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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】釣竿のグリップ及びそれを備える釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/08 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A01K87/08 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021009085
(22)【出願日】2021-01-22
(62)【分割の表示】P 2020073762の分割
【原出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021074006
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019202068
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519359745
【氏名又は名称】株式会社ハートアイデアート
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】久保 英也
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-286242(JP,A)
【文献】実開昭54-182391(JP,U)
【文献】特開2003-230333(JP,A)
【文献】実公昭46-017968(JP,Y1)
【文献】英国特許出願公告第01048123(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の竿芯に取り付けられる釣竿のグリップであって、
前記竿芯の元竿部に被嵌され、前記竿芯の軸心方向に交差する第1交差面が形成されている円筒形状の第1本体部と、少なくとも一部が前記第1交差面から前記軸心方向に突出する第1差込み部と、を有する第1の管体と、
前記第1本体部の内周面に外周面が接触する補強パイプと、
を備え
前記第1交差面は、前記第1差込み部の割れを防止する第1割れ防止部材に形成されている端面、又は、前記第1の管体に隣接して配置される別の管体に形成されている端面が接する面である、釣竿のグリップ。
【請求項2】
前記第1の管体から前記軸心方向に離間すると共に、前記元竿部に被嵌され、前記軸心方向に交差する第2交差面が形成されている円筒形状の第2本体部と、少なくとも一部が前記第2交差面から前記軸心方向に突出する第2差込み部と、を有する第2の管体を備え、
前記第2交差面は、前記第2差込み部の割れを防止する第2割れ防止部材に形成されている端面、又は、前記第2の管体に隣接して配置される別の管体に形成されている端面が接する面であり、
前記補強パイプの外周面は、前記第2本体部の内周面に接触する、請求項1に記載の釣竿のグリップ。
【請求項3】
前記第2差込み部は、前記竿芯が嵌め込まれる第2竿芯用孔が形成され、前記第2竿芯用孔に前記竿芯が嵌め込まれることにより、前記竿芯に対して前記第2本体部を支持する、請求項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項4】
前記第2差込み部は、前記第2本体部に対して別体に形成されている、請求項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項5】
前記第1差込み部は、前記竿芯が嵌め込まれる第1竿芯用孔が形成され、前記第1竿芯用孔に前記竿芯が嵌め込まれることにより、前記竿芯に対して前記第1本体部を支持する、請求項1から4のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項6】
前記第1差込み部は、前記第1本体部に対して別体に形成されている、請求項5に記載の釣竿のグリップ。
【請求項7】
前記補強パイプに嵌め込まれ、ユーザが掴む部分として機能するパイプ状のリールシートを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項8】
前記補強パイプに嵌め込まれ、ユーザが掴む部分の一部を構成するグリップ管を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項9】
前記グリップ管に装着され、ユーザが掴む部分として機能するシート状のリールシートを備える、請求項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項10】
前記補強パイプは、前記軸心方向を筒軸とする円筒形状に形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項11】
前記補強パイプには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔が形成されている、請求項10に記載の釣竿のグリップ。
【請求項12】
前記補強パイプには、円筒形状の少なくとも一方の端部から切り欠かれた少なくとも一つの切欠きが形成されている、請求項10又は11に記載の釣竿のグリップ。
【請求項13】
前記補強パイプの内周面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の釣竿のグリップ。
【請求項14】
前記ブッシュは、円筒形状に形成されている、請求項13に記載の釣竿のグリップ。
【請求項15】
前記ブッシュには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔が形成されている、請求項14に記載の釣竿のグリップ。
【請求項16】
前記ブッシュには、円筒形状の少なくとも一方の端部から他方の端部まで切り欠かれたスリットが形成されている、請求項14又は15に記載の釣竿のグリップ。
【請求項17】
釣竿の竿芯と、
前記竿芯に取り付けられる請求項1から16のいずれか一項に記載の釣竿のグリップと、
を備える、釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿のグリップ及びそれを備える釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者の見識では、魚釣りには、様々の釣りと、その釣り方、又は釣竿が存在する。尚、魚釣りにはミャク釣りやウキ釣り、疑似餌による釣り等の様々な釣り方がある。ミャク釣りは軽いオモリを付けた仕掛けや針やサルカンや餌の重さ等で、糸の変化や竿、指先へのあたりを感じて釣る釣法で、所謂、魚信(釣りで、魚が餌等に触れたことが、釣竿や糸やウキに伝わる。当たりのことである)で、釣竿を上部に振り上げることによって、餌の付いた針を、魚の口等にフックさせる釣り方である。
【0003】
そして、この魚信をとらえる時の指先への伝達は、例えば、餌の付いた針→釣糸→竿芯→釣り人の手指、又は、餌の付いた針→釣糸→リール→釣り人の手指、更には、餌の付いた針→釣糸→竿芯のガイド→竿芯→竿芯のグリップ→リールシート→リール→釣り人の手指、若しくは、餌の付いた針→釣糸→竿芯のガイド→竿芯→パイプシート等(リールを固定するリールシートと、竿芯の太さに合わせパイプ状の土台部分が一体となったもの)→釣り人の手指、等がある。
【0004】
従って、魚等の釣りに使用する釣竿の役割は、例えば、釣る魚等の種類、釣り方にもよるが、視覚による竿先の動き、及び/又は、餌の付いた釣糸から、竿芯やグリップに伝わる感触で釣竿を拳上させる動作で、釣り糸につけた針に引っ掛った魚等(獲物)を釣り上げる。このようなことから、竿先の動き以外で重要となるのが、魚等が針に付けられた餌や、釣糸の先に付けられた疑似餌等を捕食している感触が、釣り人の手等に伝わることであり、竿芯や、グリップ、或いはパイプシート等の役割が重要となる。
【0005】
また、釣竿と、そのグリップの形態を検討する。例えば、素材や、竿芯とグリップの相性において、それぞれの拘りと特性とが考えられる。以下、個別に詳述すると、釣竿は、大半が、グラスファイバーやカーボン等の複合素材で作られている。一方で、釣竿のグリップは、その素材に直接塗装が施されたものや、ざらつきを施した塗装・ゴム等のラバー等で滑り止めを施したもの、軽さと滑り止めを兼ねたコルクや発泡ウレタン、発泡ゴム等を使用したものや、稀には天然素材を活かした竹等のグリップが存在する。
【0006】
以上のような事を鑑み、本発明を考え、かつその構成を提案する。
【0007】
ここで、従来の文献を挙げると、竿芯にコルクグリップを被嵌した構成の特許文献1が挙げられる。しかし、この発明は竿芯に、無垢のコルクグリップを、構成したものである。しかし、この種のコルクグリップの構造では、穂先等の振動が、手元部や、リール等に伝達し難いと考えられる。また、コルク以外の木質グリップに関する記述も見当たらない。
【0008】
また、グリップを複数個の短筒体(本発明の短管体)で構成した例で、特許文献2が挙げられる。しかし、この考案は、グラスファイバー製のパイプに、直接、短筒体を被嵌した構成であり、ハイプと短筒体の間には、空間を設ける構成ではない。従って、特許文献1と同じ課題を抱えていると思料される。
【0009】
特許文献3には、釣竿に装着された一対の円筒状の管体に、補強パイプとしての金属製管状取り付け支脚が取り付けられているグリップが開示されている。この金属製管状取り付け支脚は、リールシートが支持される管であり、金属製管状取り付け支脚の内周面が、円筒状の装着管の外周面に接触するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平11-318284号公報
【文献】登録実用新案第3137114号公報
【文献】実全昭49-037472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3においては、補強パイプとしての金属製管状取り付け支脚の内周面が、円筒状の装着管の外周面の接触している。このため、金属製管状取り付け支脚の管の孔内全体に空間を確保することは困難である。これにより、釣竿のグリップの重量が大きくなるおそれがある。
【0012】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、軽量化を実現することができる釣竿のグリップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点に係る釣竿のグリップは、
釣竿の竿芯に取り付けられる釣竿のグリップであって、
前記竿芯の元竿部に被嵌され、前記竿芯の軸心方向に交差する第1交差面が形成されている円筒形状の第1本体部と、少なくとも一部が前記第1交差面から前記軸心方向に突出する第1差込み部と、を有する第1の管体と、
前記第1本体部の内周面に外周面が接触する補強パイプと、
を備え
前記第1交差面は、前記第1差込み部の割れを防止する第1割れ防止部材に形成されている端面、又は、前記第1の管体に隣接して配置される別の管体に形成されている端面が接する面である
【0014】
前記第1の管体から前記軸心方向に離間すると共に、前記元竿部に被嵌され、前記軸心方向に交差する第2交差面が形成されている円筒形状の第2本体部と、少なくとも一部が前記第2交差面から前記軸心方向に突出する第2差込み部と、を有する第2の管体を備え、
前記第2交差面は、前記第2差込み部の割れを防止する第2割れ防止部材に形成されている端面、又は、前記第2の管体に隣接して配置される別の管体に形成されている端面が接する面であり、
前記補強パイプの外周面は、前記第2本体部の内周面に接触していてもよい。
【0015】
前記第2差込み部は、前記竿芯が嵌め込まれる第2竿芯用孔が形成され、前記第2竿芯用孔に前記竿芯が嵌め込まれることにより、前記竿芯に対して前記第2本体部を支持していてもよい。
【0016】
前記第2差込み部は、前記第2本体部に対して別体に形成されていてもよい。
【0017】
前記第1差込み部は、前記竿芯が嵌め込まれる第1竿芯用孔が形成され、前記第1竿芯用孔に前記竿芯が嵌め込まれることにより、前記竿芯に対して前記第1本体部を支持していてもよい。
【0018】
前記第1差込み部は、前記第1本体部に対して別体に形成されていてもよい。
【0021】
前記補強パイプに嵌め込まれ、ユーザが掴む部分として機能するパイプ状のリールシートを備えていてもよい。
【0022】
前記補強パイプに嵌め込まれ、ユーザが掴む部分の一部を構成するグリップ管を備えていてもよい。
【0023】
前記グリップ管に装着され、ユーザが掴む部分として機能するシート状のリールシートを備えていてもよい。
【0024】
前記補強パイプは、前記軸心方向を筒軸とする円筒形状に形成されていてもよい。
【0025】
前記補強パイプには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔が形成されていてもよい。
【0026】
前記補強パイプには、円筒形状の少なくとも一方の端部から切り欠かれた少なくとも一つの切欠きが形成されていてもよい。
【0027】
前記補強パイプの内周面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュを備えていてもよい。
【0028】
前記ブッシュは、円筒形状に形成されていてもよい。
【0029】
前記ブッシュには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔が形成されていてもよい。
【0030】
前記ブッシュには、円筒形状の少なくとも一方の端部から他方の端部まで切り欠かれたスリットが形成されていてもよい。
【0031】
本発明の第の観点に係る釣竿は、
釣竿の竿芯と、
前記竿芯に取り付けられる本発明の第1の観点に係る釣竿のグリップと、
を備える。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、補強パイプの外周面は、第1本体部の内周面に接触している。このため、補強パイプの孔内全体に空間を確保することができる。この空間の確保により、釣竿のグリップの軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】釣竿の要部(グリップ)を示した縮尺斜視図
図2A】釣竿の要部(グリップ)の一例(一案)を示した縮尺斜視図
図2B図1の一部(グリップを構成する短管体)を分解して示した縮尺斜視図
図3-1】短管体の一例(一案)であって、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌し、(a)は断面図、(b)は短管体とパイプ状のリールシートを簡略して示した断面図、(c)はパイプ状のリールシートを備えたグリップを簡略して示した断面図
図3-2A】短管体の他の一例(一案の別の実施形態)であって、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌し、(a)は断面図、(b)は短管体とパイプ状のリールシートを簡略して示した断面図、(c)はパイプ状のリールシートを備えたグリップを簡略して示した断面図
図3-2B】短管体の他の一例(二案)であって、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌した断面図
図3-3】短管体の一例(三案)であり、竿芯の外周面との間に、空間を構成して被嵌し、(a)は断面図、(b)は短管体とパイプ状のリールシートを簡略して示した断面図、(c)はパイプ状のリールシートを備えたグリップを簡略して示した断面図
図3-4】リールシートの一例であり、(a)はパイプ状のリールシートの斜視図、(b)はシート状のリールシートの斜視図
図4-1】短管体の一例(一案)であり、(イ)は斜視図、(ロ)は一部切欠きの斜視図、(ハ)は断面図
図4-2】短管体の他の一例(二案)であり、(イ)は短管体の斜視図、(ロ)は短管体の断面図、(ハ)は繋ぎ片の斜視図、(ニ)は繋ぎ片の断面図、(ホ)は繋ぎ片の別の一例の斜視図
図4-3】短管体、又は繋ぎ片に空間を形成した他の一例であり、(イ)は短管体の斜視図、(ロ)は繋ぎ片の斜視図
図4-4】短管体の一例であり、(イ)は一部省略の斜視図、(ロ)は一部切欠き・一部省略の斜視図、(ハ)は一部省略の断面図
図4-5】キャップの一例であり、(イ)は斜視図、(ロ)は一部切欠きの斜視図、(ハ)は断面図
図5-1】竿芯とリールシートの一例(四案)を示した断面図
図5-2】竿芯とグリップ及びリールシートの一例(五案)を示した断面図
図5-3】図5-2に示した補強パイプの平面図
図5-4】図5-2に示した補強パイプの斜視図
図6-1】竿芯と口金を備えたリールシートの一例(六案、七案)を示した断面図
図6-2】補強パイプのその他の一例(六案、七案)を示した断面図
図6-3】竿芯と口金を備えたリールシートの他の一例(六案、七案)を示した断面図
図7】実施の形態1に係る釣竿のグリップ近傍の斜視図
図8】(a)は、実施の形態1に係る竿芯及びグリップの断面図、(b)は、実施の形態1に係る竿芯及びグリップについて、各部材を強調しつつ(a)を模式的に示した断面図
図9】(a)は、実施の形態1に係る短管体(キャップ(第1の管体、第2の管体))の斜視図、(b)は、(a)のIX-IX´断面の断面図
図10】(a)は、実施の形態1に係るリールシートの斜視図、(b)は、(a)のX-X´断面の断面図、(c)は、実施の形態1の変形例1に係るリールシートの断面図
図11】(a)は、実施の形態1に係るグリップの効果を説明するための断面図、(b)は、実施の形態1の変形例2に係るグリップの効果を説明するための断面図
図12】(a)は、実施の形態2に係る竿芯及びグリップの断面図、(b)は、実施の形態2に係る竿芯及びグリップについて、各部材を強調しつつ(a)を模式的に示した断面図
図13】(a)は、実施の形態2に係るリールシートの斜視図、(b)は、(a)のXIII-XIII´断面の断面図、(c)は、実施の形態2の変形例に係るリールシートの断面図
図14】実施の形態3に係る釣竿のグリップ近傍の斜視図
図15】(a)は、実施の形態3に係る竿芯及びグリップの断面図、(b)は、実施の形態3に係る竿芯及びグリップについて、各部材を強調しつつ(a)を模式的に示した断面図
図16】(a)は、実施の形態3に係る短管体(キャップ、第1の管体)の斜視図、(b)は、(a)のXVI-XVI´断面の断面図
図17】(a)は、実施の形態3に係るリールシートの斜視図、(b)は、(a)のXVII-XVII´断面の断面図
図18】(a)は、実施の形態3に係る短管体(第2の管体)の斜視図、(b)は、(a)のXVIII-XVIII´断面の断面図
図19】(a)は、実施の形態3に係る短管体(第3の管体)の斜視図、(b)は、(a)のXIX-XIX´断面の断面図
図20】実施の形態3に係るグリップの効果を説明するための断面図
図21】比較例に係るグリップの断面図
図22】(a)は、実施の形態4に係る竿芯及びグリップの断面図、(b)は、実施の形態4に係る竿芯及びグリップについて、各部材を強調しつつ(a)を模式的に示した断面図
図23】実施の形態5に係る竿芯及びグリップの断面図
図24】(a)は、実施の形態6に係る竿芯及びグリップの断面図、(b)は、実施の形態6に係るシート状のリールシートの斜視図
図25】(a)は、実施の形態7に係る竿芯及びグリップの断面図、(b)は、実施の形態7に係る補強パイプの斜視図、(c)は切欠きが形成された補強パイプの一例の斜視図、(d)は複数の切欠きが形成された補強パイプの一例の斜視図
図26】(a)は、実施の形態9に係るブッシュの斜視図、(b)は、孔が形成されたブッシュの別の一例の斜視図、(c)は、切欠きが形成されたブッシュのさらに別の一例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1図4-4において、1は釣竿Aの竿芯であり、この竿芯1は、金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れか、又は組み合わせで形成されている。そして、釣竿Aとして必要とする耐性と可撓性を備える。この竿芯1の手元部100には、グリップ2が設けられる。
【0035】
そして、図2図3-1(a)、図3-2B、及び図3-3(a)の各図は、木質製、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されているグリップ2が、複数本のリング状の短管体200で構成されている。短管体200は、図3-1(a)と図4-1に示した一案と、図3-2Bと図4-2に示した二案と、をそれぞれ一例として説明する。
【0036】
(一案)
一案では、短管体200の外周側200aの肉を、全周、又は一部等においてカットしたリング形態(リング形状)の差込み片201と、差込み片201に繋がるリング形態の外郭管体202とで形成し、差込み片201の内周面201aが、中心に陥没し、かつ外郭管体202の内周面202aが、内周面201aの外側に位置する構造である。従って、差込み片201の外周面201bは、隣接する外郭管体202の内周面202aに差込まれ、かつ支持される(例えば、密着するように支持される)。この差込み支持箇所には、接着剤3、止めリング、被嵌リング(図示しない)等の接着手段が施されて、両者(隣接する短管体200同士)を固定する。この固定状態を、図3-1(a)、(b)に示してある。尚、図2図4-1(イ)~(ハ)は、短管体200の分解した模式図(斜視図)である。このグリップ2の外周面2aには、美感と耐性、塩害防止、耐性等を目的として、塗料やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤を添着する。但し、グリップ2のリールシート2bや、グリップ部2cには、防滑、耐性等を目的で、塗料やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤を添着しないことも有り得る。図中5は尻栓を示している。この尻栓5は竿芯1の基部の内周面1aの螺孔に螺着等される。そして、竿芯1の外周面1bと各外郭管体202の各内周面202a(各短管体200の内周側200b)との間にはリング形態となる空間6がそれぞれ形成されるとともに、空間6を確保するように、竿芯1の外周面1bには、各差込み片201の各内周面201aが、例えば、密着するように添接支持される。尚、短管体200は必要とする数を連結する。図中7は、グリップ2の竿先に位置するキャップである。リング形態である。グリップ2、又はキャップ7の内周面と、竿芯1の外周面1bとの間にリング形態等の空間6を形成することも有り得る。尚、この空間6は、竿芯1の軸方向に限らず、図4-3(イ)、(ロ)の如く、グリップ2の放射方向や、その他の形態でも可能である。また、空間6は、図示の如く、リング形態(リング)に限らず、孔形態や軸方向のスリット形態でも可能である。図中竿芯1の内部には、一本(一鞘)~複数本の穂先、又は中間竿を収容することもできる(図示しない)(以下、同じ)。また、グリップ2の差込み片201は、木質製の例では、木の割れを防止する。
【0037】
(一案の詳細な説明)
以上の一案に係る釣竿Aのグリップ2について、図2A図2B図3-1、図3-4、図4-1、及び図4-5を用いて、更に詳述する。
【0038】
図2A及び図2Bに示す釣竿Aのグリップ2は、釣竿Aにおいて、釣り人が把持する部分である。釣竿Aは、釣竿Aの竿本体である竿芯1と、釣り糸を巻くリール10と、上述のグリップ2と、を有する。
【0039】
竿芯1は、魚を釣るために、釣り糸、ウキ、釣り針等とともに用いられ、図3-1に示すように、軸心方向A1に延びる棒状の部材である。竿芯1は、例えば、少なくとも一部がグリップ2から突出する穂先側部分と、グリップ2が嵌め込まれる手元側部分と、の二つの部分から構成されている。グリップ2から突出する穂先側部分は、例えば、耐水性、ねじれ耐性等の釣竿Aとして必要とする耐性と可撓性・弾性の素材、例えば、グラスファイバーにより形成されている。ただし、これに限られない。穂先側部分は、適度にしなる素材であればよく、例えば、カーボンにより形成されていてもよいし、グラスファイバーとカーボンとの複合素材により形成されていてもよい。グリップ2が嵌め込まれる手元側部分は、例えば、グリップ2を嵌め込むために、穂先側部分の素材よりも固い素材により形成されている。ただし、これに限られない。この手元側部分は、穂先側部分と同じ可撓性の素材により形成されていてもよいし、その他の素材により形成されていてもよい。手元側部分は、例えば、カーボンにより形成されているカーボンパイプであってもよい。さらには、手元側部分は、穂先側部分と一体的に形成されていてもよい。
【0040】
図2Aに示すリール10は、釣り糸を巻いておき、ハンドルにより竿芯1の竿先から垂らす釣り糸の長さを調節する部材である。リール10は、グリップ2のリールシート2bに係止して固定するための脚10a、10bを有する。
【0041】
グリップ2は、図3-1に示すように、釣竿Aの竿芯1に取り付けられている。グリップ2は、穂先側のキャップ20(割れ防止部材)、キャップ7(第1の管体200-1)と、短管体200(第2の管体200-2)と、短管体200(第3の管体200-3)と、短管体200(第4の管体200-4)と、尻栓螺合部材5-2と、尻栓5と、リールシート2bと、を備える。キャップ20、第1の管体200-1、第2の管体200-2、第3の管体200-3、第4の管体200-4、尻栓螺合部材5-2、及び尻栓5は、穂先側から手元側(図3-1中の左側から右側)に、軸心方向A1に沿って、その順に配置されている。
【0042】
キャップ20(割れ防止部材)は、グリップ2の最も穂先側(図3-1中の左側)を構成する部品である。キャップ20は、例えば、樹脂又は金属により形成されている。キャップ20は、木材により形成される第1の管体200-1の差込み片201に取り付けられることで、差込み片201の割れを防止する。なお、キャップ20は、差込み片201の割れを防止できる素材であれば、樹脂及び金属以外の素材により形成されていてもよい。
【0043】
第1の管体200-1(キャップ7)は、図3-1及び図4-5に示すように、竿芯1の元竿部に被嵌されている。また、第1の管体200-1は、キャップ20の手元側(図3-1中の右側)に隣接して配置されている。第1の管体200-1は、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒状に形成されている。第1の管体200-1は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、第1の管体200-1は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、第1の管体200-1は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。第1の管体200-1は、外郭管体202(第1本体部)と、差込み片201(第1差込み部)と、を有する。
【0044】
第1の管体200-1の外郭管体202は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒状に形成されている。
【0045】
第1の管体200-1の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第1の管体200-1が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から軸心方向A1に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成されることで、その外径が、外郭管体202の外径よりも小さく形成されている。この差込み片201には、キャップ20が嵌め込まれている。一案においては、第1の管体200-1は、木材からなる木管であるため、第1の管体200-1の割れが課題となるが、このキャップ20により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第1の管体200-1全体の割れが防止される。
【0046】
第2の管体200-2(短管体200)は、図3-1及び図4-1に示すように、第1の管体200-1と共に、竿芯1の元竿部に被嵌されている。また、第2の管体200-2は、第1の管体200-1の手元側(図3-1中の右側)に隣接して配置されている。第2の管体200-2は、第1の管体200-1と同様に、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒状に形成されている。第2の管体200-2は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、第2の管体200-2は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、第2の管体200-2は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。第2の管体200-2は、外郭管体202(第2本体部)と、差込み片201(第2差込み部)と、を有する。
【0047】
第2の管体200-2の外郭管体202は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒状に形成されている。
【0048】
第2の管体200-2の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第1の管体200-1が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から軸心方向A1に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成されることで、その外径が、外郭管体202の外径よりも小さく形成されている。この差込み片201は、第1の管体200-1の外郭管体202に差し込まれている。
【0049】
第3の管体200-3(短管体200)は、第1、第2の管体200-1、200-2と共に、竿芯1の元竿部に被嵌されている。第3の管体200-3は、第2の管体200-2と同じ形状に形成され、外郭管体202と、差込み片201と、を有する。第3の管体200-3の差込み片201は、第2の管体200-2の外郭管体202に差し込まれている。
【0050】
第4の管体200-4(短管体200)は、第1~第3の管体200-1~200-3と共に、竿芯1の元竿部に被嵌されている。第4の管体200-4は、第2、第3の管体200-2、200-3と同じ形状に形成され、外郭管体202と、差込み片201と、を有する。第4の管体200-4の差込み片201は、第3の管体200-3の外郭管体202に差し込まれている。
【0051】
このように構成されていることで、第1~第4の管体200-1~200-4の外郭管体202の内周面202aと、竿芯1の外周面1bとの間には、空間6が形成される。空間6は、第2~第4の管体200-2~200-4の差込み片201により、複数の空間6に、具体的には、この一案では、4つの空間6に区画されている。
【0052】
尻栓5には、図3-1に示すように、雄ねじ面が形成されている。尻栓5は、グリップ2の手元側の端部(図3-1中の右側の端部)に形成されている尻栓配置空間に配置される。この尻栓配置空間は、第4の管体200-4に嵌め込まれ、内周面が雌ねじ面として形成されている尻栓螺合部材5-2の内周面によって規定されている空間である。尻栓5は、第4の管体200-4に嵌め込まれている尻栓螺合部材5-2に捻じ込まれて固定されている。
【0053】
リールシート2bは、図3-1(b)、(c)及び図3-4(a)に示すように、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒状に形成されている。リールシート2bは、例えば、リール10を固定するパイプ状のものである。リールシート2bは、リールシート本体2b3と、リールシートキャップ2b4と、を有する。リールシート本体2b3には、係止片2b2が形成されている。リールシートキャップ2b4は、リールシート本体2b3に螺合又は嵌合され、係止片2b1が形成されている。リールシートキャップ2b4は、回転方向A2に回転する回転部分2b4-1と、回転しない非回転部分とを有する。回転部分2b4-1が、回転方向A2に回転されることにより、リールシートキャップ2b4全体が、軸心方向A1に進退する。これにより、係止片2b1と係止片2b2との間が、広がったり狭まったりする。リールシート2bは、第1~第4の管体200-1~200-4の少なくともいずれかの外郭管体202の外周に嵌め込まれている。また、リールシート2bは、例えば、単一の素材により形成される。リールシート2bは、例えば、樹脂により形成されている。リールシート2bの係止片2b1、2b2には、図2Aに示すように、リール10が有する脚10a、10bが係止される。これにより、リールシート2bは、リール10を支持する。
【0054】
以上、説明したように、一案に係る釣竿Aのグリップ2においては、図2A及び図3-1に示すように、第1~第4の管体200-1~200-4の外郭管体202の内周面202aと、竿芯1の外周面1bとの間に、空間6が形成されている。この空間6により、竿芯1の穂先の振動、例えば、魚等が餌等を捕食している感触を、空間6を介して、グリップ2に伝達することができる。これにより、釣り人は、釣の醍醐味をより楽しむことができる。結果として、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。
【0055】
また、一案に係る釣竿Aのグリップ2においては、第1の管体200-1は、差込み片201を有し、この差込み片201が、竿芯1に支持されつつ、キャップ20に差し込まれている。また、第2の管体200-2は、差込み片201を有し、この差込み片201が、竿芯1に支持されつつ、隣接する第1の管体200-1の外郭管体202に差し込まれている。同様に、第3、第4の管体200-3、200-4は、差込み片201を有し、この差込み片201が、竿芯1に支持されつつ、隣接する第2、第3の管体200-2、200-3の外郭管体202に差し込まれている。このため、別の一つの短管体200を更に容易に加えたり、第1~第4の管体200-1~200-4のいずれかを除いたりして、別のサイズや形状のグリップ2を形成することができる。これにより、簡素な構造を有しつつ、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。
【0056】
また、一案においては、釣竿Aのグリップ2は、第1の管体200-1の差込み片201に取り付けられるキャップ20を備える。この一案においては、第1の管体200-1は、木材からなる木管であるため、第1の管体200-1の割れが課題となる。しかしながら、このキャップ20により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第1の管体200-1全体の割れが防止される。
【0057】
また、一案においては、第1~第4の管体200-1~200-4は、木材により形成されている。このため、釣り人にとって、水に濡れても滑りにくく、グリップ2を持った時の適度な温度、適度な柔らかさを確保できて、握り易くなる。また、グリップ2の軽量化を図ることができる。
【0058】
なお、一案においては、図2Bに示すように、第1~第4の管体200-1~200-4のうち、第1の管体200-1の形状のみが、他の第2~第4の管体200-2~200-4の形状と異なる。しかしながら、これに限られない。第1の管体200-1の形状は、他の第2~第4の管体200-2~200-4の形状と同じであってもよい。
【0059】
(一案の別の実施形態)
次に、「一案の別の実施形態」に係る釣竿Aのグリップ2について、図3-2Aを用いて詳述する。
【0060】
「一案の別の実施形態」に係る釣竿Aのグリップ2は、第2~第4の管体200-2~200-4の形状が異なる点と、ブッシュ81を備える点とで、「一案」に係る釣竿Aのグリップ2と相違する。
【0061】
第2~第4の管体200-2~200-4は、差込み片201を有しない円筒状に形成されている。
【0062】
ブッシュ81は、リング状又は円筒形状に形成され、空間6内に配置されることにより、竿芯1に対して、第1~第4の管体200-1~200-4等を支持する部材である。この「一案の別の実施形態」に係る釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備える。3つのブッシュ81のうち一つは、第1の管体200-1の内周面202aと第2の管体200-2の内周面202aとの境目と、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。また、一つのブッシュ81は、第2の管体200-2の内周面202aと第3の管体200-3の内周面202aとの境目と、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。また、もう一つのブッシュ81は、第3の管体200-3の内周面202aと第4の管体200-4の内周面202aとの境目と、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。「一案の別の実施形態」においては、釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備える。しかしながら、これに限られない。釣竿Aのグリップ2は、第1~第4の管体200-1~200-4の内周面202aのいずれかと、竿芯1の外周面1bとの間に、少なくとも一つのブッシュ81を備えていればよい。
【0063】
(二案)
二案は、差込み片201が、外郭管体202より分割(分離)した形態であり、差込み片201を繋ぎ片201-1とする。図3-2Bと図4-2の各図に示した二案の分解図を参照されたい。即ち、各繋ぎ片201-1の外周面201-1bで、かつその両側に、各外郭管体202を、それぞれ隣設するとともに、この各繋ぎ片201-1の内周面201-1aは、竿芯1の外周面1bに、例えば、密着するように添接支持される。その他の構造は、前記一案に準ずる。この各繋ぎ片201-1は、木質製の例では、木の割れを防止する。
【0064】
(二案の詳細な説明)
次に、二案に係る釣竿Aのグリップ2について、図3-2B及び図4-2を用いて、更に詳述する。
【0065】
二案に係る釣竿Aのグリップ2は、第2~第4の管体200-2~200-4の形状が異なる点で、一案に係る釣竿Aのグリップ2と相違する。
【0066】
第2~第4の管体200-2~200-4は、図3-2B及び図4-2に示すように、軸心方向A1に貫通孔を有する円筒状の外郭管体202と、外郭管体202の貫通孔に差し込まれる繋ぎ片201-1と、を有する。
【0067】
なお、二案に係る釣竿Aのグリップ2は、ブッシュ81に代えて、繋ぎ片201-1が用いられている点で、図3-2Aに示す「一案の別の実施形態」と実質的に相違しているともいえる。
【0068】
(「一案」、「一案の別の実施形態」の変形例1)
「一案」、「一案の別の実施形態」に係るグリップ2においては、図4-1に示すように、第2~第4の管体200-2~200-4は、外郭管体202と、差込み片201と、を有する。しかしながら、これに限られない。「一案」、「一案の別の実施形態」に係るグリップ2は、図4-1に示す第2~第4の管体200-2~200-4に代えて、図4-2(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に示す短管体200を備えるようにしてもよい。図4-2(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に示す短管体200は、軸心方向A1に貫通孔を有する円筒状の外郭管体202と、外郭管体202の貫通孔に差し込まれる繋ぎ片201-1と、を有する。
【0069】
また、図4-2(ハ)に示す繋ぎ片201-1は、円筒状に形成されている。しかしながら、これに限られない。繋ぎ片201-1は、図4-2(ホ)に示すように、断面がC形状となるように、軸心方向A1にスリットが形成されていてもよい。そして、この図4-2(ホ)に示す繋ぎ片201-1を、「一案」、「一案の別の実施形態」に係るグリップ2の第2~第4の管体200-2~200-4に適用してもよい。
【0070】
また、図4-2(ハ)に示す繋ぎ片201-1は、円筒状に形成されている。しかしながら、これに限られない。繋ぎ片201-1は、図4-3(ロ)に示すように、軸心方向に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。そして、この図4-3(ロ)に示す繋ぎ片201-1を、「一案」、「一案の別の実施形態」に係るグリップ2の第2~第4の管体200-2~200-4に適用してもよい。
【0071】
また、図4-2(イ)、(ロ)に示す短管体200は、円筒状に形成されている。しかしながら、これに限られない。短管体200は、図4-3(イ)に示すように、軸心方向A1に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。そして、この図4-3(イ)に示す短管体200を、「一案」、「一案の別の実施形態」に係るグリップ2の第2~第4の管体200-2~200-4に適用してもよい。
【0072】
(三案)
また、図3-3と図4-4の各図は、三案であって、木質製、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されているグリップ2が、一つのリング状であって、細長い形態の管体2000で構成されている。この管体2000が、竿芯1の外周面1bに被嵌されている。そして、この管体2000においても空間6を形成するためにブッシュ2001を設ける構造である。その他の構造は、前記一・二案に準ずる。尚、管体2000の先端内周面は、竿芯1との嵌合関係を確保することが望ましく、肉厚部を形成する(図3-1、図3-2Bのキャップ7も同じ)。
【0073】
(三案の詳細な説明)
次に、三案に係る釣竿Aのグリップ2について、図3-3(a)及び図4-4を用いて、更に詳述する。
【0074】
三案に係る釣竿Aのグリップ2は、第2~第4の管体200-2~200-4を有さずに、軸心方向A1に長い管体2000(第1の管体200-1)を一つのみ備える点で、二案に係る釣竿Aのグリップ2と相違する。
【0075】
なお、三案に係る釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備える。3つのブッシュ81は、長い管体2000としての第1の管体200-1の内周面と、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。三案においては、釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備えるが、これに限られない。釣竿Aのグリップ2は、第1の管体200-1の内周面と、竿芯1の外周面1bとの間に、少なくとも一つのブッシュ81を備えていればよい。
【0076】
(「一案」、及び「一案の別の実施形態」の変形例2、及び「三案」の変形例1)
「一案」、「一案の別の実施形態」、及び「三案」に係る釣竿Aのグリップ2のリールシート2bは、図3-4(a)に示すように、第1~第4の管体200-1~200-4の少なくともいずれかの外郭管体202の外周に嵌め込まれているパイプ状のものである。しかしながら、これに限られない。グリップ2のリールシート2bは、図3-4(b)に示すように、第1~第4の管体200-1~200-4の少なくともいずれかの外郭管体202の表面に装着されるシート状のものであってもよい。
【0077】
(四案)
図5-1は、四案であって、竿芯1とリールシート2bの更に別の一例を示しており、この例におけるリールシート2b(金属性、木質、樹脂、複合樹脂・繊維や、その他の素材でなる)は、前述の様に、一つのリング形状としたグリップ2の代替品であり、リング形状で、竿芯1が貫通する。この竿芯1の外周面1bとリールシート2bの内周面2baとで空間6を作る。そして、このリールシート2bの構成は、図5-1の例では、リールシート2bの外周面2bb(周面方向は問わず。以下同じ)には、一方(穂先側であり、一例である)に可動側(一例である)の係止片2b1を、他方(尻栓側であり、一例である)に固定側(一例である)の係止片2b2をそれぞれ備えている。このリールシート2bは、リールシート本体2b3と、リールシート本体2b3の一方に螺着、嵌合等されるリールシートキャップ2b4とでなる。係止片2b1と係止片2b2でリール10の脚10a、10bを係止する。そのために、リールシート本体2b3の外周面2bbとリールシートキャップ2b4の他方には、他方に向かった隙間10cを形成し、リールシート本体2b3の他方には、その一方に向かった隙間10dが形成されている。その他の構造は、原則として、前記一~三案に準ずる。
【0078】
(「一案」の変形例3)
なお、「一案」に係るグリップ2においては、図3-1(b)、(c)及び図3-4(a)に示すように、リールシート2bは、リールシートキャップ2b4を、手元側(図中右側)に向くように、竿芯1に対して配置されている。しかしながら、これに限られない。これとは逆に、図5-1に示す四案と同じように、リールシート2bは、リールシートキャップ2b4を、穂先側(図中左側)に向くように、竿芯1に対して配置されていてもよい。
【0079】
(五案)
また、図5-2~図5-4の各図は、五案であって、竿芯1とグリップ2、又はリールシート2bの更にその他の一例を示しており、前述したグリップ2の方式を採用する。原則として、複数のリング形状を想定した構造である(一例である)。キャップ7と、短管体200、及び、補強パイプ8等の組み合わせ構造であって、リールシート2bを備える。尚、リールシート2bの材質は、金属製、木質製、その他の素材でなる。この補強パイプ8は、図5-3、図5-4に詳細を示すが、竿芯1の誘導、又は竿芯1がグラスファイバー等の可撓性で、グリップ2が木質等の耐性の組合せ時のギャップ回避(撓み時の撓みギャップや、グリップ2の撓み時の亀裂防止等)を図る。従って、必要時にのみ組み合わせることを意図する(一例である)。また、補強パイプ8は、グリップ2、又はリールシート2bの間に設置するが、尻栓5に到ることも有り得る。図中80は補強パイプ8の切欠きであり、この切欠き80は、例えば、長手方向の略全体に形成されており、切欠き80には、後述するブッシュ(ガイド)81による抱持、遊嵌等を活用し、穂先(図示しない)の差込み、及び/又は、支持と、補強パイプ8の縮径や可撓性等を担う。前記穂先の抱持は、例えば、切欠き80の切欠き端辺80a、80bと補強パイプ8の内周面8aに内設した、一個又は複数個設けられたブッシュ81により可能とする。このブッシュ81は、補強パイプ8の保護と、穂先の差込みを許し、かつ抱持、及び/又は、保護する。また、ブッシュ81を設けることにより、竿芯1の外周面1bと、補強パイプ8の内周面8aの間に、空間6を形成する構造である。さらに、補強パイプ8は、原則として、この一例では、可撓性樹脂、薄肉形態であり、竿芯1と短管体200、及びリールシート2bの間に設置される。その他の構造は、原則として、前記一~四案に準ずる。
【0080】
(「一案」の変形例4、「一案の別の実施形態」の変形例3、及び「三案」の変形例2)
図5-2の五案に係る釣竿Aのグリップ2は、補強パイプ8を有する点以外では、図3-1、図3-2A、図3-3に示す「一案」、「一案の別の実施形態」、及び「三案」に係る釣竿Aのグリップ2と実質的に同一の構造を有するものである。「一案」、「一案の別の実施形態」、及び「三案」に係る釣竿Aのグリップ2は、図5-2を参照すると分かるように、更に、補強パイプ8を有していてもよい。
【0081】
(六案、七案)
図6-1~図6-3の各図は、六案・七案であって、穂先側のキャップ7、及び/又は、竿芯1の手元側のキャップ7´に補強と、竿芯1と短管体200の連繋強化等を図る。その一例を説明すると、六案では、キャップ7の先端側に嵌合凹凸部を形成し、この嵌合凹凸部にキャップ(口金)20の嵌合凹凸部を嵌合支持する。この嵌合支持を利用して、このキャップ7とキャップ20を一体化する。これにより、両者の一体化と固定が確立しつつ、強度の向上が可能となり、かつ水の侵入防止等に有効である。また、七案では、穂先側のキャップ20に加えて、手元側にもキャップ20´を設け、キャップ20´とキャップ7´、及び/又は、竿芯1との関係においても、両者の一体化と固定を確立しつつ、強度の向上が可能となり、かつ水の侵入防止等に有効である。その他の構造は、原則として、前記一~五案に準ずる。また、前記一~五案の釣竿Aに、キャップ20、20´を設けることも可能である。尚、キャップ7、7´とキャップ20、20´の関係は、短管体200とキャップ20、20´の関係においても採用できる。また効果は、同じである。さらに、図示しないが、短管体200とキャップ20、20´の関係は、隣設する短管体200間においてもキャップ20、20´を嵌合して利用できる。また効果は、同じである。その他の構造は、原則として、前記一~五案に準ずる。
【0082】
そして、本発明は、竿芯1の外周面1bとグリップ2の内周面202a、及び/又はリールシート2bの内周面2baとの間に、空間6を形成する構成であり、穂先(竿先)等の振動(魚等が餌等を捕食している感触)を、例えば、木質製のグリップ2に伝達可能としたので、釣の醍醐味を楽しめる。また、楽しみも向上することが考えられる。さらに、グリップ2を、木質製素材とすることで、下記の利点がある。
1)水に濡れても滑りにくいこと。
2)持った時の適度な温度、適度な柔らかさを確保できて、握り易いこと。
3)薄くすること、材質に合わせることで、軽量化が可能であること。
4)デザインのバリエーションが限られないことと、自由な形態と作業とを満喫できること。やや手に伝わる感触が敏感であること。
5)また、例えば、木の温もりと、柔らかさを楽しめる。疲労が少ないこと。
6)木質や、木目の特長を利用し、工芸品としての特徴が出し易く、又は、木を組み合わせることによって、自然の木の色を楽しむことや、寄木細工的な楽しみが可能となること。
【0083】
(他の変形例)
上記各実施の形態及び各案においては、ブッシュ81は、リング状又は円筒形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。ブッシュ81には、軸心方向A1に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。また、ブッシュ81には、少なくとも一方の軸心方向A1の端部から切り欠かれた切欠きが形成されていてもよい。また、ブッシュ81には、孔と切欠きとの両方が形成されていてもよい。
【0084】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る釣竿Aのグリップ2について、図7図11を用いて説明する。図7に示す釣竿Aのグリップ2は、釣竿Aにおいて、釣り人が把持する部分である。釣竿Aは、上述のグリップ2に加えて、釣竿Aの竿本体である竿芯1と、釣り糸を巻くリール10と、を有する。
【0085】
竿芯1は、魚を釣るために、釣り糸、ウキ、釣り針等とともに用いられ、軸心方向A1に延びる棒状の部材である。竿芯1は、例えば、少なくとも一部がグリップ2から突出する穂先側部分と、グリップ2が嵌め込まれる手元側部分と、の二つの部分から構成されている。グリップ2から突出する穂先側部分は、例えば、耐水性、ねじれ耐性等の釣竿Aとして必要とする耐性と、可撓性・弾性の素材、例えば、グラスファイバーにより形成されている。ただし、これに限られない。穂先側部分は、適度にしなる素材であればよく、例えば、カーボンにより形成されていてもよいし、グラスファイバーとカーボンとの複合素材により形成されていてもよい。グリップ2が嵌め込まれる手元側部分は、例えば、グリップ2を嵌め込むために、穂先側部分の素材よりも固い素材により形成されている。ただし、これに限られない。この手元側部分は、穂先側部分と同じ可撓性の素材により形成されていてもよいし、その他の素材により形成されていてもよい。手元側部分は、例えば、カーボンにより形成されているカーボンパイプであってもよい。手元側部分は、穂先側部分と一体的に形成されていてもよい。
【0086】
リール10は、釣り糸を巻いておき、ハンドルにより竿芯1の竿先から垂らす釣り糸の長さを調節する部材である。リール10は、グリップ2のリールシート2bに係止して固定するための脚10a、10bを有する。
【0087】
グリップ2は、図8に示すように、釣竿Aの竿芯1に取り付けられている。グリップ2は、穂先側のキャップ20(割れ防止部材)、穂先側のキャップ7(短管体200(第1の管体200-1))と、リールシート2bと、手元側の短管体200(第2の管体200-2)と、キャップ7´と、手元側のキャップ20´と、ブッシュ81と、を備える。キャップ20、第1の管体200-1、円筒状のリールシート2b、第2の管体200-2、キャップ7´及びキャップ20´は、穂先側から手元側(図8中の左側から右側)に向かって、軸心方向A1に沿って、その順に配置されている。
【0088】
キャップ20(割れ防止部材)は、グリップ2の最も穂先側(図8中の左側)を構成する部品である。キャップ20は、例えば、樹脂又は金属により形成されている。キャップ20は、木材により形成される第1の管体200-1の差込み片201に取り付けられることで、差込み片201の割れを防止する。なお、キャップ20は、差込み片201の割れを防止できる素材であれば、樹脂及び金属以外の素材により形成されていてもよい。
【0089】
第1の管体200-1(キャップ7、短管体200)は、図8及び図9に示すように、竿芯1の元竿部に被嵌されている。また、第1の管体200-1は、キャップ20の手元側(図8中の右側)に隣接して配置されている。第1の管体200-1は、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒状に形成されている。第1の管体200-1は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、第1の管体200-1は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、第1の管体200-1は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。第1の管体200-1は、外郭管体202(第1本体部)と、差込み片201と、差込み片203(第1差込み部)と、を有する。
【0090】
第1の管体200-1の外郭管体202は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒状に形成されている。
【0091】
第1の管体200-1の差込み片203は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒状に形成されている。差込み片203の内周面は、外郭管体202の内周面202aと同様に、竿芯1から離間している。また、差込み片203は、外郭管体202から軸心方向A1に突出している。差込み片203は、リールシート2bの貫通孔に差し込まれている。差込み片203は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。これにより、差込み片203は、その外径W3が、外郭管体202の外径W2よりも小さく形成されている。
【0092】
第1の管体200-1の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第1の管体200-1が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から、差込み片203が突出する方向とは逆方向に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。この差込み片201には、キャップ7が嵌め込まれている。本実施の形態1においては、第1の管体200-1は、木材からなる木管であるため、第1の管体200-1の割れが課題となるが、このキャップ7により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第1の管体200-1全体の割れが防止される。
【0093】
リールシート2bは、図8及び図10(a)、(b)に示すように、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒状に形成されている。リールシート2bは、例えば、リール10を固定するパイプ状のものであり、第1の管体200-1の手元側(図8中の右側)に隣接して配置されている。リールシート2bは、リールシート本体2b3と、リールシートキャップ2b4と、を有する。リールシート本体2b3には、係止片2b2が形成されている。リールシートキャップ2b4は、リールシート本体2b3に螺合又は嵌合され、係止片2b1が形成されている。リールシートキャップ2b4は、回転方向A2に回転する回転部分2b4-1と、回転しない非回転部分とを有する。回転部分2b4-1が、回転方向A2に回転されることにより、リールシートキャップ2b4全体が、軸心方向A1に進退する。これにより、係止片2b1と係止片2b2との間が、広がったり狭まったりする。また、リールシート2bは、例えば、単一の素材により形成される。リールシート2bは、例えば、樹脂により形成されている。リールシート2bの係止片2b1、2b2には、リール10が有する脚10a、10bが係止される。これにより、リールシート2bは、リール10を支持する。リールシート2bの貫通孔の径D1は、竿芯1の元竿部の外径W1よりも大きい。
【0094】
このように構成されていることで、リールシート2bの貫通孔の内周面2baと、竿芯1の外周面1bとの間には、空間6が形成される。
【0095】
第2の管体200-2(短管体200)は、図8及び図9に示すように、第1の管体200-1と共に、竿芯1の元竿部に被嵌されている。また、第2の管体200-2は、リールシート2bの手元側(図8中の右側)に隣接して配置されている。第2の管体200-2は、竿芯1の軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒状に形成されている。第2の管体200-2は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、第2の管体200-2は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、第2の管体200-2は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。第2の管体200-2は、外郭管体202(第2本体部)と、差込み片201と、差込み片203(第2差込み部)と、を有する。
【0096】
第2の管体200-2の外郭管体202は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒状に形成されている。
【0097】
第2の管体200-2の差込み片203は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒状に形成されている。差込み片203の内周面は、外郭管体202の内周面202aと同様に、竿芯1から離間している。また、差込み片203は、外郭管体202から軸心方向A1に突出している。差込み片203は、リールシート2bの貫通孔に差し込まれている。差込み片203は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。これにより、差込み片203は、その外径W3が、外郭管体202の外径W2よりも小さく形成されている。
【0098】
第2の管体200-2の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第1の管体200-1が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から、差込み片203が突出する方向とは逆方向に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。この差込み片201には、キャップ7´が嵌め込まれている。本実施の形態1においては、第2の管体200-2は、木材からなる木管であるため、第2の管体200-2の割れが課題となるが、このキャップ7´により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第2の管体200-2全体の割れが防止される。
【0099】
キャップ7´は、第2の管体200-2の手元側(図8中の右側)に隣接して配置されている円筒状の部品である。キャップ7´は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、キャップ7´は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、キャップ7´は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。キャップ7´は、木材により形成される第2の管体200-2の差込み片201に取り付けられることで、差込み片201の割れを防止する。なお、キャップ7´は、差込み片201の割れを防止できる素材であれば、樹脂及び金属以外の素材により形成されていてもよい。キャップ7´は、外郭管体と、外郭管体から軸心方向A1に突出した差込み片と、を有する。
【0100】
キャップ20´は、グリップ2の最も手元側(図8中の右側)を構成する部品である。キャップ20´は、例えば、樹脂又は金属により形成されている。キャップ20は、木材により形成されるキャップ7´の差込み片に取り付けられることで、キャップ7´の差込み片の割れを防止する。なお、キャップ20´は、キャップ7´の差込み片の割れを防止できる素材であれば、樹脂及び金属以外の素材により形成されていてもよい。
【0101】
ブッシュ81は、リング状又は円筒形状に形成され、空間6内に配置されることにより、竿芯1に対して、リールシート2b等を支持する部材である。ブッシュ81は、第1の管体200-1、第2の管体200-2及びリールシート2bのそれぞれの内周面と、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。本実施の形態1に係る釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備える。3つのブッシュ81のうち一つは、第1の管体200-1の内周面202aと、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。また、一つのブッシュ81は、第2の管体200-2の内周面202aと、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。また、もう一つのブッシュ81は、リールシート2bの内周面2baと、竿芯1の外周面1bとの間に配置されている。本実施の形態1においては、釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備える。しかしながら、これに限られない。釣竿Aのグリップ2は、第1の管体200-1、第2の管体200-2及びリールシート2bの少なくとも一つの内周面と、竿芯1の外周面1bとの間に、少なくとも一つのブッシュ81を備えていればよい。
【0102】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る釣竿Aのグリップ2においては、図11(a)に示すように、リールシート2bの貫通孔の内周面2baは、接触部分Cにおいて、第1の管体200-1の差込み片203の外周面に接触する。また、リールシート2bの貫通孔の内周面2baは、接触部分Cにおいて、第2の管体200-2の差込み片203の外周面に接触する。このため、第1の管体200-1と、第2の管体200-2との間の部分に別の部材を配置していなくても、簡素な構造を有しつつ、第1、第2の管体200-1、200-2に対して、リールシート2bを安定して配置することが実現できる。これにより、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。
【0103】
一方、上記特許文献1、2に係るものにおいては、リールシートを安定して配置することが難しいという課題がある。
【0104】
本実施の形態1に係る発明は、上述の事情の下になされたもので、リールシートを安定して配置することができる釣竿のグリップを提供している。
【0105】
また、本実施の形態1に係る釣竿Aのグリップ2は、第1の管体200-1と、第1の管体200-1から軸心方向A1に離間する第2の管体200-2と、第1、第2の管体200-1、200-2の間に配置されているリールシート2bとを備える。このため、第1、第2の管体200-1、200-2とは別の一つの短管体200(第3の管体)を更に加えたり、複数の短管体200(第3、第4の管体)を更に加えたりすることができる。これにより、釣竿Aのグリップ2の軸心方向A1の長さや、グリップ2の径を、釣り人の好みに合わせて適宜調整することができる。ひいては、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。
【0106】
また、釣竿Aのグリップ2は、第1、第2の管体200-1、200-2の差込み片201に取り付けられるキャップ20、7´を備える。本実施の形態1においては、第1、第2の管体200-1、200-2は、木材からなる木管であるため、第1、第2の管体200-1、200-2の割れが課題となる。しかしながら、キャップ20、7´により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第1、第2の管体200-1、200-2全体の割れが防止される。
【0107】
また、本実施の形態1においては、リールシート2bの貫通孔の内周面2baと、竿芯1の外周面1bとの間には、空間6が形成されている。このため、穂先の振動、例えば、魚等が餌等を捕食している感触を、空間6を介して、グリップ2に伝達することができる。これにより、釣り人は、釣の醍醐味をより楽しむことができる。
【0108】
また、本実施の形態1においては、第1、第2の管体200-1、200-2は、木材により形成されている。このため、釣り人にとって、水に濡れても滑りにくく、グリップ2を持った時の適度な温度、適度な柔らかさを確保できて、握り易くなる。また、グリップ2の軽量化を図ることができる。
【0109】
なお、本実施の形態1においては、リールシート2bの貫通孔の径D1は、図10(a)、(b)に示すように、穂先側から手元側まで一定である。しかしながら、これに限られない。図10(c)の実施の形態1の変形例1に示すように、リールシート2bの端部には、第1の管体200-1の差込み片203が嵌め込まれる被嵌合部2bcが形成されてもよい。被嵌合部2bcは、例えば、リールシート2bの内周面2baの一部を削ることにより形成される。
【0110】
また、本実施の形態1においては、第1、第2の管体200-1、200-2の差込み片203は、リールシート2bの貫通孔に差し込まれつつ、リールシート2bの貫通孔の内周面2baは、接触部分Cにおいて、第1の管体200-1の差込み片203の外周面と、第2の管体200-2の差込み片203の外周面とに接触する。しかしながら、これに限られない。図11(b)に示す変形例2のように、第1、第2の管体200-1、200-2が差込み片203を有さずに、リールシート2bの貫通孔の内周面2baが、接触部分Cにおいて、第1の管体200-1の外郭管体202の外周面と、第2の管体200-2の外郭管体202の外周面とに接触するようにしてもよい。
【0111】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る釣竿Aのグリップ2について、図12及び図13(a)、(b)を用いて説明する。釣竿Aのグリップ2は、リールシート2bの構造が異なる点で、上述の実施の形態1に係るものと相違する。なお、実施の形態2に係る釣竿Aのグリップ2において、実施の形態1に係るものと同一又は同等の構成については、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0112】
実施の形態2に係るグリップ2は、実施の形態1に係るものと同様に、釣竿Aの竿芯1に取り付けられている。グリップ2は、穂先側のキャップ20と、第1の管体200-1と、リールシート2bと、第2の管体200-2と、キャップ7´と、手元側のキャップ20´と、ブッシュ81と、を備える。リールシート2b以外の各部材は、実施の形態1に係るものと同一のものである。
【0113】
リールシート2bは、実施の形態1に係るものと異なり、リールシート本体部と、フレームパイプ2b5と、を有する。
【0114】
リールシート本体部は、円筒状のものであり、例えば、樹脂により形成されている。ただし、これに限られず、リールシート本体部の素材は、樹脂以外のものであってもよい。
【0115】
フレームパイプ2b5は、リールシート本体部の円筒状の内周面に密着することで、リールシート本体部に一体的に設けられている。このフレームパイプ2b5は、リールシート2bの剛性を高めるために設けられている。
【0116】
以上、説明したように、本実施の形態2に係る釣竿Aのグリップ2において、リールシート2bは、フレームパイプ2b5を有する。このため、リールシート2bの剛性を高めることができ、ひいては、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。また、本実施の形態2に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態1に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0117】
なお、本実施の形態2においては、リールシート2bの貫通孔の径D1は、図13(a)、(b)に示すように、穂先側から手元側まで一定である。しかしながら、これに限られない。図13(c)に示す実施の形態2の変形例のように、リールシート2bの端部には、第1の管体200-1の差込み片203が嵌め込まれる被嵌合部2bcが形成されてもよい。被嵌合部2bcは、例えば、リールシート2bの内周面2baの一部を削ることにより形成される。
【0118】
(実施の形態1、2の変形例1)
本実施の形態1、2に係る釣竿Aのグリップ2においては、図9に示すように、第1、第2の管体200-1、200-2は、外郭管体202(第1、第2本体部)と、差込み片201と、差込み片203(第1、第2差込み部)と、を有する。しかしながら、これに限られない。本実施の形態1に係るグリップ2は、図9に示す第1、第2の管体200-1、200-2に代えて、図4-2(イ)~(ニ)に示す短管体200を備えるようにしてもよい。図4-2(イ)~(ニ)に示す短管体200は、図4-2(イ)、(ロ)に示す、軸心方向A1に貫通孔を有する円筒状の外郭管体202(第1、第2本体部)と、図4-2(ハ)、(ニ)に示す、外郭管体202の貫通孔に差し込まれると共に、リールシート2bの貫通孔又は外郭管体202の貫通孔に差し込まれる繋ぎ片201-1(第1、第2繋ぎ部)と、を有する。
【0119】
また、図4-2(ハ)に示す繋ぎ片201-1は、円筒状に形成されている。しかしながら、これに限られない。繋ぎ片201-1は、図4-2(ホ)に示すように、断面がC形状となるように、軸心方向にスリットが形成されていてもよい。そして、この図4-2(ホ)に示す繋ぎ片201-1(第1、第2繋ぎ部)を、本実施の形態1、2に係るグリップ2の第1、第2の管体200-1、200-2に適用してもよい。
【0120】
また、図4-2(ハ)に示す繋ぎ片201-1は、円筒状に形成されている。しかしながら、これに限られない。繋ぎ片201-1は、図4-3(ロ)に示すように、軸心方向A1に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。そして、この図4-3(ロ)に示す繋ぎ片201-1(第1、第2繋ぎ部)を、本実施の形態1、2に係るグリップ2の第1、第2の管体200-1、200-2に適用してもよい。
【0121】
また、図4-3(イ)に示す短管体200は、円筒状に形成されている。しかしながら、これに限られない。短管体200は、図4-3(イ)に示すように、軸心方向A1に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。そして、この図4-3(イ)に示す短管体200を、本実施の形態1、2に係るグリップ2の第1、第2の管体200-1、200-2として適用してもよい。
【0122】
(実施の形態1の変形例2)
なお、実施の形態1に係る釣竿Aのグリップ2においては、図8及び図10(a)、(b)に示すように、リールシート2bは、リールシートキャップ2b4を、手元側(図中右側)に向くように、竿芯1に対して配置されている。しかしながら、これに限られない。これとは逆に、図5-1に示す四案と同じように、リールシート2bは、リールシートキャップ2b4を、穂先側(図中左側)に向くように、竿芯1に対して配置されていてもよい。
【0123】
(実施の形態1、2の変形例2)
図5-2の五案に係るグリップ2は、補強パイプ8を有する点以外では、図7図10に示す実施の形態1に係るグリップ2、図11及び図12に示す実施の形態2に係るグリップ2とそれぞれ実質的に同一のものである。したがって、実施の形態1、2に係るグリップ2は、第1、第2の管体200-1、200-2及びリールシート2b等に加えて、更に、補強パイプ8を有していてもよい。
【0124】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る釣竿Aのグリップ2について、図14図20を用いて説明する。図14に示す釣竿Aのグリップ2は、釣竿Aにおいて、釣り人が把持する部分である。釣竿Aは、上述のグリップ2に加えて、釣竿Aの竿本体である竿芯1と、釣り糸を巻くリール10と、を有する。
【0125】
竿芯1は、魚を釣るために、釣り糸、ウキ、釣り針等とともに用いられ、軸心方向A1に延びる棒状の部材である。竿芯1は、例えば、少なくとも一部がグリップ2から突出する穂先側部分と、グリップ2が嵌め込まれる手元側部分と、の二つの部分から構成されている。グリップ2から突出する穂先側部分は、例えば、耐水性、ねじれ耐性等の釣竿Aとして必要とする耐性と可撓性・弾性の素材、例えば、グラスファイバーにより形成されている。ただし、これに限られない。穂先側部分は、適度にしなる素材であればよく、例えば、カーボンにより形成されていてもよいし、グラスファイバーとカーボンとの複合素材により形成されていてもよい。グリップ2が嵌め込まれる手元側部分は、例えば、グリップ2を嵌め込むために、穂先側部分の素材よりも固い素材により形成されている。ただし、これに限られない。この手元側部分は、穂先側部分と同じ可撓性の素材により形成されていてもよいし、その他の素材により形成されていてもよい。手元側部分は、例えば、カーボンにより形成されているカーボンパイプであってもよい。さらには、手元側部分は、穂先側部分と一体的に形成されていてもよい。
【0126】
リール10は、釣り糸を巻いておき、ハンドルにより竿芯1の竿先から垂らす釣り糸の長さを調節する部材である。リール10は、グリップ2のリールシート2bに係止して固定するための脚10a、10bを有する。
【0127】
グリップ2は、図15に示すように、釣竿Aの竿芯1に取り付けられている。グリップ2は、穂先側のキャップ20(割れ防止部材)、穂先側のキャップ7(短管体200(第1の管体200-1))と、リールシート2bと、短管体200(第2の管体200-2)と、手元側の短管体200(第3の管体200-3)と、手元側のキャップ20´と、補強パイプ8と、を備える。キャップ20、第1の管体200-1、円筒形状のリールシート2b、第2の管体200-2、及びキャップ20´は、穂先側から手元側(図15中の左側から右側)に向かって、軸心方向A1に沿って、その順に配置されている。
【0128】
キャップ20(割れ防止部材)は、グリップ2の最も穂先側(図15中の左側)を構成する部品である。キャップ20は、例えば、樹脂又は金属により形成されている。キャップ20は、木材により形成される第1の管体200-1の差込み片201に取り付けられることで、差込み片201の割れを防止する。なお、キャップ20は、差込み片201の割れを防止できる素材であれば、樹脂及び金属以外の素材により形成されていてもよい。
【0129】
第1の管体200-1(キャップ7、短管体200)は、図15及び図16に示すように、竿芯1の元竿部に被嵌されている。また、第1の管体200-1は、キャップ20の手元側(図15中の右側)に隣接して配置されている。第1の管体200-1は、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒形状に形成されている。第1の管体200-1は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、第1の管体200-1は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、第1の管体200-1は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。第1の管体200-1は、外郭管体202(第1本体部)と、差込み片201(第1差込み部)と、を有する。
【0130】
第1の管体200-1の外郭管体202は、その内径が、竿芯1の外径よりも大きい円筒形状に形成されている。この外郭管体202には、補強パイプ8の一方の端部が嵌め込まれている。これにより、外郭管体202の内周面202aには、補強パイプ8の外周面が接触する。
【0131】
第1の管体200-1の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒形状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第1の管体200-1が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から軸心方向A1に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。この差込み片201には、キャップ20が嵌め込まれている。本実施の形態3においては、第1の管体200-1は、木材からなる木管であるため、第1の管体200-1の割れが課題となるが、このキャップ20により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第1の管体200-1全体の割れが防止される。
【0132】
リールシート2bは、図15及び図17に示すように、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒形状に形成されている。リールシート2bは、例えば、リール10を固定するパイプ状のものであり、第1の管体200-1の手元側(図15中の右側)に隣接して配置されている。リールシート2bは、リールシート本体2b3と、リールシートキャップ2b4と、を有する。リールシート本体2b3には、係止片2b2が形成されている。リールシートキャップ2b4は、リールシート本体2b3に螺合又は嵌合され、係止片2b1が形成されている。リールシートキャップ2b4は、回転方向A2に回転する回転部分2b4-1と、回転しない非回転部分とを有する。回転部分2b4-1が、回転方向A2に回転されることにより、リールシートキャップ2b4全体が、軸心方向A1に進退する。これにより、係止片2b1と係止片2b2との間が、広がったり狭まったりする。また、リールシート2bの貫通孔には、補強パイプ8が嵌め込まれている。また、リールシート2bは、例えば、単一の素材により形成される。リールシート2bは、例えば、樹脂により形成されている。リールシート2bの係止片2b1、2b2には、リール10が有する脚10a、10bが係止される。これにより、リールシート2bは、リール10を支持する。リールシート2bは、その貫通孔の内径が、第1の管体200-1の外郭管体202の内径と等しく形成されている。ただし、リールシート2bの貫通孔の内径は、第1の管体200-1の外郭管体202の内径と一致する必要はなく、同等であればよい。
【0133】
第2の管体200-2(短管体200)は、図15及び図18に示すように、第1の管体200-1と共に、竿芯1の元竿部に被嵌されている。また、第2の管体200-2は、リールシート2bの手元側(図15中の右側)に隣接して配置されている。第2の管体200-2は、軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒形状に形成されている。第2の管体200-2は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、第2の管体200-2は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、第2の管体200-2は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。第2の管体200-2は、外郭管体202(第2本体部)と、差込み片201(第2差込み部)と、を有する。
【0134】
第2の管体200-2の外郭管体202は、円筒形状に形成されている。この外郭管体202には、補強パイプ8の他方の端部が嵌め込まれている。これにより、外郭管体202の内周面202aには、補強パイプ8の外周面が接触する。外郭管体202は、その内径が、リールシート2bの貫通孔の内径、及び第1の管体200-1の外郭管体202の内径と等しく形成されている。ただし、外郭管体202の内径は、リールシート2bの貫通孔の内径、及び第1の管体200-1の外郭管体202の内径と一致する必要はなく、同等であればよい。
【0135】
第2の管体200-2の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒形状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第2の管体200-2が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から、軸心方向A1に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。この差込み片201は、第3の管体200-3の外郭管体202に差し込まれている。
【0136】
第3の管体200-3(短管体200)は、図15及び図19に示すように、第1、第2の管体200-1、200-2と共に、竿芯1の元竿部に被嵌されている。第3の管体200-3は、第1、第2の管体200-1、200-2と同様に、外郭管体202(第3本体部)と、差込み片201(第3差込み部)と、を有する。
【0137】
第3の管体200-3の外郭管体202は、円筒形状に形成されている。
【0138】
第3の管体200-3の差込み片201は、その内径が、竿芯1の外径と同等となる円筒形状に形成されている。これにより、差込み片201は、竿芯1に支持され、結果として、第3の管体200-3が、竿芯1の元竿部に被嵌されて支持される。差込み片201は、外郭管体202から、軸心方向A1に突出している。差込み片201は、例えば、外郭管体202の外周の端部の一部を削ることにより形成される。この差込み片201には、キャップ20´が嵌め込まれている。本実施の形態3においては、第3の管体200-3は、木材からなる木管であるため、第3の管体200-3の割れが課題となるが、このキャップ20´により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第3の管体200-3全体の割れが防止される。
【0139】
キャップ20´は、図15に示すように、グリップ2の最も手元側(図15中の右側)を構成する部品である。キャップ20´は、第2の管体200-2の手元側(図15中の右側)に隣接して配置されている円筒形状の部品である。キャップ20´は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。好ましくは、キャップ20´は、広葉樹、針葉樹等を削ることで形成された木管である。また、キャップ20´は、これら広葉樹、針葉樹等を張り合わせた組木状態の木を削ることで形成された木管等であってもよい。キャップ20´は、木材により形成される第2の管体200-2の差込み片201に取り付けられることで、差込み片201の割れを防止する。なお、キャップ20´は、差込み片201の割れを防止できる素材であれば、樹脂及び金属以外の素材により形成されていてもよい。
【0140】
補強パイプ8は、図15に示すように、竿芯1の軸心方向A1を筒軸とする円筒形状に形成されている。また、補強パイプ8は、第1の管体200-1の外郭管体202、リールシート2bの貫通孔、及び第2の管体200-2の外郭管体202に嵌め込まれることが可能な外径に形成されている。補強パイプ8が、第1の管体200-1の外郭管体202、リールシート2bの貫通孔、及び第2の管体200-2の外郭管体202に嵌め込まれることで、補強パイプ8の外周面は、第1の管体200-1の外郭管体202の内周面202a、リールシート2bの貫通孔の内周面2ba、及び第2の管体200-2の外郭管体202の内周面202aに接触している。この補強パイプ8は、例えば、木質の素材、金属、樹脂、グラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂の何れかにより形成されている。
【0141】
このように構成されていることで、補強パイプ8の内周面8aと、竿芯1の外周面1bとの間には、空間6が形成される。
【0142】
以上、説明したように、本実施の形態3に係る釣竿Aのグリップ2においては、図20に示すように、補強パイプ8の外周面は、第1、第2の管体200-1、200-2の外郭管体202の内周面202aに、接触部分C1、C2において、接触している。このため、補強パイプ8の孔内全体に空間6を確保することができる。したがって、グリップ2においては、空間6を大きく確保することが可能になる。
【0143】
一方、特許文献3には、図21に示すように、釣竿に装着された一対の円筒状の管体としての装着管200´に、補強パイプとしての金属製管状取り付け支脚8´が取り付けられているグリップ2´が開示されている。この金属製管状取り付け支脚8´は、リールシートが支持される管であり、金属製管状取り付け支脚8´の内周面が、円筒状の装着管200´の外周面に接触するように設けられている。
【0144】
この図21に示す比較例に係るグリップ2´(特許文献3に開示されているグリップ)においては、補強パイプとしての金属製管状取り付け支脚8´の内周面が、円筒形状の装着管200´の差込み片の外周面に、接触部分C3、C4において、接触している。このため、金属製管状取り付け支脚8´の管に、装着管200´の差込み片が入り込み、金属製管状取り付け支脚8´の管の孔の長さL1に対して、空間6´の長さL2が短くなる。これにより、金属製管状取り付け支脚8´の管の孔内全体に空間6´を確保することは困難となる。結果として、空間6´は、図20に示すグリップ2の空間6より小さくなる。また、装着管200´は、貫通孔を有する円筒形状ではなく、貫通孔を有さない円柱形状に形成されている。この結果、グリップ2´の重量が大きくなるおそれがある。
【0145】
実施の形態3に係る発明は、上述の事情の下になされたもので、軽量化を実現することができる釣竿のグリップを提供する。
【0146】
すなわち、本実施の形態3においては、図20に示すように、補強パイプ8の外周面は、第1の管体200-1の外郭管体202の内周面202aに、接触部分C1、C2において、接触している。このため、補強パイプ8の孔の長さL1と、空間6の長さとが一致し、これにより、補強パイプ8の孔内全体に空間6を確保することができる。この空間6の確保により、グリップ2を軽量化することができる。ひいては、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。また、本実施の形態3においては、図21に示す比較例に係るグリップ2´と外観を変更することなく、補強パイプ8の孔内全体に空間6を確保することができる。
【0147】
また、本実施の形態3においては、図20に示すように、補強パイプ8は、第1の管体200-1の外郭管体202、リールシート2bの貫通孔、及び第2の管体200-2の外郭管体202に嵌め込まれている。このため、グリップ2の剛性を高めることができる。ひいては、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。
【0148】
また、本実施の形態3に係る釣竿Aのグリップ2は、第1の管体200-1と、第1の管体200-1から軸心方向A1に離間する第2の管体200-2と、第1、第2の管体200-1、200-2の間に配置されているリールシート2bとを備える。このため、第1、第2の管体200-1、200-2とは別の一つの短管体200(第5の管体)を更に加えたり、複数の短管体200(第4、第5の管体)を更に加えたりすることができる。これにより、釣竿Aのグリップ2の軸心方向A1の長さや、グリップ2の径を、釣り人の好みに合わせて適宜調整することができる。ひいては、実用に供した釣竿Aのグリップ2を提供することができる。
【0149】
また、本実施の形態3においては、釣竿Aのグリップ2は、第1、第3の管体200-1、200-3の差込み片201に取り付けられるキャップ20、20´を備える。本実施の形態3においては、第1、第3の管体200-1、200-3は、木材からなる木管であるため、第1、第3の管体200-1、200-3の割れが課題となる。しかしながら、キャップ20、20´により、差込み片201の割れが防止され、ひいては、第1、第3の管体200-1、200-3全体の割れが防止される。
【0150】
また、本実施の形態3においては、補強パイプ8の内周面8aと、竿芯1の外周面1bとの間には、空間6が形成されている。このため、穂先の振動、例えば、魚等が餌等を捕食している感触を、空間6を介して、グリップ2に伝達することができる。これにより、釣り人は、釣りの醍醐味をより楽しむことができる。
【0151】
また、本実施の形態3においては、第1~第3の管体200-1~200-3は、木材より形成されている。このため、釣り人にとって、水に濡れても滑りにくく、グリップ2を持った時の適度な温度、適度な柔らかさを確保できて、握り易くなる。また、グリップ2の軽量化を図ることができる。
【0152】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る釣竿Aのグリップ2について、図22を用いて説明する。実施の形態4に係る釣竿Aのグリップ2は、ブッシュ81を更に備える点で、上述の実施の形態3に係るものと相違する。なお、実施の形態4に係る釣竿Aのグリップ2において、実施の形態3に係るものと同一又は同等の構成については、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0153】
実施の形態4に係る釣竿Aのグリップ2は、実施の形態3に係るものと同様に、釣竿Aの竿芯1に取り付けられている。グリップ2は、穂先側のキャップ20、第1の管体200-1と、リールシート2bと、第2の管体200-2と、手元側の第3の管体200-3と、手元側のキャップ20´と、補強パイプ8と、ブッシュ81と、を備える。ブッシュ81以外の各部材は、実施の形態3に係るものと同一のものである。
【0154】
ブッシュ81は、リング状又は円筒形状に形成され、空間6内に配置されることにより、竿芯1に対して、補強パイプ8等を支持する部材である。ブッシュ81は、補強パイプ8の内周面8aと、竿芯1の外面との間に配置されている。本実施の形態4に係る釣竿Aのグリップ2は、3つのブッシュ81を備える。しかしながら、これに限られない。釣竿Aのグリップ2は、補強パイプ8の内周面8aと、竿芯1の外面との間に、少なくとも一つのブッシュ81を備えていればよい。
【0155】
本実施の形態4に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態3に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0156】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5に係る釣竿Aのグリップ2について、図23を用いて説明する。実施の形態3に係る釣竿Aのグリップ2は、ユーザが掴む部分として機能するパイプ状のリールシート2bに代えて、グリップ管205を備える点で、上述の実施の形態3、4に係るものと相違する。なお、実施の形態5に係る釣竿Aのグリップ2において、実施の形態3、4に係るものと同一又は同等の構成については、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0157】
グリップ管205は、ユーザが掴む部分の一部を構成する。グリップ管205は、竿芯1の軸心方向A1に貫通する貫通孔が形成された円筒形状に形成されている。グリップ管205の貫通孔には、補強パイプ8が嵌め込まれている。また、グリップ管205は、単一の素材、例えば、木質の素材により形成されている。又は、グリップ管205は、複数の素材の組み合わせ、例えば、樹脂及び木質の素材等の組み合わせにより形成されている。グリップ管205は、その貫通孔の内径が、第1、第2の管体200-1、200-2の外郭管体202の内径と等しく形成されている。ただし、グリップ管205の貫通孔の内径は、第1、第2の管体200-1、200-2の外郭管体202の内径と一致する必要はなく、同等であればよい。
【0158】
本実施の形態5に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態3、4に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0159】
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6に係る釣竿Aのグリップ2について、図24(a)、(b)を用いて説明する。実施の形態6に係る釣竿Aのグリップ2は、シート状のリールシート2bを備える点で、上述の実施の形態5に係るものと相違する。なお、実施の形態6に係る釣竿Aのグリップ2において、実施の形態5に係るものと同一又は同等の構成については、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0160】
実施の形態6に係る釣竿Aのグリップ2は、穂先側のキャップ20と、第1の管体200-1と、グリップ管205と、リールシート2bと、第2の管体200-2と、手元側の第3の管体200-3と、手元側のキャップ20´と、補強パイプ8と、ブッシュ81と、を備える。リールシート2b以外の各部材は、実施の形態5に係るものと同一のものである。
【0161】
リールシート2bは、グリップ管205の表面に装着されるシート状のものである。
【0162】
本実施の形態6に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態3~5に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0163】
(実施の形態7)
以下、本発明の実施の形態7に係る釣竿Aのグリップ2について、図25(a)、(b)を用いて説明する。実施の形態7に係る釣竿Aのグリップ2は、補強パイプ8の形状が異なる点で、上述の実施の形態3~6に係るものと相違する。なお、実施の形態7に係る釣竿Aのグリップ2において、実施の形態3~6に係るものと同一又は同等の構成については、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0164】
補強パイプ8には、軸心方向A1に直交する方向に貫通する複数の孔8bが形成されている。なお、実施の形態7においては、補強パイプ8には、複数の孔8bが形成されているが、これに限られない。補強パイプ8には、少なくとも一つの孔8bが形成されていればよい。
【0165】
本実施の形態7に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態3~6に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0166】
(実施の形態8)
以下、本発明の実施の形態8に係る釣竿Aのグリップ2について、図25(c)、(d)を用いて説明する。実施の形態8に係る釣竿Aのグリップ2は、補強パイプ8の形状が異なる点で、上述の実施の形態3~6に係るものと相違する。なお、実施の形態8に係る釣竿Aのグリップ2において、実施の形態3~6に係るものと同一又は同等の構成については、同一の符号を用いて、その説明を省略する。
【0167】
補強パイプ8には、図25(c)に示すように、円筒形状の少なくとも一方の端部から切り欠かれた一つの切欠き80が形成されている。なお、実施の形態8においては、補強パイプ8には、一つの切欠き80が形成されているが、これに限られない。図25(d)に示すように、補強パイプ8には、複数の切欠き80が形成されていてもよい。また、補強パイプ8には、切欠き80に加えて、孔8bも形成されていてもよい。
【0168】
本実施の形態8に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態3~7に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0169】
(実施の形態9)
以下、本発明の実施の形態9に係る釣竿Aのグリップ2について、図26を用いて説明する。上記実施の形態3に係る釣竿Aのグリップ2のブッシュ81は、図26(a)に示すように、円筒形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。図26(b)に示すように、ブッシュ81は、軸心方向A1に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔81aが形成されていてもよい。また、図26(c)に示すように、ブッシュ81は、円筒形状の少なくとも一方の端部から他方の端部まで切り欠かれたスリット81bが形成されていてもよい。また、ブッシュ81には、孔81aとスリット81bとの双方が形成されていてもよい。
【0170】
本実施の形態9に係る釣竿Aのグリップ2においても、実施の形態3~8に係るものと同等の効果を奏することができる。
【0171】
(実施の形態3~9の変形例1)
本実施の形態3~9に係る釣竿Aのグリップ2においては、図16図18に示すように、第1、第2の管体200-1、200-2は、外郭管体202(第1、第2本体部)と、差込み片201(第1、第2差込み部)と、を有する。すなわち、図16図18に示す第1、第2の管体200-1、200-2の形状は、一案に係るグリップ2に用いられている短管体200(図4-1参照)の形状と同等である。しかしながら、これに限られない。本実施の形態3~9に係るグリップ2は、図16図18に示す第1、第2の管体200-1、200-2に代えて、図4-2(イ)~(ニ)に示す短管体200を備えるようにしてもよい。図4-2(イ)~(ニ)に示す短管体200は、軸心方向A1に貫通孔を有する円筒形状の外郭管体202(第1、第2本体部)と、円筒形状の繋ぎ片201-1と、を有する。
【0172】
また、図4-2(ハ)、(ニ)に示す繋ぎ片201-1は、スリットや孔のない円筒形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。繋ぎ片201-1は、図4-2(ホ)に示すように、断面がC形状となるように、軸心方向A1にスリットが形成されていてもよい。そして、この図4-2(ホ)に示す繋ぎ片201-1を、本実施の形態1、2に係るグリップ2の第1、第2の管体200-1、200-2に適用してもよい。
【0173】
また、図4-2(ハ)、(ニ)に示す繋ぎ片201-1は、スリットや孔のない円筒形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。繋ぎ片201-1は、図4-3(ロ)に示すように、軸心方向A1に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。そして、この図4-3(ロ)に示す繋ぎ片201-1を、本実施の形態3、4に係るグリップ2の第1、第2の管体200-1、200-2に適用してもよい。
【0174】
また、図4-2(イ)に示す短管体200は、スリットや孔のない円筒形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。短管体200は、図4-3(イ)に示すように、軸心方向A1に直交する方向に貫通する孔が形成されていてもよい。そして、この図4-3(イ)に示す短管体200を、本実施の形態3、4に係るグリップ2の第1、第2の管体200-1、200-2として適用してもよい。
【0175】
(実施の形態3の変形例2)
なお、実施の形態3に係る釣竿Aのグリップ2においては、図15及び図17に示すように、リールシート2bは、リールシートキャップ2b4を、手元側(図中右側)に向くように、竿芯1に対して配置されている。しかしながら、これに限られない。これとは逆に、図5-1に示す四案と同じように、リールシート2bは、リールシートキャップ2b4を、穂先側(図中左側)に向くように、竿芯1に対して配置されていてもよい。
【0176】
なお、五案における図5-2に示すグリップ2は、上記実施の形態3~9に係るグリップ2と、補強パイプ8を有する点では同じである。
【0177】
なお、図6-2に示す補強パイプ8は、図25(c)に示す実施の形態8に係る補強パイプ8と同じものであり、一つの切欠き80が形成されている。また、六案における図6-2に示すグリップ2は、上記実施の形態3~9に係るグリップ2と、補強パイプ8を有する点では同じである。
【0178】
前述の如く、図面に基づいて説明した本発明は、好ましい一例であって、この説明と各図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0179】
上記の実施形態、又はその一部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0180】
[付記1-1]
金属製、又は樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料の何れかで形成されている可撓性を備え、かつ耐性で成る釣竿の竿芯と、
この釣竿の元竿部に被嵌された、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成されている鞘管(グリップ)、及び/又はリールシートと、
を備え、
この鞘管を構成する、一つのリング形状の管体、及び/又は、複数のリング形状の短管体と、
前記リールシート、及び/又はこの鞘管の内周面と、前記竿芯の外周面との間に、形成した空間と、
で構成可能なことを特徴とする鞘管を備えた釣竿のグリップ。
【0181】
[付記1-2]
前記空間は、穂先、及び/又は、釣り糸の振動を、前記鞘管、又は前記リールシートのグリップに伝達可能なことを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0182】
[付記1-3]
前記短管体は、外周側の肉をカットした差込み片と、この差込み片に繋がる前記リング形状の外郭管体と、
でなることを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0183】
[付記1-4]
前記短管体は、外周側の肉をカットした、連結用の細径外管の繋ぎ片と、前記リング形状の外郭管体でなり、この繋ぎ片に前記外郭管体が被嵌可能であることを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0184】
[付記1-5]
前記短管体は、前記差込み片、又は前記繋ぎ片を用いて、接着剤で連繋固止可能なことを特徴とする付記1-3又は1-4に記載の釣竿のグリップ。
【0185】
[付記1-6]
前記管体、又は前記短管体と、前記竿芯は、接着剤、止め具、又は緊締紐の何れかで、固止可能なことを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0186】
[付記1-7]
前記管体、又は前記短管体は、前記リング形状の管の肉厚を、0.5mm~5mmとし、軽量化可能なことを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0187】
[付記1-8]
前記管体、又は前記短管体は、木質で、かつ質感の組み合わせを可能なことを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0188】
[付記1-9]
前記管体、又は前記短管体は、木質、又は金属製、樹脂製、或いはグラスファイバー、炭素繊維強化複合材料樹脂製の何れかで形成可能なことを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0189】
[付記1-10]
前記鞘管(グリップ)、及び/又は前記リールシートの、穂先側、及び又は手元側端部に、口金を設けることを特徴とする付記1-1に記載の釣竿のグリップ。
【0190】
[付記1-11]
釣竿のグリップでは、前記管体は、木質の素材により形成されてもよい。
【0191】
[付記1-12]
釣竿のグリップでは、前記管体は、広葉樹及び針葉樹の少なくとも一方により形成されてもよい。
【0192】
[付記2に係る発明が解決しようとする課題]
付記2に係る発明は、以上の「穂先の振動を、例えば、木質グリップに伝達可能とした構造」を開示し、実用に供した釣竿のグリップ及びそれを備える釣竿を提供することを目的とする。
【0193】
[付記2-1]
釣竿の竿芯に取り付けられる釣竿のグリップであって、
第1本体部と、前記第1本体部から前記竿芯の軸心方向に突出する第1差込み部と、を有する第1の管体を少なくとも一つ備え、
前記第1の管体の内面と前記竿芯の外面との間には、空間が形成されている、釣竿のグリップ。
【0194】
[付記2-2]
前記第1本体部及び前記第1差込み部は、円筒状に形成され、
前記第1差込み部の外径は、前記第1本体部の外径よりも小さい、付記2-1に記載の釣竿のグリップ。
【0195】
[付記2-3]
第2本体部と、前記第2本体部から前記軸心方向に突出し、前記第1本体部に差し込まれる第2差込み部と、を有する第2の管体を備える、付記2-1又は2-2に記載の釣竿のグリップ。
【0196】
[付記2-4]
前記第1の管体に隣接して配置されている円筒状の第2の管体と、
前記第2の管体の内面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュと、
を備える、付記2-1又は2-2に記載の釣竿のグリップ。
【0197】
[付記2-5]
単一の前記第1の管体を一つ備え、
前記第1の管体の内周面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュを備える、付記2-1から2-4のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0198】
[付記2-6]
前記第1の管体の前記第1本体部の表面に装着されるシート状のリールシート、又は、前記第1の管体の前記第1本体部の外周に嵌め込まれるパイプ状のリールシートを備える、付記2-1から2-5のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0199】
[付記2-7]
前記第1差込み部に取り付けられることで、前記第1差込み部の割れを防止する割れ防止部材を備える、付記2-1から2-6のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0200】
[付記2-8]
尻栓が嵌め込まれる尻栓配置空間が形成されている、付記2-1から2-7のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0201】
[付記2-9]
釣竿の竿芯に取り付けられる釣竿のグリップであって、
前記竿芯の元竿部に被嵌されている第1の管体と、
前記第1の管体から前記竿芯の軸心方向に離間すると共に、前記元竿部に被嵌されている第2の管体と、
前記第1の管体の外周面と、前記第2の管体の外周面とに接触する内周面が形成されていると共に、前記軸心方向に貫通する貫通孔を有する円筒状のリールシートと、
を備える、釣竿のグリップ。
【0202】
[付記2-10]
前記リールシートの貫通孔の内周面と、前記竿芯の外面との間には空間が形成されている、付記2-9に記載の釣竿のグリップ。
【0203】
[付記2-11]
前記第1の管体は、第1本体部と、前記第1本体部から前記軸心方向に突出し、前記リールシートの貫通孔に差し込まれる第1差込み部と、を有する、付記2-9又は2-10に記載の釣竿のグリップ。
【0204】
[付記2-12]
前記第1本体部及び前記第1差込み部は、円筒状に形成され、
前記第1差込み部の外径は、前記第1本体部の外径よりも小さい、付記2-11に記載の釣竿のグリップ。
【0205】
[付記2-13]
前記第2の管体は、第2本体部と、前記第2本体部から前記軸心方向に突出し、前記リールシートの貫通孔に差し込まれる第2差込み部と、を有する、付記2-9から2-12のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0206】
[付記2-14]
前記第2本体部及び前記第2差込み部は、円筒状に形成され、
前記第2差込み部の外径は、前記第2本体部の外径よりも小さい、付記2-13に記載の釣竿のグリップ。
【0207】
[付記2-15]
前記第1の管体は、前記軸心方向に貫通孔を有する円筒状の第1本体部と、前記第1本体部の貫通孔に差し込まれると共に、前記リールシートの貫通孔に差し込まれる第1繋ぎ部と、を有する、付記2-9又は2-10に記載の釣竿のグリップ。
【0208】
[付記2-16]
前記第2の管体は、前記軸心方向に貫通孔を有する円筒状の第2本体部と、前記第2本体部の貫通孔に差し込まれると共に、前記リールシートの貫通孔に差し込まれる第2繋ぎ部と、を有する、付記2-15に記載の釣竿のグリップ。
【0209】
[付記2-17]
前記第1の管体及び前記第2の管体の少なくとも一方の内周面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュを備える、付記2-9から2-16のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0210】
[付記2-18]
前記リールシートの貫通孔の内周面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュを備える、付記2-9から2-17のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0211】
[付記2-19]
前記ブッシュは、円筒形状に形成されている、付記2-17又は2-18に記載の釣竿のグリップ。
【0212】
[付記2-20]
前記ブッシュには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する孔が形成されている、付記2-19に記載の釣竿のグリップ。
【0213】
[付記2-21]
前記ブッシュには、少なくとも一方の端部から切り欠かれた切欠きが形成されている、付記2-19又は2-20に記載の釣竿のグリップ。
【0214】
[付記2-22]
前記リールシートは、円筒状のリールシート本体部と、前記リールシート本体部の内周面に設けられているフレームパイプと、を有する、付記2-9から2-21のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0215】
[付記2-23]
前記第1の管体及び前記第2の管体の少なくとも一方は、木質の素材により形成されている、付記2-9から2-22のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0216】
[付記2-24]
前記第1の管体及び前記第2の管体の少なくとも一方は、広葉樹及び針葉樹の少なくとも一方により形成されている、付記2-23に記載の釣竿のグリップ。
【0217】
[付記2-25]
前記元竿部の穂先側の端部及び尻栓側の端部の少なくとも一方に設けられたキャップを備える、付記2-9から2-24のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0218】
[付記2-26]
釣竿の竿芯に取り付けられる釣竿のグリップであって、
前記竿芯の元竿部に被嵌され、円筒形状の第1本体部と、前記第1本体部から前記竿芯の軸心方向に突出する第1差込み部と、を有する第1の管体と、
前記第1本体部の内周面に外周面が接触する補強パイプと、
を備える、釣竿のグリップ。
【0219】
[付記2-27]
前記第1の管体から前記竿芯の軸心方向に離間すると共に、前記元竿部に被嵌され、円筒形状の第2本体部と、前記第2本体部から前記軸心方向に突出する第2差込み部と、を有する第2の管体を備え、
前記補強パイプの外周面は、前記第2本体部の内周面に接触する、付記2-26に記載の釣竿のグリップ。
【0220】
[付記2-28]
前記補強パイプに嵌め込まれ、ユーザが掴む部分として機能するパイプ状のリールシートを備える、付記2-26又は2-27に記載の釣竿のグリップ。
【0221】
[付記2-29]
前記補強パイプに嵌め込まれ、ユーザが掴む部分の一部を構成するグリップ管を備える、付記2-26又は2-27に記載の釣竿のグリップ。
【0222】
[付記2-30]
前記グリップ管に装着され、ユーザが掴む部分として機能するシート状のリールシートを備える、付記2-29に記載の釣竿のグリップ。
【0223】
[付記2-31]
前記補強パイプは、前記竿芯の軸心方向を筒軸とする円筒形状に形成されている、付記2-26から2-30のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0224】
[付記2-32]
前記補強パイプには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔が形成されている、付記2-31に記載の釣竿のグリップ。
【0225】
[付記2-33]
前記補強パイプには、円筒形状の少なくとも一方の端部から切り欠かれた少なくとも一つの切欠きが形成されている、付記2-31又は2-32に記載の釣竿のグリップ。
【0226】
[付記2-34]
前記補強パイプの内周面と、前記竿芯の外面との間に配置されている少なくとも一つのブッシュを備える、付記2-26から2-33のいずれか一つに記載の釣竿のグリップ。
【0227】
[付記2-35]
前記ブッシュは、円筒形状に形成されている、付記2-34に記載の釣竿のグリップ。
【0228】
[付記2-36]
前記ブッシュには、前記軸心方向に直交する方向に貫通する少なくとも一つの孔が形成されている、付記2-35に記載の釣竿のグリップ。
【0229】
[付記2-37]
前記ブッシュには、円筒形状の少なくとも一方の端部から他方の端部まで切り欠かれたスリットが形成されている、付記2-35又は2-36に記載の釣竿のグリップ。
【0230】
[付記2-38]
釣竿の竿芯と、
前記竿芯に取り付けられる付記2-1から2-37のいずれか一つに記載の釣竿のグリップと、
を備える、釣竿。
【0231】
[付記2に係る発明の効果]
付記2に係る発明によれば、釣竿のグリップの使い勝手を向上させることができる。これにより、実用に供した釣竿のグリップ及びそれを備える釣竿を提供することができる。
【符号の説明】
【0232】
1 竿芯
1a 内周面
1b 外周面((竿芯の)外面)
100 手元部
2、2´ グリップ
2a 外周面
2b リールシート
2ba 内周面
2bb 外周面
2bc 被嵌合部
2b1 係止片
2b2 係止片
2b3 リールシート本体
2b4 リールシートキャップ
2b4-1 回転部分
2b5 フレームパイプ
2c グリップ部
200 短管体
200´ 装着管
200-1 第1の管体(キャップ、管体、短管体)
200-2 第2の管体(短管体)
200-3 第3の管体(短管体)
200-4 第4の管体(短管体)
200a 外周側
200b 内周側
201 差込み片(第1差込み部、第2差込み部)
201-1 繋ぎ片(第1の繋ぎ部、第2の繋ぎ部)
201-1a 内周面
201-1b 外周面
201a 内周面
201b 外周面
202 外郭管体(第1本体部、第2本体部)
202a 内周面
203 差込み片(第1の差込み部、第2の差込み部)
205 グリップ管
2000 管体
2001 ブッシュ
3 接着剤
5 尻栓
5-2 尻栓螺合部材
6、6´ 空間
7、7´ キャップ
7a 内周面
8 補強パイプ
8´ 金属製管状取り付け支脚
8a 内周面
8b 孔
80 切欠き
80a 端辺
80b 端辺
81 ブッシュ(ガイド)
81a 孔
81b スリット
10 リール
10a 脚
10b 脚
10c 隙間
10d 隙間
20 キャップ(割れ防止部材)
20´ キャップ
A 釣竿
A1 軸心方向
A2 回転方向
C、C1~C4 接触部分
L1、L2 長さ
W1~W3 外径
D1 径
図1
図2A
図2B
図3-1】
図3-2A】
図3-2B】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26