(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】膜付き基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/50 20060101AFI20230208BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20230208BHJP
H01L 21/683 20060101ALN20230208BHJP
【FI】
C23C14/50 A
C23C16/458
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019559685
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2018045622
(87)【国際公開番号】W WO2019117186
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2017239987
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福井 悦二
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-123598(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/50
C23C 16/458
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面とを有する基板の前記第1主面を保護する基板用保護具を用いて膜付き基板を製造する膜付き基板の製造方法であって、
前記基板は、一定の厚さを有し、前記基板の形状は、平面視で四角形状であり、
前記基板用保護具は、
少なくとも前記基板の周縁部を覆うことが可能なサイズに構成された基材シートと、
前記基板の周縁部に粘着可能な粘着層と、
前記基材シートと前記粘着層との間に配置される可撓性のスペーサーと、を備え、
前記基材シートは、前記粘着層及び前記スペーサーにより囲まれる位置に貫通孔を有し、
前記粘着層及び前記スペーサーは、前記基板の前記第1主面における周縁部に沿って連続する環状に形成され、
前記製造方法は、
前記基板用保護具の基材シートの貫通孔を通じて基板を吸引し、前記基板用保護具と前記基板とが粘着した成膜用基板を準備する準備工程と、
前記成膜用基板における前記基板の前記第2主面に機能性膜を成膜する成膜工程とを備え、
前記準備工程では、前記基板の前記第1主面を前記粘着層に重ね合わせた状態となるように前記基板を配置した後、前記貫通孔を通じた前記基板の吸引を行うことで
、前記基板の前記吸引中においても前記基板の前記第1主面を前記粘着層に重ね合わせた状態で維持することを特徴とする膜付き基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板等の基板の両主面のうち、基板の一方の主面のみに機能性膜を成膜する場合がある。この場合、基板の他方の主面を基板用保護具により保護することで、基板の他方の主面における機能性膜の成膜を抑えることができる。例えば、特許文献1では、基板の成膜対象ではない側の主面における周縁部に付着する付着面を有する治具を用いることで、当該主面への成膜材料の回り込みを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、基板の一方の主面のみに機能性膜を成膜する際に、成膜材料の回り込みによる基板の他方の主面周縁部への成膜材料の付着を抑える技術について未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、基板の一方の主面のみに機能性膜を好適に成膜することのできる膜付き基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する基板用保護具は、第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面とを有する基板の前記第1主面を保護する基板用保護具であって、少なくとも前記基板の周縁部を覆うことが可能なサイズに構成された基材シートと、前記基板の周縁部に粘着可能な粘着層と、前記基材シートと前記粘着層との間に配置される可撓性のスペーサーと、を備え、前記基材シートは、前記粘着層及び前記スペーサーにより囲まれる位置に貫通孔を有する。
【0007】
この構成によれば、機能性膜の成膜前に基材シートの貫通孔を通じて基板を吸引し、粘着層により基板の周縁部と基材シートの周縁部とを粘着することができ、機能性膜の成膜時に成膜材料が回り込んで基板の第1主面の周縁部に付着することを抑制できる。
【0008】
また、基板が、例えば0.05~1.5mmと薄い場合には、吸引時に基板が撓んだとしても、可撓性のスペーサーも撓むため、基板の周縁部から粘着層が剥がれることがない。また、基板に基板用保護具を取り付ける際に、基板の第2主面を治具等で押圧しなくてもよいため、基板の第2主面の清浄性が保たれ易い。
【0009】
上記課題を解決する膜付き基板の製造方法は、上記基板用保護具を用いて膜付き基板を製造する膜付き基板の製造方法であって、前記基板用保護具の基材シートの貫通孔を通じて基板を吸引し、前記基板用保護具と前記基板とが粘着した成膜用基板を準備する準備工程と、前記成膜用基板における前記基板の前記第2主面に機能性膜を成膜する成膜工程とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の一方の主面のみに機能性膜を好適に成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態における基板用保護具を示す分解斜視図である。
【
図3】成膜用基板の準備工程を説明する斜視図である。
【
図4】成膜用基板の準備工程を説明する端面図である。
【
図5】成膜用基板の準備工程を説明する端面図である。
【
図6】基板用保護具及び膜付き基板を示す斜視図である。
【
図7】成膜用基板の準備工程の変更例を説明する斜視図である。
【
図8】成膜用基板の準備工程の変更例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の基板用保護具、及び膜付き基板の製造方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部(例えば、厚さ)を誇張して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0013】
図1に示すように、基板用保護具11を用いて保護する基板Sは、第1主面S1と、第1主面S1の反対側の第2主面S2とを有している。基板用保護具11は、基板Sの第1主面S1を保護する。第1主面S1が基板用保護具11で保護された基板Sの第2主面S2は、機能性膜が成膜される主面であり、この第2主面S2に機能性膜を成膜することで、膜付き基板が得られる。本実施形態では、基板Sとしてガラス基板を用いているが、例えば、樹脂基板やセラミック基板を用いることもできる。
【0014】
基板用保護具11は、少なくとも基板Sの周縁部を覆うことが可能なサイズに構成された基材シート12と、基板Sの周縁部に粘着可能な粘着層13と、基材シート12と粘着層13との間に配置される可撓性のスペーサー14とを備えている。
【0015】
基材シート12の材料としては、例えば、樹脂材料又はゴム材料等の高分子材料、及び金属材料が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリイミド樹脂が挙げられる。ゴム材料としては、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムが挙げられる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、及びステンレス鋼が挙げられる。例えば、機能性膜の成膜が加熱を伴う場合、成膜時の熱に耐え得る耐熱性の基材シートを用いればよい。基材シート12の厚さは、例えば、10μm以上、500μm以下の範囲である。
【0016】
粘着層13は、基板Sの第1主面S1における周縁部に沿って連続する環状に形成されている。粘着層13は、周知の粘着材料から構成することができる。粘着層13としては、例えば、シリコーン系粘着層、アクリル系粘着層、及びウレタン系粘着層が挙げられる。例えば、機能性膜の成膜が加熱を伴う場合、成膜時の熱に耐え得る耐熱性の粘着層を用いればよい。粘着層13は、両面粘着テープの一方の面を構成する粘着層や、スペーサー14に塗布することで形成した粘着層から構成することができる。本実施形態では、両面粘着テープをスペーサー14に貼り合わせることでスペーサー14に粘着層13を設けている。すなわち、粘着層13は、スペーサー14に粘着している。
【0017】
なお、図面では、両面粘着テープの支持体、及び両面粘着テープの他方の面を構成する粘着層(支持体をスペーサー14に粘着する粘着層)については省略している。両面粘着テープの支持体は、例えば、ポリイミドフィルムやPETフィルム等の樹脂フィルムから構成されている。
【0018】
粘着層13の基板Sに対する粘着力は、機能性膜の成膜後において基板Sから粘着層13を容易に剥離させることができるように、例えば、3.0(N/25mm幅)以下の弱粘着性であることが好ましい。なお、粘着層13の基板Sに対する粘着力の下限は、基板Sに対する密着性を確保し易くするため、0.05(N/25mm幅)以上であることが好ましい。粘着層13の粘着力は、JIS Z0237(2009)に規定される180°剥離試験に準拠して測定される。なお、JIS Z0237(2009)は、国際規格のISO 29862:2007、ISO 29863:2007及びISO 29864:2007に対応している。
【0019】
図1、
図2及び
図4に示すように、基材シート12は、粘着層13及びスペーサー14により囲まれる位置に貫通孔12aを有している。詳述すると、基材シート12において粘着層13及びスペーサー14により囲まれる上面は、露出面であり、基板Sの第1主面S1に対向している。基材シート12の貫通孔12aは、基板用保護具11を基板Sに取り付ける際に、基板Sと基材シート12との間の空気を排出するための空気排出孔として用いられる。貫通孔12aの数は、本実施形態のように単数であってもよいし、複数に変更してもよい。貫通孔12aの形状は、本実施形態のように四角形状であってもよいし、例えば、円形状に変更してもよい。貫通孔12aの面積は、基材シート12の面積を100%としたとき、例えば、5%以上、50%以下の範囲であることが好ましい。貫通孔12aの面積が大きいほど、空気排出孔としての機能がより発揮され易くなる。貫通孔12aの面積が小さいほど、基板Sの第1主面S1を基材シート12でより広く覆うことができるため、第1主面S1の清浄性が保たれ易くなる。貫通孔12aは、基材シート12の平面視で粘着層13及びスペーサー14よりも基材シート12の中央に近い位置に形成されていることが好ましい。この場合、基板Sと基材シート12との間の空気を全体にバランスよく排出することができる。
【0020】
スペーサー14は、基板Sの第1主面S1における周縁部に沿って連続する環状に形成されている。スペーサー14を構成する可撓性の材料としては、例えば、織布又は不織布、高分子材料、及びゴム材料が挙げられる。織布又は不織布としては、例えば、ガラスクロスが挙げられる。ゴム材料としては、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムが挙げられる。スペーサー14は、単層構造であってもよいし、同種又は異種の材料から構成した多層構造であってもよい。例えば、機能性膜の成膜が加熱を伴う場合、成膜時の熱に耐え得るスペーサーを用いればよい。スペーサー14は、基材シート12に周知の接着剤又は粘着剤で固定することができる。スペーサー14は、例えば、スペーサー14を支持体として構成された片面粘着テープ(ガラスクロステープ等)を用いて基材シート12に固定されてもよい。スペーサー14の厚さは、例えば、150μm~5mmの範囲である。スペーサー14は、基板Sに基板用保護具11が取り付けられる前の状態、すなわち基板用保護具11が荷重を受けていない状態において、粘着層13よりも厚く構成されることが好ましい。
【0021】
次に、膜付き基板の製造方法について説明する。
図2に示すように、膜付き基板の製造方法は、基板Sに基板用保護具11を取り付けることで、基板Sと基板用保護具11とを有する成膜用基板SAを準備する準備工程と、成膜用基板SAにおける基板Sの第2主面S2に機能性膜を成膜する成膜工程とを備えている。準備工程では、基板用保護具11の基材シート12の貫通孔12aを通じて基板Sを吸引し、基板用保護具11と基板Sとが粘着した成膜用基板を準備する。
【0022】
図3及び
図5に示すように、本実施形態の準備工程では、基板Sを吸引するために吸引装置15が用いられる。吸引装置15は、減圧室16と、減圧室16内の空気を排気する排気部17と、基板用保護具11が載置される載置面18と、載置面18に開口するとともに減圧室16の外部の空気を吸引する吸引部19とを備えている。排気部17には、図示を省略した周知の真空ポンプが接続される。
【0023】
準備工程において成膜用基板SAを得るには、まず基板用保護具11の粘着層13が上向きとなるように、基板用保護具11を吸引装置15の載置面18に載置した後、その基板用保護具11の粘着層13上に基板Sを載置する。
【0024】
次に、
図5に示すように、吸引装置15の減圧室16内の空気を排気部17から排気する。これにより、吸引装置15の吸引部19は、基板用保護具11の基材シート12における貫通孔12aを通じて、基板用保護具11の基材シート12と基板Sとの間の空気を吸引する。これにより、基板Sが基板用保護具11の粘着層13に押し付けられることで、基板Sに基板用保護具11を取り付けることができる。
【0025】
ここで、吸引装置15を用いて基板用保護具11の基材シート12と基板Sとの間の空気を吸引した際に、平板状の基板Sが吸引装置15側に凸となるように湾曲する場合がある。例えば、平板状の基板Sとして、厚さが0.05~1.5mmのガラス基板を用いる場合、このような湾曲が起きやすい傾向がある。しかし、吸引装置15による吸引により基板Sが撓んだとしても、可撓性のスペーサー14も撓むため、基板Sの周縁部から粘着層13が剥がれることがない。
【0026】
基板用保護具11に取り付けられた基板Sの第2主面S2に機能性膜を成膜することによって膜付き基板が作製される。膜付き基板SFの製造方法における成膜工程では、スパッタリング法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スプレー、スピンコート等のコーティング法等の周知の成膜法を用いることができる。機能性膜F(
図6参照)としては、例えば、所定の光学的特性を有する膜(誘電体膜等)、所定の機械的特性を有する膜、所定の化学的特性を有する膜、及び所定の色を有する膜が挙げられる。機能性膜Fを形成するための成膜材料は、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよい。
【0027】
成膜工程は、成膜用基板SAの第2主面S2が水平となる姿勢、垂直となる姿勢、又は水平でも垂直でもない傾斜した姿勢のいずれの姿勢で行ってもよい。例えば、成膜用基板SAの第2主面S2が垂直となる姿勢に成膜用基板SAを配置する場合であれば、基板用保護具11の基材シート12の形状を基材シート12が基板Sよりも外方に突出するように変更し、その突出部分を利用して成膜用基板SAを吊り下げてもよい。
【0028】
図6に示すように、成膜工程で得られた膜付き基板SFは、基板Sの第2主面S2に設けられた機能性膜Fを有しており、基板用保護具11の粘着層13から取り外される。
成膜工程後の基板用保護具11は、別の膜付き基板SFの製造に繰り返し使用することもできる。また、基板用保護具11が複数ある場合でも、基板用保護具11の厚さが比較的薄いため、複数の基板用保護具11を厚さ方向に重ね合わせることで、コンパクトにまとめて保管することができる。
【0029】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)基板用保護具11は、少なくとも基板Sの周縁部を覆うことが可能なサイズに構成された基材シート12と、基板Sの周縁部に粘着可能な粘着層13と、基材シート12と粘着層13との間に配置される可撓性のスペーサー14とを備えている。基材シート12は、粘着層13及びスペーサー14により囲まれる位置に貫通孔12aを有している。
【0030】
この構成によれば、機能性膜Fの成膜前に基材シート12の貫通孔12aを通じて基板Sを吸引し、粘着層13により基板Sの周縁部と基材シート12の周縁部とを粘着することができ、機能性膜Fの成膜時に成膜材料が回り込んで基板Sの第1主面S1の周縁部に付着することを抑制できる。
【0031】
また、基板Sが、例えば0.05~1.5mmと薄い場合には、吸引時に基板Sが撓んだとしても、可撓性のスペーサー14も撓むため、基板Sの周縁部から粘着層13が剥がれることがない。また、基板Sに基板用保護具11を取り付ける際に、基板Sの第2主面S2を治具等で押圧しなくてもよいため、基板Sの第2主面S2の清浄性が保たれ易い。
【0032】
従って、基板Sの第2主面S2のみに機能性膜Fを好適に成膜することができる。
(2)基板用保護具11の粘着層13は、環状に形成されている。この場合、機能性膜Fの成膜時に成膜材料が回り込んで基板Sの第1主面S1の周縁部に付着することをさらに抑制できる。従って、基板Sの第2主面S2のみに機能性膜Fをより好適に成膜することができる。
【0033】
また、基板用保護具11の粘着層13が基板Sの全面ではなく基板Sの周縁部のみに粘着可能に形成されているために、基板用保護具11が基板Sに対して過剰に粘着することがなく、機能性膜Fの成膜後に基板用保護具11を基板Sから容易に引き剥がすことができる。また、粘着層13が基板Sの全面ではなく基板Sの周縁部のみに粘着可能に形成されているために、基板Sの第1主面S1において基板Sの性能に影響する範囲に粘着剤が転写されるのを回避することができる。
【0034】
(3)膜付き基板SFの製造方法は、基板用保護具11の基材シート12の貫通孔12aを通じて基板Sを吸引し、基板用保護具11と基板Sとが粘着した成膜用基板SAを準備する準備工程と、成膜用基板SAにおける基板Sの第2主面S2に機能性膜Fを成膜する成膜工程とを備えている。
【0035】
この方法によれば、上記(1)欄で述べた効果と同様の効果が得られる。
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
【0036】
・上記実施形態の基板用保護具11のスペーサー14は、基板用保護具11の基材シート12に固定されているが、基材シート12に固定せずに基材シート12に重ねるように配置してもよいし、例えば、吸引装置15の載置面18に固定されていてもよい。
【0037】
・基板用保護具11の粘着層13は、環状以外の形状に形成されてもよい。基板用保護具11の粘着層13を、例えば、基板Sの対向する二辺に対応した複数の粘着層に変更することもできる。
【0038】
・基板Sの形状は、平板状に限らず、曲板状であってもよい。
・基板用保護具11の外形は、基板Sの外形に応じて適宜変更することができる。
・
図7に示すように、複数の基板用保護具11と複数の基板Sを載置できるように吸引装置15を変更してもよい。すなわち、吸引装置15の吸引部19の数は、吸引装置15の載置面18に載置される基板用保護具11(基板S)の数に対応して変更することができる。この場合、例えば、
図7に示す基板Sよりもサイズの小さい基板についても、同じ吸引装置15を用いることができる。すなわち、基板Sのサイズを変更しても同じ吸引装置15を用いることができる。また、吸引装置15の1回の吸引操作によって、複数の基板用保護具11と複数の基板Sとを粘着させることができる。すなわち、吸引装置15の1回の吸引操作によって、複数の成膜用基板SAを得ることができるため、成膜用基板SAを準備する準備工程の作業効率を高めることができる。
【0039】
・
図8に示すように、複数の基板用保護具11は、これら複数の基板用保護具11が連結された連結体20として構成されていてもよい。この連結体20では、基材シート12を用いて複数の基板用保護具11を連結しているが、スペーサー14を用いて連結してもよいし、テープ材等の連結材を別途設けることで連結してもよい。このように連結体20を用いることで、複数の成膜用基板SAを一体として取り扱うことができるため、例えば、成膜工程で用いる成膜装置への複数の成膜用基板SAの搬入作業や搬出作業の効率を高めることができる。また、連結体20を用いることで、複数の成膜用基板SAを吊り下げて配置することも容易となる。
【符号の説明】
【0040】
11…基板用保護具、12…基材シート、12a…貫通孔、13…粘着層、14…スペーサー、F…機能性膜、S…基板、S1…第1主面、S2…第2主面、SA…成膜用基板、SF…膜付き基板。