(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電力効率化システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/01 20060101AFI20230208BHJP
H02J 3/22 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H02J3/01
H02J3/22
(21)【出願番号】P 2021211553
(22)【出願日】2021-12-24
【審査請求日】2022-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521566069
【氏名又は名称】株式会社アルティメット ウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 利昭
(72)【発明者】
【氏名】藤本 浩維
(72)【発明者】
【氏名】弓矢 和幸
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-531128(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0090317(KR,A)
【文献】特開2017-208996(JP,A)
【文献】特開2016-005318(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0086151(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0020608(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力設備の電源の複数の相ごとに用意された複数の筐体の各々であって、非導電の素材の筐体の内部において、
導電板と、
前記導電板を圧着するように敷き詰めた、トルマリンを素材とする粉末素材と、
前記筐体の内部を密閉して接着するための圧着端子と、
を備え、
前記筐体の側面から前記筐体の内部の前記導電板に接続され、前記筐体の外部の電力設備の電源に接続する導電線を備え、
前記電力設備の電源の二次側の相の各々に、当該相から電力を伝達する電力設備に接続する配線とは異なる引き出し線として、前記複数の筐体に接続された前記導電線が接続されて
おり、
前記粉末素材に、トルマリンを粉末状にした素材のみを用いる、
電力効率化システム。
【請求項2】
前記筐体の素材には防水及び防塵の素材を用い、前記粉末素材を密閉して格納する請求項1に記載の電力効率化システム。
【請求項3】
前記電力設備は、電灯又は動力を含む負荷設備機器であって、漏電ブレーカ、蓄電池、及び変圧器を含む負荷設備機器を対象とする請求項1又は請求項2に記載の電力効率化システム。
【請求項4】
前記電力設備の電力供給量に応じて、前記筐体として、第1の大きさの第1の筐体、又は前記第1の筐体より小さな第2の筐体の何れかを用いる請求項1~請求項3の何れか1項に記載の電力効率化システム。
【請求項5】
前記第2の筐体は、電力供給量に関し、アンペアが0A~125Aの範囲かつ電圧が0~200Vの範囲の電灯又は動力を含む負荷設備機器であって、漏電ブレーカ、蓄電池、及び変圧器を含む負荷設備機器の場合に適用し、
前記第1の筐体は、電力供給量に関し、前記第2の筐体について定めたアンペア又は電圧の範囲を超える前記負荷設備機器の場合に適用する、請求項4に記載の電力効率化システム。
【請求項6】
前記粉末素材の前記トルマリンには導電性を有するブラックトルマリンを使用し、かつ、粉砕2,000メッシュに粉末状にしたものを、前記筐体の内部に敷き詰めて使用する
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の電力効率化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力効率化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力改善装置に係る技術がある(特許文献1参照)。この技術では、電力改善装置の内側箱の中に高誘電率の混合層と、混合層の中に配置した金、銀、又は銅からなる電極板と、磁気層を作り出す磁石と、を備えており、混合層に塩水を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
もっとも、従来技術の手法では塩水を用いており、塩水の浸食による装置自体の経年劣化が想定され得る。電力を伴う電力設備は長期間の稼働が想定されるため、電力を削減するための装置は経年劣化やメンテナンスは少ないことが望ましい。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、電力設備の継続的な電力効率を高めることを可能とする電力効率化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電力効率化システムは、電力設備の電源の複数の相ごとに用意された複数の筐体の各々であって、非導電の素材の筐体の内部において、導電板と、前記導電板を圧着するように敷き詰めた、トルマリンを素材とする粉末素材と、前記筐体の内部を密閉して接着するための圧着端子と、を備え、前記筐体の側面から前記筐体の内部の前記導電板に接続され、前記筐体の外部の電力設備の電源に接続する導電線を備え、前記電力設備の電源の二次側の相の各々に、当該相から電力を伝達する電力設備に接続する配線とは異なる引き出し線として、前記複数の筐体に接続された前記導電線が接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力設備の継続的な電力効率を高めることを可能とする、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電力効率化システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】電力効率化装置を構成する筐体の詳細を示す図である。
【
図3】高電圧用の電力効率化装置の筐体の斜視図の一例である。
【
図4】低電圧用の電力効率化装置の筐体の斜視図の一例である。
【
図5】電力効率化装置を変圧器に適用した場合の一例を示す図である。
【
図7】実証実験の実際の設備を撮影した写真である。
【
図9】測定した電流の時系列の推移を示すグラフである。
【
図10】測定した7次の高調波の累積結果を示すグラフである。
【
図11】測定した5次の高調波の時系列の推移を示すグラフである。
【
図12】3次、5次、7次の高調波の削減率の結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の電力効率化システムについて説明する。
【0010】
図1は、電力効率化システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す例において、電力効率化システム1は、電力効率化装置10(10A、10B、及び10C)と、漏電ブレーカ20と、電力使用装置30とにより構成される。漏電ブレーカ20の電源の一次側は電線等の電力供給設備に接続されている。漏電ブレーカ20の電源の二次側は電力ケーブル21により電力使用装置30に接続されている。漏電ブレーカ20は、接続された電力ケーブル21から交流の電力を電力使用装置30に供給する。以下では電力効率化システム1において電力効率化を図るための基本的な構成だけを説明するが、適宜、構成の変更が可能である。
【0011】
電力効率化装置10は、漏電ブレーカ20の複数の相ごとに用意される。本実施形態では漏電ブレーカ20の相は20a、20b、及び20cの3相であるため、電力効率化装置10A、10B、及び10Cの3つが用意される。電力効率化装置10A、10B、及び10Cは、漏電ブレーカ20の電源の二次側の各相にそれぞれ銅線22により接続される。銅線22は導電線であれば他の金属素材の線を用いてよい。なお、漏電ブレーカ20の交流の線式が、単相3線のR相-N相-T相、又は三相3線のR相-S相-T相のいずれであっても同様にそれぞれの相に接続する。
【0012】
図2は、電力効率化装置10を構成する筐体の詳細を示す図である。
図2に示すように、電力効率化装置10は筐体11によって構成される。筐体11には非電導、防水、防塵の素材を用いる。筐体11は側面に設けられた接地面から銅線22と接続される。銅線22はグランド部材12によって筐体11に圧着され、銀板13に接合される。銀板13は、筐体11の内部に水平方向に設置されている。なお銀板13も導電性であれば他の金属素材を用いてよい。筐体11の内部は、銀板13を圧着するようにトルマリンを素材とする粉末素材14が敷き詰められている。上部からアルミ板15を用いて粉末素材14を押圧し、圧縮ビス16により固定することにより、粉末素材14が銀板13を圧着した状態を形成できる。筐体11はこの形成過程により空洞部17を有するが、空洞部17の有無は設計事項である。粉末素材14は、トルマリンを2,000メッシュ程度の粒度にした粉末である。筐体11に敷き詰められる素材には、粉末素材14のみが用いられる。粉末素材14には筐体11の内部収容時に、のため微妙の水分を霧噴射する程度である。
【0013】
粉末素材14に用いるトルマリンの特性について説明する。1880年にキュリー兄弟(キュリー夫人の夫と兄)がトルマリンの結晶体に圧力を加えると結晶体の両極端にピエゾ電気(圧電気)と呼ばれる電荷が生じ、更にトルマリンを熱するとピロ電気(集電気)と呼ばれる電荷が生じることを発見している。このような結晶内部の電気的な分極作用によって起こる現象は様々な制御装置に活用されている(参考文献1)。
[参考文献1]"TDK 電気と磁気の館 No.17 圧電セラミックスのマルチ・パフォーマンス",URL:"https://www.tdk.com/ja/tech-mag/hatena/017"
【0014】
このようなトルマリンの特性について、上記キュリー兄弟のトルマリンを加圧した時の電気の出現則に関する研究が記載された文献がある(参考文献2参照)。
[参考文献2]"Lois du degagement de l'electricite par pression, dans la tourmaline. Note de MM.JACQUES et PIERRE CURIE, presentee par M . Friedel."、"Comptes rendus hebdomadaires des seances de l'Academie des sciences,92(1881) 186"、科学技術振興事業団・訳参照
【0015】
ここで参考文献2に記載された研究を概説する。研究では次の5つの特性が見出されている。(1)トルマリンの両端面には、向きの違う同量の電気が現れる。(2)或る圧力で出現する電気量は、同量の減圧で出現する電気量と、同量で、逆向きである。(3)この量は圧力の変化に比例する。(4)この量はトルマリンの長さによらない。(5)単位面積当たりの圧力変化に対して、この量は面積に比例する。
【0016】
この研究で用いられたトルマリンは、主軸に平行なプリズム形で、両端の基底面を薄い錫箔で覆い、その上を非常に厚いガラス板で保護し、木製の「てこ」の間で結晶を圧縮して行われた。上記の(4)で示されているように電気量はトルマリンの長さには比例せず、(3)、(5)で示されているように、圧力、及び面積に比例することがわかっている。
【0017】
また、この研究では、トルマリンは、透明、無色、又は色付き(緑、黄色、またはうすいバラ色のものなど)のものは、一般には絶縁性であることがわかっており、一方、多少とも不透明なものや、黒いものは導電性があることがわかっている。中でも、黒いトルマリン(ブラックトルマリン)では、電気計の針の瞬間的な動きは、同重量の透明なものの動きと比べて、約1/5であったことが検証されている。以上が参考文献2における研究の概説である。
【0018】
また、その後、研究の結果、トルマリンの結晶体をどんなに細かくしてもその両極端にはプラスとマイナスの電極が自発的に生じていることが発見されている。またトルマリンは大気圏を通過した素粒子のマイナスイオンを引き寄せ、常にマイナス電子を放出して、水中では電気分解を起こして水(H2O)の浄化を行う。このトルマリンの特性から、トルマリンに電圧をかけると逆方向にマイナスイオンを帯びたマイナス電子を放ち、不変に移動する電子の動きを整え、電気と導体抵抗から発生する熱を抑え、電気ロスを緩和させることが分かっている。例えば、ショールトルマリン原石に対する加圧により、マイナスイオンが発生することが研究されている(参考文献3参照)。
【0019】
[参考文献3][online]、インターネット<URL:http://eco-academyclub.com/syoseki-2/q14.html>,エコ・アカデミークラブ株式会社,"Q14…トルマリンはどうやってマイナスイオンを発生させるの?"
【0020】
ここでトルマリンの種類に応じて効果が異なることを発明者らは確認している。多数種類のトルマリンを用いてテストを繰り返し、最終的に中国のある地域に既存するブラックトルマリンを使用し、かつ、粉砕2,000メッシュのものが最大に電力削減効果を引き出すことが分かった。ブラックトルマリンを採用するのは、上記参考文献2にも記載があるように導電性を有するためである。また、マイナスイオンを放出させる際に使用する導体板は銀板(銀板13)と銅板を使うことが最も適しており、上記導体板とトルマリンが接している面積が大きいほど効果が上がることも分かった。これは、上記参考文献2に示されたトルマリンの特性とも一致している。なお、検証により、電圧容量及び電流使用量に比例してトルマリン量を変えると効果は変化する。
【0021】
電力効率化装置10は、高電圧用と低電圧用とに分けられ、それぞれ高電圧用の電力効率化装置10Xの筐体を筐体11X、低電圧用の電力効率化装置10Yの筐体を筐体11Yとする。
図3は高電圧用の電力効率化装置10Xの筐体11Xの斜視図の一例である。
図4は低電圧用の電力効率化装置10Yの筐体11Yの斜視図の一例である。いずれも内部構造は
図2に示した例と同様に構成できるが、大きさが異なる。電力効率化装置10Xの筐体11Xの大きさは、例えば、高さ150mm、横幅360mm、奥行200mmとして構成する。電力効率化装置10Yの筐体11Yの大きさは、例えば、高さ35mm、横幅50mm、奥行52mmとして構成する。
【0022】
電力効率化装置10の適用例は、電灯又は動力を含む負荷設備機器を対象とする。電灯には、例えば、照明、空調機器、又はインバータ等のものが含まれる。動力には、モータ、製造機器、空調機器、又はインバータ等のものが含まれる。また、負荷設備機器には、上記例に挙げた漏電ブレーカや、蓄電池、変圧器が含まれる。蓄電池は、家庭用、工業用の用途のいずれも想定される。
【0023】
低電圧用の電力効率化装置10Yを適用する場合は、電力供給量に関し、負荷設備機器のアンペアが0A~125Aの範囲かつ電圧が0~200Vの範囲である場合に適用する。高電圧用の電力効率化装置10Xを適用する場合は、電力供給量に関し、低電圧用の電力効率化装置10Yについて定めたアンペア又は電圧の範囲を負荷設備機器が超える場合に適用する。
【0024】
図5は、電力効率化装置10Xを変圧器に適用した場合の一例を示す図である。この例は、変圧器23のトランスの二次側の各相に電力効率化装置10Xの銅線22を接続する場合である。変圧器23との間には安全対策として漏電ブレーカ20を設置し、漏電ブレーカ20を介して、電力効率化装置10X1~3を接続する。
【0025】
[実証実験]
本実施形態の電力効率化装置10の効果を検証するため実証実験を行った。電力効率化装置10は、電力にかかる電気配線送電ロス、電子機器及び変圧器等を対象に当該消費する電気使用量の削減、を目的として設置する。削減の態様として、電力使用量、高調波流出電流の抑制や、熱損失による電力ロスの抑制が挙げられる。効果は、電力量削減、熱量低減による電気機器及び配線寿命の延命、高調波抑制による機器及び作業場周辺環境の改善や、これらの影響による電気使用料金の削減が挙げられる。
【0026】
図6は、実証実験の構成を示す図である。実証実験は、比較のため同種の設備で、電力効率化装置10Yが適用できる環境を用意した。同種の漏電ブレーカ(ELB)、インバータ(INV)、及びファン(FAN)を用意し、一方は電力効率化装置10Yなし、他方は電力効率化装置10Y(10Y1~10Y3)ありの構成として、同一の測定器によって電圧及び高調波を測定した。電力効率化装置10は3つ接続して測定を行っている。
図7は、実証実験の実際の設備を撮影した写真である。
図7には、電力効率化装置10の設置箇所と、漏電ブレーカ側の接続箇所を示している。表1は、実証実験の設備の仕様である。
【表1】
【0027】
電力負荷設備は(シロッコ)ファン(B)を用い、インバータ(A)は一般的に電力削減に使用される。インバータ自身が消費するインバータ損失とファンのモータ単体の損失が最小となる制御方式搭載の上でのセッテイングとした。また、設備は高調波を微量に発生する。ELBが上記構成の漏電ブレーカ20、INV及びFANが上記構成の電力使用装置30に対応する。本検証はファンモータとインバータの相関関係による電力(電流)と高調波の変化が示せるものとした。測定は2021年6月10日から開始した。
【0028】
図8は、測定した電流の累計を示すグラフである。
図8の例は6月16日までの累計結果、7月13日までの累計結果を示しており、電力効率化装置10Yなしと比較して電力効率化装置10Yありで継続して電流が削減されていることがわかる。
図9は、測定した電流の時系列の推移を示すグラフである。
図9の例では、7月2日に負荷を増加するように周波数を42Hzに変更(変更前は30Hz)したが、周波数を変更しても継続して電流が削減されていることが分かった。表2は、9月7日まで測定した電流の削減パーセンテージを示した結果である。結果は9月7日までに9.30%電流を削減できた。
【表2】
【0029】
高調波は3次、5次、7次、9次、11次について測定した。代表例として7次の高調波の累積結果を示す。
図10は、測定した7次の高調波の累積結果を示すグラフである。電力効率化装置10Yなしと比較して電力効率化装置10Yありで継続してR相、T相共に高調波が削減されていることが分かる。時系列推移の代表例として5次の高調波の結果を示す。
図11は、測定した5次の高調波の時系列の推移を示すグラフである。
図11の例では、時系列において継続して5次の高調波は削減されていることが分かる。
図12は、3次、5次、7次の高調波の削減率の結果を示したものである。9月7日までの測定の結果、高調波5次のR相では12.10%、T相では12.40%、高調波7次のR相では10.60%、T相では9.20%の削減が図れていた。電力ロスは高調波の3次から7次の影響が大きいため、5次と7次において高調波が削減できていることが、上記電流削減にも寄与していると捉えられる。
【0030】
また、電線及び負荷設備のファンのモータ等の電力干渉部温度について、接続後、上記表面温度が下がることも確認できている。つまり、電流抵抗が減り、機器損失率も低減することが考えられる。
【0031】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る電力効率化システム1によれば、電力設備の継続的な電力効率を高めることを可能とする。
【0032】
本実施形態の電力効率化装置10は、電気機器ではない点が特徴である。本製品にはモータや、半導体等電気機器等のような負荷がかからない為、電力の使用は一切かからない。また、電力効率化装置10の耐用年数は比較的長く、配線の劣化を主な基準として、10年程度は継続して使用可能である。
【0033】
今回の実証実験では、テスト機器は全てPSE製品かつ高調波規制範囲のものを使用した。そのため、10年以上前の機器に適用することで、より効果を発揮すると想定される。
【0034】
また、電力効率化システム1は太陽光発電機器へ適用しても効果を発揮する。検証において、パワーコンディショナーと変圧器の間に電力効率化装置10を接続することにより、発電率の約8~10%上昇を確認している。
【0035】
また、電力効率化システム1は蓄電池へ適用しても効果を発揮する。電力効率化装置10を蓄電池1次側に接続すると蓄電池内部温度が低下し、蓄電量が増加し、蓄電池自体の劣化を遅くする効果が期待できる。また、今後自動車EV車の普及増加することを鑑みて、電力効率化装置10の導入により走行距離の増加と電池劣化減少効果が見込める。なお、EV車は蓄電池だけではなく、高調波抑制により、電装機器故障原因や人体への影響も緩和することも期待できる。
【0036】
また、変圧器と進相コンデンサの高調波抑制と損失低減にも効果を発揮する。高圧の進相コンデンサを設置した場合負荷設備に電源に歪みを含む電流を流す物があるとその歪みの原因の高調波が電力会社の配電線に出て行き、高調波障害を与える事例が多くなっている。その為、現在は高圧進相コンデンサの容量の6%の直列リアクトルを入れることになっている。3次の高調波が多く含まれる所では13%入れることになっている。このような環境下にて、電力効率化装置10を変圧器2次側に接続することにより、第3次・5次・7次の高調波を抑制し、電気ロス及び変圧器の熱抑制により損失率を低減できる。
【0037】
また、電気配線の劣化低減にも効果を発揮する。電力効率化装置10をブレーカ電源2次側から負荷設備の間に接続するとその間の配線から発生する熱を抑制し、導体線及び絶縁体の被覆の劣化を防ぐ。
【0038】
また、家庭居住内の電力設備にも導入できる。電力効率化装置10を各家庭の主幹ブレーカ2次側へ接続することにより、家電製品の電力使用量を減少することが可能である。検証では、10~20%程度の電力削減を確認している。
【0039】
また、CO2削減に資する。電力効率化装置10の電力削減により、電力会社発電量を低減でき、かつPV発電量増加も可能であることによって、発電にかかるCO2抑制の貢献が大である。
【0040】
上記のほか、高調波ノイズ低減により各種用途、例えば、電波環境の改善、音響環境改善、ノイズ混入による制御機器環境改善や、電源インピーダンス低減等にも応用できる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 電力効率化システム
10 電力効率化装置
11 筐体
12 グランド部材
13 銀板
14 粉末素材
15 アルミ板
20 漏電ブレーカ
21 電力ケーブル
22 銅線
23 変圧器
30 電力使用装置
【要約】
【課題】電力設備の継続的な電力効率を高めることを可能とする。
【解決手段】電力効率化システムは、電力設備の電源の複数の相ごとに用意された複数の筐体の各々であって、非導電の素材の筐体の内部において、導電板と、前記導電板を圧着するように敷き詰めた、トルマリンを素材とする粉末素材と、前記筐体の内部を密閉して接着するための圧着端子と、を備え、前記筐体の側面から前記筐体の内部の前記導電板に接続され、前記筐体の外部の電力設備の電源に接続する導電線を備え、前記電力設備の電源の二次側の相の各々に、当該相から電力を伝達する電力設備に接続する配線とは異なる引き出し線として、前記複数の筐体に接続された前記導電線が接続されている。
【選択図】
図1