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  • 特許-二次元コード 図1
  • 特許-二次元コード 図2
  • 特許-二次元コード 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】二次元コード
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
G06K19/06 046
G06K19/06 037
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018201580
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020067929
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】小野 信一
(72)【発明者】
【氏名】林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 麻実
(72)【発明者】
【氏名】竹内 秀尚
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-164532(JP,A)
【文献】特開2013-041496(JP,A)
【文献】特開2000-276564(JP,A)
【文献】特開2014-120099(JP,A)
【文献】特開2004-341616(JP,A)
【文献】特開平08-030977(JP,A)
【文献】特開2007-018478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0157946(US,A1)
【文献】特開2005-83984(JP,A)
【文献】特表2015-522856(JP,A)
【文献】特開2007-219614(JP,A)
【文献】特開2011-48415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/06
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの二次元コード本体を読取装置にて読み取るにあたって、様々な方向から該読取装置で読み取っても正面と認識できるように、歪みのない形状からなる二次元コード本体と、該二次元コード本体を歪ませた形状からなる二次元コード本体とで、構成してなる二次元コード。
【請求項2】
前記歪ませた形状からなる二次元コード本体を、前記歪みのない形状からなる二次元コード本体の周りに配置してなる請求項1に記載の二次元コード。
【請求項3】
前記歪ませた形状からなる二次元コード本体と、前記歪みのない形状からなる二次元コード本体とを異なる色で配色し、重ね合わせてなる請求項1に記載の二次元コード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コードに関する。
【背景技術】
【0002】
QRコード(登録商標)等の二次元コードとして、例えば、図3に示すような二次元コード100が知られている。このような二次元コード100は、明色又は暗色のセルをマトリクス状に配置してなるものであり、セルの明暗パターンによってデータを記録しているものである。しかして、このような二次元コード100は、規格化されており、例えば、図3に示すようなスマートフォンなどの読取装置Yを用いて読み取られることにより、記録されたデータを復号することができるようになっている。
【0003】
ところで、このような二次元コード100を、図3に示すようなスマートフォンなどの読取装置Yを用いて読み取る際、図3に示すように、正面から二次元コード100を読み取る必要がある。読み取り角が正面からずれ、斜め方向になるほど、読取精度が低下するためである。
【0004】
そこで、読取精度を向上させるべく、二次元コード100を斜め方向から読取装置Yを用いて読み取っても、読取装置Y側で二次元コード100の画像を補正するという技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-322061号公報
【文献】特開2000-222517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような技術では、二次元コード100を補正するような専用の読取装置Yが必要となるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、専用の読取装置を用いずとも、従来の読取装置でもって、多角度から読取可能な二次元コードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1の二次元コードによれば、1つの二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10,台形状の二次元コード本体11A~11H)を読取装置(Y)にて読み取るにあたって、様々な方向から該読取装置(Y)で読み取っても正面と認識できるように、歪みのない形状からなる二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10)と、該二次元コード本体を歪ませた形状からなる二次元コード本体(台形状の二次元コード本体11A~11H)とで、構成してなることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の二次元コードにおいて、前記歪ませた形状からなる二次元コード本体(台形状の二次元コード本体11A~11H)を、前記歪みのない形状からなる二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10)の周りに配置してなることを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項3の発明によれば、上記請求項1に記載の二次元コードにおいて、前記歪ませた形状からなる二次元コード本体(台形状の二次元コード本体11A~11H)と、前記歪みのない形状からなる二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10)とを異なる色で配色し、重ね合わせてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1の発明によれば、1つの二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10,台形状の二次元コード本体11A~11H)を読取装置(Y)にて読み取るにあたって、様々な方向から該読取装置(Y)で読み取っても正面と認識できるように、歪みのない形状からなる二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10)と、該二次元コード本体を歪ませた形状からなる二次元コード本体(台形状の二次元コード本体11A~11H)とで、構成しているから、読取装置側で二次元コードの画像を補正するような専用の読取装置を用いずとも、従来の読取装置でもって、多角度から二次元コードを読み取ることが可能となる。
【0014】
また、請求項2の発明によれば、歪ませた形状からなる二次元コード本体(台形状の二次元コード本体11A~11H)を、歪みのない形状からなる二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10)の周りに配置しているから、様々な斜め方向の角度から、読取装置で読み取ることが可能となる。これにより、読取精度が向上することとなる。
【0015】
さらに、請求項3の発明によれば、歪ませた形状からなる二次元コード本体(台形状の二次元コード本体11A~11H)と、歪みのない形状からなる二次元コード本体(矩形状の二次元コード本体10)とを異なる色で配色し、重ね合わせているから、印刷する際、印刷面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る二次元コードを示す正面図、(b)は、45度の斜め方向から読取装置を用いて同実施形態に係る台形状の二次元コード本体の何れか1つを読み取ることを想定している状態を説明する説明図、(c)は、30度の斜め方向から読取装置を用いて同実施形態に係る台形状の二次元コード本体の何れか1つを読み取ることを想定している状態を説明する説明図、(d)は、60度の斜め方向から読取装置を用いて同実施形態に係る台形状の二次元コード本体の何れか1つを読み取ることを想定している状態を説明する説明図である。
図2図1(a)に示す配置とは異なる配置からなる二次元コードを示す正面図である。
図3】従前の二次元コードを、読取装置を用いて読み取っている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
図1(a)に示すように、二次元コード1は、中央に、矩形状の二次元コード本体10が配置され、その矩形状の二次元コード本体10の周囲を取り囲むように、放射状に、台形状の二次元コード本体11A~11Hが配置されているものである。この矩形状の二次元コード本体10は、QRコード(登録商標)等からなるもので、図3に示すような、従前の二次元コード100と同一である。
【0019】
一方、台形状の二次元コード本体11A~11Hは、QRコード(登録商標)等からなるもので、矩形状の二次元コード本体10を元に、台形状に歪ませた(引き延ばした)ものである。この台形状の二次元コード本体11A~11Hは、図3に示すような読取装置Yを用いて斜め方向から台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読み取ろうとした際に、読取装置Yが台形状の二次元コード本体11A~11Hを正面と認識できるように、台形状に歪ませて(引き延ばして)いるものである。
【0020】
この点、図1(b)を参照してより具体的に説明する。図1(b)は、台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つに対して、45度の斜め方向である点P1から読取装置Yを用いて台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読み取ることを想定しているものである。この際、台形状の二次元コード本体11A~11Hの図1(b)の左側点を点T1、右側点を点T2とし、点P1と点T1と点T2とを結ぶと、図1(b)に示すように、45度の二等辺三角形が形成されることとなる。そして、この45度の二等辺三角形の点T1から、点P1と点T2を結ぶ直線に対して、直角方向に線を引くと、点T3で交差することとなる。これにより、点T1と点T3を結ぶ直線(図示では、破線で示す)が形成されることとなる。この点T1と点T3を結ぶ直線部分が、45度の斜め方向である点P1から読取装置Y(図3参照)を用いて台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読み取ろうとした際、読取装置Yが台形状の二次元コード本体11A~11Hを正面として認識するものである。すなわち、矩形状の二次元コード本体10とほぼ同一の矩形状と認識されるものである。
【0021】
より詳しく説明すると、図1(a)に示す矩形状の二次元コード本体10を図3に示すような読取装置Yを用いて正面から読み取るためには、矩形状の二次元コード本体10に対して、直角方向から読み取る必要がある。それゆえ、二次元コードを正面から読み取るためには、二次元コードと読取装置の配置が、直角となる必要がある。しかるに、この台形状の二次元コード本体11A~11Hを正面と認識させるには、台形状の二次元コード本体11A~11Hと読取装置Yとの配置が直角となれば良いこととなる。それゆえ、点T1と点T3を結ぶ直線部分が、読取装置Yが正面(矩形状の二次元コード本体10とほぼ同一の矩形状)と認識できる部分となる。しかして、点T1と点T3を結ぶ直線部分が正面、すなわち、矩形状の二次元コード本体10とほぼ同一の矩形状と認識されるように、矩形状の二次元コード本体10を元に、どの程度、台形状に歪ませ(引き延ばせ)ば良いか、三角関数を用いて計算すれば良いこととなる。具体的には、点T1と点T2の直線部分/点T1と点T3の直線部分=cos45°=1/√2であるから、矩形状の二次元コード本体10を元に、√2倍、歪ませて(引き延ばせて)、台形状の二次元コード本体11A~11Hのうち少なくとも1つを作成すれば良いこととなる。
【0022】
かくして、このように、三角関数を用いて、斜め方向の角度に応じて、矩形状の二次元コード本体10を元に、どの程度、歪ませれば(引き延ばせば)良いかを計算することができる。これにより、図1(a)に示すような台形状の二次元コード本体11A~11Hが作成できることとなる。例えば、図1(c)に示すように、30度の斜め方向である点P1から読取装置Yを用いて台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読み取ることを想定している場合、点T1と点T2の直線部分/点T1と点T3の直線部分=cos60°=1/2となる。それゆえ、矩形状の二次元コード本体10を元に、2倍、歪ませて(引き延ばせて)、台形状の二次元コード本体11A~11Hのうち少なくとも1つを作成すれば良いこととなる。また、図1(d)に示すように、60度の斜め方向である点P1から読取装置Yを用いて台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読み取ることを想定している場合、点T1と点T2の直線部分/点T1と点T3の直線部分=cos30°=√3/2となる。それゆえ、矩形状の二次元コード本体10を元に、2/√3倍、歪ませて(引き延ばせて)、台形状の二次元コード本体11A~11Hのうち少なくとも1つを作成すれば良いこととなる。
【0023】
しかして、このようにして、様々な斜め方向の角度(例えば、30度~60度)に応じた台形状の二次元コード本体11A~11H(図1(a)参照)が予め作成されることとなる。しかるに、このように様々な斜め方向の角度(例えば、30度~60度)に応じた台形状の二次元コード本体11A~11Hを予め作成しておけば、図3に示すような読取装置Yを用いて斜め方向から台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読み取ろうとした際、読み取ろうとしている台形状の二次元コード本体11A~11Hの何れか1つを読取装置Yが正面と認識できることとなる。
【0024】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、読取装置側で二次元コードの画像を補正するような専用の読取装置を用いずとも、従来の読取装置でもって、多角度から二次元コードを読み取ることが可能となる。
【0025】
また、本実施形態によれば、中央に、矩形状の二次元コード本体10を配置し、その周囲に、様々な斜め方向の角度に応じた台形状の二次元コード本体11A~11Hを配置しておくことにより、様々な斜め方向の角度から、読取装置で読み取ることが可能となる。これにより、読取精度が向上することとなる。
【0026】
しかしながら、このような配置方法は、印刷する際、ある程度の面積が必要となるため、図2に示すような配置にしても良い。すなわち、矩形状の二次元コード本体10と、台形状の二次元コード本体11A~11Hを異なる色で配色し重ね合わせるというものである。具体的には、矩形状の二次元コード本体10を例えば黒色にし、台形状の二次元コード本体11A(図2では、破線で示す)を例えば赤色にし、台形状の二次元コード本体11C(図2では、一点鎖線で示す)を例えば黄色にし、というように異なる色で配色し、図2に示すように、重ね合わせて配置するというものである。しかして、このような配置をした二次元コード1を読み取るにあたっては、図3に示すような読取装置Y側で画像の色分解を行い、読み取るようにすれば良い。又は、読み取って欲しくない色と同一色のライト(例えば、赤色を読み取って欲しくなければ、赤色のライト)を二次元コード1に照射すれば、図3に示すような読取装置Yにて、読み取って欲しくない色以外の色が読み取られることとなる。しかして、このようにすれば、二次元コード1を印刷する際、面積を小さくすることができる。
【0027】
なお、矩形状の二次元コード本体10と、台形状の二次元コード本体11A~11Hを異なる色で配色し重ね合わせるにあたっては、明色又は暗色のセルをマトリクス状に配置しているドットが重なりあわないようにドットを細かくする必要がある。ドットが重なり合うと、記録されているデータを正確に復号できない可能性があるためである。
【0028】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、台形状の二次元コード本体11A~11Hを例示したが、読取装置Yが正面と認識できれば、台形状に限らずどのような形状でも良い。
【0029】
また、台形状の二次元コード本体11A~11Hは、全て、一定の斜め方向の角度に応じた形状でも良く、又は、全て、異なる斜め方向の角度に応じた形状でも良く、或いは、一部が、一定の斜め方向の角度に応じた形状でも良い。
【0030】
さらに、矩形状の二次元コード本体10の周囲に、台形状の二次元コード本体11A~11Hを配置するにあたっては、本実施形態にて示したものに限らず、どのように配置しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 二次元コード
10 矩形状の二次元コード本体(歪みのない形状からなる二次元コード本体)
11A~11H 台形状の二次元コード本体(歪ませた形状からなる二次元コード本体)
Y 読取装置
図1
図2
図3