(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】光沢フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 17/02 20060101AFI20230208BHJP
B32B 17/04 20060101ALI20230208BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230208BHJP
【FI】
B32B17/02
B32B17/04 Z
B32B7/023
(21)【出願番号】P 2018190028
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】横尾 俊憲
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-530659(JP,A)
【文献】特開平04-355129(JP,A)
【文献】実開昭53-160476(JP,U)
【文献】実開昭59-097035(JP,U)
【文献】鏡面光沢度-測定方法,JISハンドブック41 金属表面処理,Vol.1, No.1,日本,財団法人日本規格協会,2006年01月25日,Page.374-377,ISBN:4-542-17439-5
【文献】アルミ蒸着ハーデンフィルム(ONYフィルム),製品情報,日本,東洋紡株式会社パッケージング事業総括部,2010年03月10日,http://www.toyobo.cn/seihin/film/package/pdf/harden/N7476.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 17/00-17/12
B32B 15/00-15/20
B32B 7/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ガラス繊維織物と、金属蒸着樹脂フィルム
(ただし、ガラスクロスを含むものを除く)とが積層された積層体からなり、
前記金属蒸着樹脂フィルムが、少なくとも、金属蒸着層と樹脂フィルム(ただし、ウレタンエラストマー層を除く)とを備えて
おり、
前記金属蒸着樹脂フィルムの前記金属蒸着層側が、前記ガラス繊維織物側に位置している、光沢フィルム。
【請求項2】
前記ガラス繊維織物と、前記金属蒸着樹脂フィルムとが、接着層を介して積層されている、請求項
1に記載の光沢フィルム。
【請求項3】
前記ガラス繊維織物の少なくとも一部が、前記接着層中に含まれている、請求項
2に記載の光沢フィルム。
【請求項4】
前記ガラス繊維織物と前記金属蒸着樹脂フィルムとの間、及び/又は、前記ガラス繊維織物の前記金属蒸着樹脂フィルム側とは反対側に、合成樹脂層をさらに有している、請求項1~
3のいずれか1項に記載の光沢フィルム。
【請求項5】
前記金属蒸着樹脂フィルム側について、JISZ8741-1997の規定に準拠して測定した60度鏡面光沢度が、400以上である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の光沢フィルム。
【請求項6】
前記光沢フィルムの厚みが、250μm以下である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の光沢フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光沢性を有するシートとして、例えば鏡面加工が施された意匠を備える化粧板が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面層と、中間層と、芯材層とが順に積層された積層体で構成されたメラミン化粧板が開示されている。このメラミン化粧板において、表面層は、意匠面となる第1の面側にメラミン樹脂を含有する樹脂を担持し、中間層と接する第2の面側に熱可塑性樹脂を担持する表面層基材からなる表面層材料で構成されている。また、表面層の第1の面が鏡面となっており、芯材層は、ガラスクロスまたはガラスクロスを基材とするプリプレグからなる芯材層材料で構成されている。さらに、中間層は、中間層形成用樹脂で構成され、その平均厚さが芯材層の中間層側の算術平均粗さRa1より大きいことが特徴となっている。
【0004】
特許文献1に開示されたメラミン化粧板は、鏡面加工が施された意匠面を備え、さらに、不燃性及び曲げ加工性に優れるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたようなメラミン化粧板によれば、メラミン樹脂の鏡面加工に基づく光沢と、不燃性とが両立されている。
【0007】
本発明は、高い光沢と不燃性とを両立した、従来にない新規な構成を備える光沢フィルムを提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決すべく検討したところ、ガラス繊維織物と、金属蒸着樹脂フィルムとの積層体とすることで、高い光沢と不燃性とを両立した、従来にない新規な構成を備える光沢フィルムが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねることにより完成された発明である。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、ガラス繊維織物と、金属蒸着樹脂フィルムとが積層された積層体からなる、光沢フィルム。
項2. 前記金属蒸着樹脂フィルムが、少なくとも、金属蒸着層と樹脂フィルムとを備えており、
前記金属蒸着樹脂フィルムの前記金属蒸着層側が、前記ガラス繊維織物側に位置している、項1に記載の光沢フィルム。
項3. 前記ガラス繊維織物と、前記金属蒸着樹脂フィルムとが、接着層を介して積層されている、項1又は2に記載の光沢フィルム。
項4. 前記ガラス繊維織物の少なくとも一部が、前記接着層中に含まれている、項3に記載の光沢フィルム。
項5. 前記ガラス繊維織物と前記金属蒸着樹脂フィルムとの間、及び/又は、前記ガラス繊維織物の前記金属蒸着樹脂フィルム側とは反対側に、合成樹脂層をさらに有している、項1~4のいずれか1項に記載の光沢フィルム。
項6. 前記金属蒸着樹脂フィルム側について、JIS Z 8741-1997の規定に準拠して測定した60度鏡面光沢度が、400以上である、項1~5のいずれか1項に記載の光沢フィルム。
項7. 前記光沢フィルムの厚みが、250μm以下である、項1~6のいずれか1項に記載の光沢フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い光沢と不燃性とを両立した、従来にない新規な構成を備える光沢フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【
図2】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【
図3】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【
図4】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【
図5】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【
図6】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【
図7】本発明の光沢フィルムの一例の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の光沢フィルムは、少なくとも、ガラス繊維織物と、金属蒸着樹脂フィルムとが積層された積層体からなることを特徴とする。本発明の光沢フィルムは、このような構成を備えていることにより、高い光沢と不燃性とを両立することができる。以下、
図1~7を参照しながら、本発明の光沢フィルムについて、詳述する。
【0013】
(光沢フィルムの積層構成)
例えば
図1~7に示すように、本発明の光沢フィルム10は、少なくとも、ガラス繊維織物2と、金属蒸着樹脂フィルム1とが積層された積層構成を有している。金属蒸着樹脂フィルム1は、少なくとも、金属蒸着層12と樹脂フィルム11とを備えていることが好ましい。図示を省略するが、樹脂フィルム11の金属蒸着層12側とは反対側(x2方向側)には、光沢フィルム10を保護することなどを目的とした保護層5を有していてもよい。
【0014】
図1及び
図2には、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1とが積層された積層構成の光沢フィルム10を示している。本発明の光沢フィルム10においては、例えば
図1に示すように、金属蒸着樹脂フィルム1の金属蒸着層12側が、ガラス繊維織物2側に位置していてもよいし、例えば
図2に示すように、金属蒸着樹脂フィルム1の樹脂フィルム11側が、ガラス繊維織物2側に位置していてもよい。ただし、金属蒸着層12は、一般に、非常に薄く、機械的強度に劣るため、本発明の光沢フィルム10においては、金属蒸着樹脂フィルム1の金属蒸着層12側が、ガラス繊維織物2側に位置していることが好ましい。これにより、樹脂フィルム11によって、金属蒸着層12が好適に保護される。
【0015】
また、
図3~
図7に示すように、本発明の光沢フィルム10において、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1とは、接着層3を介して積層されていることが好ましい。接着層3を用いることにより、ガラス繊維織物2を好適に積層することができる。特に、ガラス繊維織物2が光沢フィルム10から剥離することを抑制する観点からは、ガラス繊維織物2の少なくとも一部が、接着層3中に含まれていることが好ましい。
図3に示すように、ガラス繊維織物2は、一部のみが接着層3中に含まれていてもよいし、
図4~7に示すように、全部が接着層3中に含まれていてもよい。なお、ガラス繊維織物2と金属蒸着層12とを直接接着させることはできないため、例えば
図1においては、図示を省略しているが、ガラス繊維織物2と金属蒸着層12との界面部分には、接着層3などの接着剤を用いる。
【0016】
また、
図5~7に示すように、本発明の光沢フィルム10において、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1との間、及び/又は、ガラス繊維織物2の金属蒸着樹脂フィルム1側とは反対側などには、必要に応じて、合成樹脂層4をさらに有していてもよい。なお、合成樹脂層4は、金属蒸着層12よりもガラス繊維織物2側に位置していることが好ましい。
図5には、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1との間に合成樹脂層4を有する積層構成を示しており、
図6には、ガラス繊維織物2の金属蒸着樹脂フィルム1側とは反対側(x1方向側)に合成樹脂層4を有する積層構成を示しており、
図7には、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1との間と、ガラス繊維織物2の金属蒸着樹脂フィルム1側とは反対側に、それぞれ、合成樹脂層4を有する積層構成を示している。
【0017】
図1~3に示されるように、ガラス繊維織物2は光沢フィルム10の表面に露出していてもよいし、
図4~7に示すように、光沢フィルム10の表面に露出していなくてもよい。
【0018】
本発明の光沢フィルム10の積層構成の具体例としては、以下の積層構成が例示される。
ガラス繊維織物2(ガラス繊維織物2と金属蒸着層12との界面は接着剤によって接着されている)/金属蒸着層12/樹脂フィルム11がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(ガラス繊維織物2と金属蒸着層12との界面は接着剤によって接着されている)/金属蒸着層12/樹脂フィルム11/保護層5がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2/樹脂フィルム11/金属蒸着層12がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2/樹脂フィルム11/金属蒸着層12/保護層5がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/金属蒸着層12/樹脂フィルム11がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/金属蒸着層12/樹脂フィルム11/保護層5がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/樹脂フィルム11/金属蒸着層12がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/樹脂フィルム11/金属蒸着層12/保護層5がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/合成樹脂層4/樹脂フィルム11/金属蒸着層12がこの順に積層された積層構成;
ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/合成樹脂層4/樹脂フィルム11/金属蒸着層12/保護層5がこの順に積層された積層構成;
合成樹脂層4/ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/樹脂フィルム11/金属蒸着層12がこの順に積層された積層構成;
合成樹脂層4/ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/樹脂フィルム11/金属蒸着層12/保護層5がこの順に積層された積層構成;
合成樹脂層4/ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/合成樹脂層4/樹脂フィルム11/金属蒸着層12がこの順に積層された積層構成;
合成樹脂層4/ガラス繊維織物2(少なくとも一部が接着層3中に含まれている)/接着層3/合成樹脂層4/樹脂フィルム11/金属蒸着層12/保護層5がこの順に積層された積層構成。
【0019】
本発明の光沢フィルム10において、ガラス繊維織物2は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。本発明の光沢フィルム10は、本発明の効果を阻害しないことを限度として、前記した層以外に他の層が積層されていてもよい。
【0020】
以下、本発明の光沢フィルム10を構成する各層について詳述する。
【0021】
[ガラス繊維織物2]
本発明の光沢フィルム10において、ガラス繊維織物2は、光沢フィルム10の不燃性の向上に寄与する。
【0022】
本発明の光沢フィルム10において、ガラス繊維織物2の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられ、これらの中でも平織が好ましい。
【0023】
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
【0024】
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維織物2を形成できれば、特定のものに制限されない。光沢フィルム10の不燃性を高めつつ、柔軟性を高める観点から、ガラス繊維の番手としては、好ましくは20tex以下が挙げられ、3~15texが好ましく、8~15texがより好ましい。ガラス繊維の番手は、1種類単独であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
【0025】
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30~400本程度が好ましく、40~120本程度がより好ましい。また、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、光沢フィルム10の不燃性を高めつつ、柔軟性を高める観点から、3.0~10.0μm程度が好ましく、3.0~6.0μm程度がより好ましく、3~5.5μmがさらに好ましい。ガラスヤーンの番手は、光沢フィルム10の不燃性を高めつつ、柔軟性を高める観点から、3~30texが好ましく、3~12texがより好ましく、3~5texがさらに好ましい。
【0026】
光沢フィルム10の全質量(g/m2)に対する光沢フィルム10中のガラス繊維織物2の総質量(g/m2)の割合(質量%)としては、光沢フィルム10の不燃性を高めつつ、柔軟性を高める観点から、15~45質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましく、25~35質量%がさらに好ましい。また、ガラス繊維織物2の総質量(g/m2)と後述の金属蒸着樹脂フィルム1の総質量(g/m2)比(ガラス繊維織物2の総質量(g/m2)/後述の金属蒸着樹脂フィルム1の総質量(g/m2))としては、0.3~0.8程度が好ましく、0.5~0.8程度が好ましい。さらに、ガラス繊維織物2の1枚あたりの質量(g/m2)は、10~120(g/m2)が好ましく、10~80(g/m2)がより好ましく、30~60(g/m2)がさらに好ましい。また、光沢フィルム10中のガラス繊維織物2の総質量(g/m2)としては、光沢フィルム10の不燃性を高めつつ、柔軟性を高める観点から、10~120g/m2が好ましく、20~100g/m2がより好ましく、30~80g/m2が特に好ましい。
【0027】
ガラス繊維織物2の屈折率としては、好ましくは1.53~1.57程度が挙げられる。なお、ガラス繊維織物2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維織物を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
【0028】
ガラス繊維織物2のアッベ数としては、30~80が好ましく、40~70がより好ましく、50~65がさらに好ましい。ガラス繊維織物2のアッベ数は、ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚み5mmのガラスシートを作製し、表面をよく研磨し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のNAR-2T、接触液としてジヨードメタン、光源として波長589nmのナトリウムD線を用い、測定温度を23℃として、波長589nmの屈折率を測定する。続いて、光源を自然光として分散値を測定、算出し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(波長589nmの屈折率-1)/分散値 (I)
【0029】
ガラス繊維織物2の1枚あたりの厚さとしては、光沢フィルム10の不燃性を高めつつ、柔軟性を高める観点から、例えば10~100μm程度が挙げられ、10~80μmが好ましく挙げられ、30~55μm程度がより好ましく挙げられる。ガラス繊維織物2の厚みを30~55μmとする場合、ガラス繊維織物2は、下記式(II)にて算出されるガラス体積率が38%以上であることが特に好ましい。30~55μmの厚みであって、ガラス体積率が38%以上であるガラス繊維織物2は、例えば、ガラス繊維織物に開繊処理を施すことにより得られる。
【0030】
ガラス体積率(%)=(A/(B×C))×100 (II)
A:ガラス繊維織物の質量(g/m2)
B:ガラス繊維織物を構成するガラス材料の比重(g/m3)
C:ガラス繊維織物の厚み(m)
【0031】
[金属蒸着樹脂フィルム1]
本発明の光沢フィルム10において、金属蒸着樹脂フィルム1は、少なくとも、金属蒸着層12と樹脂フィルム11とを備えている。金属蒸着樹脂フィルム1としては、樹脂フィルム11の上に金属蒸着層12が積層された公知の金属蒸着樹脂フィルムを使用することができる。
【0032】
樹脂フィルム11は、金属蒸着層12の支持体などとして機能し、樹脂により構成されたフィルムであればよい。なお、本発明の光沢フィルム10は、金属蒸着樹脂フィルム1側を観察側として、金属蒸着層12に基づく高い光沢が視認されるようにして使用されることが好ましい。従って、
図2~7のように、金属蒸着樹脂フィルム1の金属蒸着層12側が、ガラス繊維織物2側に位置している場合には、樹脂フィルム11を介して、金属蒸着層12の高い光沢が視認されるよう、樹脂フィルム11は透明であることが好ましい。ここで、「透明」とは、樹脂フィルム11を介して金属蒸着層12の高い光沢が視認される程度に透明であればよく、無色透明又は着色透明であってもよいし、半透明であってもよい。
【0033】
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、表面平滑性に優れており、かつ、透明性に優れることから、ポリエステルが好ましい。ポリエステルとしては、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。また、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。また、ポリアミドとしては、ナイロンなどが挙げられる。樹脂フィルムを構成する樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0034】
樹脂フィルムの厚みとしては、特に制限されないが、光沢フィルム10に高い光沢性と不燃性を付与しつつ、柔軟性を高める観点から、好ましくは10~200μm程度、より好ましくは30~175μm程度、さらに好ましくは30~100μm程度が挙げられる。
【0035】
金属蒸着層12は、金属の蒸着によって形成された層である。金属蒸着層12を構成する金属としては、高い光沢が奏されれば特に制限されないが、好ましくはアルミニウム、スズ、銀、又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。
【0036】
金属蒸着層12の厚みとしては、特に制限されないが、光沢フィルム10に高い光沢性を付与しつつ、柔軟性を高める観点から、好ましくは10~2000nm程度、より好ましくは50~500nm程度、さらに好ましくは100~500nm程度が挙げられる。
【0037】
金属蒸着樹脂フィルム1の光沢性については、特に制限されないが、JIS Z 8741-1997の規定に準拠して測定した60度鏡面光沢度が、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。なお、当該60度鏡面光沢度の上限は、例えば1000以下である。本発明の金属蒸着樹脂フィルム1は、金属蒸着層12に基づく高い光沢性を備えており、当該60度鏡面光沢度は、例えば特許文献1に開示されたようなメラミン化粧板が備える鏡面光沢度とは比較にならない程高い光沢性である。
【0038】
<60度鏡面光沢度の測定>
JIS Z 8741-1997の規定に準拠し、光沢計(例えば、株式会社堀場製作所製の高光沢グロスチェッカIG-410)をサンプル表面に押してて、測定レンジを1000として測定を行う。
【0039】
[接着層3]
接着層3は、本発明の光沢フィルム10にガラス繊維織物2を好適に接着させておくために、必要に応じて設けられる層である。すなわち、
図3~7に示すように、ガラス繊維織物2と、金属蒸着樹脂フィルム1とは、接着層3を介して積層されていることが好ましい。なお、
図5,7に示すように、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1とを接着層3を介して積層する場合にも、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1の間には、合成樹脂層4などの他の層をさらに積層してもよい。
【0040】
本発明の光沢フィルム10に接着層3を好適に接着させる観点から、ガラス繊維織物2と接着層3とが接着していることが好ましい。また、前述の通り、ガラス繊維織物2が光沢フィルム10から剥離することを抑制する観点からは、ガラス繊維織物2の少なくとも一部が、接着層3中に含まれていることが好ましい。
図3に示すように、ガラス繊維織物2は、一部のみが接着層3中に含まれていてもよいし、
図4~7に示すように、全部が接着層3中に含まれていてもよい。
【0041】
接着層3は、例えば樹脂組成物により形成することができる。樹脂組成物に含まれる樹脂としては、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂(例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂)が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂(アクリル樹脂、アクリル共重合体樹脂、アクリル酸エステル共重合体樹脂、アクリル-スチレン共重合体樹脂、アクリル-シリコン共重合体樹脂等が挙げられる。)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルのほか、塩化ビニルをモノマー単位として含む共重合体からなる分子鎖を有する樹脂をいい、塩化ビニルと共重合しうるモノマーとしては、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、マレイン酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル、及びメタクリル酸又はそのエステル等が挙げられる。)、ポリエステル、ポリオレフィン、酢酸ビニル系樹脂(酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。)、シリコーン系樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。また、硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。光沢フィルム10の表面平滑性を高めつつ、不燃性を高める観点から、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂又は硬化性樹脂が好ましく、光硬化性樹脂とすることが特に好ましい。
【0042】
熱可塑性樹脂を接着層3に用いる場合には、例えば、熱可塑性樹脂を加熱により軟化させてガラス繊維織物2と積層することによって、ガラス繊維織物2の空隙に軟化した熱可塑性樹脂を含浸させ、その後に冷却することによって、ガラス繊維織物2を接着することができる。また、熱可塑性樹脂を含むゾルにして、ガラス繊維織物2に含浸させ、乾燥することによって、ガラス繊維織物2を接着することができる。また、硬化性樹脂を接着層3に用いる場合であれば、未硬化の硬化性樹脂をガラス繊維織物2と積層することによって、ガラス繊維織物2の空隙に硬化性樹脂を含浸させ、その後に光照射や加熱によって硬化性樹脂を硬化させることによって、ガラス繊維織物2を接着することができる。
【0043】
また、接着層3は、粘着剤(感圧接着剤)などによって構成されていてもよい。粘着剤としては、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの樹脂を含む公知の樹脂組成物を使用することができる。
【0044】
接着層3を形成する樹脂組成物は、染料、顔料、蓄光性顔料、難燃剤、充填剤、帯電防止剤、光拡散剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。光拡散剤としては、コロイダルシリカ、透明性微小球、例えば、ガラスビーズやアクリルビーズなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
接着層3の質量(ガラス繊維織物2の質量を含まない)としては、光沢フィルム10に高い光沢性を付与しつつ、柔軟性を高める観点から、25~100g/m2程度が好ましく、30~70g/m2程度がより好ましい。また、接着層3の厚さとしては、光沢フィルム10に高い光沢性を付与しつつ、柔軟性を高める観点から、10~75μm程度が好ましく、30~55μm程度がより好ましい。
【0046】
[合成樹脂層4]
本発明の光沢フィルム10は、機械的強度を高めて反りなどを抑制する観点から、少なくとも1層の合成樹脂層4をさらに備えていてもよい。合成樹脂層4は、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1との間や、ガラス繊維織物2の金属蒸着樹脂フィルム1側とは反対側に好適に設けることができる。
【0047】
合成樹脂層4を構成する樹脂としては、特に制限されないが、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂(例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂)が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニルなどが挙げられる。また、硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。
【0048】
合成樹脂層4の厚さとしては、光沢フィルム10に高い光沢性を付与しつつ、機械的強度を高めて反りを抑制する観点から、0.1~20μm程度が好ましい。
【0049】
[他の層]
本発明の光沢フィルム10は、必要に応じて、ガラス繊維織物2、金属蒸着樹脂フィルム1、接着層3、合成樹脂層4とは異なる、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、金属蒸着樹脂フィルム1の表面を保護する保護層5(図示を省略する)などが挙げられる。
【0050】
保護層5は、アクリル樹脂、ポリエステル、硬化性アクリル樹脂などによって構成することができる。また、保護層5の厚みとしては、好ましくは0.1~20μm程度が挙げられる。
【0051】
[光沢フィルム10の特性]
本発明の光沢フィルム10は、JIS Z 8741-1997の規定に準拠して測定した60度鏡面光沢度が、400以上であることが好ましく、450以上であることがより好ましい。なお、当該60度鏡面光沢度の上限は、例えば1000以下である。本発明の光沢フィルム10は、金属蒸着層12に基づく高い光沢性を備えており、当該60度鏡面光沢度は、例えば特許文献1に開示されたようなメラミン化粧板が備える鏡面光沢度とは比較にならない程高い光沢性である。本発明の光沢フィルム10の当該60度鏡面光沢度の測定方法は、前述した金属蒸着樹脂フィルム1の60度鏡面光沢度の測定方法において、測定対象を光沢フィルム10としたこと以外は、同様にして測定される。なお、光沢フィルム10の当該60度鏡面光沢度の測定においては、金属蒸着樹脂フィルム1側について、測定を行う。
【0052】
また、本発明の光沢フィルム10は、金属蒸着層12に基づく高い光沢性を備えており、当該金属蒸着層12は、厚みを調整することにより、僅かながら光を透過し得る。本発明の光沢フィルム10の全光線透過率としては、例えば0.04~0.7程度であり、好ましくは0.1~0.7程度である。なお、本発明において、光沢フィルム10の全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に準じ、光沢フィルム10の2つの面それぞれについて、光源側として測定したそれぞれの値の平均値とする。
【0053】
本発明の光沢フィルム10が備える不燃性の好適な例としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからフィルムの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えず、かつ、総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましい。
【0054】
本発明の光沢フィルム10の質量としては、例えば、100~400g/m2程度、好ましくは120~200g/m2程度が挙げられ、光沢フィルム10に高い光沢性と不燃性を付与しつつ、柔軟性を高める観点から、150~200g/m2が好ましく挙げられる。また、本発明の光沢フィルム10の厚さとしては、例えば、50~300μm程度、好ましくは80~150μm程度が挙げられ、光沢フィルム10に高い光沢性と不燃性を付与しつつ、100~150μmが好ましく挙げられる。
【0055】
[本発明の光沢フィルム10の製造方法]
本発明の光沢フィルム10の製造方法としては、ガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1とが積層されれば、特に制限されない。例えば、接着層3を設ける場合であれば、接着層3を介してガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1とを好適に積層することができる。本発明の光沢フィルム10の製造方法の具体例としては、次のような製造方法が挙げられる。
【0056】
まず、ガラス繊維織物2に、該ガラス繊維織物2が所望の配置となるように接着層3を構成する上記の樹脂組成物を含浸、硬化させて、ガラス繊維織物2の少なくとも一部が接着層3中に含まれたフィルムを作製する。このとき、上記の樹脂組成物を塗布したポリエチレンテレフタレート等の工程フィルムを準備し、1枚のガラス繊維織物2の両面から当該工程フィルムを圧着し、1枚のガラス繊維織物2の両面側から樹脂組成物を含浸させ、樹脂組成物を硬化させたのち、工程フィルムを剥離することにより、1枚のガラス繊維織物2に接着層3が含浸されたフィルムを得ることができる。次に、一方側の工程フィルムを剥離し、接着層3の上から、接着層3を構成する上記の樹脂組成物を塗布し、さらにその上から金属蒸着樹脂フィルム1、工程フィルムを積層して、2枚の工程フィルムに挟まれた状態で樹脂組成物を硬化させることで、光沢フィルム10を製造することができる。さらに、必要に応じて、前述の合成樹脂層4及び保護層5を積層してもよい。なお、金属蒸着樹脂フィルム1に合成樹脂層4や保護層5が予め積層された積層フィルムを用いて、光沢フィルム10を製造してもよい。
【0057】
光沢フィルム10の60度鏡面光沢度、不燃性、全光線透過率などの物性は、ガラス繊維織物2、金属蒸着樹脂フィルム1、接着層3、合成樹脂層4、保護層5の種類や厚みなどを調整したりすることにより、調整可能である。
【0058】
[本発明の光沢フィルム10の用途]
本発明の光沢フィルム10は、高い光沢性及び不燃性を備えることから、建築材料、例えば、膜天井等の膜材料、不燃ミラーとして用いるのに好適である。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0060】
実施例1~3において、ガラス繊維織物2としては、それぞれ、表1に示す構成を備えるものを用いた。具体的には、経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「D450 1/0-1.0Z」(平均フィラメント径5μm、平均フィラメント本数200本、撚り数1Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が60本/25mm、緯糸密度が60本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S-350:N-ビニルベンジル-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、ガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物2は、経糸密度60本/25mm、緯糸密度60本/25mm、厚さ50μm、質量53g/m2であった。
【0061】
実施例1,2において、接着層3を構成する硬化性樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製)、スチレンモノマー(日本ユピカ株式会社製)、2官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤の混合物を使用した。なお、硬化剤である2官能(メタ)アクリレートとしては、表1に記載のNPGDA(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212、(日本ユピカ株式会社製))を用いた。また、光重合開始剤の量は、ビニルエステル樹脂とスチレンモノマーと2官能(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して2質量部とした。なお、実施例3の接着層3は、後述の市販フィルムが予め備えている粘着剤によって構成されている。
【0062】
<実施例1>
まず、工程フィルムとして厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを2枚準備し、内1枚の上に、表1に記載の量(g/m2)の50質量%の量の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、硬化性樹脂組成物の上に、前述のガラス繊維織物2を載せ、1分間静置してガラス繊維織物2の隙間に上記の硬化性樹脂組成物を含浸させた。この時、ガラス繊維織物2を下部に押し込んだ。次いで、もう1枚の工程フィルムを載せ、この上からローラで加圧した。その後、工程フィルムごと、硬化性樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、接着層3(半分)中に含まれたガラス繊維織物1枚を含むフィルム(フィルムA)を作製した。
【0063】
次にフィルムAの上側の工程フィルムを剥離し、露出した接着層3の上に、表1に記載の量(g/m
2)の50質量%の量の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、硬化性樹脂組成物の上に、市販の金属蒸着樹脂フィルム1(ニチモウ株式会社製のRタイプ、アルミニウム蒸着層(金属蒸着層12)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(樹脂フィルム11)の積層体、金属蒸着樹脂フィルム1の厚さ50μm)のアルミニウム蒸着層側を載せ、1分間静置した。次いで、工程フィルム(厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を載せ、この上からローラで加圧した。その後、工程フィルムごと、硬化性樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm
2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、接着層3(残り半分)を形成し、両面の工程フィルムを剥離することで、接着層3を介してガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1が積層された光沢フィルムを作製した。得られた光沢フィルムは、
図4の模式図のような積層構成を備えている。
【0064】
<実施例2>
まず、工程フィルムとして厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを2枚準備し、内1枚の上に、表1に記載の量(g/m2)の50質量%の量の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、硬化性樹脂組成物の上に、前述のガラス繊維織物2を載せ、1分間静置してガラス繊維織物2の隙間に上記の硬化性樹脂組成物を含浸させた。この時、ガラス繊維織物2を下部に押し込んだ。次いで、もう1枚の工程フィルムを載せ、この上からローラで加圧した。その後、工程フィルムごと、硬化性樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、接着層3(半分)中に含まれたガラス繊維織物1枚を含むフィルム(フィルムA)を作製した。
【0065】
次に、フィルムAの上側の工程フィルムを剥離し、露出した接着層3の上に、表1に記載の量(g/m
2)の50質量%の量の硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、硬化性樹脂組成物の上に、市販の金属蒸着樹脂フィルム1(ニチモウ株式会社製のNタイプ、コート層(合成樹脂層4/アルミニウム蒸着層(金属蒸着層12)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(樹脂フィルム11)/ハードコート層(保護層5)の積層体、金属蒸着樹脂フィルム1の厚さ50μm)の合成樹脂層4側を載せ、1分間静置した。なお、コート層(合成樹脂層4)は、アクリル樹脂によって構成されており、ハードコート層(保護層5)はアクリル樹脂によって構成されている。次いで、工程フィルム(厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を載せ、この上からローラで加圧した。その後、工程フィルムごと、硬化性樹脂組成物に、金属蒸着樹脂フィルム1と接触していない側の工程フィルム側から光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm
2)して硬化性樹脂組成物を硬化させ、接着層3(残り半分)を形成し、両面の工程フィルムを剥離することで、接着層3及び合成樹脂層4(コート層)を介してガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1が積層された光沢フィルムを作製した。得られた光沢フィルムは、
図5の模式図のような積層構成を備えている(ただし、
図5において、ハードコート層(保護層5)は図示していない)。
【0066】
<実施例3>
接着層3及び金属蒸着樹脂フィルム1が予め積層された市販のフィルムとして、ニチモウ株式会社製の高反射ミラーフィルム(粘着剤(接着層3)/アルミニウム蒸着層(金属蒸着層12)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(樹脂フィルム11)/耐久コート層(保護層5)の積層体、金属蒸着樹脂フィルム1の厚さ70μm)を用意した。耐久コート層(保護層5)はアクリル樹脂によって構成されている。
【0067】
次に、工程フィルムとして厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを2枚準備し、内1枚の上に、前述のガラス繊維織物2を載せ、さらにその上から前記の高反射ミラーフィルムの粘着剤側を載せた。次いで、もう1枚の工程フィルムを載せ、この上からローラで加圧して、接着層3を介してガラス繊維織物2と金属蒸着樹脂フィルム1が積層された光沢フィルムを作製した。得られた光沢フィルムは、
図3の模式図のような積層構成を備えている(ただし、
図3において、耐久コート層(保護層5)は図示していない)。
【0068】
なお、実施例1~3において、ガラス繊維織物の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維織物の厚さは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維織物の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。
【0069】
以下の評価は、光沢フィルム10の製造後、1週間室内で放置してから行った。
【0070】
(60度鏡面光沢度)
金属蒸着樹脂フィルム及び光沢フィルムの60度鏡面光沢度は、それぞれ、前述した方法により測定した。なお、金属蒸着樹脂フィルムの60度鏡面光沢度については、それぞれ、金属蒸着樹脂フィルムとして用いた市販のフィルムについて測定を行った。すなわち、実施例1では前述のニチモウ株式会社製のRタイプ、実施例2では前述のニチモウ株式会社製のNタイプ、実施例3では前述のニチモウ株式会社製の高反射ミラーフィルムについて60度鏡面光沢度を測定して、金属蒸着樹脂フィルムの60度鏡面光沢度として表1に示した。
【0071】
(全光線透過率)
前述した方法により測定した。
【0072】
(光沢フィルムの不燃性)
光沢フィルムの不燃性は、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って、輻射電気ヒーターから光沢フィルムの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験をおこなった。加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、加熱開始後20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2を超えない場合に、不燃性に優れる(◎)と評価とした。
【0073】
各評価結果を表1に示す。
【0074】
【符号の説明】
【0075】
1 金属蒸着樹脂フィルム
2 ガラス繊維織物
3 接着層
4 合成樹脂層
10 光沢フィルム
X 光沢フィルムの厚み方向