(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】自己粘着性光線療法治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
(21)【出願番号】P 2020514606
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(86)【国際出願番号】 GB2018052511
(87)【国際公開番号】W WO2019048849
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-03
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520077643
【氏名又は名称】アンビケア ヘルス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マックギルプ、ニール アーチボルド
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、グレーム
(72)【発明者】
【氏名】ペターセン、ロナルド ジョン
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532503(JP,A)
【文献】特表2012-531938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0121252(US,A1)
【文献】特表2017-510342(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0130010(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0037002(US,A1)
【文献】特開2013-81814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療および/または美容的処置における使用のための自己粘着性携帯型光線療法治療装置であって、
処置される患者に対して付着することができる両面粘着層であって、前記両面粘着層は、光線療法治療に使用される光の波長に対して実質的に透明である、両面粘着層を備え、
前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、光源、バッテリおよび制御電子機器を有する治療ヘッドを含
み、
皮膚領域に対する光の利用の間、前記光を封じ込め、光の漏れを防止するために、前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は前記治療ヘッド周りに連続する柔軟なバンドを備える、
自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項2】
前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、にきび、乾癬、非黒色腫皮膚がん、創傷治癒、またはしわ取りのような種々の一般的な皮膚状態の前記光線療法治療に使用される、請求項1に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項3】
前記両面粘着層は、前記光線療法治療に使用される前記光に対して実質的に透明である、請求項1または2に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項4】
前記両面粘着層は交換可能であり、両面テープから構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項5】
前記両面粘着層は、光線療法治療に使用される前記光の波長の
95%を超える光透過率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項6】
前記両面粘着層は、光線療法治療に使用される前記光の波長の
97%を超える光透過率を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項7】
使用される前記光の波長は、
300~900nmの領域である、請求項1~6のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項8】
使用される前記光の波長は、415nmから640nmまでの領域である、請求項1~7のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項9】
前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、処置される肌に有益な効果のための特定波長の光にさらされることによって適切な時点で活性化される追加の治療薬と共に使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項10】
前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、肌接触面積(cm
2
)に対する装置重量(gm)の比率を、
4.0gm/cm
2から1.0gm/cm
2までの範囲に有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項11】
前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、肌接触面積(cm
2)に対する装置重量(gm)の比率を、2.5gm/cm
2以下の範囲に有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項12】
前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、柔軟であり、種々の湾曲および/または起伏がある肌表面に前記自己粘着性携帯型光線療法治療装置を一致させる柔軟な治療ヘッド領域を含む、請求項1~1
1のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項13】
LED光源は有機LED(言い換えればOLED)である、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項14】
LED光源は、治療ヘッド
の肌に対する側面にわたり一様な方法で配置され、均一で一定の光強度を提供し、患者の皮膚領域に均一な光線療法が適用される、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項15】
バッテリ電源は、再充電可能なリチウムイオン電池である、請求項1~1
4のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【請求項16】
リモート装置とワイヤレスでリンクするように構成されている、請求項1~1
5のいずれか一項に記載の自己粘着性携帯型光線療法治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、にきびおよび乾癬、非黒色腫皮膚がん、および、しわの減少を含む美容的処置と同じように創傷治癒など、種々の皮膚状態の治療処置における使用のための光線療法治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
にきびおよび乾癬のような一般的な皮膚状態の処置は、今まで、主に病院および皮膚科センタに集中されてきた。使用者は、光線療法が皮膚領域に適用されている間に、保護めがねを使用しなければならない傾向がある。これは明らかに、主に都市部に住んでいる人々、および外来治療センタに参加できる人々に対する処置にアクセスを制限する。従って、これは、患者治療センタに参加できない人が必要な治療を受ける特許の能力を大いに低減する。さらに、これは、彼らの仕事から定期的な不在を取得しなければならないことによって、彼らの職場に参加する必要がある人に激しい混乱もまた引き起こす。従って、以前の処置を使用すると、処置経験は、従って、使用者にとって、かなり不便である。
【0003】
従って、本発明の少なくとも1つの態様の目的は、上記課題の少なくとも1または複数を解消または軽減することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、にきびおよび乾癬などの一般的な皮膚状態を処置する改善された方法を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、LED光源、バッテリ、および患者に適用される外来治療を可能にする制御電子機器を含む光線療法治療装置を提供することである。発明の提示
【0006】
本発明の第1態様では、治療および/または美容的処置における使用のための自己粘着性携帯型光線療法治療装置が提供され、装置は、処置される患者に対して付着することができる両面粘着層であって、粘着層は、光線療法治療に使用される光の波長を実質的に透明である、両面粘着層を備え、自己粘着性携帯型光線療法治療装置は、光源、バッテリおよび制御電子機器を有する治療ヘッドを含む。
【0007】
従って、本発明の装置は、にきび、乾癬、非黒色腫皮膚がん、および創傷治癒など、種々の一般的な皮膚状態の光線療法治療に使用されてもよい。また、本発明の装置は、しわの減少などの肌の美容的処置に使用されてもよい。
【0008】
典型的に、光源は、使用中、肌に面している治療ヘッドの側面、または肌に面する側面に配置され、これにより、光源によって放射された光が処置される肌に向けられる。
【0009】
両面粘着層は、少なくとも部分的に、光源上に配置されてもよい。両面粘着層は、直接、光源上に配置されてもよい。従って、光源によって放射された光は、両面粘着層を通過して、少なくとも部分的に、伝播されてもよい。
【0010】
従って、両面粘着層は、光線療法治療に使用される光に対して実質的に透明である。
【0011】
両面粘着層は、交換可能でもよく、一般的な両面テープから構成されてもよい。両面粘着層は、装置が患者の肌に接着または取り付けられることができるような医療グレードの接着剤を含み、処置中、そこに維持され、一旦、治療が完了すると、簡単に患者の肌から除去されることができる。好ましくは、接着剤は、装置が患者の肌に接着されたとき、患者の肌に悪影響を与えない。好ましくは、接着剤は、接着装置が患者の肌から除去されるとき、患者の肌に悪影響を与えない。
【0012】
当技術分野において知られる典型的な装置は、処置プロセス中、患者が所定の位置に装置を保持することを必要とする。従って、所定の位置に装置を保持するために使用される患者の腕は、処置中疲れるかもしれず、処置が完了する前に患者が装置を取り外すことにつながるかもしれない。これに対して、本態様の装置は、患者の肌に接着され、それにより、患者の手を自由にし、処置の全期間において患者が所定の位置に装置を配置したままにする可能性が高くなる。
【0013】
両面粘着層は、光線療法治療に使用される光の波長の約95%を超える透過率を有してもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、光透過率は、使用される波長に対して約97%より大きくてもよい。
【0015】
光源は、複数のLED光源、発光材料のシングルOLEDシート、または散布器を有するシングルハイパワーLEDでもよい。光源はLEDなどの複数の光源でもよい。
【0016】
光源は、一つの点または一連の点よりはむしろ表面から光が放射されるOLEDでもよい。 光源は、約300nmから900nmまでの領域における光の波長を放射してもよい。
【0017】
さらに、放射光は2つの異なる波長の光のような複数の光の波長の組み合わせを含んでもよい。異なる光の波長は、UV領域のような青色、および/またはIR波長領域からのような赤色光に由来してもよい。特定の実施形態では、使用される光の波長は、約400nmから450nmまで(たとえば約415nm)、および/または約600nmから700nmまで(たとえば約640nm)でもよい。青色光(400nmから450nmまで)は、にきび菌の処置に有用であり、赤色光(600nmから700nmまで)は炎症の低減、非黒色腫皮膚がんの処置、およびしわの処置に有用であることが見い出された。青色光は、従って、単独で使用されてもよい。赤色光は、単独で使用されてもよい。代替的に、赤色光および青色光の両方は組み合わされて使用されてもよい。
【0018】
本発明の具体的な特徴は、装置が携帯型であり(すなわち、歩行しながら使用できる)、従って、患者が着用し職場などでの日常的な活動中に簡便に持ち歩くことができ、または家庭周りで活動を行うのに十分な軽量である。装置は、制御装置または電源に対してかたく配線されていない。むしろ、バッテリおよび制御電子機器は、治療ヘッドの内部に含まれ、外部の電源および/または制御に接続された装置よりも、使用するのに、よりポータブルで、より簡便である装置をもたらす。さらに、外部の制御および電源の必須要件の排除は、装置のコストにおいて大幅な節約をもたらす。
【0019】
特定の実施形態では、本発明の光線療法装置は、そのため、肌接触面積(cm2)に対する装置重量(gm)の比率を、約4.0gm/cm2から1.0gm/cm2までの範囲に有してもよい。光線療法装置は、肌接触面積に対する装置重量の比率を、約3.0gm/cm2から2.0gm/cm2までの範囲に有してもよい。特に好ましい実施形態では、肌接触面積(cm2)に対する装置重量(gm)の比率は、望ましくは、約2.5gm/cm2未満である。
【0020】
光線療法治療装置はまた、優先的に柔軟なバンドを備えてもよい。柔軟なバンドは、光を封じ込めるように装置の治療ヘッド周りに延び、皮膚領域に対する光の利用中に光の漏れを防止することができる。これは使用者および他の周囲の人々に対する目の安全性について潜在的な悪影響を減らす安全性機能も有する。
【0021】
好ましい実施形態では、装置は柔軟であり、柔軟な治療ヘッド領域を備えてもよい。これは、装置が、たとえば足、胴または顔面領域などの領域に、種々の湾曲および/または起伏がある肌表面に一致することを可能としてもよい。好ましい実施形態におけるLED光源は、有機LED(言い換えればOLED)でもよい。
【0022】
LED光源は、均一で一定の光強度を提供する治療ヘッド領域周りに延びていてもよく、これは均一な光線療法治療が患者の皮膚領域に適用されることを意味する。LED光源は治療ヘッドの肌に面する側面にわたり一様な方法で配置されてもよい。たとえば、LED光源は、グリッドパターンで配置されてもよく、または別の方法で、治療治療ヘッドヘッドの肌に面する側面にわたって均等に間隔を空けて配置されてもよい。
【0023】
好ましくは、LED光源は、非常に効率的であり、従って、効率が低いLED光源よりも低い電力量を使用して所定の強度の光を放出する。たとえば、LED光源は、効率30%以上、効率35%以上、効率40%以上、効率45%以上、または効率50%以上でもよい。従って、LED光源によって受けた電力エネルギの30%、35%、40%、45%、または50%以上は、光に変換されてもよく、残りはたとえば熱として失う。装置は、光源によって生成された熱を放散させる冷却要素を備えてもよい。装置は、光源によって生成された熱を放散させるヒートシンクを備えてもよい。たとえば、複数のLED光源を備える実施形態では、ヒートシンクは、1または複数の複数のLED光源によって生成された熱を放散させてもよい。
【0024】
装置は、光源によって生成された熱を装置から放出することを可能にするベントを備えてもよい。ヒートシンクを備える実施形態では、ヒートシンクから放散された熱は、ベントを介して装置から放出されてもよい。
【0025】
LED光源の高効率により、より小さいバッテリ電源は、装置で使用されてもよく、それにより、処置される肌の所定の領域のための装置の重量を減少させる。
【0026】
装置は、装置が作動する時間のうちの所定の量の時間分、使用者の肌に対して所定の光束を提供することができる。装置は、10分、15分、20分、25分、または30分、またはそれ以上にわたって、使用者の肌に所定の光束を提供してもよい。装置は、15分間または20分間、所定の光束を提供してもよい。装置は、20分間、所定の光束を提供してもよい。
【0027】
制御電子機器は、装置が作動すると、光源を作動するように構成されていてもよい。制御電子機器は、光源が光を放射する時期を決定するように構成されていてもよい。従って、装置は、光源が光を放射する時期を使用者に調節させる制御を備えていなくてもよい。結果として、装置は、簡易であり、光源が光を放射する時期を使用者に調節させる制御を備える装置より軽量でもよい。
【0028】
装置は、起動ボタンを備えてもよい。装置は、リモートソースから適切な信号を受信すると、装置を作動するように構成された無線受信機を備えてもよい。
【0029】
装置は、患者の肌に対して約1~10mW/cm2の光を提供してもよい。装置は、患者の肌に対して約3~7mW/cm2の光を提供してもよい。装置は、患者の肌に対して約4~6mW/cm2の光を提供してもよい。装置は、患者の肌に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10mW/cm2の光を提供してもよい。たとえば、装置は、患者の肌に対して3、4、または5mW/cm2の光を提供してもよい。
【0030】
本発明の好ましい特徴は、装置が軽量であり、バッテリがあまり重くなく、それにより、装置を携帯可能にさせることである。本発明について好ましいバッテリ電源は、再充電可能なリチウムイオン電池である。制御電子機器もまた、可能な限り軽量になるように特別に設計されている。バッテリは、バッテリにアクセスするために装置を分解する必要なく再充電されることができる。従って、装置は電力アダプタを受けるように構成されたポートを含むことができ、それにより、装置のバッテリを再充電する。代替的に、バッテリは誘導的に再充電されるように構成されていてもよい。従って、装置は、装置を電力リード線などに接続する必要なく、バッテリに再充電するように、ドックなどに配置することができる。
【0031】
装置は、リモート装置にワイヤレスでリンクされるように構成されていてもよい。リモート装置は、たとえば、スマートウォッチ、スマートフォン、タブレットまたはコンピュータでもよい。従って、使用者は、増加したデータ収集、診断法、および使用形態を提供されることができ、それにより、処置の順守および処置の効果を増大させることが可能である。
【0032】
装置は、肌に適用でき、光、すなわち光線力学的治療法(PDT)によって、活性化または有効化できる治療薬と組み合わせて使用されてもよい。たとえば、装置は赤色光を放出する光源を備えてもよく、非黒色腫皮膚がんの処置に使用されてもよい。装置を使用する肌の処置より前に、治療薬が肌に塗布されてもよい。従って、一旦、治療薬が肌に吸収されると、治療薬の活性形態は、装置から赤色光が照射されたときに、生成されてもよい。適切な治療薬の非限定的な例は、アミノレブリン酸(ALA)、またはアミノレブリン酸メチル(ブランド名Metvix(登録商標)のもとで販売された製品など)を含む。
【0033】
他の実施例では、装置は、赤色光を放出する光源を備えることができ、しわの処置に使用されてもよい。装置を使用する肌の処置より前に、治療薬は肌に塗布されてもよい。従って、一旦、治療薬が肌に吸収されると、治療薬の活性形態は、装置から赤色光が照射されたときに、生成されてもよい。適切な治療薬の非限定的な例は、アミノレブリン酸(ALA)である。
【0034】
装置は、処置される肌に対して有益な効果のための特定波長の光にさらされることによって適切な時点で活性化する治療薬と共に使用されてもよい。
【0035】
本発明の第2態様によれば、第1態様において定義された光線療法治療装置を使用して患者に対して皮膚領域を処置する方法が提供される。
【0036】
方法は、第1態様による装置を提供するステップと、処置される肌に装置を取り付ける段階と、装置を作動させて、それにより、装置の光源によって放出された光に肌をさらす段階と、所定の期間を待つ段階と、肌から装置を取り外す段階とを備えてもよい。
【0037】
従って、方法は肌の疾患の処置を可能とし得る。方法は、にきび、湿疹、乾癬、炎症、創傷治癒など皮膚状態の処置を可能とし得る。方法は、しわなどの美容疾患の処置を可能とし得る。装置は、所定の期間後自動的に動作を停止してもよい。
【0038】
本発明の第3態様によれば、皮膚状態を処置するための第1態様の装置の使用が提供される。皮膚状態は、にきび、湿疹、乾癬、炎症、または創傷の群から選択されてもよい。にきびを処置するための装置を用いた実施形態において、装置は、青色光を放出する光源を含んでもよい。炎症を処置するための装置を用いた実施形態において、装置は、赤色光を放出する光源を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここで、本発明の複数の実施形態は、以下の図面を参照して、単なる例として説明される。
【
図1】本発明に係る光線療法治療装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示される光線療法治療装置の側面図である。
【
図10】実施形態の装置に適切な両面粘着層の図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一般的に言えば、本発明は、にきびおよび乾癬、非黒色腫皮膚がんおよび創傷治癒のような種々の皮膚状態の治療および/または美容的処置、ならびにしわの減少を含む美容的処置のための患者の外来治療のための改良された光線療法治療装置の提供に関する。
【0041】
図1~
図6は、全体が10で示される本発明による光線療法治療装置を示す。光線療法治療装置10は、治療が必要なときに使用者が装置を作動させるために使用することができる起動ボタン12を備える。
【0042】
光線療法治療装置は、治療を施すことができる治療ヘッド16を形成する上面14および底面を有する。治療ヘッド16は、約300~900nmの領域の任意の場所から光の波長を放射するために使用できる複数のLED光源(
図5で17として示される例)を含む。好ましくは、放射光は415nmから640nmまでの波長を有する。LED光源17は、治療ヘッド領域16上に一様に配置され、そのため、一定で均一な強度の光を肌の領域に対して照射する。
【0043】
光線療法治療装置10は、バッテリ13および制御電子機器13aを備える。バッテリ13は制御電子機器13aおよび複数のLED光源17に電力を提供し、制御電子機器は複数のLED光源17によって放射された光の強度、および複数のLED光源17が光を放射する時期を制御する。
【0044】
光線療法治療装置10は、バッテリ13を再充電可能とするための再充電ポート17aを備える。
【0045】
あるいは、放射される光は、UV領域のような青色光および/またはIR波長領域のような赤色光である。特定の実施形態において、使用される光の波長は、約400nm~450nm(たとえば約415nm)および/または約600nm~700nm(たとえば約640nm)である。青色光は、にきび菌の処置に有用であり、赤色光は炎症を抑えるのに有用であることがわかっている。放射光は、2つの異なる波長の光のような複数の光の波長の組み合わせを含でもよい。
【0046】
治療ヘッド16の前面には、光線療法治療装置10を患者の足、胴または顔面領域などの領域に取り付けるために使用することができる両面粘着層18がある。両面粘着層18は、交換可能であり、従って、使用者によって何回も使用された後、交換され得る。加えて、両面粘着層18は、LED光源17によって放射される光に対して実質的に透明である。両面粘着層18は、医療グレードのアクリル酸系接着剤でコーティングされたポリエチレンテープを含む二重コーティング医療テープ(3M(登録商標)のアイテム1522)である。肌に面する側の粘着剤は、剥離紙で覆われており、この剥離紙は、使用前に取り外される。
【0047】
好ましくは、両面粘着層18は、LED光源17からの放射光の約95%を超える透過率を有する。
【0048】
本発明の光線療法治療装置は、可能な限り軽量に製造され、好ましくは、処置表面のcm2当たり約2.5gm未満の重量を有する。したがって、光線療法治療装置および制御電子機器に電力を供給するバッテリは、最大限軽量化されており、これは、本発明の装置が携帯可能であり、自宅の使用者によって使用されることができ、また、職場で使用される場合や家事を行っている場合のような日常生活において着用されることができることを意味する。
【0049】
光線療法治療装置10は、治療ヘッド16周りに柔軟なバンド20もまた備えてもよく、これは、LED光源17によって放射された光を封じ込めるために使用することができる。これは、また、使用者の目に対する損傷を防止する。
【0050】
光線療法治療装置10および治療ヘッド16は柔軟であり、これにより、足、胴または顔面などの領域の周りなどの使用者表面の輪郭に治療ヘッド16を適応させまたは一致させることが可能となる。他の実施形態において、LED光源は有機LEDである。
【0051】
図7~
図10に示される、さらなる例において、にきびの処置のための装置30は、本体32、および本体32の外縁周りで連続する柔軟なバンド34を備える。本体32は、上面38に起動ボタン36を備える。また、本体32は、肌に面する側40、および本体32の肌に面する側40にわたり格子状に配置された複数のLED光源(
図8および
図9で42として示される例)を備える(たとえば、
図8参照)。複数のLED光源42は、415nm+/-15nm(青色光)の波長で光を放射するように構成されている。
【0052】
本体32は、複数のLED光源42の上方に設けられた粘着層44をさらに備える。本体32の内部には、バッテリおよび制御電子機器が収容されている(図示されない)。 使用前、粘着層44はカバーシート46によって保護されている。
【0053】
装置30がにきびを処置するために使用されるとき、使用者は、粘着層44からカバーシート46を取り外し、処置される肌のエリアに装置30を適用し、これにより、本体の表面に面する肌は、肌に直に隣接し、接着剤が肌に接触する。
【0054】
使用者は、そのあと、起動ボタン36を押す。制御電子機器は、複数のLED光源42を作動させ、そのあと、20分間、5mW/cm2の光束で肌の上に光を放射する。20分の期間が終了するとき、制御電子機器は、複数のLED光源の動作を停止するので、使用者は、装置30を肌から取り外すことが可能になる。
【0055】
青色光にさらされることによって処置可能な皮膚状態を処置するために、装置を使用できること、および、複数のLED光源が作動する期間は、所与の具体的処置に応じて変えてもよいことは、当技術分野においる当業者によって理解されるだろう。
【0056】
代替的な実施形態において、装置は、640nm+/-10nmの波長で光(赤色光)を放射するように構成された複数のLED光源を備え、装置は、赤色光にさらされることによって、処置できる炎症のような皮膚状態を処置するために使用でき、または、しわの減少に使用できる。さらに、赤色LED光源を含む装置は、処置され肌のエリアに対して装置を取り付ける前に、ALAなどの適切な治療薬の適用を組み合わせて、非黒色腫皮膚がんまたはしわを処置するために、使用されてもよい。
【0057】
その最も単純な形態では、一旦充電され、スイッチがオンにされると、装置は自己内蔵型となり、所定の時間の間、設計されたレベルの放射を提供するも、その後、装置自体がオフされたとしても、スマートウォッチ、電話、タブレット、またはコンピュータへのブルートゥース(登録商標)タイプの接続を介した更なる外部制御および監視を、オプションとして用いることができ、例えば、使用者が、最大の治療効果のために、それらの使用を経時的に追跡することを可能にする。
【0058】
本発明の特定の実施形態が上記で説明されたが、説明された実施形態から逸脱するものも依然として本発明の範囲に含まれ得ることが理解されよう。たとえば、任意の適切なタイプの発光装置は、治療処置を提供するために使用されてもよい。さらに、任意の形態のバッテリ電源および制御電子機器が、使用されてもよい。