(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】表示装置の緩衝材及び緩衝材の使用方法並びにスタンド部材の組立方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/113 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
B65D81/113 130A
(21)【出願番号】P 2018150417
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】水河 雅章
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-068896(JP,A)
【文献】特開2008-195404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0112115(US,A1)
【文献】特開2015-120540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
B65D 85/68
B65D 25/10
G09F 9/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンド部材に支持される表示装置の緩衝材であって、
前記スタンド部材は、スタンド支柱部材と
、スタンド台座とを備え、
前記緩衝材は、前記スタンド支柱部材を前記スタンド台座に取り付けるときの組立治具として使用される単一の組立治具用緩衝材を含み、
前記組立治具用緩衝材は、
多面体形状の少なくとも隣接する2つの面から構成される角部
があり、前記角部を前記2つの面の交わる方向に切り欠い
た切欠部を間にして形成され
る複数箇所の接触部
を有し、
前記複数箇所の接触部が各々設置面と接触
し、
前記組立治具用緩衝材には、前記スタンド支柱部材を保持する第1保持部と、前記スタンド台座を保持する第2保持部とが設けられていることを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
請求項1に記載の緩衝材であって、
前記組立治具用緩衝材は、前記組立治具として使用されるときに前記複数箇所の接触部が前記設置面と接触して前記スタンド支柱部材が前記第1保持部に保持され、かつ、前記スタンド台座が前記第2保持部に保持された状態での前記組立治具用緩衝材と前記スタンド支柱部材と前記スタンド台座との全体の重心を通る仮想鉛直線が前記複数箇所の接触部で囲まれる領域である底面領域を通る形状とされていることを特徴とする緩衝材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の緩衝材であって、
前記組立治具用緩衝材は、前記組立治具として使用されるときに前記複数箇所の接触部が前記設置面と接触した状態で傾斜する第1斜面と、前記第1斜面に
前記第2保持部を介して隣接して前記複数箇所の接触部が前記設置面と接触した状態で前記第1斜面と共に
前記第1斜面の延長線上に交わって山を形成するように傾斜する第2斜面とを有し、
前記第1斜面及び前記第2斜面には、それぞれ、前記第1保持部及び前記第2保持部が設けられていることを特徴とする緩衝材。
【請求項4】
請求項3に記載の緩衝材であって、
前記第1斜面と前記第2斜面とのなす角度は、直角又は略直角であり、前記第1斜面又は前記第2斜面と前記設置面とのなす角度は、40°~50°であることを特徴とする緩衝材。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1つに記載の緩衝材であって、
前記第1保持部は、前記スタンド支柱部材を保持する方向である長手方向に延びる
溝を有していることを特徴とする緩衝材。
【請求項6】
請求項5に記載の緩衝材であって、
前記スタンド支柱部材は、前記スタンド台座に所定の列設方向に列設される一対のスタンド支柱部材であり、
前記
溝は、前記スタンド台座に取り付けられる前記一対のスタンド支柱部材の位置に対応する位置に設けられ、
前記列設方向における前記
溝のサイズが前記列設方向における前記スタンド支柱部材のサイズよりも所定の隙間だけ大きいか等しいことを特徴とする緩衝材。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1つに記載の緩衝材であって、
前記第1保持部は、前記スタンド支柱部材を保持する方向である長手方向に延びる溝であり、
前記溝は、前記組立治具用緩衝材が前記組立治具として使用されるときに前記複数箇所の接触部が前記設置面と接触した状態で傾斜していることを特徴とする緩衝材。
【請求項8】
請求項7に記載の緩衝材であって、
深さ方向における前記溝のサイズが前記深さ方向における前記スタンド支柱部材のサイズよりも大きいか又は等しいことを特徴とする緩衝材。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1つに記載の緩衝材であって、
前記第2保持部には、前記スタンド台座を支えるための段差が設けられていることを特徴とする緩衝材。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1つに記載の緩衝材
の使用方法であって、
前記組立治具用緩衝材は、梱包材として使用されるときに前記表示装置を立てた状態での該表示装置の上部の該表示装置を正面から見た左右方向における中央部を保護する緩衝材であることを特徴とする緩衝材
の使用方法。
【請求項11】
請求項10に記載の緩衝材
の使用方法であって、
前記組立治具用緩衝材は、梱包材として使用されるときの姿勢において、水平方向に沿う天面と、前記天面に隣接して鉛直方向に沿う第1側面と、前記天面に相対する底面と、前記第1側面に相対する第2側面とを有し、前記組立治具として使用されるときに前記第1側面の前記天面とは反対側の端部と前記底面の前記第2側面とは反対側の端部とが前記設置面に接触することを特徴とする緩衝材
の使用方法。
【請求項12】
請求項11に記載の緩衝材
の使用方法であって、
前記天面には、前記第1保持部が設けられ、前記第2側面には、前記第2保持部が設けられていることを特徴とする緩衝材
の使用方法。
【請求項13】
請求項1から請求項
9までの何れか1つに記載の緩衝材における前記組立治具用緩衝材又は請求項1
0から請求項12までの何れか1つに記載
の緩衝材
の使用方法に
使用される前記組立治具用緩衝材を用いて前記スタンド部材を組み立てるスタンド部材の組立方法であって、
前記組立治具用緩衝材を前記複数箇所の接触部が前記設置面と接触するように載置する第1工程と、
前記設置面に載置された前記組立治具用緩衝材における前記第1保持部に前記スタンド支柱部材を保持する第2工程と、
前記設置面に載置された前記組立治具用緩衝材における前記第2保持部に前記スタンド台座を保持する第3工程と、
前記第1保持部に保持された前記スタンド支柱部材を前記第2保持部に保持された前記スタンド台座に固定する第4工程と
を含むことを特徴とするスタンド部材の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を梱包するときに使用する緩衝材、例えば、テレビジョン表示装置の梱包時の緩衝材及び緩衝材の使用方法並びにスタンド部材の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン表示装置等の表示装置のスタンド部材を組み立てる際に、治具などを何も使用せずに、組み立てを行うと、非常に作業性が悪く、場合によっては、無理な作業によりスタンド部材を破損させるといった不都合がある。従って、表示装置のスタンド部材を組み立てる際の作業性を向上させる技術が望まれる。
【0003】
この点に関し、特許文献1には、梱包時の下箱と上側の左右2つの緩衝材とを用いて、左右2つの緩衝材を下箱に係止すると共に、左右2つのスタンド部材を左右2つの緩衝材でそれぞれ保持し、スタンド部材と表示装置とを固定する際の作業性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、既に組み立ててあるスタンド部材と表示装置とを固定する際の作業性を向上させる技術であり、表示装置のスタンド部材を組み立てる際の作業性を向上させる技術ではない。例えば、2つの緩衝材を用いてスタンド部材を組み立てることが考えられるが、この場合、2つの緩衝材を使用することから、2つの緩衝材間の位置合わせ行う必要があり、緩衝材を配置する作業が煩わしい。しかも、スタンド部材を組み立てる際に緩衝材が不安定になり易い。
【0006】
そこで、本発明は、表示装置のスタンド部材を安定して組み立てることができると共に、作業性を向上させることができる緩衝材及び緩衝材の使用方法並びにスタンド部材の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、次の緩衝材及び緩衝材の使用方法並びにスタンド部材の組立方法を提供する。
【0008】
(1)緩衝材
本発明に係る緩衝材は、スタンド部材に支持される表示装置の緩衝材であって、前記スタンド部材は、スタンド支柱部材と、スタンド台座とを備え、前記緩衝材は、前記スタンド支柱部材を前記スタンド台座に取り付けるときの組立治具として使用される単一の組立治具用緩衝材を含み、前記組立治具用緩衝材は、多面体形状の少なくとも隣接する2つの面から構成される角部があり、前記角部を前記2つの面の交わる方向に切り欠いた切欠部を間にして形成される複数箇所の接触部を有し、前記複数箇所の接触部が各々設置面と接触し、前記組立治具用緩衝材には、前記スタンド支柱部材を保持する第1保持部と、前記スタンド台座を保持する第2保持部とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
(2)緩衝材の使用方法
前記本発明に係る緩衝材の使用方法であって、前記組立治具用緩衝材は、梱包材として使用されるときに前記表示装置を立てた状態での該表示装置の上部の該表示装置を正面から見た左右方向における中央部を保護する緩衝材であることを特徴とする緩衝材の使用方法。
【0010】
(3)スタンド部材の組立方法
本発明に係るスタンド部材の組立方法は、前記本発明に係る緩衝材における前記組立治具用緩衝材又は前記本発明に係るテレビジョン受信機の前記緩衝材における前記組立治具用緩衝材を用いて前記スタンド部材を組み立てるスタンド部材の組立方法であって、前記組立治具用緩衝材を前記複数箇所の接触部が前記設置面と接触するように載置する第1工程と、前記設置面に載置された前記組立治具用緩衝材における前記第1保持部に前記スタンド支柱部材を保持する第2工程と、前記設置面に載置された前記組立治具用緩衝材における前記第2保持部に前記スタンド台座を保持する第3工程と、前記第1保持部に保持された前記スタンド支柱部材を前記第2保持部に保持された前記スタンド台座に固定する第4工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、表示装置のスタンド部材を安定して組み立てることができると共に、作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る緩衝材で保護された表示装置を梱包箱から取り出した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す緩衝材及び表示装置を示す分解斜視図である。
【
図3】表示装置に取り付けられるスタンド部材を示す斜視図である。
【
図4】スタンド部材が取り付けられた表示装置を示す斜視図である。
【
図5A】組立治具用緩衝材が梱包箱内で表示装置を梱包しているときの姿勢を正面側から視た斜視図である。
【
図5B】組立治具用緩衝材が梱包箱内で表示装置を梱包しているときの姿勢を背面側から視た斜視図である。
【
図6】組立治具用緩衝材が組立治具として使用されるときに設置面に設置されている状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す組立治具用緩衝材の第1保持部部分を断面で示す断面図である。
【
図8】
図6に示す組立治具用緩衝材を設置面側から視た底面図である。
【
図9】組立治具用緩衝材が組立治具として使用されるときに設置面に設置されてスタンド支柱部材及びスタンド台座が組立治具用緩衝材に保持された状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示すスタンド支柱部材、スタンド台座及び組立治具用緩衝材の第1保持部部分を断面で示す断面図である。
【
図11】
図9に示すスタンド支柱部材、スタンド台座及び組立治具用緩衝材を設置面側から視た底面図である。
【
図12】スタンド部材の組立手順を示す分解斜視図である。
【
図13】上面側から視たスタンド部材の分解斜視図である。
【
図14】底面側から視たスタンド部材の分解斜視図である。
【
図15】スタンド部材の組立手順の第1工程を示す斜視図である。
【
図16】スタンド部材の組立手順の第2工程を示す斜視図である。
【
図17】スタンド部材の組立手順の第3工程及び第4工程を示す斜視図である。
【
図18】スタンド部材の組立手順の第5工程を示す斜視図である。
【
図19】スタンド部材の組立手順の第6工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る緩衝材1で保護された表示装置21を梱包箱3から取り出した状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す緩衝材1及び表示装置21を示す分解斜視図である。なお、
図1及び
図2において、符号Xは、表示装置21を立てた状態で表示装置21を正面から視た左右方向を示し、符号Yは、表示装置21を立てた状態で表示装置21を正面から視た奥行方向を示し、符号Zは、上下方向を示している。
【0015】
図3は、表示装置21に取り付けられるスタンド部材22を示す斜視図である。
図4は、スタンド部材22が取り付けられた表示装置21を示す斜視図である。
【0016】
表示装置セット2は、表示装置21(この例ではテレビジョン液晶表示装置)と、表示装置21を支持するスタンド部材22とを備えている(
図4参照)。テレビジョン受信機10(
図1参照)は、緩衝材1(1~18)と、表示装置21と、スタンド部材22(
図1では図示省略、
図3参照)と、梱包箱3とを備えている。表示装置21は、複数(この例では8つ)の緩衝材1(11~18)にて周縁部が保護された状態で梱包箱3に収納される。梱包箱3は、下側箱部31と上側箱部32とからなっており、段ボール等の箱材で形成されている。下側箱部31は、底面の奥行方向Yにおける両側から上方に折り曲げられた折り曲げ形状とされている。下側箱部31は、下3つの緩衝材11~13で保護された表示装置21を覆う。上側箱部32は、下方を開放した箱型形状とされている。上側箱部32は、周縁部を緩衝材(11~18)で保護された表示装置21を覆う。下側箱部31は、上側箱部32の内側に配置される。なお、梱包箱3内にはスタンド部材22や付属品が同梱されるが、
図1及び
図2において、スタンド部材22や付属品等は、図示を省略している。
【0017】
緩衝材1は、表示装置21を立てた状態において、表示装置21の下部を保護する3つの緩衝材11~13と、表示装置21の左右方向Xにおける両端部かつ上下方向Zにおける中央部を保護する2つの緩衝材14,15と、表示装置21の上部を保護する3つの緩衝材16~18とからなっている。詳しくは、緩衝材11,12,16,17は、表示装置21の4つの角部を保護する。緩衝材14,15は、表示装置21の左縁及び右縁の中央部を保護する。緩衝材13,18は、表示装置21の上縁及び下縁の中央部を保護する。緩衝材11~18の材料としては、例えば、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等の合成樹脂材料を原材料とした発泡材、古紙材、段ボール材を挙げることができる。
【0018】
図3に示すように、スタンド部材22は、スタンド支柱部材221と、スタンド支柱部材221を着脱可能に支持するスタンド台座222と、台座蓋部材223とで構成されている。スタンド支柱部材221及びスタンド台座222は、取り外された状態で梱包箱3内に収容される。スタンド支柱部材221及びスタンド台座222は、後述するように組み立てられてスタンド部材22を構成する。そして、
図4に示すように、スタンド部材22は、表示装置21にビス等の固定部材(図示せず)により取り付けられて表示装置21を立てた状態で支持する。
【0019】
ところで、表示装置21のスタンド部材22(スタンド支柱部材221及びスタンド台座222)を組み立てる際に、治具などを何も使用せずに、組み立てを行うと、非常に作業性が悪く、場合によっては、無理な作業によりスタンド部材22を破損させるといった不都合がある。
【0020】
この点、本実施の形態では、緩衝材1は、スタンド支柱部材221をスタンド台座222に取り付けるときの組立治具として使用される単一の組立治具用緩衝材18を含んでいる。この例では、組立治具用緩衝材18は、表示装置21を立てた状態での表示装置21の上部の表示装置21を正面から見た左右方向Xにおける中央部を保護する緩衝材である。
【0021】
図5A及び
図5Bは、それぞれ、組立治具用緩衝材18が梱包箱3内で表示装置21を梱包しているときの姿勢を正面側及び背面側から視た斜視図である。
図6は、組立治具用緩衝材18が組立治具として使用されるときに設置面Sに設置されている状態を示す斜視図である。
図7は、
図6に示す組立治具用緩衝材18の第1保持部181部分を断面で示す断面図である。
図8は、
図6に示す組立治具用緩衝材18を設置面S側から視た底面図である。
【0022】
組立治具用緩衝材18は、組立治具として使用されるときに水平な設置面S(平坦面)と接触する複数箇所の接触部C(1)~C(n)(nは2以上の整数、この例ではn=5)が角部18Aを切り欠いて形成されている。すなわち、組立治具用緩衝材18は、複数箇所の接触部C(1)~C(n)が設置面Sと接触した状態で組立治具用緩衝材18の重心Q1(
図7、
図8参照)を通る第1仮想鉛直線α1が複数箇所の接触部C(1)~C(n)で囲まれる領域である底面領域βを通る。ここで、角部18Aは、多面体形状(立方体形状)の2つ面(この例では第1側面18d及び底面18e)で構成される1つの角部である。複数箇所の接触部C(1)~C(n)としては、接触面及び/又は接触接線及び/又は接触接点を例示できる。そして、組立治具用緩衝材18の接触部C(1)~C(n)とは反対側の上部には、スタンド支柱部材221を保持する第1保持部181と、スタンド支柱部材221を第1保持部181に保持した状態でスタンド支柱部材221に取り付け可能にスタンド台座222を保持する第2保持部182とが設けられている。
【0023】
本実施の形態によれば、単一の組立治具用緩衝材18がスタンド支柱部材221をスタンド台座222に取り付けるときの組立治具として使用されるので、例えば、従来のように、2つの緩衝材を用いる場合のように、2つの緩衝材間の位置合わせを行う必要がなく、緩衝材を配置する作業の簡素化の煩わしさを効果的に防止することができる。しかも、組立治具用緩衝材18は組立治具として使用されるときに設置面Sと接触する複数箇所の接触部C(1)~C(n)が角部18Aを切り欠いて形成されているので、組立治具用緩衝材18が倒れることなく組立治具用緩衝材18を安定して設置面Sに設置させることができる。従って、スタンド部材22を安定して組み立てることができると共に、作業性を向上させることができる。さらに、組立治具用緩衝材18は複数箇所の接触部C(1)~C(n)が角部18Aを切り欠いて形成されていることで、緩衝材から複数箇所の接触部C(1)~(n)が形成された組立治具用緩衝材18を容易に加工することができる。
【0024】
図9は、組立治具用緩衝材18が組立治具として使用されるときに設置面Sに設置されてスタンド支柱部材221及びスタンド台座222が組立治具用緩衝材18に保持された状態を示す斜視図である。
図10は、
図9に示すスタンド支柱部材221、スタンド台座222及び組立治具用緩衝材18の第1保持部181部分を断面で示す断面図である。
図11は、
図9に示すスタンド支柱部材221、スタンド台座222及び組立治具用緩衝材18を設置面S側から視た底面図である。
【0025】
ところで、組立治具用緩衝材18は、組立治具として使用されるときに複数箇所の接触部C(1)~(n)が設置面Sと接触してスタンド支柱部材221及びスタンド台座222が組立治具用緩衝材18に保持された状態において、スタンド部材22の形状によってはバランスが悪くなり、不安定になることがある。
【0026】
この点、本実施の形態では、組立治具用緩衝材18は、組立治具として使用されるときに複数箇所の接触部C(1)~(n)が設置面Sと接触してスタンド支柱部材221が第1保持部181に保持され、かつ、スタンド台座222が第2保持部182に保持された状態での組立治具用緩衝材18とスタンド支柱部材221とスタンド台座222との全体の重心Q2(
図10、
図11参照)を通る第2仮想鉛直線α2が底面領域βを通る形状とされている。
【0027】
こうすることで、スタンド支柱部材221及びスタンド台座222が組立治具用緩衝材18に保持された状態でも組立治具用緩衝材18が倒れることなく組立治具用緩衝材18を安定して設置面に設置させることができる。
【0028】
本実施の形態において、組立治具用緩衝材18は、組立治具として使用されるときに複数箇所の接触部C(1)~(n)が設置面Sと接触した状態で傾斜する第1斜面18aと、第1斜面18aに隣接して複数箇所の接触部C(1)~(n)が設置面Sと接触した状態で第1斜面18aと共に山を形成するように傾斜する第2斜面18bとを有している。第1斜面18a及び第2斜面18bには、それぞれ、第1保持部181及び第2保持部182が設けられている。
【0029】
こうすることで、第1斜面18aと第2斜面18bと設置面Sとで三角形状を形成することができ、これにより、組立治具用緩衝材18をより安定して設置面Sに設置させることができる。
【0030】
ところで、スタンド支柱部材221は、スタンド台座222に直角又は略直角で取り付けられる。
【0031】
かかる観点から、本実施の形態において、第1斜面18aと第2斜面18bとのなす角度θ1(
図7参照)は、直角又は略直角であり、第1斜面18a又は第2斜面18bと設置面Sとのなす角度θ2,θ3(
図7参照)は、40°~50°である。この例では、角度θ2は50°又は略50度であり、角度θ3は40°又は略40度である。
【0032】
こうすることで、第1保持部181及び第2保持部182にそれぞれスタンド支柱部材221及びスタンド台座222を直角又は略直角で確実に保持することができる。しかも、スタンド支柱部材221をスタンド台座222に取り付け易くすることができる。
【0033】
(第1実施形態)
本実施の形態において、第1保持部181は、スタンド支柱部材221を保持する方向である長手方向Nに延びる溝又は有底穴(この例では溝181a)を有している。こうすることで、溝又は有底穴(溝181a)によりスタンド支柱部材221を確実に保持することができる。溝181aは、長手方向Nにおいて一端側(下端側)が閉塞しかつ他端側(上側)が開放している。
【0034】
(第2実施形態)
本実施の形態において、スタンド支柱部材221は、スタンド台座222に所定の列設方向Rに列設される一対のスタンド支柱部材221a,221bである。溝又は有底穴(溝181a,181a)は、スタンド台座222に取り付けられる一対のスタンド支柱部材221a,221bの位置に対応する位置に設けられている。列設方向Rにおける溝又は有底穴(溝181a,181a)のサイズd1(
図6参照)が列設方向Rにおけるスタンド支柱部材221a,221bのサイズd2(
図3参照)よりも所定の隙間e(
図9参照)だけ大きい(d1=d2+e)。ここで、個々のスタンド支柱部材221a,221bと、溝又は有底穴(溝181a,181a)との間の列設方向Rにおける所定の隙間e(=d1-d2)は0mmより大きく0.5以下程度を例示できる。なお、溝又は有底穴(溝181a,181a)のサイズd1がスタンド支柱部材221a,221bのサイズd2と等しくなっていてもよい。
【0035】
こうすることで、スタンド台座222に取り付けられる際の一対のスタンド支柱部材221a,221b間の距離D(
図9参照)を精度良く確保することができる。これにより、一対のスタンド支柱部材221a,221bのスタンド台座222への取り付け作業性を向上させることができる。
【0036】
(第3実施形態)
ところで、第1保持部181が有底穴である場合、有底穴の開口が上向きで有底穴の長手方向Nがたとえ鉛直方向に沿っていてもスタンド支柱部材221が有底穴から落下することはない。しかし、第1保持部181が溝181aである場合、溝181aの長手方向Nが鉛直方向に沿っていると、スタンド支柱部材221が溝181aから落下することがある。
【0037】
この点、本実施の形態において、溝181aは、組立治具用緩衝材18が組立治具として使用されるときに複数箇所の接触部C(1)~(n)が設置面Sと接触した状態で傾斜している。こうすることで、スタンド支柱部材221を溝181aに安定させた状態で保持することができる。溝181aは、長手方向Nにおける開放側が上側に長手方向Nにおける閉塞側が下側に位置するように傾斜している。溝181aの傾斜角度は、第1斜面18aの傾斜角度(角度θ2)と同じ又は略同じである。
【0038】
(第4実施形態)
本実施の形態において、深さ方向Hにおける溝181aのサイズd3(
図7参照)が深さ方向Hにおけるスタンド支柱部材221のサイズd4(
図3参照)よりも大きいか又は等しい。こうすることで、スタンド支柱部材221を溝181aにさらに安定させた状態で保持することができる。
【0039】
(第5実施形態)
本実施の形態において、第2保持部182には、スタンド台座222を支えるための段差182a,182bが設けられている。こうすることで、スタンド台座222を第2保持部182における段差182a,182bに確実に保持することができる。
【0040】
詳しくは、段差182aは、スタンド台座222の深さ方向Hへの移動を規制する規制壁とされている。段差182aは、スタンド台座222の深さ方向Hにおける下面222b(スタンド台座222を立てたときの前面)と当接する。これにより、スタンド支柱部材221に対するスタンド台座222の深さ方向Hにおける位置決めさせ易くすることができる。また、段差182bは、スタンド台座222の列設方向Rへの移動を規制する規制壁とされている。これにより、スタンド支柱部材221に対するスタンド台座222の列設方向Rにおける位置決めさせ易くすることができる。
【0041】
(第6実施形態)
ところで、緩衝材のうち、表示装置21を立てた状態での該表示装置21の下部を保護する緩衝材11~13は、上側箱部32を開けた状態では、表示装置21の下敷きになっているため、スタンド部材22を組み立てる段階では使用し難い。また、表示装置21を立てた状態での該表示装置21の上部の角部を保護する2つ緩衝材16,17は、一般的に、余分なスペースが少なく、第1保持部181及び第2保持部182を設け難い形状となっており、設計上の制約を受け易い。
【0042】
この点、本実施の形態において、組立治具用緩衝材18は、梱包材として使用されるときに表示装置21を立てた状態での該表示装置21の上部の該表示装置21を正面から見た左右方向Xにおける中央部を保護する緩衝材である。かかる緩衝材は、一般的に、表示装置21の上部の角部を保護する2つの緩衝材16,17に比べ、余分なスペースが多く、第1保持部181及び第2保持部182を設け易い形状となっている。従って、第1保持部181及び第2保持部182を設け易くすることができる。これにより、余分なスペースを有効利用することができる。
【0043】
(第7実施形態)
本実施の形態において、組立治具用緩衝材18は、梱包材として使用されるときの姿勢において、水平方向に沿う天面18c(第1斜面18a)と、天面18cに隣接して鉛直方向に沿う第1側面18dと、天面18cに相対する底面18eと、第1側面18dに相対する第2側面18f(第2斜面18b)とを有している。そして、組立治具用緩衝材18は、組立治具として使用されるときに第1側面18dの天面18cとは反対側の端部〔接触部C(1)〕と底面18eの第2側面18fとは反対側の端部〔接触部C(2)~C(5)〕とが設置面Sに接触する。
【0044】
こうすることで、組立治具用緩衝材18を安定して設置面Sに設置させる構成を容易に実現させることができる。
【0045】
本実施の形態において、天面18cには、第1保持部181が設けられている。第2側面18fには、第2保持部182が設けられている。こうすることで、スタンド支柱部材221を天面18cにおける第1保持部181に、スタンド台座222を第2側面18fにおける第2保持部182に確実に保持することができる。
【0046】
詳しくは、スタンド台座222には、突出部222aが設けられている。第2保持部182は、スタンド台座222における突出部222aに対応する形状の凹部182cが設けられている。凹部182cの列設方向Rにおける両壁面が段差182bを構成している。段差182bは、突出部222aの列設方向Rにおける両側面222c,222cと当接する。
【0047】
[スタンド部材の組立手順]
図12は、スタンド部材22の組立手順を示す分解斜視図である。
図13及び
図14は、それぞれ、上面側及び底面側から視たスタンド部材22の分解斜視図である。
【0048】
図12から
図14に示すように、台座蓋部材223は、スタンド台座222に着脱可能に係合される。一対のスタンド支柱部材221a,221bは、スタンド台座222にビス等の固定部材SC~SCにより固定される。スタンド台座222のスタンド支柱部材221a,221bを設ける位置には、それぞれ、長手方向Nに貫通する複数の貫通孔222d~222dが設けられている。スタンド支柱部材221a,221bの長手方向Nにおけるスタンド台座222側の端面221cには、それぞれ、固定部材SC~SCに締結(螺合)される複数の締結部221d~221d(雌螺子孔)が設けられている。かくして、スタンド支柱部材221a,221bは、固定部材SC~SCがスタンド台座222における貫通孔222d~222dに貫通した状態で締結部221d~221dに締結されることにより、スタンド台座222に固定される。
【0049】
また、スタンド支柱部材221a,221bの端面221cには、それぞれ、突起部221e,221eが設けられている。突起部221e,221eは、スタンド支柱部材221a,221bがスタンド台座222の正規の箇所に設けられると締結部221d~221dと貫通孔222d~222dとが合致又は略合致するようにスタンド支柱部材221a,221bの端面221cにおいて貫通孔222d~222dに対して深さ方向Hでずれた位置に設けられている。スタンド台座222のスタンド支柱部材221a,221bにおける突起部221e,221eに対応する位置には、それぞれ、凹部222e,222eが設けられている。従って、スタンド支柱部材221a,221bが異なる箇所に設けられると締結部221d~221dと貫通孔222d~222dとが合致しないようにすることができる。これにより、一対のスタンド支柱部材221a,221bの取り付け間違いを効果的に防止することができる。さらに、スタンド支柱部材221a,221bにおける締結部221d~221dとスタンド台座222における貫通孔222d~222dとを確実に合致又は略合致させることができる。なお、組立治具用緩衝材18の第1保持部181,181の近傍に、スタンド支柱部材221a,221bのうち何れのスタンド支柱部材を載置するかを示す指標が設けられていてもよい。
【0050】
また、スタンド台座222には、一対のスタンド支柱部材221a,221bをそれぞれ補強する補強部材222f,222f(補強板)が設けられている。これにより、スタンド台座222に固定された一対のスタンド支柱部材221a,221bを補強することができる。
【0051】
次に、スタンド部材22の組立手順を
図15から
図19を参照しながら以下に説明する。スタンド部材22の組立手順は、緩衝材1における組立治具用緩衝材18を用いてスタンド部材22を組み立てる。
【0052】
図15から
図19は、それぞれ、スタンド部材22の組立手順の第1工程から第6工程を示す斜視図である。
【0053】
(第1工程)
まず、第1工程では、組立治具用緩衝材18を複数箇所の接触部C(1)~(n)が設置面Sと接触するように載置する(
図15参照)。
【0054】
(第2工程)
次に、第2工程では、設置面Sに載置された組立治具用緩衝材18における第1保持部181,181にスタンド支柱部材221a,221bを保持する(
図16参照)。このとき、スタンド支柱部材221a,221bの端面221c側が上になるようにかつ突起部221e,221eが外側を向くようにスタンド支柱部材221a,221bを第1保持部181,181に保持する。
【0055】
(第3工程)
次に、第3工程では、設置面Sに載置された組立治具用緩衝材18における第2保持部182にスタンド台座222を保持する(
図17参照)。このとき、スタンド支柱部材221a,221bにおける突起部221e,221eをスタンド台座222における凹部222e,222eに挿通し、スタンド支柱部材221a,221bにおける締結部221d~221dとスタンド台座222における貫通孔222d~222dとを合致又は略合致させる。
【0056】
(第4工程)
次に、第4工程では、第1保持部181,181に保持されたスタンド支柱部材221a,221bを第2保持部182に保持されたスタンド台座222に固定する(
図17参照)。このとき、スタンド台座222を介してスタンド支柱部材221a,221bにおける締結部221d~221dを固定部材SC~SCに締結することにより、スタンド支柱部材221a,221bをスタンド台座222に固定する。
【0057】
(第5工程)
次に、第5工程では、スタンド台座222に台座蓋部材223が装着され、スタンド部材22が組み立てられる(
図18参照)。
【0058】
(第6工程)
次に、第6工程では、スタンド部材22が組立治具用緩衝材18から取り外される(
図19参照)。
【0059】
その後、
図4に示すように、スタンド部材22におけるスタンド支柱部材221a,221bが表示装置21に取り付けられる。
【0060】
(その他の実施形態)
なお、組立治具用緩衝材として、例えば、梱包材として使用されるときに表示装置21を立てた状態での該表示装置21の上下方向Zにおける中央部の該表示装置21を正面から見た左右方向Xにおける何れか一方の端部を保護する緩衝材を用いてもよい。
【0061】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0062】
1 緩衝材
10 テレビジョン受信機
18 組立治具用緩衝材
181 第1保持部
181a 溝
182 第2保持部
182a 段差
182b 段差
182c 凹部
18A 角部
18a 第1斜面
18b 第2斜面
18c 天面
18d 第1側面
18e 底面
18f 第2側面
2 表示装置セット
21 表示装置
22 スタンド部材
221 スタンド支柱部材
221a スタンド支柱部材
221c 端面
221d 締結部
221e 突起部
222 スタンド台座
222a 突出部
222b 下面
222c 側面
222d 貫通孔
222e 凹部
222f 補強部材
223 台座蓋部材
3 梱包箱
31 下側箱部
32 上側箱部
C 接触部
D 距離
H 深さ方向
N 長手方向
Q1 重心
Q2 重心
R 列設方向
S 設置面
SC 固定部材
X 左右方向
Y 奥行方向
Z 上下方向
α1 第1仮想鉛直線
α2 第2仮想鉛直線
β 底面領域
θ1 角度
θ2 角度
θ3 角度