(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】警備システム、警備装置及び対話端末
(51)【国際特許分類】
G08B 23/00 20060101AFI20230208BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230208BHJP
G08B 15/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G08B23/00 530A
G08B25/04 H
G08B15/00
(21)【出願番号】P 2018243567
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-12-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 SECURITY SHOW 2018での発表 展示日:平成30年3月6日 [刊行物等] ウェブサイトにて公開 https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/00402/ 掲載日:平成30年3月9日 [刊行物等] プレス発表 開催場所:ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社(東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイドTSタワー) 開催日:平成30年9月21日 [刊行物等] ウェブサイトにて公開 https://robotstart.info/2018/10/01/xperia-hello-new.html 掲載日:平成30年10月1日 [刊行物等] ウェブサイトにて公開 https://www.secom.co.jp/corporate/release/2018/nr_20181001_1.html 掲載日:平成30年10月1日 [刊行物等] 販売 販売日:平成30年10月1日 [刊行物等] ウェブサイトにて公開 https://www.sonymobile.co.jp/product/smartproducts/g1209/ 掲載日:平成30年10月1日 [刊行物等] セコム・ホームセキュリティ セコム・ホームセキュリティアプリ編 取扱説明書 発行者:セコム株式会社 頒布日:平成30年10月1日 [刊行物等] ウェブサイトにて公開 https://www.secom.co.jp/homesecurity/goods/xperia-hello.html 掲載日:平成30年10月1日[刊行物等] 「セコム・ホームセキュリティ」が、もっと楽しく!安心に! 発行者:セコム株式会社 頒布日:平成30年10月1日 [刊行物等] ウェブサイトにて公開 https://kyodonewsprwire.jp/release/201810018594 掲載日:平成30年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 博之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 達樹
(72)【発明者】
【氏名】城井 学
(72)【発明者】
【氏名】磯部 晴菜
(72)【発明者】
【氏名】石原 厚志
(72)【発明者】
【氏名】小松 英寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 省吾
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097655(JP,A)
【文献】特開2004-362252(JP,A)
【文献】特開2010-218281(JP,A)
【文献】特開2014-215816(JP,A)
【文献】特開2008-250372(JP,A)
【文献】特開2007-219842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備システムであって、
報知部と、
前記警備モードを変更する警備モード変更手段と、
前記監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、
前記警備モードが前記警戒解除モードであり、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内に、前記利用者認識手段が利用者を認識した場合、前記警備モードの前記有人警戒モードへの切替を前記報知部を介して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する警備システム。
【請求項2】
前記促し期間は、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更された直後の待機時間を含まない、請求項1に記載の警備システム。
【請求項3】
前記有人警戒促し手段は、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更されてから前記利用者認識手段が認識した1人目の利用者に対してのみ、前記有人警戒モードへの切替を提案する、請求項1又は2に記載の警備システム。
【請求項4】
前記有人警戒促し手段は、前記利用者認識手段が認識した利用者が特定の利用者である場合のみ、前記有人警戒モードへの切替を提案する、請求項1~3のいずれか一項に記載の警備システム。
【請求項5】
前記有人警戒促し手段は、前記利用者認識手段が認識した利用者が特定の利用者である場合、前記待機時間を他の利用者より短い時間又は0とする、請求項2に記載の警備システム。
【請求項6】
前記利用者認識手段は、前記監視空間内の一部の空間において利用者を認識する、請求項1~5のいずれか一項に記載の警備システム。
【請求項7】
警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置と、対話端末と、を備える警備システムであって、
前記警備装置は、
前記警備モードを変更する警備モード変更手段と、
前記警備モード変更手段が前記警備モードを変更すると、前記変更された警備モードを前記対話端末に送信する警備モード送信手段と、を有し、
前記対話端末は、
利用者との対話を入出力する対話操作部と、
前記警備モードを記憶する対話記憶部と、
前記警備装置から前記変更された警備モードを受信して前記対話記憶部に記憶する警備モード受信手段と、
前記監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、
前記対話記憶部に記憶された警備モードが前記警戒解除モードであり、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内に、前記利用者認識手段が利用者を認識した場合、前記警備モードの前記有人警戒モードへの切替を前記対話操作部から発話して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する警備システム。
【請求項8】
警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置と通信可能な対話端末であって、
利用者との対話を入出力する対話操作部と、
前記警備モードを記憶する対話記憶部と、
警備システムから変更された警備モードを受信して前記対話記憶部に記憶する警備モード受信手段と、
前記監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、
前記対話記憶部に記憶された警備モードが前記警戒解除モードであり、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内に、前記利用者認識手段が利用者を認識した場合、前記警備モードの前記有人警戒モードへの切替を前記対話操作部から発話して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する対話端末。
【請求項9】
警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置と、対話端末と、を備える警備システムであって、
前記警備装置は、
前記警備モードを変更する警備モード変更手段と、
前記対話端末から認識した利用者の認識情報を受信する認識情報受信手段と、
前記認識情報受信手段が前記認識情報を受信したとき、前記警備モードが前記警戒解除モードであり、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内である場合、前記有人警戒モードへの切替の促しを要請する促し要請を前記対話端末に送信する有人警戒促し手段と、を有し、
前記対話端末は、
利用者との対話を入出力する対話操作部と、
前記監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、
前記利用者認識手段が利用者を認識すると、前記認識した利用者の認識情報を前記警備装置に送信する認識情報送信手段と、
前記警備装置から前記促し要請を受信する促し要請受信手段と、
前記促し要請受信手段が前記促し要請を受信すると、前記警備モードの前記有人警戒モードへの切替を前記対話操作部から発話して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する警備システム。
【請求項10】
利用者を認識し対話する対話端末と通信可能であり、警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置であって、
前記警備モードを変更する警備モード変更手段と、
前記対話端末から認識した利用者の認識情報を受信する認識情報受信手段と、
前記認識情報受信手段が前記認識情報を受信したとき、前記警備モードが前記警戒解除モードであり、前記警備モードが前記無人警戒モードから前記警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内である場合、促し要請を前記対話端末に送信して前記有人警戒モードへの切替の提案を発話させる有人警戒促し手段と、を有する警備装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備システム、警備装置及び対話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警備装置が、住宅等の警備対象に設置された各種センサや操作器によって検知された異常を、ブザー鳴動等により報知するとともに、ネットワークを介して接続された監視センタ等へ通報する警備システムが利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、警戒解除モード、無人警戒モード、有人警戒モード等の複数の警備モードを備え、警備対象の状況に応じて適宜に警備モードを切り替えることができるように構成された警備装置が開示されている。
ここで、警戒解除モードとは、警備対象が有人であり、火災発生や非常通報を検知した場合には異常発生を報知するとともに監視センタへ通報するが、侵入監視センサが検知しても報知及び通報を行わない状態である。通常、この警戒解除モードは、警備対象にて利用者が活動している日中に利用される。
また、無人警戒モードとは、警備対象が無人であり、火災発生や非常通報の検知及び全ての侵入監視センサの検知に対して異常発生を報知するとともに監視センタへの通報を行う状態である。無人警戒モードは、利用者全員が警備対象から離れる場合に利用される。
さらに、有人警戒モードとは、警備対象が有人であり、火災発生や非常通報の検知に対して異常発生の報知・通報を行うとともに、例えば、窓や扉などを介しての警備対象の外部からの侵入を検知するために設置された一部の特定の侵入監視センサが検知した場合に異常発生の報知・通報を行う状態である。一方、警備対象内部の空間センサ等の他の侵入監視センサが検知した場合には異常と判定せず報知・通報を行わない。この有人警戒モードは、主に就寝時に利用される。なお、部分的に侵入センサによる監視を行いたい場合には、ブロック有人警戒モードを利用することもできる。このモードは、例えば、1階にしか利用者がおらず、2階を監視したい場合などに利用される。
【0004】
利用者は、これらの警備モードを状況に応じて適宜切り替えることにより、警備システムをより効果的に利用して安全を確保できる。しかしながら、利用者が適切な警備モードへの切替操作を忘れると、警備システムは、状況に応じて必要な異常を検知できないので警備対象及び利用者の安全確保は難しくなる。
特許文献2には、外出動作検知用センサが非警備対象者の外出を検知した時、非警備対象者検知用センサが他に利用者を検知せず、かつ、非警戒モードである場合に、モード切替督促情報を携帯電話などのリモート報知器に提示して、警備サービスの利用者に警戒モードへの切替を促すことにより、人為的なミスによる警備の空白の発生を防止する警備システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-275878号公報
【文献】特開2004-362252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されているのは、利用者の外出時に無人警戒モードに促すことであり、警備対象が有人であるとき、警戒解除モードから有人警戒モードに切り替えるよう利用者に促すことは記載されていない。また、必要以上に有人警戒モードへの切替えを促すことは利用者に不快感を与えることになりかねず、適切なタイミングで促すことが重要である。
【0007】
本発明の目的は、帰宅した利用者に対して適切なタイミングで有人警戒モードの利用を促す警備システム、警備装置及び対話端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するための本発明は、警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備システムであって、報知部と、警備モードを変更する警備モード変更手段と、監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、警備モードが警戒解除モードであり、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内に、利用者認識手段が利用者を認識した場合、警備モードの有人警戒モードへの切替を報知部を介して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する警備システムを提供する。
【0009】
この警備システムにおいて、促し期間は、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更された直後の待機時間を含まないことが好ましい。
【0010】
この警備システムにおいて、有人警戒促し手段は、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更されてから利用者認識手段が認識した1人目の利用者に対してのみ、有人警戒モードへの切替を提案することが好ましい。
【0011】
この警備システムにおいて、有人警戒促し手段は、利用者認識手段が認識した利用者が特定の利用者である場合のみ、有人警戒モードへの切替を提案することが好ましい。
【0012】
この警備システムにおいて、有人警戒促し手段は、利用者認識手段が認識した利用者が特定の利用者である場合、待機時間を他の利用者より短い時間又は0とすることが好ましい。
【0013】
この警備システムにおいて、利用者認識手段は、監視空間内の一部の空間において利用者を認識することが好ましい。
【0014】
本発明の他の態様によれば、警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置と、対話端末と、を備える警備システムであって、警備装置は、警備モードを変更する警備モード変更手段と、警備モード変更手段が警備モードを変更すると、変更された警備モードを対話端末に送信する警備モード送信手段と、を有し、対話端末は、利用者との対話を入出力する対話操作部と、警備モードを記憶する対話記憶部と、警備装置から変更された警備モードを受信して対話記憶部に記憶する警備モード受信手段と、監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、対話記憶部に記憶された警備モードが警戒解除モードであり、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内に、利用者認識手段が利用者を認識した場合、警備モードの有人警戒モードへの切替を対話操作部から発話して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する警備システムを提供する。
【0015】
本発明の他の態様によれば、警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置と通信可能な対話端末であって、利用者との対話を入出力する対話操作部と、警備モードを記憶する対話記憶部と、警備システムから変更された警備モードを受信して対話記憶部に記憶する警備モード受信手段と、監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、対話記憶部に記憶された警備モードが警戒解除モードであり、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内に、利用者認識手段が利用者を認識した場合、警備モードの有人警戒モードへの切替を対話操作部から発話して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する対話端末を提供する。
【0016】
本発明の他の態様によれば、警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置と、対話端末と、を備える警備システムであって、警備装置は、警備モードを変更する警備モード変更手段と、対話端末から認識した利用者の認識情報を受信する認識情報受信手段と、認識情報受信手段が認識情報を受信したとき、警備モードが警戒解除モードであり、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内である場合、有人警戒モードへの切替の促しを要請する促し要請を対話端末に送信する有人警戒促し手段と、を有し、対話端末は、利用者との対話を入出力する対話操作部と、監視空間内の利用者を認識する利用者認識手段と、利用者認識手段が利用者を認識すると、認識した利用者の認識情報を警備装置に送信する認識情報送信手段と、警備装置から促し要請を受信する促し要請受信手段と、促し要請受信手段が促し要請を受信すると、警備モードの有人警戒モードへの切替を対話操作部から発話して利用者に提案する有人警戒促し手段と、を有する警備システムを提供する。
【0017】
本発明の他の態様によれば、利用者を認識し対話する対話端末と通信可能であり、警備モードとして、無人警戒モード、有人警戒モード及び警戒解除モードを有し、警備対象の監視空間への侵入を監視する警備装置であって、警備モードを変更する警備モード変更手段と、対話端末から認識した利用者の認識情報を受信する認識情報受信手段と、認識情報受信手段が認識情報を受信したとき、警備モードが警戒解除モードであり、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更された後の所定の促し期間内である場合、促し要請を対話端末に送信して有人警戒モードへの切替の提案を発話させる有人警戒促し手段と、を有する警備装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る警備システム、警備装置及び対話端末は、利用者に対して適切なタイミングで有人警戒モードの利用を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る警備システムの概略構成を示す図である。
【
図2】警備装置30による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】対話端末40による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3における有人警戒促し判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】利用者の帰宅から有人警戒モードへの切替までに行われる各装置の一連の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る警備システムについて図を参照しつつ説明する。ただし、本発明は図面又は以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る警備システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、警備システム1は、監視センタに設置される監視サーバ10と、監視サーバ10と通信接続され、例えば住宅等の警備対象に設置される警備装置30と、警備装置30と無線通信を介して接続される対話端末40と、を有する。また、警備装置30は、有/無線通信を介して、入館操作端末21、入館規制端末22、侵入センサ23及び火災センサ24等の種々のセンサと接続される。
【0022】
監視サーバ10は、インターネット等の広域通信網中のクラウドサーバ等であり、監視センタにおいて監視員が警備システム1全体を監視するのに用いられる。監視サーバ10は、一又は複数の警備装置30と通信接続され、警備装置30から異常検知等の通報を受信する。
【0023】
入館操作端末21は、警備対象の出入口扉の外側に設置され、利用者が警備対象内への入館を要請する操作端末であり、利用者のID、認証コード、指紋/顔/声等の生体情報等の認証に用いられる認証情報を入力する、カードリーダ、ICスティックコンテナ、カメラ、マイク等を有する。
入館規制端末22は、警備対象内への入館を規制するために入口扉などに設置され、警備装置30から送信される解錠/施錠信号に従って解錠/施錠される電気錠である。
なお、本実施形態では、入館操作端末21と入館規制端末22とは、別々の装置でありそれぞれが警備装置30と接続されるが、互いに直接接続されたり、統合された一体の装置でもよく、警備装置30から独立して動作してもよい。なお、入館操作端末21及び入館規制端末22を用いず、物理的な鍵及び錠を用いる構成としてもよい。
【0024】
侵入センサ23は、リードスイッチ及びマグネット等により警備対象の扉や窓等の開閉を検知するセンサ、熱源としての人体が発する熱を検知するセンサ、人体により赤外線が遮られたことを検知するセンサ等の、侵入者を検知するためのセンサである。この侵入センサ23は、後述するように、警備対象の外部、及び警備対象の外部と内部との境界等の外周エリアに設置された外周侵入センサ23-1~2と、警備対象の内部エリアに設置された内部侵入センサ23-3と、に大別され、警備モードによって異常を報知、通報するか否かが異なるセンサの一例である。
火災センサ24は、火災発生に伴う熱や煙を検知するセンサであり、全ての警備モードにおいて異常を報知、通報するセンサの一例である。
侵入センサ23及び火災センサ24は、異常を検知すると、異常検知を警備装置30に送信する。
【0025】
警備装置30は、利用者により設定された警備モードに従って、侵入センサ23及び火災センサ24等が検知する異常を監視して警備対象を警備する情報処理装置である。警備装置30は、インタフェース部31と、第1警備通信部32と、第2警備通信部33と、警備操作部34と、報知部35と、警備記憶部36と、警備制御部37と、を有する。
【0026】
インタフェース部31は、例えばUSB等のシリアルバス規格に準じるインタフェース回路を有し、入館操作端末21、入館規制端末22、侵入センサ23及び火災センサ24と通信接続して各種情報を送受信する。なお、インタフェース部31は、シリアルバス規格に準じるインタフェース回路の代わりに、Ethernet(登録商標)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)等の有線/無線通信規格に準じるインタフェース回路を有してもよい。
【0027】
第1警備通信部32は、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線等の近距離無線通信規格に準じる通信インタフェース回路を有し、対話端末40と通信接続して各種情報を送受信する。
第2警備通信部33は、Ethernet(登録商標)、IEEE802.11等の有線/無線通信規格に準じる通信インタフェース回路を有し、LANを介してインターネット等の広域通信網中の監視サーバ10と通信接続して各種情報を送受信する。
【0028】
警備操作部34は、タッチパネル、ボタン等のユーザ入出力インタフェースを有し、利用者が警備装置30に対して警備モードの切替や非常通報などの操作を行う。さらに、警備操作部34は、利用者の認証に用いられる情報の種類(利用者のID、認証コード、指紋/顔/声等の生体情報等)に応じて、これら認証情報を入力するカードリーダ、ICスティックコンテナ、カメラ、マイク等を有する。
【0029】
報知部35は、侵入センサ23、火災センサ24等が検知した異常を報知し、ブザー、スピーカ、ランプ、ディスプレイ等のユーザ出力インタフェースを有する。
【0030】
警備記憶部36は、ROM、RAMなどの半導体メモリ、磁気ディスク(HDD)、又はCD-ROM、DVD-RAMなどの光ディスクドライブ及びその記憶媒体を有する。警備記憶部36は、警備装置30の動作を制御するのに警備制御部37が実行するコンピュータプログラムのコード及び各種データを記憶する。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能な可搬型記憶媒体や通信回線を介して公知のセットアッププログラム等により警備記憶部36にインストールされてもよい。
警備記憶部36は、データとして、認証情報361と、警備情報362と、警備状態363と、を記憶する。認証情報361には、警備対象の利用者の認証に用いられる認証情報が予め記憶される。警備情報362には、各警備モードにおける有効なセンサ、各センサが検知する異常の種類、異常の種類及び警備モードに応じた報知方法や通報先等の警備に必要な警備情報が予め記憶される。警備状態363には、現時点の警備モード、異常検知中のセンサ等の警備の状態を表す情報が記憶される。
【0031】
警備制御部37は、CPU、MPUなどのプロセッサとその周辺回路とを有し、当該プロセッサは、警備記憶部36に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって警備装置30の動作を制御する。なお、警備制御部37として、DSP、LSI、ASIC、FPGAなどが用いられてもよい。警備制御部37は、時間を計測するタイマ等を有してもよい。
警備制御部37は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして、入館要請に応じて利用者を認証して入館を許可する入館制御手段371と、警備モードの変更要請に応じて警備モードを変更する警備モード変更手段372と、変更した警備モードを対話端末40に送信する警備モード送信手段373と、を有する。なお、警備制御部37及びその各部の動作については、後述の警備装置30による動作の説明にて詳述する。
【0032】
対話端末40は、音声や画像を通じた利用者との対話機能を有する、コミュニケーションロボット等の情報処理装置である。対話端末40は、対話通信部41と、画像取得部42と、対話操作部43と、対話記憶部44と、対話制御部45と、を有する。
【0033】
対話通信部41は、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線等の警備装置30の第1警備通信部32に対応する近距離無線通信規格に準じる通信インタフェース回路を有し、警備装置30と通信接続して各種情報を送受信する。
【0034】
画像取得部42は、CCD素子又はC-MOS素子等、可視光に感度を有する光電変換素子と、その光電変換素子上に像を結像する結像光学系と、光電変換素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器と、を有する内蔵カメラ等であり、警備対象の監視空間を撮影したRGB形式等のデジタル画像を逐次取得する。
【0035】
対話操作部43は、マイク、スピーカ等の音声入出力デバイスを有し、音声データを入出力して利用者と対話する。対話操作部43は、タッチパネル、ボタン、ランプ等の他の入出力デバイスを有してもよい。なお、対話操作部43は本発明の報知部として機能する。
【0036】
対話記憶部44は、警備記憶部36と同様の半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスクドライブ及びその記憶媒体を有する。対話記憶部44は、対話端末40の動作を制御するのに対話制御部45が実行するコンピュータプログラムのコード及び各種データを記憶する。コンピュータプログラムは、警備記憶部36と同様に公知のセットアッププログラムなどを用いて対話記憶部44にインストールされてもよい。
対話記憶部44は、データとして、警備モード441と、利用者情報442と、を記憶する。
警備モード441には、警備装置30から受信した警備モードが記憶される。
利用者情報442には、利用者の識別情報、利用者を認識するのに用いる利用者の正面の顔の特徴を有する登録顔画像等の利用者に関する情報が予め記憶される。また、利用者情報442は、利用者の年齢、被保護者か否か等の属性情報を有してもよい。
【0037】
対話制御部45は、CPU、MPU等のプロセッサとその周辺回路とを有し、当該プロセッサは、対話記憶部44に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって対話端末40の動作を制御する。なお、対話制御部45として、DSP、LSI、ASIC、FPGAなどが用いられてもよい。対話制御部45は、時間を計測するタイマ等を有してもよい。
対話制御部45は、プロセッサ上で動作するプログラムの機能モジュールとして、警備装置30から警備モードを受信して記憶する警備モード受信手段451と、撮影画像を画像解析して利用者を認識する利用者認識手段452と、入出力音声データを解析/合成する発話処理手段453と、利用者に有人警戒モードへの切替を提案する有人警戒促し手段454と、を有する。なお、対話制御部45とその各部の動作については、後述の対話端末40による動作の説明にて詳述する。
【0038】
図2は、本実施形態に係る警備装置30による動作の一例を示すフローチャートである。以下に説明する動作は、警備制御部37が、警備記憶部36に予め記憶されているプログラムを実行することにより、警備装置30の他の各部と協同して実現される。警備装置30の電源投入又は運用開始操作などにより以下の動作が開始される。
【0039】
ステップS201において、入館制御手段371は、入館操作端末21から警備対象への入館要請を認証情報と共に受け取ると(ステップS201のYes)、受け取った認証情報を認証情報361と照合して正しい利用者による入館要請か否かを判定する。正しい利用者によると判定した場合(ステップS202のYes)、入館規制端末22に解錠信号を送信して例えば1分間などのディレイタイム中警備対象への入館を許可する(ステップS203)。入館要請がない場合(ステップS201のNo)又は正しい利用者でない場合(ステップS202のNo)、警備制御部37は、ステップS204に進む。
【0040】
ステップS204において、警備操作部34から、又は第1警備通信部32を介して対話端末40から、警備モードの変更要請を受け取ると(ステップS204のYes)、警備モード変更手段372は、受け取った変更要請が有する警備モードに従って警備状態363を変更して警備モードを変更する(ステップS205)。このとき、警備モード変更手段372は、変更前後の警備モードの種類、要請元が警備操作部34又は対話端末40の何れか等に従って、利用者の認証や、各センサが異常検知中でなく正常に動作しているか、全ての扉や窓が施錠されているか等の警備の正常確認を行ってから警備モードを変更する。例えば、無人警戒モードと警戒解除モードとの間の切替に関する変更要請を受け取った場合、警備モード変更手段372は、変更要請に含まれる利用者の認証情報を認証情報361と照合して、正しい利用者による変更要請であると認証すれば、警戒解除モードに変更する。他方、警戒解除モードと有人警戒モードとの間の切り替えに関する変更要請を受け取った場合、利用者の認証を省略してもよい。また、要請元が対話端末40で、無人警戒モードから警戒解除モードへの切替以外に関する変更要請を受け取った場合、警備モード変更手段372は、対話端末40により利用者として認識されているので、利用者の認証を行わずに警備の正常確認を行ってから有人警戒モードへ変更してもよい。
警備モードを変更すると、警備モード変更手段372は、変更後の警備モードを有する警備モードの変更通知を対話端末40に送信する(ステップS206)。警備モードの変更要請がない場合(ステップS204のNo)、警備制御部37は、ステップS207に進む。この場合、警備制御部37は、警備モードの問合せ等の他の要請を受け取った場合、要請に応じて対話端末40に回答情報を送る等の処理を行ってもよい。
【0041】
ステップS207において、警備制御部37は、侵入センサ23、火災センサ24又は警備操作部34から異常検知を受け取ると(ステップS207のYes)、異常検知が示す異常の種類及び警備記憶部36が記憶する警備モードに従って、警備情報362を用いて、報知部35から異常を報知したり、監視サーバ10、対話端末40等に異常を通報する(ステップS208)。例えば、警戒解除モードの場合、警備制御部37は、火災センサ24が検知した異常及び警備操作部34からの非常通報のみを報知、通報し、侵入センサ23-1~3が検知した異常に関しては何もしない。また、有人警戒モードの場合、警備制御部37は、外周侵入センサ23-1~2及び火災センサ24が検知した異常並びに非常通報を報知、通報し、内部侵入センサ23-3が検知した異常に対しては何もしない。ただし、ブロック有人警戒モードであれば、利用者が居ないと指定されたエリアに設置された内部侵入センサが検知した異常については、報知、通報する。さらに、無人警戒モードの場合、警備制御部37は、警備対象に設置された全ての侵入センサ23-1~3及び火災センサ24が検知した異常並びに非常通報を報知、通報する。
【0042】
侵入センサ23、火災センサ24及び警備操作部34から異常検知が送信されない場合(ステップS207のNo)、警備制御部37は、ステップS209に進む。
ステップS209において、警備制御部37は、警備装置30の電源切断又は運用終了操作等により終了が指示されるまでステップS201~ステップS209を繰り返す。
【0043】
図3は、本実施形態に係る対話端末40による動作の一例を示すフローチャートである。以下に説明する動作は、対話制御部45が、対話記憶部44に予め記憶されているプログラムを実行することにより、対話端末40の他の各部と協同して実現される。対話端末40の電源投入又は利用開始操作等により以下の動作が開始される。
対話端末40の動作開始時に、対話制御部45は、その時点の警備モードを警備装置30に問い合わせて警備モード441の初期設定を行ってもよい。
【0044】
ステップS301において、警備装置30から警備モードの変更通知を受信すると(ステップS301のYes)、対話制御部45は、警備モード441に記憶されている変更前の警備モードと警備装置30から受信した変更通知が有する変更後の警備モードとに基づいて、無人警戒モードから警戒解除モードへの変更か否かを判定する(ステップS302)。なお、対話制御部45は、警備装置30から、変更前の警備モード又は無人警戒モードから警戒解除モードへの変更を示すフラグ等を変更通知と共に受信して、無人警戒モードから警戒解除モードへの変更か否かを判定してもよい。変更通知を受信しない場合(ステップS301のNo)、対話制御部45は、ステップS305に進む。
ステップS302において、無人警戒モードから警戒解除モードへの変更の場合(ステップS302のYes)、対話制御部45は、利用者が帰宅して無人警戒モードから警戒解除モードに切り替えたと判定し、帰宅後の経過時間を計測するタイマを開始し(ステップS303)、そうでない場合(ステップS302のNo)、ステップS304に進む。なお、対話制御部45は、タイマを開始する代わりに、この時点の時刻を帰宅時刻として対話記憶部44に記憶してもよい。
ステップS304において、対話制御部45は、受信した変更後の警備モードを警備モード441に記憶し、発話処理手段453は、「警備を解除しました」「在宅警備に変更しました。」等と発話して警備モードを変更したことを利用者に報告する。
【0045】
ステップS305において、利用者認識手段452は、画像取得部42が警備対象内の対話端末40が設置されたエリア内の特定空間を撮影した撮影画像を解析する。利用者認識手段452は、一般的な顔の特徴を表した顔モデルを参照して、撮影画像から人物の頭部に対応する大きさ、形状であり、目、鼻、口等の特徴を有する領域を人物の頭部領域として検出する。そして、利用者認識手段452は、検出した頭部領域の画像と利用者情報442の登録顔画像とを照合して一致すると、一致した登録顔画像の利用者であると判定、すなわち利用者を認識する。このとき、利用者認識手段452は、例えば、認識した利用者の識別情報、認識回数、認識時刻等の認識情報を対話記憶部44に記憶してもよい。なお、画像を用いた人物の頭部領域の検出方法および利用者の認識方法には、公知の方法を用いることができる。
【0046】
利用者認識手段452が利用者を認識した場合(ステップS306のYes)、対話制御部45は、有人警戒促し判定処理を行い(ステップS307)、利用者を認識しない場合(ステップS306のNo)、ステップS308に進む。後者の場合、例えば、無人警戒モード中に利用者認識手段452が利用者以外の不審者を検出すると、対話制御部45は、警備装置30に異常検知を送信してもよい。
【0047】
図4は、
図3における有人警戒促し判定処理の一例を示すフローチャートである。
図3のステップS307から以下の有人警戒促し判定処理が始動される。
有人警戒促し手段454は、警備モード441及び対話記憶部44に記憶された認識された利用者の認識情報等に基づいて、警備モードが警戒解除モードであり(ステップS401のYes)、認識された利用者が、警備モードが無人警戒モードから警戒解除モードに変更されてから認識された1人目の利用者であり(ステップS402のYes)、この利用者の1回目の認識であり(ステップS403のYes)、帰宅後の経過時間が例えば15分間などの所定の待機期間(帰宅直後の待機時間)を経過し(ステップS404のYes)、帰宅後の経過時間が例えば2時間後までなどの所定の促し期間を超えない場合(ステップS405のNo)、発話処理手段453は、警備モードを有人警戒モードに切り替えることを利用者に提案する促し文の音声データを言語解析により合成して対話操作部43から発話する(ステップS406)。例えば、発話処理手段453は、「在宅警備してますか?」「在宅警備しませんか?」「在宅警備すると安心ですよ。」等の複数の促し文からランダムに選択して発話してもよい。そして、有人警戒促し手段454は、要請受付期間を計時するタイマを開始し、利用者からの警備モードの変更要請を音声にて受け付可能にしてもよい。
【0048】
一方、警備モードが警戒解除モードでない場合(ステップS401のNo)、帰宅後に認識された1人目の利用者でない場合(ステップS402のNo)、1回目の認識でない場合(ステップS403のNo)、帰宅後の経過時間が待機期間を経過していない場合(ステップS404のNo)、又は帰宅後の経過時間が促し期間を超えた場合(ステップS405のYes)、対話制御部45は、有人警戒促し判定処理を終了する。この場合、対話制御部45は、認識した利用者の認識情報等に従って他の処理を行ってもよい。例えば、無人警戒モードから警戒解除モードへの変更後、所定時間内に利用者を初めて認識したとき、発話処理手段453は、「〇〇さん、お帰りなさい」等と認識した利用者に対して帰宅時の挨拶を発話してもよい。
【0049】
図3に戻ると、ステップS308において、発話処理手段453は、利用者認識手段452が利用者を認識中、対話操作部43から入力された音声データを言語解析して利用者が発話した発話内容を取得する。このとき、発話処理手段453は、人間の声の周波数範囲を有し、所定ボリューム以上で所定期間以上の音声データが入力されると、入力された音声データの波形を解析して音素に分解する。発話処理手段453は、分解した一連の音素から、辞書や言語モデル等を用いて抽出した単語間の関係等を解析して利用者が発話した発話内容を取得する。例えば、発話処理手段453は、対話操作部43から「在宅警備して」又は「警備オフして」等と音声入力されると、警備モードを有人警戒モード又は警戒解除モードに変更する変更要請を、利用者からの発話内容として取得できる。
発話処理手段453は、警備モードの変更要請を発話内容として取得した場合(ステップS309のYes)、取得した警備モードの変更要請を、発話した利用者の認識情報とともに警備装置30に送信する(ステップS310)。
【0050】
一方、発話処理手段453は、警備モードの変更要請を取得しない場合(ステップS309のNo)、ステップS311に進む。この場合、対話制御部45は、他の有効な発話内容を取得すれば、発話内容に応じた処理を行ってもよい。例えば、「こんにちは」等の挨拶の発話内容を取得した場合、利用者認識手段452が利用者を認識していれば、発話処理手段453は、発話された挨拶に対応する返事の音声データを合成し、「こんにちは、〇〇さん」等と発話してもよい。また、利用者から対話端末40の起動用キーワードを取得した場合、対話制御部45は、利用者からの警備モードの変更要請を受け付けるため要請受付期間を計時するタイマを開始してもよい。さらに、「おやすみ」等の就寝を示す発話内容や特定のキーワードを含む発話内容を取得した場合、警備モード441が警戒解除モードであれば、発話処理手段453は、有人警戒モードへの切替を利用者に促す促し文を発話してもよい。
【0051】
ステップS311において、対話制御部45は、対話端末40の電源切断又は利用終了操作等により終了が指示されるまでステップS301~ステップS311を繰り返す。
【0052】
図5は、利用者の帰宅から有人警戒モードへの切替までに行われる各装置の一連の動作の一例を示す図である。
帰宅した利用者が、無人警戒モードに設定された警備対象の入口の扉を解錠して開けると、侵入センサ23-2が入口からの入館を検知してディレイタイムを計時開始する(ステップS501)。利用者は、解錠された扉から警備対象内に入館し、警備装置30の警備操作部34において、ディレイタイム中に、例えばICスティック等を挿入して警備モードを警戒解除モードに変更するよう要請操作し、警備装置30は、要請操作に伴う変更要請を受け付ける(ステップS502)。警備装置30は、ICスティックから読み取った利用者の識別情報、認証コード等の認証情報を用いて利用者を認証し、登録された利用者であると認証すると警戒解除モードへの変更を許可する(ステップS503)。警備装置30は、警備モードを無人警戒モードから警戒解除モードに変更し(ステップS504)、警備モードの変更通知を対話端末40に送信する(ステップS505)。
【0053】
警備装置30より無人警戒モードから警戒解除モードへの変更通知を受信すると、対話端末40は、警戒解除モードを警備モード441に記憶し、帰宅後の経過時間の計測を開始する(ステップS506)。対話端末40は、警戒解除モード中に、帰宅後の経過時間が待機期間を経過した後の促し期間内で、1人目の利用者を1回目に認識すると(ステップS507)、利用者に有人警戒モードに切り替えるよう発話して促す(ステップS508)。これに対して、促された利用者が警備モードを有人警戒モードに切り替えるよう発話することにより、利用者からの変更要請を取得すると(ステップS509)、対話端末40は、取得した変更要請を警備装置30に送信する(ステップS510)。
【0054】
対話端末40より有人警戒モードへの変更要請を受信すると、警備装置30は、警備モードを有人警戒モードに変更し(ステップS511)、警備モードの変更通知を対話端末40に送信する(ステップS512)。
警備装置30より有人警戒モードへの変更通知を受信した対話端末40は、有人警戒モードを警備モード441に記憶し(ステップS513)、警備モードを有人警戒モードに変更したことを発話して利用者に報告する(ステップS514)。
【0055】
以上説明してきたように、本発明に係る警備システム1は、利用者が帰宅して警備対象に入館した後の所定時間内に利用者を認識し、そのとき警備モードが警戒解除モードであれば、コミュニケーションロボット等の対話機能を介して有人警戒モードの利用を促す提案を行うので、適切なタイミングで、不快感を与えることなく、帰宅後の利用者に対して有人警戒モードの設定契機を与えることができ、利用者の安全をより確実に確保できる。また、本発明に係る警備システム1は、利用者の帰宅後、所定の待機期間が経過してから所定の促し期間内に、最初に認識した利用者に対して1回のみ有人警戒モードへの切替を促すので、利用者の煩わしさを回避できる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、警備装置30と対話端末40とは、分離された別個の装置として示したが、統合された一体の装置でもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、警備装置30と連携する対話端末40としてコミュニケーションロボット等の対話端末を用いたが、この構成に加えて、警備装置30と監視サーバ10等を介して通信接続されるスマートフォン、タブレットPC等の携帯端末を用いてもよい。この場合、利用者は、警備対象から離れていても、携帯端末を用いて、警備モードの確認、切替を行うことができ、また、有人警戒モードに切り替える促しメッセージを受信し、表示させることができる。
【0058】
さらに、上記実施形態では、対話端末40の有人警戒促し手段454は、利用者の帰宅後に利用者認識手段452が最初に認識した利用者に対して有人警戒モードに切り替えるよう促したが、有人警戒モードへの促しを必要とする利用者(被保護者)を認識した場合のみ、有人警戒モードに切り替えるよう促してもよい。或いは、有人警戒促し手段454は、認識した利用者が被保護者である場合、待機期間を他の利用者より短くしたり、待機期間を設定せずに(待機期間=0)有人警戒モードに切り替えるよう促してもよい。このとき、有人警戒促し手段454は、利用者情報442の年齢等の属性情報に基づいて、認識された利用者が被保護者か否かを判定してもよい。また、有人警戒促し手段454は、利用者認識手段452が撮影画像から認識した利用者の年齢等を推定して被保護者か否かを判定した結果を用いてもよい。さらに、警備装置30は、入館時に認証した際の利用者の認証情報、或いは、無人警戒モードから警戒解除モードへの切り替え時に認証した際の利用者の認証情報に基づいて、帰宅した利用者が被保護者か否かを示す情報を対話端末40に送信し、有人警戒促し手段454は、当該情報を用いて認識した利用者が被保護者か否かを判定してもよい。これにより、警備システム1は、無人の警備対象に子供や高齢者等の被保護者が帰宅した場合の安全をより確実に確保できる。
【0059】
また、上記実施形態では、対話端末40の有人警戒促し手段454は、利用者の帰宅後に利用者認識手段452が最初に認識した利用者に対して1回のみ有人警戒モードに切り替えるよう促したが、最初に認識した利用者について、認識回数が複数回(例えば3回)になるまでは、所定時間を空けて促してもよい。或いは、最初に認識した利用者に限らず、認識した各利用者に対して有人警戒モードに切り替えるよう促してもよい。この場合も、最初の利用者の認識から所定時間は促しを行わない期間とするのが好適である。
【0060】
上記実施形態では、対話端末40の利用者認識手段452は、画像にて利用者を認識する構成としたが、音声にて利用者を認識してもよい。この場合、対話記憶部44には、利用者情報442として各利用者を識別する声紋データを登録しておき、対話操作部43を介して取得される音声データを解析し、特定空間にいる利用者を認識する。
また、上記実施形態では、有人警戒モードへの切替の提案を、音声による対話機能を用いて行う構成としたが、画像等の他の手段を用いて提案を行ってもよい。例えば、警備装置30又は対話端末40に文字や絵などの画像情報を表示する画面を設け、通知音とともに、有人警戒モードへの切替を促すメッセージを出力してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、警備装置30と対話端末40とは、近距離無線通信を介して直接通信接続されるが、監視サーバ10等の広域通信網中のクラウドサーバ等を介して通信接続されて各種情報を送受信してもよい。
この場合、監視サーバ10は、警備システム1の複数の警備装置30から警備モードの変更通知を受信して各警備装置30の警備モードを管理し、その変更通知を対話端末40に送信してもよい。
【0062】
また、対話端末40の一部の機能は、インターネット等の広域通信網中のクラウドサーバ(図示せず)にて実現する構成としてもよい。例えば、音声データを認識し、発話内容を決定する対話機能をクラウドサーバに設け、発話処理手段453は、対話操作部43から受け取った音声データをクラウドサーバに送信し、クラウドサーバから受信した発話データを発話させてもよい。
また、監視サーバ10は、インターネット等の広域通信網を介して上述のクラウドサーバと接続し、当該クラウドサーバを介して対話端末40と情報を送受信してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、対話端末40の有人警戒促し手段454が、帰宅後の利用者に有人警戒モードに切り替えるよう促すか否かを判定するが、この判定を警備装置30側で行ってもよい。この場合、警備装置30の警備モード変更手段372は、警備モードを無人警戒モードから警戒解除モードに変更したとき、帰宅後の経過時間を計測するタイマを開始する。一方、対話端末40の利用者認識手段452が利用者を認識すると、対話端末40の認識情報送信手段(図示せず)は、利用者の認識情報を警備装置30に送信する。警備装置30の認識情報受信手段(図示せず)が対話端末40から送信された認識情報を受信すると、有人警戒促し手段(図示せず)は、受信した認識情報及び警備状態363等に基づいて、警備モードが警戒解除モードであり、認識された利用者が帰宅後に認識された1人目の利用者であり、この利用者の1回目の認識であり、帰宅後の経過時間が所定の待機期間を経過し、帰宅後の経過時間が所定の促し期間を超えない場合、有人警戒モードへの切替の促しを要請する促し要請を対話端末40に送信してもよい。対話端末40の促し要請受信手段(図示せず)が促し要請を受信すると、発話処理手段453は、警備モードを有人警戒モードに切り替えるよう対話操作部43から発話して利用者に促す。なお、対話端末40の認識情報送信手段が、警備モードが無人警戒モードの場合のみ認識した利用者の認識情報を警備装置30に送信させてもよい。
【0064】
促し判定を行う警備装置30と同様に、監視サーバ10は、各警備装置30の警備モードを管理する場合、対話端末40から受信した利用者の認識情報に基づいて、有人警戒モードへの切替を促すか否かを判定し、有人警戒モードへの切替を促す場合、促し要請を対話端末40に送信してもよい。
【0065】
以上のように、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1 警備システム、10 監視サーバ、21 入館操作端末、22 入館規制端末、23-1~2 外周侵入センサ、23-3 内部侵入センサ、24 火災センサ、30 警備装置、31 インタフェース部、32 第1警備通信部、33 第2警備通信部、34 警備操作部、35 報知部、36 警備記憶部、37 警備制御部、40 対話端末、41 対話通信部、42 画像取得部、43 対話操作部、44 対話記憶部、45 対話制御部