(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】加飾容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/34 20060101AFI20230208BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B65D25/34 Z
B65D25/20 N
B65D25/20 Q
(21)【出願番号】P 2018211719
(22)【出願日】2018-11-09
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】君島 美津志
(72)【発明者】
【氏名】片山 就介
(72)【発明者】
【氏名】田中 千惠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚樹
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0071040(US,A1)
【文献】特開2005-015020(JP,A)
【文献】実公昭46-033433(JP,Y1)
【文献】特開2016-159949(JP,A)
【文献】実開昭51-027603(JP,U)
【文献】実開昭63-177237(JP,U)
【文献】特開2008-026535(JP,A)
【文献】特開2015-148681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/34
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁と内壁とからなる二重側壁を有する有底筒状の容器と、
上記容器に保持される一枚の加飾シートと、を備え、
上記容器の二重側壁を構成する外壁と内壁とが、互いの上端部において連結され、その連結部以外の部分は隙間を介して離れており、かつ、上記外壁が透明性を有しており、
上記加飾シートが、上記二重側壁の下端部側から外壁と内壁の隙間に沿って差し込まれる第1面部と、上記第1面部から折り曲げられ上記容器の底部の少なくとも一部を覆う第2面部と、を有し、
上記二重側壁の隙間に差し込まれた上記加飾シートの第1面部が、上記二重側壁の外壁を透して視認できるようになって
おり、
上記加飾シートが密封されずに保持されていることを特徴とする加飾容器。
【請求項2】
上記加飾シートの第2面部が上記容器の底部に沿った状態で固定される請求項1記載の加飾容器。
【請求項3】
上記加飾シートの第1面部と第2面部との間に、上記第1面部と第2面部とを連結する連結部を有している請求項1または2記載の加飾容器。
【請求項4】
上記容器の二重側壁が一体的に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の加飾容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デザインの変更が容易で、使い勝手のよい加飾容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の容器表面には、内容物の種類に応じて、印刷等によって内容物の表示が要求されることがある。一方で、各種の容器には、単に機能性だけでなく、見栄えがよい、商品イメージを反映したデザインである、といった意匠性も要求されることがある。これらの要求に応えるために、例えば、透明性を有する外容器に内容器が収まるように構成され、外容器の胴壁の内周面に帯状のラベルを添わせた状態で内容器を収納することで、上記外容器と内容器の間でラベルを保持し、上記外容器を透してラベルに印刷された内容物の表示を見せるものが提案されている(例えば、特許文献1)。また、この容器に対し、ラベルの着脱が容易になるよう改良されたものも提案されている(例えば、特許文献2)。これらの構成によれば、容器に直接印刷をしなくても内容物の表示を行うことが可能であるため、内容物の表示と意匠性の両立を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭46-33433号公報
【文献】特開2003-112775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの容器はいずれもラベルを外容器と内容器の間に密封しているため、ラベルの保持の点からは優れているものの、ラベルの着脱が行いにくいという問題を有している。すなわち、表示のみを変更しようとしても容器全体を変更しなければならず、ニーズの変化への対応が遅くなるという問題がある。一方、特許文献2のものは、ラベルの着脱を容易に行うことができるように改良されたものではあるが、特殊な容器を用いる必要があるため、簡易な構成でありながらより容易にラベルの着脱を行うことができるものが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、意匠性に優れるだけでなく、簡易な構成で、より容易にラベルの着脱を行うことができる、使い勝手のよい加飾容器の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ラベル(加飾シート)を特殊な形状に加工することにより、外容器と内容器の間に密封せずに保持させることができることを見出した。この知見に基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の[1]~[4]を提供する。
[1]外壁と内壁とからなる二重側壁を有する有底筒状の容器と、上記容器に保持される一枚の加飾シートと、を備え、上記容器の二重側壁を構成する外壁と内壁とが、互いの上端部において連結され、その連結部以外の部分は隙間を介して離れており、かつ、上記外壁が透明性を有しており、上記加飾シートが、上記二重側壁の下端部側から外壁と内壁の隙間に沿って差し込まれる第1面部と、上記第1面部から折り曲げられ上記容器の底部の少なくとも一部を覆う第2面部と、を有し、上記二重側壁の隙間に差し込まれた上記加飾シートの第1面部が、上記二重側壁の外壁を透して視認できるようになっている加飾容器。
[2]上記加飾シートの第2面部が上記容器の底部に沿った状態で固定される、[1]に記載の加飾容器。
[3]上記加飾シートの第1面部と第2面部との間に、上記第1面部と第2面部とを連結する連結部を有している、[1]または[2]に記載の加飾容器。
[4]上記容器の二重側壁が一体的に形成されている、[1]~[3]のいずれかに記載の加飾容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加飾容器は、意匠性に優れ、簡易な構成でありながらより容易にラベルの着脱を行うことが可能であり、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す加飾容器の分解斜視図である。
【
図4】上記加飾容器を底面側から見た状態を示す説明図である。
【
図5】上記加飾容器に用いられる加飾シートの平面図である。
【
図7】
図5の加飾シートの他の例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明の一実施の形態を
図1~4に示す。この実施の形態の加飾容器では、内容物を収容する有底筒状の容器1と、この容器1に保持される加飾シート2を備えており、上記容器1の上端において、有天筒状の蓋3が螺合するようになっている。そして、上記容器1の透明性を有する外壁5を透かして上記加飾シート2の模様αが視認できるようになっている。
【0012】
より詳しく説明すると、上記容器1は、
図2のA-A断面図である
図3に示すとおり、内壁4と透明性を有する外壁5とからなる二重側壁を有し、その下端は開放されている。また、上記二重側壁を構成する内壁4と外壁5の間に形成された隙間6に沿って、上記加飾シート2の第1面部7が筒状に組み立てられた状態で差し込まれており、上記第1面部7から折り曲げられた第2面部8が、上記容器1の底部10に沿った状態で透明性を有する両面テープ12により貼り合わせられている(
図4参照)。
【0013】
上記容器1は、黒色透明のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)製の円筒形状をしており、
図6にその縦断面を示すとおり、二重側壁を構成する内壁4と外壁5とは、互いの上端部において連結され、その連結部1a以外の部分は隙間6を介して離れている。また、上記容器1は、開口部が首部15に形成されており、この首部15の周側壁の上端には、上記蓋3が螺合するための雄ねじ16が形成されている。そして、上記外壁5の外周面には、「cosmetics」の文字が印刷により付されている(
図1参照)。
【0014】
上記隙間6は、加飾シート2の差し込みやすさと隙間6内での動きにくさを考慮して、下端の距離P2が上端の距離P1に比べてやや大きくなるように設定されている。P1は、通常、1~5mmであり、1.5~3mmが好ましく、P2は、通常、2~10mmであり、3~7mmであることが好ましい。また、P2-P1は、通常、0~9mmであり、1~7mmであることが好ましく、より好ましくは3~5mmである。この実施の形態では、P1:1.5mm、P2:5mmに設定されている。上記距離P1およびP2が上記範囲内にあると、加飾シート2の差し込みの容易性と保持性および加飾容器の見栄え(奥行き感)のバランスに優れる。
【0015】
また、容器1の内壁4の下端と連なる底部10は、外壁5の下端より距離M(この実施の形態では0.5mm)だけ上側に位置しているため、容器1を机等に置いた際に、底部10が机等に直接当接することはないが、これに限るものではない。上記距離Mは、通常、0.1~5mmであり、好ましくは0.5~3mmである。すなわち、内壁4の下端と外壁5の下端が揃っていたり、内壁4の下端が外壁5の下端より下側に位置したりしてもよいが、内壁4の下端が外壁5の下端より上側に位置していると、加飾シート2の第2面部8を容器1の底部10に固定した状態において、容器1を机等に置いた際に、机等に加飾シート2の第2面部8が当たらないため、加飾シート2の保護を確実に図ることができる(
図2、
図3参照)。
【0016】
上記加飾シート2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の1枚のシートからなり、
図5に示すとおり、上記容器1の二重側壁の下端部側から内壁4と外壁5の隙間6に沿って差し込まれる第1面部7と、上記第1面部7から折り曲げられ上記容器1の底部10に沿った状態で固定される第2面部8と、を有しており、上記第1面部7と第2面部8との間に、これらを連結する連結部9を有している。加飾シート2の材質に制限はなく、例えば、PET、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂、紙、紙と合成樹脂を組み合わせた合成紙等を用いることができる。
【0017】
上記第1面部7は、長辺と短辺を有する略長方形状をしており、その一方の短辺には切欠き部14が形成され、他方の短辺には上記切欠き部14に係合する突出部13が形成されている。上記突出部13は、長辺(
図5において長さQに対応する部分)の端部から長さTだけ長辺方向に突出し、その突出先端に向かって広がる逆テーパーに形成されており、これに対応する凹んだ形状の切欠き部14に、簡単な操作で容易に係合させることができる。これにより、上記第1面部7を美麗な(外部から見た際に継ぎ目が目立たない)筒状に形成することができる。
なお、上記突出部13の突出先端部と、これに対応する切欠き部14の凹み形状に、それぞれアールがつけられているため、外部からの衝撃を受けた際には、上記係合部分において突出部13と切欠き部14とがスムーズに可動し、その衝撃を緩衝することができる。
【0018】
そして、上記第1面部7の表面(容器1に差し込まれた状態で外部から視認できる面)には、黒のベース地に銀色で波模様が現された模様αが金属蒸着により形成されている。また、上記第1面部7の裏面には、内容物の取り扱い説明が表示されている。
【0019】
上記第1面部7の長辺の長さQは、上記容器1の内壁4の外周面に沿わすことができる長さ以上であることが好ましく、なかでも、見栄えに優れる点から、上記内壁4の外周面に沿わすことができる長さ以上外壁5の内周面に沿わすことができる長さ以下であることが好ましく、より好ましくは、上記内壁4の外周面にぴったり沿う長さである。第1面部7の長辺の長さQが上記内壁4の外周面にぴったり沿うものであると、表面に現わされた模様αが奥行き感を生じさせるものとなり、より見栄えに優れるためである。しかし、趣向を凝らした加飾容器が得られる点から、長辺の長さQを、あえて上記内壁4の外周面に沿わすことができる長さ以上にしたものであってもよく、隙間6に差し込んだ際に、上記第1面部7がバランスよく配置されず、片側に寄るものであってもよい(外壁5の内周面に、その全面または一部が当接していてもよい)。
【0020】
上記第1面部7と連結部9を介して連結される上記第2面部8は、上記容器1の外壁5内にぎりぎり収まる大きさの略円形状に形成されている。しかし、容器1の底部10の少なくとも一部を覆うことができればよく、また、必ずしも容器1の外壁5内に収まる大きさでなくてもよい。ただし、容器1の外壁5内に収まりきらない大きいものであると、加飾容器が落下した際に、加飾シート2の、外側にはみ出した部分が直接衝撃を受けて、割れ、欠け、切れ等の損傷が発生することもあり、加飾容器を裏面側から見たときの見栄えの面からも容器1の外壁5内に収まる大きさであることが好ましい。
【0021】
また、上記第2面部8の表面(容器1の底部を覆った状態で外部から見える面)には、内容物の表示(例えば、薬機法第50条に定める事項の記載)がされている。このため、容器1自体(例えば、外壁5の外周面)に内容物の表示をする必要がなくなり、加飾容器の外観をよりデザイン性に特化したものにすることができる。もちろん、加飾容器のデザイン、内容物の種類によっては、このような表示をしなくてもよい。
【0022】
そして、上記第2面部8の裏面には、両面テープ12が取り付けられており(
図1参照)、上記両面テープ12の粘着力によって上記第2面部8が上記容器1の底部10に固定されている。このため、上記両面テープ12の粘着力を調整することにより、容器1への取り付けを着脱自在のものとすることができ、例えば、別途異なるデザインの加飾シート2を準備し、これと簡単に交換(着せ替え)することができる。
【0023】
そして、この実施の形態では、第2面部8の略円形の円弧の長さV(破線で示す仮想線V’を含む、以下において同じ)が、第1面部7の長辺の長さQより5mm短くなっているため、加飾容器が落下した際に加飾シート2の第1面部7が第2面部8に衝突することがなく、その衝撃によって第2面部8損傷を受けることを防止することができる。しかし、円弧の長さVを短くし、第2面部8を小さくし過ぎると、加飾容器の裏面の見栄えが悪くなるため、見栄えの観点から、第2面部8の略円形の円弧の長さVが、第1面部7の長辺の長さQとほぼ同じかそれよりやや短いことが好ましい。
【0024】
上記第1面部7と上記第2面部8とを連結する上記連結部9は、上記第2面部8の折り曲げを容易にし、また、上記第2面部8が折り曲げられた状態を確実に保持する一助となるものである。
上記連結部9において、
図5に示すように、上記第1面部7の、下方に配置される長辺側の端部から、上記第2面部8の、上記第1面部7側の端部までの長さRは、強度の点において短いほど好ましい。しかし、成形容易性および折り曲げられた状態を確実に保持できる点から、5~10mmであることが好ましい。また、上記第2面部8の略円形の円弧の破線で示す仮想線V’が、上記第1面部7の、下方に配置される長辺側の端部に略接するように設定されることが、加飾容器を裏面側から見たときの見栄えに優れる点で好ましい。
【0025】
また、上記連結部9は、上記第1面部7と上記第2面部8との間に、それぞれアールをつけて連結しているが、上記連結部9の形状はこれに限るものではなく、どのような形状であってもよい。しかし、上記連結部9の形状が、上記のようにアールをつけて連結しているものであると、見栄えが優れるだけでなく、上記第1面部7と第2面部8とが互いに離れる方向に引っ張られたとしても簡単にちぎれてしまうことがない。
【0026】
そして、上記連結部9には、連結部9から第2面部8にかけて切込み11が形成されている。これにより、加飾容器が落下した際の衝撃を、この切込み11で緩衝することができ、加飾シート2の連結部9近傍の損傷を防止することができる。また、切込み11は、連結部9から第2面部8にかけて延びる切込み端部に対して、交差する切込みを設けることも好ましい。上記実施の形態では、
図5に示すように略T字状の切込み11となっており、どの方向からの衝撃にも緩衝効果を発揮することができる。
また、上記の実施の形態では、上記連結部9から、上記第1面部7および第2面部8にかけて略T字状の切込み11が形成されているが、上記切込み11の形状はこれに限るものではない。また、加飾シート2の材質や厚みによっては、それ自体が充分な緩衝性を有している場合があるため、必ずしも切込み11を形成しなくてもよい。しかし、切込み11を形成すると、加飾容器が落下した際の衝撃を、この切込み11で緩衝することができ、加飾シート2に割れや欠けの発生を防止することができる。とりわけ、切込み11の形状を、
図5に示すような略T字状にし、交差する切込みを円弧状とすることにより、どの方向からの衝撃にも緩衝効果を一層発揮することができる。
【0027】
上記容器1に上記加飾シート2を取り付けるには、まず、加飾シート2の第1面部7の突出部13を切欠き部14に結合させて、
図1に示すとおり上記第1面部7を筒状に形成し、この筒状になった上記第1面部7を容器1の下方(二重側壁の下端部側)から内壁4と外壁5の隙間6に沿って差し込む。そして、上記両面テープ12の粘着面を露出させた状態で、上記第2面部8を上記容器1の底部10に沿わせて接着することにより、上記加飾シート2を上記容器1に取り付けて固定することができる。これにより、本発明の一実施の形態である加飾容器が得られる。
【0028】
この実施の形態によると、容器1の外壁5を透かして加飾シート2の第1面部7の表面に現わされた模様αを視認できるため、奥行き感のあるデザインの加飾容器を実現することができる。また、上記外壁5の外周面には印刷により「cosmetics」の文字が付されているため、上記加飾シート2の第1面部7の表面の模様αから上記文字が浮き上がって見えるようになっており、文字と模様αとが組み合わされた興趣に富むデザインを得ることができる。
そして、二重側壁の下方が開放されているため、加飾シートの交換を容易に行うことができ、さらに、加飾容器として完成した後であっても、そのデザイン変更を容易に行うことができる。
【0029】
しかも、加飾シートの第1面部7を二重側壁の下方から差し込み、第2面部8を容器1の底部10に固定するだけで加飾シートを容器に確実に取り付けることができるため、容器1および加飾シート2のサイズをそれほど厳密に制御しなくても済み、しかも、組み立てにおいても細かい設定や調整が不要で、製造にかかる時間の短縮および製造コストの低減を実現することができる。
【0030】
そして、加飾シート2のバリエーションを用意することにより、容器1のデザインを変更することなく多種多様な加飾容器を製造することができ、ユーザーのカスタマイズに対応することができる。
また、加飾シート2の第1面部7の裏面に内容物の取り扱いが表示されているため、紛失しやすい取り扱い説明書を確実に保持(保管)することができる。一方、第2面部8の表面に内容物の表示がされているため、容器1の側面にデザインに関係のない内容物の表示をしなくてもよく、統一感のある側面デザイン(全周)にすることができるため、見栄えがよい。
さらに、加飾シート2を上述の特殊な形状にしているため、加飾容器を落下させた場合であっても、加飾シート2に割れや欠けが生じにくくなっている。
【0031】
なお、上記実施の形態では、容器1が黒色透明のPMMAによって形成されているが、これに限るものではない。すなわち、容器1の外壁5が透明性を有していれば、どのようなもので形成されていてもよい。また、その場合、容器1(外壁5を除く)の色や透明性の有無は問われない。なお、本発明において、「透明性を有する」とは、完全な無色透明である必要はなく、反対側が透けて見えるものとし、有色であっても無色であってもよい。
【0032】
そして、上記実施の形態では、容器1の二重側壁を構成する内壁4と外壁5とが一体的に形成されているが、これらが別部材で形成されていてもよい。例えば、有底筒状の容器と、外壁を有する環状部材とを別々に形成し、上記容器の開口部分に環状部材を取り付けて、二重側壁を有する容器を形成するようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施の形態では、容器1が円筒形状をしているが、容器1の形状はこの形状に限るものではない。二重側壁を有するものであれば、どのような形状であってもよく、容器1の平面視形状が、例えば、三角形、四角形、六角形等の多角形や、楕円形、ひし形等であってもよい。
【0034】
そして、上記実施の形態では、容器1の開口部に首部15を形成するとともに、上記首部15の周側壁の外側の上端に雄ねじ16が螺刻し、蓋3と螺合するようにしているが、これらの構成はいずれも任意のものである。単に嵌合であってもよいし、例えば、蓋3が不要の加飾容器を製造する場合には、これらの構成はいずれも不要である。
【0035】
上記実施の形態では、加飾シート2をPETで形成しているが、これに限るものではない。ただし、その第1面部7が容器1の二重側壁の隙間6に差し込まれるものであることから、上記二重側壁の内壁4の外周面に沿わせることができる程度の可撓性を有するものであることが好ましい。また、加飾シート2の第1面部7表面に金属蒸着によって模様αを現しているが、表面のデザインを現す手段はこれに限るものではなく、一般的な印刷や転写シートによるものであってもよい。また、加飾シート2を部分的に切り抜いて、いわば切絵のようにしてデザインを現すようにしてもよい。さらに、容器1の外壁5を部分的に透明にして、模様αの一部を見せるようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施の形態では、上記第1面部7を筒状にするための係合部として、長辺の両端に突出部13と切欠き部14とをそれぞれ形成しているが、上記第1面部7を筒状にできる構成であれば、これに限るものではない。例えば、切欠き部14を形成せずに、単に切込みを入れた箇所に突出部13を差し込むようにして第1面部7を筒状にしてもよいし、突出部13と切欠き部14のいずれも形成せずに、それぞれの短辺を接着剤やテープで貼り合わせて筒状にしてもよい。
【0037】
さらに、上記実施の形態では、加飾シート2の第1面部7を略長方形状としているが、上記第1面部7の形状は、容器1の内壁4の外周面に沿わせることができるものであれば略長方形状に限るものではない。また、上記第1面部7は一片からなるものでなくてもよく、例えば、
図7に示すように、第2面部8’の両側に連結部9’を介してそれぞれ連結される二片からなっていてもよい。
図7で示すものは、上記第1面部7を容器1の隙間6に差し込むと、第1面部7’,7’のそれぞれの端縁部分が互いに重なり合い、外部から見ると筒状に見えるため、予め筒状に形成する必要がない。
【0038】
また、上記実施の形態では、加飾シート2の第1面部7の長辺の中央部に第2面部8を連接しているが、容器1の底部に第2面部8を沿わせることができるものであれば中央部に限るものではなく、切欠き部14または突出部13に寄って第2面部8を配置してもよい。
【0039】
また、上記の実施の形態では、加飾シート2の第2面部8の裏面に両面テープ12を取り付けて容器1の底部10に貼着して、加飾シート2を容器1に固定するようにしたが、容器1の底部10に固定することができればこれに限るものではない。例えば、粘着剤、接着剤を上記第2面部8の裏面または容器1の底部10に塗布し、これらの粘着力(接着力)によってこれらを固定するようにしてもよい。また、デザインやコストの点から、両面テープや粘着剤、接着剤等はいずれも有色であってよいし、透明性を有していなくてもよい。
【0040】
上記実施の形態では、加飾シート2の第2面部8を容器1の底部10に固定することにより、加飾シート2を容器1に取り付けるようにしているが、容器1への加飾シート2の取り付け位置は、これに限るものではない。例えば、
図7の加飾シート2’の第1面部7’のそれぞれの裏面に両面テープ等を取り付け、容器1の内壁4の外周面に貼り合わせるようにして加飾シート2’を容器1に固定するようにしてもよい。この場合、第2面部8’が固定されていないため、外部からの衝撃をこの部分で緩衝することができ、加飾シート2’の保護を図ることができる。
【0041】
上記実施の形態では、加飾シート2が、第1面部7と第2面部8とを連結する連結部9を有しているが、加飾シート2の材質や厚み等によっては、連結部9をあえて設けず、直接第1面部7から第2面部8を折り曲げるようにしてもよい。
【0042】
また、本実施の形態においては、上記加飾容器として、化粧料を収容する容器を用いているが、これに限るものではない。例えば、コップや花瓶、小物入れ等、容器に加飾することが好ましいものに用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、興趣に富むデザインを有し、使い勝手のよい容器として、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0044】
1 容器
1a 連結部
2 加飾シート
4 内壁
5 外壁
6 隙間
7 第1面部
8 第2面部