(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】参拝対象物の保管設備
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20230208BHJP
B65G 1/137 20060101ALN20230208BHJP
A47G 33/02 20060101ALN20230208BHJP
【FI】
E04H13/00 B
B65G1/137 A
A47G33/02 Z
(21)【出願番号】P 2020011559
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新中 秀信
(72)【発明者】
【氏名】有馬 寿哉
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071189(JP,A)
【文献】特開2000-320190(JP,A)
【文献】特開2017-014822(JP,A)
【文献】特開平07-062929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
B65G 1/137
A47G 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ参拝対象物を保管する複数の保管部と、
それぞれ参拝者による参拝が行われる複数の参拝部と、
複数の前記保管部の1つと複数の前記参拝部の1つとの間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
複数の前記参拝部のそれぞれに対応して設けられ、1つの前記参拝対象物の識別情報が記憶された記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置と、
複数の前記参拝部のそれぞれに対応して設けられ、前記参拝対象物に関連する参拝情報を出力する出力装置と、
複数の前記参拝対象物のそれぞれの現在位置を示す対象物位置情報を保持しつつ、前記搬送装置を制御するための制御信号を前記搬送装置に送信すると共に、前記搬送装置の状態を示す状態信号を前記搬送装置から受信する搬送制御部と、
前記搬送制御部が受信した前記状態信号を取得する信号取得部と、を備え、
複数の前記保管部のそれぞれに、保管対象として1つの前記参拝対象物が関連付けられており、
複数の前記読取装置のそれぞれは、当該読取装置に対応する前記参拝部に対応して設けられた前記出力装置と前記搬送制御部とのそれぞれに対して、読み取った前記識別情報を送信するように構成され、
前記識別情報を読み取った前記読取装置に対応する前記参拝部を対象参拝部とし、当該対象参拝部に対応する前記出力装置を対象出力装置とし、読み取られた前記識別情報が示す前記参拝対象物を対象参拝対象物とし、当該対象参拝対象物に関連付けられた前記保管部を対象保管部として、
前記読取装置により前記識別情報が読み取られた場合に、前記対象出力装置は、前記信号取得部によって取得された前記状態信号が示す前記搬送装置の状態に応じて、前記対象参拝対象物に関連する前記参拝情報を出力し、
前記搬送制御部は、
前記対象保管部から前記対象参拝部へ前記対象参拝対象物を搬送するように前記搬送装置を動作させる第1搬送制御と、
前記対象参拝部から前記対象保管部へ前記対象参拝対象物を搬送するように前記搬送装置を動作させる第2搬送制御と、
前記搬送装置の状態に関わらず、前記搬送装置の制御を中止して前記搬送装置を規定の初期状態とすると共に、前記搬送装置により搬送中の前記対象参拝対象物についての前記対象物位置情報を、前記対象保管部の位置を示す情報とする初期化制御と、を実施可能に構成されている、参拝対象物の保管設備。
【請求項2】
前記状態信号は、前記対象参拝対象物が前記対象参拝部に搬送されたことを示す信号と、前記対象参拝対象物が前記対象保管部に搬送されたことを示す信号と、前記搬送装置が異常停止したことを示す信号と、を含む、請求項1に記載の参拝対象物の保管設備。
【請求項3】
複数の前記読取装置のそれぞれは、当該読取装置に対応する前記参拝部に対応して設けられた前記出力装置と通信を行うための第1アドレスが設定された第1通信部と、前記搬送制御部と通信を行うための第2アドレスが設定された第2通信部と、を備えている、請求項1又は2に記載の参拝対象物の保管設備。
【請求項4】
複数の前記出力装置を制御する出力制御部と、複数の前記参拝対象物についての前記参拝情報を、それぞれの前記参拝対象物の前記識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、を更に備え、
前記対象出力装置は、当該対象出力装置に送信された前記識別情報を前記出力制御部に送信し、
前記出力制御部は、前記対象出力装置から送信された前記識別情報に関連付けられた前記参拝情報を前記記憶部から取得し、前記対象出力装置に送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の参拝対象物の保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ参拝対象物を保管する複数の保管部と、それぞれ参拝者による参拝が行われる複数の参拝部と、保管部と参拝部との間で参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた、参拝対象物の保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような保管設備の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における部材名及び符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の保管設備では、参拝部(墓地仕様祭祀箇所2)に設置された読取装置(カードリーダ7)により、参拝者が持参するカードに組み込まれた記憶媒体(例えば、ICチップ)から情報が読み取られると、当該情報に基づいて制御装置(管理装置C)が参拝者を識別し、当該参拝者に関連付けられた故人の名前や遺影等を出力装置(液晶モニタ8)に表示させる。そして、制御装置(管理装置C)は、当該故人に対応する参拝対象物(厨子G)を、保管部(単位保管部12)から参拝部(墓地仕様祭祀箇所2)へ搬送するように搬送装置(搬送装置9)を制御する(特許文献1の段落0023参照)。また、制御装置(管理装置C)は、参拝者が参拝を終了したと判断した場合には、参拝対象物(厨子G)を参拝部(墓地仕様祭祀箇所2)から保管部(単位保管部12)へ搬送するように搬送装置(搬送装置9)を制御する(特許文献1の段落0057参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような保管設備では、1つの制御装置が、読取装置によって読み取られた情報に基づいて、出力装置と搬送装置との双方を制御するように構成されている。そのため、出力装置に出力させるための故人の名前や遺影等の情報、及び搬送装置の制御に関する情報を含む種々の情報が、1つの制御装置によって一元管理されている。ここで、搬送装置の制御に関する情報には、搬送装置によって搬送される参拝対象物の現在位置を示す情報や、搬送装置の各部の状態を示す情報が含まれる。よって、例えば、搬送装置が異常停止した場合には、その復旧のために、搬送装置の制御に関する情報を初期化したり書き換えたりする等の操作を行う必要があり、専門知識のない者が容易に復旧作業を行うことができず、専門知識のある者が行う場合であっても復旧作業が煩雑となり易かった。また、種々の情報を一元管理する制御装置は高価であるため、保管設備のコストが大きくなる点で不利であった。
【0006】
そこで、復旧作業が容易であり、設備のコストを小さく抑えることができる、参拝対象物の保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、参拝対象物の保管設備の特徴構成は、
それぞれ参拝対象物を保管する複数の保管部と、
それぞれ参拝者による参拝が行われる複数の参拝部と、
複数の前記保管部の1つと複数の前記参拝部の1つとの間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
複数の前記参拝部のそれぞれに対応して設けられ、1つの前記参拝対象物の識別情報が記憶された記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置と、
複数の前記参拝部のそれぞれに対応して設けられ、前記参拝対象物に関連する参拝情報を出力する出力装置と、
複数の前記参拝対象物のそれぞれの現在位置を示す対象物位置情報を保持しつつ、前記搬送装置を制御するための制御信号を前記搬送装置に送信すると共に、前記搬送装置の状態を示す状態信号を前記搬送装置から受信する搬送制御部と、
前記搬送制御部が受信した前記状態信号を取得する信号取得部と、を備え、
複数の前記保管部のそれぞれに、保管対象として1つの前記参拝対象物が関連付けられており、
複数の前記読取装置のそれぞれは、当該読取装置に対応する前記参拝部に対応して設けられた前記出力装置と前記搬送制御部とのそれぞれに対して、読み取った前記識別情報を送信するように構成され、
前記識別情報を読み取った前記読取装置に対応する前記参拝部を対象参拝部とし、当該対象参拝部に対応する前記出力装置を対象出力装置とし、読み取られた前記識別情報が示す前記参拝対象物を対象参拝対象物とし、当該対象参拝対象物に関連付けられた前記保管部を対象保管部として、
前記読取装置により前記識別情報が読み取られた場合に、前記対象出力装置は、前記信号取得部によって取得された前記状態信号が示す前記搬送装置の状態に応じて、前記対象参拝対象物に関連する前記参拝情報を出力し、
前記搬送制御部は、
前記対象保管部から前記対象参拝部へ前記対象参拝対象物を搬送するように前記搬送装置を動作させる第1搬送制御と、
前記対象参拝部から前記対象保管部へ前記対象参拝対象物を搬送するように前記搬送装置を動作させる第2搬送制御と、
前記搬送装置の状態に関わらず、前記搬送装置の制御を中止して前記搬送装置を規定の初期状態とすると共に、前記搬送装置により搬送中の前記対象参拝対象物についての前記対象物位置情報を、前記対象保管部の位置を示す情報とする初期化制御と、を実施可能に構成されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、識別情報を読み取った読取装置は、当該読取装置に対応する参拝部に対応して設けられた出力装置と搬送制御部とのそれぞれに対して当該識別情報を送信する。そして、出力装置が、当該出力装置に送信された識別情報に基づいて、対応する参拝情報を出力すると共に、搬送制御部が、当該搬送制御部に送信された識別情報に基づいて、搬送装置を制御する。つまり、出力装置及び搬送制御部のそれぞれが、自身に送信された識別情報に基づいて動作する。そのため、出力装置が出力する参拝情報と、搬送制御部が保持する対象物位置情報とを、出力装置及び搬送制御部のそれぞれが個別に管理する構成とすることができる。したがって、参拝情報と対象物位置情報とを一元管理する制御装置を設ける必要がないため、保管設備のコストを小さく抑えることができる。
また、本構成によれば、複数の保管部のそれぞれに、保管対象として1つの参拝対象物が関連付けられている。つまり、固定ロケーションにより運用を行う構成となっている。更に、搬送制御部は、搬送装置の状態に関わらず、搬送装置の制御を中止して搬送装置を規定の初期状態とすると共に、搬送装置により搬送中の対象参拝対象物についての対象物位置情報を、対象保管部の位置を示す情報とする初期化制御を実施可能に構成されている。これにより、例えば、搬送装置が異常停止した場合には、設備の管理者等の作業者が、搬送中の対象参拝対象物を対象保管部に戻した上で、搬送制御部に初期化制御を実施させるだけで、容易に保管設備を初期状態にすることができるため、作業者の専門知識の有無によらず、容易に復旧作業を行うことができる。
なお、一般的な倉庫設備では、固定ロケーションは、保管スペースを効率的に活用できない点で不利になることがある。しかしながら、参拝対象物の保管設備においては、参拝対象物は、参拝者が参拝を行う際に保管部から参拝部に搬送され、参拝が終了すれば参拝部から保管部に搬送されるため、通常の運用で参拝対象物が外部に搬出されることはなく、参拝対象物の入れ替えもほとんどない。そのため、参拝対象物の保管設備では、固定ロケーションであっても、保管スペースを効率的に活用することができるため、運用上悪影響は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る参拝対象物の保管設備の平面図
【
図2】実施形態に係る参拝対象物の保管設備のブロック図
【
図3】実施形態に係る参拝対象物の保管設備における制御の一例を示すフローチャート
【
図4】実施形態に係る参拝対象物の保管設備における制御の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る、参拝対象物Aの保管設備100について、図面を参照して説明する。本実施形態では、参拝対象物Aは、骨壺が収容された容器である。そして、参拝対象物Aの長手方向における一方の端面(最も面積が小さい一対の面のうちの一方)には、当該参拝対象物Aに関連する情報(例えば、故人の家名、家紋等)が表示されている。
【0011】
図1に示すように、保管設備100は、複数の保管部1と、複数の参拝部2と、搬送装置3と、複数の読取装置4と、複数の出力装置5と、を備えている。
【0012】
複数の保管部1のそれぞれは、参拝対象物Aを保管するように構成されている。複数の保管部1のそれぞれには、保管対象として1つの参拝対象物Aが関連付けられている。つまり、保管設備100では、固定ロケーションによる運用が行われる。したがって、複数の参拝対象物Aのそれぞれは、予め定められた1個の特定の保管部1に保管される。
【0013】
本実施形態では、複数の保管部1は、第1保管棚10A及び第2保管棚10Bを構成している。第1保管棚10A及び第2保管棚10Bのそれぞれでは、複数の保管部1が、水平方向及び鉛直方向に並んで配置されている。
【0014】
以下の説明では、第1保管棚10A及び第2保管棚10Bのそれぞれの各段において複数の保管部1が並ぶ方向を「幅方向X」とし、鉛直方向視で幅方向Xに直交する方向を「奥行方向Y」とする。
【0015】
本実施形態では、第1保管棚10A及び第2保管棚10Bは、互いに奥行方向Yに間隔を空けて対向するように配置されている。
【0016】
本実施形態では、直方体状の参拝対象物Aの長手方向(最も長い辺に沿う方向)が奥行方向Yに沿うように、各保管部1に参拝対象物Aが保管される。図示の例では、各保管部1は、参拝対象物Aを下方から支持する一対の腕木11を備えている。一対の腕木11は、奥行方向Yに沿って延在し、幅方向Xに離間して配置されている。
【0017】
複数の参拝部2のそれぞれでは、参拝者Vによる参拝が行われる。本実施形態では、複数の参拝部2は、幅方向Xに並んで配置されている。そして、複数の参拝部2は、第2保管棚10Bに対して、奥行方向Yにおける第1保管棚10Aが配置された側とは反対側に配置されている。
【0018】
複数の参拝部2のそれぞれには、参拝者Vが参拝を行う位置である参拝位置P1と、参拝対象物Aが支持される位置である支持位置P2と、が設定されている。
【0019】
搬送装置3は、複数の保管部1の1つと複数の参拝部2の1つとの間で参拝対象物Aを搬送する装置である。具体的には、搬送装置3は、搬送対象の参拝対象物Aを、当該参拝対象物Aが保管された保管部1から、搬送先の参拝部2の支持位置P2へ搬送する。また、搬送装置3は、参拝部2の支持位置P2にて支持されている参拝対象物Aを、当該参拝対象物Aに関連付けられた保管部1へ搬送する。本実施形態では、搬送装置3は、第1搬送部31と、複数の第2搬送部32と、を備えている。
【0020】
第1搬送部31は、搬送対象の参拝対象物Aを、当該参拝対象物Aが保管された保管部1から取り出し、第2搬送部32に渡すように搬送する。また、第1搬送部31は、第2搬送部32から参拝対象物Aを受け取り、当該参拝対象物Aに関連付けられた保管部1に保管するように搬送する。本実施形態では、第1搬送部31は、スタッカクレーンである。具体的には、第1搬送部31は、幅方向Xに沿って一対の保管棚10の間に設置された走行レール311と、当該走行レール311に案内されて走行する走行体312と、当該走行体312に立設された一対のマスト313と、当該一対のマスト313に案内されて鉛直方向に沿って移動する昇降体314と、当該昇降体314に対して奥行方向Yに出退自在に支持されると共に参拝対象物Aを下方から支持する出退支持部315と、を備えている。
【0021】
複数の第2搬送部32のそれぞれは、1つの参拝部2に対応して設けられている。つまり、1つの第2搬送部32が1つの参拝部2に対応するように、参拝部2と同数の第2搬送部32が設けられている。複数の第2搬送部32のそれぞれは、第1搬送部31から参拝対象物Aを受け取り、受け取った参拝対象物Aを、当該第2搬送部32に対応する参拝部2の支持位置P2へ搬送して、当該支持位置P2で支持する。また、複数の第2搬送部32のそれぞれは、当該第2搬送部32に対応する参拝部2の支持位置P2にて支持している参拝対象物Aを、第1搬送部31に渡すように搬送する。本実施形態では、複数の第2搬送部32のそれぞれは、支持位置P2と、走行レール311に対して奥行方向Yに隣接する位置との間で、奥行方向Yに沿って参拝対象物Aを搬送するコンベヤである。なお、本実施形態では、第2保管棚10Bにおける複数箇所に、保管部1が設けられていない部分が存在し、当該部分を通るように第2搬送部32が配置されている。
【0022】
本実施形態では、保管設備100は、一対の保管棚10及び搬送装置3が配置された領域を囲むように形成された壁体Wを備えている。
【0023】
本実施形態では、壁体Wは、各参拝部2の参拝位置P1と支持位置P2とを仕切るように形成された仕切壁部W1と、各参拝部2において参拝室R1を形成する参拝室形成壁部W2と、を有している。
【0024】
仕切壁部W1は、幅方向Xに沿って延在するように形成されている。仕切壁部W1には、参拝位置P1にいる参拝者Vが支持位置P2にある参拝対象物Aを視認するための参拝窓部W1aが設けられている。参拝窓部W1aは、仕切壁部W1における支持位置P2で支持された参拝対象物Aが対向する部分に配置されている。本実施形態では、参拝窓部W1aは、光透過率を調節可能な調光硝子を用いて構成されている。つまり、参拝窓部W1aは、当該参拝窓部W1aを介して参拝者Vが、支持位置P2に支持された参拝対象物Aを視認できるように光を透過する透明状態と、光を透過しない不透明状態とを切り換え可能に構成されている。
【0025】
参拝室形成壁部W2は、参拝位置P1を囲むように形成されている。参拝室形成壁部W2によって囲まれた、参拝位置P1を含む空間が、参拝室R1として形成されている。本実施形態では、参拝室形成壁部W2は、互いに幅方向Xに間隔を空けて、仕切壁部W1から参拝位置P1側に突出するように形成された一対の側壁部W21と、仕切壁部W1から奥行方向Yに離間した位置で、一対の側壁部W21同士を接続するように形成された前壁部W22と、を有している。つまり、本実施形態では、仕切壁部W1、一対の側壁部W21、及び前壁部W22によって囲まれた空間が、参拝室R1として形成されている。
【0026】
本実施形態では、複数の参拝室R1が、幅方向Xに並んで配置されている。互いに隣接する参拝室R1は、側壁部W21によって区画されている。つまり、互いに隣接する参拝室R1において、側壁部W21が共有されている。本実施形態では、複数の参拝室R1のそれぞれに、参拝者Vが参拝を終了したことを検知するための参拝終了検知部21が設けられている。本実施形態では、参拝終了検知部21は、参拝室R1内の参拝者Vを検知する人感センサである。
【0027】
また、本実施形態では、前壁部W22に、当該前壁部W22に対応する参拝室R1に出入りするための参拝用出入口E1と、当該参拝用出入口E1を開閉可能に構成された参拝用扉D1と、が設けられている。
【0028】
複数の読取装置4のそれぞれは、1つの参拝部2に対応して設けられている。つまり、1つの読取装置4が1つの参拝部2に対応するように、参拝部2と同数の読取装置4が設けられている。本実施形態では、各前壁部W22における参拝室R1に面する表面とは反対側の表面であって参拝用出入口E1の近傍部分に、1つの読取装置4が配置されている。
【0029】
図2に示すように、複数の読取装置4のそれぞれは、1つの参拝対象物Aの識別情報I1が記憶された記憶媒体Mから当該識別情報I1を読み取る装置である。本実施形態では、記憶媒体Mは、参拝者Vが持参するカードに組み込まれたICチップである。そのため、読取装置4は、ICチップに記憶された情報を読み取るICカードリーダである。記憶媒体Mには、当該参拝者Vの参拝対象物Aに関連付けられた識別情報I1が記憶されている。つまり、基本的には、異なる記憶媒体Mには、異なる参拝対象物Aの識別情報I1が記憶されている。
【0030】
識別情報I1は、参拝対象物Aを識別するための情報である。識別情報I1は、参拝対象物Aごとに設けられている。つまり、1つの識別情報I1が1つの参拝対象物Aに対応している。本実施形態では、識別情報I1は、参拝対象物Aが保管される保管部1の位置を示す情報である。上述したように、複数の保管部1のそれぞれには、保管対象として1つの参拝対象物Aが関連付けられている。そのため、本実施形態では、保管部1の位置を示す情報である識別情報I1に基づいて、参拝対象物Aを識別することができる。
【0031】
複数の読取装置4のそれぞれは、当該読取装置4に対応する参拝部2に対応して設けられた出力装置5と、後述の搬送制御部6とのそれぞれに対して、読み取った識別情報I1を送信するように構成されている。本実施形態では、複数の読取装置4のそれぞれは、当該読取装置4に対応する参拝部2に対応して設けられた出力装置5と通信を行うための第1アドレスが設定された第1通信部41と、搬送制御部6と通信を行うための第2アドレスが設定された第2通信部42と、を備えている。本例では、第1通信部41及び第2通信部42のそれぞれは、互いに異なるIPアドレスが設定されたネットワークインタフェースカードである。
【0032】
複数の出力装置5のそれぞれは、参拝対象物Aに関連する参拝情報I2を出力する装置である。本実施形態では、複数の出力装置5のそれぞれは、画像及び映像を表示するディスプレイである表示装置51、及び作業者による入力を受け付けるキーボード及びマウスである入力装置(図示を省略)を備えたパーソナルコンピュータである。参拝情報I2は、例えば、故人の名前、戒名、遺影、家紋等の画像、並びに故人の生涯を示す音声及び映像を含む、参拝対象物Aに関連する情報である。
【0033】
図1に示すように、複数の出力装置5のそれぞれは、1つの参拝部2に対応して設けられている。つまり、1つの出力装置5が1つの参拝部2に対応するように、参拝部2と同数の出力装置5が設けられている。本実施形態では、各参拝室R1内に、1つの表示装置51が配置されている。
【0034】
図2に示すように、保管設備100は、搬送制御部6と、信号取得部7と、を備えている。本実施形態では、保管設備100は、出力制御部8と、記憶部9と、を更に備えている。
【0035】
以下の説明では、識別情報I1を読み取った読取装置4に対応する参拝部2を「対象参拝部2t」とする。
図1に示す例では、最も右側の参拝部2が対象参拝部2tである。また、対象参拝部2tに対応する出力装置5を「対象出力装置5t」とする。
図1に示す例では、最も右側の参拝室R1内に配置された表示装置51を含む出力装置5が対象出力装置5tである。また、読取装置4に読み取られた識別情報I1が示す参拝対象物Aを「対象参拝対象物At」とする。
図1に示す例では、最も右側の参拝部2の支持位置P2で支持された参拝対象物Aが対象参拝対象物Atである。また、対象参拝対象物Atに関連付けられた保管部1を「対象保管部1t」とする。
図1に示す例では、第1保管棚10Aにおける最も右側の保管部1が対象保管部1tである。
【0036】
搬送制御部6は、第1搬送制御と、第2搬送制御と、を実施可能に構成されている。第1搬送制御は、対象保管部1tから対象参拝部2tへ対象参拝対象物Atを搬送するように搬送装置3を動作させる制御である。第2搬送制御は、対象参拝部2tから対象保管部1tへ対象参拝対象物Atを搬送するように搬送装置3を動作させる制御である。
【0037】
このように、搬送制御部6は、搬送装置3を制御するように構成されている。具体的には、搬送制御部6は、搬送装置3を制御するための制御信号S1を搬送装置3に送信する。制御信号S1は、搬送制御部6が受信した識別情報I1に基づいて設定される。本実施形態では、上述したように、識別情報I1は、参拝対象物Aが保管される保管部1の位置を示す情報である。そのため、制御信号S1は、識別情報I1が示す保管部1から対象参拝部2tへ、又は、対象参拝部2tから識別情報I1が示す保管部1へ、参拝対象物Aを搬送するように設定される。
【0038】
更に、搬送制御部6は、搬送装置3の状態を示す状態信号S2を搬送装置3から受信する。本実施形態では、状態信号S2は、対象参拝対象物Atが対象参拝部2tに搬送されたことを示す参拝用搬送完了信号と、対象参拝対象物Atが対象保管部1tに搬送されたことを示す保管用搬送完了信号と、搬送装置3が異常停止したことを示す異常停止信号と、を含む。
【0039】
また、搬送制御部6は、複数の参拝対象物Aのそれぞれの現在位置を示す対象物位置情報I3を保持している。本実施形態では、全ての参拝対象物Aのそれぞれについての対象物位置情報I3は、当該参拝対象物Aに関連付けられた保管部1の位置を示す情報が初期値として設定されている。そして、搬送制御部6は、状態信号S2としての参拝用搬送完了信号を受信した場合、対象参拝対象物Atについての対象物位置情報I3を、対象参拝部2tの位置を示す情報とする。また、搬送制御部6は、状態信号S2としての保管用搬送完了信号を受信した場合、対象参拝対象物Atについての対象物位置情報I3を、対象保管部1tの位置を示す情報とする。また、参拝対象物Aの搬送中には、当該参拝対象物Aについての対象物位置情報I3は、搬送中の参拝対象物Aの現在位置を示す情報となる。例えば、第1搬送部31による参拝対象物Aの搬送中には、対象物位置情報I3は、第1搬送部31の出退支持部315上の位置を示す情報となる。また、第2搬送部32による参拝対象物Aの搬送中には、対象物位置情報I3は、第2搬送部32の搬送面上の位置を示す情報となる。なお、対象物位置情報I3は、参拝対象物Aの各時点での位置を詳細に示す情報であっても良いが、それほど詳細な位置情報とせず、例えば、参拝対象物Aが予め定められた特定の位置を通過したことを示す程度の情報であっても良い。
【0040】
搬送制御部6は、第1搬送制御及び第2搬送制御に加えて、初期化制御も実施可能に構成されている。初期化制御は、搬送装置3の状態に関わらず、搬送装置3の制御を中止して搬送装置3を規定の初期状態とすると共に、搬送装置3により搬送中の対象参拝対象物Atについての対象物位置情報I3を、対象保管部1tの位置を示す情報とする制御である。本実施形態の初期化制御では、搬送制御部6は、全ての参拝対象物Aのそれぞれについての対象物位置情報I3を、当該参拝対象物Aに関連付けられた保管部1の位置を示す情報とする。ここで、搬送装置3の規定の「初期状態」とは、搬送装置3の稼働部(走行体312、昇降体314、及び出退支持部315)が予め定められた初期位置にある状態を指す。
【0041】
本実施形態では、搬送制御部6は、状態信号S2としての異常停止信号を受信した場合に、搬送装置3が異常停止したことを知らせる通知(音声、警告灯の点灯等)を出力する。そして、保管設備100の管理者を含む作業者が初期化制御の実施を許可した場合に、搬送制御部6は初期化制御を実施する。本例では、作業者は、初期化制御の実施前に、搬送中の対象参拝対象物Atを対象保管部1tに戻す作業を行う。なお、初期化制御の実施後であって、通常運用の開始前に、搬送中の対象参拝対象物Atを対象保管部1tに戻す作業を行うようにしても良い。
【0042】
また、本実施形態では、搬送制御部6は、参拝終了検知部21の検知情報に基づいて、参拝者Vが参拝を終了したか否かを判定する。本例では、搬送制御部6は、参拝終了検知部21が参拝室R1内に参拝者Vがいないことを検知してから、規定の時間(例えば、1分)を経過した場合に、参拝者Vが参拝を終了したと判断する。
【0043】
信号取得部7は、搬送制御部6が受信した状態信号S2を取得するように構成されている。本実施形態では、信号取得部7は、搬送制御部6から取得した状態信号S2を出力制御部8に送信する。
【0044】
出力制御部8は、複数の出力装置5を制御するように構成されている。記憶部9は、複数の参拝対象物Aについての参拝情報I2を、それぞれの参拝対象物Aの識別情報I1に関連付けて記憶する。つまり、1つの参拝対象物Aについての参拝情報I2が、1つの識別情報I1に対応するように、複数の参拝対象物Aについての参拝情報I2が記憶部9に記憶されている。本実施形態では、出力制御部8及び記憶部9は、パーソナルコンピュータの一部として構成されている。
【0045】
本実施形態では、読取装置4により識別情報I1が読み取られた場合、対象出力装置5tは、当該読取装置4から送信された識別情報I1を出力制御部8に送信する。続いて、出力制御部8は、対象出力装置5tから送信された識別情報I1に関連付けられた参拝情報I2を記憶部9から取得し、対象出力装置5tに送信する。そして、対象出力装置5tは、出力制御部8から送信された参拝情報I2を出力する。なお、本実施形態では、出力制御部8は、信号取得部7から受信した状態信号S2が参拝用搬送完了信号である場合にのみ、記憶部9から取得した参拝情報I2を対象出力装置5tに送信し、状態信号S2が参拝用搬送完了信号以外の信号の場合には、参拝情報I2を対象出力装置5tに送信しない。このように、読取装置4により識別情報I1が読み取られた場合、対象出力装置5tは、信号取得部7によって取得された状態信号S2が示す搬送装置3の状態に応じて、対象参拝対象物Atに関連する参拝情報I2を出力する。
【0046】
本実施形態では、出力制御部8は、調光硝子を用いて構成された参拝窓部W1aの光透過率を制御するように構成されている。具体的には、出力制御部8は、参拝窓部W1aの状態を、参拝窓部W1aを介して参拝者Vが、支持位置P2に支持された対象参拝対象物Atを視認できるように光を透過する透明状態と、光を透過しない不透明状態とに切り換える。
【0047】
また、本実施形態では、出力制御部8は、参拝用扉D1の開閉を制御するように構成されている。本実施形態では、参拝者Vが、持参するカードを読取装置4にかざして、当該カードに組み込まれたICチップの情報を読取装置4に読み取らせると、出力制御部8は、当該読取装置4に対応する参拝室R1の参拝用扉D1を開放するように、当該参拝用扉D1の駆動源を制御する。
【0048】
図1に示すように、本実施形態では、壁体Wは、管理室R2を形成する管理室形成壁部W3を更に有している。管理室形成壁部W3は、参拝室R1とは異なる領域を囲むように形成されている。管理室形成壁部W3によって囲まれた空間が、管理室R2として形成されている。本実施形態では、管理室R2内に、搬送制御部6と出力制御部8と記憶部9とが配置されている。
【0049】
管理室形成壁部W3には、管理室R2に出入りするための管理用出入口E2と、当該管理用出入口E2を開閉可能に構成された管理用扉D2と、が設けられている。本実施形態では、管理室形成壁部W3における管理室R2に面する表面とは反対側の表面であって管理用出入口E2の近傍部分に、管理用読取装置4Aが設けられている。
【0050】
本実施形態では、管理用読取装置4Aは、カードに組み込まれたICチップに記憶された情報を読み取るICカードリーダである。保管設備100の管理者が保有する管理用カードに組み込まれたICチップに記憶された情報が管理用読取装置4Aによって読み取られた場合にのみ、管理室R2の管理用扉D2が開くように制御される。
【0051】
本実施形態では、記憶部9は、当該記憶部9への新たな参拝情報I2の追加と、当該記憶部9からの不要な参拝情報I2の削除と、を実施可能に構成されている。具体的には、管理室R2に入室した作業者が、出力制御部8及び記憶部9が含まれるパーソナルコンピュータの入力装置を介して、記憶部9への新たな参拝情報I2の追加と、記憶部9からの不要な参拝情報I2の削除とを行う。
【0052】
以下では、
図3及び
図4を参照して、保管設備100における制御について説明する。
図3及び
図4は、保管設備100における制御の一例を示すフローチャートである。なお、
図3及び
図4に示す制御は、保管設備100が以下の状態で開始される。即ち、全ての参拝対象物Aのそれぞれが、当該参拝対象物Aに関連付けられた保管部1に保管されている。そして、全ての参拝対象物Aのそれぞれについての対象物位置情報I3が、当該参拝対象物Aに関連付けられた保管部1の位置を示す情報に設定されている。また、全ての参拝用扉D1が閉鎖された状態となっている。更に、全ての参拝窓部W1aが光を透過しない不透明状態となっている。
【0053】
図3に示すように、まず、参拝者Vがカードを読取装置4にかざすと、当該読取装置4が、カードに組み込まれたICチップである記憶媒体Mから識別情報I1を読み取る(ステップ#1)。識別情報I1を読み取った読取装置4は、当該読取装置4に対応する参拝部2(対象参拝部2t)に対応して設けられた出力装置5(対象出力装置5t)に識別情報I1を送信すると共に(ステップ#2)、搬送制御部6にも識別情報I1を送信する(ステップ#6)。
【0054】
ステップ#2の後、対象出力装置5tが、読取装置4から送信された識別情報I1を出力制御部8に送信する(ステップ#3)。そして、出力制御部8が、識別情報I1を読み取った読取装置4に対応する参拝室R1の参拝用扉D1を開放するように、当該参拝用扉D1の駆動源を制御する(ステップ#4)。その後、出力制御部8は、信号取得部7からの状態信号S2の送信を待つ状態となる(ステップ#5)。
【0055】
一方、ステップ#6の後、搬送制御部6が、識別情報I1が示す保管部1から対象参拝部2tへ参拝対象物Aを搬送するように搬送装置3を制御する制御信号S1を、搬送装置3に送信する(ステップ#7)。その後、搬送制御部6は、搬送装置3からの状態信号S2の送信を待つ状態となる(ステップ#8)。
【0056】
搬送制御部6は、搬送装置3から状態信号S2を受信すると(ステップ#8:Yes)、当該状態信号S2の種類を特定する(ステップ#9)。
【0057】
状態信号S2が参拝用搬送完了信号である場合、搬送制御部6は、当該状態信号S2を信号取得部7に送信する(ステップ#10)。そして、信号取得部7は、搬送制御部6が送信した状態信号S2を取得して出力制御部8に送信する(ステップ#11)。
【0058】
状態信号S2が異常停止信号である場合、搬送制御部6は、搬送装置3が異常停止したことを知らせる通知(音声、警告灯の点灯等)を出力する(ステップ#12)。そして、搬送制御部6は、作業者による、初期化制御の実施の許可を待つ状態となる(ステップ#13)。作業者が、搬送中の対象参拝対象物Atを対象保管部1tに戻す作業を行った後に、初期化制御の実施を許可すると(ステップ#13:Yes)、搬送制御部6が初期化制御を実施する(ステップ#14)。そして、保管設備100における制御が終了する。
【0059】
状態信号S2が保管用搬送完了信号である場合、つまり、搬送装置3が対象参拝対象物Atを対象参拝部2tに搬送したのにも関わらず、搬送装置3が対象参拝対象物Atを対象保管部1tに搬送したことを示す信号を搬送制御部6が受信した場合、搬送制御部6は、受信した状態信号S2が異常であることを知らせる通知(音声、警告灯の点灯等)を出力する(ステップ#15)。そして、保管設備100における制御が終了する。
【0060】
一方、出力制御部8は、ステップ#11において信号取得部7が送信した状態信号S2を受信すると(ステップ#5:Yes)、出力制御部8は、参拝窓部W1aの状態を、参拝窓部W1aを介して参拝者Vが、支持位置P2に支持された対象参拝対象物Atを視認できるように光を透過する透明状態に切り換える(ステップ#16)。
【0061】
続いて、出力制御部8は、ステップ#3において対象出力装置5tから送信された識別情報I1に関連付けられた参拝情報I2を記憶部9から取得し(ステップ#17)、当該参拝情報I2を対象出力装置5tに送信する(ステップ#18)。そして、対象出力装置5tは、出力制御部8から送信された参拝情報I2を出力する(ステップ#19)。
【0062】
その後、
図4に示すように、出力制御部8は、信号取得部7からの状態信号S2の送信を待つ状態となる(ステップ#20)。一方、搬送制御部6は、参拝者Vの参拝の終了を待つ状態となる(ステップ#21)。こうして、対象参拝部2tの参拝室R1は、参拝者Vが参拝を行う準備が整った状態となる。
【0063】
搬送制御部6は、参拝者Vが参拝を終了したと判断した場合(ステップ#21:Yes)、対象参拝部2tから対象保管部1tへ対象参拝対象物Atを搬送するように搬送装置3を制御する制御信号S1を、搬送装置3に送信する(ステップ#22)。ここでは、搬送制御部6は、参拝終了検知部21が参拝室R1内に参拝者Vがいないことを検知してから、規定の時間(例えば、1分)を経過した場合に、参拝者Vが参拝を終了したと判断する。その後、搬送制御部6は、搬送装置3からの状態信号S2の送信を待つ状態となる(ステップ#23)。
【0064】
搬送制御部6は、搬送装置3から状態信号S2を受信すると(ステップ#23:Yes)、当該状態信号S2の種類を特定する(ステップ#24)。
【0065】
状態信号S2が保管用搬送完了信号である場合、搬送制御部6は、当該状態信号S2を信号取得部7に送信する(ステップ#25)。そして、信号取得部7は、搬送制御部6が送信した状態信号S2を取得して出力制御部8に送信する(ステップ#26)。
【0066】
状態信号S2が異常停止信号である場合、搬送制御部6は、搬送装置3が異常停止したことを知らせる通知(音声、警告灯の点灯等)を出力する(ステップ#27)。そして、搬送制御部6は、作業者による、初期化制御の実施の許可を待つ状態となる(ステップ#28)。作業者が、搬送中の対象参拝対象物Atを対象保管部1tに戻す作業を行った後に、初期化制御の実施を許可すると(ステップ#28:Yes)、搬送制御部6が初期化制御を実施する(ステップ#29)。そして、保管設備100における制御が終了する。
【0067】
状態信号S2が参拝用搬送完了信号である場合、つまり、搬送装置3が対象参拝対象物Atを対象保管部1tに搬送したのにも関わらず、搬送装置3が対象参拝対象物Atを対象参拝部2tに搬送したことを示す信号を搬送制御部6が受信した場合、搬送制御部6は、受信した状態信号S2が異常であることを知らせる通知(音声、警告灯の点灯等)を出力する(ステップ#30)。そして、保管設備100における制御が終了する。
【0068】
一方、出力制御部8は、ステップ#26において信号取得部7が送信した状態信号S2を受信すると(ステップ#20:Yes)、出力制御部8は、対象参拝部2tの参拝窓部W1aの状態を、光を透過しない不透明状態に切り換える(ステップ#31)。また、対象出力装置5tは、参拝情報I2の出力を終了する(ステップ#32)。そして、保管設備100における制御が終了する。
【0069】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、状態信号S2が、対象参拝対象物Atが対象参拝部2tに搬送されたことを示す参拝用搬送完了信号と、対象参拝対象物Atが対象保管部1tに搬送されたことを示す保管用搬送完了信号と、搬送装置3が異常停止したことを示す異常停止信号と、を含む構成を例として説明した。しかし、例えば、状態信号S2が、それらの信号に加えて、対象参拝対象物Atが対象保管部1tから搬出されたことを示す参拝用搬送開始信号と、対象参拝対象物Atが対象参拝部2tから搬出されたことを示す保管用搬送開始信号と、を含む構成としても良い。これにより、搬送装置3の状態を更に詳細に把握することができる。なお、この構成において、出力制御部8が状態信号S2として参拝用搬送開始信号を信号取得部7から受信した場合に、ステップ#17から#19を行う構成としても良い。また、出力制御部8が状態信号S2として保管用搬送開始信号を信号取得部7から受信した場合に、ステップ#31及び#32を行う構成としても良い。
【0070】
(2)上記の実施形態では、搬送制御部6は、状態信号S2としての異常停止信号を受信した場合に、初期化制御を実施する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、搬送装置の状態に関わらず、作業者が搬送制御部6に対して規定の操作を場合に、搬送制御部6が初期化制御を実施する構成であっても良い。
【0071】
(3)上記の実施形態では、参拝終了検知部21が、参拝室R1内の参拝者Vを検知する人感センサである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、参拝終了検知部21は、参拝者Vが参拝を終了した後に押下できるように構成されたボタンであっても良い。この場合、出力装置5をタッチパネル式のディスプレイを備えた構成として、当該ディスプレイにボタンを表示しても良い。
【0072】
(4)上記の実施形態では、出力装置5が、画像及び映像を表示するディスプレイである表示装置51を備えたパーソナルコンピュータである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、表示装置51が画像や映像を壁面やスクリーンに投影するプロジェクタであっても良い。また、出力装置5が、保管設備100専用に製造された装置であっても良い。
【0073】
(5)上記の実施形態では、出力制御部8及び記憶部9が、パーソナルコンピュータの一部である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、記憶部9がオンラインストレージであっても良い。また、出力制御部8及び記憶部9が、保管設備100専用に製造された装置であっても良い。
【0074】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0075】
〔上記実施形態の概要〕
以下では、上記において説明した参拝対象物の保管設備の概要について説明する。
【0076】
参拝対象物の保管設備は、
それぞれ参拝対象物を保管する複数の保管部と、
それぞれ参拝者による参拝が行われる複数の参拝部と、
複数の前記保管部の1つと複数の前記参拝部の1つとの間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
複数の前記参拝部のそれぞれに対応して設けられ、1つの前記参拝対象物の識別情報が記憶された記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置と、
複数の前記参拝部のそれぞれに対応して設けられ、前記参拝対象物に関連する参拝情報を出力する出力装置と、
複数の前記参拝対象物のそれぞれの現在位置を示す対象物位置情報を保持しつつ、前記搬送装置を制御するための制御信号を前記搬送装置に送信すると共に、前記搬送装置の状態を示す状態信号を前記搬送装置から受信する搬送制御部と、
前記搬送制御部が受信した前記状態信号を取得する信号取得部と、を備え、
複数の前記保管部のそれぞれに、保管対象として1つの前記参拝対象物が関連付けられており、
複数の前記読取装置のそれぞれは、当該読取装置に対応する前記参拝部に対応して設けられた前記出力装置と前記搬送制御部とのそれぞれに対して、読み取った前記識別情報を送信するように構成され、
前記識別情報を読み取った前記読取装置に対応する前記参拝部を対象参拝部とし、当該対象参拝部に対応する前記出力装置を対象出力装置とし、読み取られた前記識別情報が示す前記参拝対象物を対象参拝対象物とし、当該対象参拝対象物に関連付けられた前記保管部を対象保管部として、
前記読取装置により前記識別情報が読み取られた場合に、前記対象出力装置は、前記信号取得部によって取得された前記状態信号が示す前記搬送装置の状態に応じて、前記対象参拝対象物に関連する前記参拝情報を出力し、
前記搬送制御部は、
前記対象保管部から前記対象参拝部へ前記対象参拝対象物を搬送するように前記搬送装置を動作させる第1搬送制御と、
前記対象参拝部から前記対象保管部へ前記対象参拝対象物を搬送するように前記搬送装置を動作させる第2搬送制御と、
前記搬送装置の状態に関わらず、前記搬送装置の制御を中止して前記搬送装置を規定の初期状態とすると共に、前記搬送装置により搬送中の前記対象参拝対象物についての前記対象物位置情報を、前記対象保管部の位置を示す情報とする初期化制御と、を実施可能に構成されている。
【0077】
この構成によれば、識別情報を読み取った読取装置は、当該読取装置に対応する参拝部に対応して設けられた出力装置と搬送制御部とのそれぞれに対して当該識別情報を送信する。そして、出力装置が、当該出力装置に送信された識別情報に基づいて、対応する参拝情報を出力すると共に、搬送制御部が、当該搬送制御部に送信された識別情報に基づいて、搬送装置を制御する。つまり、出力装置及び搬送制御部のそれぞれが、自身に送信された識別情報に基づいて動作する。そのため、出力装置が出力する参拝情報と、搬送制御部が保持する対象物位置情報とを、出力装置及び搬送制御部のそれぞれが個別に管理する構成とすることができる。したがって、参拝情報と対象物位置情報とを一元管理する制御装置を設ける必要がないため、保管設備のコストを小さく抑えることができる。
また、本構成によれば、複数の保管部のそれぞれに、保管対象として1つの参拝対象物が関連付けられている。つまり、固定ロケーションにより運用を行う構成となっている。更に、搬送制御部は、搬送装置の状態に関わらず、搬送装置の制御を中止して搬送装置を規定の初期状態とすると共に、搬送装置により搬送中の対象参拝対象物についての対象物位置情報を、対象保管部の位置を示す情報とする初期化制御を実施可能に構成されている。これにより、例えば、搬送装置が異常停止した場合には、設備の管理者等の作業者が、搬送中の対象参拝対象物を対象保管部に戻した上で、搬送制御部に初期化制御を実施させるだけで、容易に保管設備を初期状態にすることができるため、作業者の専門知識の有無によらず、容易に復旧作業を行うことができる。
なお、一般的な倉庫設備では、固定ロケーションは、保管スペースを効率的に活用できない点で不利になることがある。しかしながら、参拝対象物の保管設備においては、参拝対象物は、参拝者が参拝を行う際に保管部から参拝部に搬送され、参拝が終了すれば参拝部から保管部に搬送されるため、通常の運用で参拝対象物が外部に搬出されることはなく、参拝対象物の入れ替えもほとんどない。そのため、参拝対象物の保管設備では、固定ロケーションであっても、保管スペースを効率的に活用することができるため、運用上悪影響は生じない。
【0078】
ここで、前記状態信号は、前記対象参拝対象物が前記対象参拝部に搬送されたことを示す信号と、前記対象参拝対象物が前記対象保管部に搬送されたことを示す信号と、前記搬送装置が異常停止したことを示す信号と、を含むと好適である。
【0079】
この構成によれば、搬送制御部が、状態信号に基づいて、対象参拝対象物の対象物位置情報を適切に更新することができると共に、搬送装置が異常停止したことを適切に把握することができる。
【0080】
また、複数の前記読取装置のそれぞれは、当該読取装置に対応する前記参拝部に対応して設けられた前記出力装置と通信を行うための第1アドレスが設定された第1通信部と、前記搬送制御部と通信を行うための第2アドレスが設定された第2通信部と、を備えていると好適である。
【0081】
この構成によれば、識別情報を読み取った読取装置が、対象出力装置と搬送制御部とのそれぞれに、適切に識別情報を送信することができる。
【0082】
また、複数の前記出力装置を制御する出力制御部と、複数の前記参拝対象物についての前記参拝情報を、それぞれの前記参拝対象物の前記識別情報に関連付けて記憶する記憶部と、を更に備え、
前記対象出力装置は、当該対象出力装置に送信された前記識別情報を前記出力制御部に送信し、
前記出力制御部は、前記対象出力装置から送信された前記識別情報に関連付けられた前記参拝情報を前記記憶部から取得し、前記対象出力装置に送信すると好適である。
【0083】
この構成によれば、複数の出力装置のそれぞれが参拝情報を個別に管理することなく、出力制御部が記憶部において参拝情報を一括管理する。これにより、例えば、新たな参拝情報を追加する場合には、当該参拝情報を記憶部に記憶させるだけで良い。また、不要な参拝情報を削除する場合には、当該参拝情報を記憶部から消去させるだけで良い。このように、本構成によれば、出力装置ごとに参拝情報を処理することなく、記憶部に対して参拝情報の処理を行うだけで良いため、参拝情報を容易に管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示に係る技術は、それぞれ参拝対象物を保管する複数の保管部と、それぞれ参拝者による参拝が行われる複数の参拝部と、保管部と参拝部との間で参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた、参拝対象物の保管設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
100 :保管設備
1 :保管部
1t :対象保管部
2 :参拝部
2t :対象参拝部
3 :搬送装置
4 :読取装置
5 :出力装置
5t :対象出力装置
6 :搬送制御部
7 :信号取得部
A :参拝対象物
At :対象参拝対象物
V :参拝者
M :記憶媒体
I1 :識別情報
I2 :参拝情報
I3 :対象物位置情報
S1 :制御信号
S2 :状態信号