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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】物品収納設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
B65G1/04 505C
B65G1/04 541
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020126205
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023338
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】白石 徹
(72)【発明者】
【氏名】有井 透
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 武人
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-238302(JP,A)
【文献】特開2013-023302(JP,A)
【文献】特開2013-049507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0178979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、
前記収納部に対して前記物品収納棚の幅方向の一方側である幅方向第1側に配置され、物品の搬入及び搬出が行われる入出庫部と、
前記入出庫部と、前記入出庫部と前記収納部との前記幅方向の間に配置された中継部との間で、物品を搬送する中継装置と、
前記収納部に対して前記奥行方向の一方側である前面側を前記幅方向に走行して、前記収納部と前記中継部との間で物品を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記収納部及び前記中継部に対して物品を移載可能な移載機を、前記幅方向に並ぶ状態で複数備え、
前記収納部における前記幅方向第1側の一部の領域を仮置き用領域とし、前記収納部における前記仮置き用領域に対して前記幅方向第1側とは前記幅方向の反対側の領域を収納用領域とし、前記奥行方向における前記前面側とは反対側を背面側とし、前記物品収納棚からの出庫対象の物品を第1物品とし、前記物品収納棚からの出庫対象ではない物品を第2物品とし、複数の前記移載機の1つを第1移載機とすると共に別の1つを第2移載機として、
前記制御装置は、前記第1物品が前記収納用領域において前記第2物品に対して前記背面側に並んで配置されている場合に、前記搬送装置の制御モードを特定移載モードに切り替え可能に構成され、
前記特定移載モードは、第1移載動作、走行動作、及び第2移載動作を、前記搬送装置に順に実行させるモードであり、
前記第1移載動作は、前記第2物品を、前記第2移載機を用いて前記収納用領域から前記搬送装置に移載した後、前記第1物品を、前記第1移載機を用いて前記収納用領域から前記搬送装置に移載する動作であり、
前記走行動作は、前記第1物品及び前記第2物品を保持した状態で、前記中継部と前記仮置き用領域との境界に対応する位置まで走行する動作であり、
前記第2移載動作は、前記第1物品を、前記第1移載機を用いて前記搬送装置から前記中継部に移載し、前記第2物品を、前記第2移載機を用いて前記搬送装置から前記仮置き用領域に移載する動作である、物品収納設備。
【請求項2】
前記第1移載機は、前記第2移載機に対して前記幅方向第1側に配置されている、請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記第1移載機と前記第2移載機との前記幅方向の間隔が、前記中継部における前記第1物品の移載場所と前記仮置き用領域における前記第2物品の移載場所との前記幅方向の間隔に応じて設定されている、請求項2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記第1移載機と前記第2移載機との前記幅方向の間隔が変更可能に構成され、その変更可能範囲内に、前記中継部における前記第1物品の移載場所と前記仮置き用領域における前記第2物品の移載場所との前記幅方向の間隔に応じた間隔と、前記収納用領域における前記幅方向に並ぶ2つの物品の前記幅方向の間隔に応じた間隔と、が含まれる、請求項2に記載の物品収納設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、入出庫部と中継部との間で物品を搬送する中継装置と、中継部と収納部との間で物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を奥行方向に並べて収納可能な物品収納棚を備えた物品収納設備の一例が、特開平7-97006号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1に記載の物品収納設備は、2つの被格納物(8,9)を奥行方向に並べて格納可能な格納棚(7)と、入出庫口(6)と格納棚(7)との間で被格納物(8,9)を搬送するワーク搬送設備(3)と、を備えている。ワーク搬送設備(3)は、被格納物(8,9)を格納棚(7)に出し入れする入出庫設備(4,5)を、格納棚(7)の幅方向に並ぶ状態で2つ備えている。そして、特許文献1の段落0015に記載のように、この物品収納設備では、手前側の被格納物(8)を出庫せずに奥側の被格納物(9)を出庫する場合に、ワーク搬送設備(3)は、第1の入出庫設備(4)を用いて手前側の被格納物(8)を取り出した後、第2の入出庫設備(5)を用いて奥側の被格納物(9)を取り出す。そして、ワーク搬送設備(3)は、第1の入出庫設備(4)を用いて手前側の被格納物(8)を格納棚(7)に戻した後、入出庫口(6)まで走行して奥側の被格納物(9)を入出庫口(6)に搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-97006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の段落0003にも記載されているように、物品収納棚に収納されている物品(特許文献1では格納棚に格納されている被格納物)を、緊急に出庫する必要が生じる場合がある。特許文献1の物品収納設備では、出庫対象の物品(以下、「第1物品」という)が物品収納棚において出庫対象ではない物品(以下、「第2物品」という)に対して背面側(奥側)に並んで配置されている場合に、上述したように、第2物品及び第1物品が順に物品収納棚から取り出された後、第2物品が物品収納棚に戻されてから、物品を出庫するための箇所である中継部(特許文献1では入出庫口)に、第1物品が搬出される。そのため、第2物品を物品収納棚に戻すのに要する時間に応じて、第1物品が中継部に搬出されるまでの時間が長くなり、当該時間を短縮する上で改善の余地があった。なお、第1物品が中継部に搬出されるまでの時間の短縮は、設備全体の物品の搬送効率の向上を図りつつ実現できることが望ましい。
【0005】
そこで、出庫対象の物品が物品収納棚において出庫対象ではない物品に対して背面側に並んで配置されている場合に、設備全体の物品の搬送効率の向上を図りつつ、出庫対象の物品が中継部に搬出されるまでの時間の短縮を図ることが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物品収納設備は、複数の物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、前記収納部に対して前記物品収納棚の幅方向の一方側である幅方向第1側に配置され、物品の搬入及び搬出が行われる入出庫部と、前記入出庫部と、前記入出庫部と前記収納部との前記幅方向の間に配置された中継部との間で、物品を搬送する中継装置と、前記収納部に対して前記奥行方向の一方側である前面側を前記幅方向に走行して、前記収納部と前記中継部との間で物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備え、前記搬送装置は、前記収納部及び前記中継部に対して物品を移載可能な移載機を、前記幅方向に並ぶ状態で複数備え、前記収納部における前記幅方向第1側の一部の領域を仮置き用領域とし、前記収納部における前記仮置き用領域に対して前記幅方向第1側とは前記幅方向の反対側の領域を収納用領域とし、前記奥行方向における前記前面側とは反対側を背面側とし、前記物品収納棚からの出庫対象の物品を第1物品とし、前記物品収納棚からの出庫対象ではない物品を第2物品とし、複数の前記移載機の1つを第1移載機とすると共に別の1つを第2移載機として、前記制御装置は、前記第1物品が前記収納用領域において前記第2物品に対して前記背面側に並んで配置されている場合に、前記搬送装置の制御モードを特定移載モードに切り替え可能に構成され、前記特定移載モードは、第1移載動作、走行動作、及び第2移載動作を、前記搬送装置に順に実行させるモードであり、前記第1移載動作は、前記第2物品を、前記第2移載機を用いて前記収納用領域から前記搬送装置に移載した後、前記第1物品を、前記第1移載機を用いて前記収納用領域から前記搬送装置に移載する動作であり、前記走行動作は、前記第1物品及び前記第2物品を保持した状態で、前記中継部と前記仮置き用領域との境界に対応する位置まで走行する動作であり、前記第2移載動作は、前記第1物品を、前記第1移載機を用いて前記搬送装置から前記中継部に移載し、前記第2物品を、前記第2移載機を用いて前記搬送装置から前記仮置き用領域に移載する動作である。
【0007】
本構成によれば、物品収納棚からの出庫対象の物品である第1物品が、物品収納棚の収納部における収納用領域において、物品収納棚からの出庫対象ではない物品である第2物品に対して背面側に並んで配置されている場合に、搬送装置の制御モードを特定移載モードに切り替えることができる。特定移載モードでは、第2物品及び第1物品を順に収納部から搬送装置に移載した後、第1物品に加えて第2物品も保持した状態の搬送装置を中継部と仮置き用領域との境界に対応する位置(以下、「境界対応位置」という)まで走行させ、第1物品を搬送装置から中継部に移載することや、第2物品を搬送装置から仮置き用領域に移載することができる。このように、特定移載モードでは、第1物品を中継部へ移載するための搬送装置の位置と、第2物品を仮置き用領域へ移載するための搬送装置の位置との2つの位置のうちの、一方を境界対応位置とし、他方を境界対応位置或いはその近傍の位置とすることができる。そのため、出庫対象ではない第2物品を収納部へ移載するため(すなわち、収納部に戻すため)の搬送装置の位置が、境界対応位置から離れた位置とされる場合に比べて、第1物品を中継部に移載するための位置まで搬送装置を迅速に走行させやすく、第1物品が中継部に搬出されるまでの時間の短縮を図ることができる。
【0008】
なお、本構成では、中継装置により中継部に搬入された物品(すなわち、物品収納棚への入庫対象の物品)を収納用領域に搬入する構成とすることで、仮置き用領域を、基本的に、特定移載モードにおいて第2物品を仮置きするために空けておくことができる。そして、本構成では、仮置き用領域を、物品収納棚に物品を入出庫する度に搬送装置が走行する箇所である中継部の近くに設けることができる。そのため、第2物品が収納部における中継部から離れた場所(例えば、第2物品が元々収納されていた収納場所)に仮置きされる場合に比べて、仮置きされている第2物品の収納部における所望の収納場所への搬送を、物品収納棚に物品を入出庫するための搬送装置の走行動作を利用して行いやすい。これにより、設備全体の物品の搬送効率の向上を図ることが可能となっている。
【0009】
以上のように、本構成によれば、第1物品が物品収納棚において第2物品に対して背面側に並んで配置されている場合に、設備全体の物品の搬送効率の向上を図りつつ、第1物品が中継部に搬出されるまでの時間の短縮を図ることが可能となっている。
【0010】
物品収納設備の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物品収納設備の一部の斜視図
図2】物品収納設備の一部の平面図
図3】制御ブロック図
図4】特定移載制御の処理手順を示すフローチャート
図5】出庫制御の一局面を示す図
図6】出庫制御の一局面を示す図
図7】入庫制御の一局面を示す図
図8】入庫制御の一局面を示す図
図9】特定移載制御の一局面を示す図
図10】特定移載制御の一局面を示す図
図11】特定移載制御の一局面を示す図
図12】特定移載制御の一局面を示す図
図13】その他の実施形態に係る特定移載制御の一局面を示す図
図14】その他の実施形態に係る特定移載制御の一局面を示す図
図15】その他の実施形態に係る特定移載制御の一局面を示す図
図16】その他の実施形態に係る特定移載制御の一局面を示す図
図17】その他の実施形態に係る物品収納設備の一部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
物品収納設備の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、本開示に係る物品収納設備を、物品収納棚の各段に対応して形成された走行経路を搬送装置が走行する物品収納設備に適用した場合を例として説明する。
【0013】
図1に示すように、物品収納設備100は、物品収納棚1と、入出庫部2と、中継装置4と、搬送装置5と、制御装置9(図3参照)と、を備えている。物品収納棚1は、複数の物品Wを奥行方向Yに並べて収納可能な収納部10を備えている。ここで、図2に示すように、収納部10における物品Wが収納される奥行方向Yの位置を、収納位置Pとする。収納部10は、物品Wを下側Z2(上下方向Zの下側)から支持する。物品Wは、例えば、段ボールケースやコンテナケース等とされる。奥行方向Yは、物品収納棚1の幅方向Xに直交する方向である。ここでは、幅方向X及び奥行方向Yは、いずれも水平面に沿う水平方向である。本実施形態では、物品収納棚1は、搬送装置5の走行経路を挟んで奥行方向Yに対向するように一対設置されている。物品収納棚1が、搬送装置5の走行経路に対して奥行方向Yの一方側にのみ設けられる構成とすることもできる。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、収納部10は、2つの物品Wを奥行方向Yに並べて収納可能に構成されている。すなわち、本実施形態では、物品Wは、収納部10において2つの収納位置P(具体的には、第1収納位置P1及び第2収納位置P2)のいずれかに収納される。図2に示すように、第1収納位置P1は、2つの収納位置Pのうちの前面側Y1の収納位置Pであり、第2収納位置P2は、2つの収納位置Pのうちの背面側Y2の収納位置Pである。ここで、前面側Y1は、奥行方向Yの一方側(具体的には、収納部10に対して物品Wが出し入れされる側)であり、背面側Y2は、奥行方向Yにおける前面側Y1とは反対側である。
【0015】
図2に示すように、収納部10は、複数の物品Wを幅方向Xに並べて収納可能に構成されている。すなわち、収納部10は、収納位置Pのそれぞれ(ここでは、第1収納位置P1及び第2収納位置P2のそれぞれ)において、複数の物品Wを幅方向Xに並べて収納可能に構成されている。例えば、複数の板状体を幅方向Xに並べて配置して、複数の物品Wを幅方向Xに並べて収納可能な収納部10を構成することができる。この板状体は、例えば、平面視(上下方向Zに沿う方向視)で矩形状に形成され、或いは、平面視で前面側Y1に開口するU字状に形成される。
【0016】
本実施形態では、物品収納棚1は、上下方向Z(鉛直方向)の複数箇所に収納部10を備えており、上下方向Zに並ぶ複数の段(棚段)のそれぞれに物品Wを収納可能に構成されている。なお、物品収納棚1が、上下方向Zの1つの箇所にのみ収納部10を備える構成とすることもできる。
【0017】
入出庫部2は、収納部10に対して幅方向Xの外側に配置されている。すなわち、入出庫部2は、幅方向Xにおいて、収納部10の配置領域の外側に配置されている。入出庫部2は、収納部10に対して幅方向Xの一方側である幅方向第1側X1に配置されている。言い換えれば、収納部10は、入出庫部2に対して幅方向Xの他方側(すなわち、幅方向第1側X1とは幅方向Xの反対側)である幅方向第2側X2に配置されている。入出庫部2では、物品Wの搬入及び搬出が行われる。具体的には、物品収納棚1に入庫する物品Wが、入庫ライン等から入出庫部2に搬入され、物品収納棚1から出庫された物品Wが、入出庫部2から出庫ライン等に搬出される。なお、入出庫部2における物品Wの搬入及び搬出が、搬送車や作業者等によって行われてもよい。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、入出庫部2に、第1コンベヤ41及び第2コンベヤ42が設けられている。言い換えれば、第1コンベヤ41による物品Wの搬送経路上や第2コンベヤ42による物品Wの搬送経路上に、入出庫部2が設けられている。第1コンベヤ41は、物品Wを物品収納棚1に入庫するための入庫用コンベヤであり、入出庫部2において物品Wを幅方向第2側X2に向けて搬送する。第2コンベヤ42は、物品Wを物品収納棚1から出庫するための出庫用コンベヤであり、入出庫部2において物品Wを幅方向第1側X1に向けて搬送する。第1コンベヤ41は、例えば入庫ラインを構成するコンベヤとされ、第2コンベヤ42は、例えば出庫ラインを構成するコンベヤとされる。第1コンベヤ41及び第2コンベヤ42として、例えば、ローラコンベヤ又はベルトコンベヤを用いることができる。なお、第1コンベヤ41や第2コンベヤ42が、その時々の物品収納設備100の状態に応じて、入庫用コンベヤ及び出庫用コンベヤのいずれとしても用いられる構成とすることもできる。
【0019】
図1及び図2に示すように、入出庫部2と収納部10との幅方向Xの間には、中継部3が配置されている。具体的には、中継部3は、収納部10に対して幅方向第1側X1に隣接して配置されている。物品収納棚1に入庫する物品Wは、入出庫部2から中継部3を介して収納部10に搬送され、物品収納棚1から出庫される物品Wは、収納部10から中継部3を介して入出庫部2に搬送される。
【0020】
本実施形態では、中継部3には、第3コンベヤ43及び第4コンベヤ44が設けられている。言い換えれば、第3コンベヤ43による物品Wの搬送経路上や第4コンベヤ44による物品Wの搬送経路上に、中継部3が設けられている。第3コンベヤ43は、物品Wを物品収納棚1に入庫するための入庫用コンベヤであり、中継部3において物品Wを幅方向第2側X2に向けて搬送する。第4コンベヤ44は、物品Wを物品収納棚1から出庫するための出庫用コンベヤであり、中継部3において物品Wを幅方向第1側X1に向けて搬送する。第3コンベヤ43及び第4コンベヤ44として、例えば、ローラコンベヤやベルトコンベヤを用いることができる。なお、第3コンベヤ43や第4コンベヤ44が、その時々の物品収納設備100の状態に応じて、入庫用コンベヤ及び出庫用コンベヤのいずれとしても用いられる構成とすることもできる。
【0021】
上述したように、本実施形態では、搬送装置5の走行経路を挟んで奥行方向Yに対向するように一対の物品収納棚1が設けられている。そして、第3コンベヤ43は、一方の物品収納棚1の収納部10に対して幅方向第1側X1において、当該収納部10と幅方向Xに並べて配置され、第4コンベヤ44は、他方の物品収納棚1の収納部10に対して幅方向第1側X1において、当該収納部10と幅方向Xに並べて配置されている。また、上述した第1コンベヤ41は、第3コンベヤ43に対して幅方向第1側X1において、第3コンベヤ43と幅方向Xに並べて配置され、上述した第2コンベヤ42は、第4コンベヤ44に対して幅方向第1側X1において、第4コンベヤ44と幅方向Xに並べて配置されている。
【0022】
図1に示すように、本実施形態では、中継部3は、収納部10が配置された高さ(上下方向Zの位置)のそれぞれに設けられている。具体的には、収納部10が配置された高さのそれぞれに、第3コンベヤ43及び第4コンベヤ44が設けられている。そして、入出庫部2と中継部3との幅方向Xの間に、第1リフト装置45及び第2リフト装置46が設けられている。第1リフト装置45は、第1コンベヤ41と第3コンベヤ43とにより幅方向Xの両側から挟まれるように配置され、第2リフト装置46は、第2コンベヤ42と第4コンベヤ44とにより幅方向Xの両側から挟まれるように配置されている。第1リフト装置45及び第2リフト装置46は、昇降可能に(すなわち、上下方向Zに移動可能に)構成されている。そして、第1リフト装置45が第1コンベヤ41に対応する高さに昇降した状態で、第1リフト装置45と第1コンベヤ41との間で物品Wが搬送され、第1リフト装置45がいずれかの第3コンベヤ43に対応する高さに昇降した状態で、第1リフト装置45と当該第3コンベヤ43との間で物品Wが搬送される。また、第2リフト装置46が第2コンベヤ42に対応する高さに昇降した状態で、第2リフト装置46と第2コンベヤ42との間で物品Wが搬送され、第2リフト装置46がいずれかの第4コンベヤ44に対応する高さに昇降した状態で、第2リフト装置46と当該第4コンベヤ44との間で物品Wが搬送される。
【0023】
中継装置4は、入出庫部2と中継部3との間で物品Wを搬送する装置である。中継装置4は、物品収納棚1に入庫する物品Wを、入出庫部2から中継部3に搬送し、物品収納棚1から出庫された物品Wを、中継部3から入出庫部2に搬送する。本実施形態では、中継装置4は、第1コンベヤ41、第2コンベヤ42、第3コンベヤ43、第4コンベヤ44、第1リフト装置45、及び第2リフト装置46を備えている。物品収納棚1に入庫する物品Wは、第1コンベヤ41、第1リフト装置45、及び第3コンベヤ43によって順に搬送されることで、入出庫部2から中継部3に搬送される。また、物品収納棚1から出庫された物品Wは、第4コンベヤ44、第2リフト装置46、及び第2コンベヤ42によって順に搬送されることで、中継部3から入出庫部2に搬送される。
【0024】
このように、本実施形態では、中継装置4は、第1コンベヤ41及び第3コンベヤ43を含む装置群(本例では、更に第1リフト装置45を含む装置群)を用いて物品Wを入出庫部2から中継部3に搬送し、第2コンベヤ42及び第4コンベヤ44を含む装置群(本例では、更に第2リフト装置46を含む装置群)を用いて物品Wを中継部3から入出庫部2に搬送するように構成されている。なお、中継装置4が、1つの装置群を、物品Wの入出庫部2から中継部3への搬送と物品Wの中継部3から入出庫部2への搬送との双方に用いることもでき、この場合、中継装置4が上記2つの装置群のうちの一方のみを備える構成とすることもできる。
【0025】
搬送装置5は、収納部10に対して前面側Y1を幅方向Xに走行して、収納部10と中継部3(本実施形態では、第3コンベヤ43及び第4コンベヤ44)との間で物品Wを搬送する装置である。すなわち、搬送装置5は、幅方向Xに走行する走行動作Rと、収納部10や中継部3に対する物品Wの移載動作Tとを行う。搬送装置5は、物品収納棚1に入庫する物品Wを、中継部3(本実施形態では、第3コンベヤ43)から収納部10に搬送し、物品収納棚1から出庫する物品Wを、収納部10から中継部3(本実施形態では、第4コンベヤ44)に搬送する。図1に示すように、本実施形態では、搬送装置5の走行経路は、物品収納棚1の各段に対応して、物品収納棚1の段数(言い換えれば、上下方向Zに並ぶ収納部10の数)と同数形成されている。具体的には、図1及び図2に示すように、搬送装置5の走行経路は、上下方向Zの同じ位置において奥行方向Yに対向するように配置された一対のレール51によって形成されている。搬送装置5は、各段の走行経路に配置されており、互いに同じ段の収納部10と中継部3との間で(言い換えれば、上下方向Zの同じ位置に配置された収納部10と中継部3との間で)、物品Wを搬送する。図1では、最も上側Z1(上下方向Zの上側)に配置された搬送装置5のみが示されている。
【0026】
図2に示すように、搬送装置5は、収納部10及び中継部3に対して物品Wを移載可能な移載機60を、幅方向Xに並ぶ状態で複数備えている。搬送装置5は、移載機60を用いて物品Wの移載動作Tを行う。搬送装置5は、幅方向Xに走行する走行部50を備えており、移載機60は走行部50に支持されている。上述したように、本実施形態では、搬送装置5の走行経路を挟んで奥行方向Yに対向するように一対の物品収納棚1が設けられており、搬送装置5は、一対の物品収納棚1のいずれの収納部10に対しても、移載機60を用いて物品Wを移載可能に構成されている。
【0027】
ここで、複数の移載機60の1つを第1移載機61とすると共に別の1つを第2移載機62とする。本実施形態では、第1移載機61は、第2移載機62に対して幅方向第1側X1に配置されている。具体的には、第1移載機61は、第2移載機62に対して幅方向第1側X1に隣接する移載機60である。本実施形態では、搬送装置5に設けられる移載機60の数は2つである。すなわち、搬送装置5は、第1移載機61及び第2移載機62の2つの移載機60を備えている。このように、本実施形態では、収納部10において奥行方向Yに並べて収納可能な物品Wの数と、搬送装置5に設けられる移載機60の数とが、互いに等しい数(具体的には、2つ)とされている。
【0028】
移載機60は、物品Wを奥行方向Yに移動させて物品Wを移載するように構成されている。具体的には、移載機60は、物品Wを前面側Y1に移動させることで、収納部10や中継部3等の移載対象箇所から搬送装置5に物品Wを移載し、物品Wを背面側Y2に移動させることで、搬送装置5から移載対象箇所に物品Wを移載する。移載対象箇所から搬送装置5に移載された物品Wは、搬送装置5が備える支持部(移載機60が備える支持部又は走行部50が備える支持部等)に支持されることで、搬送装置5に保持される。図2では、第1移載機61が、収納部10における第1収納位置P1と搬送装置5との間で物品Wを移載する移載動作Tを行い、第2移載機62が、収納部10における第2収納位置P2と搬送装置5との間で物品Wを移載する移載動作Tを行う状況を示している。このように、移載機60は、収納部10におけるいずれの収納位置Pに対しても(本実施形態では、第1収納位置P1及び第2収納位置P2のいずれに対しても)物品Wを移載することが可能に構成されている。また、第1移載機61及び第2移載機62は、収納部10や中継部3において幅方向Xに並ぶ2つの物品W(ここでは、他の物品Wを間に挟まずに幅方向Xに並ぶ2つの物品W)を、これら2つの移載機60を用いて移載対象箇所と搬送装置5との間で同時に或いは並行して移載することができるように、搬送装置5に設けられている。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、移載機60は、物品Wに当接する当接部66を出退機構65(スライド機構等)により奥行方向Yに出退移動(背面側Y2への出移動、及び前面側Y1への退移動)させることで、物品Wを奥行方向Yに移動させるように構成されている。具体的には、移載機60は、当接部66を背面側Y2に出移動させて物品Wを当接部66により背面側Y2に押し出すことで、当該物品Wを搬送装置5から移載対象箇所に移載する。また、移載機60は、当接部66を前面側Y1に退移動させて物品Wを当接部66により前面側Y1に引き込むことで、物品Wを移載対象箇所から搬送装置5に移載する。図2では、簡略化のため、物品Wを背面側Y2に押し出す際に用いられる当接部66の図示を省略している。なお、移載機60の構成はこれに限られず、例えば、移載機60として、物品Wを下側Z2から支持する支持体を奥行方向Yに出退移動させるフォーク式の移載機や、物品Wを挟持するクランプ部を奥行方向Yに出退移動させるクランプ式の移載機等を用いることもできる。
【0030】
制御装置9は、搬送装置5の作動を制御する装置である。制御装置9は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御装置9の各機能が実現される。制御装置9は、例えば各種センサの検出情報に基づき各種モータの駆動を制御することで、搬送装置5の作動を制御する。制御装置9は、走行動作Rを行うように走行部50の作動を制御すると共に、移載動作Tを行うように移載機60の作動(本実施形態では、第1移載機61の作動及び第2移載機62の作動)を制御する。
【0031】
本実施形態では、制御装置9は、上位の制御装置からの指令に基づいて、物品Wを物品収納棚1から出庫させる出庫制御や、物品Wを物品収納棚1に入庫する入庫制御を行う。制御装置9は、出庫制御を行う場合には、収納部10における物品Wの収納場所に対応する位置(具体的には、移載機60が当該物品Wと奥行方向Yに対向する位置)まで走行する走行動作Rと、移載機60を用いて当該物品Wを収納部10から搬送装置5に移載する移載動作Tと、当該物品Wを保持した状態で中継部3に対応する位置(具体的には、移載機60が中継部3における当該物品Wの移載場所と奥行方向Yに対向する位置)まで走行する走行動作Rと、移載機60を用いて当該物品Wを搬送装置5から中継部3に移載する移載動作Tとを、搬送装置5に順に実行させる。
【0032】
制御装置9は、入庫制御を行う場合には、中継部3に対応する位置(具体的には、移載機60が中継部3に配置された物品Wと奥行方向Yに対向する位置)まで走行する走行動作Rと、移載機60を用いて当該物品Wを中継部3から搬送装置5に移載する移載動作Tと、当該物品Wを保持した状態で収納部10に対応する位置(具体的には、移載機60が収納部10における当該物品Wの収納場所と奥行方向Yに対向する位置)まで走行する走行動作Rと、移載機60を用いて当該物品Wを搬送装置5から収納部10に移載する移載動作Tとを、搬送装置5に順に実行させる。
【0033】
図2に示すように、収納部10における幅方向第1側X1の一部の領域を仮置き用領域11とし、収納部10における仮置き用領域11に対して幅方向第1側X1とは幅方向Xの反対側(すなわち、幅方向第2側X2)の領域を収納用領域12とする。言い換えれば、制御装置9は、収納部10を、仮置き用領域11と収納用領域12とに分けて管理している。そして、制御装置9は、入庫制御を行う場合に、入庫対象の物品W(具体的には、中継装置4により中継部3に搬入された物品W)を、収納用領域12に移載するように構成されている。仮置き用領域11は、収納用領域12よりも幅方向Xの大きさが小さくなるように設定される。本実施形態では、仮置き用領域11の幅方向Xの大きさを、物品Wの幅方向Xの寸法に応じた大きさ(すなわち、複数の物品Wを幅方向Xに並べて配置できない大きさ)としている。このような構成とは異なり、仮置き用領域11の幅方向Xの大きさを、複数の物品W(例えば、2つの物品W)を幅方向Xに並べて配置することが可能な大きさとすることもできる。
【0034】
以下では、物品収納棚1からの出庫対象の物品Wを第1物品W1とし、物品収納棚1からの出庫対象ではない物品Wを第2物品W2とする。図5図8は、制御装置9が、2つの第1物品W1を物品収納棚1から出庫させる出庫制御を実行した後、2つの物品Wを物品収納棚1に入庫する入庫制御を実行する場面の一例を、時系列的に示している。図6は、図5より後の時点での局面を示し、図7は、図6より後の時点での局面を示し、図8は、図7より後の時点での局面を示している。
【0035】
図5に示すように、搬送装置5は、収納用領域12における2つの第1物品W1の収納場所に対応する位置まで走行する走行動作Rを行った後、第1移載機61及び第2移載機62を用いて2つの第1物品W1を収納用領域12から搬送装置5に移載する移載動作Tを行う。図5に示す例では、この時点で、中継装置4が、搬入対象の2つの物品Wを中継部3に搬入する搬入動作Eを行っている。そして、図6に示すように、搬送装置5は、2つの第1物品W1を保持した状態で中継部3に対応する位置まで走行する走行動作Rを行った後、第1移載機61及び第2移載機62を用いて2つの第1物品W1を搬送装置5から中継部3に移載する移載動作Tを行う。
【0036】
図7に示すように、搬送装置5は、第1移載機61及び第2移載機62を用いて中継部3に配置されている2つの物品Wを中継部3から搬送装置5に移載する移載動作Tを行う。図7に示す例では、この時点で、中継装置4が、2つの第1物品W1を中継部3から搬出する搬出動作Lを行っている。そして、図8に示すように、搬送装置5は、2つの物品Wを保持した状態で収納用領域12に対応する位置まで走行する走行動作Rを行った後、第1移載機61及び第2移載機62を用いて2つの物品Wを搬送装置5から収納用領域12に移載する移載動作Tを行う。図8に示す例では、この時点で、中継装置4が、搬入対象の2つの物品Wを中継部3に搬入する搬入動作Eを行っている。
【0037】
ところで、出庫対象の物品Wである第1物品W1が、収納用領域12において、出庫対象ではない物品Wである第2物品W2に対して背面側Y2に並んで(具体的には、他の物品Wを間に挟まずに背面側Y2に並んで)配置されている場合がある。本実施形態では、幅方向Xの同じ位置において、第1物品W1が第2収納位置P2に収納され、第2物品W2が第1収納位置P1に収納されている場合に、第1物品W1が第2物品W2に対して背面側Y2に並んで配置される。制御装置9は、第1物品W1が収納用領域12において第2物品W2に対して背面側Y2に並んで配置されている場合に、搬送装置5の制御モードを特定移載モードに切り替え可能に構成されている。
【0038】
特定移載モードは、第1移載動作T1、特定走行動作R0、及び第2移載動作T2を、搬送装置5に順に実行させるモードである。本実施形態では、特定走行動作R0が「走行動作」に相当する。なお、複数の対象動作(ここでは、上記3つの動作)を順に実行させるとは、これら複数の対象動作以外の動作(例えば、次の対象動作を行うために必要となる走行動作R)を途中で実行させる場合であっても、これら複数の対象動作の実行順序は予め定められた順序(ここでは、第1移載動作T1、特定走行動作R0、及び第2移載動作T2の順)とすることを意味する。なお、搬送装置5の走行動作Rは、必要に応じて随時行われる。
【0039】
第1移載動作T1は、第2物品W2を、第2移載機62を用いて収納用領域12から搬送装置5に移載した後、第1物品W1を、第1移載機61を用いて収納用領域12から搬送装置5に移載する動作である。特定走行動作R0は、第1物品W1及び第2物品W2を保持した状態で、境界対応位置Bまで走行する動作である。ここで、境界対応位置Bは、中継部3と仮置き用領域11との境界に対応する位置である。言い換えれば、境界対応位置Bは、中継部3と仮置き用領域11との境界を基準に定められる位置であり、後に図9図12を参照して説明する特定移載制御の例では、図11における搬送装置5の位置が境界対応位置Bであり、後に図13図16を参照して説明する特定移載制御の別例では、図14における搬送装置5の位置が境界対応位置Bである。第2移載動作T2は、第1物品W1を、第1移載機61を用いて搬送装置5から中継部3に移載し、第2物品W2を、第2移載機62を用いて搬送装置5から仮置き用領域11に移載する動作である。
【0040】
制御装置9は、搬送装置5の制御モードを特定移載モードに切り替えた場合に、特定移載モードに基づき搬送装置5を作動させる特定移載制御を行う。すなわち、物品収納設備100を制御する制御方法は、搬送装置5の制御モードを特定移載モードに切り替えるモード切替工程と、特定移載モードに基づき搬送装置5を作動させる特定移載制御工程(特定移載制御を実行する工程)と、を含んでいる。図4に示すように、特定移載制御では、第1移載動作T1(ステップ#10)、走行動作としての特定走行動作R0(ステップ#11)、及び第2移載動作T2(ステップ#12)を順に実行するように、搬送装置5の作動を制御する。
【0041】
図9図12は、制御装置9が特定移載制御を実行する場面の一例を、時系列的に示している。図10は、図9より後の時点での局面を示し、図11は、図10より後の時点での局面を示し、図12は、図11より後の時点での局面を示している。
【0042】
図9に示すように、搬送装置5は、収納用領域12における第1物品W1及び第2物品W2の収納場所に対応する位置(具体的には、第2移載機62が第2物品W2と奥行方向Yに対向する位置)まで走行する走行動作Rを行った後、第1移載動作T1を行う。本例では、この時点で、中継装置4が、搬入対象の2つの物品Wである第3物品W3及び第4物品W4を中継部3に搬入する搬入動作Eを行っている。第1移載動作T1では、第2移載機62を用いて第2物品W2を収納用領域12から搬送装置5に移載した後(図9参照)、第2物品W2を保持した状態で第1移載機61が第1物品W1と奥行方向Yに対向する位置まで走行する走行動作R(ここでは、幅方向第2側X2への走行動作R)を行って、第1移載機61を用いて第1物品W1を収納用領域12から搬送装置5に移載する(図10参照)。このように、第1移載動作T1では、第2移載機62を用いて第2物品W2を収納用領域12から搬送装置5に移載する移載動作Tと、第1移載機61を用いて第1物品W1を収納用領域12から搬送装置5に移載する移載動作Tとの間に、第2物品W2を保持した状態で走行する走行動作Rが行われる。
【0043】
図11に示すように、搬送装置5は、特定走行動作R0を行う。特定走行動作R0における境界対応位置Bは、第1移載機61が中継部3における第1物品W1の移載場所と奥行方向Yに対向する位置、第2移載機62が仮置き用領域11における第2物品W2の移載場所と奥行方向Yに対向する位置、或いは、第1移載機61が中継部3における第1物品W1の移載場所と奥行方向Yに対向し、且つ、第2移載機62が仮置き用領域11における第2物品W2の移載場所と奥行方向Yに対向する位置とされる。本例では、図11に示すように、特定走行動作R0における境界対応位置Bは、第1移載機61が中継部3における第1物品W1の移載場所と奥行方向Yに対向し、且つ、第2移載機62が仮置き用領域11における第2物品W2の移載場所と奥行方向Yに対向する位置とされている。
【0044】
図11に示すように、搬送装置5は、特定走行動作R0を行った後、第2移載動作T2を行う。図11に示す例では、第2移載動作T2において、第1移載機61を用いた第1物品W1の搬送装置5から中継部3への移載動作Tと並行して、第2移載機62を用いた第2物品W2の搬送装置5から仮置き用領域11への移載動作Tを行っている。なお、2つの動作を並行して実行するとは、2つの動作を、一方の動作期間と他方の動作期間とが少なくとも一部重複するように実行することを意味する。図12に示すように、中継装置4は、搬送装置5から中継部3に移載された第1物品W1を中継部3から搬出する搬出動作Lを行う。なお、第2移載動作T2における第2物品W2の移載場所は、仮置き用領域11における第1収納位置P1及び第2収納位置P2のいずれでもよいが、第2収納位置P2は、当該第2収納位置P2に対して前面側Y1に並ぶ第1収納位置P1に物品Wが配置されていない場合に、第2物品W2の移載場所として選択される。
【0045】
本例では、図12に示すように、搬送装置5は、第2移載動作T2を行った後、中継部3に対応する位置まで走行する走行動作R(図12において実線の矢印で示す走行動作R)を行う。図12に示す例では、第3物品W3が、第4物品W4に対して幅方向第1側X1に配置されており、上記の走行動作Rにおける中継部3に対応する位置は、第1移載機61が中継部3に配置された第3物品W3と奥行方向Yに対向し、且つ、第2移載機62が中継部3に配置された第4物品W4と奥行方向Yに対向する位置とされている。そして、搬送装置5は、第3移載動作T3を行う。第3移載動作T3は、第3物品W3を、第1移載機61を用いて中継部3から搬送装置5に移載し、第4物品W4を、第2移載機62を用いて中継部3から搬送装置5に移載する動作である。ここでは、第3移載動作T3において、第1移載機61を用いた第3物品W3の中継部3から搬送装置5への移載動作Tと並行して、第2移載機62を用いた第4物品W4の中継部3から搬送装置5への移載動作Tを行っている。
【0046】
図12に示すように、搬送装置5は、第3移載動作T3を行った後、第3物品W3及び第4物品W4を保持した状態で収納用領域12に対応する位置まで走行する走行動作R(図12において破線の矢印で示す走行動作R)を行う。この走行動作Rにおける収納用領域12に対応する位置は、第1移載機61が収納用領域12における第3物品W3の収納場所と奥行方向Yに対向する位置、第2移載機62が収納用領域12における第4物品W4の収納場所と奥行方向Yに対向する位置、或いは、第1移載機61が収納用領域12における第3物品W3の収納場所と奥行方向Yに対向し、且つ、第2移載機62が収納用領域12における第4物品W4の収納場所と奥行方向Yに対向する位置とされる。図示は省略するが、搬送装置5は、上記の走行動作Rを行った後、第1移載機61を用いて第3物品W3を搬送装置5から収納用領域12に移載する移載動作Tや、第2移載機62を用いて第4物品W4を搬送装置5から収納用領域12に移載する移載動作Tを行う。
【0047】
ここで、図2に示すように、第1移載機61と第2移載機62との幅方向Xの間隔(具体的には、第1移載機61における幅方向Xの中心と第2移載機62における幅方向Xの中心との間の幅方向Xの距離)を、第1間隔D1とする。また、中継部3における物品W(具体的には、第1物品W1)の移載場所と仮置き用領域11における物品W(具体的には、第2物品W2)の移載場所との幅方向Xの間隔(具体的には、前者の移載場所における幅方向Xの中心と後者の移載場所における幅方向Xの中心との間の幅方向Xの距離)を、第2間隔D2とする。また、収納用領域12における幅方向Xに並ぶ2つの物品W(ここでは、他の物品Wを間に挟まずに幅方向Xに並ぶ2つの物品W)の幅方向Xの間隔(具体的には、一方の物品Wにおける幅方向Xの中心と他方の物品Wにおける幅方向Xの中心との間の幅方向Xの距離)を、第3間隔D3とする。
【0048】
上述したように、図9図12に示す特定移載制御の例では、境界対応位置Bが、第1移載機61が中継部3における第1物品W1の移載場所と奥行方向Yに対向し、且つ、第2移載機62が仮置き用領域11における第2物品W2の移載場所と奥行方向Yに対向する位置とされている。すなわち、第1物品W1を中継部3へ移載するための搬送装置5の位置(言い換えれば、第1物品W1を中継部3へ移載することができる搬送装置5の位置)と、第2物品W2を仮置き用領域11へ移載するための搬送装置5の位置(言い換えれば、第2物品W2を仮置き用領域11へ移載することができる搬送装置5の位置)とが、共に境界対応位置Bとされている。以下では、第1物品W1を中継部3へ移載するための搬送装置5の位置を「第1位置」とし、第2物品W2を仮置き用領域11へ移載するための搬送装置5の位置を「第2位置」とする。
【0049】
例えば、第1間隔D1が固定される構成において、第1間隔D1が第2間隔D2に応じて設定された構成とすることで、上記のように第1位置及び第2位置を共通の位置(境界対応位置B)とすることができる。ここで、第1間隔D1が第2間隔D2に応じて設定されるとは、第1間隔D1が第2間隔D2と等しい場合と、第1位置及び第2位置を共通の位置とすることができる範囲内で第1間隔D1が第2間隔D2と異なる場合との、双方を含む概念である。このように第1間隔D1が固定される構成において、第1間隔D1が第3間隔D3に応じた間隔である場合には、図5及び図8に示す例のように、第1移載機61を用いて搬送装置5と収納用領域12との間で物品Wを移載するのと並行して、第2移載機62を用いて搬送装置5と収納用領域12との間で物品Wを移載することができる。すなわち、第1移載機61及び第2移載機62を用いて2つの物品Wを収納用領域12に対して同時に或いは並行して移載することができる。ここで、第1間隔D1が第3間隔D3に応じた間隔であるとは、第1間隔D1が第3間隔D3と等しい場合と、上記のように2つの物品Wを収納用領域12に対して同時に或いは並行して移載することができる範囲内で第1間隔D1と第3間隔D3とが異なる場合との、双方を含む概念である。
【0050】
また、例えば、第1間隔D1が変更可能に構成され、その変更可能範囲内に第2間隔D2に応じた間隔が含まれる構成とすることで、上記のように第1位置及び第2位置を共通の位置(境界対応位置B)とすることができる。この場合、制御装置9は、第2移載動作T2を行う場合に、第1間隔D1が第2間隔D2に応じた間隔となるように第1間隔D1を制御する。ここで、第2間隔D2に応じた間隔とは、第2間隔D2と等しい間隔と、第1位置及び第2位置を共通の位置とすることができる範囲内で第2間隔D2と異なる間隔との、双方を含む概念である。例えば、第1移載機61及び第2移載機62の一方又は双方が、幅方向Xに移動可能に走行部50に支持される構成とすることで、第1間隔D1が変更可能な構成を実現することができる。このように第1間隔D1の変更可能範囲内に第2間隔D2に応じた間隔が含まれる構成において、更に、第1間隔D1の変更可能範囲内に第3間隔D3に応じた間隔が含まれる構成とすることで、図5及び図8に示す例のように、第1移載機61及び第2移載機62を用いて2つの物品Wを収納用領域12に対して同時に或いは並行して移載することができる。この場合、制御装置9は、第1移載機61及び第2移載機62を用いて2つの物品Wを収納用領域12に対して同時に或いは並行して移載する場合に、第1間隔D1が第3間隔D3に応じた間隔となるように第1間隔D1を制御する。ここで、第3間隔D3に応じた間隔とは、第3間隔D3と等しい間隔と、上記のように2つの物品Wを収納用領域12に対して同時に或いは並行して移載することができる範囲内で第3間隔D3と異なる間隔との、双方を含む概念である。
【0051】
なお、第1位置及び第2位置を共通の位置(境界対応位置B)とすることができない場合には、後に説明する特定移載制御の例と同様に(図14及び図15参照)、第2移載動作T2では、第1移載機61を用いた第1物品W1の搬送装置5から中継部3への移載動作Tと、第2移載機62を用いた第2物品W2の搬送装置5から仮置き用領域11への移載動作Tとのうちの、一方の移載動作Tを行ってから他方の移載動作Tを行うまでの間に、走行動作Rが行われる(図15参照)。
【0052】
ところで、本実施形態では、制御装置9は、第1物品W1が収納用領域12において第2物品W2に対して背面側Y2に並んで配置されている場合に、仮置き用領域11に第2物品W2の移載場所を確保できることを条件に、搬送装置5の制御モードを特定移載モードに切り替えるように構成されている。そして、制御装置9は、仮置き用領域11に第2物品W2の移載場所を確保できない場合には、搬送装置5の制御モードを、特定移載モード以外のモードに切り替えるように構成されている。特定移載モード以外のモードは、例えば、第2物品W2を収納用領域12における空いている場所に移載した後、第1物品W1を保持した状態で中継部3に対応する位置まで走行して、第1物品W1を中継部3に移載するように、搬送装置5を制御するモードとされる。
【0053】
〔その他の実施形態〕
次に、物品収納設備のその他の実施形態について説明する。
【0054】
(1)上記の実施形態では、第1移載機61が第2移載機62に対して幅方向第1側X1に配置される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1移載機61が第2移載機62に対して幅方向第2側X2に配置される構成とすることもできる。この場合、搬送装置5は、第2移載動作T2において、第1移載機61を用いた第1物品W1の搬送装置5から中継部3への移載動作Tと、第2移載機62を用いた第2物品W2の搬送装置5から仮置き用領域11への移載動作Tとのうちの、一方の移載動作Tを行ってから他方の移載動作Tを行うまでの間に、走行動作Rを行う。
【0055】
図13図16は、第1移載機61が第2移載機62に対して幅方向第2側X2に配置される場合に制御装置9が特定移載制御を実行する場面の一例を、時系列的に示している。図14は、図13より後の時点での局面を示し、図15は、図14より後の時点での局面を示し、図16は、図15より後の時点での局面を示している。
【0056】
第1移載機61が第2移載機62に対して幅方向第2側X2に配置される場合の第1移載動作T1は、第2移載機62を用いて第2物品W2を収納用領域12から搬送装置5に移載する移載動作Tと、第1移載機61を用いて第1物品W1を収納用領域12から搬送装置5に移載する移載動作Tとの間に行われる、第2物品W2を保持した状態での走行動作Rが、幅方向第2側X2への走行動作Rではなく幅方向第1側X1への走行動作Rとなる点を除いて、上記の実施形態と同様のものとなる。図13は、図10と同様に、第1移載動作T1が完了した時点での局面を示している。図13に示す例では、第1移載動作T1と並行して、中継装置4による第3物品W3及び第4物品W4の中継部3への搬入動作Eが行われている。
【0057】
図14に示すように、搬送装置5は、特定走行動作R0を行う。本例では、特定走行動作R0における境界対応位置Bは、第2移載機62が仮置き用領域11における第2物品W2の移載場所と奥行方向Yに対向する位置とされている。そのため、搬送装置5は、第2移載動作T2において、第2移載機62を用いて第2物品W2を搬送装置5から仮置き用領域11に移載した後(図14参照)、第1物品W1を保持した状態で第1移載機61が中継部3における第1物品W1の移載場所と奥行方向Yに対向する位置まで走行する走行動作Rを行って、第1移載機61を用いて第1物品W1を搬送装置5から中継部3に移載する(図15参照)。図16に示すように、中継装置4は、搬送装置5から中継部3に移載された第1物品W1を中継部3から搬出する搬出動作Lを行う。
【0058】
図16に示すように、搬送装置5は、第2移載動作T2を行った後、第3移載動作T3を行う。本例では、第3移載動作T3は、第4物品W4を、第1移載機61を用いて中継部3から搬送装置5に移載し、第3物品W3を、第2移載機62を用いて中継部3から搬送装置5に移載する動作である。ここでは、第3移載動作T3において、第1移載機61を用いた第4物品W4の中継部3から搬送装置5への移載動作Tと並行して、第2移載機62を用いた第3物品W3の中継部3から搬送装置5への移載動作Tを行っている。
【0059】
図16に示すように、搬送装置5は、第3移載動作T3を行った後、第3物品W3及び第4物品W4を保持した状態で収納用領域12に対応する位置まで走行する走行動作R(図16において破線の矢印で示す走行動作R)を行う。この走行動作Rにおける収納用領域12に対応する位置は、第1移載機61が収納用領域12における第4物品W4の収納場所と奥行方向Yに対向する位置、第2移載機62が収納用領域12における第3物品W3の収納場所と奥行方向Yに対向する位置、或いは、第1移載機61が収納用領域12における第4物品W4の収納場所と奥行方向Yに対向し、且つ、第2移載機62が収納用領域12における第3物品W3の収納場所と奥行方向Yに対向する位置とされる。図示は省略するが、搬送装置5は、上記の走行動作Rを行った後、第1移載機61を用いて第4物品W4を搬送装置5から収納用領域12に移載する移載動作Tや、第2移載機62を用いて第3物品W3を搬送装置5から収納用領域12に移載する移載動作Tを行う。
【0060】
(2)上記の実施形態では、搬送装置5が、物品収納棚1の各段に対応して設けられた走行経路に沿って走行する搬送装置である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、搬送装置5を、例えばスタッカークレーン等の他の構成の搬送装置とすることもできる。
【0061】
図17に、搬送装置5がスタッカークレーンである場合の一例を示す。図17に示す例では、搬送装置5の走行経路を形成するレール51が、床部に設置されている。そして、搬送装置5は、レール51に案内されて幅方向Xに走行する走行部50と、走行部50に立設されたマスト52に案内されて昇降する昇降体53と、を備えている。移載機60は昇降体53に支持されており、昇降体53が移載対象の収納部10に対応する高さに昇降した状態で、搬送装置5と当該収納部10との間で物品Wを移載する。また、移載機60は、昇降体53が中継部3に対応する高さに昇降した状態で、搬送装置5と中継部3との間で物品Wを移載する。なお、図17に示す例では、中継装置4は第1リフト装置45や第2リフト装置46を備えておらず、物品収納棚1に入庫する物品Wは、第1コンベヤ41及び第3コンベヤ43によって順に搬送されることで、入出庫部2から中継部3に搬送され、物品収納棚1から出庫された物品Wは、第4コンベヤ44及び第2コンベヤ42によって順に搬送されることで、中継部3から入出庫部2に搬送される。
【0062】
(3)上記の実施形態では、収納部10において奥行方向Yに並べて収納可能な物品Wの数と、搬送装置5に設けられる移載機60の数とが、共に2つである構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、これらの数が3以上の整数(例えば、3)であってもよい。また、上記の実施形態とは異なり、収納部10において奥行方向Yに並べて収納可能な物品Wの数と、搬送装置5に設けられる移載機60の数とが、互いに異なる数とされてもよい。収納部10において奥行方向Yに並べて収納可能な物品Wの数が3以上とされる構成では、例えば、第2物品W2が最も前面側Y1の収納位置Pに収納されている場合や、第2物品W2に対して前面側Y1に他の物品Wが収納されていない場合に、上記の実施形態で説明した各制御が制御装置9によって実行される。
【0063】
(4)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0064】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品収納設備の概要について説明する。
【0065】
物品収納設備は、複数の物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、前記収納部に対して前記物品収納棚の幅方向の一方側である幅方向第1側に配置され、物品の搬入及び搬出が行われる入出庫部と、前記入出庫部と、前記入出庫部と前記収納部との前記幅方向の間に配置された中継部との間で、物品を搬送する中継装置と、前記収納部に対して前記奥行方向の一方側である前面側を前記幅方向に走行して、前記収納部と前記中継部との間で物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備え、前記搬送装置は、前記収納部及び前記中継部に対して物品を移載可能な移載機を、前記幅方向に並ぶ状態で複数備え、前記収納部における前記幅方向第1側の一部の領域を仮置き用領域とし、前記収納部における前記仮置き用領域に対して前記幅方向第1側とは前記幅方向の反対側の領域を収納用領域とし、前記奥行方向における前記前面側とは反対側を背面側とし、前記物品収納棚からの出庫対象の物品を第1物品とし、前記物品収納棚からの出庫対象ではない物品を第2物品とし、複数の前記移載機の1つを第1移載機とすると共に別の1つを第2移載機として、前記制御装置は、前記第1物品が前記収納用領域において前記第2物品に対して前記背面側に並んで配置されている場合に、前記搬送装置の制御モードを特定移載モードに切り替え可能に構成され、前記特定移載モードは、第1移載動作、走行動作、及び第2移載動作を、前記搬送装置に順に実行させるモードであり、前記第1移載動作は、前記第2物品を、前記第2移載機を用いて前記収納用領域から前記搬送装置に移載した後、前記第1物品を、前記第1移載機を用いて前記収納用領域から前記搬送装置に移載する動作であり、前記走行動作は、前記第1物品及び前記第2物品を保持した状態で、前記中継部と前記仮置き用領域との境界に対応する位置まで走行する動作であり、前記第2移載動作は、前記第1物品を、前記第1移載機を用いて前記搬送装置から前記中継部に移載し、前記第2物品を、前記第2移載機を用いて前記搬送装置から前記仮置き用領域に移載する動作である。
【0066】
本構成によれば、物品収納棚からの出庫対象の物品である第1物品が、物品収納棚の収納部における収納用領域において、物品収納棚からの出庫対象ではない物品である第2物品に対して背面側に並んで配置されている場合に、搬送装置の制御モードを特定移載モードに切り替えることができる。特定移載モードでは、第2物品及び第1物品を順に収納部から搬送装置に移載した後、第1物品に加えて第2物品も保持した状態の搬送装置を中継部と仮置き用領域との境界に対応する位置(以下、「境界対応位置」という)まで走行させ、第1物品を搬送装置から中継部に移載することや、第2物品を搬送装置から仮置き用領域に移載することができる。このように、特定移載モードでは、第1物品を中継部へ移載するための搬送装置の位置と、第2物品を仮置き用領域へ移載するための搬送装置の位置との2つの位置のうちの、一方を境界対応位置とし、他方を境界対応位置或いはその近傍の位置とすることができる。そのため、出庫対象ではない第2物品を収納部へ移載するため(すなわち、収納部に戻すため)の搬送装置の位置が、境界対応位置から離れた位置とされる場合に比べて、第1物品を中継部に移載するための位置まで搬送装置を迅速に走行させやすく、第1物品が中継部に搬出されるまでの時間の短縮を図ることができる。
【0067】
なお、本構成では、中継装置により中継部に搬入された物品(すなわち、物品収納棚への入庫対象の物品)を収納用領域に搬入する構成とすることで、仮置き用領域を、基本的に、特定移載モードにおいて第2物品を仮置きするために空けておくことができる。そして、本構成では、仮置き用領域を、物品収納棚に物品を入出庫する度に搬送装置が走行する箇所である中継部の近くに設けることができる。そのため、第2物品が収納部における中継部から離れた場所(例えば、第2物品が元々収納されていた収納場所)に仮置きされる場合に比べて、仮置きされている第2物品の収納部における所望の収納場所への搬送を、物品収納棚に物品を入出庫するための搬送装置の走行動作を利用して行いやすい。これにより、設備全体の物品の搬送効率の向上を図ることが可能となっている。
【0068】
以上のように、本構成によれば、第1物品が物品収納棚において第2物品に対して背面側に並んで配置されている場合に、設備全体の物品の搬送効率の向上を図りつつ、第1物品が中継部に搬出されるまでの時間の短縮を図ることが可能となっている。
【0069】
ここで、前記第1移載機は、前記第2移載機に対して前記幅方向第1側に配置されていると好適である。
【0070】
本構成では、搬送装置が第1物品及び第2物品を保持した状態での第1物品と第2物品との幅方向の並び順を、第1物品が移載される中継部と第2物品が移載される仮置き用領域との幅方向の並び順と一致させることができる。そのため、第1移載機が第2移載機に対して幅方向における幅方向第1側とは反対側に配置される場合に比べて、第1物品を中継部へ移載するための搬送装置の位置と、第2物品を仮置き用領域へ移載するための搬送装置の位置とを近づけることができ、これら2つの位置を共通の位置(上述した境界対応位置)とすることもできる。よって、第2移載動作に要する時間の短縮を図ることができる。
【0071】
上記のように前記第1移載機が前記第2移載機に対して前記幅方向第1側に配置されている構成において、前記第1移載機と前記第2移載機との前記幅方向の間隔が、前記中継部における前記第1物品の移載場所と前記仮置き用領域における前記第2物品の移載場所との前記幅方向の間隔に応じて設定されていると好適である。
【0072】
本構成によれば、第1移載機と第2移載機との幅方向の間隔が固定される場合であっても、第2移載動作において、第1物品を中継部に移載するのと並行して、第2物品を仮置き用領域に移載することができる。よって、第2移載動作に要する時間を短く抑えることができる。
【0073】
また、上記のように前記第1移載機が前記第2移載機に対して前記幅方向第1側に配置されている構成において、前記第1移載機と前記第2移載機との前記幅方向の間隔が変更可能に構成され、その変更可能範囲内に、前記中継部における前記第1物品の移載場所と前記仮置き用領域における前記第2物品の移載場所との前記幅方向の間隔に応じた間隔と、前記収納用領域における前記幅方向に並ぶ2つの物品の前記幅方向の間隔に応じた間隔と、が含まれると好適である。
【0074】
本構成によれば、第1移載機と第2移載機との幅方向の間隔を、中継部における第1物品の移載場所と仮置き用領域における第2物品の移載場所との幅方向の間隔に応じた間隔に変更することで、第2移載動作において、第1物品を中継部に移載するのと並行して、第2物品を仮置き用領域に移載することができる。また、第1移載機と第2移載機との幅方向の間隔を、収納用領域における幅方向に並ぶ2つの物品の幅方向の間隔に応じた間隔に変更することで、第1移載機を用いて搬送装置と収納用領域との間で物品を移載するのと並行して、第2移載機を用いて搬送装置と収納用領域との間で物品を移載することができる。よって、物品収納棚に対して物品を効率良く入出庫することができる。
【0075】
本開示に係る物品収納設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0076】
1:物品収納棚
2:入出庫部
3:中継部
4:中継装置
5:搬送装置
9:制御装置
10:収納部
11:仮置き用領域
12:収納用領域
60:移載機
61:第1移載機
62:第2移載機
100:物品収納設備
B:境界対応位置(中継部と仮置き用領域との境界に対応する位置)
D1:第1間隔(第1移載機と第2移載機との幅方向の間隔)
D2:第2間隔(中継部における第1物品の移載場所と仮置き用領域における第2物品の移載場所との幅方向の間隔)
D3:第3間隔(収納用領域における幅方向に並ぶ2つの物品の幅方向の間隔)
R0:特定走行動作(走行動作)
T1:第1移載動作
T2:第2移載動作
W:物品
W1:第1物品
W2:第2物品
X:幅方向
X1:幅方向第1側
Y:奥行方向
Y1:前面側
Y2:背面側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17