(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】環境評価システム、環境評価方法及び環境評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20230208BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2022176779
(22)【出願日】2022-11-02
【審査請求日】2022-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517346277
【氏名又は名称】株式会社バックキャストテクノロジー総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】397037410
【氏名又は名称】東武トップツアーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】傘木 和俊
(72)【発明者】
【氏名】藤井 達也
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 真一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 久美子
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-133512(JP,A)
【文献】特開2022-160963(JP,A)
【文献】特許第7043691(JP,B1)
【文献】特開2015-052928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境評価システムであって、
前記環境評価システムは、記憶部と、提供者情報受付部と、事業活動情報受付部と、GHG単位算出部と、を備え、
前記記憶部は、単位
金額あたりの基準GHG量を算出する基準係数を格納し、
前記提供者情報受付部は、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、
前記事業活動情報受付部は、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、
前記GHG単位算出部は、前記実績金額、前記実績数量及び前記基準係数を用いて、
提供者別に、前記事業活動の提供が行われる単位数量あたりのGHG量を算出する為の係数である前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する、環境評価システム。
【請求項2】
前記提供者情報は、提供者の拠点所在地を含み、
前記個別算出係数は、前記拠点所在地に基づく地域と紐付けて格納される、請求項1に記載の環境評価システム。
【請求項3】
前記事業活動情報は、複数種別の実績金額を含み、
前記GHG単位算出部は、前記複数種別の実績金額及び、前記種別に対応した前記基準係数を用いて、個別算出係数を決定する、請求項1に記載の環境評価システム。
【請求項4】
前記事業活動情報は、複数種別の実績金額を含み、
前記GHG単位算出部は、前記複数種別の実績金額及び、前記種別に対応した前記基準係数を用いて、前記種別毎の個別算出係数を決定する、請求項1に記載の環境評価システム。
【請求項5】
さらに、境界判定部を備え、
前記事業活動情報受付部は、前記実績金額及びその内容を示す項目が紐づけられたレコードを複数有したデータセットを受け付け、
前記記憶部は、前記項目が、前記個別算出係数を算出する為の実績金額の集計対象に該当するか否かを判定する為の境界情報を格納し、
前記境界判定部は、前記項目毎に、前記境界情報に基づく集計対象当否の判定を行い、
前記GHG単位算出部は、集計した前記実績金額に基づいて、前記個別算出係数を決定する、
請求項1に記載の環境評価システム。
【請求項6】
前記境界情報は、前記項目に基づいて、実績金額が何れの種別の集計対象に該当するか示し、
前記GHG単位算出部は、前記種別毎に集計した前記実績金額に基づいて、前記個別算出係数を決定する、
請求項5に記載の環境評価システム。
【請求項7】
さらに、ポイント付与率決定部を備え、
前記記憶部は、基準ポイント付与率を格納し、
前記ポイント付与率決定部は、前記個別算出係数及び前記基準ポイント付与率を用いて、
エンドユーザのポイント付与率を決定する、
請求項1に記載の環境評価システム。
【請求項8】
さらに、ポイント付与率決定部を備え、
前記記憶部は、基準ポイント付与率を格納し、
前記ポイント付与率決定部は、前記実績金額又は、前記実績金額に前記基準係数を乗算したGHG量並びに、前記基準ポイント付与率を用いて、前記提供者のポイント付与率を決定する、
請求項1に記載の環境評価システム。
【請求項9】
単位金額あたりの基準GHG量を算出する基準係数を格納する記憶部を備えるコンピュータが実行する環境評価方法であって、
提供者情報受付工程では、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、
事業活動情報受付工程では、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、
GHG単位算出工程では、前記実績金額、前記実績数量及び、
前記基準係数を用いて、
提供者別に、前記事業活動の提供が行われる単位数量あたりのGHG量を算出する為の係数である前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する、環境評価方法。
【請求項10】
環境評価プログラムであって、
単位金額あたりの基準GHG量を算出する基準係数を格納する記憶部を備えるコンピュータを、提供者情報受付部と、事業活動情報受付部と、GHG単位算出部と、として機能させ、
前記提供者情報受付部は、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、
前記事業活動情報受付部は、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、
前記GHG単位算出部は、前記実績金額、前記実績数量及び、
前記基準係数を用いて、
提供者別に、前記事業活動の提供が行われる単位数量あたりのGHG量を算出する為の係数である前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する、環境評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境評価システム、環境評価方法及び環境評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境問題、エネルギー問題に関する関心が高まっている。特に近年では、企業活動や個人の生活などにおいて、GHG排出量の削減等の重要性が叫ばれている。
【0003】
特許文献1には、移動手段による二酸化炭素の削減量の違いをユーザが容易に把握することができる情報処理システムを提供する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、交通機関ごとに料金から移動距離を推定するための推定情報を記憶する推定情報記憶部と、交通機関ごとに移動距離に応じて環境負荷物質の排出量を算出するための排出係数を記憶する係数記憶部と、従業員の交通費に係る交通機関及び料金を含む交通費情報の入力を受け付ける入力部と、交通費情報に含まれる交通機関及び料金ならびに推定情報に基づいて、交通費情報に係る移動距離を算出する移動距離算出部と、交通機関に対応する排出係数を移動距離に乗じて排出量を算出する排出量算出部と、を備える情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-026418号公報
【文献】特許第7045601号公報
【0006】
例えば、エンドユーザは、日常生活や旅行等に際して、宿泊施設や食事処、展示施設、劇場に赴き、商品・サービスの提供を受ける。また、アクティビティ体験やレッスン、リラクゼーション、観光ガイド、ものつくり体験、お土産処等の商品・サービスの提供を受ける場合もある。
【0007】
同種の事業活動を行う提供者であっても、実際に排出しているGHG量はそれぞれに異なるはずである。電力会社等、特定の事業活動を行う提供者については、企業毎に異なる係数が用いられる場合もあるものの、上記のような事業活動を行う提供者については、提供者毎にGHG量算出の基準が設けられてはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情を鑑みて、本発明は、提供者別にGHG量算出の基準を決定する為の新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、環境評価システムであって、
前記環境評価システムは、記憶部と、提供者情報受付部と、事業活動情報受付部と、GHG単位算出部と、を備え、
前記記憶部は、単位数量あたりの基準GHG量を算出する基準係数を格納し、
前記提供者情報受付部は、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、
前記事業活動情報受付部は、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、
前記GHG単位算出部は、前記実績金額、前記実績数量及び前記基準係数を用いて、前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する。
【0010】
また、本発明は、環境評価方法であって、
提供者情報受付工程では、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、
事業活動情報受付工程では、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、
GHG単位算出工程では、前記実績金額、前記実績数量及び、単位数量あたりの基準GHG量を算出する基準係数を用いて、前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する。
【0011】
また、本発明は、環境評価プログラムであって、
コンピュータを、提供者情報受付部と、事業活動情報受付部と、GHG単位算出部と、として機能させ、
前記提供者情報受付部は、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、
前記事業活動情報受付部は、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、
前記GHG単位算出部は、前記実績金額、前記実績数量及び、単位数量あたりの基準GHG量を算出する基準係数を用いて、前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する。
【0012】
このような構成とすることで、ユーザが拠点から提供を受けるサービスについて、活動に対するGHG量を評価する為の算出係数を決定することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記提供者情報は、提供者の拠点所在地を含み、
前記個別算出係数は、前記拠点所在地に基づく地域と紐付けて格納される。
【0014】
このような構成とすることで、地理的に関連する提供者をまとめてデータベース化することができる。そのため、例えば、GHG量の評価結果に応じて、代案となる提供者が提案できる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記事業活動情報は、複数種別の実績金額を含み、
前記GHG単位算出部は、前記複数種別の実績金額及び、前記種別に対応した前記基準係数を用いて、個別算出係数を決定する。
また、前記事業活動情報は、複数種別の実績金額を含み、
前記GHG単位算出部は、前記複数種別の実績金額及び、前記種別に対応した前記基準係数を用いて、前記種別毎の個別算出係数を決定する。
【0016】
このような構成とすることで、より正確に算出係数を決定することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、さらに、境界判定部を備え、
前記事業活動情報受付部は、前記実績金額及びその内容を示す項目が紐づけられたレコードを複数有したデータセットを受け付け、
前記記憶部は、前記項目が、前記個別算出係数を算出する為の実績金額の集計対象に該当するか否かを判定する為の境界情報を格納し、
前記境界判定部は、前記項目毎に、前記境界情報に基づく集計対象当否の判定を行い、
前記GHG単位算出部は、集計した前記実績金額に基づいて、前記個別算出係数を決定する。
また、本発明の好ましい形態では、前記境界情報は、前記項目に基づいて、実績金額が何れの種別の集計対象に該当するか示し、
前記GHG単位算出部は、前記種別毎に集計した前記実績金額に基づいて、前記個別算出係数を決定する。
【0018】
このような構成とすることで、より簡単に算出係数を決定することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、さらに、ポイント付与率決定部を備え、
前記記憶部は、基準ポイント付与率を格納し、
前記ポイント付与率決定部は、前記個別算出係数及び前記基準ポイント付与率を用いて、前記提供者のポイント付与率を決定する。
【0020】
このような構成とすることで、ユーザが拠点から提供を受けるサービスに対して付与される環境ポイントを、提供者間で異ならせることができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、さらに、ポイント付与率決定部を備え、
前記記憶部は、基準ポイント付与率を格納し、
前記ポイント付与率決定部は、前記実績金額又は、前記実績金額に前記基準係数を乗算したGHG量並びに、前記基準ポイント付与率を用いて、前記提供者のポイント付与率を決定する。
【0022】
このような構成とすることで、提供者に対して付与される環境ポイントを、提供者間で異ならせることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、提供者別にGHG量算出の基準を決定する為の新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】一実施の形態のシステムのハードウェア構成図。
【
図4】一実施の形態のシステムにおける事業活動情報の一例を示す図。
【
図5】一実施の形態のシステムにおける境界情報の一例を示す図。
【
図6】一実施の形態のシステムにおけるポイント付与率決定までの処理フローチャート。
【
図7】一実施の形態のシステムにおける当否判定の処理フローチャート。
【
図8】一実施の形態のシステムにおける個別算出係数の算出例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0026】
例えば、本実施形態では環境評価システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態では、クライアント端末でその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させる、いわゆるサーバ・クライアント型の環境評価システムについて説明する。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0027】
本実施形態では、まず、算出係数の登録が行われ、その後、登録された算出係数を用いて、活動に対するGHG量の評価を行う。
【0028】
まず、商品及び/又はサービスの提供を行うことで、エンドユーザによる活動を可能とする者(以降、「提供者」とする)が、事業活動を行うことで生じるGHG量/削減されたGHG量の評価を行う為に、その基準となる算出係数を登録する。提供者は、例えば、宿泊施設や食事処、展示施設、劇場であったり、アクティビティ体験やレッスン、リラクゼーション、観光ガイド、ものつくり体験、お土産処等の商品・サービスを提供する個人、組織又は施設である。提供者毎に登録される算出係数を、個別算出係数とする。個別算出係数は、一人の提供者に対して複数登録されてもよい。
【0029】
その後、エンドユーザが利用した商品・サービスについて、GHG量の評価が行われる。なお、本実施形態ではエンドユーザは消費者であり、消費者は、自身が利用した提供者の商品・サービスについてのGHG量の評価を受け、評価結果に基づいて環境ポイントの付与を受けることとする。例えば、エンドユーザは旅程の作成を行う旅行業者等であってもよく、旅程に組み込まれた提供者による商品・サービスについて、GHG量の評価を受けることとしてもよい。
【0030】
なお、「GHG」はGreenhouse Gas(温室効果ガス)であって、本実施形態では二酸化炭素(CO2)である。GHGは、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)であってもよい。「量」とは、GHG排出量や、GHG増加量、GHG削減量、GHG増加率又はGHG削減率等、GHGの量的指標に係る値であり、本実施形態ではCO2排出量及び、削減量(増加量)の算出を行う。
【0031】
<1.システム構成>
図1は、一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、環境評価システム0は、評価装置1(サーバ装置)、登録装置2(サーバ装置)、提供者端末装置3(端末装置)及び、ユーザ端末装置4(端末)を備える。登録装置2及び提供者端末装置3(端末装置)並びに、評価装置1及びユーザ端末装置4は、通信ネットワークNWを介して通信可能に構成され、評価装置1及び登録装置2も、通信ネットワークNW又は図示しないネットワークを介して通信可能に構成される。評価装置1及び登録装置2はサーバとして動作し、提供者端末装置3及びユーザ端末装置4はクライアントとして動作する。
【0032】
評価装置1及び登録装置2として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。提供者端末装置3及びユーザ端末装置4として、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。提供者端末装置3及びユーザ端末装置4は、評価装置1及び登録装置2に対してリクエストを行い、レスポンスを受け取る為のアプリケーション(典型的には、ウェブブラウザ)を有する。
【0033】
通信ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0034】
<1.1.ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、サーバ装置10(評価装置1及び登録装置2)は、演算装置101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信装置106及びバスインタフェースを有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0035】
演算装置101は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、本発明に係る評価プログラム又はGHG単位算出プログラム(環境評価プログラム)、OSやその他のアプリケーションを実行することで、評価装置1の動作処理全体を制御する。
主記憶装置102は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリを有する。
補助記憶装置103は、OS及び評価プログラム又はGHG単位算出プログラムなどを記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信装置106は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【0036】
図2(b)に示すように端末装置90(提供者端末装置3及びユーザ端末装置4)は、演算装置901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入力装置904、出力装置905、通信装置906及びバスインタフェースを有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0037】
演算装置901は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSやウェブブラウザ、その他のアプリケーションを実行する。
主記憶装置902は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリを有する。
補助記憶装置903は、OS、ウェブブラウザアプリケーション等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
入力装置904は、タッチパネルやキーボードなどの入力処理が可能な入力デバイスを有する。
出力装置905は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイスを有する。
通信装置906は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【0038】
<1.2.環境評価システム0の機能構成>
図3は、環境評価システム0の機能ブロック図である。
図3(a)に示すように、登録装置2は、提供者情報受付部21と、事業活動情報受付部22と、入力整形部23と、境界判定部24と、GHG単位算出部25と、ポイント付与率決定部26を有する。これは、ソフトウェア(補助記憶装置103に記憶されたGHG単位算出プログラム)による情報処理が、ハードウェア(演算装置101等)によって具体的に実現されたものである。
【0039】
図3(b)に示すように、評価装置1は、受付部11と、判定部12と、評価部13と、環境ポイント評価部14を有する。これは、ソフトウェア(補助記憶装置103に記憶された評価プログラム)による情報処理が、ハードウェア(演算装置101等)によって具体的に実現されたものである。
【0040】
なお、本実施形態では、評価装置1及び登録装置2が各機能構成要素(部)を備える構成について例示するが、各機能構成要素が一つのサーバ装置に収容されていてもよい。また、一方の有する機能構成要素の一部が、他方又は、端末装置90を含む別の装置において実現される構成としてもよい。
【0041】
本実施形態では、評価装置1及び登録装置2は、ウェブアプリケーションの態様で提供者及びエンドユーザ(まとめて「利用者」とする)に提供され、提供者端末装置3及びユーザ端末装置4のウェブブラウザを介して利用される。評価装置1及び登録装置2は、ウェブサーバとして機能する為の図示しない表示処理部を有する。表示処理部は、利用者がウェブアプリケーションを利用するための利用画面を表示処理し、表示処理結果を提供者端末装置3又はユーザ端末装置4に対して送信する。提供者端末装置3又はユーザ端末装置4のウェブブラウザは、通信装置906を介して受け取った表示処理結果を用いて、利用画面を出力装置905に表示させる。また、入力装置904を介して、利用画面に対する操作を受け付けると共に、通信装置906を介して、利用画面に入力された情報や更なる画面の表示処理要求を評価装置1又は登録装置2の表示処理部に送信可能に構成される。以降は説明の簡略化のため、不明にならない範囲で、表示処理部の介在を省略して説明する。
【0042】
<1.3.提供者情報受付部>
提供者端末装置3は、登録画面に対して提供者情報及び事業活動情報を入力し、登録装置2に対して送信する。
提供者情報受付部21は、提供者情報を受け付け、記憶部(補助記憶装置103等)に格納する。提供者情報は、事業活動を行う提供者(個人、組織又は施設)に関する情報であり、例えば、提供者名称、拠点所在地等を含む。拠点所在地は、例えば、住所である。また、提供者情報は、住所に加えて、又は代えて、拠点の緯度経度や、グローバル座標系等の任意の座標系における2次元又は3次元座標等を拠点所在地として有していてもよい。座標は、提供者端末装置3に設けられたGNSSモジュールや高度計等を介して取得され、登録画面に対して入力されたり、登録装置2に対して送信されてもよい。
【0043】
<1.4.事業活動情報受付部>
事業活動情報受付部22は、事業活動情報を受け付け、提供者情報と対応付けて記憶部(補助記憶装置103等)に格納する。事業活動情報は、提供者が行った所定期間での事業活動に関する情報であり、少なくとも、単位期間中の実績金額及び実績数量を含む。
【0044】
例えば、提供者端末装置3は、登録画面を介して、実績数量の値を送信することで、実績数量を入力することができる。実績数量は、例えば、提供者における総宿泊人数や総利用人数、車両台数、稼働日数、総食数、等である。実績数量は、必ずしも一つの数量でなくてもよい。例えば、加算や乗算される複数の数量や、稼働率が入力されてもよい。例えば、宿泊施設における総GHG量から、一部屋あたりの個別算出係数を登録したい場合、施設の総部屋数×営業日数×稼働率によって、実際に利用された総部屋を求めることができる。この場合、稼働率は、施設の総部屋数に対して、使用された部屋数の割合を示す値である。また、保有する車両台数に対して、使用された車両台数の割合を示す稼働率によって、使用された車両台数を求めることもできる。
【0045】
また、提供者端末装置3は、同一又は別の登録画面を介して、実績金額の値を種別毎に送信することで、事業活動情報を入力することができる。この場合、GHG単位算出部25は、入力された実績数量、実績金額及びその種別に基づいて、個別算出係数を算出する。
【0046】
また、事業活動情報として、単位期間(前年度等)の事業活動の結果を示すデータセットを受け付け、データセットに基づいて、個別算出係数を算出することもできる。その場合、境界判定部24によって、データセットに含まれた要素毎の個別の実績金額(以降、個別実績金額とする)を個別算出係数の算出に用いるか否か判定し、GHG単位算出部25は、入力された実績数量、個別実績金額及びその種別に基づいて、個別算出係数を算出する。データセットの内容によっては、入力整形部23によって、データの整形処理を行った後に境界判定部24による判定を行う。
【0047】
データセットは、個別実績金額と、個別実績金額の内容を示す項目と、を含み、例えば、提供者が管理する収支計算書、請求書、領収書、支払明細等について、単位期間中データを並べた会計データである。本実施形態では、個別実績金額は、会計データにおける個々の経費科目や細目等(例えば、電気代や水道代等)に紐づく金額である。会計データにおける部門別(例えば、宿泊施設では宿泊売上、食事売上、お土産売上等)の売上金額であったり、製品品目別の売上金額を、実績金額としてもよい。
【0048】
<1.4.1.事業活動情報の整形処理>
入力整形部23は、事業活動情報受付部22が受け付けた事業活動情報を整形処理する。整形処理は、事業活動情報の生データを、登録装置2で処理する為の所定のデータフォーマットに変換する処理(不要な属性を削除したり、列を入れ替えたり、対応する属性名に変換する処理等)や、入力された事業活動情報の項目名(属性名)や項目値(属性値)を、辞書情報等に基づいて置き換えたり、項目(属性)を追加等する処理を含む。整形処理は、対応表等を用いたルールベースの処理であってもよいし、例えば自然言語処理によって行ってもよい。
【0049】
会計データとしての事業活動情報中の1要素(1レコード)は、個別実績金額毎に、下位の項目が上位の項目を細分化する関係となる階層的な項目構造のパスによって個別実績金額の内容が示されている。本実施形態では、項目は科目や細目であり、個別実績金額毎に、科目若しくは、科目並びに1又は複数の細目を有している。この細目は、科目を親とする場合と、細目を親とする場合があり、複数の階層構造をとる場合がある。例えば、科目は勘定科目、勘定科目を親とする細目は品目、品目(細目)を親とする細目は品名、品名(細目)を親とする細目は摘要、部門名、発注先等に相当する。
【0050】
また、例えば、細目は、科目又は細目と必ずしも意味内容的に親子関係とならない属性値を含んでいても良い。例えば、細目として、費用が直接費又は間接費の何れかを示すデータ、費用が変動費又は固定費の何れかを示すデータ、科目・細目を発生させた部門データ(部門名)等を含んでいて良い。なお、複数の細目は必ずしも直列に階層構造を取る必要はなく、事業活動情報の1レコード中に、共通の細目を親とする複数の細目が存在することを排除しない。
【0051】
図4は、入力された事業活動情報及び、整形された事業活動情報の一例を示す図である。
図4上段に示すデータは入力された事業活動情報(会計データの生データ)を示し、下段は、整形された事業活動情報の一例を示す。なお、図示された科目名等は、環境評価システム0で使用するコードであってもよい。
【0052】
本実施形態では、入力された事業活動情報に含まれた科目コード(図示例上段側の「借方科目コード」)に基づいて、レコードの科目及び細目を決定している。これは、例えば、記憶部(補助記憶装置103)に、主要な会計ソフト等の科目コードと、そのコードに対応する科目及び細目を対応付けて保持することで行われる。また、入力された事業活動情報における科目名(図示例上段側の「借方科目名」)を自然言語処理して、対応する科目及び/又は細目(図示例下段側の「科目名」、「品目」、「品名」等)を決定してもよい。あるいは、会計ソフトに限らず、予算管理や購買管理、生産管理、物流管理システム等から出力される出力データを事業活動情報として、出力データのフォーマットに対応する整形処理が行われてよい。
【0053】
入力整形部23は、事業活動情報受付部22が受け付けた事業活動情報において、摘要に含まれた文章から、個別実績金額等を決定してよい。これは、摘要に含まれた特定のキーワード(例えば、円や¥、m3やkWh)に隣接する文字列などを取得することで決定してもよく、例えば、ルールベースでの方法や統計学的手法、機械学習、自然言語処理によって、細目に対応する情報を抽出してよい。
【0054】
ここで、さらに、登録装置2は、受け付けた事業活動情報及び/又は、整形処理した事業活動情報を編集可能な編集画面を表示処理し、編集画面での編集処理を経た事業活動情報を、記憶部(補助記憶装置103)に格納してよい。この時、事業活動情報受付部22は、事業活動情報に不足している項目や内容、数値や金額、数量の不整合等がある場合には、編集画面を介してその部分を表示すると共に、入力を受け付けてよい。
【0055】
<1.4.2.事業活動のカテゴリ>
提供者情報及び/又は事業活動情報には、事業活動のカテゴリ情報が含まれる。カテゴリ情報は、例えば、「宿泊」、「バス」、「食事処」、「展示施設」等が挙げられる。また、カテゴリ情報として、2以上の属性が紐付けられてもよく、それらの一部又は全部が階層構造となっていてもよい。例えば、カテゴリ情報のカテゴリ1が「宿泊」の場合、更に下位のカテゴリ2として、「ビジネスホテル」や「旅館」等が定義され得る。
【0056】
実績数量は個別算出係数に乗算される単位に対応し、登録する個別算出係数によって、要求される実績数量が異なってもよい。また、カテゴリ情報によって、要求される実績数量が異なってもよい。例えば、カテゴリ情報が「宿泊」の場合、実績数量は単位期間中の総宿泊人数(/人)となる。また、カテゴリ情報が「バス」の場合、実績数量は単位期間中の総利用人数(/人)や、車両の保有台数(/台)、稼働日数(/日)等となり、カテゴリ情報が「食事処」の場合、実績数量は単位期間中の総食数(/食)、総顧客数(/人)等となり、カテゴリ情報が「展示施設」の場合、実績数量は単位期間中の入場者数(/人)となる。
【0057】
<1.5.境界判定部>
境界判定部24は、個別実績金額について、その内容を示す項目及び、境界情報に基づく集計対象当否の判定を行う。境界判定部24は、境界情報及び、事業活動情報に含まれた項目若しくは項目の組み合わせ(科目若しくは、科目並びに、1又は複数の細目の組み合わせ)に基づいて、事業活動情報に含まれる各要素(各レコード)の個別実績金額毎に、個別算出係数の算出に用いる実績金額への集計対象か否か当否判定する。なお、境界判定部24は、例えば、ルールベースでの方法や統計学的手法、機械学習、自然言語処理によって、境界情報に該当する事業活動情報中のレコードを決定してよい。
【0058】
境界情報は、実績金額の内容を示す区分情報(境界情報)に基づいて、前記個別算出係数を算出する為の実績金額の集計対象に該当するか否かを判定する為の情報であり、集計対象に該当する区分情報を列挙することで、集計対象当否の基準を示す。なお、本実施形態では、集計対象に該当しない区分情報についても境界情報に列挙することとする。
【0059】
図5は、境界情報の一例を示す図である。図示例に示すように、境界情報は、区分情報(境界情報)毎に、集計対象に該当するか/しないかを示す情報(「種別」/「対象外フラグ」)を有する。区分情報(境界情報)は、下位の項目が上位の項目を細分化する関係となる階層的な項目構造のパスによって個別実績金額の内容を示し、本実施形態では、区分情報(境界情報)は項目若しくは項目の組み合わせ(科目若しくは、科目並びに、1又は複数の細目の組み合わせ)を有する。
【0060】
境界情報は、区分情報(境界情報)毎に、個別実績金額が何れの種別の集計対象に該当するかを示す。なお、図示例の境界情報は、「宿泊」カテゴリ用の境界情報である。事業活動のカテゴリが異なる場合、同一の項目の組み合わせに対して、紐づけられる種別が異なっていてもよい。
【0061】
<1.6.GHG単位算出部>
GHG単位算出部25は、(個別実績金額又は、集計した)実績金額、実績数量及び基準係数を用いて、提供者の個別算出係数を決定し、提供者情報と紐づけて記憶部に格納する。本実施形態では、記憶部(補助記憶装置103等)には、基準係数及び、個別算出係数の計算式が格納されており、GHG単位算出部25は、実績金額、実績数量及び基準係数を計算式に従って計算することで、個別算出係数を決定する。GHG単位算出部25は、好ましくは、種別毎に集計した実績金額を用いて、個別算出係数を決定する。
【0062】
<1.7.ポイント付与率決定部>
ポイント付与率決定部26は、個別算出係数及び基準ポイント付与率を用いて、ユーザに対するポイント付与時に適用される提供者別のポイント付与率を決定する。ポイント付与率決定部26は、好ましくは、種別毎に集計したGHG量や実績金額と、種別毎に用意した基準GHG量や実績金額を用いて、提供者に対するポイント付与時に適用されるポイント付与率を決定する。なお、ポイント付与率は、提供者毎に設定されてもよいし、事業活動内容毎に設定されてもよい。
【0063】
<2.ポイント付与率決定までの全体手順>
図6は、事業活動情報を入力してからポイント付与率決定までの処理フローチャートである。
【0064】
<2.1.提供者情報、事業活動情報の入力ステップ>
まず、環境評価システム0は、ステップS61を実行する。ステップS61では、提供者情報受付部21が、提供者より提供者情報の入力を受け付けると共に、事業活動情報受付部22が、事業活動情報の入力を受け付ける。ステップS62では、入力整形部23が、受け付けた生データの事業活動情報を整形して、共通フォーマットに整形された事業活動情報を生成する。ステップS61で入力される事業活動情報が既に共通フォーマットに即したデータとなっている場合には、ステップS62は不要である。
【0065】
<2.2.当否判定ステップ>
次いで、環境評価システム0は、ステップS63を実行する。ステップS63では、境界判定部24は、事業活動情報に含まれたレコード毎に、境界情報に基づく集計対象当否の判定を行う。本実施形態では、
図7に示す処理フローチャートに従って当否判定を実施することで、種別毎に、集計対象となる個別実績金額を判断する。
【0066】
<2.2.1.当否判定の処理手順>
図7は、境界判定部24が、事業活動情報に含まれたレコードk(1,2,・・・,n)を、境界情報i(1,2,・・・,l)を用いて、当否判定する際の手順を示す。この時、境界情報iは、
図5に例示するように、少なくとも上位の項目から順番に、つまり、少なくとも科目毎に、判定順位数が少ないものから順番に当否判定を行うものとして説明する。
【0067】
ステップS701において、事業活動情報受付部22(及び入力整形部23)を介して事業活動情報が入力され、判定の対象とする項目若しくは項目の組み合わせを決定する。ステップS702において、ステップS701で決定された項目(科目又は細目)について、当否判定に用いる1つ目の境界情報である境界情報1がセットされる。また、ステップS703においては、この境界情報1を用いて判定する事業活動情報中の1つ目のレコードであるレコード1がセットされる。
【0068】
ステップS704において、境界情報1の区分情報(境界情報)1を、レコード1が有する科目若しくは、科目及び細目と比較し、レコード1が境界情報1の区分情報(境界情報)1と一致する場合は、ステップS705に進む。
【0069】
ステップS705において、区分情報(境界情報)に種別が設定されている場合は当判定とする。当判定の場合、即ち、レコード1が区分情報(境界情報)1を含み、尚且つ、境界情報1に対象外フラグがついていない場合、レコード1に対して種別を設定する。
【0070】
ステップS705において、区分情報(境界情報)に種別が設定されていない場合は否判定とする。否判定の場合、即ち、レコード1が区分情報(境界情報)1を含み、尚且つ、境界情報1に対象外フラグがついている場合、レコード1に対して種別を非設定とする。非設定は、種別を付加しない処理を指す。
【0071】
ステップS704で該当しなかった場合、つまり、当否何れにも該当しなかった場合、あるいは、S705で当否の何れかに該当し、種別が設定又は非設定されると、ステップS708に進む。すべてのレコードについて判定が完了していない場合(ステップS708でNO)は、ステップS709で次のレコードk+1がセットされ、ステップS705~S708の処理を全てのレコードについて判定が完了するまで繰り返す。すべてのレコードについて処理が完了した場合(ステップS708でYES)、ステップS710に進む。
【0072】
ステップS701で決定される科目又は細目に関連するすべての境界情報について判定が完了していない場合(ステップS710でNO)は、ステップS711に進む。ステップS711では、次の境界情報i+1がセットされ、ステップS705~S710の処理を全ての境界情報について判定が完了するまで繰り返す。すべての境界情報について処理が完了した場合(ステップS710でYES)、処理を終了する。
【0073】
本実施形態では、まず境界情報を選択して、その境界情報に対する各レコードの判定を行った後、次の境界情報を選択しているが、まずレコードを選択して、そのレコードに含まれた項目若しくは、項目の組み合わせに対する各境界情報の判定を行った後、次のレコードを選択しても構わない。この処理は、境界情報/レコード毎にシリアル又はパラレルに処理されてよく、また、判定は、カテゴリ情報に紐づけられた種別毎にシリアル又はパラレルに処理されてよい。
【0074】
なお、本実施形態では、種別に対して基準係数が紐づけられており、実績金額毎に乗算される基準係数が種別によって決定されることとするが、境界情報毎に基準係数が紐付けられていてもよい。その場合、集計対象のレコードに含まれた実績金額に対して、境界情報毎の基準係数を乗算等して集計することで、種別毎の総GHG量を評価可能である。同一の事業活動内容を行う各提供者は、同じ基準係数を用いて個別算出係数を算出する。なお、同一の事業活動内容を行う各提供者に、地域間では、異なる基準係数が適用されてもよい。
【0075】
<2.3.個別算出係数の算出ステップ>
次いで、環境評価システム0は、ステップS64を実行する。ステップS64では、GHG単位算出部25は、個別算出係数を算出する。
【0076】
<2.3.1.個別算出係数の算出例>
図8を用いて、個別算出係数の算出例について説明する。
図8(a)は、個別算出係数を算出する為の個別算出係数マスタである。個別算出係数は、提供者が提供を行う事業活動内容毎に登録されてよく、個別算出係数の算出式及び、提供者による事業活動内容を示す区分情報(個別算出係数)が設定される。図示例では、「宿泊・ビジネスホテル」カテゴリの提供者は、事業活動として「素泊まり1泊」と、「食事つき1泊」の2種類の個別算出係数を登録することができ、それぞれに区分情報(個別算出係数)が紐づけられる。
【0077】
区分情報(個別算出係数)は、下位の項目が上位の項目を細分化する関係となる階層的な項目構造のパスによって事業活動内容を示す。本実施形態では、区分情報(個別算出係数)の項目としてカテゴリ情報、科目若しくは、科目並びに、1又は複数の細目の組み合わせを有する。区分情報(個別算出係数)の一部又は全部の項目に、提供者情報や事業活動情報として入力された値が設定されてもよい。図示例では、提供者の名称が、細目2の項目に設定され、個別算出係数の区分情報(個別算出係数)が決定する。
【0078】
GHG単位算出部25は、例えば、式1により個別算出係数を算出し、区分情報(個別算出係数)と紐付けて記憶部に格納する。なお、本実施形態では、nは、複数種別の実績金額を用いて個別算出係数を算出する場合の「種別」に対応し、実績金額は、同一種別が設定された個別実績金額を集計した金額となり、基準係数は種別毎に設定された値となる。このように、GHG単位算出部25は、複数種別の実績金額及び、種別に対応した基準係数を用いて個別算出係数を決定してもよい。
【0079】
【0080】
図示例では、事業活動内容が「素泊まり1泊」の場合の個別算出係数は、年間の「電気代」、「ガス代」、「燃料代」、「水道代」の4品目(n=1,2,3,4)の実績金額、それぞれの実績金額に対応した基準係数及び、実績数量(総宿泊人数)によって算出され、その単位数量は「人」となる。また、事業活動内容が「食事つき1泊」の場合の個別算出係数は、年間の「電気代」、「ガス代」、「燃料代」、「水道代」、「食材代」、「廃棄代」の6品目(n=1,2,3,4,5,6)の実績金額、それぞれの実績金額に対応した基準係数及び、実績数量(総宿泊人数)によって算出される。
【0081】
なお、カテゴリ情報及び種別の組み合わせ毎に基準係数が紐付けられてもよいし、個別算出係数の算出式に基準係数の値が予め書き込まれていてもい。また、境界情報毎に基準係数が紐づけられる場合は、乗算される実績金額を個別実績金額に読み替る。そして、GHG単位算出部25は、同じ種別に分類され、集計対象となったN個の個別実績金額(n=1~N)を用いて個別算出係数を算出する。またなお、式1では、個別実績金額に対応した基準係数を各個別実績金額に乗算することでGHG量に変換し、集計を行っているが、基準係数によっては、複数の個別実績金額を集計した後に、基準係数を乗算してGHG量に変換してもよい。
【0082】
GHG単位算出部25は、複数種別の実績金額及び、種別に対応した前基準係数を用いて個別算出係数を決定してもよいし、個別算出係数の示す事業活動の定義や使用する実績金額の種別によっては、1つの種別(N=1)の実績金額及び対応する基準係数を用いて個別算出係数を決定してもよい。事業活動情報受付部22が、例えば、科目毎に集計された通年の売上データを実績情報(実績金額)として受け付ける場合、種別が宿泊費となる売上額を実績金額とし、対応する基準係数及び実績数量(総宿泊人数等)によって、宿泊金額から単位数量(1人)あたりのGHG量を評価する個別算出係数が算出できる。また、食事代の売上を実績金額とし、対応する基準係数及び実績数量(総食数等)によって、食事金額から単位数量(1食)あたりのGHG量を評価する為の個別算出係数が算出できる。
【0083】
図8(b)は、提供者情報受付部21が受け付けた提供者情報の一例である。図示例の提供者情報は、提供者名称、拠点所在地(図示例の住所)の加えて、提供者(施設)の種類を示すカテゴリ情報として「宿泊(カテゴリ1)」、「ビジネスホテル(カテゴリ2)」を含んでいる。カテゴリ情報は、図示しないカテゴリマスタ等に格納されており、提供者は事業活動に対応するカテゴリを選択して、提供者情報として送信する。また、提供者情報は拠点所在地を含み、これによって、提供者と個別算出係数の組み合わせを、地理的にグルーピングすることができ、同じ地域に存在する、よりGHG量の多い/少ない提供者を検索等可能となる。
【0084】
図8(c)は、事業活動情報受付部22が受け付けた事業活動情報(実績数量)の一例である。提供者は、事業活動に応じて、個別算出係数の算出に要求される実績数量を入力する。図示例では、カテゴリ情報の一部又は全階層に対応する実績数量として、単位期間中(例えば、2021年度)の総宿泊人数を入力する。
【0085】
図8(d)は事業活動情報受付部22が受け付けた事業活動情報(実績金額)の一例である。例えば、事業活動情報受付部22は、単位期間中(例えば、2021年度)の品目(種別)毎の実績金額を受け付ける。
【0086】
図8(e)は、提供者が個別算出係数の登録を希望する事業活動内容の一例である。提供者がカテゴリ情報を指定することで、提供者端末装置3に対して、そのカテゴリにおいて指定が可能な(個別算出係数マスタに登録がされている)事業活動内容が提示される。図示例では「素泊まり1泊」と「食事つき1泊」の2種類の個別算出係数を登録する場合について示すが、例えば、素泊まりのプランが無いような提供者においては、「食事つき1泊」1種類の個別算出係数を登録する。
【0087】
図8(f)は、記憶部に格納された基準係数マスタの一例である。基準係数マスタは、実績金額の種別毎に、実績金額から単位期間あたりのGHG量を評価する為の基準係数を格納する。なお、基準係数は、共通する算出係数に対して、更に、その量を案分したり、乗算したりするための値がかけ合わされることで異なってもよい。例えば、部屋の種類毎に集計された売上を実績金額として用いる場合に、2人部屋の売上に対して基準係数A(=算出係数)が乗算されるとした時、4人部屋の売上に対しては基準係数B(=算出係数×2)が、1人部屋の売上に対しては基準係数C(=算出係数×0.5)が乗算されるようにしてもよい。
【0088】
<2.4.ポイント付与率の決定ステップ>
そして、環境評価システム0は、ステップS65を実行する。ステップS65では、ポイント付与率決定部26は、提供者が提供を行う事業活動内容毎に、ポイント付与率を決定し、個別算出係数及び区分情報(個別算出係数)と紐付けて格納する。なお、ポイント付与率は、人数や台数、日数、食数、商品点数、金額等の利用数量の情報に対して乗算等され、提供されるポイント数を算出する為の値である。
【0089】
<2.4.1.ポイント付与率の算出例>
ポイントは、企業や自治体などのポイント供給者から、提供者に対して付与されてもよいし、ユーザ(エンドユーザ)に対して付与されてもよいし、両者に付与されてもよい。また、提供者に対して付与されたポイントは、エンドユーザに対して還元されてもよい。
【0090】
<2.4.2.提供者へのポイント付与率の算出例>
提供者に対してポイントが付与される場合、ポイント付与率決定部26は、例えば、式2によりポイント付与率を算出する。
【0091】
【0092】
実績量は、例えば、単位期間中(最新年度等)における総実績金額となる。より具体的には、単位期間中の会計データのうち、GHG量算出に用いる項目若しくは項目の組み合わせに紐づく個別実績金額やそれらを集計した実績金額、1又は複数の特定種別について集計した実績金額である。なお、実績量は、個別実績金額又は集計された実績金額に対して、基準係数を乗算したGHG量であってもよい。
基準実績量は、実績量に対応する単位の量であり、提供者個別の量であってもよいし、一部又は全部の提供者間で共通の量であってもよい。共通の量とは、業界平均となる実績金額や、ポイント供給者が設定する任意の実績金額、それらに対して基準係数を乗算したGHG量等である。なお、一部の提供者間とは、例えば、提供者のカテゴリであったり、実績量として用いられる金額の種別や品目等が共通した提供者同士である。また、業界平均とは、同じカテゴリの提供者における実績金額やGHG量の平均であってもよく、好ましくは、同じ単位期間中(最新年度等)における平均である。個別の量とは、例えば、過去の実績量に依拠した値であり、実績量の単位期間よりも更に前年や特定年度の実績金額やGHG量である。
基準付与率は、基準となるポイント付与率であり、一律であってもよいし、提供者のカテゴリ、所在地、項目若しくは項目の組み合わせ、種別の1又は複数の組み合わせ毎に異なっていてもよい。
【0093】
<2.4.3.ユーザへのポイント付与率の算出例>
ユーザに対してポイントが付与される場合、ポイント付与率決定部26は、例えば、式3によりポイント付与率を算出する。
【0094】
【0095】
なお、ポイント付与率は、式2、3に限らず任意の方法で算出してよい。また、式2、3で算出されるポイント付与率に加えて、提供者毎や、事業活動内容毎、取り扱う商品の品目毎等で、ポイント付与率やポイント数が設定されていてもよい。
【0096】
<3.個別算出係数の利用>
ユーザ端末装置4は、施設毎に異なる個別算出係数を用いてGHG量の評価を行うことができる。例えば、ユーザ端末装置4に表示された評価画面に対して、ユーザが利用する/利用した提供者の事業活動内容と、その利用数量を入力し、評価対象情報として評価装置1に対して送信する。例えば、評価画面において、プルダウンメニュー等を操作することで、提供者及び、その事業活動内容と、利用数量が指定される。評価装置1の受付部11は、評価対象情報を受け付ける。評価部13は、受付部11が受け付けた提供者の事業活動内容からGHG量の評価を行う為の個別算出係数を決定し、利用数量と乗算することで、GHG量の評価を行う。利用数量は、実績数量に対応した量であり、例えば、人数や台数、日数、食数、商品点数等である。
【0097】
提供者は、施設等に提供者の事業活動内容若しくは、事業活動内容及び利用数量を示す情報が符号化された1次元又は2次元コードを掲示しておき、ユーザ端末装置4において、このコードを読み取られることで、評価画面に対しての評価対象情報の入力や、評価装置1に対しての評価対象情報の送信が行われてもよい。コードが評価対象情報の一部のみ含む場合(利用数量を示す情報を含まない場合)は、別途ユーザが評価画面を介して、差分となる評価対象情報(利用数量)を入力する。なお、コードの読取以外に、RFIDやビーコンを用いて、評価対象情報が与えられてもよい。
【0098】
また、ユーザ端末装置4は、評価画面に対して、例えば旅程見積書等、項目若しくは、項目の組み合わせと利用数量が、複数レコード含まれるような評価対象情報を入力し、評価装置1に対して送信してもよい。判定部12は、評価対象情報に含まれた項目若しくは項目の組み合わせ等と、個別算出係数に紐づいた区分情報(個別算出係数)から、評価対象情報に含まれた利用数量に対して適用する個別算出係数を判定する。評価部13は、判定部12が判定した個別算出係数及び利用数量の組み合わせに基づいて、GHG量の評価を行ってもよい。
【0099】
<4.環境ポイントの付与>
ユーザ端末装置4は、QRコード(登録商標)等の2次元コードを読み取って、提供者の事業活動内容を示す情報を評価装置1に送信する。例えば、2次元コードは、アクティビティ体験やレッスン、リラクゼーション、観光ガイド、ものつくり体験等のサービス提供を提供者から受けた後、エンドユーザに対して、撮影可能に提示される。2次元コードには、提供者、事業活動内容(メニューの内容や品目等)が符号化されており、ユーザ端末装置4は、2次元コードから読み取った提供者及び事業活動内容を評価装置1の受付部11に送信する。2次元コードには、人数や台数、日数、食数、商品点数、金額等の利用数量の情報が含まれていてもよい。評価装置1の受付部11は、受け付けた情報を、ユーザ情報やタイムスタンプ等と紐付けて、データベースに格納する。環境ポイント評価部15は、受付部11が受け付けた提供者の事業活動内容から適用するポイント付与率を決定し、利用数量を用いて付与するポイント数を算出する。算出したポイント数は、ユーザ情報等と紐付けて格納される。
【0100】
また、図示しないPOS(Point of sales)端末等は、あるエンドユーザが商品等を購入したり、宿泊、サービス提供などを受けて金銭の授受を行った際に、提供者、メニューや品目等その利用数量(金額や商品点数)等を評価装置1の受付部11に送信する。また、それらの情報と紐付けて、ユーザの識別情報を送信する。ユーザの識別情報は、例えば、ユーザ端末装置4やユーザのカード等のバーコードや2次元コード等の態様で表示され、POS端末においてハンディスキャナやカメラ等によって読み取りされる。評価装置1の受付部11は、受け付けた情報を、ユーザ情報やタイムスタンプ等と紐付けて、データベースに格納する。環境ポイント評価部15は、受付部11が受け付けた提供者のサービスや品目から適用するポイント付与率を決定し、利用数量を用いて付与するポイント数を算出する。算出したポイント数は、ユーザ情報等と紐付けて格納される。
【符号の説明】
【0101】
0 :環境評価システム
1 :評価装置
2 :登録装置
3 :提供者端末装置
4 :ユーザ端末装置
10 :サーバ装置
11 :受付部
12 :判定部
13 :評価部
14 :環境ポイント評価部
15 :環境ポイント評価部
21 :提供者情報受付部
22 :事業活動情報受付部
23 :入力整形部
24 :境界判定部
25 :GHG単位算出部
26 :ポイント付与率決定部
90 :端末装置
101 :演算装置
102 :主記憶装置
103 :補助記憶装置
106 :通信装置
901 :演算装置
902 :主記憶装置
903 :補助記憶装置
904 :入力装置
905 :出力装置
906 :通信装置
NW :通信ネットワーク
【要約】
【課題】提供者別にGHG量算出の基準を決定する為の新規な技術を提供すること。
【解決手段】GHG量の算出係数を決定する為の環境評価システムであって、前記環境評価システムは、記憶部と、提供者情報受付部と、事業活動情報受付部と、GHG単位算出部と、を備え、前記記憶部は、単位数量あたりの基準GHG量を算出する基準係数を格納し、前記提供者情報受付部は、事業活動の提供者に関する提供者情報を受け付け、前記事業活動情報受付部は、前記提供者による単位期間中の実績金額及び実績数量を含む事業活動情報を受け付け、前記GHG単位算出部は、前記実績金額、前記実績数量及び前記基準係数を用いて、前記提供者の個別算出係数を決定し、前記提供者情報と紐づけて格納する。
【選択図】
図6