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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】手摺装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/14 20060101AFI20230208BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
E04G5/14 302A
E04G21/32 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018129669
(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公開番号】P2020007785
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】592097808
【氏名又は名称】小野 辰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】小野 辰雄
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-072096(JP,A)
【文献】特開2018-104988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/14
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合うように配置される少なくとも二つの縦支柱と、上記各縦支柱に設けられ手摺取付け部材と上記各手摺取付け部材に保持される手摺と、隣り合う上記手摺取付け部材にそれぞれ保持された上記各手摺同士を連結させる手摺連結部材とを備え、
上記手摺連結部材が、筒体と、上記筒体に形成した一対の開口部と、上記各開口部に対してそれぞれ対向して設けた一対の手摺位置決め部材とを有し、
上記各手摺位置決め部材が、ストップピンと、上記ストップピンを上記開口部方向に付勢するバネとを有し、
上記手摺が、上記筒体に挿入される際に上記開口部と対向する孔を有する
ことを特徴とする手摺装置。
【請求項2】
上記手摺位置決め部材は、底部と上記底部の両端部から起立する一対の側部を有するとともに、上記底部に上記ストップピンが出没自在に挿入されるピン挿入孔が設けられたケースを備え、
上記ストップピンは、上記開口部に対して出入自在なピン本体と、上記ピン本体から径方向に突出する係止ピンとを有し、
上記側部は、上記ストップピンを上記開口部から抜いた状態で、上記係止ピンを引掛け可能な係止溝を有し、
上記バネは、圧縮コイルバネであって、上記ピン本体の外周に配置されるとともに、上記係止ピンと上記底部の間に介装される
ことを特徴とする請求項1に記載の手摺装置。
【請求項3】
上記ピン本体の上記ケース外に突出する端部に把持可能な把持部が取り付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の手摺装置。
【請求項4】
上記手摺位置決め部材は、上記筒体の外面にブラケットを介して取付けられ上記筒体の軸方向に対して直交する方向に沿う軸を備え、
上記バネは、上記軸に巻きついて固定されるカール部と、上記カール部から上記筒体の軸方向に沿って両側に延びる一対のバネ部とを有してなるねじりコイルバネであって、
上記各バネ部の先端にそれぞれ上記ストップピンが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の手摺装置。
【請求項5】
上記手摺位置決め部材は、上記筒体の外面に設けられたブラケットを備え、
上記バネは、中央が上記ブラケットに固定された断面台形状又はC字状のバネ本体と、上記バネ本体の両端部からそれぞれ上記筒体の軸方向に沿って延びる一対の支持片とを有する板バネであって、
上記各支持片にそれぞれ上記ストップピンが取付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の手摺装置。
【請求項6】
上記縦支柱が、支柱本体と、上記支柱本体の基端に設けられて被取付部材に取付ける挟持部材とからなり、
上記支柱本体の上記挟持部材に近接した外周位置に断面台形状又は断面C字状の補強部材が取付けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の手摺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺装置に関し、特に建築物、構築物の建築、構築現場に設けたH鋼、足場板、その他の被取付部材に取付けて工事作業の安全を図る手摺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に高層ビルディングの建築物、橋梁等の構築物の建築、構築工事、改築工事では工事位置に対応して手摺装置が設けられている。
【0003】
この手摺装置は、H鋼のフランジや足場板等に挟持部材を介して起立した複数の縦支柱と、これらの縦支柱に取付けられた水平方向に延びる手摺とからなるもので、H鋼上や足場板上を歩行する作業者の安全を図っている。
【0004】
このような、手摺装置としては、例えば、特許文献1に開示されているものが開発され、使用されている。特許文献1の手摺装置は、H鋼に挟持部材を介して取付けられH鋼の長手方向に沿って所定の間隔で設けられる複数の縦支柱と、各縦支柱の反挟持部材側に設けられ手摺を保持する手摺保持部材と、各手摺同士を連結する手摺連結部材とからなるものである。
【0005】
そして、この手摺連結部材は、下方が開放された筒体と、筒体の各端部の下端にそれぞれ設けられ楔を挿入可能な一対の楔ガイド部とを備え、筒体の左右両側からそれぞれ手摺を挿入し、各手摺の端部を対向させた状態で各楔ガイド部に楔を挿入することで、手摺同士を連結するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-44343号公報(図1図7、段落0055、要約参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に示す手摺装置は、H鋼や足場板等の被取付部材の長さに応じて手摺を継ぎ足すことが出来るので、様々な場所で利用できる。
【0008】
しかしながら、この手摺装置は構造上の欠陥があるわけではないが、次のような問題点の改善が望まれている。
【0009】
即ち、この手摺装置の手摺連結部材は、筒体の下端に設けた楔ガイド部に挿入する楔を必要とするので手摺の取付け、取外し時にその都度工具を利用して楔の打ち込み、抜き取り操作が必要となり、楔の着脱操作が面倒である。
【0010】
そこで、本発明の目的は手摺の取付け、取外し操作を容易にする手摺装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成させるため、本発明の手摺装置は隣り合うように配置される少なくとも二つの縦支柱と、上記各縦支柱に設けられ手摺取付け部材と、上記各手摺取付け部材に保持される手摺と、隣り合う上記手摺取付け部材にそれぞれ保持された上記各手摺同士を連結させる手摺連結部材とを備え、上記手摺連結部材が、筒体と、上記筒体に形成した一対の開口部と、上記各開口部に対してそれぞれ対向して設けた一対の手摺位置決め部材とを有し、上記各手摺位置決め部材が、ストップピンと、上記ストップピンを上記開口部方向に付勢するバネとを有し、上記手摺が、上記筒体に挿入される際に上記開口部と対向する孔を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば次の効果を達成できる。
A)ストップピンが筒体の開口部に対向して設けられているので、ストップピンがバネに付勢されて自動的に筒体に設けられた開口部と手摺の端部に設けられた孔内に侵入し、その結果自動的に手摺の先端が筒体内に位置決めされながら固定できるので手摺の位置決め操作が容易で、手摺装置の組立て作業のスピードアップを図れる。
B)手摺を外す時は、例えば、指でバネに抗してストップピンを開口部の外側に向けて引張操作するだけ良く、工具も必要としないので、操作性、経済性の向上を図れる。
C)手摺位置決め部材がストップピンと、バネとを備えていれば良く、構造が簡単で、加工性、組付け性、経済性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る手摺装置の斜視図である。
図2図1手摺装置の一部拡大斜視図である
図3】(A)は一実施の形態に係る手摺連結部材の一部切り欠き正面図、(B)は一実施の形態に係る手摺連結部材の一部縦断側面図である。
図4】(A)は図3に示す手摺連結部材における筒体とガイド筒部の一部切欠き正面図、(B)は図3に示す手摺連結部材における筒体とガイド筒部の一部縦断側面図である。
図5】(A)は他の実施の形態に係る手摺連結部材の一部切欠き正面図、(B)は他の実施の形態に係る手摺連結部材の底面図である。
図6】(A)は図5に示す手摺連結部材における筒体の一部切欠き正面図、(B)は図5に示す手摺連結部材における筒体の底面図である。
図7】(A)は図5に示すストップピンの平面図、(B)は図5に示すストップピンの正面図である。
図8】(A)は図5に示すバネの正面図、(B)は図5に示すバネの底面図である。
図9】(A)は更に別の実施の形態に係る手摺連結部材の一部切欠き正面図、(B)は更に別の実施の形態に係る手摺連結部材の底面図である。
図10】(A)は図9に示す手摺連結部材における筒体の一部切欠き正面図、(B)は図9に示す手摺連結部材における筒体の底面図である。
図11】(A)は図9に示すストップピンの平面図、(B)は図9に示すストップピンの正面図である。
図12】(A)は図9に示すバネの正面図、(B)は図9に示すバネの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0015】
図1図4は本発明の一実施の形態に係る手摺装置を示し、図5図8は本発明の他の実施の形態に係る手摺装置を示し、図9図12は更に別の実施の形態に係る手摺装置を示している。
【0016】
各実施の形態に係る手摺装置Tは、図1に示すように、建築物の建築工事現場や、構築物の構築工事現場に設けられている既設のH鋼Wに取付けられ、このH鋼Wを足場として使用している時、このH鋼Wから作業者が転落するのを防止するものである。なお、この手摺装置Tは建築、構築現場に設けた足場板に取付けても良い。
【0017】
更に、この手摺装置Tは、H鋼Wや、足場板等の被取付部材が長い場合は一本の長い手摺を設けるのは困難であることから、複数の手摺を継ぎ足して様々な被取付部材に対応させることを主目的として開発されているものである。
【0018】
各実施の形態に係る手摺装置Tの基本構造は、図1に示すように、隣り合うように配置される少なくとも二つの縦支柱1,1と、各縦支柱1,1に設けた手摺取付け部材2と、上記各手摺取付け部材2に保持される一対の手摺3a,3bと、隣り合う手摺取付け部材2,2に保持される各手摺3a,3b同士を連結させる手摺連結部材4とを備えているものである。
【0019】
上記手摺連結部材4は、図2図4に示すように、筒体5と、筒体5に形成した一対の開口部5C,5Cと、各開口部5C,5Cに対してそれぞれ対向して設けた一対の手摺位置決め部材6,6とから構成されている。
【0020】
そして、各手摺位置決め部材6は、ストップピン7と、ストップピン7を開口部5C方向に付勢するバネ8とを有し、手摺3a,3bは、筒体5に挿入された際に開口部5Cと対向する孔3cを有している。
【0021】
以下、各部について詳細に説明する。縦支柱1は、図1に示すように、支柱本体Aと、支柱本体Aの基端に設けられてH鋼WのフランジFを挟持してH鋼Wに取付けられる挟持部材Bとからなり、また、支柱本体Aの挟持部材Bに近接した外周位置に断面台形状の板バネからなる補強部材Cが取り付けられている。
【0022】
詳細には、補強部材Cは、断面台形状であって両端部が支柱本体Aの外面に溶着された本体部C1と、本体部C1の下端から延びて挟持部材Bに連結される支持片C2を有する。なお、本例では本体部C1は、断面台形状であるが断面C字状であってもよい。
【0023】
この補強部材Cは手摺装置Tを外側に倒す方向に荷重が作用して縦支柱1の基端側に回転方向のモーメントが発生しても、この縦支柱1の曲げや破損を防止させるものである。
【0024】
また、挟持部材Bは、支柱本体Aの基端に連結され互いに対向する一対の板部B4,B4を有する断面コ字状の挟持片B1と、支柱本体A側の板部B4に貫通し軸方向移動自在に設けられたボルトB2と、ボルトB2の下端に設けられた皿B3とで構成されている。
【0025】
そして、H鋼WのフランジFに挟持片B1を差し込み、ボルトB2を締め付けると、ボルトB2が図中下方に移動して、図中下側の板部B4と皿B3とでフランジFを挟持するため、縦支柱1をH鋼Wに起立させることができる。
【0026】
続いて、手摺取付け部材2は、図1に示すように、各縦支柱1の上端に設けられ手摺3a(3b)を挿通可能な筒部2Aと、この筒部2Aに着脱自在に嵌合される楔Kとから構成され、筒部2Aに手摺3a(3b)を挿入した状態で楔Kを筒部2Aと手摺3a(3b)の間に圧入することで、手摺3a(3b)が手摺取付け部材2によって保持される。
【0027】
また、手摺連結部材4は、前述したように、手摺3a(3b)を挿入可能な筒体5と、筒体5に形成した一対の開口部5C,5Cと、各開口部5C,5Cに対してそれぞれ対向して設けた一対の手摺位置決め部材6,6とから構成されている。
【0028】
詳細には、図4に示すように、筒体5の軸方向中央には、覗き孔5Aが形成されており、覗き孔5Aを挟んで図4中左右にそれぞれ開口部5C,5Cが形成されている。なお、図示するところでは、筒体5は、断面正方形に形成されているが、筒体5の断面形状は、手摺3a,3bの断面形状に一致するようにされているため、例えば手摺3a,3bの断面形状が円状の場合には、断面円筒状に形成される。
【0029】
次に、本発明の一実施の形態に係る手摺位置決め部材6を図2図4に基づいて説明する。
【0030】
図2図4に示す手摺位置決め部材6は、筒体5の開口部5Cを覆うように設けられ底部10aと底部10aの両端部から起立する一対の側部10b,10bを有する断面コ字状のケース10と、底部10aに形成されたピン挿入孔11に出没自在に挿入されたストップピン7と、ストップピン7を開口部5C側に向けて付勢するバネ8とを備える。
【0031】
ストップピン7は、ピン挿入孔11に挿通され開口部5Cに挿入可能なピン本体7Aと、ピン本体7Aから径方向に突出する一対の係止ピン9,9とを有し、一対の係止ピン9,9は、同一軸上に配置されている。
【0032】
また、ストップピン7のケース10の外方に突出する側の端部には、作業者が把持可能な把持部としてのリング13が取り付けられている。
【0033】
本実施の形態に係るバネ8は、圧縮コイルバネであって、ストップピン7の外周に配置されるとともに係止ピン9とケース10の底部10aとの間に介装されて、ストップピン7を開口部5C側に向けて付勢している。
【0034】
また、ケース10の各側部10b,10bには、互いに反対向きに切り欠かれて形成されて、ピン本体7Aが開口部5Cに挿入されていない状態で各係止ピン9,9を引掛け可能な係止溝12がそれぞれ設けられている。
【0035】
この手摺位置決め部材6によれば、ストップピン7のケース10外に突出する端部には把持部としてのリング13が取り付けられており、通常は図3中左側に示すように、リング13を把持して、ストップピン7をバネに抗して外方に引き寄せながら回動することにより係止ピン9を係止溝12に係合しておき、ストップピン7の軸方向の動きを止めておく。なお、把持部はリング13でなくとも良く、作業者が把持できるようになっていれば形状や構成は特に限定されない。
【0036】
次に、この手摺位置決め部材6で手摺3a,3bの端部同士を対向させた状態で位置決めする場合は、予め筒体5の両側からそれぞれ手摺3a,3bの端部を差し込み、各手摺3a,3bの端部が筒体5の中央にあるかどうかを覗き孔5Aから目視しておく。この際、各手摺3a,3bの端部が覗き孔5Aの中央位置で向き合うと、各手摺3a,3bの端部に設けられた孔3cが筒体5の開口部5Cに対して対向するようになっているため、孔3cと開口部5Cの位置合わせが容易になる。
【0037】
そして、各手摺3a,3bの先端同士が覗き孔5Aの中央位置で対向していることを視認後、リング13を把持しつつストップピン7を回転させて係ピン9をケース10の側部10bの設けられていない開口側に向けるようにして係止ピン9の係止溝12に対する係合を解除すると、係止ピン9とケース10の底部10aの間に介装されたバネ8でストップピン7が押されて、このストップピン7の先端が筒体5の各開口部5Cと各手摺3a,3bの端部に設けられた孔3cに嵌合する。
【0038】
その結果、各手摺3a,3bは、ストップピン7を介して、筒体5内に端部を対向させた状態で位置決めされ連結される。なお、本例では、各手摺3a,3bの端部を離間させた状態で、手摺3a,3b同士を連結しているが、当接している状態で連結されてもよい。
【0039】
また、手摺位置決め部材6を複数設けることで、複数の手摺3a,3bを横方向に沿って連結でき、H鋼W等の被取付部材の長さに対応できる。
【0040】
そして、手摺3a,3bを孔3cと開口部5Cから抜くときは、リング13を指で引張り、ストップピン7を引き抜けば良い。
【0041】
この場合、ストップピン7をリング13を介して手動で回転し、係止ピン9を係止溝12に引掛けることでストップピン7の軸方向の動きを阻止させることができるため、ストップピン7を抜いた状態が維持される。
【0042】
次に図5図8に示す他の実施の形態に係る手摺装置Tについて説明する。
【0043】
この実施の形態に係る基本構造は上記の通りである。そして、この他の実施の形態に係る手摺装置Tの手摺位置決め部材6は、筒体5の外面に設けられたブラケット19と、ブラケット19に取付けられ筒体5の軸方向に対して直交する方向に沿う軸20とを備え、バネ8は、軸20に巻きついて固定されるカール部18Bと、カール部18Bから筒体5の軸方向に沿って両側に延びる一対のバネ部18A,18Aとを有してなるねじりコイルバネであって、各バネ部18A,18Aの先端にそれぞれストップピン7が取り付けられている。
【0044】
詳細には、ストップピン7が、図7に示すように、ピン本体17Aと、ピン本体17Aの外周に設けたフランジ17Bと、ピン本体17Aに径方向に向けて形成した孔17Cとで構成されており、孔17Cにバネ部18Aの端部に形成された屈曲部18Cを嵌合させて、ストップピン7をバネ部18Aを先端に取り付けている。
【0045】
このため、図5(A)に示すように、筒体5内に手摺3a、3bを挿入後、ストップピン7を筒体5の開口部5Cに対向させると自動的にバネ8のばね力でピン本体17Aの頭部が開口部5Cと手摺3a、3bの孔3cに自動的に嵌合し、各手摺3a、3bが筒体5内に位置合わせされながら連結される。
【0046】
逆に筒体5から手摺3a、3bを抜くときは、例えば、指でバネ部18Aを外方へ引張り、ストップピン7を孔3cと開口部5Cから抜けば良い。
【0047】
次に、図9図12に示す更に別の実施の形態について説明する。この実施の形態の基本構造は上記した通りである。
【0048】
この実施の形態に係る手摺位置決め部材6は、筒体5の外面に設けられたブラケット29を備え、バネ8は、中央がボルト30を介してブラケット29に固定された断面台形状のバネ本体28Aと、バネ本体28Aの両端部からそれぞれ筒体5の軸方向に沿って延びる一対の支持片28B,28Bとを有し、各支持片28Bにそれぞれストップピン7が取付けられている。なお、本例では、バネ本体28Aは、断面台形状に形成されているが、断面C字状であってもよい。
【0049】
詳細には、ストップピン7は図11に示すように、ピン本体27Aと、ピン本体27Aに軸方向に連続して設けられピン本体27Aよりも小径であって外周にねじ溝が設けられた小径部27Bとで構成されており、小径部27Bをバネ8の支持片28Bに形成されたピン取付け孔28Dに嵌合させ、小径部27Bにナット部材(符示せず)を螺合することで、ストップピン7を支持片28Bに取り付けている。
【0050】
このため、図9(A)に示すように、筒体5内に手摺3a,3bを挿入後、ストップピン7を筒体5の開口部5Cに対向させると自動的にバネ8のばね力でピン本体27Aの頭部が開口部5Cと手摺3a,3bの孔3cに自動的に嵌合し、各手摺3a,3bが筒体5内に位置合わせされながら連結される。
【0051】
逆に筒体5から手摺3a,3bを抜くときは、例えば、指でバネ本体28Aを外方の引張り、ストップピン7を孔3cと開口部5Cから抜けば良い。
【0052】
以上のように、各実施の形態に係る手摺装置Tによれば、ストップピン7が筒体5の開口部5Cに対向して設けられているので、ストップピン7がバネ8に付勢されて自動的に開口部5Cと手摺3a,3bの孔3c内に侵入し、その結果自動的に手摺3a,3bの先端が筒体5内に位置決めされながら固定できるので手摺3a,3bの位置決め操作が容易でスピードアップを図れる。
【0053】
手摺3a,3bを外す時は、例えば、指で、バネ8に抗してストップピン7を開口部5Cの外側に引張操作するだけ良く、工具も必要で無いので、操作性、経済性の向上を図れる。
【0054】
さらに、手摺位置決め部材6がストップピン7と、バネ8とを備えていれば良く、構造が簡単で、加工性、組付け性、経済性の向上を図れる。
【0055】
また、前述したように、図1図5に示す実施の形態に係る手摺位置決め部材6は、底部10aと底部10aの両端部から起立する一対の側部10b,10bを有するとともに、底部10aにストップピン7が出没自在に挿入されるピン挿入孔11が設けられたケース10を備え、ストップピン7は、開口部5Cに対して出入自在なピン本体7Aと、ピン本体7Aから径方向に突出する係止ピン9とを有し、側部10b,10bは、ストップピン7を上記開口部5Cから抜いた状態で、係止ピン9を引掛け可能な係止溝12を有し、バネ8は、圧縮コイルバネであって、ピン本体7Aの外周に配置されるとともに、係止ピン9と底部10aの間に介装されている。
【0056】
この構成によると、ストップピン7を開口部5Cと手摺3a,3bの孔3cから抜いた状態に維持できるため、筒体5内に手摺3a,3b内に挿入する作業が容易となる。
【0057】
また、本例では、一対の係止ピン9,9を同一軸上に配置しているため、バネ8の付勢力を均一にストップピン7に伝達できるので、ストップピン7の傾斜などが起こりにくく、ストップピン7をスムーズに開口部5Cから出し入れできる。ただし、係止ピン9を一つしか設けなくても良い。
【0058】
また、ピン本体7Aのケース10外に突出する端部には、把持可能な把持部としてのリング13が取り付けられているため、作業者がストップピン7の出し入れを容易にできる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・縦支柱、2・・・手摺取付け部材、3a,3b・・・手摺、3c・・・孔、4・・・手摺連結部材、5・・・筒体、5C・・・開口部、6・・・手摺位置決め部材、7・・・ストップピン、7A・・・ピン本体、8・・・バネ、9・・・係止ピン、10・・・ケース、11・・・ピン挿入孔、12・・・係止溝、13・・・リング(把持部)、18A・・・バネ部、18B・・・カール部、19・・・ブラケット、20・・・軸、28A・・・バネ本体、28B・・・支持片、29・・・ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12