(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】物品収納棚
(51)【国際特許分類】
B65G 1/06 20060101AFI20230208BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B65G1/06 M
B65G1/14 B
(21)【出願番号】P 2020013923
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 豊
(72)【発明者】
【氏名】東村 真吾
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196371(JP,A)
【文献】特開2009-132511(JP,A)
【文献】特開2019-189409(JP,A)
【文献】特開2006-206241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00- 1/133
B65G 1/14- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置される載置面を有し、前記載置面上を奥行方向に沿って摺動して出し入れされる前記物品を前記奥行方向に複数並べて収納する収納部と、
前記載置面から上方に突出して形成され、前記収納部に収納された前記物品が当該収納部の中で移動することを規制する規制突部と、を備え、
前記奥行方向における手前側を奥行方向手前側とし、前記奥行方向における奥側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、
第1の前記物品である第1物品が載置される前記載置面の領域である第1載置領域と、
前記第1載置領域に対して前記奥行方向奥側に離間して設定され、第2の前記物品である第2物品が載置される前記載置面の領域である第2載置領域と、
前記第1載置領域と前記第2載置領域との間に設定され、前記規制突部が配置された前記載置面の領域である規制領域と、を備え、
前記規制突部は、
前記奥行方向に沿って摺動する前記物品の摺動軌跡と重複する物品摺動領域内であって、前記規制領域における前記第1載置領域との境界部分である第1境界部分に形成された第1突部と、
前記物品摺動領域内であって、前記規制領域における前記第2載置領域との境界部分である第2境界部分に形成された第2突部と、を備え、
前記第1突部は、前記奥行方向手前から前記奥行方向奥側に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第1傾斜面を有し、
前記第2突部は、前記奥行方向奥側から前記奥行方向手前側に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第2傾斜面を有する、物品収納棚。
【請求項2】
前記規制突部は、前記載置面から上方に突出すると共に前記奥行方向に沿って前記第1突部と前記第2突部とを接続するように形成された中間突部を更に備え、前記奥行方向に沿って連続するように形成されている、請求項1に記載の物品収納棚。
【請求項3】
前記規制突部は、前記奥行方向に沿って延在する筋状に形成されている、請求項1又は2に記載の物品収納棚。
【請求項4】
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面の前記奥行方向の全域での平均の傾斜角度が、前記載置面に対して15°~60°の範囲内となっている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収納棚。
【請求項5】
前記奥行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、
前記規制突部が、前記物品摺動領域内において前記幅方向に並んで複数形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品収納棚。
【請求項6】
前記収納部は、複数個所で屈曲された板状部材であって一面に前記載置面が形成された棚板部材を備え、
前記規制突部は、前記棚板部材と一体的に形成され、
前記規制突部の前記載置面から上方への突出高さは、前記棚板部材における板厚の0.5~3倍の高さである、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品収納棚。
【請求項7】
前記収納部は、前記物品を搬送する搬送装置に隣接して設置され、
前記規制突部の前記載置面から上方への突出高さは、前記搬送装置から伝わる前記載置面の振動による前記物品の移動を規制すると共に、前記物品の前記奥行方向の摺動を妨げない高さに設定されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品収納棚。
【請求項8】
前記収納部は、前記物品を搬送する搬送装置に隣接して設置され、
前記搬送装置は、前記物品における前記奥行方向手前側を向く前面部又は前記奥行方向奥側を向く後面部に係止される係止部を有する移載機構を備え、
前記移載機構は、前記係止部を前記前面部または前記後面部に係止させた状態で、前記物品を前記奥行方向に移動させて、前記物品を前記収納部に対して出し入れするように構成され、
前記第1物品の底部が前記第1突部に接し、かつ、前記第2物品の底部が前記第2突部に接した状態で、前記奥行方向に対向する前記第1物品の前記後面部と前記第2物品の前記前面部との前記奥行方向における間隔を最小物品間隔として、
前記最小物品間隔が前記係止部の前記奥行方向の寸法より大きくなるように、前記規制突部における前記第1突部と前記第2突部との前記奥行方向の距離が設定されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2019-189409号公報(特許文献1)には、物品収納棚と物品搬送装置とを備え、物品の入出庫を自動的に行う自動倉庫が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、物品収納棚(1)は、物品(C)が収納される収納部(13S)を備えている。収納部(13S)には、物品搬送装置(7)によって物品(C)が奥行方向(L)に出し入れされる。物品搬送装置(7)は、物品(C)の出し入れに際して、収納部(13S)における物品載置面(13F)の上で物品(C)を摺動させる。収納部(13S)には、物品載置面(13F)から上方に突出するストッパ(13a)が設けられている。特許文献1に開示された技術では、例えば物品搬送装置(7)の稼働によって物品収納棚(1)が振動した場合などに、上記のストッパ(13a)によって、収納部(13S)に収納された物品(C)が規定位置から奥側(L2)にずれることを規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような技術分野において、複数の物品を収納部の奥行方向に並べて収納可能な物品収納棚が既に知られている。このような物品収納棚においても、奥行方向に並んで収納される複数の物品それぞれについて、奥行方向の位置ずれを規制できることが好ましい。これを実現するために、例えば、奥行方向に並べて収納部に収納された複数の物品同士の奥行方向の間に、特許文献1に開示されているような上記ストッパ(ストッパ13a)を設けることが考えられる。これにより、複数の物品それぞれの奥行方向の位置ずれを規制することができる。しかしながらこの場合、収納部の載置面を摺動させるようにして物品を出し入れする態様では、上記ストッパにより物品の奥行方向の移動が規制されるため、特に、収納部における奥行方向奥側の位置に対する物品の出し入れが困難となる。
【0006】
上記実状に鑑みて、収納部に収納された物品の奥行方向の位置ずれを規制できると共に、収納部の載置面上を奥行方向に沿って摺動させて物品を出し入れすることができる物品収納棚の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品収納棚は、
物品が載置される載置面を有し、前記載置面上を奥行方向に沿って摺動して出し入れされる前記物品を前記奥行方向に複数並べて収納する収納部と、
前記載置面から上方に突出して形成され、前記収納部に収納された前記物品が当該収納部の中で移動することを規制する規制突部と、を備え、
前記奥行方向における手前側を奥行方向手前側とし、前記奥行方向における奥側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、
第1の前記物品である第1物品が載置される前記載置面の領域である第1載置領域と、
前記第1載置領域に対して前記奥行方向奥側に離間して設定され、第2の前記物品である第2物品が載置される前記載置面の領域である第2載置領域と、
前記第1載置領域と前記第2載置領域との間に設定され、前記規制突部が配置された前記載置面の領域である規制領域と、を備え、
前記規制突部は、
前記奥行方向に沿って摺動する前記物品の摺動軌跡と重複する物品摺動領域内であって、前記規制領域における前記第1載置領域との境界部分である第1境界部分に形成された第1突部と、
前記物品摺動領域内であって、前記規制領域における前記第2載置領域との境界部分である第2境界部分に形成された第2突部と、を備え、
前記第1突部は、前記奥行方向手前から前記奥行方向奥側に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第1傾斜面を有し、
前記第2突部は、前記奥行方向奥側から前記奥行方向手前側に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第2傾斜面を有する。
【0008】
本構成によれば、第1物品が載置される第1載置領域と第2物品が載置される第2載置領域との間に設定された規制領域に、載置面から上方に突出するように規制突部が形成されているため、載置面の振動等によって第1物品が奥行方向奥側に一定以上移動すること、及び、第2物品が奥行方向手前側に一定以上移動することを規制できる。従って、本構成によれば、収納部に収納された物品が、例えば物品収納棚の振動等によって奥行方向に位置ずれすることを規制することができる。また、規制突部は、規制領域における第1境界部分に形成された第1突部と、規制領域における第2境界部分に形成された第2突部と、を備えている。そのため、第1物品が第1載置領域の境界を越えて規制領域の側へ移動すること、及び、第2物品が第2載置領域の境界を越えて規制領域の側へ移動することを規制できる。そのため、収納部に収納された物品の奥行方向の位置を適切な範囲内に留めておくことが可能となる。更に、本構成によれば、第1突部が第1傾斜面を有し、第2突部が第2傾斜面を有するため、収納部に対して物品を奥行方向に出し入れする場合には、奥行方向奥側に移動する物品が第1傾斜面によって第1突部を乗り上げ易く、また、奥行方向手前側に移動する物品が第2傾斜面によって第2突部を乗り上げ易くなっている。そのため、物品の出し入れのために第1載置領域と第2載置領域との間で物品を移動させることが容易に行えるようになっている。従って、本構成によれば、収納部に収納された物品の奥行方向の位置ずれを規制できると共に、収納部の載置面上を奥行方向に沿って摺動させて物品を出し入れすることができる物品収納棚が実現される。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図9】物品接近状態において、規制突部の周辺の構造を示す幅方向視拡大図
【
図10】第1載置領域から第2載置領域に物品を移動させる場合の説明図
【
図11】第2載置領域から第1載置領域に物品を移動させる場合の説明図
【
図12】その他の実施形態に係る規制突部を示す平面視図
【
図13】その他の実施形態に係る規制突部を示す平面視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品収納棚の実施形態について図面を参照して説明する。以下では、物品収納棚が、物品の入出庫を自動的に行う自動倉庫に適用される場合を例に説明する。
【0012】
〔自動倉庫の概略構成〕
図1に示す自動倉庫100は、物品90を搬送する搬送装置2と、当該搬送装置2を挟んで対向する一対の物品収納棚1と、を備えている。搬送装置2は、物品収納棚1の延在方向に沿って物品90を搬送すると共に、物品収納棚1の収納部13に対して物品90を出し入れするように構成されている。
【0013】
以下では、物品収納棚1の前面(物品90を出し入れする開口が設けられた面)の延在方向、換言すれば、搬送装置2による物品90の搬送方向を幅方向Yとする。そして、搬送装置2が収納部13に対して物品90を出し入れする方向、換言すれば、収納部13に対する物品90の移載方向を奥行方向Xとする。本実施形態では、奥行方向Xに対して平面視で直交する方向が幅方向Yとなっている。また、一対の物品収納棚1のそれぞれに関して、奥行方向Xにおける手前側を奥行方向手前側X1とし、奥行方向Xにおける奥側を奥行方向奥側X2とする。説明を加えると、奥行方向手前側X1は、物品収納棚1に対して奥行方向Xにおいて搬送装置2が配置される側であり、奥行方向奥側X2は、その反対側である。なお、一対の物品収納棚1は互いに同じ構造であり、以下において物品収納棚1に関して説明する場合には、特に言及しない限り、一対の物品収納棚1の一方を対象としている。
【0014】
本実施形態では、物品収納棚1は、物品90が収納される収納部13と、奥行方向X及び幅方向Yにおいて互いに所定間隔をあけて配置される複数の支柱11と、幅方向Yにおいて隣り合う一対の支柱11の間に設けられる梁12と、を備えている。
【0015】
本実施形態では、収納部13は、一面に物品90が載置される載置面13Fが形成された棚板部材130を備えている。この棚板部材130は、複数個所で屈曲された板状部材である。そして、棚板部材130の上面に載置面13Fが形成されている。本実施形態では、1つの収納部13は、幅方向Yに並ぶ複数の棚板部材130により構成されている。本例では、幅方向Yに並ぶ4つの棚板部材130によって、1つの収納部13が構成されている(
図2及び
図3等参照)。
【0016】
本実施形態では、幅方向Yにおいて隣り合う一対の支柱11の間に、複数の収納部13が幅方向Yに並んで配置されている。1つの収納部13は、奥行方向Xに複数の物品90を並べて収納可能に構成されている。図示の例では、1つの収納部13は、2つの物品90を奥行方向Xに並べて収納可能に構成されている。すなわち、各収納部13は、2つの物品90の奥行方向Xの長さの合計よりも大きい奥行方向Xの長さを有すると共に、1つの物品90の幅方向Yの長さよりも大きい幅方向Yの長さを有する載置面13Fを備えている。また本実施形態では、幅方向Yに並ぶ複数の収納部13の組が、上下方向Zに沿う複数段に亘って設けられている。更に本実施形態では、搬送装置2は、複数段の収納部13のそれぞれに対応して、複数段に設けられている。
【0017】
図1に示すように、自動倉庫100には、上下方向Zに沿って昇降して、複数段の収納部13のそれぞれに対応する高さに物品90を搬送可能なリフタ4が設けられている。例えばリフタ4は、上下方向Zに沿って延びるマストと、モータにより駆動されて当該マストに沿って昇降する物品載置台と、を備えている。
【0018】
幅方向Yにおけるリフタ4と物品収納棚1との間には、両者の間で物品90を搬送する中継コンベヤ3が設けられている。中継コンベヤ3は、複数段の収納部13のそれぞれに対応して複数段に設けられており、物品90を載置した状態で当該物品90を幅方向Yに沿って搬送する。例えば中継コンベヤ3は、ローラコンベヤやベルトコンベヤなどにより構成される。図示の例では、幅方向Yに並んで配置される物品収納棚1と中継コンベヤ3とリフタ4との組が、奥行方向Xで搬送装置2を挟んで一対設けられている。但し、このような構成に限定されることなく、物品収納棚1と中継コンベヤ3とリフタ4との組は、搬送装置2の搬送経路に対して奥行方向Xの一方側にだけ設けられていても良い。
【0019】
図1に示す自動倉庫100では、リフタ4、中継コンベヤ3、及び搬送装置2によって、物品90の入出庫が行われる。但し、リフタ4や中継コンベヤ3などの搬送装置については自動倉庫100に必須の構成ではなく、また反対に、リフタ4や中継コンベヤ3に加えて他の搬送装置(或いは人)によって物品90の入出庫が行われても良い。
【0020】
〔搬送装置の構成〕
搬送装置2は、幅方向Yに沿って物品90を搬送する。本実施形態では、搬送装置2は、幅方向Yに沿って配置された走行レール2Rと、走行レール2Rに支持されて当該走行レール2Rに沿って走行する走行台車20と、を備えている。走行レール2Rは、幅方向Yに沿って並ぶ複数の収納部13に対して奥行方向手前側X1に設けられている。本実施形態では、走行レール2Rは、物品収納棚1における奥行方向手前側X1の梁12と一体的に設けられている。走行台車20が、物品90を保持した状態で走行レール2Rを走行することにより、搬送装置2は物品90を幅方向Yに沿って搬送するように構成されている。
【0021】
また、搬送装置2は、物品90を奥行方向Xに沿って移動させることで収納部13に対して物品90を出し入れするように構成されている。より具体的には、搬送装置2は、収納部13における載置面13F上において物品90を奥行方向Xに沿って摺動させることで、当該物品90を収納部13に対して出し入れするように構成されている(
図2及び
図3参照)。
【0022】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、搬送装置2は、物品90における奥行方向手前側X1を向く前面部901又は奥行方向奥側X2を向く後面部902に係止される係止部212を有する移載機構21を備えている。移載機構21は、係止部212を物品90の前面部901または後面部902に係止させた状態で、物品90を奥行方向Xに移動させて、物品90を収納部13に対して出し入れするように構成されている。
【0023】
本実施形態では、移載機構21は、奥行方向Xに沿って出退自在に構成された移載アーム211を備えている。ここでは、移載機構21は、幅方向Yに間隔を空けて配置された一対の移載アーム211を備えている。一対の移載アーム211は、移載対象となる物品90に対して幅方向Yの両側を通って出退するように構成されている。すなわち、一対の移載アーム211のうち一方は、物品90における一方の側面部903に対して幅方向Yの外側を通って出退し、一対の移載アーム211のうち他方は、当該物品90における他方の側面部903に対して幅方向Yの外側を通って出退するようになっている。移載アーム211は、不図示の出退用モータによって奥行方向Xに沿って出退するように駆動される。
【0024】
移載アーム211には、上述の係止部212が設けられている。係止部212は、物品90の前面部901又は後面部902に係止されることが可能な形状(例えば棒状や板状)に形成されている。本例では、係止部212は、移載アーム211に対して幅方向Yにおける物品90の側に突出した突出状態と、移載アーム211に対して幅方向Yにおける物品90の側に突出しない非突出状態と、に状態変更可能に構成されている。そして、係止部212の突出状態では、移載アーム211と係止部212とが全体としてフック状になる。ここでは、一対の移載アーム211のそれぞれに、一対の係止部212が奥行方向Xに離間して設けられている。これら一対の係止部212は、物品90の奥行方向Xの長さ以上の間隔で、互いに奥行方向Xに離間して配置されている。係止部212のそれぞれは、奥行方向Xに沿う軸心まわりに旋回自在となるように移載アーム211に支持されており、突出状態では奥行方向X視で移載対象の物品90と重複する位置に配置され、非突出状態では奥行方向X視で移載対象の物品90と重複しない位置に配置される。係止部212は、例えば、不図示の旋回用モータによって駆動される。
【0025】
移載機構21は、係止部212を有する移載アーム211によって、収納部13に対して物品90を出し入れする移載動作を行う。移載動作には、収納部13から物品90を受け取る受取動作と、収納部13へ物品90を引き渡す引渡動作と、が含まれる。
【0026】
図2は、移載機構21による物品90の受取動作を示している。
図2に示すように、本実施形態では、移載機構21は、収納部13に収納された物品90の後面部902に係止部212を係止させた状態で、移載アーム211を引退させて係止部212を奥行方向手前側X1に移動させることで物品90を奥行方向手前側X1に移動させ、収納部13から物品90を受け取る受取動作を行う。
図2は、収納部13における奥行方向奥側X2の領域(後述する第2載置領域A2)に収納された物品90を受け取る場合の、移載機構21の受取動作を例示している。本例では、移載機構21は、各移載アーム211に設けられた一対の係止部212のうち、移載対象となる収納部13の側に配置された係止部212(受取用係止部)によって受取動作を行う。なお、図示は省略するが、移載機構21は、収納部13における奥行方向手前側X1の領域(後述する第1載置領域A1)に収納された物品90を受け取る場合にも、移載アーム211の出退量が異なる以外は同様の動作を行う。
【0027】
図3は、移載機構21による物品90の引渡動作を示している。
図3に示すように、本実施形態では、移載機構21は、走行台車20上に支持された物品90の前面部901に係止部212を係止させた状態で、移載アーム211を突出させて係止部212を奥行方向奥側X2に移動させることで物品90を奥行方向奥側X2に移動させ、収納部13に物品90を引き渡す引渡動作を行う。
図3は、収納部13における奥行方向奥側X2の領域(第2載置領域A2)に物品90を引き渡す場合の、移載機構21の引渡動作を例示している。本例では、移載機構21は、各移載アーム211に設けられた一対の係止部212のうち、移載対象となる収納部13の側とは反対側に配置された係止部212(引渡用係止部)によって引渡動作を行う。図示は省略するが、移載機構21は、収納部13における奥行方向手前側X1の領域(第1載置領域A1)に物品90を引き渡す場合にも、移載アーム211の出退量が異なる以外は同様の動作を行う。
【0028】
〔物品〕
ここで、搬送装置2による搬送対象(移載機構21による移載対象)であると共に、収納部13による収納対象である物品90について説明する。なお、以下における物品90の説明において、いずれかの「方向」或いはいずれかの「側」を定義する場合には、物品90が収納部13に収納された状態を基準とする。
【0029】
本実施形態では、物品90は、商品等を収容する容器である。より具体的には、物品90は、樹脂製の容器(例えば、コンテナ又は折り畳み自在ないわゆる折り畳みコンテナ等)とされる。
【0030】
図4~
図6に示すように、物品90は、本体部900と、本体部900から下方に突出するように形成された底部904と、を備えている。本実施形態では、本体部900は、商品等が収容される部分であり、箱状に形成されている。そして、本体部900は、物品90が収納部13に収納された状態において、奥行方向手前側X1を向く前面に形成された前面部901と、奥行方向奥側X2を向く後面に形成された後面部902と、幅方向Yを向く両側面のそれぞれに形成された側面部903と、を備えている。一対の側面部903は、互いに幅方向Yにおける反対側を向いている。なお、前面部901と後面部902とは、互いに同じ構造であり、物品90の収納状態によっては何れもが前面部901或いは後面部902となり得る。
【0031】
底部904は、物品90が収納部13に収納された状態で、収納部13における載置面13Fに載置される部分である。上述のように、底部904は、本体部900から下方に突出するように形成されている。本実施形態では、平面視において、底部904は本体部900よりも小さい。より具体的には、平面視において、底部904の外縁は、本体部900の外縁よりも物品90の重心側に配置されている。すなわち本例では、底部904の前端部は、前面部901よりも奥行方向奥側X2に配置されている。底部904の後端部は、後面部902よりも奥行方向手前側X1に配置されている。底部904の幅方向Yの両端部のそれぞれは、一対の側面部903のうち幅方向Yにおける同じ側に配置された側面部903よりも、幅方向Yにおける中央側に配置されている。
【0032】
物品90がこのような構成であることにより、本体部900は、底部904に対して、奥行方向Xおよび幅方向Yの双方において突出している。そのため、本体部900は、平面視において底部904と重複しない外縁部分に、下方を向く本体部下面900fを備えている。物品90が収納部13に収納された状態で、本体部下面900fと載置面13Fとは、上下方向Zにおいて互いに対向している。
【0033】
〔物品収納棚の構成〕
図4~
図6に示すように、物品収納棚1は、物品90が載置される載置面13Fを有し、載置面13F上を奥行方向Xに沿って摺動して出し入れされる物品90を奥行方向Xに複数並べて収納する収納部13を備えている。本例では、収納部13は、幅方向Yに並ぶ複数の棚板部材130を備えている。収納部13の載置面13Fは、当該収納部13が備える複数の棚板部材130それぞれの上面により構成されている。また、本例では、1つの収納部13は、2つの物品90を奥行方向Xに並べて収納可能に構成されている。但し、これに限らず、1つの収納部13が、3つ以上の物品90を奥行方向Xに並べて収納するように構成されていても良い。
【0034】
ここで、収納部13に収納された物品90は、物品収納棚1の振動等によって収納部13内において位置ずれする場合がある。特に、本実施形態では、収納部13は、物品90を搬送する搬送装置2に隣接して設置されている。より詳細には、搬送装置2の走行台車20が走行するための走行レール2Rが、物品収納棚1を構成する梁12と一体的に設けられている(
図1参照)。このため、搬送装置2の稼働によって物品収納棚1が振動する場合がある。このように物品収納棚1が振動した場合には、収納部13に収納された物品90が、上記振動に起因して、載置面13F上を摺動して位置ずれすることがある。物品90の位置ずれは、搬送装置2の移載機構21による適切な物品90の移載(例えば受取動作)の妨げとなり得る。
【0035】
そこで、本開示に係る物品収納棚1は、載置面13Fから上方に突出して形成され、収納部13に収納された物品90が当該収納部13の中で移動することを規制する規制突部15を備えている。規制突部15が、物品90が載置される載置面13Fから上方に突出しているため、収納部13に収納された物品90が適正位置から移動しようとした場合に、規制突部15が物品90に接触して当該物品90の移動を規制する。これにより、収納部13に収納された物品90が、物品収納棚1の振動に起因して適正位置から位置ずれすることを規制できる。
【0036】
本実施形態では、規制突部15は、棚板部材130と一体的に形成されている。この構成によれば、例えばプレス成形等の方法によって規制突部15を容易に形成することができる。本実施形態では、平板状の板状部材の複数個所を屈曲して棚板部材130を形成する加工と同時又はその前後の工程において、規定箇所にプレス成形加工を施すことによって規制突部15を形成している。但し、これに限らず、規制突部15は、棚板部材130とは別部材により構成され、棚板部材130に取り付けられることで収納部13に配置されていても良い。
【0037】
図5及び
図6に示すように、収納部13は、第1の物品90である第1物品91が載置される載置面13Fの領域である第1載置領域A1と、第1載置領域A1に対して奥行方向奥側X2に離間して設定され、第2の物品90である第2物品92が載置される載置面13Fの領域である第2載置領域A2と、第1載置領域A1と第2載置領域A2との間に設定され、規制突部15が配置された載置面13Fの領域である規制領域ARと、を備えている。
【0038】
以下では、第1載置領域A1に載置された状態の物品90、或いは、第1載置領域A1に載置される対象となる物品90を、第1物品91と定義する。また、第2載置領域A2に載置された状態の物品90、或いは、第2載置領域A2に載置される対象となる物品90を、第2物品92と定義する。すなわち、第1載置領域A1に対して移載中の物品90も、ここでは第1物品91とする。第2物品92についても同様である。また、第1物品91の本体部、前面部、後面部、側面部、底部を、本図において、910、911、912、913、914の符号で示す。同様に、第2物品92の本体部、前面部、後面部、側面部、底部を、本図において、920、921、922、923、924の符号で示す。なお、第1物品91と第2物品92とを特に区別しない場合には、単に物品90と称する。
【0039】
移載機構21によって物品90を移載する場合に、奥行方向Xに沿って摺動する物品90の摺動軌跡と重複する物品摺動領域とすると、
図5に示すように規制領域ARの一部又は全部が、平面視で物品摺動領域と重複するように設定されている。
【0040】
図5及び
図7に示すように、規制突部15は、物品摺動領域内であって、規制領域ARにおける第1載置領域A1との境界部分である第1境界部分B1に形成された第1突部151と、物品摺動領域内であって、規制領域ARにおける第2載置領域A2との境界部分である第2境界部分B2に形成された第2突部152と、を備えている。これにより、第1物品91が第1載置領域A1の境界を越えて規制領域ARの側へ移動すること、及び、第2物品92が第2載置領域A2の境界を越えて規制領域ARの側へ移動することを規制できる。そのため、収納部13に収納された物品90の奥行方向Xの位置を適切な範囲内に留めておくことが可能となっている。
【0041】
図5に示すように、本実施形態では、物品収納棚1は、更に、収納部13における幅方向Yの両端部に配置されて、収納部13に収納された物品90の幅方向Yの位置を規制する幅方向規制部14yと、収納部13における奥行方向奥側X2の端部に配置されて、収納部13に収納された物品90が収納部13を越えて奥行方向奥側X2に移動しないように当該物品90の奥行方向Xの位置を規制する奥行方向規制部14xと、を備えている。これにより、収納部13に収納された物品90の幅方向Yの位置ずれ、及び、収納部13に収納された物品90(ここでは奥行方向奥側X2に収納される第2物品92)の奥行方向奥側X2への位置ずれを規制できるようになっている。
【0042】
本実施形態では、収納部13に物品90が収納された状態で、幅方向規制部14yは、当該物品90に対して幅方向Yの両側に配置されている。本例では、幅方向規制部14yは、第1載置領域A1に対して幅方向Yの両側に配置されている。図示の例では、第1載置領域A1に対する幅方向Yの両側のそれぞれにおいて、奥行方向Xに離間して一対の幅方向規制部14yが配置されている。すなわち、1つの第1載置領域A1に対して4つの幅方向規制部14yが配置されている。これにより、第1物品91が載置面13Fに直交する軸周りに回転することを規制できるため、第1物品91の姿勢を適正な姿勢に規制し易くなる。換言すれば、第1物品91の側面部913が奥行方向Xに沿い、且つ、第1物品91の前面部911及び後面部912が幅方向Yに沿うように、第1物品91の姿勢を規制することができる。従って、第1物品91を適切な姿勢で移載し易い構成が実現される。本例では、このような規制機能を高めるために、幅方向規制部14yのそれぞれは、第1載置領域A1の外側であって、当該第1載置領域A1の幅方向Yの境界に隣接する位置に配置されている。また、幅方向規制部14yは、第2載置領域A2に対しても第1載置領域A1に関する場合と同じように配置されている。すなわち本例では、1つの第2載置領域A2に対して4つの幅方向規制部14yが配置されている。従って、第2物品92を適切な姿勢で移載し易い構成が実現される。
【0043】
本実施形態では、奥行方向規制部14xは、第2載置領域A2に載置された状態の第2物品92に対して奥行方向奥側X2に配置されている。本例では、奥行方向規制部14xは、第2載置領域A2に対して奥行方向奥側X2に配置されている。より詳しくは、奥行方向規制部14xは、第2載置領域A2の外側であって、当該第2載置領域A2の奥行方向奥側X2の境界に隣接する位置に配置されている。図示の例では、1つの奥行方向規制部14xが、第2載置領域A2に対して奥行方向奥側X2に配置されている。但し、これに限らず、奥行方向規制部14xは、第2載置領域A2の奥行方向奥側X2において、複数配置されていても良い。
【0044】
本実施形態では、幅方向規制部14yと奥行方向規制部14xとのそれぞれは、棚板部材130とは別部材により構成されており、棚板部材130に取り付けられることで収納部13に配置されている。但し、これに限らず、幅方向規制部14y及び奥行方向規制部14xのうち少なくとも一方は、棚板部材130と一体的に構成されていても良い。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る物品収納棚1によれば、例えば搬送装置2の稼働によって物品収納棚1が振動した場合であっても、収納部13に収納された物品90が適正範囲を越えて奥行方向X及び幅方向Yに移動することを規制できる。
【0046】
ここで、上述のように、搬送装置2は、収納部13における載置面13F上において物品90を奥行方向Xに沿って摺動させることで、当該物品90を収納部13に対して出し入れ(移載)するように構成されている。そして、規制突部15は、搬送装置2によって物品90が移載される場合に、奥行方向Xに沿って摺動する物品90の摺動軌跡と重複する物品摺動領域内に配置されている。そのため、規制突部15が、搬送装置2による物品90の奥行方向Xの移動までを規制するものであってはならない。すなわち、第1載置領域A1と第2載置領域A2との奥行方向Xの間に規制突部15が設けられている構成であっても、両領域A1,A2の間での物品90の奥行方向Xの移動が許容される必要がある。
【0047】
そこで、
図7及び
図8に示すように、規制突部15における第1突部151は、奥行方向手前側X1から奥行方向奥側X2に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第1傾斜面151Fを有し、規制突部15における第2突部152は、奥行方向奥側X2から奥行方向手前側X1に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第2傾斜面152Fを有している。この構成により、収納部13に対して物品90を奥行方向Xに出し入れする場合に、
図10に示すように、第1載置領域A1から奥行方向奥側X2に移動する物品90が第1傾斜面151Fによって第1突部151を乗り上げ易くなっている。また、
図11に示すように、第2載置領域A2から奥行方向手前側X1に移動する物品90が第2傾斜面152Fによって第2突部152を乗り上げ易くなっている。そのため、物品90の出し入れのために第1載置領域A1と第2載置領域A2との間で物品90を移動させることが容易に行えるようになっている。従って、本構成によれば、物品収納棚1が振動した場合には、収納部13に収納された物品90が適正位置を越えて奥行方向Xに移動することを規制でき、且つ、搬送装置2によって物品90が移載される場合には、第1載置領域A1と第2載置領域A2との間で物品90が奥行方向Xに移動することを許容できる。
【0048】
図8に示すように、本実施形態では、第1傾斜面151Fの上端である第1上端点151tが、第1傾斜面151Fの下端である第1下端点151uよりも奥行方向奥側X2に位置するように、第1傾斜面151Fが形成されている。また、第2傾斜面152Fの上端である第2上端点152tが、第2傾斜面152Fの下端である第2下端点152uよりも奥行方向手前側X1に位置するように、第2傾斜面152Fが形成されている。本例では、第1傾斜面151Fにおける第1下端点151uと、第2傾斜面152Fにおける第2下端点152uとが、同じ高さに配置されている。また、第1傾斜面151Fにおける第1上端点151tと、第2傾斜面152Fにおける第2上端点152tとが、同じ高さに配置されている。更に本例では、第1傾斜面151Fと第2傾斜面152Fとは、幅方向Y視において、互いに鏡対称となるような形状とされている。
【0049】
図7及び
図8に示すように、本実施形態では、規制突部15は、載置面13Fから上方に突出すると共に奥行方向Xに沿って第1突部151と第2突部152とを接続するように形成された中間突部150を更に備え、奥行方向Xに沿って連続するように形成されている。これにより、規制突部15が中間突部150を備えずに第1突部151と第2突部152とが分かれている場合に比べて、規制領域ARにおいて物品90を奥行方向Xに摺動させる場合に、当該物品90が規制突部15を乗り越えることで上下動する回数を少なくすることができる。また、規制突部15が上記のような構成であると、例えば物品90の底部904に格子状のリブが形成されている等、底部904が凹凸を有した形状であっても、当該物品90を規制領域ARにおいて奥行方向Xに摺動させる場合に当該物品90の上下動を抑制することができる。
【0050】
本実施形態では、中間突部150の上端部と、第1上端点151t及び第2上端点152tとは、同じ高さに配置されている。すなわち、規制突部15における第1上端点151tから第2上端点152tに亘る部分が、平坦状とされている。これにより、規制領域ARにおいて物品90を奥行方向Xに摺動させる場合に、規制突部15上において当該物品90を摺動させ易くなっている。
【0051】
本実施形態では、規制突部15の載置面13Fから上方への突出高さ(以下、規制突部高さ15Lzと称する。)は、棚板部材130を構成する板状部材における板厚130tの0.5~3倍の高さである。好ましくは、規制突部高さ15Lzは、板厚130tの2~2.5倍の高さであると良い。規制突部高さ15Lzをこのように設定することにより、特に、規制突部15が棚板部材130と一体的に形成されている場合において、収納部13に収納された物品90が意図せず奥行方向Xに位置ずれすることを規制可能であると共に、収納部13の載置面13F上を奥行方向Xに沿って摺動させて物品90を出し入れする場合における意図的な物品90の奥行方向Xの移動を許容可能な構成を、適切に実現することができる。
【0052】
本実施形態では、規制突部15は、奥行方向Xに沿って延在する筋状に形成されている。換言すれば、規制突部15の奥行方向Xの長さである規制突部長さ15Lxが、規制突部15における幅方向Yの長さである規制突部幅15Lyよりも長い。これにより、平面視での規制突部15の大きさが大きくなり過ぎることを抑制しつつ、規制領域ARにおいて物品90を奥行方向Xに摺動させる場合に、規制突部15上において当該物品90を円滑に移動させることができる構成が実現されている。例えば、規制突部幅15Lyは、規制突部長さ15Lxの1/10~1/30倍の長さとされると好適であり、より好ましくは、1/15~1/25倍の長さである良い。
【0053】
本実施形態では、第1傾斜面151Fおよび第2傾斜面152Fの奥行方向Xの全域での平均の傾斜角度θが、載置面13Fに対して15°~60°の範囲内となっている。好ましくは、この傾斜角度θは、載置面13Fに対して30°~50°の範囲内であると良い。このように構成することにより、物品90を奥行方向Xに摺動させて収納部13に出し入れする場合に、物品90が第1突部151及び第2突部152に乗り上げ易いようにすることができる。ここで、第1傾斜面151Fが湾曲面である場合には、傾斜角度θは、第1下端点151uから第1上端点151tまでの連続した各点における接線の角度を平均した角度となる。第2傾斜面152Fが湾曲面である場合についても同様である。なお、本実施形態では、
図8に示すように、第1傾斜面151F及び第2傾斜面152Fは、それぞれ、奥行方向Xに沿う断面において、上端付近及び下端付近が円弧状の湾曲面であり、その間が直線的に接続された形状となっている。
【0054】
図5に示すように、本実施形態では、上記のような規制突部15が、奥行方向Xに沿って摺動する物品90の摺動軌跡と重複する物品摺動領域内において幅方向Yに並んで複数形成されている。このような構成により、物品90を奥行方向Xに摺動させて収納部13に対して出し入れする場合に、複数の規制突部15に物品90が跨った状態で当該物品90を複数の規制突部15の上で移動させることができる。そのため、物品90を安定した姿勢で奥行方向Xに沿って移動させることができる。図示の例では、1つの収納部13につき、2つの規制突部15が幅方向Yに離間して設けられている。なお、図示は省略するが、1つの収納部13につき、3つ以上の規制突部15が幅方向Yに並んで配置されていても良い。
【0055】
また本実施形態では、複数の規制突部15が、互いに奥行方向Xにおける同じ位置に配置されている。より具体的には、複数の規制突部15のそれぞれにおける第1突部151の位置が、互いに奥行方向Xにおける同じ位置に配置されており、複数の規制突部15のそれぞれにおける第2突部152の位置が、互いに奥行方向Xにおける同じ位置に配置されている。これにより、例えば幅方向規制部14yが設けられていない場合であっても、幅方向Yに並ぶ複数の規制突部15が、収納部13に収納された物品90の複数個所に当接して移動を規制するため、物品90が、振動等によって、載置面13Fに直交する軸周りに回転することを規制できる。
【0056】
ここで、
図9は、第1載置領域A1に載置された第1物品91の底部914が第1突部151に接し、かつ、第2載置領域A2に載置された第2物品92の底部924が第2突部152に接した状態(以下、物品接近状態と称する。)を示している。この物品接近状態は、同じ収納部13に収納された第1物品91及び第2物品92が、互いに最も接近した位置関係にある状態である。物品接近状態では、第1物品91が第1傾斜面151Fにおける第1下端点151uに奥行方向手前側X1から接し、かつ、第2物品92が第2傾斜面152Fにおける第2下端点152uに奥行方向奥側X2から接している。
【0057】
図9に示すように、本実施形態では、上述の物品接近状態で、奥行方向Xに対向する第1物品91の後面部912と第2物品92の前面部921との奥行方向Xにおける間隔を最小物品間隔Lsとして、最小物品間隔Lsが移載機構21における係止部212の奥行方向Xの寸法(以下、係止部長さ212Lxと称する。)より大きくなるように、規制突部15における第1突部151と第2突部152との奥行方向Xの距離(規制突部長さ15Lx)が設定されている。ここで、規制突部長さ15Lxは、第1突部151における奥行方向手前側X1の端部から第2突部152における奥行方向奥側X2の端部までの奥行方向Xの距離である。本例では、規制突部長さ15Lxは、第1傾斜面151Fにおける第1下端点151uから第2傾斜面152Fにおける第2下端点152uまでの奥行方向Xの距離である。
【0058】
物品接近状態で第1物品91の受取動作が行われる場合には、移載機構21の係止部212が、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に配置されてから、第1物品91の後面部912に係止されることになる。上記構成によれば、最小物品間隔Lsが係止部長さ212Lxよりも大きくなるように、規制突部長さ15Lxが設定されている。そのため、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間隔が最小物品間隔Lsである状態においても、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に、係止部212を適切に配置することができる。
【0059】
ここで、移載機構21は、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に係止部212を配置する場合に、当該係止部212が設けられた移載アーム211を走行台車20から奥行方向奥側X2に突出させる(
図4~
図6参照)。この場合、移載機構21の構造上または制御上、移載アーム211の突出量に誤差が生じることがある。
【0060】
そこで、本実施形態では、上述の最小物品間隔Lsが、移載アーム211における突出量の最大誤差(移載アーム211の最大停止誤差)と係止部長さ212Lxとの合計の長さより大きくなるように、規制突部長さ15Lxが設定されている。これにより、移載アーム211の突出量が誤差を有する状態であっても、その状態において、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に係止部212を配置することができる。なお、「最大誤差」は、移載機構21の構造上または制御上、想定され得る誤差の最大値であり、実験等により定められ、或いは、動作の確実性を考慮して任意に定められる。
【0061】
〔その他の実施形態〕
次に、物品収納棚のその他の実施形態について説明する。
【0062】
(1)上記の実施形態では、規制突部15が、載置面13Fから上方に突出すると共に奥行方向Xに沿って第1突部151と第2突部152とを接続するように形成された中間突部150を備え、奥行方向Xに沿って連続するように形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、規制突部15は、上記のような中間突部150を備えず、例えば
図12に示すように、互いに奥行方向Xに分離するように第1突部151と第2突部152とを備えていても良い。図示の例では、第1突部151及び第2突部152が、それぞれ半球状或いは円錐台状に形成されている。なお、このような形状の他、規制突部15における第1突部151及び第2突部152以外の部分の形状は、適宜変更可能である。
【0063】
(2)上記の実施形態では、規制突部15が、奥行方向Xに沿って延在する筋状に形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、規制突部15は、例えば
図13に示すように、奥行方向X及び幅方向Yの双方に沿って延在する台状に形成されていても良い。図示の例では、規制突部15は、四角錐台状に形成されている。
【0064】
(3)上記の実施形態では、1つの収納部13につき、複数の規制突部15が幅方向Yに離間して設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、規制突部15は、1つの収納部13につき、1つのみ設けられていても良い。
【0065】
(4)上記の実施形態では、規制突部15の載置面13Fから上方への突出高さ(規制突部高さ15Lz)が、棚板部材130の板厚130tとの関係で設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、規制突部高さ15Lzは、棚板部材130の板厚130tとは無関係に設定されていても良い。
【0066】
(5)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0067】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品収納棚について説明する。
【0068】
物品収納棚は、
物品が載置される載置面を有し、前記載置面上を奥行方向に沿って摺動して出し入れされる前記物品を前記奥行方向に複数並べて収納する収納部と、
前記載置面から上方に突出して形成され、前記収納部に収納された前記物品が当該収納部の中で移動することを規制する規制突部と、を備え、
前記奥行方向における手前側を奥行方向手前側とし、前記奥行方向における奥側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、
第1の前記物品である第1物品が載置される前記載置面の領域である第1載置領域と、
前記第1載置領域に対して前記奥行方向奥側に離間して設定され、第2の前記物品である第2物品が載置される前記載置面の領域である第2載置領域と、
前記第1載置領域と前記第2載置領域との間に設定され、前記規制突部が配置された前記載置面の領域である規制領域と、を備え、
前記規制突部は、
前記奥行方向に沿って摺動する前記物品の摺動軌跡と重複する物品摺動領域内であって、前記規制領域における前記第1載置領域との境界部分である第1境界部分に形成された第1突部と、
前記物品摺動領域内であって、前記規制領域における前記第2載置領域との境界部分である第2境界部分に形成された第2突部と、を備え、
前記第1突部は、前記奥行方向手前から前記奥行方向奥側に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第1傾斜面を有し、
前記第2突部は、前記奥行方向奥側から前記奥行方向手前側に向かうに従って上方へ向かうように傾斜した第2傾斜面を有する。
【0069】
本構成によれば、第1物品が載置される第1載置領域と第2物品が載置される第2載置領域との間に設定された規制領域に、載置面から上方に突出するように規制突部が形成されているため、載置面の振動等によって第1物品が奥行方向奥側に一定以上移動すること、及び、第2物品が奥行方向手前側に一定以上移動することを規制できる。従って、本構成によれば、収納部に収納された物品が、例えば物品収納棚の振動等によって奥行方向に位置ずれすることを規制することができる。また、規制突部は、規制領域における第1境界部分に形成された第1突部と、規制領域における第2境界部分に形成された第2突部と、を備えている。そのため、第1物品が第1載置領域の境界を越えて規制領域の側へ移動すること、及び、第2物品が第2載置領域の境界を越えて規制領域の側へ移動することを規制できる。そのため、収納部に収納された物品の奥行方向の位置を適切な範囲内に留めておくことが可能となる。更に、本構成によれば、第1突部が第1傾斜面を有し、第2突部が第2傾斜面を有するため、収納部に対して物品を奥行方向に出し入れする場合には、奥行方向奥側に移動する物品が第1傾斜面によって第1突部を乗り上げ易く、また、奥行方向手前側に移動する物品が第2傾斜面によって第2突部を乗り上げ易くなっている。そのため、物品の出し入れのために第1載置領域と第2載置領域との間で物品を移動させることが容易に行えるようになっている。従って、本構成によれば、収納部に収納された物品の奥行方向の位置ずれを規制できると共に、収納部の載置面上を奥行方向に沿って摺動させて物品を出し入れすることができる物品収納棚が実現される。
【0070】
ここで、前記規制突部は、前記載置面から上方に突出すると共に前記奥行方向に沿って前記第1突部と前記第2突部とを接続するように形成された中間突部を更に備え、前記奥行方向に沿って連続するように形成されていると好適である。
【0071】
本構成によれば、規制突部が中間突部を備えず、第1突部と第2突部とが分かれている場合に比べて、物品を奥行方向に摺動させる場合に、当該物品が規制突部を乗り越えることで上下動する回数を少なくすることができる。従って、物品を収納部に出し入れする場合に物品に生じる振動を少なく抑えることができる。
【0072】
また、前記規制突部は、前記奥行方向に沿って延在する筋状に形成されていると好適である。
【0073】
本構成によれば、物品を奥行方向に摺動させる場合に、規制突部上において物品が当該規制突部に引っ掛かる可能性を低減することができる。従って、物品を収納部に出し入れする場合に物品を奥行方向に沿って円滑に移動させることができる。
【0074】
また、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面の前記奥行方向の全域での平均の傾斜角度が、前記載置面に対して15°~60°の範囲内となっていると好適である。
【0075】
本構成によれば、物品を奥行方向に摺動させて収納部に出し入れする場合に、物品が第1突部及び第2突部を乗り上げ易いようにすることができる。
【0076】
また、前記奥行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、
前記規制突部が、前記物品摺動領域内において前記幅方向に並んで複数形成されていると好適である。
【0077】
本構成によれば、物品を奥行方向に摺動させて収納部に出し入れする場合に、複数の規制突部に物品が跨った状態で当該物品を複数の規制突部の上で移動させることができる。そのため、物品を安定した姿勢で奥行方向に沿って移動させることができる。また、幅方向に並んだ複数の規制突部の奥行方向の位置関係を適切に設定することにより、収納部に収納された物品が、振動等によって、載置面に直交する軸周りに回転することを規制することもできる。
【0078】
また、前記収納部は、複数個所で屈曲された板状部材であって一面に前記載置面が形成された棚板部材を備え、
前記規制突部は、前記棚板部材と一体的に形成され、
前記規制突部の前記載置面から上方への突出高さは、前記棚板部材における板厚の0.5~3倍の高さであると好適である。
【0079】
本構成によれば、例えばプレス成形等の方法によって規制突部を容易に形成することができる。また、収納部に収納された物品が意図せず奥行方向に位置ずれすることを規制可能であると共に、収納部の載置面上を奥行方向に沿って摺動させて物品を出し入れする場合における意図的な物品の奥行方向の移動を許容可能な構成を、適切に実現することができる。
【0080】
また、前記収納部は、前記物品を搬送する搬送装置に隣接して設置され、
前記規制突部の前記載置面から上方への突出高さは、前記搬送装置から伝わる前記載置面の振動による前記物品の移動を規制すると共に、前記物品の前記奥行方向の摺動を妨げない高さに設定されていると好適である。
【0081】
本構成によれば、搬送装置から伝わる載置面の振動による物品の移動を、規制突部によって適切に規制することができると共に、収納部に対して物品を出し入れする場合には、物品の奥行方向の摺動を規制突部が妨げないようにすることができる。従って、本構成によれば、物品収納棚と物品を搬送する搬送装置とが一体的に形成された設備において、収納部に収納された物品の奥行方向の位置ずれを規制できると共に、収納部の載置面上を奥行方向に沿って摺動させて物品を出し入れすることができる物品収納棚が実現される。
【0082】
また、前記収納部は、前記物品を搬送する搬送装置に隣接して設置され、
前記搬送装置は、前記物品における前記奥行方向手前側を向く前面部又は前記奥行方向奥側を向く後面部に係止される係止部を有する移載機構を備え、
前記移載機構は、前記係止部を前記前面部または前記後面部に係止させた状態で、前記物品を前記奥行方向に移動させて、前記物品を前記収納部に対して出し入れするように構成され、
前記第1物品の底部が前記第1突部に接し、かつ、前記第2物品の底部が前記第2突部に接した状態で、前記奥行方向に対向する前記第1物品の前記後面部と前記第2物品の前記前面部との前記奥行方向における間隔を最小物品間隔として、
前記最小物品間隔が前記係止部の前記奥行方向の寸法より大きくなるように、前記規制突部における前記第1突部と前記第2突部との前記奥行方向の距離が設定されていると好適である。
【0083】
本構成によれば、第1載置領域に第1物品が載置され、かつ、第2載置領域に第2物品が載置された状態において、第1物品を奥行方向手前側に移動させて取り出す場合に、移載機構の係止部が第1物品と第2物品との奥行方向の間に配置されて第1物品の後面部に係止されることになる。このような場合にも、本構成によれば、上記の最小物品間隔が係止部の奥行方向の寸法よりも大きくなるように、規制突部における前記第1突部と前記第2突部との前記奥行方向の距離が設定されているため、第1物品と第2物品との間隔が最小物品間隔である状態においても、係止部を第1物品と第2物品との奥行方向の間に適切に配置することができる。従って本構成によれば、どのような状態であっても物品を適切に移動させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示に係る技術は、物品収納棚に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 :物品収納棚
2 :搬送装置
21 :移載機構
212 :係止部
13 :収納部
13F :載置面
130 :棚板部材
130t :板厚
15 :規制突部
150 :中間突部
151 :第1突部
151F :第1傾斜面
152 :第2突部
152F :第2傾斜面
90 :物品
91 :第1物品
92 :第2物品
901 :物品の前面部
902 :物品の後面部
904 :物品の底部
A1 :第1載置領域
A2 :第2載置領域
AR :規制領域
B1 :第1境界部分
B2 :第2境界部分
Ls :最小物品間隔
X :奥行方向
X1 :奥行方向手前側
X2 :奥行方向奥側
Y :幅方向
θ :傾斜角度