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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】防音構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20230208BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
E04H1/12 302C
E04B5/43 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022166602
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2022-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522407813
【氏名又は名称】ルイ・コーポレーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】522407824
【氏名又は名称】株式会社VLOOM
(73)【特許権者】
【識別番号】522407145
【氏名又は名称】金子 大輔
(73)【特許権者】
【識別番号】522407156
【氏名又は名称】佐藤 裕
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 拓実
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-153472(JP,A)
【文献】特開2021-025264(JP,A)
【文献】特開2017-048597(JP,A)
【文献】実開平02-068913(JP,U)
【文献】特許第7064263(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 5/43
E04B 1/74
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防音構造であって、
躯体と、天井と、壁と、床とを備え、
前記躯体は、前記天井及び前記床を支持し、
前記天井は、前記躯体の下方に配置され、
前記壁は、前記天井と前記床との間に垂直に設けられ、前記天井及び前記床に支持され、
前記床は、前記躯体の上方に配置され、床材に加えて複数の防音用板状部材を重ねて構成される浮床であり、
前記床材は、合板及び仕上材を含み、
前記複数の防音用板状部材は、石膏ボード及び防音シートを含む、
防音構造。
【請求項2】
請求項1に記載の防音構造において、
複数の床材を備え、
前記複数の防音用板状部材は、前記床材と別の前記床材との間に配置される、
防音構造。
【請求項3】
請求項1に記載の防音構造において、
前記複数の防音用板状部材は、それぞれ厚みが異なる、
防音構造。
【請求項4】
請求項3に記載の防音構造において、
前記複数の防音用板状部材は、下層よりも上層を薄くするように構成される、
防音構造。
【請求項5】
請求項1に記載の防音構造において、
前記複数の防音用板状部材の継ぎ目は、鉛直方向において重ならないように配置される、
防音構造。
【請求項6】
請求項1に記載の防音構造において、
前記床は、乾式の浮床である、
防音構造。
【請求項7】
請求項1に記載の防音構造において、
前記防音シートは、2枚の前記石膏ボードの間に配置される、
防音構造。
【請求項8】
請求項1に記載の防音構造において、
前記防音シートは、遮音シートである、
防音構造。
【請求項9】
請求項1に記載の防音構造において、
前記床材は、合板及び仕上材を含み、
前記床は、下層から、前記合板、前記石膏ボード、前記防音シート、前記石膏ボード、前記防音シート、前記石膏ボード、前記合板、及び前記仕上材の順に積層される、
防音構造。
【請求項10】
請求項1に記載の防音構造において、
前記天井は、前記躯体から吊り下げられて設けられる、
防音構造。
【請求項11】
請求項1に記載の防音構造において、
第1防振材を備え、
前記第1防振材は、前記躯体と前記床との間に配置され、前記床に加わった衝撃により変形して前記衝撃を吸収可能に構成される、
防音構造。
【請求項12】
請求項1に記載の防音構造において、
第2防振材を備え、
前記第2防振材は、前記躯体と前記天井との間に配置され、前記天井に加わった衝撃により変形して前記衝撃を吸収可能に構成される、
防音構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防音構造が開示されている。
【0003】
この防音構造は、床基盤に対して上方に所定の間隔をおいて配置される床材と、床基盤と床材との間に床下空間が形成されるように互いに所定の間隔をおいて配置され、床材に加わった衝撃を吸収する複数の衝撃吸収材と、床基盤から立設し床材の周囲を囲う第1壁部材と、を備え、第1壁部材には、室内に面して室内の音を吸音するとともに通気性を有する吸音部材が設けられており、床下空間は、吸音部材を介して室内に連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-161682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された防音構造は、1つの室内における防音性能を向上させるに過ぎず、上下に隣接する住戸に対する防音性能を向上させるわけではなかった。
【0006】
本発明では上記事情を鑑み、上下に隣接する住戸に対する防音性能を向上可能な防音構造を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、防音構造が提供される。この防音構造は、躯体と、天井と、壁と、床とを備える。躯体は、天井及び床を支持する。天井は、躯体の下方に配置される。壁は、天井と床との間に垂直に設けられ、天井及び床に支持される。床は、躯体の上方に配置され、床材に加えて複数の防音用板状部材を重ねて構成される浮床である。
【0008】
このような態様によれば、上下に隣接する住戸に対する防音性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】防音構造100を表す構成図である。
図2】天井300の構成を示す図である。
図3】壁400の構成を示す図である。
図4】床600の構成を示す図である。
図5】常時換気用ダクト700の構成を示す図である。
図6】防音構造100の内部において音が発生した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
1.構成
第1節では、本実施形態の構成について説明する。
【0012】
1-1.防音構造100
図1は、防音構造100を表す構成図である。
【0013】
防音構造100は、躯体200と、防振吊金具(第2防振材)210と、天井300と、壁400と、防振ゴム(第1防振材)500と、床600と、常時換気用ダクト700とを備える。これらの構成要素について説明する。
【0014】
また、防音構造100は、フレーム構造を有さない。したがって、防音構造100は、フレーム構造の占有スペースの分だけコンパクト化が可能であるため、建物の階高を抑えることができる。
【0015】
1-2.躯体200
躯体200は、建築物全体を構造的に支える骨組み部分として機能する。躯体200は、例えば、柱、梁、壁、及びスラブ等が該当する。躯体200は、天井300及び床600を支持する。本実施形態では、躯体200は、防振吊金具210を介して天井300を支持する。また、躯体200は、防振ゴム500を介して床600を支持する。したがって、躯体200は、天井300の上方に配置されるとともに、床600の下方に配置される。躯体200は、例えば、コンクリートから形成されてもよい。
【0016】
1-3.防振吊金具210
防振吊金具210は、天井300に加わった衝撃により変形して衝撃を吸収可能に構成される。防振吊金具210は、不図示の防振ゴムを備える。すなわち、防振吊金具210は、天井300に音による振動(衝撃)が生じた場合、当該振動により防振ゴムが変形し、当該振動を吸収可能に構成される。防振吊金具210は、躯体200と天井300との間に配置される。
【0017】
1-4.天井300
図2は、天井300の構成を示す図である。
【0018】
天井300は、躯体200の下方に配置され、躯体200から吊り下げられて設けられる。すなわち、天井300は、躯体200に接続された防振吊金具210に接続され、二重天井として形成される。天井300は、二重天井として形成されることにより、躯体200と天井300との間に空間ができるため、その空間を電気や水道管等の配管スペースとして活用することができる。本実施形態では、躯体200と天井300との間の空間は、常時換気用ダクト700の設置スペースとして活用される。
【0019】
天井300は、躯体200側から床600側にかけて、強化石膏ボード310、遮音シート320、及び硬質石膏ボード330の順に積層され、さらに岩綿吸音板340又はクロス350が積層されてもよい。天井300は、これらの材料が積層されることにより、防音構造100内から上方向に伝播した音810を減衰させるという効果を奏する。天井300は、上記の順に材料が積層されることにより、防音構造100内から上方向に伝播した音810を効率的に減衰させるという効果を奏する。
【0020】
1-5.壁400
図3は、壁400の構成を示す図である。
【0021】
壁400は、天井300と床600との間に垂直に設けられる。壁400は、天井300及び床600に支持される。すなわち、壁400は、躯体200から縁切りされ、天井勝ち及び床勝ちの構成を呈する。壁400と天井300との間、及び壁400と床600との間には、気密遮音コーキングが施されてもよい。
【0022】
壁400は、外側から室内側にかけて、鋼製下地材405、強化石膏ボード410、遮音シート420、硬質石膏ボード430及びクロス440の順に重ねられてもよい。壁400は、これらの材料が重ねられることにより、防音構造100内から水平方向に伝播した音810を減衰させるという効果を奏する。壁400は、上記の順に材料が重ねられることにより、防音構造100内から水平方向に伝播した音810を効率的に減衰させるという効果を奏する。
【0023】
1-6.防振ゴム500
防振ゴム500は、床600に加わった衝撃により変形して衝撃を吸収可能に構成される。防振ゴム500は、躯体200と床600との間に配置される。防振ゴム500は、躯体200及び床600にそれぞれ接続される。防振ゴム500は、例えば、天然ゴムから構成されてもよい。防振ゴム500は、例えば、円柱状の形状を呈する。
【0024】
1-7.床600
図4は、床600の構成を示す図である。
【0025】
床600は、乾式の浮床である。すなわち、躯体200と床600との間に空間が設けられているため、音が躯体200に直接に伝わることを防止することができる。床600は、防振ゴム500の上に配置される。床600に衝撃が加わった場合、防振ゴム500の圧縮変形によって床600が僅かに沈み込むため、壁400と床600とは互いに所定の間隔をおいて配置されている。
【0026】
床600は、複数の床材に加えて複数の防音用板状部材を重ねて構成される。複数の床材は、床600の施工精度を向上可能に構成される。複数の防音用板状部材は、床600の防音性能を向上可能に構成される。複数の床材は、合板610及びフローリング(仕上材)640を含む。複数の防音用板状部材は、強化石膏ボード(石膏ボード)620及び遮音シート(防音シート)630を含む。
【0027】
複数の防音用板状部材は、床材と別の床材との間に配置されてもよい。すなわち、強化石膏ボード620及び遮音シート630は、合板610と別の合板610との間に配置されてもよい。
【0028】
このような態様によれば、床600の施工精度を向上させつつ、床600の防音性能を向上させることができる。
【0029】
複数の防音用板状部材は、それぞれ厚みが異なってもよい。すなわち、強化石膏ボード620と遮音シート630との厚みが異なってもよく、強化石膏ボード620と別の強化石膏ボード620との厚みが異なってもよく、遮音シート630と別の遮音シート630との厚みが異なってもよい。
【0030】
強化石膏ボード620は、厚みが大きくなるほど、遮音性能が向上する。しかしながら、強化石膏ボード620は、コインシデンス効果により、厚みに対応する特定の周波数の音に対する遮音性能が低下する性質を有する。そこで、それぞれ厚みが異なる複数の強化石膏ボード620を積層させることにより、コインシデンス効果による遮音性能の低下を相互に補填することができる。したがって、それぞれ厚みが異なる複数の強化石膏ボード620を積層することによれば、様々な周波数の音を効率的に減衰させることができる。また、遮音シート630についても同様のことが言える。
【0031】
特に、床600は、下層から、合板610、強化石膏ボード620、遮音シート630、強化石膏ボード620、遮音シート630、強化石膏ボード620、合板610、及びフローリング640の順に積層されてもよい。このように、遮音シート630は、2枚の強化石膏ボード620の間に配置されてもよい。このとき、床600は、例えば、下層から、厚さ12mmの合板610、厚さ21mmの強化石膏ボード620、厚さ4mmの遮音シート630、厚さ15mmの強化石膏ボード620、厚さ4mmの遮音シート630、厚さ12.5mmの強化石膏ボード620、厚さ12mmの合板610、及び厚さ16mmのフローリング640の順に積層されてもよい。ここで、強化石膏ボード620の厚みは、下層よりも上層の方が薄い。換言すると、複数の防音用板状部材は、下層よりも上層を薄くするように構成されてもよい。
【0032】
上記のような防音用板状部材の積層構造は、下層よりも上層を薄くするように構成されることで、下層にかかる質量を抑えつつ、より確実に下層で上層を支持することができる。また、上記のような床600の積層構造は、乾式の積層構造であるため、軽量化を図りつつ、床600の施工精度を向上させることができる。
【0033】
また、複数の床材及び複数の防音用板状部材の継ぎ目は、鉛直方向において重ならないように配置されてもよい。この継ぎ目の配置を、防音構造100の北側を継ぎ目の開始の基準として説明する。例えば、(1)合板610では、継ぎ目の開始を1cm、継ぎ目の間隔を90cmとする。(2)強化石膏ボード620では、継ぎ目の開始を30cm、継ぎ目の間隔を90cmとする。(3)遮音シート630では、継ぎ目の開始を60cm、継ぎ目の間隔を90cmとする。上記(1)~(3)のように継ぎ目を配置することで、継ぎ目同士が鉛直方向において重ならないように構成可能である。
【0034】
すなわち、継ぎ目が重なった場合、継ぎ目に侵入した音は、継ぎ目を介して容易に伝播される。そこで、継ぎ目の重なりを防止し、継ぎ目に侵入した音を遮断することで、音の伝播を効率的に抑制することができる。
【0035】
1-8.常時換気用ダクト700
図5は、常時換気用ダクト700の構成を示す図である。
【0036】
常時換気用ダクト700は、常時換気システム(いわゆる24時間換気システム)に使用されるダクトのことである。常時換気用ダクト700は、換気装置710に接続され、給気ダクト720及び排気ダクト730を備える。室内の空気と外気とは、換気装置710により実行される給排気制御により、所定時間内に入れ換わる。常時換気用ダクト700は、天井300の孔部を通って、躯体200と天井300との間に配置される。常時換気用ダクト700は、換気装置710との接続部から、防音構造100の外側に向けて延びる。常時換気用ダクト700と天井300との間隙には、隙間充填剤及び気密遮音コーキングが施されてもよい。常時換気用ダクト700は、例えば、亜鉛めっき鉄板から構成されてもよい。
【0037】
常時換気用ダクト700の長さは、天井300と壁400とが接触する接触面に係る辺の長さの半分以上の長さを呈する。すなわち、例えば、防音構造100の北側における、天井300と壁400とが接触する接触面から構成される辺の長さが10mの場合、常時換気用ダクト700の長さは、5m以上であればよい。具体的には例えば、5,5.2,5.4,5.6,5.8,6,6.2,6.4,6.6,6.8,7,7.2,7.4,7.6,7.8,8,8.2,8.4,8.6,8.8,9,9.2,9.4,9.6,9.8,10,10.2,10.4,10.6,10.8,11,11.2,11.4,11.6,11.8,12,12.2,12.4,12.6,12.8,13,13.2,13.4,13.6,13.8,14,14.2,14.4,14.6,14.8,15,15.2,15.4,15.6,15.8,16,16.2,16.4,16.6,16.8,17,17.2,17.4,17.6,17.8,18,18.2,18.4,18.6,18.8,19,19.2,19.4,19.6,19.8,20m以上であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0038】
ここで、仮想のダクトである仮想ダクト740と比較して説明する。仮想ダクト740は、防音構造100の外側に接する給気口又は排気口から換気装置710まで、ほぼ最短距離で構成されるものとする。一方、常時換気用ダクト700は、仮想ダクト740と比較して、給排気口から換気装置710までの距離が大きくなるように構成されるものとする。したがって、常時換気用ダクト700内を伝播する音は、給排気口に到達する距離に応じて減衰することになる。
【0039】
2.作用
第2節では、本実施形態の作用について説明する。
【0040】
図6は、防音構造100の内部において音が発生した状態を示す図である。
【0041】
図6では、音源の一例として、ドラム800を例示している。ドラム800から音810が発生すると、音810は、防音構造100の各構造に向けて伝播する。以下、防音構造100の各構造による防音の作用について説明する。
【0042】
2-1.天井300による防音の作用
音810は、天井300における岩綿吸音板340に到達する。音810は、岩綿吸音板340により吸音され、吸音された分だけ減衰する。続いて、音810は、硬質石膏ボード330に到達する。音810は、硬質石膏ボード330により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、遮音シート320に到達する。音810は、遮音シート320により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、強化石膏ボード310に到達する。音810は、強化石膏ボード310により遮音され、遮音された分だけ減衰する。
【0043】
続いて、音810は、不図示のグラスウールに到達する。音810は、グラスウールにより吸音され、吸音された分だけ減衰する。続いて、音810は、躯体200に到達する。音810は、躯体200により遮音され、遮音された分だけ減衰する。以上の防音工程を経て、音810は、防音構造100の外部(屋外又は隣接住戸)に到達する。
【0044】
以上より、天井300は、ドラム800から上方向に伝播した音810を減衰させる作用を奏する。
【0045】
2-2.壁400による防音の作用
音810は、壁400におけるクロス440に到達する。続いて、音810は、硬質石膏ボード430に到達する。音810は、硬質石膏ボード430により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、遮音シート420に到達する。音810は、遮音シート420により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、強化石膏ボード410に到達する。音810は、強化石膏ボード410により遮音され、遮音された分だけ減衰する。
【0046】
続いて、音810は、不図示のグラスウールに到達する。音810は、グラスウールにより吸音され、吸音された分だけ減衰する。続いて、音810は、躯体200に到達する。音810は、躯体200により遮音され、遮音された分だけ減衰する。以上の防音工程を経て、音810は、防音構造100の外部(屋外又は隣接住戸)に到達する。
【0047】
以上より、壁400は、ドラム800から水平方向に伝播した音810を減衰させる作用を奏する。
【0048】
2-3.床600による防音の作用
音810は、床600におけるフローリング640に到達する。続いて、音810は、合板610に到達する。音810は、合板610により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、強化石膏ボード620に到達する。音810は、強化石膏ボード620により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、遮音シート630に到達する。音810は、遮音シート630により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、強化石膏ボード620に到達する。音810は、強化石膏ボード620により遮音され、遮音された分だけ減衰する。
【0049】
続いて、音810は、遮音シート630に到達する。音810は、遮音シート630により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、強化石膏ボード620に到達する。音810は、強化石膏ボード620により遮音され、遮音された分だけ減衰する。続いて、音810は、合板610に到達する。音810は、合板610により遮音され、遮音された分だけ減衰する。さらに、音810による床600の振動は、防振ゴム500により吸収される。
【0050】
床600を透過した音810は、不図示のグラスウールに到達する。音810は、グラスウールにより吸音され、吸音された分だけ減衰する。続いて、音810は、躯体200に到達する。音810は、躯体200により遮音され、遮音された分だけ減衰する。以上の防音工程を経て、音810は、防音構造100の外部(屋外又は隣接住戸)に到達する。
【0051】
以上より、床600は、ドラム800から下方向に伝播した音810を減衰させる作用を奏する。
【0052】
3.その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0053】
第1変形例として、防振材は、天然ゴムから構成される防振ゴム500に限られず、例えば、フッ素ゴム、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等から構成されてもよい。
【0054】
第2変形例として、常時換気用ダクト700は、亜鉛めっき鉄板から構成されることに限られず、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、塩化ビニル被覆鋼板等から構成されてもよい。
【0055】
第3変形例として、仕上材は、フローリング640に限られず、例えば、カーペットであってもよい。
【0056】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0057】
(1)防音構造であって、躯体と、天井と、壁と、床とを備え、前記躯体は、前記天井及び前記床を支持し、前記天井は、前記躯体の下方に配置され、前記壁は、前記天井と前記床との間に垂直に設けられ、前記天井及び前記床に支持され、前記床は、前記躯体の上方に配置され、床材に加えて複数の防音用板状部材を重ねて構成される浮床である、防音構造。
【0058】
このような態様によれば、複数の防音用板状部材を重ねて構成される浮床により、上下に隣接する住戸に対する防音性能を向上させることができる。すなわち、部屋等の構造体の内部における音は、左右方向よりも上下方向に対してより伝播する性質を有するため、効率的に音を減衰させることができる。また、壁が躯体から縁切りされているため、壁に生じた音による振動であって躯体に伝播する振動を減衰させることができる。
【0059】
(2)上記(1)に記載の防音構造において、複数の床材を備え、前記複数の防音用板状部材は、前記床材と別の前記床材との間に配置される、防音構造。
【0060】
このような態様によれば、床材の作用により、防音用板状部材の施工精度を向上させることができる。
【0061】
(3)上記(1)又は(2)に記載の防音構造において、前記複数の防音用板状部材は、それぞれ厚みが異なる、防音構造。
【0062】
このような態様によれば、防音用板状部材に生じるコインシデンス効果による遮音性能の低下を相互に補填させることで、透過する様々な音を減衰させることができる。
【0063】
(4)上記(3)に記載の防音構造において、前記複数の防音用板状部材は、下層よりも上層を薄くするように構成される、防音構造。
【0064】
このような態様によれば、音を減衰させることに加えて、床の支持性能を向上させることができる。
【0065】
(5)上記(1)から(4)までの何れか1つに記載の防音構造において、前記複数の防音用板状部材の継ぎ目は、鉛直方向において重ならないように配置される、防音構造。
【0066】
このような態様によれば、継ぎ目から音が漏れることを防止することができる。
【0067】
(6)上記(1)から(5)までの何れか1つに記載の防音構造において、前記床は、乾式の浮床である、防音構造。
【0068】
このような態様によれば、コンクリート等の湿式の浮床と比較して、防音構造の軽量化を図ることができる。
【0069】
(7)上記(1)から(6)までの何れか1つに記載の防音構造において、前記複数の防音用板状部材は、石膏ボード及び防音シートを含む、防音構造。
【0070】
このような態様によれば、防音に適した部材を適用することができる。
【0071】
(8)上記(7)に記載の防音構造において、前記防音シートは、2枚の前記石膏ボードの間に配置される、防音構造。
【0072】
このような態様によれば、異なる材質の部材を順に積層させることにより、様々な音の周波数を効率的に減衰させることができる。
【0073】
(9)上記(7)又は(8)に記載の防音構造において、前記防音シートは、遮音シートである、防音構造。
【0074】
このような態様によれば、遮音性能を向上させることにより、吸音シートよりも効率的に音の周波数を減衰させることができる。
【0075】
(10)上記(7)から(9)までの何れか1つに記載の防音構造において、前記床材は、合板及び仕上材を含み、前記床は、下層から、前記合板、前記石膏ボード、前記防音シート、前記石膏ボード、前記防音シート、前記石膏ボード、前記合板、及び前記仕上材の順に積層される、防音構造。
【0076】
このような態様によれば、合板と合板との間に防音用板状部材が配置されるため、床の施工精度を向上させるとともに、様々な音の周波数を効率的に減衰させることができる。
【0077】
(11)上記(1)から(10)までの何れか1つに記載の防音構造において、前記天井は、前記躯体から吊り下げられて設けられる、防音構造。
【0078】
このような態様によれば、天井が躯体から縁切りされているため、天井に生じた音による振動であって躯体に伝播する振動を減衰させることができる。
【0079】
(12)上記(1)から(11)までの何れか1つに記載の防音構造において、第1防振材を備え、前記第1防振材は、前記躯体と前記床との間に配置され、前記床に加わった衝撃により変形して前記衝撃を吸収可能に構成される、防音構造。
【0080】
このような態様によれば、第1防振材により、床に生じた音による振動であって躯体に伝播する振動を減衰させることができる。
【0081】
(13)上記(1)から(12)までの何れか1つに記載の防音構造において、第2防振材を備え、前記第2防振材は、前記躯体と前記天井との間に配置され、前記天井に加わった衝撃により変形して前記衝撃を吸収可能に構成される、防音構造。
【0082】
このような態様によれば、第2防振材により、天井に生じた音による振動であって躯体に伝播する振動を減衰させることができる。
【0083】
(14)上記(1)から(13)までの何れか1つに記載の防音構造において、常時換気用ダクトを備え、前記常時換気用ダクトは、前記躯体と前記天井との間に配置され、前記常時換気用ダクトの長さは、前記天井と前記壁とが接触する接触面に係る辺の長さの半分以上の長さを呈する、防音構造。
【0084】
このような態様によれば、ダクト全体の長さを確保可能であるため、音が外部に到達するまでに、ダクト内に伝播する音を効率的に減衰させることができる。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0085】
100 :防音構造
200 :躯体
210 :防振吊金具
300 :天井
310 :強化石膏ボード
320 :遮音シート
330 :硬質石膏ボード
340 :岩綿吸音板
350 :クロス
400 :壁
405 :鋼製下地材
410 :強化石膏ボード
420 :遮音シート
430 :硬質石膏ボード
440 :クロス
500 :防振ゴム
600 :床
610 :合板
620 :強化石膏ボード
630 :遮音シート
640 :フローリング
700 :換気用ダクト
710 :換気装置
720 :給気ダクト
730 :排気ダクト
740 :仮想ダクト
800 :ドラム
810 :音
【要約】
【課題】上下に隣接する住戸に対する防音性能を向上可能な防音構造を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、防音構造が提供される。この防音構造は、躯体と、天井と、壁と、床とを備える。躯体は、天井及び床を支持する。天井は、躯体の下方に配置される。壁は、天井と床との間に垂直に設けられ、天井及び床に支持される。床は、躯体の上方に配置され、床材に加えて複数の防音用板状部材を重ねて構成される浮床である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6