間しており、それらの間は、空隙になっている。このような構造とすることで、第1の溝51及び第2の溝52に入り込んだダストが容易に排出される。そのためダスト噛み込みに起因する漏風が生じにくい。
【0060】
図3に示す例では、側板1における第1の溝51(第2の溝52)は、上下方向に断続的に配置された複数の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備える。パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)は、1つの第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備える。なお、パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)は、上下方向に断続的に複数の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備えていてもよい。
【0061】
次に、側板1における第1の溝51(第2の溝52)の構造を具体的に説明する。図4は、図2に示す2台のパレット台車10A、10Bの間付近を拡大した拡大図である。パレット台車10A(10B)の側板1における第1の溝51(第2の溝52)は、上下方向に互いに広く離間した複数の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備える。
【0062】
側板1における第1の溝51(第2の溝52)の上下方向の長さHAに対する、複数の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)の上下方向の長さの和の割合(図4の例では、(H1+H2)/HA)は、例えば、シール部材を保持する観点と材料強度の観点から、5%以上であるであることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。また、この割合の上限は、溝からダストを排出しやすくする観点から、60%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましい。
【0063】
図4に示す例では、パレット台車10Aの側板1において、第1の溝の第1外側壁5a1と、隣接するパレット台車10Bの側板1の第2外側壁5a2は、上下方向において、重ならない位置に配置される。これにより、第1の溝51及び第2の溝52にダストが、より溜りにくくなる。
【0064】
パレット台車10Aの側板1の第1外側壁5a1と、隣接するパレット台車10Bの側板1の第2外側壁5a2は、上下方向において、重なる位置に配置されてもよい。例えば、一つの焼結機のすべてのパレット台車において、第1外側壁及び第2外側壁の位置や形状を同じにしてもよい。
【0065】
図5は、図4における領域R5の拡大図である。図6Aは、図5におけるXA-XA線の断面図である。図6Bは、図5におけるXB-XB線の断面図である。図6C図4A) は、図5におけるXC-XC線の断面図である。ずなわち、図6Aは、第1外側壁がある部分の上面視の断面を示す図である。図6Bは、外側壁がある部分のすぐ上の外側壁ない部分の上面視の断面を示す図である。図6Cは、側板1における第1の溝51において第1外側壁がない部分の上面視の断面を示す図である。なお、図5及び図6A図6Cは、第2の溝52の構成であるが、第1の溝51も同様に構成できる。そのため、図5及び図6A図6Cの説明においては、第1の溝51の各部の名称を併記して説明する。
【0066】
図6Aに示すように、第2の溝52(第1の溝51)において、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)が存在する部分では、第2シール部材32(第1シール部材31)の幅方向外側に、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)が位置する。第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)は、パレット台車10の端面から搬送方向に突出した突起である。図6Aに示す例では、第2シール部材32(第1シール部材31)は、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)に接している。第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)は、出っ張りすなわち凸部5a21を備える。この凸部5a21を備える部分では、第2の溝52(第1の溝51)の開口の幅が、第2シール部材32(第1シール部材31)の最大幅より小さい。第2シール部材32(第1シール部材31)は、凸部5a21に引っ掛かって、第2の溝52(第1の溝51)から抜けることがない。図6Aに示す例では、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)は、側板1と一体となって形成されている。変形例として、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)は、側板1又はパレットフレーム2に、締結部材等により取り付けられる別体の部材であってもよい。
【0067】
図5図6A図6Cに示す例では、第2の溝52(第1の溝51)に挿入された第2のシール部材32(第1のシール部材31)を搬送方向外側に押す弾性部材32aが、第2の溝52(第1の溝51)の第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)を備える部分に設けられる(図6A)。弾性体31a(32a)は、第1シール部材31(第2シール部材32)を搬送方向に突出する方向に付勢する。第1の溝51(第2の溝52)と第1シール部材31(第2シール部材32)の間に、弾性体31a(32a)が配置される。弾性部材32aは、例えば、上下方向の軸を巻くように湾曲した板バネである。弾性部材32aの上下方向の長さは、第1外側壁の上下方向の長さより長く、上下方向の両端のその長い部分に、幅方向に突出する一対の突出部32a-1を備える。弾性部材32aの一対の突出部32a-1は、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)の上端と下端に引っ掛けられる(図5図6B)。
【0068】
弾性部材32aを備えることにより、第2のシール部材32(第1のシール部材31)と、隣接するパレット台車のシール部材31(シール部材32)とがより接しやすくなる。これにより、パレット台車間の隙間からの漏風を防ぐことができる。また、弾性部材を外壁部に引っ掛けることで、弾性部材の落下、及び、位置ずれを防止できる。なお、弾性部材の構成は、図5図6A図6Bに示す構成に限られない。
【0069】
図6Cに示すように、第2の溝52(第1の溝51)は、第2外側壁5a2(第1外側壁5a1)がない部分では、幅方向外側及び搬送方向外側に開口している。すなわち、第2の溝52(第1の溝51)の外側壁がない部分は、搬送方向に垂直な面と、幅方向に垂直な面で構成され、幅方向に垂直な面に第2シール部材32(第1シール部材31)が接するよう配置される。この構成により、第1の溝51及び第2の溝52は、ダストが詰まりにくくなる。
【0070】
第1外側壁5a1、及び第2外側壁5a2は、側板1の幅方向の外側に出っぱらないように構成されるのが好ましい。例えば、パレット台車に装入された原料に点火する点火炉は、原料を積んで搬送されるパレット台車の側板の幅方向の端面と幅方向において対向する領域にまで延びて配置される。第1外側壁5a1、及び第2外側壁5a2を、側板1の幅方向外側に出っぱらないように構成することで、点火炉の耐火物と側板1の隙間を小さくできる。その結果、燃料消費量が少なくできたり、点火が良好になったりする。
【0071】
図4に示す例に戻って、側板1の下端には、第1の溝51及び第2の溝52に対して突出する突起5b1、5b2が設けられる。突起5b1、5b2は、シール部材を受ける受け面を有する。第1シール部材31の側板1に配置される部分の下面の一部は、突起5b1の受け面に接し、上記下面の他の部分は、パレットフレーム2に配置される第1シール部材に接する。第2シール部材32の側板1に配置される部分の下面の一部は、突起5b2の受け面に接し、上記下面の他の部分は、パレットフレーム2に配置される第2シール部材32に接する。突起5b1、5b2の受け面は、斜面になっている。これにより、第1シール部材31及び第2シール部材32の側板1に配置される部分は、それぞれ、自重により、第1シール部材31及び第2シール部材32のパレットフレーム2に配置される部分に押し付けられる。その結果、第1シール部材31及び第2シール部材32の側板1に配置される部分には、隣接するパレットに向けて押し出されようとする力が働く。
【0072】
図7A及び図7Bは、パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)を含む部分の構成例を示す図である。図7Aは、パレットフレーム2の第1の溝51(第2の溝52)付近を搬送方向の前方(後方)から見た図である。図7Bは、図7AのA-A線における断面図である。図7A及び図7Bに示す例では、パレットフレーム2には、2つの板状部材21、22がボルト等の締結部材24で固定されている。2つの板状部材21、22は、パレットフレーム2の搬送方向の端面の少なくとも一部を形成する。締結部材24は、板状部材21、22から搬送方向に出っ張らないようにする。
【0073】
図7Aは、2つの板状部材21、22を締結部材で固定する前(白矢印の左側)と固定した後(白矢印の右側)を示す。固定された2つの部材21、22の間に、第1シール部材31(第2シール部材32)が配置される。すなわち、2つの部材21、22の間に第1の溝51(第2の溝52)が形成される。溝51(52)の下端5dでは、2つの板状部材21、22が隙間なく密着しているのが好ましい。
【0074】
図7Aに示す例では、2つの部材21、22のうち、幅方向外側に配置される部材21により、第1の溝51(第2の溝52)の第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)が形成される。部材21の溝の側壁を形成する面には、部分的に、出っ張りすなわち凸部5a11(5a21)が設けられる。この凸部5a11(5a21)が設けられている部分では、第1の溝51(第2の溝52)の開口の幅が、第1シール部材31(第2シール部材32)の最大幅より小さい。第1シール部材31(第2シール部材32)は、凸部5a11(5a21)に引っ掛かって、第1の溝51(第2の溝52)から抜けることがない。2つの板状部材21、22は、前述した溝51(52)が形成されるよう、溝51(52)を構成する面があらかじめ加工がなされている。
【0075】
これらの面の加工形態(すなわち、溝51(52)の断面形状)は、図7Bの形状に限られず、例えば、溝51(52)の搬送方向の開口幅が最大幅より狭くなるように面が斜めに切断されていてもよい。また、幅方向内側の配置される部材22に凸部が設けられていてもよい。第1シール部材31(第2シール部材32)の断面形状は、溝51(52)の形状にあわせた適当な形状とすることができる。
【0076】
図7Aの例では、言い換えると、第1の溝51(第2の溝52)は、パレットフレーム2の領域において、上下方向に連続する第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備えるとともに、この第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)の上下方向に断続的に複数の凸部5a11(5a21)を備える。なお、パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)は、第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)の上下方向の全体にわたって連続する凸部5a11(5a21)を備えていてもよい。また、後述する図8の例のように、パレットフレーム2の領域において、第1の溝51(第2の溝52)は、上下方向に断続的に配置された第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備えていてもよい。
【0077】
板状部材21、22は、パレットフレーム2のライニングとしてパレットフレーム2を保護する役割も担っている。そのため、板状部材21、22はそれぞれパレットフレーム本体23に対して着脱可能であるのが好ましい。、これにより、例えば隣接する台車どうしの接触による衝撃やダストの噛み込み等によって板状部材21、22が損傷しても、それぞれ単独で交換することができる。
【0078】
また、2つの板状部材21、22に代わって、1つの板状部材を用いてもよい。この場合、板状部材として、比較的板厚の厚いものを用い、これをくり抜く等の加工により所定形状の溝を形成する。
【0079】
図8は、パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)の溝を含む部分の変形例を示す図である。図8に示す例では、パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)は、幅方向外側に開口する空間51k(52k)を有する。言い換えると、パレットフレーム2における第1の溝51(第2の溝52)は、上下方向に離間した2つの第1外側壁5a1(第2外側壁5a2)を備える。このような構造は、例えば、前述した図7Aの板状部材21に代わって、2枚の板状部材21a、21bを上下に離間して配置することで形成される。
【0080】
図9は、図2に示す2台のパレット台車10A、10Bの間付近を、上から見た拡大図である。図9において、第1の溝51及び第2の溝52の上方の側板1の上面の図示を省略している。第1の溝51及び第2の溝52は、側板1において、側板1の幅方向中央C1より外側の領域に設けられる。第1シール部材31は、第1の溝51に、第2シール部材32は、第2の溝52に収納される。
【0081】
図9に示す例では、第1の溝51は、第1外側壁5a1の位置での上面視の断面において、内面が幅方向に出っ張る凸部5a11を備える。すなわち、第1の溝51の第1外側壁5a1の部分の断面形状は、第1の溝51の開口の幅よりも第1の溝5の内部の最大幅が広くなる形状である。第1シール部材31は、第1の溝51に挿入された状態で、上記断面において、第1の溝51の凸部5a11よりも搬送方向内側にあって幅方向の最大幅W1が凸部5a11における溝の幅W2よりも大きい部分と、第1の溝の凸部5a11よりも搬送方向外側に突出する部分とを備える。これにより、第1シール部材31が、凸部5a11に掛かって、第1の溝51から外れなくなる。
【0082】
同様に、第2の溝52は、第2外側壁5a2の位置での上面視の断面において、内面が幅方向に出っ張る凸部5a21を備える。すなわち、第2の溝52の第2外側壁5a2の部分の断面形状は、第2の溝52の開口の幅よりも第2の溝52の内部の最大幅が広くなる形状である。第2シール部材32は、第2の溝52に挿入された状態で、上記断面において、第2の溝52の凸部5a21よりも搬送方向内側にあって幅方向の最大幅W4が凸部5a21における溝の幅W3よりも大きい部分と、第2の溝52の凸部5a21よりも搬送方向外側に突出する部分とを備える。これにより、第2シール部材32が、凸部5a21に掛かって、第2の溝52から外れなくなる。
【0083】
図9に示す例において、第1シール部材31は、第1の溝51に接して配置される弾性部材31aを備える。具体的には、第1シール部材31は、第2シール部材に当接する本体部分と、本体部分と溝5の間に配置される弾性部材31aを含む。第1シール部材31は、弾性部材31aに第1の溝51から押し出されるよう付勢され、且つ、第1外側壁5a1の部分における第1の溝51の開口の内面に係って押し出されるのを止められた状態で、第1の溝51に挿入される。第1シール部材31は、弾性部材31aに押された状態で、隣接するパレット台車10Bの第2シール部材32に接する。これにより、パレット台車10Aの端面1aと隣接するパレット台車10Bの端面1aの間がシールされる。第1シール部材31と第2シール部材32の間に異物が噛み込まれた場合は、シール部材31の噛み込み部分が第1の溝51に引っ込む。そのため、第1シール部材31の隣接するパレット台車10Bの第2シール部材32端面に対する追従性がよくなる。また、第1の溝51に入り込んだダスト粒子が排出されやすくなる。
【0084】
図9に示す例では、第1シール部材31の断面形状と、第2シール部材32の断面形状は同じである。また、第2シール部材32も、弾性部材32aを備える。第2シール部材32aは、第2の溝52に挿入された状態で、弾性部材32aにより第2の溝52から搬送方向に押し出されるよう付勢される。
【0085】
図10は、第1シール部材31及び第2シール部材32の変形例を示す図である。図10に示す例では、パレット台車10Aの第1シール部材31は、上面視の断面で、隣接するパレット台車10Bの第2シール部材32と接触する部分が、第2シール部材32に向かって凸状である。また、パレット台車10Bの第2シール部材32は、上面視の断面で、第2の溝52より突出する部分の幅方向の幅W5が第2の溝52の凸部5a21における溝の幅W3より大きく、且つ、隣接するパレット台車10Aの第1シール部材31と接触する部分が凹状である。
【0086】
なお、第1の溝51、第2の溝52、第1シール部材31、及び第2シール部材32の構成は、上記例に限られない。例えば、第1シール部材31及び第2シール部材32の少なくとも一方の断面形状を、円形又はだ円形としてもよい。この場合、例えば、シール部材は、円柱形の弾性部材と、弾性部材の側面を巻く金属板を有する構成としてもよい。このシール部材が溝に挿入されると、シール部材の一部が溝からはみ出して、側板1の端面1aから突出し、且つ、溝の外側壁の縁に掛かって溝の外部に出ないよう止められる。シール部材の断面を円形とすることで、ダストの挟み込みを起きにくくすることができる。
【0087】
あるいは、溝の外側壁を、当該溝の搬送方向の開口部に向かって溝の幅が狭まるよう斜めにした断面形状とし、シール材も当該外側壁に沿った断面形状としてもよい。
【0088】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1:側板
2:パレットフレーム
31:第1シール部材
32:第2シール部材
4:シールバー
51:第1の溝
52:第2の溝
5a1:第1外側壁
5a2:第2外側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10