(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】少なくとも2つの注湯流量を有するポット
(51)【国際特許分類】
A47J 27/21 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A47J27/21 101N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018138277
(22)【出願日】2018-07-24
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルノー リヴァ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233225(JP,A)
【文献】特開2009-178413(JP,A)
【文献】特開2005-278855(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02445026(GB,A)
【文献】英国特許出願公開第02471552(GB,A)
【文献】国際公開第01/032063(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱底部の上方に設けられた本体部(3)と、水を沸騰まで持っていくためのタンクを形成する蓋(10)とを備えるポット(1)であって、注湯管路(15)と、前記注湯管路(15)の閉鎖位置と前記注湯管路(15)の少なくとも1つの開放位置の間で可動なシャッタ装置(20)とを備えるポット(1)において、第1の貫通開口(6a、...、6f)および第2の貫通開口(7a、...、7r)を少なくとも備える隔壁(16)が前記注湯管路(15)に対して横断方向に設けられていること、ならびに、前記シャッタ装置(20)は、前記シャッタ装置(20)が前記第1の貫通開口(6a、...、6f)および前記第2の貫通開口(7a、...、7r)を閉鎖する前記注湯管路(15)の閉鎖位置と、第1の注湯流量を規定する第1の開放位置であって、前記シャッタ装置(20)が前記第1の貫通開口(6a、...、6f)だけを解放する第1の開放位置と、第2の注湯流量を規定する第2の開放位置であって、前記シャッタ装置(20)が前記第1の貫通開口(6a、...、6f)および前記第2の貫通開口(7a、...、7r)を解放する第2の開放位置の間で可動であることを特徴とするポット(1)。
【請求項2】
前記隔壁(16)は前記蓋(10)の中に設けられることを特徴とする請求項1に記載のポット(1)。
【請求項3】
前記隔壁(16)は前記蓋(10)の底部隔壁(17)の一部をなすことを特徴とする請求項2に記載のポット(1)。
【請求項4】
前記蓋(10)は注ぎ口(11)を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項5】
前記シャッタ装置はシャッタ(20)を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項6】
前記シャッタ(20)は方向Aに沿って平行移動することを特徴とする請求項5に記載のポット(1)。
【請求項7】
前記シャッタ(20)は、方向Aに沿って延びて前記第2の貫通開口(7a、...、7r)の断面積と同じ横断断面積を有するピン状突起(8a、...、8r)を備え、前記ピン状突起(8a、...、8r)は前記第2の貫通開口(7a、...、7r)の中を、前記ピン状突起(8a、...、8r)が前記第2の貫通開口(7a、...、7r)内に配置される閉鎖位置または前記第1の開放位置と、前記ピン状突起(8a、...、8r)が前記第2の貫通開口(7a、...、7r)の外へ平行移動する前記第2の開放位置の方へ摺動するように適合されることを特徴とする請求項6に記載のポット(1)。
【請求項8】
前記シャッタ(20)は、シール(22)を有する弁(21)を備え、前記シール(22)を有する弁(21)は、前記シャッタが閉鎖位置にあるとき、前記第1の
貫通開口(a、...、6f)および前記第2の
貫通開口(7a、...、7r)を閉鎖することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項9】
前記シャッタ(20)の操作ボタン(30)を備え、前記操作ボタン(30)は回転可動であり、安定した3つの位置を有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項10】
前記操作ボタン(30)は、異なる傾斜の2つの扇形(31a、31b)を有するカム(31)を備えることを特徴とする請求項9に記載のポット(1)。
【請求項11】
前記第1の貫通開口(6a、...、6f)および前記第2の貫通開口(7a、...、7r)は円筒形であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱器具、とりわけ電気ポットであって、電気加熱底部、本体部、および水を沸騰まで持っていくためのタンクを形成する蓋を備える電気ポットに関し、より詳細には注湯流量が調整可能であるポットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1により、電気加熱底部の上方に設けられた本体部と、水を沸騰まで持っていくためのタンクを形成する蓋とを備える電気ポットであって、注湯管路と、注湯管路の閉鎖位置と注湯管路の少なくとも1つの開放位置の間で可動なシャッタとを備えるポットが知られている。ポットは、押しボタンを有するシャッタ操作手段を備える。ボタンを多少強めに押すことにより、シャッタは閉鎖位置から開放位置まで、その間に複数の中間位置を通りながら移動し、ユーザーはその複数の中間位置で複数の注湯流量を得ることができる。
【0003】
ただし、このシャッタの中間位置は使用のたびに定量の反復性のある注湯流量が得られる安定した位置ではない。そのため、ユーザーは、シャッタを最大開放位置に開いておいて、多少ポットの傾きを調整することで注湯流量を管理するということになりがちである。
【0004】
さらに、湯を注ぐには、ボタンに対する一定の圧力を維持してシャッタを開放位置に移動させなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、上述の不都合に対処して、単純で人間工学的な実装と使用時の安全性とを備えたポットを提案することにある。
【0007】
本発明のもう1つの目的は、設計が単純で経済的に実施することができるポットを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、電気加熱底部の上方に設けられた本体部と、水を沸騰まで持っていくためのタンクを形成する蓋とを備えるポットであって、注湯管路と、注湯管路の閉鎖位置と注湯管路の少なくとも1つの開放位置の間で可動なシャッタ装置とを備えるポットにおいて、第1の貫通開口および第2の貫通開口を少なくとも備える隔壁が注湯管路に対して横断方向に設けられていること、ならびに、シャッタ装置は、シャッタ装置が第1の貫通開口および第2の貫通開口を閉鎖する注湯管路の閉鎖位置と、第1の注湯流量を規定する第1の開放位置であって、シャッタ装置が第1の貫通開口だけを解放する第1の開放位置と、第2の注湯流量を規定する第2の開放位置であって、シャッタ装置が第1の貫通開口および第2の貫通開口を解放する第2の開放位置の間で可動であることを特徴とするポットによって果たされる。
【0009】
隔壁が注湯管路に対して横断方向に設けられるとは、ポットのタンクから外に注がれる湯が少なくとも第1の貫通開口および/または第2の貫通開口のみを通り抜けることを意味する。
【0010】
貫通開口とは、1つの貫通開口または一群の貫通開口を意味する。
【0011】
第1の貫通開口は、シャッタ装置が第1の開放位置にあるときに第1の注湯流量を規定する湯の第1の通過断面を有する。第2の貫通開口は、第1の通過断面と組み合わされることで、シャッタ装置が第2の開放位置にあるときに第2の注湯流量を規定する湯の第2の通過断面を有する。そのため、ポットの製造時に容易に管理することのできる第1の断面積と第2の断面積に関する製造のばらつきだけが第1の注湯流量および第2の注湯流量の精度に影響する。そのため、第1の断面積および第2の断面積は完璧に定量化され、正確で毎回反復性のある第1の注湯流量および第2の注湯流量を規定するが、それがポット内の水位にかかわりなく行われることは特筆される。
【0012】
第1の流量はとりわけ抑制的な流量で注湯の高い精度を可能にするものであり、第2の流量は、器に注ぐ際の迅速性を高めることができる、むしろ高めの流量となる。
【0013】
有利には、第1の断面積と第1の断面積および第2の断面積の合計との比は0.3未満である。
【0014】
有利には、隔壁は蓋の中に設けられる。
【0015】
この配置では、ポットの本体部を複雑にすることなく、流量管理機能を蓋の中に置くことができる。
【0016】
好ましくは、隔壁は蓋の底部隔壁の一部をなす。
【0017】
有利には、蓋は注ぎ口を備える。
【0018】
そのため、注ぎ口によって形成される注湯管路の端部も蓋と一体化される。
【0019】
有利には、シャッタ装置はシャッタを備える。
【0020】
そのため、1つの部品だけで第1の貫通開口と第2の貫通開口の開閉を行うことができる。
【0021】
好ましくは、シャッタは方向Aに沿って平行移動する。
【0022】
平行移動はポット内で容易に行うことのできる運動であり、それによってポットの設計を単純化することができる。
【0023】
有利には、シャッタは、方向Aに沿って延びて第2の貫通開口の断面積と同じ横断断面積を有するピン状突起を備え、ピン状突起は第2の貫通開口の中を、ピン状突起が第2の貫通開口内に配置される閉鎖位置または第1の開放位置と、ピン状突起が第2の貫通開口の外へ平行移動する第2の開放位置の方へ摺動するように適合される。
【0024】
そのため、シャッタの閉鎖位置または第1の注湯流量を規定する第1の開放位置では、ピン状突起は第2の貫通開口を閉ざし、第2の注湯流量を規定する第2の位置に移動するときは、ピン状突起は摺動して第2の貫通開口を解放する。
【0025】
好ましくは、シャッタはシールを有する弁を備え、そのシールを有する弁は、シャッタが閉鎖位置にあるとき、第1の開口および第2の開口を閉鎖する。
【0026】
この配置は、転倒時などにポットの密閉を得ることを可能にする。
【0027】
有利には、ポットはシャッタの操作ボタンを備え、操作ボタンは回転可動であり、安定した3つの位置を有する。
【0028】
そのため、シャッタの位置が操作ボタンによっていったん定まれば、ユーザーはポットを傾けて湯を注ぐだけである。
【0029】
好ましくは、操作ボタンは、異なる傾斜の2つの扇形を有するカムを備える。
【0030】
そのため、傾斜の小さい方のカムの扇形の回転はシャッタに作用してシャッタをその閉鎖位置から第1の注湯位置へと移動させ、傾斜の大きい方のカムの扇形の回転はシャッタに作用してシャッタをその閉鎖位置から第2の注湯位置へと移動させる。
【0031】
有利には、第1の貫通開口および第2の貫通開口は円筒形である。
【0032】
このような構造は特に第2の貫通開口におけるピン状突起の調整を容易にする。
【0033】
本発明は、何ら限定的でないものとして取り上げ、添付の図面によって図解した実施形態を検証することによってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の具体的な実施形態によるポットの斜視図である。
【
図2】
図1に示したポットの蓋およびシャッタの分解斜視図である。
【
図3】
図2に示した蓋の下部ケースの矢印III沿いの上部、および下部ケースに対して側方にずらしたシャッタの部分分解図である。
【
図4】シャッタが閉鎖位置にあるときの、
図1に示したポットの蓋のIV-IV断面であり、
図3に示した蓋のIV-IV断面でもある断面図である。
【
図5】シャッタが第1の注湯位置にあるときの、
図1に示したポットの蓋の立面図である。
【
図6】シャッタが第2の注湯位置にあるときの、
図1に示したポットの蓋の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書では、ポットについて説明するために用いる「水平」、「垂直」、「下部」、「上部」、「上」、「下」の表現は、ポットを水平な作業面に置いた使用状態のポットについてのものであることに留意されたい。
【0036】
図1から6に示された実施例では、ポット1は、コード(図示せず)によって電源供給されるベース部2と、水の入れ物をなす本体部3とを備える。本体部3は、蓋10によって閉ざされる補給のための上部開口部4を備える。蓋10は、上部開口部4のレベルに位置する注ぎ口11を備える。ポット1は、上部開口部に関して注ぎ口11と反対側に位置するハンドル5を備える。本体部3は、垂直軸70を有するほぼ円筒形である。蓋10は本体部3に対して取外し可能であり、蓋10は、本体部3の垂直軸70とほぼ平行な平行移動動作によって本体部3に水密に組み立てられるようになっている。
【0037】
本体部3はステンレス鋼製の皿部からなる加熱底を備えており、その下にアルミニウム製ディフューザと加熱要素(図示せず)が配置される。加熱底を備えた本体3と蓋10は水を沸騰まで持っていくためのタンクを形成する。
【0038】
図2から4で見て取れるように、蓋10は下部ケース12、中間部13および上部ケース14を備える。蓋10は湯の注湯管路15を備え(
図4)、注ぎ口11は注湯管路15の出口端を形成する。注湯管路15は、湯が通ることのできる6つの第1の貫通開口6a、6b、6c、6d、6e、6fおよび18の第2の貫通開口7a、7b、7c、...、7rを具備する隔壁16を備える(
図3)。6つの第1の貫通開口6a、6b、6c、6d、6e、6fおよび18の第2の貫通開口7a、7b、7c、...、7rはいずれも同一で、円筒形である。隔壁16はほぼ水平であり、下部ケース12の底部隔壁17の一部をなしている。隔壁16は注湯管路15の入口端を形成する。
図4では、注湯管路15内における湯の通過経路を矢印で示している。
【0039】
蓋10は、垂直軸70と平行な方向Aであって、隔壁16が延びる水平面と直交する方向Aに沿って平行移動するシャッタ20を有するシャッタ装置を備える。シャッタ20は隔壁16の下に設けられた弁21を備える。弁21はディスクの形をなしており、隔壁16と協働するようにされた外周シール22を備える。弁21は上面23を有しており、そこから18のピン状突起8a、8b、8c、...8rが方向Aに沿って延びる(
図3)。それぞれのピン状突起8a、...、8rは第2の貫通開口7a、...、7rと協働するようにされている。それぞれのピン状突起8a、...、8rは円筒形であり、第2の貫通開口7a、...、7rのそれぞれの断面と同じ横断面を有する。
【0040】
シャッタ20は、シール22を有する弁21が6つの第1の貫通開口6a、...、6fおよび18の第2の貫通開口7a、...、7r(
図4)を閉ざす注湯管路15の閉鎖位置と2つの開放位置(
図5および6)の間で可動である。
【0041】
第1の開放位置(
図5)は、18のピン状突起8a、...、8rが18の第2の貫通開口7a、...、7rを閉ざして、シャッタ20が6つの第1の貫通開口6a、...、6fだけを解放する第1の注湯流量を規定する。そのため、第1の注湯流量は、シャッタによって解放された6つの貫通開口6a、...、6fの断面積の合計によって規定される。この6つの貫通開口6a、...、6fのグループは第1の貫通開口と等価である。点線の矢印は、注湯管路15内における湯の通過経路を示している。
【0042】
第2の開放位置(
図6)は、第1の開放位置ですでに解放された6つの第1の貫通開口に加えて、シャッタが18の第2の貫通開口7a、...、7rを解放する第2の注湯流量を規定する。この18の第2の貫通開口7a、...、7rのグループは第2の貫通開口と等価である。そのため、第2の注湯流量は、シャッタによって解放された6つの第1の貫通開口6a、...、6fと18の第2の貫通開口7a、...、7rの断面積の合計によって規定される。6つの第1の貫通開口6a、...、6fおよび18の第2の貫通開口7a、...、7rの数が多いことから、第1の開放位置でも、第2の開放位置でも、注湯管路15内の湯の流速を制限することができる。点線の矢印は、注湯管路15内における湯の通行経路を示している。
【0043】
それぞれのピン状突起8a、...、8rは、対応する第2の貫通開口7a、...、7rの中を、ピン状突起8a、...、8rが第2の貫通開口7a、...、7r内に配置される閉鎖位置または第1の開放位置と、ピン状突起8a、...、8rがポット1のタンクの内部に向かって第2の貫通開口7a、...、7rの外へ平行移動する第2の開放位置の方へ摺動するように適合されている。
【0044】
図2および4に示すように、シャッタ20は、弁21の上面23から方向Aに沿って延びる軸24を備える。アクチュエータ25は軸24の自由端に設けられている。蓋10の中間部13に設けられた案内要素26(
図4)は、アクチュエータ25の方向A沿いの平行移動の案内を、さらに同様の案内を軸24、弁21およびピン状突起8a、...、8rについて行うことができる。隔壁16は、軸24、弁21およびピン状突起8a、...、8rの平行移動の案内開口部27をさらに備える。
【0045】
シャッタ20の操作ボタン30は蓋10の中に設けられている。操作ボタン30は回転可動であり、3つの安定した位置を有する。すなわち、中央の位置、右の位置、左の位置である。操作ボタン30は、傾斜の異なる2つの扇形31a、31bを含む輪郭を持つ円筒形のカム31(
図2)を備える。カム31は、アクチュエータ25と一体をなすタペット28と協働する。小さい方の傾斜を有する扇形31aはタペット28と協働して、シャッタ20をその第1の開放位置に動かす。大きい方の傾斜を有する扇形31bはタペット28と協働して、シャッタ20をその第2の開放位置に動かす。扇形31a、31bは互い違いに配設される。そのため、操作ボタン31の中央の位置はシャッタ20の閉鎖位置に対応する。操作ボタン30を時計方向に回すと、操作ボタンは右の位置に移動してシャッタ20をその第1の開放位置に移動させ、操作ボタン30を反時計方向に回すと、操作ボタンは左の位置に移動してシャッタ20をその第2の開放位置に移動させる。案内要素26とアクチュエータ25の間には、タペット28をカム31と接触した状態に戻すための戻しばね29(
図4)が設けられている。
【0046】
使用時、操作ボタン30が中央の位置にあるとき、シャッタ20は注湯管路15の閉鎖位置にあり、6つの第1の貫通開口6a、...、6fおよび18の第2の貫通開口7a、...、7rは閉ざされている。
【0047】
少なめの流量で湯を注ぎたいユーザーは、操作ボタン31を右の位置へ回し、シャッタ20をその第1の開放位置に移動させる。第1の開放位置は、弁21が平行移動して6つの第1の貫通開口6a、...、6fを解放する少なめの第1の注湯流量を規定する。弁21の18のピン状突起8a、...、8rは18の第2の貫通開口7a、...、7r内を平行移動し、それらを閉じた状態に保つ。その状態で、ユーザーはポット1のハンドル5をつかんで、少なめの流量で湯を器に注ぐことができる。
【0048】
多めの流量で湯を注ぎたいユーザーは、操作ボタン30を左の位置へ回し、シャッタ20をその第2の開放位置に移動させる。第2の開放位置は、弁21の18のピン状突起8a、...、8rが18の第2の貫通開口7a、...、7rの外へ平行移動することで、第1の開放位置ですでに解放された6つの第1の貫通開口に加えて、それらを解放する第2の注湯流量を多めに規定する。その状態で、ユーザーはポット1のハンドル5をつかんで、多めの流量で湯を器に注ぐことができる。
【0049】
本発明が、あくまでも例としてのみ取り上げて説明し、図示した実施形態だけにいささかも限定されるものでないことは言うまでもない。様々な要素の構成の観点からの変更や技術的等価物での置換えによる変更などは、それによって本発明の保護対象領域から外れることなくなお可能である。
【0050】
図示しない変形形態では、シャッタは、第1の貫通開口および第2の貫通開口を備える隔壁の延長面と平行な方向に沿って平行移動する。
【0051】
第1の変形形態では、シャッタ装置は、第1の貫通開口を閉鎖または解放することができる第1のシャッタと、第2の貫通開口を閉鎖または解放することができる第2のシャッタとを備える。
【0052】
第2の変形形態では、隔壁は、第1の貫通開口および第2の貫通開口に加え、第3の貫通開口を備える。可動シャッタ装置は、シャッタ装置が第1の貫通開口、第2の貫通開口および第3の貫通開口を解放する第3の注湯流量を規定する第3の開放位置を有する。シャッタ装置は、第3の貫通開口と協働する第2のピン状突起を具備するシャッタを備えることができ、第2のピン状突起は第2の貫通開口と協働するピン状突起よりも長い。操作ボタンは、最初の2つの扇形とは異なる傾斜の第3の扇形を有するカムを備えることができる。