(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】エレベータロープガイドシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 7/06 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
B66B7/06 H
(21)【出願番号】P 2018093411
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】宮島 弘光
(72)【発明者】
【氏名】目黒 大輔
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敦規
(72)【発明者】
【氏名】福山 貴子
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-209031(JP,A)
【文献】特開2007-284222(JP,A)
【文献】特開2011-073836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0113901(US,A1)
【文献】特開2014-162587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの主ロープの揺動を制限する複数のロープガイドであって、エレベータかご及び/またはつり合いおもりの上方に位置し、昇降路に沿って垂直に移動が可能である前記複数のロープガイドと、
対応するロープガイドを停止させるようにそれぞれ構成された複数の停止機構であって、前記昇降路に沿って中間の種々の高さに配置されている前記複数の停止機構、を備える、エレベータロープガイドシステムであって
、
前
記ロープガイドは、前記エレベータかごまたはつり合いおもりが上昇するにつれて、前記エレベータかごまたはつり合いおもりによって収集され、また、前記エレベータかごまたはつり合いおもりが下降するにつれて、対応する停止機構によって停止さ
れ、
前記ロープガイドは、前記エレベータかご及び/またはつり合いおもりの両側に配置されたエレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールに沿って摺動するように構成され、各停止機構は、各エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールにそれぞれ設けられた一対の止め具を含み、
少なくとも1つのロープガイドは、前記エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールと対向する両側部に少なくとも1つのノッチを含み、前記停止機構の前記止め具は、前記エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールから内側にそれぞれ突出する少なくとも1つの突起を含む、エレベータロープガイドシステム。
【請求項2】
各ロープガイドは、対応する停止機構と係合し、前記ノッチは、前記ロープガイドが前記対応する停止機構の上に位置する前記停止機構を通過できるように構成されている、請求項
1に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項3】
前記ノッチ及び前記突起が垂直に配向している、請求項
2に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのノッチを両側部に含む複数のロープガイドがあり、上部ロープガイドに形成された前記ノッチが有する幅w1は、下部ロープガイドに形成された前記ノッチ
の幅w2よりも小さい、請求項
3に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項5】
上部停止機構の前記突起は、下部停止機構の前記突起の最大幅W2よりも小さい最大幅W1を有する、請求項
4に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項6】
前記停止機構の前記突起が、種々の横方向位置に段階的にずれている、請求項
2に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのノッチを両側部に含む複数のロープガイドがあり、上部ロープガイドに形成された前記ノッチが有する幅は、下部ロープガイドに形成された前記ノッチの前記幅よりも小さい、請求項
6に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項8】
前記ロープガイドは、前記主ロープと接触して回転するローラを備える、請求項1に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項9】
前記ロープガイドは、中空ゴム体を含む少なくとも1つの緩衝器を備える、請求項1に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項10】
前記緩衝器は、永久磁石を更に含む、請求項
9に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項11】
前記永久磁石は、同極を互いに向かい合わせて、近傍のロープガイドの永久磁石に対向するように配置される、請求項
10に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項12】
前記停止機構の前記止め具は、それぞれ2つの止め具部材を含み、前記止め具部材は、前記エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールの内側に突出する突起をそれぞれ含む、請求項
1に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項13】
前記止め具部材は、前記エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールに取り付けられる、請求項
12に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項14】
前記突起は、上端部及び下端部にテーパ部分のある垂直断面を有する、請求項
12に記載のエレベータロープガイドシステム。
【請求項15】
昇降路内に配置されたエレベータかご及びつり合いおもりと、
前記エレベータかご及びつり合いおもりをそれぞれ案内するためのガイドレールであって、前記エレベータかご及びつり合いおもりの両側の前記昇降路の壁に設けられた前記ガイドレールと、
前記エレベータかご及びつり合いおもりを吊り上げるための少なくとも1つの主ロープと、
ロープガイドシステムを備え、前記ロープガイドシステムは、
前記少なくとも1つの主ロープの揺動を制限する複数のロープガイドであって、前記エレベータかご及び/またはつり合いおもりの上方に位置し、前記昇降路に沿って垂直に移動が可能である前記複数のロープガイドと、
対応するロープガイドを停止させるようにそれぞれ構成された複数の停止機構であって、前記昇降路に沿って中間の種々の高さに配置されている前記複数の停止機構を含む、エレベータシステムであって、
前
記ロープガイドは、前記エレベータかごまたはつり合いおもりが上昇するにつれて、前記エレベータかごまたはつり合いおもりによって収集され、また、前記エレベータかごまたはつり合いおもりが下降するにつれて、対応する停止機構によって停止さ
れ、
前記ロープガイドは、前記エレベータかご及び/またはつり合いおもりの両側に配置されたエレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールに沿って摺動するように構成され、各停止機構は、各エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールにそれぞれ設けられた一対の止め具を含み、
少なくとも1つのロープガイドは、前記エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールと対向する両側部に少なくとも1つのノッチを含み、前記停止機構の前記止め具は、前記エレベータ及び/またはつり合いおもりガイドレールから内側にそれぞれ突出する少なくとも1つの突起を含む、エレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全体として、エレベータシステムに関する。より詳細には、この発明は、高層建築物における主ロープの揺れを制限するためのエレベータロープガイドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、例えば、建物内の様々な階の間で乗客を運ぶのに有用である。エレベータシステムには、様々な既知の型がある。エレベータシステムにどのような種類の構成要素が含まれるかは、設計上の種々の考慮事項によって規定される。例えば、高層建築物のエレベータシステムは、数フロアしかないビルのエレベータシステムとは違った、種々の要件を有する。
【0003】
多くの高層建築物に存在する一つの課題は、様々な条件下でロープの揺れを経験する傾向があることである。例えば、建物は地震や強風に応答して動くため、ロープの揺れは、地震や非常に強い風の状況の中で発生する可能性がある。建物が動くと、エレベータかごとつり合いおもりを連携する長いロープが左右に揺れる傾向がある。過剰にロープが揺れる状況は、主に2つの理由から望ましくない。つまり、昇降路内のロープまたは他の機器に損傷を与え得ること、及びその動きによってエレベータかご内に不快なレベルの振動が生じ得ること、である。
【0004】
一つのエレベータロープガイドシステムが、1972年5月30日に発行された米国特許第3,666,051号に示されている。この特許は、エレベータのケーブルを通すガイド部材と、ガイド部材が中間位置の下に落下することを防止するためにガイドレール上に支持された一対のストッパとを備えるオープンシャフトエレベータのためのケーブルスタビライザを開示している。このケーブルスタビライザは、屋外エレベータまたは低層ビルのエレベータでは動作し得るが、ロープの長い高層ビルには適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記及び他の考察に鑑みて、高層建築物のエレベータシステムで使用するためのエレベータロープガイドシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、エレベータロープガイドシステムは、少なくとも1つの主ロープの揺動を制限する複数のロープガイドと、対応するロープガイドを停止させるようにそれぞれ構成された複数の停止機構を備える。ロープガイドは、エレベータかご及び/またはつり合いおもりの上方に位置し、昇降路に沿って垂直に移動が可能である。停止機構は、昇降路に沿って中間の種々の高さに配置されている。エレベータロープガイドは、エレベータかごまたはつり合いおもりが上昇するにつれて、エレベータかごまたはつり合いおもりによって収集され、また、エレベータかごまたはつり合いおもりが下降するにつれて、対応する停止機構によって停止される。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、エレベータシステムは、昇降路内に配置されたエレベータかご及びつり合いおもりと、エレベータかご及びつり合いおもりをそれぞれ案内するためのガイドレールと、エレベータかご及びつり合いおもりを吊り上げるための少なくとも1つの主ロープと、ロープガイドシステムを備える。ガイドレールは、エレベータかご及びつり合いおもりの両側の昇降路の壁にそれぞれ設けられている。ロープガイドシステムは、少なくとも1本の主ロープの揺動を制限する複数のロープガイドと、対応するロープガイドを停止させるようにそれぞれ構成された複数の停止機構を備える。ロープガイドは、エレベータかご及び/またはつり合いおもりの上方に位置し、昇降路に沿って垂直に移動が可能である。停止機構は、昇降路に沿って中間の種々の高さに配置されている。エレベータロープガイドは、エレベータかごまたはつり合いおもりが上昇するにつれて、エレベータかごまたはつり合いおもりによって収集され、また、エレベータかごまたはつり合いおもりが下降するにつれて、対応する停止機構によって停止される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のエレベータロープガイドシステムを含むエレベータシステムの概略図である。
【
図2】
図1のエレベータロープガイドシステムのロープガイドの部分断面正面図である。
【
図4A】
図1のエレベータロープガイドシステムのロープガイドの部分概略図である。
【
図4B】
図1のエレベータロープガイドシステムのロープガイドの部分概略図である。
【
図4C】
図1のエレベータロープガイドシステムのロープガイドの部分概略図である。
【
図5A】ガイドレールに支持された
図1のエレベータロープガイドシステムの止め具の部分概略図である。
【
図5B】ガイドレールに支持された
図1のエレベータロープガイドシステムの止め具の部分概略図である。
【
図5C】ガイドレールに支持された
図1のエレベータロープガイドシステムの止め具の部分概略図である。
【
図6A】互いに重なり合う
図4及び
図5のロープガイド及び止め具の部分概略図である。
【
図6B】互いに重なり合う
図4及び
図5のロープガイド及び止め具の部分概略図である。
【
図6C】互いに重なり合う
図4及び
図5のロープガイド及び止め具の部分概略図である。
【
図7A】
図4及び
図5のロープガイド及び止め具の係合位置における垂直断面図である。
【
図7B】
図4及び
図5のロープガイド及び止め具の係合位置における垂直断面図である。
【
図7C】
図4及び
図5のロープガイド及び止め具の係合位置における垂直断面図である。
【
図8A】本発明のロープガイド及び止め具のさらなる実施形態を示す図である。
【
図8B】本発明のロープガイド及び止め具のさらなる実施形態を示す図である。
【
図8C】本発明のロープガイド及び止め具のさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明の項では、図面を参照した例によって、利点及び特徴とともに本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明のエレベータシステム1の選択された部分を概略的に示す。エレベータかご2は、従来のようにエレベータかご2の両側の昇降路壁(図示せず)上にそれぞれ配置されたT形状のガイドレール3に沿って案内される。複数本の主ロープ4は、エレベータかご2をつり合いおもり(図示せず)に連結する。主ロープ4は、エレベータかご2とつり合いおもりの重さを支え、それらを昇降路内の所望の方向に推進する。この実施形態では、主ロープ4は丸鋼ロープを備えるが、主ロープ4は、複数の垂直方向に延びるワイヤコードと、ワイヤコードを覆う被覆とを含むベルトを備えてもよい。本発明の一実施形態に従って設計された特徴を含むエレベータシステムでは、様々なロープ構成を用いることができる。
【0011】
図1の左側には、エレベータかごが最も低い位置に示される。複数のロープガイド6は、昇降路に沿って、中間の種々の高さでエレベータかご2の上方に配置される。この実施形態では、上部ロープガイド6a、中間ロープガイド6b及び下部ロープガイド6cの3つのロープガイド6がある。ロープガイド6は、その両端のガイドレール3に、摺動自在にかみ合うように構成されている。複数の対の止め具8が、それぞれの高さで対応するロープガイド6を支持するように、昇降路に沿って中間の種々の高さでガイドレール3に支持されている。この実施形態では、一対の上部止め具8a、一対の中間止め具8b及び一対の下部止め具8cの3対の止め具8がある。
【0012】
図1の右側には、エレベータかご2が最上位の位置に示される。エレベータかご2が上昇するにつれて、複数のロープガイド6がエレベータかご2の上に収集され、エレベータかご2とともにガイドレール3に沿って上昇する。エレベータかご2が下降して
図1の左側に示された位置に戻るときに、各ロープガイド6は、対応する止め具8によってそれぞれの位置より下に降りることが防止される。当然のことながら、止め具8は、エレベータかご2のガイドと干渉しないように配置される。
【0013】
エレベータかご2の上部には、ロープガイド6との衝突を吸収するための緩衝材9が設けられている。緩衝材9は、調整ユニット10上に配置されたゴム材料を備えることができる。調整ユニット10は、緩衝材9がエレベータかご2の上に配置された構成要素と干渉しない位置でロープガイド6に接触して保持するように、緩衝材9の高さを調整することができる。
【0014】
図2及び
図3は、ロープガイド6の一例を示す。ロープガイド6は、ガイドレール3に面する第1端部12及び第2端部13と、第1及び第2端部12及び13に垂直な第1側面14及び第2側面15と、上面16及び下面17とを有した長方形のフレーム11を備えている。フレーム11は、主ロープ4を貫通させるための窓18を備えている。窓18には、長手方向の一対のローラ19と、この長手方向のローラ19に垂直な側方の一対のローラ20とが組み込まれている。ローラ19及び20は主ロープ4を囲っており、ローラ19及び20間の間隔は、主ロープ4の望ましくない量の横方向移動が生じている場合を除いて、ローラ19及び20と主ロープ4との間の接触を最小限に抑えている。揺動状態の下では、ローラ19及び20は、主ロープ4との接触に応答して軸の回りに回転し、主ロープ4の揺動を制限する。
【0015】
フレーム11は、2つの部品21a及び21bに分けられるフレーム本体21と、フレーム本体21の両端の側部22a及び22bとを含み、フレーム11の組み立てを容易にすることができる。主ロープ4とローラ19及び20との間の接触に起因するガイドレール3への振動の伝達を低減するために、フレーム本体21と側部22の間に緩衝ゴム23を設けてもよい。
【0016】
緩衝器24は、フレームの上面16及び下面17に設けられている。この実施形態では、4つの緩衝器24がフレーム11の各面16及び17に設けられ、2つの緩衝器24が窓18の両側にそれぞれ取り付けられている。緩衝器24は、中空ゴム体25をそれぞれ含み、永久磁石26が中空ゴム本体25の上面または近くに取り付けられている。ロープガイド6がエレベータかご2によって収集されるときに、エレベータかご2は、止め具8上に載っているロープガイド6に衝突する。中空ゴム体25は、ロープガイド6とエレベータかご2の緩衝材9との間、及びロープガイド6間の衝撃を吸収する。永久磁石26は、近傍のロープガイド6の永久磁石26に対向するように配置されている。対向する永久磁石26は、互いに磁気的に作用するように同極が向かい合わせで配置されており、衝撃の影響を減少させる。ロープガイド6と同じように、エレベータかご2の緩衝材9もまた、中空ゴム体及び永久磁石を備えることができる。
【0017】
フレーム11の第1及び第2端部12及び13は、対向するガイドレール3とのかみ合わせのための凹部27をそれぞれ有している。凹部27は、ロープガイド6がガイドレール3に沿って摺動できるように、Teflon(登録商標)で被覆されていてもよい。中間ロープガイド6b及び下部ロープガイド6cは、フレーム11両端部12及び13の凹部27両側にノッチ28を有している。
【0018】
図4から
図6は、ロープガイド6と止め具8の寸法関係を示す。
図4Aは上部ロープガイド6aを示し、
図4Bは中間ロープガイド6bを示し、
図4Cは下部ロープガイド6cを示す。上部ロープガイド6aはノッチを有していない。中間ロープガイド6bは、幅w1のノッチ28bを有している。下部ロープガイド6cは、w1よりも大きな幅w2(w1<w2)のノッチ28cを有している。
【0019】
図5Aから
図5Cを参照すると、一対の止め具8の各止め具は、ガイドレール3の反対側の突縁部にそれぞれ付けられた2つの止め具部材30を含んでいる。止め具部材30は、ガイドレール3から内側に突出する部分31をそれぞれ有している。
図5Aに示すように、上部止め具8aの止め具部材30aの突起部分31aの最大幅はW1である。
図5Bに示すように、中間止め具8bの止め具部材30bの突起部分31bの最大幅W2はW1よりも大きく、
図5Cに示すように、下部止め具8cの止め具部材30cの突起部分31cの最大幅W3はW2よりも大きい(W1<W2<W3)。
図6は、ロープガイド6を止め具8と重ねて示す。
【0020】
この実施形態では、W1はw1及びw2よりも小さく、W2はw1より大きくてw2よりは小さく、W3はw2よりも大きい。このような寸法の関係から、エレベータかご2が
図1の右側に示した最上の位置から下降して上部止め具8aを通過する際に、下部ロープガイド6c及び中間ロープガイド6bは上部止め具8aを通過することができるが、上部ロープガイド6aは上部止め具8aに接触して停止する。エレベータかご2が、更に下降して中間止め具8bを通過すると、下部ロープガイド6cは中間止め具8bを通過することができるが、中間ロープガイド6bは中間止め具8bと係合して停止する。エレベータかご2が、更に下降して下部止め具8cを通過すると、下部ロープガイド6cは下部止め具8cと係合して停止する。このようにして、エレベータが下降するにつれて、ロープガイド6は、昇降路に沿ったそれぞれの高さで、対応する一対の止め具8によって停止される。
【0021】
図7Aから
図7Cは、ロープガイド6と、係合位置における止め具8の止め具部材30の突起部分31の垂直断面図を示す。突起部分31は、ガイドレール3と平行な長手方向に細長い矩形部分と、この矩形部分の上下のテーパ状の二等辺三角形部分とをもつ六角形の断面を有する。
【0022】
図7Aは、上部止め具8aの止め具部材30aに係合された上部ロープガイド6aを示す。止め具部材30aは、突起部分31aの上部ロープガイド6aと対向する先端にゴム等の衝撃吸収材32を含んでいてもよい。
図7Bは、中間止め具8bの止め具部材30bに係合された中間ロープガイド6bを示し、
図7Cは、下部止め具8cの止め具部材30cに係合された下部ロープガイド6cを示す。これらの図から分かるように、止め具部材30の突起部分31とロープガイド6のノッチ28とは垂直に配向している。止め具部材30の突起部分31の先細の断面形状は、ロープガイド6が止め具8を円滑に通過させることを可能にし、及び/または、ロープガイド6及び止め具8がロープガイド6の揺動などによって少しずれたとしても、止め具8がロープガイド6を正確に停止させることを可能にする。ノッチ28は、ゴムなどの衝撃吸収材料や、または止め具8との衝突を吸収するためのばねのような機械的緩衝器を含んでもよい。
【0023】
図8Aから
図8Cは、本発明のロープガイド及び止め具の別の実施形態を開示する。
図8Aは、上部ロープガイド16a及び上部止め具18aを示し、
図8Bは、中間ロープガイド16b及び中間止め具18bを示し、
図8Cは、下部ロープガイド16c及び下部止め具18cを示す。
【0024】
本実施形態では、
図8Aに示す外側位置からガイドレール3のシャンク部に近い内側位置まで、
図8B及び
図8Cに示すように、止め具18の突起部分131を横方向に段階的に位置をずらしてある。上部ロープガイド16aにはノッチが設けられていない。中間ロープガイド16bに形成されたノッチ128bは、中間ロープガイド16bが上部止め具18aを通過することができるが、中間止め具18bを通過することができないような幅及び位置を有する。下部ロープガイド16cに形成されたノッチ128cは、下部ロープガイド16cが上部止め具18a及び中間止め具18bを通過できるが、下部止め具18cを通過することができないような幅及び位置を有する。中間ロープガイド16bに形成されたノッチ128bの幅は、下部ロープガイド16cに形成されたノッチ128cの幅よりも小さい。止め具18及びノッチ128の構成により、エレベータかご2が下降するにつれて、ロープガイド16が昇降路に沿ってそれぞれの高さで停止する。
【0025】
この実施形態において、止め具部材130の突起部分131の垂直断面は、先端に衝撃吸収材料を用いた
図7Aに示す止め具部材30aと同様の形状を有することができる。
【0026】
本発明のエレベータロープガイドシステムは、エレベータかごに関して説明したが、つり合いおもりにも同様に適用することができることを理解されたい。
【0027】
本発明を限定された数の実施形態に関連して詳細に説明したが、本発明はそのような開示された実施形態に限定されないことは容易に理解されるべきである。むしろ、本発明は、本明細書のこれまでに記載されていない任意の数の変形、変更、置換または等価の構成を組み込むように変更することができるが、本発明の趣旨及び範囲に相応する。更に、本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の態様は記載された実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。したがって、本発明は、上記の説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。