(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
F02F 1/14 20060101AFI20230208BHJP
F02F 1/10 20060101ALI20230208BHJP
F01P 3/02 20060101ALI20230208BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
F02F1/14 Z
F02F1/10 B
F01P3/02 M
F01P7/16 505F
(21)【出願番号】P 2018095529
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-03-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 浩
(72)【発明者】
【氏名】下川 聡
(72)【発明者】
【氏名】大里 拓也
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 将人
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】堀間 大智
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-050151(JP,U)
【文献】特開2003-129841(JP,A)
【文献】特開2016-196853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00- 1/42
F02F 7/00
F01P 1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダの周囲に設けられ、冷却液を流通させる第1冷却液通路が形成されたシリンダブロックと、
前記冷却液を流通させる第2冷却液通路が形成され、前記シリンダブロックに固定されるシリンダヘッドと、
前記シリンダヘッドと前記シリンダブロックとの間に配置され、前記第1冷却液通路と前記第2冷却液通路とを連通させる複数の流通孔が、前記第2冷却液通路における前記冷却液の流れ方向に並んで形成されたヘッドガスケットと、
前記複数の流通孔に対してそれぞれ設けられ、前記冷却液の液温に応じて前記流通孔を開閉するバルブと、
を備え、
前記シリンダブロックには、
前記第2冷却液通路側から、前記流通孔を通って、前記第1冷却液通路側へ流通した前記冷却液が、前記第1冷却液通路から前記シリンダブロック外へと
導出されるための第1導出口が設けられ、
前記シリンダヘッドには、前記シリンダヘッド外から前記第2冷却液通路へ前記冷却液を導入するための導入口と、前記第2冷却液通路から前記シリンダヘッド外へ前記冷却液を導出するための第2導出口とが設けられ、
前記導入口から導入された前記冷却液を、前記第2導出口から導出する
第1の場合と、前記第1導出口および前記第2導出口から導出する
第2の場合とを切り替え可能であ
り、
前記第1の場合において、前記第2導出口から導出された前記冷却水をラジエータを経由させずに、前記導入口へと導き、
前記第2の場合において、前記第1導出口から導出された前記冷却水と、前記第2導出口から導出された前記冷却水とを合流させ、合流した前記冷却水を前記ラジエータを経由させて、前記導入口へと導く場合と、合流した前記冷却水を前記ラジエータを経由させずに、前記導入口へと導く場合とを切り替え可能であることを特徴とするエンジン。
【請求項2】
複数のシリンダの周囲に設けられ、冷却液を流通させる第1冷却液通路が形成されたシリンダブロックと、
前記冷却液を流通させる第2冷却液通路が形成され、前記シリンダブロックに固定されるシリンダヘッドと、
前記シリンダヘッドと前記シリンダブロックとの間に配置され、前記第1冷却液通路と前記第2冷却液通路とを連通させる複数の流通孔が、前記第2冷却液通路における前記冷却液の流れ方向に並んで形成されたヘッドガスケットと、
前記複数の流通孔
の全てに対してそれぞれ設けられ、前記冷却液の液温に応じて前記流通孔を開閉するバルブと、
を備え、
前記シリンダブロックには、前記第1冷却液通路から前記シリンダブロック外へ前記冷却液を導出するための第1導出口が設けられ、
前記シリンダヘッドには、前記シリンダヘッド外から前記第2冷却液通路へ前記冷却液を導入するための導入口と、前記第2冷却液通路から前記シリンダヘッド外へ前記冷却液を導出するための第2導出口とが設けられ、
前記導入口から導入された前記冷却液を、前記第2導出口から導出する場合と、前記第1導出口および前記第2導出口から導出する場合とを切り替え可能であることを特徴とするエンジン。
【請求項3】
前記第2冷却液通路における下流側に位置する前記バルブは、前記第2冷却液通路における上流側に位置する前記バルブよりも先に前記流通孔を開状態とする請求項1
または2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記バルブは、前記冷却液が所定の液温以下である場合に、前記流通孔を閉状態にし、前記冷却液が所定の液温より高い場合に、前記流通孔を開状態にする請求項1
から3のいずれか一項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エンジンにおいて、シリンダブロックやシリンダヘッド等に冷却液が流通するための冷却液通路を設け、冷却液通路内に冷却液を循環させることで、シリンダブロックやシリンダヘッド等の冷却を行っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冷却液通路を流通するにしたがって、冷却液の液温が上昇するため、冷却液通路における上流側と下流側とでは、冷却効果に大きな違いが生じてしまい、暖機時間が長くなってしまうといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、暖機時間を短縮することが可能なエンジンを提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のエンジンは、複数のシリンダの周囲に設けられ、冷却液を流通させる第1冷却液通路が形成されたシリンダブロックと、冷却液を流通させる第2冷却液通路が形成され、シリンダブロックに固定されるシリンダヘッドと、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に配置され、第1冷却液通路と第2冷却液通路とを連通させる複数の流通孔が、第2冷却液通路における冷却液の流れ方向に並んで形成されたヘッドガスケットと、複数の流通孔に対してそれぞれ設けられ、冷却液の液温に応じて流通孔を開閉するバルブと、を備え、シリンダブロックには、第2冷却液通路側から、流通孔を通って、第1冷却液通路側へ流通した冷却液が、第1冷却液通路からシリンダブロック外へと導出されるための第1導出口が設けられ、シリンダヘッドには、シリンダヘッド外から第2冷却液通路へ冷却液を導入するための導入口と、第2冷却液通路からシリンダヘッド外へ冷却液を導出するための第2導出口とが設けられ、導入口から導入された冷却液を、第2導出口から導出する第1の場合と、第1導出口および第2導出口から導出する第2の場合とを切り替え可能であり、第1の場合において、第2導出口から導出された冷却水をラジエータを経由させずに、導入口へと導き、第2の場合において、第1導出口から導出された冷却水と、第2導出口から導出された冷却水とを合流させ、合流した冷却水をラジエータを経由させて、導入口へと導く場合と、合流した冷却水をラジエータを経由させずに、導入口へと導く場合とを切り替え可能であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明のエンジンは、複数のシリンダの周囲に設けられ、冷却液を流通させる第1冷却液通路が形成されたシリンダブロックと、冷却液を流通させる第2冷却液通路が形成され、シリンダブロックに固定されるシリンダヘッドと、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に配置され、第1冷却液通路と第2冷却液通路とを連通させる複数の流通孔が、第2冷却液通路における冷却液の流れ方向に並んで形成されたヘッドガスケットと、複数の流通孔の全てに対してそれぞれ設けられ、冷却液の液温に応じて流通孔を開閉するバルブと、を備え、シリンダブロックには、第1冷却液通路からシリンダブロック外へ冷却液を導出するための第1導出口が設けられ、シリンダヘッドには、シリンダヘッド外から第2冷却液通路へ冷却液を導入するための導入口と、第2冷却液通路からシリンダヘッド外へ冷却液を導出するための第2導出口とが設けられ、導入口から導入された冷却液を、第2導出口から導出する場合と、第1導出口および第2導出口から導出する場合とを切り替え可能であることを特徴とする。
【0007】
また、第2冷却液通路における下流側に位置するバルブは、第2冷却液通路における上流側に位置するバルブよりも先に流通孔を開状態とするとよい。
【0008】
また、バルブは、冷却液が所定の液温以下である場合に、流通孔を閉状態にし、冷却液が所定の液温より高い場合に、流通孔を開状態にするとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、暖機時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】エンジンの暖機時における冷却液の流れを説明する図である。
【
図3】エンジンの暖機時における冷却液の流れを説明する図である。
【
図4】エンジンの暖機時における冷却液の流れを説明する図である。
【
図5】エンジンの暖機時における冷却液の流れを説明する図である。
【
図6】エンジンの暖機時における冷却液の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、エンジン1の構成を説明する図である。エンジン1は、
図1に示すように、シリンダブロック2と、シリンダブロック2に固定されるシリンダヘッド3と、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間に配置されるヘッドガスケット4とが設けられている。
【0013】
シリンダブロック2は、シリンダ5a~5dが複数設けられている。シリンダブロック2に形成されたシリンダ5a~5d内には、不図示のピストンが摺動自在に配される。そして、シリンダヘッド3と、各シリンダ5a~5dと、ピストンの冠面とによって囲まれた空間が燃焼室として形成されることとなる。
【0014】
また、シリンダブロック2には、シリンダヘッド3を固定するための不図示のヘッドボルトと螺合する複数のネジ穴11aが設けられている。また、各シリンダ5a~5dの周囲には、冷却液が流通する第1冷却液通路7aが設けられている。第1冷却液通路7aには、後述するヘッドガスケット4に形成されている流通孔10a~10eを介して冷却液が導入される。また、第1冷却液通路7aにおける流通孔10a、10eに対応する位置には、流通孔10a、10eを介して冷却液を導入するための窪み部13が形成されている。また、シリンダブロック2には、第1冷却液通路7aを流通した冷却液をシリンダブロック2外へ導出する第1導出口8b(
図2参照)が設けられている。
【0015】
シリンダヘッド3には、シリンダブロック2の複数のネジ穴11aと対応する位置に貫通形成された複数のボルト挿通孔11bが設けられている。また、シリンダヘッド3には、シリンダヘッド3内に冷却液を導入する導入口8aと、導入口8aから導入した冷却液をシリンダヘッド3内に流通させる第2冷却液通路7bと、シリンダヘッド3内を流通した冷却液をシリンダヘッド3外へ導出する第2導出口8cが設けられている。また、第2冷却液通路7bは、第1冷却液通路7aにおける各シリンダ5a~5dの間、および、窪み部13に冷却液を導出可能とするための脚部12が複数(10個)設けられている。
【0016】
ヘッドガスケット4は、複数枚(例えば、3枚)の金属板を接合した積層型メタルガスケットであって、その全体形状はシリンダブロック2の上面およびシリンダヘッド3の下面と略同一の形状を有している。また、ヘッドガスケット4には、シリンダブロック2の各ネジ穴11aおよびシリンダヘッド3の各ボルト挿通孔11bと対応する位置に貫通形成された複数のボルト挿通孔11cが設けられている。また、ヘッドガスケット4には、第1冷却液通路7aにおける各シリンダ5a~5dの間、および、窪み部13と、第2冷却液通路7bの脚部12とに対応する位置に貫通形成された複数の流通孔10a~10eが設けられている。そして、各流通孔10a~10eには、バルブ6a~6eが挿入されている。
【0017】
バルブ6a~6eは、サーモスタットバルブであり、第2冷却液通路7bを流通する冷却液が所定の液温(以下、第1の温度と言う。第1の温度は、例えば、80℃)未満の場合には、第2冷却液通路7bから第1冷却液通路7aへ冷却液を流通させない閉状態となる。一方、バルブ6a~6eは、第2冷却液通路7bを流通する冷却液が第1の温度以上の場合には第2冷却液通路7bから第1冷却液通路7aへ冷却液を流通させる開状態となる。
【0018】
図2~6は、エンジン1の暖機時における冷却液の流れを説明する図である。なお、
図2~6において、冷却液の流れを実線矢印で示している。また、
図2~6は、説明を分かりやすくするための概念図であり、エンジン1を構成する各部品の実際の位置とは異なる場合がある。
【0019】
図2に示すように、冷却システム100は、エンジン1、ウォーターアウトレット20、サーモスタットハウジング21、ラジエータ22およびウォーターポンプ23が設けられている。
【0020】
エンジン1の暖機時において、冷却液が温められておらず、第1導出口8bから導出される冷却液が第1の温度(例えば、80℃)未満である場合には、バルブ6a~6eが全て閉状態となる。そのため、導入口8aからシリンダヘッド3へ導入された冷却液は、第2導出口8cから、シリンダヘッド排出流路30aへと導出される。このとき、第2冷却液通路7bを流通する過程で、シリンダヘッド3から熱が伝達されることで冷却液が暖められるため、第2導出口8cから導出される冷却液の温度は、導入口8aから導入された直後の冷却液の温度に比べて、高温となっている。
【0021】
シリンダヘッド排出流路30aを流通した冷却液は、ウォーターアウトレット流入流路30を通ってウォーターアウトレット20へと導入される。
【0022】
ウォーターアウトレット20から導出された冷却液は、サーモスタットハウジング流入流路31を介して、サーモスタットハウジング21へと導入される。サーモスタットハウジング21は、不図示のサーモスタットバルブを備えており、予め設定される第2の温度(例えば、110℃)を境に、冷却液の流路の切り替えを行う。具体的には、サーモスタットハウジング21は、冷却液が第2の温度以上となった場合に、冷却液をラジエータ流入流路33へと流通させる。一方、サーモスタットハウジング21は、冷却液が第2の温度未満である場合には、冷却液をウォーターポンプ第1流入流路32へと流通させる。
【0023】
図2に示すように、冷却液が温められておらず第1の温度未満である場合には、サーモスタットハウジング21へ導入された冷却液は、ウォーターポンプ第1流入流路32へと導出されることとなる。
【0024】
ウォーターポンプ第1流入流路32を流通した冷却液は、ウォーターポンプ23へと導入される。ウォーターポンプ23は、ウォーターポンプ第2流入流路34またはウォーターポンプ第2流入流路34から導入された冷却液をウォーターポンプ吐出流路35へと吐出する。そして、ウォーターポンプ23から吐出された冷却液は、ウォーターポンプ吐出流路35を流通した後、導入口8aから、再び、シリンダヘッド3内へ導入される。なお、ウォーターポンプ23は、エンジン1の回転動力によって駆動されてもよいし、不図示のモータによって駆動されてもよい。
【0025】
シリンダヘッド3内へ導入された冷却液は、第2冷却液通路7bを流通する間に次第に加熱されていくため、第2冷却液通路7bにおける上流側(導入口8a側)よりも、下流側(第2導出口8c側)の方が、先に、第1の温度に到達する。そのため、
図3に示すように、暖機時において、バルブ6a~6eのうち、第2冷却液通路7bにおける最も下流側に位置するバルブ6eが最初に、開状態へとなる。さらに、上記のように第2冷却液通路7bを流通する冷却液は、最も下流側ほど冷却水の温度が高いため、バルブ6eが開状態へとなる直前においては、最も下流側に位置するシリンダ5dがシリンダ5a~5dの内、最も温まった状態である。そこで、第2冷却液通路7bにおける最も下流側のバルブ6eを最初に開くことで、シリンダ5a~5dの内、最も温まったシリンダ5dを先に冷却することができる。
【0026】
バルブ6eが開状態となると、冷却液の一部がバルブ6eを介して、第2冷却液通路7bから第1冷却液通路7aへと流入する。第1冷却液通路7aを流通した冷却液は、第1導出口8bから導出され、シリンダブロック排出流路30bを流通した後、ウォーターアウトレット流入流路30へ合流する。なお、各バルブ6a~6eのうち、少なくとも1以上が開状態となった場合には、導入口8aから導入された冷却液は、第1導出口8bおよび第2導出口8cの両方から導出される。
【0027】
その後、
図4、5に示すように、最初に開状態となったバルブ6eよりも上流側の各バルブ6a~6dが、バルブ6dからバルブ6aの順に下流側から開状態へとなる。なお、バルブ6dが開状態へとなる直前においては、バルブ6eは既に開状態となっており、シリンダ5dの冷却が行われているため、シリンダ5cがシリンダ5a~5dの内、最も温まった状態である。そのため、バルブ6dを開くことで、シリンダ5a~5dの内、最も温まったシリンダ5cを冷却が開始される。その後、同様にして、バルブ6cを開くことで、シリンダ5a~5dの内、最も温まったシリンダ5bを冷却が開始され、バルブ6bを開き、その後、バルブ6aを開くことで、シリンダ5a~5dの内、最も温まったシリンダ5aを冷却が行われる。
【0028】
このように、冷却液が第1の温度未満である箇所のバルブ6a~6eを閉状態として、暖気途中においてシリンダ5a~5dが必要以上に冷却されることを抑制することで、エンジン1の暖機を促進させることが可能となる。さらに、エンジン1の暖機時間を短縮することが可能となることによって、燃費の悪化を抑制し、また、冷却液との熱交換によってヒータを動作させる際に、車内の温まりを早くすることが可能となる。
【0029】
また、冷却液が第1の温度以上となった箇所のバルブ6a~6eを順次開状態とすることによって、上流側と下流側とで各シリンダ5a~5dに対する冷却効果を均一として、各シリンダ5a~5d間において温度差が生じることを抑制することが可能となる。そのため、各シリンダ5a~5dに対する各種制御を均一化することが可能となり、安定したエンジン1の制御を実現することができる。
【0030】
また、バルブ6a~6eをサーモスタットバルブとすることで、液温に応じて冷却液の流通を電子的に制御する場合よりも、故障のリスクを抑制することが可能となる。
【0031】
また、
図6に示すように、サーモスタットハウジング流入流路31を流通して、サーモスタットハウジング21へと導入された冷却液の温度が第2の温度以上である場合には、サーモスタットハウジング21内のサーモスタットバルブが動作する。そして、サーモスタットハウジング21へと導入された冷却液をラジエータ流入流路33へ導出する。
【0032】
ラジエータ流入流路33を流通した冷却液は、ラジエータ22へと導入される。そして、ラジエータ22によって冷却された冷却液がウォーターポンプ第2流入流路34へと導出される。ウォーターポンプ第2流入流路34を流通した冷却液は、ウォーターポンプ23へと導入され、ウォーターポンプ23によって、ウォーターポンプ吐出流路35へと吐出される。
【0033】
サーモスタットハウジング21に導入される冷却液の温度が第2の温度を下回るまでの間、上記のようにして、冷却液がラジエータ22によって冷却されることとなる。そして、冷却液の温度が第2の温度を下回ると、サーモスタットハウジング21内のサーモスタットバルブが動作し、
図5に示すように、再び、サーモスタットハウジング21へと導入された冷却液をウォーターポンプ第1流入流路32へ導出する。このようにして、ウォーターポンプ23から吐出される冷却液の温度が調整される。
【0034】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0035】
また、上述した実施形態では、エンジン1が直列エンジンである場合について説明した。しかし、エンジン1は、直列エンジンに限らない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、エンジンに利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ヘッドガスケット
5a~5d シリンダ
6a~6e バルブ
7a 第1冷却液通路
7b 第2冷却液通路
10a~10e 流通孔