(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/34 20200101AFI20230208BHJP
D06F 37/42 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
D06F58/34
D06F37/42
(21)【出願番号】P 2016172781
(22)【出願日】2016-09-05
【審査請求日】2019-08-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】宮嵜 悠吾
(72)【発明者】
【氏名】馬越 清輝
(72)【発明者】
【氏名】松井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】牧野 嘉幸
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】田合 弘幸
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2369050(EP,A2)
【文献】特開2012-70976(JP,A)
【文献】特開2006-198148(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/00-37/42
D06F 58/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類出入口を有する本体と、
前記本体内に設けられ、衣類が収容される乾燥室と、
前記衣類出入口を開閉する扉と、
前記扉を前記衣類出入口を閉じた閉状態でロックするものであって、前記扉を前記乾燥室の内側から開くことができ且つ前記乾燥室の外側からも開くことができる仮ロック状態および前記扉を前記乾燥室の内側からも外側からも開くことができない本ロック状態に切り換え可能に構成され、前記扉が前記衣類出入口を閉じると当該扉を前記仮ロック状態とする扉ロック装置と、
前記乾燥室内の衣類を乾燥する乾燥行程を実行する乾燥行程実行手段と、
前記乾燥室内の衣類の量が所定量以上であることを条件として、前記乾燥行程の終了後に前記本ロック状態を維持する動作を実行するロック状態制御手段と、
を備え、
前記乾燥行程が終了した後に、前記乾燥室内の衣類にしわが発生することを抑制するソフトキープ行程を実行可能であり、
前記ロック状態制御手段は、
前記乾燥室内の衣類の量が所定量以上である場合には、前記乾燥行程が終了してから前記ソフトキープ行程が終了するまで前記本ロック状態を維持する動作を実行し、前記ソフトキープ行程が終了すると、前記本ロック状態を解除して前記仮ロック状態に切り換え、
前記乾燥室内の衣類の量が所定量未満である場合には、前記本ロック状態を維持する動作を実行せず、前記本ロック状態を解除して前記仮ロック状態に切り換え、
前記本体は、係止部を有し、
前記扉は、爪部を有し、
前記扉ロック装置は、前記係止部に対する前記爪部の係止寸法を大きくすることにより、前記仮ロック状態から前記本ロック状態に切り換えられる衣類乾燥機。
【請求項2】
前記乾燥室内に設けられ、衣類が収容される回転槽と、
前記ソフトキープ行程において本ロック解除用の操作が入力されると、前記回転槽が回転しているか否かを判定する回転判定手段と、をさらに備え、
前記ロック状態制御手段は、さらに、前記回転判定手段により前記回転槽が回転していると判定された場合には、前記回転槽の回転を停止させてから前記本ロック状態を解除することが可能である請求項
1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥室内に設けられ、衣類が収容される回転槽と、
ユーザが前記扉を開くために操作する扉開用操作部と、
前記ソフトキープ行程において前記扉開用操作部が操作されると、前記回転槽が回転しているか否かを判定する回転判定手段と、をさらに備え、
前記ロック状態制御手段は、さらに、前記回転判定手段により前記回転槽が回転していると判定された場合には、前記回転槽の回転を停止させてから前記本ロック状態を解除することが可能である請求項
1または2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記扉が前記本ロック状態で維持されていることを報知する報知手段をさらに備える請求項1から
3の何れか1項に衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているドラム式洗濯乾燥機は、ドラム内に収容された衣類を乾燥する乾燥機能を有しており、いわゆる衣類乾燥機としても機能する。この種の衣類乾燥機においては、衣類の出入口を開閉する扉がヒンジ部を介して回動可能に設けられているとともに、その扉を衣類出入口を閉じた閉状態でロックする扉ロック装置が設けられている。そして、例えば洗濯や乾燥などの運転中においては、蓋ロック装置が扉を閉状態でロックしたロック状態が維持され、扉を開けることができないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、扉を内側から開けることができる仮ロック状態と、扉を内側から開けることができない本ロック状態とに切り換えられるように構成した衣類乾燥機が考えられている。この衣類乾燥機によれば、衣類を乾燥する乾燥行程の実行中においては扉を本ロック状態にし、乾燥行程を終了すると扉を仮ロック状態にする。これにより、乾燥行程の終了後においては、ユーザは、外側から扉を開けることができ、また、扉に内側から押圧力を作用させることで扉を内側から開けることもできる状態となる。しかし、近年の衣類乾燥機では、乾燥行程の終了後に、衣類にしわが発生することを抑制するソフトキープ行程を実行するものが考えられている。そのため、乾燥行程の終了後に扉を仮ロック状態にすると、このソフトキープ行程において、例えば乾燥室内の圧力や乾燥室内の衣類に押されて扉が意図せず開いてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、衣類を乾燥する乾燥行程の終了後において扉が意図せず開いてしまうことを回避することができる衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る衣類乾燥機は、本体、乾燥室、扉、扉ロック装置、乾燥行程実行手段、ロック状態制御手段を備える。本体は、衣類出入口を有する。乾燥室は、前記本体内に設けられ、衣類が収容される。扉は、前記衣類出入口を開閉する。扉ロック装置は、前記扉を前記衣類出入口を閉じた閉状態でロックするものであって、前記扉を前記乾燥室の内側から開くことができ且つ前記乾燥室の外側からも開くことができる仮ロック状態および前記扉を前記乾燥室の内側からも外側からも開くことができない本ロック状態に切り換え可能に構成され、前記扉が前記衣類出入口を閉じると当該扉を前記仮ロック状態とする。乾燥行程実行手段は、前記乾燥室内の衣類を乾燥する乾燥行程を実行する。ロック状態制御手段は、前記乾燥室内の衣類の量が所定量以上であることを条件として、前記乾燥行程の終了後に前記本ロック状態を維持する動作を実行する。そして、前記乾燥行程が終了した後に、前記乾燥室内の衣類にしわが発生することを抑制するソフトキープ行程を実行可能であり、前記ロック状態制御手段は、前記乾燥室内の衣類の量が所定量以上である場合には、前記乾燥行程が終了してから前記ソフトキープ行程が終了するまで前記本ロック状態を維持する動作を実行し、前記ソフトキープ行程が終了すると、前記本ロック状態を解除して前記仮ロック状態に切り換え、前記乾燥室内の衣類の量が所定量未満である場合には、前記本ロック状態を維持する動作を実行せず、前記本ロック状態を解除して前記仮ロック状態に切り換え、前記本体は、係止部を有し、前記扉は、爪部を有し、前記扉ロック装置は、前記係止部に対する前記爪部の係止寸法を大きくすることにより、前記仮ロック状態から前記本ロック状態に切り換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る衣類乾燥機の構成例を概略的に示すものであり、扉を閉じた状態の衣類乾燥機の正面図
【
図2】本実施形態に係る衣類乾燥機の構成例を概略的に示すものであり、扉を開いた状態の衣類乾燥機の正面図
【
図3】扉ロック装置を構成するロック装置本体の正面図
【
図5】ラッチ挿入前の状態における扉ロック装置の主要部を模式的に示す断面図
【
図6】ラッチ挿入前の状態における扉ロック装置の主要部を模式的に示す正面図
【
図7】仮ロック状態における扉ロック装置の主要部を模式的に示す断面図および正面図を組み合わせた図
【
図8】本ロック状態における扉ロック装置の主要部を模式的に示す断面図および正面図を組み合わせた図
【
図9】衣類乾燥機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
【
図10】第1実施形態に係る衣類乾燥機の制御例を概略的に示すフローチャート
【
図11】第2実施形態に係る衣類乾燥機の制御例を概略的に示すフローチャート
【
図12】第3実施形態に係る衣類乾燥機の制御例を概略的に示すフローチャート
【
図13】第3実施形態に係る衣類乾燥機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
【
図14】第4実施形態に係る衣類乾燥機の構成例を概略的に示すものであり、扉を閉じた状態の衣類乾燥機の正面図
【
図15】第4実施形態に係る衣類乾燥機の制御例を概略的に示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類乾燥機に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1および
図2に例示する洗濯乾燥機1は、回転槽の回転軸が水平軸または傾斜軸となる、いわゆる横軸型のドラム式洗濯乾燥機であり、回転槽内の衣類を洗濯する洗濯機として機能するほか、回転槽内の衣類を乾燥する衣類乾燥機としても機能する。即ち、洗濯乾燥機1は、衣類の洗濯機能と乾燥機能を備えている。洗濯乾燥機1の本体2は、矩形箱状の筐体3を備えている。筐体3の前面3aには、円形に開口する衣類出入口4が設けられている。また、筐体3の前面3aには、この衣類出入口4を開閉する円形の扉5がヒンジ部6を介して左右方向に回動可能に設けられている。
【0010】
筐体3の内部には、ドラム7と、このドラム7を収容する水槽50が設けられている。水槽50は、乾燥室の一例であり、水を溜めることが可能な有底円筒状をなしている。ドラム7は、回転槽の一例であり、内部に衣類を収容することが可能な有底円筒状をなしている。ドラム7の周側面には図示しない複数の貫通孔が設けられており、ドラム7の内周面には複数の図示しないバッフルが設けられている。水槽50の前面開口部およびドラム7の前面開口部は、衣類出入口4に連通している。ユーザは、扉5を開放方向に回動させて衣類出入口4を開いた開状態とすることにより、衣類出入口4を通してドラム7内に衣類を出し入れすることができる。
【0011】
扉5には、この場合、前方から見て右上部に位置させて手掛け部8が設けられている。また、本体2には、その手掛け部8に対応する位置に手掛け用凹部9が設けられている。手掛け部8に対応する位置に手掛け用凹部9が設けられていることで、衣類出入口4を閉じた閉状態の扉5を開ける際に、ユーザは、手掛け部8に手を掛けやすくなっている。
【0012】
本体2と扉5との間には、扉5を閉状態で維持するための扉ロック装置10が設けられている。一方、扉5の自由端部側には、本体2側へ向けて突出するラッチ11が設けられている。このラッチ11は、
図5に示すように、先端部に爪部12を有していて、L字状をなしている。また、このラッチ11は、軸部11aを中心に回動可能に設けられていて、図示しないばねからなる付勢手段により矢印A1方向へ付勢されている。ラッチ11は、扉5の手掛け部8に手を掛けて手前側へ引くと、付勢手段の付勢力に抗して矢印A1とは反対方向へ回動される。
【0013】
本体2側には、ラッチ11と対応する部分に位置させてロック装置本体13が設けられている。
図3および
図4に示すように、ロック装置本体13は、ケース14の内部にロック機構部15を備えている。ケース14の正面を覆うカバー14aには、開口部からなるラッチ挿入部16が設けられている。また、このラッチ挿入部16の縁部には、係止部17が設けられている。ラッチ挿入部16は、ラッチ11の先端部が出入りできる程度の矩形状に形成されている。係止部17は、ラッチ挿入部16の一辺部、この場合、
図3および
図5における左側の辺部に設けられている。
【0014】
ケース14の内部には、ラッチ挿入部16の裏側に位置させて可動部材18が設けられている。この可動部材18は、
図4および
図5において左右方向に摺動しながら移動可能に配置されていて、付勢手段を構成する圧縮コイルばね19により、矢印A2方向に付勢されている。
図4および
図5は、可動部材18が初期位置に移動した状態が示されている。可動部材18には、当該可動部材18が初期位置に移動した状態でラッチ挿入部16に対応する位置に位置させて、矩形状の凹部からなるラッチ受け部20が設けられている。ラッチ受け部20の開口部は、ラッチ挿入部16とほぼ同じ大きさの矩形状に形成されていて、ラッチ11の先端部を受け入れ可能な構成となっている。
【0015】
図7には、可動部材18が第1係止位置に移動した状態が示され、
図8には、可動部材18が第2係止位置に移動した状態が示されている。可動部材18は、初期位置と、第1係止位置と、第2係止位置との間で摺動しながら移動可能に設けられている。
【0016】
ケース14の内部には、可動部材18の裏側に位置させるようにしてロック部材22が設けられている。このロック部材22は、
図4および
図6において上下方向に摺動しながら移動可能に配置されていて、
図4に例示する圧縮コイルばね23により、矢印A3方向へ付勢されている。ロック部材22の移動方向は、可動部材18の移動方向に対して直交する方向となっている。ロック部材22の一部は、可動部材18の裏側に挿入され、その先端部が、ケース14内に設けられている電磁ソレノイド24のプランジャ25の先端部に連結されている。ロック部材22の残りの部分は、可動部材18の裏側から外れている。電磁ソレノイド24は、電気的に作動する部材を構成していて、洗濯乾燥機1の動作全般を制御する制御装置60により制御される。
【0017】
図4、
図6および
図7には、ロック部材22がロック解除位置に移動した状態が示され、
図8には、ロック部材22がロック位置に移動した状態が示されている。ロック部材22は、ロック解除位置とロック位置との間で摺動しながら移動可能に設けられている。制御装置60により電磁ソレノイド24が通電されてロック動作すると、プランジャ25が、
図6の矢印A4方向に移動される。これに伴い、ロック部材22が、同じく矢印A4方向に移動され、ロック解除位置からロック位置へ移動される。
【0018】
ロック部材22の正面となるカバー14a側の面の所定部位には、カバー14a側へ向けて突出する第1係合凸部26が設けられている。この第1係合凸部26は、L字状をなしていて、角部26aを有している。可動部材18には、ロック部材22側となる裏側へ突出する第2係合凸部27が設けられている。この第2係合凸部27の先端部には、斜面28が設けられている。この場合、第1係合凸部26と、第2係合凸部27の斜面28は、後述するようにロック部材22がロック解除位置からロック位置へ移動することに伴い、可動部材18を第1係止位置から第2係止位置へ移動させる移動手段として機能する。
【0019】
次に、洗濯乾燥機1の制御系の構成例について説明する。
図9に例示する制御装置60は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムに従って洗濯乾燥機1の動作全般を制御する。制御装置60は、本体2内に設けられ、図示しない機外の給水源から水槽50内に水を供給する図示しない給水機構部の給水弁70、同じく本体2内に設けられ、水槽50内の水を機外に排出する図示しない排水機構部の排水弁71、水槽50の背面に設けられ、ドラム7を回転させる洗濯機モータ72、などの各種の駆動部を制御することにより、ドラム7内の衣類を洗う周知の洗い行程、ドラム7内の衣類をすすぐ周知のすすぎ行程、ドラム7内の衣類を脱水する周知の脱水行程を実行可能に構成されている。また、制御装置60は、さらに、水槽50内に温風を供給する図示しない周知のヒートポンプ機構部の圧縮機73、送風機74の駆動を制御することにより、ドラム7内の衣類を乾燥する周知の乾燥行程、ドラム7内の衣類にしわが発生することを抑制するための周知のソフトキープ行程を実行可能に構成されている。
【0020】
即ち、制御装置60は、制御プログラムを実行することにより、洗い行程実行処理部81、すすぎ行程実行処理部82、脱水行程実行処理部83、乾燥行程実行処理部84、ソフトキープ行程実行処理部85、報知処理部86をソフトウェアにより仮想的に実現する。さらに、制御装置60は、制御プログラムを実行することにより、ロック状態制御処理部87をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、これらの処理部は、ハードウェアにより構成してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより構成してもよい。
【0021】
洗い行程実行処理部81は、洗い行程実行手段の一例であり、ドラム7内の衣類を洗う周知の洗い行程を実行する。すすぎ行程実行処理部82は、すすぎ行程実行手段の一例であり、洗い行程実行処理部81による洗い行程が終了した後に、ドラム7内の衣類をすすぐ周知のすすぎ行程を実行する。脱水行程実行処理部83は、脱水行程実行手段の一例であり、すすぎ行程実行処理部82によるすすぎ行程が終了した後に、ドラム7内の衣類を脱水する周知の脱水行程を実行する。
【0022】
乾燥行程実行処理部84は、乾燥行程実行手段の一例であり、脱水行程実行処理部83による脱水行程の後に、ドラム7内の衣類を乾燥する周知の乾燥行程を実行する。ソフトキープ行程実行処理部85は、ソフトキープ行程実行手段の一例であり、乾燥行程実行処理部84による乾燥行程が終了した後に、ドラム7内の衣類にしわが発生することを抑制するソフトキープ行程を実行する。詳しい説明は省略するが、ソフトキープ行程は、ドラム7を所定時間ごとに間欠的に、且つ、低い回転速度で回転させることで、ドラム7内の衣類を周期的に攪拌し、これにより、衣類にしわが発生しにくくするものである。
【0023】
報知処理部86は、報知手段の一例であり、乾燥行程実行処理部84による乾燥行程が終了すると、乾燥行程が終了したことを報知する。この場合、報知処理部86は、ブザー75を動作させることにより、乾燥行程が終了したことを聴覚的手段により報知するようになっている。扉ロック装置10は、詳しくは後述するように、扉5を乾燥室の内側から開くことができる仮ロック状態、および、扉5を乾燥室の内側から開くことができない本ロック状態に切り換え可能に構成されている。報知処理部86は、乾燥行程が終了すると直ちに扉5の本ロック状態を解除する場合と、乾燥行程の終了から所定時間が経過してから扉5の本ロック状態を解除する場合とで、報知動作の内容を異ならせるように構成してもよい。
【0024】
また、報知処理部86は、乾燥行程の終了後において扉5が本ロック状態で維持されている場合には、扉5が本ロック状態であることを報知する。洗濯乾燥機1は、図示しない操作パネルに設けられている所定のキー、この場合、本ロック解除用キーの周囲に、例えばLEDなどで構成される発光部76を備えている。報知処理部86は、この発光部76を点灯あるいは点滅させることにより本ロック解除用キーを強調し、ユーザに、扉5が本ロック状態であること、さらには、扉5を開くためには本ロック解除用キーを操作して本ロック状態を解除する必要があること、を報知するようになっている。このとき、報知処理部86は、ユーザに本ロック状態を解除するための操作を促す内容の表示を、例えば操作パネルの液晶表示部などに表示するようにしてもよい。なお、本ロック解除用キーは、本ロック解除用の専用のキーとして備えてもよいし、既存のキー、例えば運転開始キーを兼用する構成としてもよい。
【0025】
ロック状態制御処理部87は、ロック状態制御手段の一例であり、乾燥行程の実行中および乾燥行程が終了してから所定時間が経過するまで、扉ロック装置10が扉5を本ロック状態に切り換えた状態を維持する。そして、ロック状態制御処理部87は、乾燥行程が終了してから所定時間が経過すると、扉ロック装置10が扉5を本ロック状態に切り換えた状態を解除し、扉5を仮ロック状態に切り換える。この場合、ロック状態制御処理部87は、乾燥行程が終了してからソフトキープ行程が終了するまで、扉5を本ロック状態で維持するようになっている。即ち、ロック状態制御処理部87は、ソフトキープ行程が終了するまでは本ロック状態を解除せず、ソフトキープ行程が終了すると本ロック状態を解除するようになっている。
【0026】
次に、扉ロック装置10による扉5のロック機能について説明する。
図5に示すように、扉5が開放された状態では、ラッチ11の先端部はラッチ挿入部16に挿入されていない。この状態では、可動部材18は初期位置に位置し、ロック部材22はロック解除位置に位置している。この状態では、
図6に示すように、可動部材18側の第2係合凸部27の一部が、ロック部材22側における第1係合凸部26の移動可能領域に侵入している。そのため、ロック部材22の矢印A4方向への移動が制限される。よって、仮に制御装置60が電磁ソレノイド24をロック動作させるべくプランジャ25を矢印A4方向へ移動させても、ロック部材22をロック位置へ移動させることはできず、ロック動作させることはできない。
【0027】
扉5が衣類出入口4を閉じる閉方向へ回動されて衣類出入口4を閉じた閉状態になると、
図7に示すように、ラッチ11の先端部がラッチ挿入部16を通して可動部材18のラッチ受け部20に受け入れられる。このとき、ラッチ11の付勢手段における矢印A1方向への付勢力を、可動部材18の圧縮コイルばね19における矢印A2方向への付勢力よりやや大きく設定しておくことで、可動部材18を矢印A2とは反対方向へ少し移動させた第1係止位置へ移動させた状態とすることができる。これに伴い、
図7に示すように、第2係合凸部27も矢印A2とは反対方向へ移動し、先端部の斜面28が第1係合凸部26の角部26aに臨む状態となる。この状態では、ラッチ11の先端部における爪部12が、ラッチ挿入部16の縁部における係止部17に浅い状態で係止する状態となる。このときの係止部17に対する爪部12の係止寸法をB1とする。
【0028】
この状態では、ラッチ11の先端部における爪部12が、ラッチ挿入部16の縁部において係止部17に係止することで、扉5は閉状態で維持されるようになる。この状態を、扉ロック装置10の仮ロック状態と称する。この仮ロック状態においては、係止部17に対する爪部12の係止寸法B1が小さくて浅いため、扉5に開放方向への所定以上の操作力が作用すると、係止部17に対する爪部12の係止が外れ易い。また、係止部17に対して係止する爪部12の係止面12aが、
図7において左下がりの斜めになっているため、扉5に開放方向への所定以上の操作力が作用すると、係止部17に対する爪部12の係止が外れ易い。このように仮ロック状態においては、係止部17に対する爪部12の係止寸法B1が小さくて浅く、しかも、係止部17に対して係止する爪部12の係止面12aが斜めになっている。そのため、扉5に開放方向への所定以上、例えば5kgf以上の操作力が作用すると、係止部17に対する爪部12の係止が外れ易く、扉5を容易に開放させることが可能となる。
【0029】
即ち、扉5が仮ロック状態に切り換えられている状態では、当該扉5を水槽50の内側から開くことが可能であり、扉5の内側から当該扉5を所定以上の操作力で開放方向へ押すことで、扉5を開けることができる。また、この仮ロック状態では、本体2の外側から扉5の手掛け部8に手を掛けて手前に引くことで、ラッチ11が矢印A1とは反対方向へ回動して、係止部17に対する爪部12の係止が解除され、扉5を開けることもできる。
【0030】
制御装置60は、扉ロック装置10が扉5を仮ロック状態とした状態で、運転を開始させる際には、電磁ソレノイド24を通電してロック動作させる。すると、プランジャ25が、
図7の矢印A4方向へ移動され、これに伴い、ロック部材22が、同じく矢印A4方向へ移動され、ロック解除位置から
図8に示すロック位置へ移動される。このとき、ロック部材22の移動に伴い第1係合凸部26の角部26aが、可動部材18の第2係合凸部27における斜面28に当たりこれを押す。これにより、可動部材18は、矢印A2とは反対方向へ移動し、
図8に示す第2係止位置まで移動する。
【0031】
可動部材18が第2係止位置まで移動することに伴い、ラッチ11も矢印A1方向へ回動する。これにより、ラッチ11の先端部における爪部12が、係止部17に深い状態で係止する状態となる。このときの係止部17に対する爪部12の係止寸法をB2とする。この係止寸法B2は、仮ロック状態における係止寸法B1よりも大きくなる。即ち、係止寸法B2>係止寸法B1という大小関係となる。また、この状態では、ロック部材22の第1係合凸部26の左側面が、可動部材18の第2係合凸部27の先端部に対向する状態となる。そのため、可動部材18の矢印A2方向への移動が阻止され、これにより、可動部材18は、第2係止位置に保持された状態となる。この状態を、扉ロック装置10の本ロック状態と称する。
【0032】
この本ロック状態においては、係止部17に対する爪部12の係止寸法B2が大きくて深く、しかも、係止部17に対して係止する係止面12aが、
図8に示すように平行に近くなる。さらに、可動部材18は、ロック部材22により矢印A2方向への移動が阻止され、第2係止位置に保持される。そのため、扉5に開放方向への所定以上、上述した5kgfよりも大きな例えば30kgf以上の操作力が作用したとしても、係止部17に対する爪部12の係止が外れ難く、扉5を開けることができない。また、この本ロック状態においては、可動部材18の矢印A2方向への移動がロック部材22により阻止されている。そのため、ユーザが本体2の外側から扉5の手掛け部8に手を掛けて手前に引いても、係止部17に対する爪部12の係止を解除することができず、扉5を開けることができない。即ち、扉5が本ロック状態に切り換えられている状態では、当該扉5を水槽50の内側から開くことができず、扉5の内側から当該扉5を所定以上の操作力で開放方向へ押したとしても、扉5を開けることができない。
【0033】
上述した扉ロック装置10によれば、単に扉5を閉じただけの仮ロック状態では、扉5を本体2内から所定以上の操作力で押すことで開けることができる。そして、運転中の本ロック状態では、扉5を確実にロックすることができる。即ち、扉ロック装置10は、扉5を水槽50の内側から開くことができる仮ロック状態、および、扉5を水槽50の内側から開くことができない本ロック状態に切り換え可能に構成されている。
【0034】
次に、洗濯乾燥機1による制御例について説明する。
図10に例示するように、制御装置60は、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、乾燥行程を含む運転を開始すると、扉5を本ロック状態に切り換える(A1)。そして、制御装置60は、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程を経て乾燥行程を終了すると、乾燥行程が終了したことを報知する(A2)。そして、制御装置60は、扉5を本ロック状態に切り換えた状態を維持したまま、ソフトキープ行程を開始する(A3)。即ち、本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、乾燥行程終了後のソフトキープ行程においても、扉5は本ロック状態のまま維持される。そして、制御装置60は、扉5が本ロック状態で維持されていることを報知する(A4)。
【0035】
そして、制御装置60は、ソフトキープ行程を終了すると(A5:YES)、扉5の本ロック状態を解除して(A6)、扉5を仮ロック状態に切り換える(A7)。即ち、制御装置60は、乾燥行程を終了すると直ちに扉5の本ロック状態を解除するのではなく、乾燥行程が終了してから所定時間が経過するまで、この場合、乾燥行程終了後のソフトキープ行程が終了するまで、扉5の本ロック状態を維持する。なお、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持した状態で行うソフトキープ行程の実行中において、ユーザにより本ロック解除用キーが操作された場合には、扉5の本ロック状態を解除して仮ロック状態に切り換えるようになっている。即ち、ソフトキープ行程の実行中においても、ユーザによる操作入力に応じて扉5を開くことができるようになっている。
【0036】
本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、制御装置60は、乾燥行程の実行中および乾燥行程が終了してから所定時間が経過するまでは扉5を本ロック状態で維持し、乾燥行程が終了してから所定時間が経過すると本ロック状態を解除する。この構成によれば、衣類を乾燥する乾燥行程の終了後においても、所定時間、この場合、ソフトキープ行程が終了するまでは、扉5の本ロック状態が維持される。よって、乾燥行程の終了後において所定時間、この場合、ソフトキープ行程が終了するまでの間においては、水槽50内の内圧やドラム7内の衣類に押されて扉5が意図せず開いてしまうことを回避することができる。
【0037】
即ち、乾燥行程の終了に伴い送風機74の駆動も停止されるが、送風機74が停止された直後においても若干の風が残るため、水槽50内の内圧が高い状態となる場合がある。本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、乾燥行程の終了後においても扉5が本ロック状態のまま維持されるので、仮に乾燥行程の終了後において水槽50内の内圧が高い状態が維持されたとしても、その圧力により扉5が意図せず開いてしまうことを回避することができる。
【0038】
また、ドラム7内に収容されている衣類の量が多い場合には、その衣類によって扉5が内側から押され、扉5が意図せず開いてしまう場合がある。本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、乾燥行程の終了後においても扉5が本ロック状態のまま維持されるので、仮にドラム7内に多量の衣類が収容されている場合であっても、その衣類の押圧力により扉5が意図せず開いてしまうことを回避することができる。
【0039】
また、ソフトキープ行程においては、連続的ではないもののドラム7が間欠的に回転する。本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、このようにドラム7が回転するソフトキープ行程において扉5が意図せず開いてしまうことを回避することができ、安全性を向上することができる。
【0040】
(第2実施形態)
図11に例示するように、この実施形態では、制御装置60は、ドラム7内に収容されている衣類の量が所定量以上である場合に限って、乾燥行程の終了後に本ロック状態を維持するようになっている。即ち、制御装置60は、乾燥行程を終了して乾燥終了を報知すると、ドラム7内の衣類の量が所定量以上であるか否かを判断する(B1)。なお、この所定量は、適宜変更して設定することができ、例えば、仮ロック状態の扉5を内側から開けるために必要な押圧力を発生し得る衣類の量、あるいは、その量よりも若干少ない量を設定するとよい。また、ドラム7内の衣類の量は、例えば周知の重量センシングにより検出される衣類の重量に基づいて特定することができる。周知のように、重量センシングは、ドラム7内の衣類の重量に応じて洗濯機モータ72の回転負荷が変化することを利用するものであり、例えば水槽50内への給水前の状態で、洗濯機モータ72を所定の短時間だけ回転させ、その際の洗濯機モータ72の回転速度の変化を検出することにより行うことができる。
【0041】
制御装置60は、ドラム7内の衣類の量が所定量以上である場合(B1:YES)には、扉5を本ロック状態に切り換えた状態を維持したまま、ソフトキープ行程を開始する(A3)。また、制御装置60は、扉5が本ロック状態で維持されていることを報知する(A4)。そして、制御装置60は、ソフトキープ行程を終了すると(A5:YES)、扉5の本ロック状態を解除して(A6)、扉5を仮ロック状態に切り換える(A7)。
【0042】
一方、制御装置60は、ドラム7内の衣類の量が所定量未満である場合(B1:N0)には、扉5の本ロック状態を解除して(B2)、扉5を仮ロック状態に切り換える(B3)。そして、制御装置60は、扉5を仮ロック状態に切り換えた状態でソフトキープ行程を開始する(B4)。このように蓋5の仮ロック状態で行われるソフトキープ行程においては、ユーザは、ソフトキープ行程の実行中であっても扉5を開くことができる。そして、制御装置60は、ソフトキープ行程を終了すると(B5:YES)、この制御を終了する。
【0043】
本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、制御装置60は、ドラム7内の衣類の量が所定量以上であることを条件に、乾燥行程の終了後において扉5を本ロック状態のまま維持する。ドラム7内の衣類の量が少なければ、その衣類により押されて扉5が開いてしまう可能性も低くなる。そのため、ドラム7内の衣類の量が少なく扉5が意図せず開いてしまうおそれが少ない場合に、扉5が無用に本ロック状態のまま維持されてしまうことを回避することができる。
【0044】
(第3実施形態)
図12に例示するように、本実施形態では、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持したまま行うソフトキープ行程の実行中において、ドラム7が回転しているときに所定の操作が入力された場合には、ドラム7の回転を停止させてから扉5の本ロック状態を解除する。即ち、
図13に例示するように、制御装置60は、制御プログラムを実行することにより、さらに、回転判定処理部88をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、回転判定処理部88は、ハードウェアにより構成してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより構成してもよい。回転判定処理部88は、回転判定手段の一例であり、洗濯乾燥機1に所定の操作が入力されると、洗濯機モータ72の駆動状態、例えば、回転速度などに基づいて、ドラム7が回転しているか否かを判定する。この場合、回転判定処理部88は、上述した本ロック解除用キーが操作されると、所定の操作が入力されたと判定するように設定されている。
【0045】
そして、
図12に例示するように、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持したまま行うソフトキープ行程の実行中において、洗濯乾燥機1に所定の操作が入力されたか否かを判定する(C1)。そして、制御装置60は、所定の操作、この場合、本ロック解除用キーの操作が入力されると(C1:YES)、ドラム7が回転しているか否かを判定する(C2)。制御装置60は、洗濯乾燥機1に所定の操作が入力されたときにドラム7が回転していない場合(C2:NO)には、直ちに、扉5の本ロック状態を解除して(C3)、扉5を仮ロック状態に切り換える(C4)。一方、制御装置60は、洗濯乾燥機1に所定の操作が入力されたときにドラム7が回転している場合(C2:YES)には、ドラム7の回転を停止させる(C5)。そして、制御装置60は、ドラム7の回転を停止させると、扉5の本ロック状態を解除して(C3)、扉5を仮ロック状態に切り換える(C4)。
【0046】
本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持したまま行うソフトキープ行程の実行中において、所定の操作、この場合、扉5の本ロック状態を解除するための操作が入力された場合には、ドラム7が回転しているか否かを判定する。そして、制御装置60は、ドラム7が回転していないことを条件に、扉5の本ロック状態を解除して仮ロック状態に切り換える。仮ロック状態に切り換えられた扉5は、内部からの押圧力により意図せず開いてしまう可能性がある。本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、ドラム7が回転している状態で扉5が意図せず開いてしまうことを回避することができ、安全性を向上することができる。
【0047】
なお、制御装置60は、乾燥行程の開始前あるいは実行中に、扉5の本ロック状態を解除するための操作が入力された場合には、乾燥行程が終了したときに、ドラム7が回転していないことを条件に扉5を仮ロック状態に切り換えるように構成してもよい。即ち、乾燥行程の開始前あるいは実行中における扉5の本ロック状態を解除するための操作入力は、乾燥行程が終了したら直ちに衣類を取り出したいというユーザの意思表示として捉えることができる。そのため、乾燥行程の開始前あるいは実行中に扉5の本ロック状態を解除するための操作入力があった場合に、乾燥行程終了時に、ドラム7が回転していないことを条件に扉5を開けられるようにすることで、安全性を確保しつつ、扉5を開けたいというユーザの要求を速やかに満たすことができる。
【0048】
(第4実施形態)
図14に例示するように、本実施形態では、洗濯乾燥機1は、扉開用操作ボタン90を備えている。扉開用操作ボタン90は、扉開用操作部の一例であり、ユーザにより操作される機械的なボタンである。扉5が仮ロック状態に切り換えられている状態で扉開用操作ボタン90が操作されると、扉5のラッチ11がロック装置本体13の係止部17に係止した状態が解除され、扉5が若干開放方向側に回動するようになっている。なお、仮に扉5が本ロック状態に切り換えられている状態で扉開用操作ボタン90が操作されたとしても、扉5のラッチ11がロック装置本体13の係止部17に係止した状態を解除することはできず、従って、扉5を開けることはできない。また、洗濯乾燥機1には、扉開用操作ボタン90が操作されたことを検知する図示しない検知センサが備えられており、制御装置60は、この検知センサによる検知結果に基づいて、扉開用操作ボタン90が操作されたことを認識できるようになっている。
【0049】
そして、
図15に例示するように、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持したまま行うソフトキープ行程の実行中において、ドラム7が回転しているときに扉開用操作ボタン90が操作された場合には、ドラム7の回転を停止させてから扉5の本ロック状態を解除するようになっている。即ち、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持したまま行うソフトキープ行程の実行中において、扉開用操作ボタン90が操作されたか否かを判定する(D1)。そして、制御装置60は、扉開用操作ボタン90が操作されると(D1:YES)、ドラム7が回転しているか否かを判定する(D2)。制御装置60は、扉開用操作ボタン90が操作されたときにドラム7が回転していない場合(D2:NO)には、直ちに、扉5の本ロック状態を解除して(D3)、扉5を仮ロック状態に切り換える(D4)。一方、制御装置60は、扉開用操作ボタン90が操作されたときにドラム7が回転している場合(D2:YES)には、ドラム7の回転を停止させる(D5)。そして、制御装置60は、ドラム7の回転を停止させると、扉5の本ロック状態を解除して(D3)、扉5を仮ロック状態に切り換える(D4)。
【0050】
本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、制御装置60は、扉5を本ロック状態に維持したまま行うソフトキープ行程の実行中において、扉開用操作ボタン90が操作された場合には、ドラム7が回転しているか否かを判定する。そして、制御装置60は、ドラム7が回転していないことを条件に、扉5の本ロック状態を解除して仮ロック状態に切り換える。仮ロック状態に切り換えられた扉5は、内部からの押圧力により意図せず開いてしまう可能性がある。本実施形態に係る洗濯乾燥機1によれば、ドラム7が回転している状態で扉5が意図せず開いてしまうことを回避することができ、安全性を向上することができる。
【0051】
また、扉開用操作ボタン90は、扉5を開けようとするユーザが操作する要素である。そのため、この扉開用操作ボタン90が操作されたことをトリガとして、ドラム7が回転していないことを条件に扉5を開けられるようにすることで、安全性を確保しつつ、扉5を開けたいというユーザの要求を速やかに満たすことができる。
【0052】
なお、扉5の手掛け部8に、ユーザの指が接触したことを検知する接触センサを設け、この接触センサを扉開用操作部として機能させるように構成してもよい。この場合、制御装置60は、接触センサの検知結果に基づいて、ユーザが手掛け部8に接触した状態が所定時間以上継続していると判定した場合に、ドラム7が回転していないことを条件に扉5を仮ロック状態に切り換えるように構成するとよい。
【0053】
また、ユーザが洗濯乾燥機1に近接したことを検知する近接センサを設け、制御装置60は、この近接センサの検知結果に基づいて、ユーザが洗濯乾燥機1に近接した状態が所定時間以上継続していると判定した場合に、ドラム7が回転していないことを条件に扉5を仮ロック状態に切り換えるように構成してもよい。即ち、ユーザが所定時間以上継続して洗濯乾燥機1の近傍に存在しているのであれば、そのユーザは、内部の衣類を取り出すために扉5を開けようとしている可能性が高い。よって、このような状態、つまり、ユーザが洗濯乾燥機1の近傍にある程度継続して存在している状態において、ドラム7が回転していないことを条件に扉5を開けられるようにすることで、安全性を確保しつつ、扉5を開けたいというユーザの要求を速やかに満たすことができる。
【0054】
(その他の実施形態)
本実施形態は、上述した複数の実施形態に限られるものではなく、例えば、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述した複数の実施形態を組み合わせて実施してもよい。また、報知処理部86による報知処理は、表示による視覚的な報知手段により行うように構成してもよいし、聴覚的な報知手段と視覚的な報知手段を組み合わせて行うように構成してもよい。また、ロック機構部15の電気的作動部材としては、電磁ソレノイド24に代えてモータを用いてもよい。また、本実施形態は、衣類の洗濯機能を有さない乾燥専用の機器にも適用することができる。
【0055】
上述した複数の実施形態に係る洗濯機によれば、乾燥行程の実行中および乾燥行程が終了してから所定時間が経過するまでは扉が本ロック状態で維持され、乾燥行程が終了してから所定時間が経過すると本ロック状態が解除される。この構成によれば、衣類を乾燥する乾燥行程の終了後においても、所定時間が経過するまでは扉の本ロック状態が維持される。よって、乾燥行程の終了後において扉が意図せず開いてしまうことを回避することができる。
【0056】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、2は本体、4は衣類出入口、5は扉、7はドラム(回転槽)、10は扉ロック装置、50は水槽(乾燥室)、84は乾燥行程実行処理部(乾燥行程実行手段)、85はソフトキープ行程実行処理部(ソフトキープ行程実行手段)、86は報知処理部(報知手段)、87はロック状態制御処理部(ロック状態制御手段)、88は回転判定処理部(回転判定手段)、90は扉開用操作ボタン(扉開用操作部)を示す。