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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】半導体用接着剤、硬化物及び半導体部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20230208BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01L21/52 E
H01B1/22 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020558815
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2018045327
(87)【国際公開番号】W WO2020121379
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太
(72)【発明者】
【氏名】石井 学
(72)【発明者】
【氏名】藤田 賢
(72)【発明者】
【氏名】名取 美智子
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶子
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/034234(WO,A1)
【文献】特開2010-225312(JP,A)
【文献】特開2015-135805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01B 1/22
C09J 4/02-4/06
C09J 9/02
C09J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)銀粒子と、(B)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、
前記(A)成分が第1の銀粒子を含み、
前記第1の銀粒子のBET比表面積が0.3m/g以下であり、
前記第1の銀粒子の平均粒径が7.0μm以上であり、
前記第1の銀粒子の含有量が、半導体用接着剤の総量を基準として40質量%以上である、半導体用接着剤。
【請求項2】
(A)銀粒子と、(B)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、
前記(A)成分が第1の銀粒子を含み、
前記第1の銀粒子のBET比表面積が0.3m /g以下であり、
前記第1の銀粒子の平均粒径が7.0μm以上であり、
前記(B)成分が、下記一般式(b1)で表される化合物を含む、半導体用接着剤。
【化1】

[式中、R 11 は、水素原子又はメチル基を示し、R 12 は、下記式で表される基を示し、Xは、炭素数1~5のアルキレン基を示し、n1は、0~10の整数を示す。]
【化2】
【請求項3】
前記第1の銀粒子の含有量が、半導体用接着剤の総量を基準として30~95質量%である、請求項2に記載の半導体用接着剤。
【請求項4】
前記第1の銀粒子の形状が鱗片状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項5】
前記第1の銀粒子の平均粒径が7.0~8.5μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項6】
前記第1の銀粒子の含有量が前記(A)成分の総量を基準として50質量%以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項7】
前記(A)成分が第2の銀粒子を更に含み、
前記第2の銀粒子のBET比表面積が0.3m/gを超える、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項8】
前記(B)成分が、下記一般式(b21)で表される化合物、下記一般式(b22)で表される化合物、及び、下記一般式(b23)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【化3】

[式中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、n22及びn23は、それぞれ独立に1~3の整数を示す。]
【請求項9】
前記(B)成分の含有量が前記(A)成分100質量部に対して1~20質量部である、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項10】
ラジカル重合開始剤を更に含有し、
前記ラジカル重合開始剤の含有量が、前記(B)成分100質量部に対して3~30質量部である、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体用接着剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体用接着剤の硬化物。
【請求項12】
支持部材と、半導体素子と、前記支持部材及び前記半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備え、
前記接着剤層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体用接着剤又はその硬化物を含む、半導体部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用接着剤、硬化物及び半導体部品に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に用いられる半導体部品は、一般に、半導体チップ等の半導体素子を接着剤(ダイボンディング材)によりリードフレーム等の支持部材に接着して製造されている。従来、半導体用接着剤としては、金-シリコン共晶、はんだ、ペースト状の樹脂組成物等が知られているが、近年、作業性及びコストの観点から、ペースト状の樹脂組成物が広く使用されている。
【0003】
半導体チップ等の半導体素子は、高集積化及び微細化に伴い集積密度が高くなり、単位面積当たりの発熱量が増加する傾向にある。そのため、半導体素子が搭載された半導体部品においては、半導体素子から発生した熱を外部に効率的に放散する必要がある。
【0004】
また、従来、パワーデバイス用パッケージの素子の接着では、はんだ接合が主流であるが、環境問題の観点から、はんだの脱鉛化の動きが盛んである。これに伴い、実装用途又はダイボンディング用途においては、はんだに代わる接着剤として、樹脂成分を含有する半導体用接着剤の要求が高まってきている。
【0005】
しかしながら、樹脂成分を含有する従来の半導体用接着剤では、熱伝導率がはんだに比べて小さく、高熱伝導化が望まれている。これに対し、半導体用接着剤の構成成分として銀粒子を用いることが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-73812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、半導体素子を支持部材に接着させるための半導体用接着剤に対しては、半導体素子から発生した熱を外部に更に効率的に放散する観点から、熱伝導性を向上させることが求められている。
【0008】
本発明は、優れた熱伝導性を有する半導体用接着剤及びその硬化物を提供することを目的とする。本発明は、前記半導体用接着剤又はその硬化物を用いた半導体部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る半導体用接着剤は、(A)銀粒子と、(B)(メタ)アクリロイル基を有する単量体と、を含有し、前記(A)成分が第1の銀粒子を含み、前記第1の銀粒子のBET比表面積が0.3m/g以下であり、前記第1の銀粒子の平均粒径が7.0μm以上である。
【0010】
上述の半導体用接着剤及びその硬化物は、優れた熱伝導性を有していることから、半導体素子から発生した熱を外部に効率的に放散することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る半導体部品は、支持部材と、半導体素子と、支持部材及び半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備え、接着剤層が、上述の半導体用接着剤又はその硬化物を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた熱伝導性を有する半導体用接着剤及びその硬化物を提供することができる。本発明によれば、半導体素子から発生した熱を外部に効率的に放散することができる。本発明によれば、前記半導体用接着剤又はその硬化物を用いた半導体部品を提供することができる。
【0013】
本発明によれば、半導体用接着剤又はその硬化物の、半導体部品又はその製造への応用を提供することができる。本発明によれば、半導体用接着剤又はその硬化物の、半導体素子と支持部材との接着への応用を提供することができる。本発明によれば、半導体用接着剤の、ダイボンディング材への応用を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、半導体部品の一例を示す模式断面図である。
図2図2は、半導体部品の他の例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0017】
<半導体用接着剤及び硬化物>
本実施形態に係る半導体用接着剤は、(A)銀粒子(以下、場合により「(A)成分」という。銀を含む粒子。例えば銀粉)と、(B)(メタ)アクリロイル基を有する単量体(以下、場合により「(B)成分」という)と、を含有し、(A)成分が第1の銀粒子を含み、第1の銀粒子のBET比表面積が0.3m/g以下であり、第1の銀粒子の平均粒径が7.0μm以上である。
【0018】
本実施形態に係る半導体用接着剤は、導電性組成物であり、半導体素子を支持部材に接着させるための導電性組成物として用いることができる。本実施形態に係る半導体用接着剤は、例えば硬化性(例えば熱硬化性)の組成物である。本実施形態に係る半導体用接着剤は、ペースト状の樹脂組成物として用いることができる。本実施形態に係る硬化物は、本実施形態に係る半導体用接着剤の硬化物である。
【0019】
本実施形態に係る半導体用接着剤及びその硬化物は、優れた熱伝導性を有していることから、半導体素子から発生した熱を外部に効率的に放散することができる。本実施形態に係る半導体用接着剤及びその硬化物が優れた熱伝導性を有する原因は明らかではないが、本発明者は下記のように推察している。但し、原因は下記の内容に限定されない。すなわち、BET比表面積が小さいと共に平均粒径が大きい第1の銀粒子を用いると、銀粒子同士の接触点が過剰に多くなることが抑制されやすいことにより、銀粒子の接触点における過剰な熱損失が抑制されやすいため、優れた熱伝導性が得られると推察される。
【0020】
ところで、半導体用接着剤が多くの銀粒子を含有すると、粘度が高くなることに伴い塗布作業性が低くなる場合、又は、半導体用接着剤の硬化物が脆くなり半導体素子と支持部材との接着強度が低くなる場合がある。一方、本実施形態に係る半導体用接着剤によれば、半導体用接着剤が多くの銀粒子を含有する場合であっても、粘度が高くなることが抑制されやすいことから塗布作業性を高く維持することができると共に、半導体用接着剤の硬化物が脆くなることが抑制されやすいことから半導体素子と支持部材との接着強度を高く維持することができる。すなわち、本実施形態によれば、優れた熱伝導性、塗布作業性及び接着強度を有する半導体用接着剤及びその硬化物を提供することができる。
【0021】
((A)成分:銀粒子)
(A)成分は、優れた熱伝導性を得る観点から、BET比表面積が0.3m/g以下であると共に平均粒径が7.0μm以上である第1の銀粒子(以下、場合により「(A1)成分」という)を含む。(A)成分は、優れた接着強度を得やすい観点から、BET比表面積が0.3m/gを超える第2の銀粒子(以下、場合により「(A2)成分」という)を更に含んでよい。(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
(A1)成分又は(A2)成分の少なくとも一粒子における銀の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。(A1)成分又は(A2)成分の少なくとも一粒子は、実質的に銀からなる(実質的に粒子の100質量%が銀である)態様であってよい。
【0023】
(A1)成分の形状としては、鱗片状、球状、塊状、樹枝状、板状等が挙げられるが、優れた熱伝導性を得やすい観点から、鱗片状が好ましい。(A2)成分の形状としては、鱗片状、球状、塊状、樹枝状、板状等が挙げられるが、優れた熱伝導性を得やすい観点から、鱗片状が好ましい。
【0024】
(A2)成分としては、福田金属箔粉工業株式社製のAgC-271B(BET比表面積:0.50m/g)、AgC-221Q3(BET比表面積:0.35m/g)及びAgC-212DH(BET比表面積:1m/g);株式会社徳力化学研究所製のTC-88(BET比表面積:1.05m/g)、TC-505C(BET比表面積:0.65m/g)及びTC-87(BET比表面積:0.25m/g);株式会社フェロ・ジャパン製のSF-125(BET比表面積:0.17m/g)等が挙げられる。
【0025】
(A1)成分のBET表面積は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、0.3m/g未満が好ましく、0.275m/g以下がより好ましく、0.25m/g以下が更に好ましく、0.225m/g以下が特に好ましく、0.2m/g以下が極めて好ましい。(A1)成分のBET表面積は、半導体用接着剤の優れた粘度(ペースト使用時の粘度)を得やすい観点から、0.1m/g以上が好ましく、0.125m/g以上がより好ましく、0.15m/g以上が更に好ましく、0.175m/g以上が特に好ましい。これらの観点から、(A1)成分のBET表面積は、0.1~0.3m/gが好ましく、0.1~0.25m/gがより好ましい。
【0026】
(A2)成分のBET表面積は、半導体用接着剤の優れた粘度(ペースト使用時の粘度)を得やすい観点から、0.35m/g以上が好ましく、0.375m/g以上がより好ましく、0.4m/g以上が更に好ましく、0.425m/g以上が特に好ましく、0.45m/g以上が極めて好ましく、0.475m/g以上が非常に好ましく、0.5m/g以上がより一層好ましい。(A2)成分のBET表面積は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、1m/g以下が好ましく、0.9m/g以下がより好ましく、0.8m/g以下が更に好ましく、0.7m/g以下が特に好ましく、0.6m/g以下が極めて好ましい。これらの観点から、(A2)成分のBET表面積は、0.3m/gを超え1m/g以下が好ましく、0.35~1m/gがより好ましい。
【0027】
(A1)成分の平均粒径は、優れた熱伝導性を得やすい(銀粒子同士の接触点が過剰に多くなることを抑制しやすいことにより、銀粒子の接触点における過剰な熱損失を抑制しやすい)観点から、7.0μm以上が好ましく、7.0μmを超えることがより好ましく、7.25μm以上が更に好ましく、7.5μm以上が特に好ましい。(A1)成分の平均粒径は、半導体用接着剤の優れた吐出性(ディスペンス時の吐出性)を得やすい観点から、10μm以下が好ましく、9.5μm以下がより好ましく、9μm以下が更に好ましく、8.5μm以下が特に好ましく、8.25μm以下が極めて好ましく、8.0μm以下が非常に好ましい。これらの観点から、(A1)成分の平均粒径は、7.0~10μmが好ましく、7.0~8.5μmがより好ましく、7.5~8.0μmが更に好ましい。(A1)成分の平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(レーザー回析法)により測定することができる。
【0028】
(A2)成分の平均粒径は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2μm以上が更に好ましい。(A2)成分の平均粒径は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましく、8μm以下が特に好ましく、5μm以下が極めて好ましく、4μm以下が非常に好ましく、3μm以下がより一層好ましい。これらの観点から、(A2)成分の平均粒径は、1~20μmが好ましく、2~5μmがより好ましい。(A2)成分の平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(レーザー回析法)により測定することができる。
【0029】
(A1)成分の含有量は、(A)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。(A1)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、50質量%を超えることが更に好ましく、60質量%以上が特に好ましく、70質量%以上が極めて好ましい。(A1)成分の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、100質量%以下であり、100質量%未満が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましく、85質量%以下が特に好ましく、80質量%以下が極めて好ましく、75質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、(A1)成分の含有量は、40~100質量%が好ましく、50~95質量%がより好ましい。
【0030】
(A2)成分の含有量は、(A)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。(A2)成分の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、0質量%を超えることが好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が極めて好ましく、25質量%以上が非常に好ましい。(A2)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、50質量%未満が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましく、30質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、(A2)成分の含有量は、0質量%を超え60質量%以下が好ましく、5~50質量%がより好ましい。
【0031】
(A1)成分の含有量は、半導体用接着剤の総量(固形分の総量。以下同様)を基準として下記の範囲が好ましい。(A1)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましく、55質量%以上が極めて好ましく、60質量%以上が非常に好ましい。(A1)成分の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、85質量%未満が特に好ましく、80質量%以下が極めて好ましく、75質量%以下が非常に好ましく、70質量%以下がより一層好ましく、65質量%以下が更に好ましい。これらの観点から、(A1)成分の含有量は、30~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、55~85質量%が更に好ましく、60~80質量%が特に好ましい。
【0032】
(A2)成分の含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として下記の範囲が好ましい。(A2)成分の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が極めて好ましい。(A2)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、50質量%以下が好ましく、50質量%未満がより好ましく、45質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましく、35質量%以下が極めて好ましく、30質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、(A2)成分の含有量は、2~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、20~35質量%が更に好ましい。
【0033】
(A2)成分の含有量に対する(A1)成分の含有量の質量比((A1)成分の含有量/(A2)成分の含有量)は、下記の範囲が好ましい。前記質量比は、粘度を低減させやすい観点から、0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.5以上が特に好ましく、2.0以上が極めて好ましく、2.5以上が非常に好ましい。前記質量比は、優れた接着強度を得やすい観点から、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましく、2.0以下が特に好ましく、1.5以下が極めて好ましく、1.0以下が非常に好ましい。これらの観点から、前記質量比は、0.1~5.0が好ましい。
【0034】
(A)成分の含有量((A1)成分及び(A2)成分の総量)は、半導体用接着剤の総量を基準として下記の範囲が好ましい。(A)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましく、70質量%以上が極めて好ましく、80質量%以上が非常に好ましく、85質量%以上がより一層好ましい。(A)成分の含有量は、半導体用接着剤の粘度を低減させやすい観点から、100質量%未満が好ましく、98質量%以下がより好ましく、95質量%以下が更に好ましく、92質量%以下が特に好ましく、90質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、30質量%以上100質量%未満が好ましく、80~92質量%がより好ましく、85~90質量%が更に好ましい。
【0035】
平均粒径1μm以上4μ未満の銀粒子の含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として、2質量%以下であってよく、2質量%未満であってよく、1質量%以下であってよく、1質量%未満であってよい。(A)成分は、平均粒径1μm以上4μ未満の銀粒子を含まなくてよい。
【0036】
((B)成分:(メタ)アクリロイル基を有する単量体)
(B)成分としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等を用いることができる。(B)成分は、イミド骨格及び/又はシロキサン骨格を含まなくてよい。(B)成分における(メタ)アクリロイル基の数は、優れた接着強度が得られやすい観点から、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が更に好ましい。(B)成分における(メタ)アクリロイル基の数は、1以上であり、2以上であってよい。(B)成分の分子量は、2000以下であってよく、1500以下であってよく、1000以下であってよく、800以下であってよく、600以下であってよい。(B)成分が2つの(メタ)アクリロイル基を有する場合、(B)成分の分子量は、400以下であってよく、300以下であってよい。
【0037】
(B)成分は、優れた接着強度が得られやすい観点から、下記一般式(b1)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0038】
【化1】
[式中、R11は、水素原子又はメチル基を示し、R12は、下記式で表される基を示し、Xは、炭素数1~5のアルキレン基を示し、n1は、0~10の整数を示す。]
【0039】
【化2】
【0040】
式(b1)で表される化合物としては、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ジシクロペンテニルアクリレートはFA-511Aとして、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートはFA-512Aとして、ジシクロペンタニルアクリレートはFA-513Aとして、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートはFA-512Mとして、ジシクロペンタニルメタクリレートはFA-513Mとして、それぞれ商業的に日立化成株式会社より入手できる。
【0041】
式(b1)で表される化合物の含有量は、(B)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。式(b1)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましく、35質量%以上が極めて好ましい。式(b1)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が特に好ましく、75質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、式(b1)で表される化合物の含有量は、10~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましい。
【0042】
式(b1)で表される化合物の含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として下記の範囲が好ましい。式(b1)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上が更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましく、1.8質量%以上が極めて好ましい。式(b1)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましく、4質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、式(b1)で表される化合物の含有量は、0.5~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
【0043】
(B)成分は、優れた塗布作業性及び接着強度が得られやすい観点から、(メタ)アクリル酸エステルとして、下記一般式(b21)で表される化合物、下記一般式(b22)で表される化合物、及び、下記一般式(b23)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0044】
【化3】
[式中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、n22及びn23は、それぞれ独立に1~3の整数を示す。]
【0045】
式(b21)~(b23)で表される化合物(式(b21)で表される化合物、式(b22)で表される化合物、又は、式(b23)で表される化合物。以下同様)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ベンジルアクリレートはFA-BZA(日立化成株式会社製)として、フェノキシエチルアクリレートはSR-339A(サートマー社製)として、フェノキシエチルメタクリレートはCD9087(サートマー社製)として、それぞれ商業的に入手できる。
【0046】
式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、(B)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましく、35質量%以上が極めて好ましい。式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましく、40質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましい。
【0047】
式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として下記の範囲が好ましい。式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上が更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましく、1.8質量%以上が極めて好ましい。式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以下が特に好ましく、2質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、式(b21)~(b23)で表される化合物の含有量は、0.5~5質量%が好ましく、1~4質量%がより好ましい。
【0048】
(B)成分は、式(b1)で表される化合物、式(b21)で表される化合物、式(b22)で表される化合物、及び、式(b23)で表される化合物とは異なる単官能の(メタ)アクリル酸エステルを含んでよい。このような単官能の(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ダイマージオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート等が挙げられる。
【0049】
(B)成分は、下記一般式(b3)で表される化合物を含んでいてよく、含んでいなくてもよい。式(b3)で表される化合物の含有量は、(B)成分の総量を基準として、1質量%以下であってよく、0.1質量%以下であってよく、0.01質量%以下であってよい。式(b3)で表される化合物の含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として、1質量%以下であってよく、0.1質量%以下であってよく、0.01質量%以下であってよい。
【0050】
【化4】
[式中、R31は、水素原子又はメチル基を示し、Yは、炭素数1~5のアルキレン基を示し、R32~R36は、炭素数1~20のアルキル基を示し、n3は、0~10の整数を示す。]
【0051】
(B)成分は、多官能の(メタ)アクリル酸エステルを含んでよい。(B)成分は、多官能の(メタ)アクリル酸エステルとして、1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を含むことが好ましい。この場合、熱硬化時において耐リフロー性の低下の原因となる接着剤中の気泡の発生を低減しやすい。
【0052】
1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ダイマージオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールAD1モルとグリシジル(メタ)アクリレート2モルとの反応物;ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;ビス(アクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アクリロキシプロピル)メチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビス(メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス(メタクリロキシプロピル)メチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー等のシロキサン化合物などが挙げられる。
【0053】
(B)成分は、優れた接着強度が得られやすい観点から、1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物として、下記一般式(b4)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0054】
【化5】
[式中、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Z41及びZ42は、それぞれ独立に炭素数1~5のアルキレン基を示し、n41及びn42は、それぞれ独立に1~20の整数を示す。]
【0055】
(B)成分は、多官能の(メタ)アクリル酸エステルとして、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を用いることができる。1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド・プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、(B)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましく、25質量%以上が極めて好ましい。多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、35質量%以下が特に好ましく、30質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、5~50質量%が好ましく、10~45質量%がより好ましい。
【0057】
多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として下記の範囲が好ましい。多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、1.2質量%以上が特に好ましく、1.4質量%以上が極めて好ましい。多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、3質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1.8質量%以下が特に好ましく、1.5質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、多官能の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、0.5~3質量%が好ましく、0.8~2.5質量%がより好ましい。
【0058】
(B)成分の含有量は、半導体用接着剤の総量を基準として下記の範囲が好ましい。(B)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、4質量%以上が特に好ましく、5質量%以上が極めて好ましい。(B)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、10質量%以下が好ましく、10質量%未満がより好ましく、9質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特に好ましく、7質量%以下が極めて好ましく、6質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、1~10質量%が好ましく、2~9質量%がより好ましい。
【0059】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲が好ましい。(B)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上が更に好ましく、5質量部以上が特に好ましく、6質量部以上が極めて好ましい。(B)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましく、8質量部以下が特に好ましく、7質量部以下が極めて好ましい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、1~20質量部が好ましく、3~15質量部がより好ましい。
【0060】
((C)成分:ラジカル重合開始剤)
本実施形態に係る半導体用接着剤は、ラジカル重合開始剤(以下、場合により「(C)成分」という)を含有してよい。(C)成分は、ボイド等の発生を抑制しやすい観点から、過酸化物を含むことが好ましい。急速加熱試験における過酸化物の分解温度は、半導体用接着剤の優れた硬化性及び粘度安定性が得られやすい観点から、70~170℃が好ましい。
【0061】
(C)成分としては、1,1,3,3-テトラメチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0062】
(C)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対して下記の範囲が好ましい。(C)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、3質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましく、8質量部以上が特に好ましく、10質量部以上が極めて好ましい。(C)成分の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点から、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、(C)成分の含有量は、3~30質量部が好ましく、4~20質量部がより好ましく、5~15質量部が更に好ましい。
【0063】
((D)成分:可とう化剤)
本実施形態に係る半導体用接着剤は、可とう化剤(以下、場合により「(D)成分」という。(A)~(C)成分に該当する化合物を除く)を含有してよい。(D)成分は、液状ゴム及び熱可塑性樹脂(液状ゴムに該当する化合物を除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0064】
液状ゴムとしては、ポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、マレイン化ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエンゴム(例えば、カルボキシ基を有するアクリロニトリルポリブタジエン共重合体)、アミノ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、ビニル末端アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等の、ポリブタジエン骨格を有する樹脂などが挙げられる。
【0065】
液状ゴムは、半導体用接着剤の弾性率を低減させやすい観点から、エポキシ化ポリブタジエン、及び、カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。優れた塗布作業性及び接着強度を得やすい観点から、エポキシ化ポリブタジエン、及び、カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエンゴムを併用することが好ましい。
【0066】
エポキシ化ポリブタジエンは、市販されているポリブタジエンを過酸化水素水又は過酸類によりエポキシ化することによって容易に得ることができる。エポキシ化ポリブタジエンは、例えば、B-1000、B-3000、G-1000、G-3000(以上、日本曹達株式会社製)、B-1000、B-2000、B-3000、B-4000(以上、日本石油株式会社製)、R-15HT、R-45HT、R-45M(以上、出光石油株式会社製)、エポリードPB-3600、エポリードPB-4700(以上、ダイセル化学工業株式会社製)等が市販品として入手できる。エポキシ化ポリブタジエンのオキシラン酸素濃度は、3~18%が好ましく、6~12%がより好ましい。
【0067】
カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエンゴムを用いることにより、優れた接着強度が得られやすい。カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエンゴムは、優れた接着強度が得られやすい観点から、下記一般式(d1)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0068】
【化6】
[式中、x及びyは、それぞれ独立に、繰り返し数の平均値を示す0以上の数であり、x/yは95/5~50/50であり、mは5~50の整数を示す。]
【0069】
カルボキシ基を有するアクリロニトリルポリブタジエンとしては、Hycar CTBN-2009×162,CTBN-1300×31,CTBN-1300×8、CTBN-1300×13、CTBN-1009SP-S、CTBNX-1300×9(いずれも宇部興産株式会社製)等が市販品として入手できる。
【0070】
液状ゴムの数平均分子量は、充分な可とう化効果が得られやすい観点から、500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。液状ゴムの数平均分子量は、半導体用接着剤の粘度の過剰な上昇が抑制されて優れた塗布作業性が得られやすい観点から、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。これらの観点から、液状ゴムの数平均分子量は、500~10000が好ましく、1000~5000がより好ましい。液状ゴムの数平均分子量は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算して得ることができる。
[GPC条件]
ポンプ:日立 L-6000型(株式会社日立製作所製)
検出器:日立 L-3300 RI(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL-R420+Gelpack GL-R430+Gelpack GL-R430(計3本)(日立化成株式会社製、商品名)
溶離液:THF
試料濃度:250mg/5mL
注入量:50μL
圧力:441Pa(45kgf/cm
流量:1.75mL/分
【0071】
液状ゴムの含有量は、(D)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。液状ゴムの含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、優れた接着強度を得やすい観点から、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、14質量%以上が特に好ましい。液状ゴムの含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、優れた接着強度を得やすい観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、液状ゴムの含有量は、5~50質量%が好ましく、8~40質量%がより好ましい。
【0072】
熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸メチル、ε-カプロラクトン変性ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリイミド、下記一般式(d2)で表される共重合体等が挙げられる。
【0073】
【化7】
[式中、R51及びR52、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、r、s、t及びuは、それぞれ独立に、繰り返し数の平均値を示す0以上の数であり、r+tは0.1以上(好ましくは0.3~5)であり、s+uは1以上(好ましくは1~100)である。]
【0074】
熱可塑性樹脂の数平均分子量は、充分な可とう化効果が得られやすい観点から、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましい。熱可塑性樹脂の数平均分子量は、半導体用接着剤の粘度の過剰な上昇が抑制されて優れた塗布作業性が得られやすい観点から、300000以下が好ましく、200000以下がより好ましい。これらの観点から、熱可塑性樹脂の数平均分子量は、10000~300000が好ましく、20000~200000がより好ましい。熱可塑性樹脂の数平均分子量は、液状ゴムの数平均分子量と同様の方法により測定できる。
【0075】
熱可塑性樹脂の含有量は、(D)成分の総量を基準として下記の範囲が好ましい。熱可塑性樹脂の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、優れた接着強度を得やすい観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましい。熱可塑性樹脂の含有量は、優れた熱伝導性を得やすい観点、及び、優れた接着強度を得やすい観点から、95質量%以下が好ましく、92質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましく、86質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、熱可塑性樹脂の含有量は、50~95質量%が好ましく、60~92質量%がより好ましい。
【0076】
(D)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対して下記の範囲が好ましい。(D)成分の含有量は、充分な可とう化効果が得られやすい観点から、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上が更に好ましく、60質量部以上が特に好ましい。(D)成分の含有量は、半導体用接着剤の粘度の過剰な上昇が抑制されて優れた塗布作業性が得られやすい観点から、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、(D)成分の含有量は、30~100質量部が好ましく、40~80質量部がより好ましく、50~70質量部が更に好ましい。
【0077】
((E)成分:カップリング剤)
本実施形態に係る半導体用接着剤は、カップリング剤(以下、場合により「(E)成分」という)を含有してよい。(E)成分としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
【0078】
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロキシエトキシ)シラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(4,5-ジヒドロイミダゾリル)プロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリグリシドキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、エトキシシラントリイソシアネート等が挙げられる。チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジ-トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピル(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピオネート等が挙げられる。ジルコネート系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコネート、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート等が挙げられる。
【0079】
(E)成分の含有量は、(B)成分100質量部に対して下記の範囲が好ましい。(E)成分の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、8質量部以上が更に好ましい。(E)成分の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。これらの観点から、(E)成分の含有量は、3~30質量部が好ましく、5~20質量部がより好ましい。
【0080】
(その他の成分)
本実施形態に係る半導体用接着剤は、必要に応じて、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の吸湿剤;フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高級脂肪酸等の濡れ性向上剤;シリコーン油等の消泡剤;無機イオン交換体等のイオントラップ剤;溶剤などを含有してよい。溶剤を用いることにより粘度を調整してもよい。溶剤を用いる場合、溶剤の含有量は、ボイド等の発生を抑制しやすい観点から、半導体用接着剤の総量を基準として3質量%以下が好ましい。本実施形態に係る半導体用接着剤は、アウトガスの発生を抑制しやすいと共に、支持部材に対する接着剤の良好な濡れ性が得られやすい観点から、溶剤を含有しなくてよい(無溶剤であってよい)。
【0081】
本実施形態に係る半導体用接着剤の回転数0.5rpmにおける粘度(25℃)は、優れた塗布作業性が得られやすい観点から、300Pa・s以下が好ましく、200Pa・s以下がより好ましく、150Pa・s以下が更に好ましく、100Pa・s以下が特に好ましく、80Pa・s以下が極めて好ましく、70Pa・s以下が非常に好ましく、65Pa・s以下がより一層好ましい。本実施形態に係る半導体用接着剤の回転数0.5rpmにおける粘度(25℃)は、銀粒子の沈降を抑制しやすいことから半導体用接着剤の優れた保管安定性を得やすい観点から、30Pa・s以上が好ましく、40Pa・s以上がより好ましく、50Pa・s以上が更に好ましい。これらの観点から、半導体用接着剤の回転数0.5rpmにおける粘度(25℃)は、30~300Pa・sが好ましい。本実施形態に係る半導体用接着剤の回転数5rpmにおける粘度(25℃)は、優れた塗布作業性が得られやすい観点から、40Pa・s以下が好ましく、35Pa・s以下がより好ましく、30Pa・s以下が更に好ましく、25Pa・s以下が特に好ましい。本実施形態に係る半導体用接着剤の回転数5rpmにおける粘度(25℃)は、銀粒子の沈降を抑制しやすいことから半導体用接着剤の優れた保管安定性を得やすい観点から、10Pa・s以上が好ましく、15Pa・s以上がより好ましく、20Pa・s以上が更に好ましい。これらの観点から、半導体用接着剤の回転数5rpmにおける粘度(25℃)は、10~40Pa・sが好ましい。粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて測定できる。
【0082】
<半導体部品>
本実施形態に係る半導体部品は、支持部材と、半導体素子と、支持部材及び半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備え、接着剤層が、本実施形態に係る半導体用接着剤又はその硬化物を含む。半導体素子は、接着剤層を介して支持部材上に搭載されている。接着剤層は、支持部材及び半導体素子に接している。本実施形態に係る半導体部品では、本実施形態に係る半導体用接着剤を用いることにより、半導体素子から発生した熱を外部に効率的に放散することができると共に、半導体素子と支持部材との高い接着強度を得ることができる。本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る半導体部品を備える。
【0083】
支持部材(半導体素子搭載用支持部材)としては、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム、パラジウムPPFリードフレーム等のリードフレーム;ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂からなる基板)、BT基板(シアネートモノマー及びそのオリゴマーとビスマレイミドからなるBTレジン使用基板)等の有機基板などが挙げられる。半導体素子としては、IC、LSI、LEDチップ等が挙げられる。半導体素子の厚さは、600μm以下であってよく、500μm以下であってよく、400μm以下であってよい。
【0084】
本実施形態に係る半導体部品は、半導体素子の一部又は全部を封止する封止部を備えていてよい。封止部の構成材料としては、透光性樹脂を用いることができる。封止部は、支持部材の一部又は全部を封止していてもよい。
【0085】
本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、本実施形態に係る半導体用接着剤を支持部材と半導体素子との間に配置して接着剤層を形成する接着剤層形成工程を備える。本実施形態に係る半導体用接着剤は、構成成分を一括又は分割して攪拌機、ハイブリッドミキサー、ライカイ機、3本ロール、プラネタリーミキサー等を用いて混合することにより得ることができる。
【0086】
本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤層形成工程の後に、接着剤層を硬化(熱硬化等)して硬化物を得る工程を備えてよい。本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤層形成工程の後に、半導体素子をワイヤボンディングするワイヤボンド工程を備えていてよい。本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤層形成工程の後に、半導体素子を封止する工程を備えていてよい。
【0087】
半導体用接着剤を用いて半導体素子を支持部材に接着させるには、例えば、まず、支持部材上に半導体用接着剤をディスペンス法、スクリーン印刷法、スタンピング法等により塗布した後、半導体素子を圧着し、その後、加熱装置(オーブン、ヒートブロック等)を用いて半導体用接着剤を加熱硬化することにより行うことができる。さらに、ワイヤボンド工程を経た後、通常の方法により半導体素子を封止することができる。
【0088】
上述の加熱硬化の温度は、低温での長時間硬化、高温での速硬化等の条件により異なるが、例えば、150~220℃(好ましくは180~200℃)で30秒~2時間(好ましくは1時間~1時間30分)行うことができる。
【0089】
図1は、本実施形態に係る半導体部品の一例を示す模式断面図である。図1に示すように、半導体部品10は、支持部材11、半導体素子13、接着剤層15、及び、封止部17を備える。接着剤層15は、支持部材11と半導体素子13との間に配置されており、本実施形態に係る半導体用接着剤又はその硬化物を含む。封止部17は、支持部材11、半導体素子13及び接着剤層15を封止している。半導体素子13は、ワイヤ19aを介してリードフレーム19bに接続されている。
【0090】
図2は、本実施形態に係る半導体部品の他の例を示す模式断面図である。図2に示すように、半導体部品20は、支持部材21、半導体素子(LEDチップ)23、接着剤層25、及び、封止部27を備える。支持部材21は、基板21aと、基板21aを囲むように形成されたリードフレーム21bと、を有している。接着剤層25は、支持部材21と半導体素子23との間に配置されており、本実施形態に係る半導体用接着剤又はその硬化物を含む。封止部27は、半導体素子23及び接着剤層25を封止している。半導体素子23は、ワイヤ29を介してリードフレーム21bに接続されている。
【実施例
【0091】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0092】
<半導体用接着剤の構成成分>
(銀粒子)
AgC-221PA(福田金属箔粉工業株式会社製、商品名、形状:鱗片状、BET比表面積:0.20m/g、平均粒径:7.5μm)
AgC-271B(福田金属箔粉工業株式会社製、商品名、形状:鱗片状、BET比表面積:0.50m/g、平均粒径:2.1μm)
AgC-221Q3(福田金属箔粉工業株式会社製、商品名、形状:鱗片状、BET比表面積:0.35m/g)
TC-88(株式会社徳力化学研究所製、商品名、形状:鱗片状、BET比表面積:1.05m/g)
【0093】
((メタ)アクリロイル基を有する単量体)
FA-512A(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、日立化成株式会社製、商品名、下記式(b51)で表される化合物)
SR-339A(2-フェノキシエチルアクリレート、サートマー社製、商品名、下記式(b52)で表される化合物)
SR-349(EO変性ビスフェノールAジアクリレート、サートマー社製、商品名、下記式(b53)で表される化合物)
【化8】
【0094】
(ラジカル重合開始剤)
トリゴノックス22-70E(1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、化薬アクゾ株式会社製、商品名)
【0095】
(可とう化剤)
エポリードPB-4700(エポキシ化ポリブタジエン、ダイセル化学工業株式会社製、商品名、エポキシ当量:152.4~177.8、数平均分子量:3500)
CTBN-1009SP-S(カルボキシ基を有するアクリロニトリルポリブタジエン共重合体、宇部興産株式会社製、商品名、数平均分子量:3600)
【0096】
(カップリング剤)
KBM-403(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名)
【0097】
<半導体用接着剤の調製>
表1の各成分(配合量の単位:質量部)を混合した後、ハイブリットミキサを用いて混練した。次に、666.61Pa(5Torr)以下で3分間脱泡処理を行うことにより半導体用接着剤(導電性組成物)を得た。
【0098】
<評価>
熱伝導率、粘度及びダイシェア強度(接着強度)を下記に示す方法で評価した。結果を表1に示す。ダイシェア強度は実施例についてのみ評価した。
【0099】
(熱伝導率)
オーブンを用いて半導体用接着剤を180℃まで1時間で昇温した後に180℃で1時間保持することにより硬化物を得た。そして、下記測定装置を用いて熱拡散率、比重及び比熱を測定した後、下記式によって熱伝導率を算出した。
[測定装置]
熱拡散率:レーザフラッシュ法熱定数測定装置(Netzsch製、LFA 467 HyperFlash)
比熱:DSC(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、Q-200)
比重:電子比重計(アルファミラージュ株式会社製、SD-200L)
[算出式]
λ=α×ρ×C
λ:熱伝導率(W/m/K)
α:熱拡散率(mm/s)
ρ:比重(g/cm
:比熱(J/g/K)
【0100】
(粘度)
ブルックフィールド型粘度計(Brookfield Engineering Laboratories製、HADV-III U CP)を用いて、接着剤量0.5mL、温度25℃、回転数0.5rpm又は5rpmで3分間回転後の半導体用接着剤の粘度を得た。
【0101】
(ダイシェア強度)
半導体用接着剤を銀リングめっき付き銅リードフレーム上に約1.5mg塗布した後、半導体用接着剤上に5mm×5mmのシリコンチップ(厚さ:400μm)を圧着した。さらに、オーブンを用いて180℃まで30分で昇温した後に180℃で1時間保持して半導体用接着剤を硬化させて半導体部品を得た。自動接着力試験装置(BT4000、Dage社製)を用いて、半導体部品の250℃における剪断接着強度(MPa)を測定した。10個の半導体部品の測定結果の平均値をダイシェア強度の測定結果として得た。
【0102】
【表1】
【0103】
表1に示すように、実施例では、比較例と比較して熱伝導率が高いことが確認される。また、実施例では、優れた熱伝導性、塗布作業性(粘度)及び接着強度が得られることが確認される。
【符号の説明】
【0104】
10,20…半導体部品、11,21…支持部材、13,23…半導体素子、15,25…接着剤層、17,27…封止部、19a,29…ワイヤ、19b,21b…リードフレーム、21a…基板。
図1
図2