(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】真空調整装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230208BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01L21/68 N
F16J15/16 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018159212
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ズヴォケリ
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-112801(JP,A)
【文献】実開昭61-053930(JP,U)
【文献】特表2002-540624(JP,A)
【文献】特開2013-128117(JP,A)
【文献】実開平06-002677(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0111900(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0136341(US,A1)
【文献】米国特許第06572708(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
F16J 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス雰囲気エリア(P)
内で可動である能動素子(15、34)のための真空調整装置(10、30)であって、
前記能動素子(15、34)を結合するために設計された継手(11、20、40)と、
前記能動素子(15、34)が結合された状態において、その目的の効果に関して実質的に無効な状態にある通常位置から、前記能動素子(15、34)がその目的の効果を提供する能動位置に、前記継手(11、20、40)が行ったり来たりするように調整可能であるように、設計され、前記継手(11、20、40)と協働する、駆動ユニット(12、37)と、
外部雰囲気領域(A)から前記プロセス雰囲気
エリア(P)を分離するための分離装置であって、前記駆動ユニット(12、37)が前記外部雰囲気領域(A)に少なくとも部分的に割り当てられ、前記継手(11、20、40)が
前記プロセス雰囲気
エリア(P)に割り当てられる、分離装置と、を備え、
前記継手(11、20、40)が、コレット(24、44)と、前記コレット(24、44)と協働する係止素子(21、41)とを有し、
前記継手(11、20、40)が、前記能動素子(15、34)を受容するための受軸(Z)を画定し、
前記係止素子(21、41)が前記コレット(24、44)に対して、
開位置まで及び閉位置まで
調整可能である相対位置変動
を提供するために、前記コレット(24、44)及び前記係止素子(21、41)が、軸方向に又は前記受軸(Z)に対して平行に配置され、
前記継手(11、20、40)が、前記開位置において前記コレット(24、44)の前記係止素子(21、41)との
相互作用による開変更状態を提供し、前記閉位置において前記係止素子(21、41)による閉作用状態を提供する、真空調整装置。
【請求項2】
前記開位置と前記閉位置との間での前記係止素子(21、41)の変化が、前記駆動ユニットによる前記継手(11、20、40)の軸方向の調整によって、ひいては前記コレット(24、44)又は前記係止素子(21、41)に対する軸方向移動制限が存在することによって、実現可能であるように、前記真空調整装置(10、30)が形成及び構成される、
請求項1に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項3】
少なくとも1つの停止部素子(13、14、34、46)が設けられ、
前記少なくとも1つの停止部素子(13、14、34、46)が、前記係止素子(21、41)又は前記コレット(24、44)と協働するために配置及び形成される、
請求項1又は2に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項4】
前記停止部素子(13、14、34、46)が、
前記真空調整装置(10、30)のハウジング(31)上に、前記真空調整装置(10、30)と協働する処理チャンバ(16)上に、若しくは前記能動素子(15、34)上に配置されるか、又は、
前記ハウジング(31)、前記処理チャンバ若しくは前記能動素子(15、34)によって形成される、
請求項3に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項5】
前記係止素子(21、41)が、前記駆動ユニット(12、37)によってもたらされる前記継手(11、20、40)の移動による前記少なくとも1つの停止部素子(13、14、34、46)との協働によって前記開位置及び/又は閉位置に変位可能であるように、前記駆動ユニット(12、37)が形成される、
請求項3又は4に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項6】
前記駆動ユニット(12、37)が、特定の全移動領域にわたる、前記受軸(Z)に沿った、又はそれと並行な前記継手(11、20、40)の線形軸方向移動のために設計され、
前記少なくとも1つの停止部素子(13、14、34、46)が、前記継手(11、20、40)の移動の一部として、前記係止素子(21、41)を調節するために前記全移動領域内に配置される、
請求項3~5のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項7】
前記全移動領域が、第1及び第2の端位置によって、前記継手(11、20、40)に対して
制限され、
前記開変更状態が、前記第1の端位置に存在し、
前記閉作用状態が、前記第2の端位置に存在
する、
請求項6に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項8】
前記全移動領域にわたって、第1及び第2の作動ゾーンが画定され、
前記第1の端位置が前記第1の作動ゾーンを制限し、前記係止素子(21、41)が、前記第1の作動ゾーンにおいて、前記コレット(24、44)が実質的に半径方向に力をうけることなしに存在するように調整可能であり、
前記第2の端位置が、前記第2の作動ゾーンを制限し、前記係止素子(21、41)が、前記第2の作動ゾーンにおいて、前記コレット(24、44)が半径方向の力の作用を受けるように調整可能である、
請求項
7に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項9】
前記継手(11、20、40)の前記通常位置及び前記能動位置が、前記全移動領域に関して、前記第1及び/又は前記第2の作動ゾーン内部の少なくとも一部に設けられる、請求項8に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項10】
前記コレット(24、44)が、前記受軸(Z)を画定する
内側コレット容器を有し、
前記コレット(24、44)が、前記受軸(Z)に沿って変動する外径を有する、半径方向にスロットが付けられたスリーブとして設計され、
前記係止素子(21、41)の内径が、前記コレット(24、44)の最大外径よりも小さく、
前記コレット(24、44)の前記外径が前記係止素子(21、41)の前記内径と連携し、前記係止素子(21、41)を前記受軸(Z)に沿って調整することによって、前記コレット(24、44)の内部に向かって半径方向に向けられる力が前記コレット(24、44)において生成されるように、コレット(24、44)及び係止素子(21、41)が配置される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項11】
前記分離装置が、前記駆動ユニット(12、37)のハウジング又はベローによって形成され、
及び/又は、
前記駆動ユニット(12、37)が、空気駆動型シリンダとして設計される、
請求項1~10のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項12】
前記能動素子(15、34)が、支持ピン(15)として、又はバルブ閉鎖部(34)として形成される、
請求項1~11のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項13】
前記真空調整装置(10、30)が、前記駆動ユニット(12、37)を制御するための制御ユニットを備え、
その実行において、前記継手(11、20、40)の前記軸方向位置が、前記開変更状態又は前記閉作用状態を提供するように可変であるように構成された保守機能性を、前記制御ユニットが有する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項14】
前記真空調整装置(10、30)が、真空処理チャンバによって提供されたプロセス雰囲気
エリア(P)内で処理される基板
の前記移動及び位置付けのためのピン引き上げ装置(10)
として形成され、
複数の継手のうちの第1の継手として前記継手(11)を備え、
前記駆動ユニット(12)が、前記第1の継手(11)の線形移動性を少なくとも提供し、
前記能動位置が、前記ピン引き上げ装置に前記基板を装備するための装備位置によって形成され、
前記継手(11)が、前記基板に接触してそれを支持するように設計された支持ピン(15)を受容し、前記能動素子を形成するように設計される、
請求項1~13のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項15】
前記真空調整装置(10、30)が、
体積流量又は質量流量を調節するための、及び/又は流路のガス密な遮断のための真空バルブ(30)
として形成され、
開口軸(H)を画定するバルブ開口(32)と、前記バルブ開口(32)を包囲する第1のシール面(33)とを有するバルブシートと、
前記第1のシール面(33)に対応する第2のシール面(36)で、前記体積流量又は質量流量を調節するための、及び/又は前記流路を遮断するための前記能動素子(15、34)
を形成するバルブ閉鎖部(34)と、を有し、
前記バルブ閉鎖部(34)が、前記継手(40)によって前記駆動ユニット(37)に結合され、
それによって、前記バルブ閉鎖部(34)が、
通常位置としての開位置であって、前記真空バルブ(30)の前記バルブ閉鎖部及びバルブシートが、接触なしに互いに対して存在する開位置から、
能動位置としての閉位置であって、前記第1のシール面(33)と前記第2のシール面(36)との間のシール接触が、介在するシールを介して提供され、前記バルブ開口(32)が、ガス密の方法でシールされる閉位置との間で、再度戻るように調整可能であり、
前記継手(40)が、前記バルブ閉鎖部(34)を受容するように設計される、
請求項1~13のいずれか1項に記載の真空調整装置(10、30)。
【請求項16】
前記開変更状態が、前記継手(11、20、40)及び前記コレット(24、44)の前記第1の端位置への調整によって提供されることができ、
前記閉作用状態が、前記継手(11、20、40)及び前記コレット(24、44)の前記第2の端位置への調整によって提供されることができる、
請求項7項に記載の真空調整装置(10、30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス雰囲気内で駆動ユニットに結合されることができる能動素子を移動及び位置付けするための真空調整装置に関する。
【0002】
発明の背景
真空領域用に設計されたかかる調整装置は、例えば、真空チャンバ内で処理される基板を位置付けるために使用される。基板は、通常はロボットによってプロセス体積に導入され、ここで、基板は格納ポイントでの格納のためにチャンバ内に設置され、続いて、処理後にこれらのポイントを上昇させなければならない。処理チャンバ内でのこの位置付け及び移動は、いわゆるピン引き上げシステムであり、ピンリフタとも呼ばれる特定の調整装置によって実現される。
【0003】
ピン引き上げシステムは、IC、半導体、フラットパネル又は基板生産の分野において、特に真空チャンバシステムで使用され、汚染粒子が可能な限り存在しない保護雰囲気内で行われなければならない。
【0004】
かかる真空チャンバシステムは、特に、処理されるか又は生産される半導体素子又は基板を受容するように設けられ、半導体素子又は他の基板を通過させて真空チャンバの内外に案内することができる少なくとも1つの真空チャンバ開口を有する、少なくとも1つの脱気可能な真空チャンバを備える。例えば、半導体ウェーハ又は液晶基板のための製造プラントでは、高感度の半導体又は液晶素子が、複数のプロセス真空チャンバを引き続いて通過し、プロセス真空チャンバ内部に位置する部品は、それぞれの処理装置によって処理される。
【0005】
かかる処理チャンバは、多くの場合、移送バルブ等の他の調整装置を有し、その断面は、基板及びロボットに適合され、基板を通過させて真空チャンバ内部に導入し、任意には目的の処理後除去することができる。代替的に、例えば、さらなる調整装置(移送バルブ)が設けられてもよく、それを通して、処理された基板は、チャンバの外に運ばれる。
【0006】
基板、例えばウェーハの案内は、例えば好適に形成されかつ制御されたロボットアームによって生じ、これは、移送バルブが設けられることができる処理チャンバの開口を通して案内されることができる。そして、処理チャンバのローディングは、ロボットアームによって基板を把持する手段と、基板を処理チャンバ内に運ぶ手段と、チャンバ内で基板を定義されたように位置付ける手段とによって行われる。処理チャンバを空にすることは、対応する方法で行われる。
【0007】
基板の配設のために、及びチャンバ内での基盤の位置付けのために、基板の比較的高精度性及び移動性が保証されなければならない。この目的のために、基板のための複数の支点を提供し、それによって、基板全体にわたる負荷分布(基板の自重に起因する)を提供するピン引き上げシステムが使用される。
【0008】
基板は、引き上げシステムの拡張支持ピン上のロボットによって配設され、支持上の、例えば電位プレート上のピンを下げることによって配設される。この目的のために、ロボットアームは、通常は基板を担持し、チャンバの外に移動する。基板を配設した後にピンがさらに下げられることができ、そこから分離され、すなわちピンと基板との間の接触がなくなる。ロボットアームを除去し、チャンバの閉鎖(及び、プロセスガスの導入又は排気)後、処理ステップが行われる。
【0009】
また、基板に対する低作用の力は、チャンバ内でのプロセスステップを行い、後に続く基板の引き上げを行った後に、特に重要である。基板は、通常は配設されたときに支持部に接触しその上に載置される比較的滑らかな表面を有する。このように、基板とキャリヤとの間に作用する陰圧によって基板をキャリヤから取り外すことを試みる場合、このことは、結果として、例えばエアポケットによって生じるある種の接着をもたらすことができる。基板が支持部から過度に素早く押し離されると、基板が壊れる場合があるが、これは、接着力が、少なくとも一定の接点において抑えられるか又は消滅する可能性があるためである。加えて、支持ピンと基板との間の接触が発生した場合であっても、本プロセス中に生じた基板に対する当接は、望まない応力(又は、破断)につながる可能性がある。このように、基板に対する対応力は、チャンバ内部で取り扱われる基板における重大な要因である。
【0010】
同時に、処理される基板の最も穏やかに可能かつ注意深い処置に加えて、最も短時間で可能な処理時間が保証されるべきである。このことは、チャンバ内の既定の状態、すなわち載せ降ろし位置及び処理位置に可能な限り素早く運ばれることができることを意味する。
【0011】
半導体ウェーハの処理における望まない衝撃を回避するために、例えば、US6,481,723B1は、ピンリフタにおける硬質な移動停止に代えて、特別な停止装置の使用を提案している。ここでは、任意の硬質プラスチック停止部は、より軟質に構成された停止部材と硬質停止部との組み合わせにとって代われるはずであり、軟質停止部材との接触は、まず移動制御のためになされ、硬質停止部は、後に続くそれに応じた減衰方法で接触する。
【0012】
US6,646,857B2は、検出された発生力による引き上げ移動の調節を提案している。ここでは、支持ピンを、得られた力信号に応答して移動させることができ、それによって、支持ピンに対する引き上げ力は、常に付与されかつ制御された方法でウェーハに作用する。
【0013】
真空条件下及び適用された電位下での作用プロセスに関する別の態様は、電気的及び/又は磁気的干渉源の影響の可能性である。この文脈において、特にピン引き上げシステムの設計では、処理手順に対して可能性のある影響を考慮する必要がある。したがって、US2005/0092438A1は、例えば、非導電材料によってその支持ピンが制御プレートから電気的に分離されることができる引き上げ装置を提案している。
【0014】
必然的に、真空調整装置とともに移動させるコンポーネントの部品は、プロセス体積内に存在し、したがって同様に処理手順の作用に曝される。結果として、これらの部品は、増大する摩耗を経験し、通常は定期的又は要求ベースの保守を必要とする可能性があるか、又は定期的に、又は必要に応じて交換されなければならない。
【0015】
ピン引き上げ装置として設計された真空調整装置では、特に支持ピンは、これらの摩耗作用に曝され、それに応じて交換されなければならない。
【0016】
真空バルブとして形成された真空調整装置のケースでは、バルブ閉鎖部(バルブプレート)は、プロセスに関連する摩耗によって特に影響を受ける。したがって、これらの閉鎖部は、かかる特定の保守要件に準拠する。
【0017】
一般的に、体積流量又は質量流量を調節するための、及び/又はバルブハウジング内に形成された開口を通して導く流路の実質的なガス密閉鎖のための真空バルブは、従来技術から様々な実施形態において周知であり、上記で述べたように、特に、可能であれば汚染粒子の存在のない保護雰囲気内で行われなければならないIC、半導体又は基板製造の分野における真空チャンバシステムで使用される。プロセス真空チャンバ内部での処理手順中に加えて、チャンバで間の移送中、高感度な半導体素子又は基板は、常に保護雰囲気内に、特に真空環境内になければならない。
【0018】
この目的のために、一方で外周バルブは、ガス供給又は排出の開閉のために使用され、他の移送バルブに対しては、部品の挿入及び除去のための真空チャンバの移送開口の開閉のために使用される。
【0019】
真空移送バルブとして説明された適用分野及び関連付けられた寸法に起因して、半導体によって通過される真空バルブもまた、それらの概ね矩形の開口断面のために、矩形バルブと称され、それらの通例の機能性に起因して、摺動バルブ、矩形バルブ又は移送摺動バルブとも称される。
【0020】
外周バルブは、特に真空チャンバと真空ポンプ又はさらなる真空チャンバとの間のガス流を制御又は調節するために使用される。外周バルブは、例えば、プロセス真空チャンバ又は移送チャンバと真空ポンプ、雰囲気又は別のプロセス真空チャンバとの間のパイプシステム内部に位置する。かかるバルブの開口断面は、ポンプバルブとも呼ばれ、概ね真空移送バルブよりも小さい。外周バルブは、適用分野に依存して、開口の完全な開閉のみならず、全開位置とガス密閉位置との間の開口断面を継続的に調整することによって流れを制御又は調節することを可能にするため、これらは、制御バルブとも称される。ガス流を制御又は調節するための1つ考えられる外周バルブは、振り子バルブである。
【0021】
通常の振り子バルブでは、例えばUS6,089,537(Olmsted)から周知であるように、第1のステップにおいて、概ね円形のバルブプレートは、開口を介して、開口解放位置から、開口を覆う中間位置に、これもまた概ね円形に回転旋回する。摺動バルブのケースでは、例えばUS6,416,037(Geiser)又はUS6,056,266(Blecha)に記載されるように、バルブプレートに加えて、開口が概ね矩形であり、この第1のステップにおいて、開口解放位置から、開口に重なる中間位置に線形に押圧される。この中間位置では、振り子又は摺動バルブのバルブプレートは、開口を包囲するバルブシートに対向して間隔を置いて配置される。第2のステップでは、バルブプレートとバルブシートとの間の距離が低減され、それによって、バルブプレート及びバルブシートは、互いに抗して一様に押圧され、開口が実質的にガス密に閉鎖される。この第2の移動は、好ましくは、実質的にバルブシートに対して垂直な方向に実行される。例えば、シールは、開口を包囲するバルブシート上に押圧されたバルブプレートの閉鎖側に配置されたシールリングを介して、又はバルブプレートの閉鎖側が押圧されるバルブシート上のシールリングを介して提供されることができる。2ステップで行われる閉鎖プロセスに起因して、バルブプレートとバルブシートとの間のシールリングは、シールリングを破壊するせん断力をほぼ受けなくなるが、これは、第2のステップにおけるバルブプレートの移動は、実質的に直線的かつバルブシートに対して垂直に行われる。
【0022】
異なるシール装置は、従来技術、例えばUS6,629,682B2(Duelli)から周知である。シールリング及び真空バルブ内のシールのために好適な材料は、例えばFKMとも呼ばれるフッ素ゴムであり、特に商品名「Viton」で知られるフッ素エラストマ、そしてまたパーフルオロエラストマ、略してFFKMである。
【0023】
従来技術から、振り子バルブ内のバルブプレートの回転移動と、開口を通って平行な、摺動バルブ内のバルブプレートの並進移動とのこの組み合わせを達成するための異なる駆動システム、及び開口に対して垂直な略並進移動は、例えば振り子バルブに対するUS6,089,537(Olmsted)から、及び摺動バルブに対するUS6,416,037(Geiser)から周知である。
【0024】
バルブプレートをバルブシート上に押圧することは、必要とされるガス機密性が全圧力範囲内であることを確実にすることに加えて、シール媒体、特にOリングの形式のシールリングに対する損害が、過度の加圧応力によって回避されることの両方で生じなければならない。これを確実にするために、周知のバルブは、2つのバルブプレート側の間で働く圧力差に依存して調節される、バルブプレートの圧力差制御を提供する。しかしながら、シールリングの全周縁に沿った均一な力の分布は、特に、大きな圧力変動又は陰圧から陽圧への、又はその反対の変化によって、常に保証されているわけではない。概して、目指すところは、バルブに印加された圧力の結果としての支持力からシールリングを切り離すことである。US6,629,682(Duelli)では、シール媒体を有する真空バルブが提案され、この場合、例えば、シールリングと隣接する支持リングとで構成され、それによって、シールリングが支持力から実質的に解放されるようにされる。
【0025】
任意には過大圧力及び過少圧力の両方に対して必要とされるガス機密性を達成するために、第2の移動ステップに対して付加的又は代替的に、いくつかの既知の振り子バルブ又は摺動バルブが、バルブプレートに対して垂直に変位可能であり、開口を包囲するバルブリングを提供し、これは、バルブのガス密シールのためにバルブプレート上に押圧される。バルブプレートに対して能動的に変位可能なバルブリングを有するかかるバルブは、例えばDE1264191B1、DE3447008C2、US3,145,969(vonZweck)及びDE7731993Uから周知である。US5,577,707(Brida)は、開口を有するバルブハウジングと、開口を通る流れを制御するために、開口全体にわたって平行に旋回可能であるバルブプレートとを備える振り子バルブを開示している。バルブリングは、開口を囲み、数個のばね及び圧縮空気シリンダによって、バルブプレートの方向に縦方向に可動である。この振り子バルブのさらに可能な発展は、US2005/0067603A1(Lucas et al.)に提示されている。
【0026】
上記の真空バルブは、各ケースにおいて、可動バルブ閉鎖部は、普通は駆動部によってポリマー系シール材料とともに案内されることが共通点であり、バルブ効果を提供するために設けられる。閉鎖部は、通常は処理手順に少なくとも部分的にかけられ、ゆえに摩耗が増大する。したがって、定期的又は必要に応じたバルブ閉鎖部の再設置が必要とされる。
【0027】
かかる真空調整装置を全体として、すなわち特にピン引き上げシステム及び真空バルブを考慮する場合、通常は一定又はオンデマンドの間隔での装置の一部の再設置に対する必要性がある。かかる能動素子の保守又は更新は、普通は製品プロセスの停止又は遮断、及び全システムにおけるある程度大規模な介入を必要とする。バルブ閉鎖部又は支持ピンの交換のために、これは、多くの場合、対応する素子に対する固定具の緩慢な緩めを必要とする。このことは、多くの場合、かなり長いダウンタイムにつながり、特別なツール又は保守プロセスを必要とする。プロセス内の能動素子の固定された機構を提供する固定手段もまた、多くの場合、アクセスすることが構造的に困難である。
【0028】
この状況の利点もまた、システム内で突如生じる問題(例えば、支持ピンの破損)によって明らかとなり、これは、短期間かつ迅速な介入を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0029】
したがって、発明の目的は、上記の不利点が低減又は回避される、改善された真空調整装置を提供することである。
【0030】
特に、発明の目的は、最適化された、すなわち特により高速かつより簡易な装置の保守を可能にする、改善された真空調整装置を提供することである。
【0031】
本発明はさらに、摩耗した部品の最適化された再設置のために対応して改善された設計を有する真空調整装置を提供するための目的に基づく。
【0032】
これらの目的は、独立項を特徴づける特徴の実現によって達成される。本発明を代替的又は有利な方法でさらに発展させる特徴を、従属項に見出すことができる。
【0033】
本発明は、真空調整システム、すなわち真空領域内の可動素子を有する任意のタイプの装置の保守のために、真空エリア内での粒子形成のリスクを回避するか又は低減させるより簡潔な可能性を提供するための手法に基づく。本発明によれば、コレットを有する特定の継手が、この目的のために使用される。
【0034】
コレットは、通常は、ワーク又はツールを高精度で中心的かつ高速で圧入するようにクランプするためのクランピング手段である。コレットは、多くの場合、機械ツール上に見出されるが、ハンドル内にコレットを有する手動カッタ、小型ドリル又は彫刻ツールに固着されることもできる。
【0035】
コレットは、通常は円形の、場合によっては正方形又は六角形の画定されたサイズのボアを有する、外側円錐の半径方向スロット付きスリーブで構成される。特に、コレットは、コレットに適合する内側コーンを有するコレット容器を有する。これは、係止素子、例えばユニオンナットを締め付けることによって締め付けられ、係止素子によって、コレットは、コレット容器の内側コーンに圧入され、それによってクランプされる。
【0036】
コレットにスロットを付けた結果として、ボアは、その内部において均等に圧縮されることができ、これによって、ワーク又はツールは、圧入する方法で保持される。コレットのクランピング領域は、多くの場合かなり小さい。
【0037】
本発明によれば、コレットアセンブリ(係止素子を有するコレット)の始動は、好ましくは継手を移動させる駆動ユニットによって実行される。任意には、コレット又は係止素子を、例えば停止部に移動させることができ、係止素子又はコレットを、それに応じて、動きが制限された相手方部品に対してさらに移動させて、継手を開閉することができる。結果として、継手を異なる状態にするために、外側の力又は外力が適用される必要がない。
【0038】
言い換えると、継手の開変更状態又は閉作用状態の生産(又は、これらの状態間の変化)は、好ましくは単に継手の目的の軸方向移動によって提供されることができ、全移動範囲内で、コレットの素子及び係止素子のうちの少なくとも1つを、全移動距離の一部に対してのみともに移動させ、その相手方部品に対して、又は駆動ユニットに対しての残余の移動距離については静止する。この移動フェーズでは、少なくともコレット又は係止素子のいずれかは軸方向に調整されないままであり、継手の状態変化は、他の素子のさらなる移動によって生じる。
【0039】
このように、本発明は、プロセス雰囲気領域(例えば、真空領域)内で可動である能動素子、バルブ閉鎖部を有する真空バルブ又は少なくとも1つの支持ピンを有するピン引き上げ装置のための真空調整装置に関する。真空調整装置は、能動素子のために設計された継手と、能動素子がその目的の効果に関して基本的に無効な状態にある通常位置から、能動素子がその目的の効果を提供する能動位置に調整可能であり、再度戻るように調整可能であるように設計され、かつ継手と協働する駆動ユニットとを有する。また、装置は、外部雰囲気領域からプロセス雰囲気領域を分離するための分離装置を有し、駆動ユニットは、外部雰囲気領域及び継手に、そして特にプロセス雰囲気領域に少なくとも部分的に関連付けられる。
【0040】
継手は、コレットと、コレットと協働する係止素子(クランピング素子)とを有する。継手は、能動素子又は能動素子の継手装置を受容するための受軸を画定する。コレット及び係止素子は、係止素子がコレットに対して開位置まで、かつ閉位置まで調整可能であり、特に変位可能であるような相対位置変動に関連して、軸方向に、又は受軸に対して平行に配置される。継手は、開位置においてコレットの係止素子との相互作用による開変更状態を提供し、閉位置において閉作用状態を提供する。
【0041】
特に、開変更状態では、コレットによって画定された内径は、閉作用状態においてコレットによって画定された内径を上回る。
【0042】
係止素子は、例えば継手リングとして設計され得、円筒形又は円錐コレットに沿って案内されることができるか、又はコレットは、係止素子の固定によってそれに応じて動的に案内されることができる。両方のケースでは、相対位置変動が生じる。開変更状態から閉作用状態への、又はその反対への状態変化は、好ましくは対応する軸方向領域と、2つのコンポーネントの異なる内側又は外側半径との相互作用によって実現される。
【0043】
特定の実施形態では、真空調整装置は、係止素子の開位置と閉位置との間での変化が、駆動ユニットによる継手の軸方向の調整によって、そしてコレット又は係止素子に対する軸方向移動制限が存在することによって、実行されることができるように形成及び構成されることができる。継手の軸方向移動では、コレット又は係止素子のいずれかが固定され、それぞれ他のコンポーネントをそれに対して移動させることができるようにされる。結果として、係止素子は、開位置又は閉位置へと導かれることができる。
【0044】
継手を開閉するために、外側からのシステム又は装置内への介入がないことが、ここでは必要である。このように、能動素子は、容易に、すなわち大きく作用する力なしに除去及び/又は挿入されることができる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの停止部素子が設けられ得、少なくとも1つの停止部素子は、係止素子又はコレットとの相互作用のために配置及び構成される。停止部素子は、それに応じて、係止素子に対して、又はコレットに対して駆動側に設けられた移動距離の制限を形成することができる。
【0046】
特に、停止部素子は、真空調整装置のハウジング(例えば、駆動ユニットのハウジング)上に、真空調整装置と協働する処理チャンバ上に、又は能動素子上に配置されることができるか、又はハウジング、処理チャンバ又は能動素子によって形成されることができる。
【0047】
駆動ユニットは、駆動ユニットによってもたらされる継手の移動による少なくとも1つの停止部素子との相互作用によって開位置及び/又は閉位置に変位可能であるように構成され得る。
【0048】
本発明の一実施形態では、駆動ユニットは、一定の総移動領域にわたる、受軸に沿った、又はそれと並行な継手の線形軸方向移動のために設計されることができ、少なくとも1つの停止部素子もまた、全移動領域における継手の移動の文脈において、コレットに対する係止素子を調整するために配置されることができる。
【0049】
その構造的設計に起因して、駆動ユニットは、継手の線形(軸方向)移動に対する2つの制限を画定することができる。例えば、該ユニットは、この目的のためにガイドロッドを有し、これは、それに応じてこれらの制限内の距離にわたって線形に調整可能であり、その上に継手が配置される。停止部素子は、これらの制限内に配置されることができ、それによって、係止素子又はコレットの移動経路内のみに係合し、ゆえに、継手のコンポーネントのうちの1つのみと相互作用するようにされる。
【0050】
ゆえに、継手のための、特にコレット又は係止素子のための全移動領域は、第1及び第2の端位置によって制限され得る。第1の端位置では、開変更状態が存在するか又は作り出されることができ、第2の端位置では、閉作用状態が存在するか又は作り出されることができる。
【0051】
開変更状態は、継手又はコレットを第1の端位置に調整することによって利用可能にされることができ、閉作用状態は、継手又はコレットを第2の端位置に調整することによって利用可能にされることができる。
【0052】
さらに、全移動エリアにわたって、第1及び第2の作動ゾーンが画定されることができる。第1の端位置は、第1の作動ゾーンを制限し、係止素子は、第1の作動ゾーンにおいて、コレットが実質的に半径方向に力をうけないように調整可能である。第2の端位置は、第2の作動ゾーンを制限し、係止素子は、第2の作動ゾーンにおいて、コレットが半径方向内向きの、すなわち、例えばコレットの中心軸の方向の力の作用を受けるように調整可能である。したがって、それぞれの作動ゾーンでは、継手のコンポーネントを、他のコンポーネント(この移動の途中で位置が変化しない)に対して駆動ユニットによって能動的かつ選択的に移動させることによって、継手のそれぞれの機能状態を提供することが可能である。
【0053】
特に、全移動領域に関する継手の通常位置及び能動位置は、第1及び/又は第2の作動ゾーン内部の少なくとも一部に設けられる。
【0054】
例えば、該装置のプロセス動作では、継手は、端位置のうちの1つに達するまで変位することはないが、全移動領域内であり、領域制限を含まない進行距離にわたって移動させる。作動ゾーンへの、及び作動ゾーンにおける移動は、能動素子の再設置又は保守のみを目的として行われ、ゆえに、継手機構を始動させる。継手は、通常は停止部に達するまで駆動されない。
【0055】
一実施形態では、コレットは、特に円筒形又は円錐形の内側コレット容器を有し得、これは受軸を画定する。コレット容器の寸法は、受容される能動素子に特に適合する。コレットは、受軸に沿って変動する外径を有する、半径方向にスロットが付けられたスリーブとして形成され得、係止素子の内径は、コレットの最大外径よりも小さく、コレット及び係止素子は、コレットの外径が係止素子の内径と連携し、コレット容器に向かって半径方向に方向づけられたコレットの受容力が、受軸に沿った係止素子の軸方向変位によって生成されることができるようにさらに配置されることができる。
【0056】
コレットのクランピングは、用いられた能動素子と連携する圧入接続、すなわち能動素子の圧入固定を提供することができる。
【0057】
代替的に又は付加的に、継手の閉状態では、正極接続が、継手と能動素子との間に設けられることができる。この目的のために、能動素子は、例えば環状の周溝を有することができ、閉じられるとその中でコレットの対応する部分に係合し、それによって、能動素子の保持を提供する。
【0058】
調整装置は、真空領域で使用されるために特に設計され、調整装置の一部を、真空領域内に存在しかつ移動させ、別の部品、好ましくは駆動ユニットの部品は、この領域の外側に存在する。2つの領域雰囲気分離のための分離装置は、この目的のために駆動ユニットによって設けられてもよく、例えば駆動ユニットのハウジング又はベローによって形成されることができる。
【0059】
代替的に、分離装置はまた、継手が部分的又は完全に真空領域の外側にありかつ移動するように設けられてもよい。分離装置は、例えば処理チャンバのチャンバ壁に接続され得る。
【0060】
分離装置は、例えばベローとして、又は摺動するフィードスルーとして形成されてもよく、これは、例えばOリングでシールされる。
【0061】
駆動ユニットは、電気機械型又は空気駆動型、特に空気駆動型シリンダとして設計されることもできる。
【0062】
能動素子は、ピン引き上げ装置の支持ピンとして、又は真空バルブのバルブ閉鎖部として実現されることができる。
【0063】
本発明の一実施形態では、真空調整装置は、駆動ユニットを制御するための制御ユニットを含んでもよく、制御ユニットは、実行時に、継手の軸方向位置が、変更状態又は閉作用状態を提供するように可変であるように構成された保守機能性を有する。
【0064】
ゆえに、必要に応じて実行されることができるユーザ側の機能が実装されることができ、これは、駆動ユニットによって能動素子を装着又は除去するための継手の変位を自動的に行う。
【0065】
一実施形態では、真空調整装置は、真空処理チャンバによって提供されたプロセス雰囲気領域内で処理される基板、特にウェーハの移動及び位置付けのためのピン引き上げ装置、特にピンリフタとして形成され、特に複数の継手のうちの第1の継手として継手を備える。
【0066】
ここで、駆動ユニットは、第1の継手の線形移動性を少なくとも提供しする。能動位置は、この場合、ピン引き上げ装置に基板を装備するための装備位置によって形成され、継手は、基板に接触してそれを担持するように設計された支持ピンを受容し、能動素子を形成するように設計される。能動素子(支持ピン)目的の効果は、ここでは、処理される基板を担持し、引き上げ、そして下げることとして考えられることができる。
【0067】
通常位置は、第1の継手の線形移動性によって作り出されることができ、特に支持ピンの下げられた位置によって表され、そこでは基板との接触がない。
【0068】
コレット継手は、簡易かつ迅速な支持ピン再設置を可能にする。この機構の利点は、かかる交換のために、継手のみを既定の位置に移動させる必要があり、装置に対してさらなる機械的介入がなされる必要がないことである。ピンは容易に除去されることができ、新しいピンが開かれた継手に挿入される。特に到達することが困難な処理チャンバでは、ピン引き上げ装置のかかる設計は、特別な知識又はツールなしに保守を行うことができるため、有利である。
【0069】
ピン引き上げ装置は、能動位置及び通常位置、さらには開変更状態及び閉作用状態の両方が、継手又は継手のコンポーネントの目標の線形移動又は位置付けによって作り出されることができるように特に設計される。この目的のために、好ましくは継手の移動又は位置付けのみが必要とされ、駆動ユニットに対して静止している停止部との相互作用は、開変更状態及び閉作用状態の提供のために提供される。上記目標の線形移動又は位置付けは、駆動ユニットによって提供されることができる。
【0070】
さらなる実施形態では、真空調整装置は、体積流量又は質量流量を調節するための、及び/又は流路のガス密な遮断のための真空バルブ、特に真空摺動バルブ、振り子バルブ又はモノバレントバルブとして設計されることができる。この場合、真空調整装置は、開口軸を画定するバルブ開口と、バルブ開口を包囲する第1のシール面とを有するバルブシートとを有し、また、第1のシール面に対応する第2のシール面で、体積流量又は質量流量を調節するための、及び/又は流路を遮断する(=目的の効果)ための能動素子、特にバルブプレートを形成するバルブ閉鎖部と、を有する。
【0071】
バルブ閉鎖部は、継手によって駆動ユニットに結合され、それによって、バルブ閉鎖部が、通常位置としての開位置であって、真空バルブのバルブ閉鎖部及びバルブシートが接触なしに互いに対して存在する、開位置から、能動位置としての閉位置であって、介在するシールを介して、第1のシール面と第2のシール面との間にシール接触が存在し、それによって、バルブ開口はガス密の方法でシールされる、閉位置との間で調整可能であり、再度戻るように調整可能である。継手は、それに応じてバルブ閉鎖部を受容するように設計される。
【0072】
再度、機構が有利である。バルブ閉鎖部が取り外し除去位置に容易に導かれることができ、それに応じてほぼ労力なく、すなわち特に保持ねじの付加的な解放なく除去及び交換されることができる。
【0073】
本発明による装置は、図中において概略的に示された具体的な実施形態を参照して、単なる例示として以下に説明され、これはまた、本発明のさらなる利点を述べ、図面は詳細を示している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1a】ピン引き上げ装置として設計された本発明による真空調整装置の異なる位置における実施形態を示す。
【
図1b】ピン引き上げ装置として設計された本発明による真空調整装置の異なる位置における実施形態を示す。
【
図1c】ピン引き上げ装置として設計された本発明による真空調整装置の異なる位置における実施形態を示す。
【
図2a】本発明による調整装置のコレット継手の、異なる状態における一実施形態を示す。
【
図2b】本発明による調整装置のコレット継手の、異なる状態における一実施形態を示す。
【
図2c】本発明による調整装置のコレット継手の、異なる状態における一実施形態を示す。
【
図3a】真空バルブとして設計された、本発明による真空調整装置のさらなる実施形態を示す。
【
図3b】真空バルブとして設計された、本発明による真空調整装置のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1a~1cは、ピン引き上げ装置として形成された真空調整装置10の、異なる位置における実施形態を概略的に示す。
【0076】
図1aは、継手11によって駆動ユニット12に接続された支持ピン15を有する、動作又は生産状態にあるピン引き上げ装置10を示す。支持ピン15は、処理チャンバのチャンバ壁16を通ってチャンバ内部に突出する。駆動ユニット15は、所定の移動領域の制限内での支持ピン15の直線軸方向(本明細書では、垂直)移動を提供する。この移動領域は、ここでは特に処理チャンバに対する駆動ユニット15の配置によって制限される。
【0077】
特に、駆動ユニットは、支持ピン15が、処理チャンバを装備するための受容位置に設定され、すなわち処理チャンバの中に深く突出するように制御される。基板、例えばウェーハは、ロボットアームによって、真空移送バルブを通して真空チャンバの中に導入されることができる。ここで、ロボットアームは、ピン引き上げ装置10の伸張されたさらなる支持ピン(ここでは図示せず)の上へのウェーハの配設を可能にする。ウェーハをピンの上に設置した後、ロボットアームは、チャンバの外に案内され、移送バルブが閉じられて、ピン15が適切な制御によって下げられる。これは、ピン15に結合され、ひいてはピン15の移動を提供する、駆動ユニット12の駆動又は引き上げシリンダによってなされる。そして、ウェーハは、目的の支持素子の上に配設されることができる。
【0078】
この状態では、その後、真空状況下での、特に定義された雰囲気内(すなわち、一定のプロセスガスを有する)でのウェーハの予定された処理(例えば、コーティング)が通常行われる。チャンバは、この目的のために、真空ポンプに、好ましくはチャンバ圧を制御するための真空制御バルブ(図示せず)に結合される。
【0079】
処理後、ウェーハは、ピン引き上げ装置10によって再度除去位置に持ち上げられる。第2のロボットアームによって、ウェーハは、引き続いて第2の移送バルブを通して除去される。代替的に、本プロセスは、ただ1つのロボットアームをもって設計されてもよく、その後、設置及び除去が、単一の移送バルブによって実行される。
【0080】
支持ピン15は、特にセラミック等の非導電性材料から作製され、円筒形である。代替的に、支持ピン15は、導電性であってもよく、例えば金属製であってもよい。
【0081】
支持ピンは、継手11にさらにクランプされ、このクランプ状態において、処理チャンバの載せ降ろしを実行するために使用されることができる。
【0082】
上述のように、多数の部品生産の期間にわたり、支持ピン15の摩耗又は断裂に起因して、ピン15の少なくとも1つの再設置が、通常は必要とされる。本明細書で示される解決策は、ピン11の、任意には装置10の簡易かつ迅速な保守を可能にする。この目的のために、継手11は、支持ピン15と駆動部12との間に設けられ、特定的に設計されている。
【0083】
継手11は、内側コレットと、コレットと協働する外側係止素子(例えば、継手リング)とを有する。係止素子は、コレットに対して受軸に沿って軸方向に向かって開位置及び閉位置へと変位可能であり、特にそれに関連して変位可能である。受軸は、継手11と例えば円筒形又は円錐形である内側コレット容器との変位によって形成され、コレットによって形成される。
図1aでは、継手11は、閉じられたクランプ状態で示され、支持ピン15が、張力がかかったコレットによって継手11に係止されている。係止は、係止素子の対応する軸方向の調整によって生じ、そして再度解除されることができる。
【0084】
したがって、継手は、開変更状態(係止素子の開位置)での、そして閉作用状態(係止素子の閉位置)でのコレットと係止素子との相互作用によって変位されることができる。
【0085】
係止素子の始動及びそれによる接合状態での変化は、駆動ユニットの目標とする制御によって実行されることができる。
【0086】
真空調整装置10の一部は、プロセス雰囲気領域P(真空エリア)内に位置する。この領域Pは、処理チャンバの内部体積のみに制限されず、支持ピン15のための通路を通ってチャンバの下方のエリアまで拡大する。また、継手11もこのようにして、プロセス雰囲気P内に配設される。上記ですでに述べたように、プロセス雰囲気P内部におけるプロセス完全性、プロセス信頼性及び清浄度に対する増大する要求が課せられている。粒子の防止は、優先順位基準が考慮されている。コレット継手11によって、この要件を満たすことができる。支持ピンを再設置するための比較的低い労力かつそれに対応して低減された粒子発生源-例えば、解放されるべきねじ接続がなく、始動が駆動ユニットによってなされることができる-ことに起因して、従来の調整アセンブリにおける著しい改善が、コレット継手11の使用によって達成されることができる。
【0087】
継手11は、代替的に(図示せず)外側雰囲気領域A内に存在してもよく、例えば、チャンバ壁(例えば、シールピンフィードスルー)による雰囲気分離が設けられる。
【0088】
図1bは、真空調整装置10を示し、継手11を、駆動ユニット12によって停止部13まで(矢印の方向に向かって)移動させる。停止部13は、継手11の、特に係止素子の始動を提供する。図面では、係止素子の相対移動後にすでに確立されたピン15の係止が示されている。ゆえに、支持ピン15は、継手11における阻止位置にあり、この状態では、機械加工プロセスを行うために使用されることができる。
【0089】
図1cは、開状態における継手11と、継手11から解放されるか又は継手11に挿入されることになるピン15とを示す。継手11を開くために、それは、より低い停止部14と接触する。継手11の係止素子の軸方向移動性は、一方の側においてこの停止部14によって制限される。第1のステップでは、係止素子は停止部14と接触して移動され、続くステップでは、内側コレットが同じ軸方向に向かってさらにオフセットされる。言い換えると、コレットは、係止素子の外に少なくとも部分的に引っ張り出される。結果として、半径方向内側に向けられた力、そしてひいてはピン15を係止するために必要とされる力が、コレット上で低減されるか又は消失する。
【0090】
継手11を閉じるためには、逆のことをを行う。係止素子は、特に(基本的に力を入れない方法で)接触させることのみを目的として停止部13まで移動され、その後コレットは、素子の中に向かう継続的な軸方向移動によって推し進められ、これによってコレットが固定され、すなわちコレットで半径方向に作用する力が生成されるか又は増大する。支持ピン15は、コレットが継手11に挿入される前に挿入される。
【0091】
図2a~2cは、本発明による調整装置のコレット継手20の異なる状態における実施形態を示す。
【0092】
図2aでは、継手20は、開変更状態において、能動素子(例えば、バルブプレート又は支持ピン)を有するアセンブリなしで示されている。参照番号26は、能動素子の円筒形の継手セクションの一部、すなわち、継手20に受容され、そのさらなる使用のためにその内部に係止される素子の一部を指す。
【0093】
係止素子は、ここでは継手リング21として設計され、その軸方向の拡張に関して異なる内側半径又は内径を有する。第1の端領域22では、内側半径は、中央領域23と比較してより小さい。
【0094】
コレット24は、その空間的な拡張に関して、係止素子21の寸法に適合される。コレット24は、上部スリーブセクションにここでは環状に配置される複数のブレーシング又はクランピング脚25を有する。特に、コレット24は、スロット付きスリーブとして形成される。クランピング脚25の領域内のコレットの外径は、実質的に(コレットに対する力の存在なしに)中央領域23における継手リング21の内径に対応するか、又は既定のプレテンションを提供するためにわずかに大きめに設計される。
【0095】
クランピング脚25は、中心軸に向かって角度をつけられた端を各々有し、これらは、より小さな内径をもたらす。この低減された(力がかかっていない)内径は、ここでは、クランプ素子25下方のより低い領域におけるコレット24の半径に実質的に対応する。
【0096】
開変更状態における継手20の内径、すなわち、特にコレット24の最小内径と、円筒形継手セクション26の(外側)半径とには、対応する空間の拡張が適用される。このように、継手セクション26は、多大な労力なく継手20に導入されることができる。コレット24は、受容された継手セクション26の一定のプレテンション及び正確な配向性を提供するために、わずかに小さい内径を有し得ることが理解される。
【0097】
本発明によれば、かかる継手設計は、真空調整装置の一部であることができる。駆動ユニットの制御は、継手20の軸方向の移動性を少なくとも提供し、好ましくは、クランプ素子25の軸方向領域が端領域22及び中央領域23の制限内でのみ調整可能であるように、係止素子21の停止部におけるコレット24の移動が行われるように構成される。このことは、コレット24が継手リング21の外に引っ張り出されないことを確実にすることができる。
【0098】
図2bは、開位置における継手20をさらに示す。能動素子の継手セクション26は、継手20に挿入され、その内部でコレット24の中に押し込まれるが、係止はされない。ゆえに、継手セクション26は、例えば、その拡張軸を中心として回転されることができる。コレット24は、特に下端において、内側境界、例えば縁又は停止部を有し、それによって、継手セクション26が、一定の深さをもってコレット24に挿入されることができる。このことは、能動素子の位置に対する非常に精密な再現性を達成することを可能にする。
【0099】
図2cは、閉作用状態における継手20を示す。係止素子21は、この目的のために、閉位置においてコレット24に対してオフセットされる。係止素子21の端領域22は、この場合、その位置に関して軸方向に向かって、クランピング脚25に、特に拡大された外側半径を有するクランピング脚25の領域に、少なくとも部分的に対応する。この相互作用は、結果として、内側コレット容器の方向に向けられた、クランピング脚25におけるクランピング力を生じさせる。
【0100】
クランピング力は、継手セクション26に対するクランピング脚25のブレーシング又はクランピングをもたらし、それによって、継手セクション26は係止され、すなわち、継手セクション26に対して適用されるかなり大きな張力に耐えることができるようにされる。
【0101】
閉位置(
図2cの後の
図2b)に到達するために、係止素子21は、特に、上部位置停止部まで移動され、その後コレット24は、挿入された継手セクション26とともに、係止素子21に圧入される。
【0102】
開位置(
図2aの後の
図2c)に到達するために、係止素子21は、特に、下部位置停止部まで移動され、その後コレット24は、挿入された継手セクション26とともに、既定の距離を超えて係止素子21の外に引っ張り出される。
【0103】
図3a及び3bは、本発明による真空調整装置の別の実施形態を概略的に示し、これは、真空バルブ30として設計されている。この例では、バルブ30は、いわゆるモノバルブとして設計され、バルブ開位置(
図1a)及びバルブ閉位置(
図1b)における断面で示される。
【0104】
線形移動による流路のガス密閉鎖のためのバルブ30は、流路のための開口32を有するバルブハウジング31を有し、開口32は、流路に沿った幾何学的開口軸Hを有する。開口32は、図中ではバルブ30又は分離壁(図示せず)の左側である第1のガス領域Lを、その右側の第2のガス領域Rと接続させる。かかる分離壁は、例えば真空チャンバのチャンバ壁によって形成される。
【0105】
閉鎖部素子34(バルブプレート)は、能動素子を形成し、幾何学的調整軸Vに沿って線形に変位可能であり、該調整軸は、閉鎖部素子平面内において、開口32を解放する開位置から、開口32(
図3b)を超えて閉方向に向かって、かつ反対に、この例ではバルブロッドである可動調整素子35を有する駆動ユニット37によって開方向に向かって戻るように線形に押圧される閉位置までの開口軸Hに対して横方向に延在する。
【0106】
例えば、(湾曲した)第1のシール面33は、第1の平面33a内の第1のセクションに沿って、かつ第2の平面33b内の第2のセクションに沿って、バルブハウジング31の開口32を囲む。第1の平面及び第2の平面は、互いに間隔を置かれ、互いに対して平行に延在し、かつ閉鎖部素子平面に対して平行に延在する。このように、第1のセクション33a及び反対の第2のセクション33bは、調整軸Vに対して横方向に、かつ開口軸Hの方向に向けられた、互いに対する幾何学的オフセットを有する。開口32は、調整軸Vに沿って延在する領域内の2つの対抗するセクション33a及び33b間に配置される。
【0107】
閉鎖部素子34は、第1のシール面33に対応する第2のシール面36を有し、これは、第1の及び第2のセクション33a、33bに対応するセクションに沿って延在する。
【0108】
示されたこの例では、シールを形成するシール材料は、バルブシートの第1のシール面33上に設けられる。代替的又は付加的には、シールは、バルブ閉鎖部の第2のシール面36上に配置され得る。
【0109】
シールは、例えば加硫によってポリマーとしてバルブシート上に加硫処理され得る。代替的には、シールは、例えば、バルブシートの溝の中のOリングとして設計されることができる。また、シール材料は、バルブシートに接着され、これによってシールを具体化し得る。当然ながら、かかるシールは、本例で説明されたバルブ30に限定されず、説明された他のバルブの実施形態にも適用される。
【0110】
モノバルブ、すなわち単一の線形移動によって閉鎖可能である真空バルブは、例えば、比較的複雑な構造を有する駆動部を必要とする、2つの移動によって閉鎖可能である移送バルブと比較して比較的簡単な閉鎖機構の利点を有する。また、閉鎖部素子は、1つの部材で形成されることができるため、高い加速力にさらされることができ、それによって、本バルブもまた、急速な緊急閉鎖のために使用されることができる。閉鎖及びシールは、単一の線形移動によってなされることができ、それによって、バルブ1の非常に高速な開閉が可能になる。
【0111】
特に、モノバルブの利点は、例えば、シールが閉鎖中に進行することに起因して、シールの長手方向の拡張に対する横方向のあらゆる横負荷をシールが受けないことである。他方では、開口軸Hに対するシールの横方向の拡張に起因して、シールは、開口軸Hに沿って閉鎖部素子34に作用する力を吸収することがほとんど可能ではなく、この力は、閉鎖部素子34に対して、特に大きな差圧をもって作用することができ、このことは、閉鎖部素子34、その駆動部及びその格納部の堅固な構成を必要とする。
【0112】
図3a及び3bに示される真空バルブ30は、本発明によれば、コレット44に対して軸方向に可動なコレット44及びクランピング素子41(係止素子)を有する継手40を備える。クランピング素子41は、軸方向相対位置(コレットに対する)を変動させることによって、継手40を開変更状態及び閉作用状態に変位させることが可能である。
図3aでは、開変更状態が示される。
【0113】
継手40は、この場合、クランピング素子41がバルブロッド35に結合され、案内されることができるように設計される。コレット44は受動的に移動され、すなわちコレット44は、コレット44が停止部に当接し、クランピング素子41を接点を超えてさらに移動させる点において、クランピング素子41に対して可動である。この目的のために、内側停止部46が設けられ、これは、例えば管として設計されたロッド35において形成される。代替的に、停止部46はまた、軸方向に能動的に移動され、それによってコレット44の変位を生じさせることができる。
【0114】
したがって、コレット44は、停止部44によって支持され、クランピング素子41が、コレット44の上方に引っ張られる。結果として、継手40が開かれ、バルブ閉鎖部34及びその継手ピン38が除去されることができる。
【0115】
新しいバルブ閉鎖部34を挿入するために、ピン38は、開かれたコレット44に挿入され、バルブ閉鎖部34が特に位置合わせされる。バルブ閉鎖部34を継手40内に固定又は係止するために、バルブロッド35は、挿入された閉鎖部34とともに縦軸Vに沿って上向きに、すなわちバルブ閉位置に移動される。ロッド35の変位は、接点(バルブ閉鎖部34とシール面33のシールとの間の接触)を超えて生じ、これによって、クランピング素子41が、移動制限されたコレット44を超えて押圧され、継手40は、閉動作状態に置かれる。
【0116】
かかる変更装置によって、バルブプレート34は、プロセスガス領域内部で、少々の労力及び簡単な手段で交換されることができる。バルブロッド35及びそれに対する継手からのバルブプレート34の機械的な緩めは、継手40の縦軸位置の目標とする調整によって、関連して生じさせることができる。したがって、システムにおける別の機械的介入(例えば、ねじの緩め締め)を回避することができる。したがって、望まない粒子形成のリスクが低減される。好ましくは、この目的のために、駆動ユニット37のための特定の駆動シーケンスが提供される。
【0117】
したがって、本発明で示されるか又はそれに含まれる継手の実施形態は、従来技術の他のタイプの真空バルブで使用され得ることが理解されよう。好ましくは、摩耗が起きやすいバルブ閉鎖部の再設置及び/又は保守のための機構が適切であり得る。駆動部によって、代替的又は付加的には、真空処理プロセス内の他の可動コンポーネントに対して解放可能である、かかる低粒子コレット継手の対応する機構が考えられる。また、かかる実施形態は、本発明に包含される。
【0118】
例証された図面は、可能な実施形態を概略的にのみ表すことが理解される。また、本発明によるさまざまな手法が、互いに、及び従来技術の特に基板処理又は真空バルブのための真空装置と組み合わせられることができる。