IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示装置 図1
  • 特許-表示装置 図2
  • 特許-表示装置 図3
  • 特許-表示装置 図4
  • 特許-表示装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20230208BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230208BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20230208BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20230208BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230208BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G02F1/133 535
G02F1/133 550
G02F1/13357
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 670P
B60K35/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019140769
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021026020
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】河合 満
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-301065(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021878(WO,A1)
【文献】特開2019-061787(JP,A)
【文献】特開2015-007720(JP,A)
【文献】特開2016-081928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0355307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133
G02F 1/13357
G09G 3/36
G09G 3/20
G09G 3/34
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
複数の光源からなる第1光源部、及び、1又は複数の光源からなる第2光源部を有し、前記液晶パネルを照明する照明部と、
前記液晶パネルの表示制御を行う第1制御部と、
前記第1制御部による表示制御動作が不能となった異常状態であるか否かを判別する第2制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記液晶パネルの表示領域の一部である特定領域に、前記第2光源部が発光した場合に視認される警告画像を固定表示し、
前記第2制御部は、前記照明部のうち少なくとも前記第2光源部の発光制御を行い、前記異常状態でない場合には前記第2光源部を消灯し、前記異常状態である場合には前記第2光源部を発光させる、
表示装置。
【請求項2】
前記第1光源部から発せられ、前記液晶パネルにおける前記特定領域に向かう光を遮る遮光部を備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1光源部から発せられた光を、前記液晶パネルにおける前記特定領域とは異なる領域に向けて透過させる第1透光部と、
前記第2光源部から発せられた光を、前記液晶パネルの前記特定領域に向けて透過させる第2透光部と、を備え、
前記第2透光部は、前記第1透光部と分離して設けられている、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記照明部は、前記液晶パネルの背面に向かって光を発し、
前記特定領域は、前記表示領域の端部に位置し、
前記第2光源部は、前記液晶パネルにおける前記特定領域の背後に位置する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
乗り物に搭載され、
前記液晶パネルは、マトリクス駆動型であり、
前記第1制御部は、
前記乗り物の状態が予め定められた設定状態である場合に、前記警告画像を固定表示し、
前記設定状態でない場合には、前記警告画像を表示せずに、前記特定領域を含む前記表示領域内において画像の可変制御を行う、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、特許文献1には、表示器としてTFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルを備えた車両用の表示装置が開示されている。また、特許文献2には、表示器として、TFT型の液晶パネルと、照明室内の光源を点灯させることで警告表示が可能な警告灯とを備えた車両用の表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-6171号公報
【文献】特開2019-23702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された表示装置では、制御部による液晶パネルの表示制御動作が不能となった異常状態が発生した場合、当然ながら液晶パネルの画像によっては当該異常状態を報知することができない。一方、特許文献2に開示された表示装置では、液晶パネルの表示制御につき異常状態が発生した場合に警告灯を点灯させることで異常の報知が可能であるが、装置の構成が煩雑になる虞がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡潔な構成で、液晶パネルの表示制御につき異常状態が生じたことを報知することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、
液晶パネルと、
複数の光源からなる第1光源部、及び、1又は複数の光源からなる第2光源部を有し、前記液晶パネルを照明する照明部と、
前記液晶パネルの表示制御を行う第1制御部と、
前記第1制御部による表示制御動作が不能となった異常状態であるか否かを判別する第2制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記液晶パネルの表示領域の一部である特定領域に、前記第2光源部が発光した場合に視認される警告画像を固定表示し、
前記第2制御部は、前記照明部のうち少なくとも前記第2光源部の発光制御を行い、前記異常状態でない場合には前記第2光源部を消灯し、前記異常状態である場合には前記第2光源部を発光させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡潔な構成で、液晶パネルの表示制御につき異常状態が生じたことを報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略平面図である。
図2】LCD(Liquid Crystal Display)における液晶パネル以外の主要構成を示した概略平面図である。
図3】(a)は、図2に示す矢視AでのLCDの側面図であり、(b)は、変形例1に係る第2透光部を説明するための側面図である。
図4】(a)は、本発明の一実施形態に係る表示装置の概略ブロック図であり、(b)は、変形例2に係る表示装置の概略ブロック図である。
図5】異常時報知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本発明の一実施形態に係る表示装置1は、例えば、自動四輪車からなる車両の運転席近傍のインストルメンタルパネルに設けられ、車両に関する情報(以下、車両情報と言う。)だけでなく、車両情報以外の情報(例えば娯楽情報)もユーザ(運転者を含む車両の搭乗者)に表示する。
【0011】
なお、以下では、図中に規定する、互いに直交するX、Y、Z軸を用いて構成を適宜説明する。各軸方向において、矢印が向く方向を正(+)の方向とする。X軸は、表示装置1を視認するユーザにとっての左右方向に沿う。Y軸は、当該ユーザにとっての上下方向に沿う。Z軸は、当該ユーザにとっての前後方向に沿う。
【0012】
表示装置1は、図1図2図3(a)及び図4(a)に示すように、LCD(Liquid Crystal Display)100と、筐体60と、主制御部70と、GDC(Graphics Display Controller)80と、を備える。
【0013】
LCD100は、液晶パネル10と、照明部20と、遮光部30と、透光部40と、光源用ドライバ50と、を備える。
【0014】
液晶パネル10は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型のアクティブマトリクス方式の液晶パネルであり、GDC80の制御によって種々の画像を表示する。液晶パネル10が表示する画像は、照明部20からの光で照明されることでユーザに視認される。液晶パネル10は、一対の透明基板及び両基板間に封入された液晶層からなる液晶セルと、液晶セルを挟んで対向する偏光フィルタと、を有する。透明基板には、ITO(Indium Tin Oxide)等により透明電極が形成されている。GDC80の制御によって透明電極を介して液晶層に駆動電圧が印加されると、液晶層の液晶分子の配向が制御され、液晶パネル10が有する複数の画素の各々が透過状態と不透過状態とのいずれかに切り替わる。このような画素の組合せにより、液晶パネル10は、表示領域Rにおいて、車両情報や車両情報以外の情報を示す画像を表示する。表示領域Rは、例えば図1に示すように矩形状に設定されている。
【0015】
液晶パネル10は、後述する条件を満たした場合に、表示領域Rの一部である特定領域Rpに警告画像Wを固定表示する。なお、この警告画像Wは、後述する第2光源部22が発光したときに視認される画像(つまり、発光表示される画像)であり、第2光源部22が消灯状態の場合は、ユーザに視認されない。特定領域Rpは、例えば、図1に示すように表示領域Rの右上端部に設定されている。
【0016】
照明部20は、図3(a)に示すように、液晶パネル10の背面側に位置する回路基板Bに実装され、回路基板Bの前面側に配列された光源群からなる。照明部20を構成する光源群の各々は、前方(+Z方向)に向かって光を射出するLED(Light Emitting Diode)から構成され、液晶パネル10の表示領域Rを背面側から照明する。
【0017】
照明部20は、表示領域Rのうち特定領域Rp以外の領域である他の領域Roの背面側に位置する第1光源部21と、特定領域Rpの背面側に位置する第2光源部22と、を有して構成されている。第1光源部21は、X及びYの各方向において規則的に、マトリクス状に配列された複数の光源L1からなる。第2光源部22は、例えば、1つの光源L2からなり、第1光源部21の配列規則には従わずに、第1光源部21から離れた位置(例えば、図2に示す右斜め上方の位置)に設けられている。なお、第2光源部22は、複数の光源L2から構成されていてもよい。
【0018】
回路基板Bは、例えば、照明部20、光源用ドライバ50、主制御部70、GDC80、液晶パネル10を駆動するための表示制御用ドライバ(図示せず)等が実装されたプリント回路板から構成されている。なお、主制御部70やGDC80は、回路基板Bと電気的に接続された他のプリント回路板に実装されていてもよい。
【0019】
遮光部30は、照明部20のうち第1光源部21から発せられ、液晶パネル10における特定領域Rpに向かう光を遮るためのものである。遮光部30は、図3(a)に示すように、Z方向に立設された壁状の部材であり、図2に示すように平面視ではL字状をなし、第2光源部22を囲んで設けられている。具体的に、遮光部30は、第2光源部22の図2における左方と下方を囲んでいる。遮光部30は、例えば、遮光性を有する樹脂から形成され、回路基板Bの基材の前面側に固定されている。
【0020】
透光部40は、図3(a)に示すように、照明部20と液晶パネル10との間に設けられる。透光部40は、第1透光部41と、第1透光部41と分離して設けられた第2透光部42とから構成されている。第1透光部41は、第1光源部21から発せられた光を液晶パネル10における他の領域Roに向けて透過させる。第2透光部42は、第2光源部22から発せられた光を、液晶パネル10の特定領域Rpに向けて透過させる。
【0021】
この実施形態では、第1透光部41及び第2透光部42の各々は、透光性を有する板材に微細な凹凸が形成される等により光拡散処理が施されてなる拡散板から構成されている。拡散板からなる第1透光部41は、第1光源部21を前面側から覆い、第1光源部21からの入射光を拡散して前面側へ射出し、液晶パネル10における他の領域Roを均一に照明するために設けられている。また、拡散板からなる第2透光部42は、第2光源部22を前面側から覆い、第2光源部22からの入射光を拡散して前面側へ射出し、液晶パネル10における特定領域Rpを均一に照明するために設けられている。第2透光部42は、液晶パネル10の背面側の照明空間において、遮光部30によって第1透光部41と隔離されている。
【0022】
図4(a)に示す光源用ドライバ50は、スイッチング回路などから構成され、主制御部70又はGDC80の制御により、照明部20を構成する光源群を駆動する。光源用ドライバ50は、ローカルディミング(部分駆動)機能を持つ駆動回路であり、照明部20のうち、少なくとも第1光源部21と第2光源部22とを個別に駆動可能に構成されている。なお、光源用ドライバ50は、照明部20を構成する複数の光源の各々を個別に駆動可能であってもよい。
【0023】
図1に示す筐体60は、LCD100や各種回路が実装された回路基板Bを収納するものであり、液晶パネル10の前面側に位置する透光性のカバーレンズを含む複数の部材を組み合わせてなる箱状体である。筐体60の内部には、LCD100や回路基板Bを保持するインナーケース(図示せず)が設けられている。
【0024】
主制御部70は、表示装置1の全体動作を制御するものであり、例えばマイクロコントローラから構成されている。主制御部70は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む記憶部と、ROMに記憶された動作プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを含んで構成されている。当該動作プログラムは、後述の異常時報知処理を実行するためのプログラムも含む。
【0025】
主制御部70は、GDC80を介して液晶パネル10の表示制御を行うとともに、GDC80による液晶パネル10の表示制御動作を監視する。また、主制御部70は、GDC80による表示制御動作が不能となった場合に、光源用ドライバ50を介して、照明部20のうち少なくとも第2光源部22の発光動作を制御可能に構成されている。
【0026】
また、主制御部70は、車両の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)、各種センサ、カーナビゲーション装置等の車両に搭載された各種システムと通信を行い、車速等の計測量、車両の現在の走行モード、ユーザにより設定された経路案内情報等の車両情報を取得する。例えば、主制御部70は、走行モードとして、車両が現在どのレベルの自動運転が行われているか(自動運転レベル0も含む)を示す情報を取得する。この実施形態に係る車両は、ECUの制御により、任意のレベルまでの自動運転による運行が可能なものである。自動運転のレベル0は、自動運転制御が行われないレベルを示し、運転者が全ての主制御系統(加速・操舵・制動)の操作を行う。レベル1は、いわゆる運転支援であり、加速・操舵・制動のいずれか一つをシステムが支援的に行う。レベル1には、ACC(Adaptive Cruise Control)が含まれる。レベル2は、いわゆる部分自動運転であり、加速・操舵・制動のうちの二つをシステムが支援的に行う。レベル3は、いわゆる条件付自動運転であり、限定的な環境下若しくは交通状況のみシステムが加速・操舵・制動の制御を行い、システムが要請したときは運転者が対応する。なお、本明細書における自動運転のレベルは、日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)による定義に準拠する。
【0027】
また、主制御部70は、車両に搭載されたメディアプレイヤーやテレビチューナー等から娯楽情報を取得可能であってもよい。
【0028】
GDC80は、液晶パネル10に表示される画像の制御を行うものであり、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成されている。例えば、GDC80は、主制御部70と通信を行い、ROMに記憶された各種の画像データに基づいて、以下のように表示画像の制御を行う。GDC80は、主制御部70の表示制御指令に基づいて液晶パネル10の表示動作の制御内容を決定する。GDC80は、液晶パネル10の表示領域Rに表示する1画面を構成するために必要な画像パーツデータをROMから読み込み、RAMへ転送する。また、GDC80は、RAMを使って、画像パーツデータや外部から通信により受け取った各種の画像データを元に、1画面分の絵データを作成する。そして、GDC80は、RAMで1画面分の絵データを完成させたところで、画像の更新タイミングに合わせて、図示しない表示制御用ドライバを介して液晶パネル10に所定の画像を表示させる。また、液晶パネル10に表示可能な各画像には予めレイヤーが割り当てられており、GDC80は、各画像の個別の表示制御が可能となっている。
【0029】
この実施形態では、図4(a)に示すように、GDC80が制御信号S1により光源用ドライバ50を介して照明部20の発光動作を制御可能であるとともに、主制御部70が制御信号S2により光源用ドライバ50を介して照明部20の発光動作を制御可能となっている。特にGDC80が動作不能となった際には、主制御部70は、制御信号S2によって照明部20のうち少なくとも第2光源部22の発光動作を制御する。表示装置1の構成の説明は以上である。
【0030】
(異常時報知処理)
続いて、主制御部70が実行する異常時報知処理について、図5を参照して説明する。異常時報知処理は、例えば、表示装置1の起動中において継続して実行される。表示装置1は、例えば、車両のイグニッションのオンに伴い起動する。
【0031】
まず、主制御部70は、車両側のECU等のシステムと通信を行い、車両が予め定められた設定状態であるか否かを判別する(ステップS1)。この設定状態とは、ROM内に予め定められた車両の状態であり、主制御部70は、例えば、ACCが実行中である場合や、自動運転レベルが1以上である場合等に設定状態であると判別する。設定状態は、ユーザが表示装置1の表示動作が止まってしまったことを気付きにくい状態を鑑みて任意に設定されるものである。例えば、ACCや自動運転の実行中は、表示装置1に表示される車速等の計測量が大幅に変化しないため、表示装置1に表示されている画像が不具合により止まってしまったとしても、ユーザ(主に運転者)はそれを不具合とは気付きにくい。したがって、この実施形態では、当該設定状態である場合に、下記のように異常の報知を可能とする処理を実行する。
【0032】
車両が設定状態でない場合(ステップS1;No)、主制御部70は、液晶パネル10の表示領域R内において画像の可変制御を行う(ステップS2)。具体的に、主制御部70は、GDC80及び表示制御用ドライバを介して液晶パネル10の表示領域Rにおける画素群の切り替え制御を行い、液晶パネル10の表示領域Rの全域に亘って任意の画像(車両情報を示す画像や、娯楽情報を示す画像)を表示する。また、主制御部70は、光源用ドライバ50を直接制御するか、GDC80を介して制御し、照明部20を発光させる。これにより、照明部20に液晶パネル10の表示領域Rが背後から照明されることで、表示領域Rにおける画像が発光して表示され、ユーザによって視認可能となる。主制御部70は、ステップS2の実行後、処理をステップS1に戻す。
【0033】
車両が設定状態である場合(ステップS1;Yes)、主制御部70は、光源用ドライバ50を直接制御するか、GDC80を介して制御し、照明部20のうち第2光源部22を消灯する(ステップS3)。
【0034】
続いて、主制御部70は、GDC80及び表示制御用ドライバを介して液晶パネル10を駆動制御し、液晶パネル10の特定領域Rpに警告画像Wを固定表示する、つまり、警告画像Wの静止画を表示する(ステップS4)。
この警告画像Wは、第2光源部22が発光した際にユーザに視認される画像であり、ステップS4の段階では、ステップS3で第2光源部22が消灯状態となっているため、ユーザには視認されない。警告画像Wの表示態様は、図1に示すようにエクスクラメーションマークを含むアイコンに限られず、ユーザに異常を報知することができれば任意であり、文字、図形、アイコン及びこれらの組み合わせ等であってもよい。
【0035】
続いて、主制御部70は、GDC80及び表示制御用ドライバを介して液晶パネル10の表示領域Rのうち特定領域Rpを除く領域、つまり他の領域Roにおいて、画素群の切り替え制御を行い、液晶パネル10の他の領域Roにおいて任意の画像(車両情報を示す画像や、娯楽情報を示す画像)を表示する。また、主制御部70は、光源用ドライバ50を直接制御するか、GDC80を介して制御し、照明部20のうち第1光源部21を発光させる。これにより、第1光源部21に液晶パネル10の他の領域Roが背後から照明されることで、他の領域Roにおける画像が発光して表示され、ユーザによって視認可能となる。なお、前述のように、第1透光部41と第2透光部42とは分離して設けられているとともに、両者の間には遮光部30が設けられているため、第1光源部21から発せられた光は特定領域Rpに到達しない。したがって、第1光源部21が発光しても、特定領域Rpに固定表示された警告画像Wは発光せず、ユーザに視認されない。
【0036】
続いて、主制御部70は、GDC80による表示制御動作が不能となった異常状態であるか否かを判別する(ステップS6)。主制御部70による異常状態の特定は任意であるが、例えば、主制御部70からの表示制御指令に対するGDC80の応答がなかった場合や、GDC80による画像パーツデータのROMからの読み込みがなかった場合や、表示制御用ドライバが動作していない場合などに、主制御部70は、当該異常状態であると判別すればよい。
【0037】
異常状態でない場合(ステップS6;No)、主制御部70は、第2光源部22の消灯を継続し(ステップS8)、処理をステップS1に戻す。
【0038】
一方、異常状態である場合(ステップS6;Yes)、主制御部70は、光源用ドライバ50を制御して、第2光源部22を発光させる(ステップS7)。これにより、液晶パネル10の特定領域Rpが第2光源部22からの光に照らされ、警告画像Wがユーザに視認可能に表示される。主制御部70は、ステップS7の実行後、処理をステップS1に戻す。異常時報知処理の説明は以上である。
【0039】
なお、本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変形(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に種々の変形例を説明する。
【0040】
(変形例1)
以上では、第2光源部22を構成する光源L2がZ方向に光を射出する例を示したが、図3(b)に示す変形例1のように、第2光源部22を、X方向に光を射出する光源L2mから構成してもよい。そして、変形例1に係る第2透光部42mは、光源L2mから受けた光を、液晶パネル10の特定領域Rpへと導く導光部材から構成される。導光部材は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの透明樹脂により形成することができる。
【0041】
(変形例2)
光源用ドライバ50の制御手法は、図4(a)を参照して説明した手法に限られない。例えば、図4(b)に示す変形例2のように、GDC80は、光源用ドライバ50と直接通信を行わなくともよい。変形例2では、GDC80が主制御部70に照明部20を制御するための制御信号S3を供給する。そして、この制御信号S3を受けた主制御部70が、制御信号S3に応じて加工した制御信号S4を光源用ドライバ50に供給することで、照明部20を制御する。
【0042】
(他の変形例)
液晶パネル10は、アクティブマトリクス方式に限られず、パッシブマトリクス方式で駆動されるものであってもよい。つまり、液晶パネル10は、マトリクス駆動型であればよい。また、液晶パネル10の表示領域R内に設定される特定領域Rpの位置は、上記の例に限られず任意である。
【0043】
遮光部30は、照明部20のうち第1光源部21から発せられ、液晶パネル10における特定領域Rpに向かう光を遮ることができれば、その形状や組成は任意である。
【0044】
第1透光部41及び第2透光部42は、拡散板に限られず、両者の少なくともいずれかは導光部材であってもよい。
【0045】
以上に説明した異常時報知処理では、車両が予め定められた設定状態であるときにのみ(ステップS1;Yes)、液晶パネル10の特定領域Rpに警告画像Wを固定表示する(ステップS4)例を示したが、ステップS1の処理を省略してもよい。つまり、車両の状態に関わらず特定領域Rpに警告画像Wの静止画を表示してもよい。また、設定状態は、ACCが実行中である場合や、自動運転レベルが1以上である場合に限られず任意であり、車速が予め定めた閾値以下の場合(低速走行時)や、車両が予め定められたエリア内(渋滞箇所や高速道路など)に位置している場合等であってもよい。
【0046】
表示装置1が搭載される乗り物は、自動四輪車以外の自動二輪車等の車両であってもよいし、車両以外の船舶、航空機、スノーモービルなどの乗り物であってもよい。また、表示装置1は、液晶パネル10の表示画像を表す光を、車両のフロントガラス等の透光部材に向けて射出し、当該表示画像の虚像を表示するヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0047】
表示領域Rの一部が筐体60の一例である見返し(バイザー)部品に覆われる場合、表示領域R内に不可視領域が生じるので、この不可視領域を特定領域Rpとして、警告画像Wを固定表示するのに用いても良い。これによれば、表示装置の組立工程で見返し部品を取り付ける前の状態や、表示装置のメンテナンス作業工程で見返しを外した状態の際に、簡潔な構成で、液晶パネルの表示制御につき異常状態が生じたことを報知することができる。それでいて、ユーザ使用時には他の領域Roを見返し部品に覆われない部分の中で広くする事ができる。
【0048】
(1)以上に説明した表示装置1は、液晶パネル10を照明する液晶パネル10と、照明部20と、液晶パネルの表示制御を行うGDC80(第1制御部の一例)と、GDC80による表示制御動作が不能となった異常状態であるか否かを判別する主制御部70(第2制御部の一例)と、を備える。照明部20は、複数の光源L1からなる第1光源部21、及び、1又は複数の光源L2からなる第2光源部22を有する。GDC80は、液晶パネル10の表示領域Rの一部である特定領域Rpに、第2光源部22が発光した場合に視認される警告画像Wを固定表示する(つまり、第2光源部が発光した場合に視認される警告画像Wを描画する)。主制御部70は、照明部20のうち少なくとも第2光源部22の発光制御を行い、異常状態でない場合には第2光源部22を消灯し、異常状態である場合には第2光源部22を発光させる。
この構成によれば、表示制御動作が不能となり、液晶パネル10に表示されていた画像が止まってしまったとしても、当該不能となる前から描画されていた警告画像Wを発光表示させることができる。また、異常を報知するための構成を、液晶パネル10の他に設けなくともよいため、表示装置1の構成を簡潔にすることができる。
【0049】
(2)また、表示装置1は、第1光源部21から発せられ、液晶パネル10における特定領域Rpに向かう光を遮る遮光部30を備える。
この構成によれば、異常状態でない場合に、第1光源部21からの光により警告画像Wが発光して表示されてしまうことを抑制することができる。
【0050】
(3)また、表示装置1は、第1光源部21から発せられた光を、液晶パネル10における特定領域Rpとは異なる領域(例えばRo)に向けて透過させる第1透光部41と、第2光源部22から発せられた光を、液晶パネル10の特定領域Rpに向けて透過させる第2透光部42と、を備える。そして、第2透光部42は、第1透光部41と分離して設けられている。
この構成によれば、異常状態でない場合に、第1光源部21からの光により警告画像Wが発光して表示されてしまうことを抑制することができる。
【0051】
(4)照明部20は液晶パネル10の背面に向かって光を発し、特定領域Rpは表示領域Rの端部に位置し、第2光源部22は液晶パネル10における特定領域Rpの背後に位置していてもよい。
【0052】
(5)好ましくは、表示装置1は乗り物に搭載され、液晶パネル10はマトリクス駆動型である。そして、GDC80は、乗り物の状態が予め定められた設定状態である場合に警告画像Wを固定表示し、当該設定状態でない場合には警告画像Wを表示せずに特定領域Rpを含む表示領域R内において画像の可変制御を行う。
この構成によれば、異常報知の必要性が低いと見做せる場合には、特定領域Rpを含む表示領域R内において種々の画像を表示することができるため、表示領域Rを有効に利用することができる。
【0053】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0054】
1…表示装置
100…LCD
10…液晶パネル、R…表示領域、Rp…特定領域、W…警告画像、Ro…他の領域
20…照明部
21…第1光源部(L1…光源)、22…第2光源部(L2…光源)、B…回路基板
30…遮光部
40…透光部、41…第1透光部、42…第2透光部
50…光源用ドライバ
60…筐体
70…主制御部
80…GDC
図1
図2
図3
図4
図5