(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】加熱装置、及び加熱装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20230208BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20230208BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H05B3/10 A
H05B3/74
H05B3/06 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018164981
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】10 2017 215 417.9
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2017 222 958.6
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597022218
【氏名又は名称】エーゲーオー エレクトロ・ゲレーテバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・アベンドショーエン
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-303663(JP,A)
【文献】特開平06-300279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0104835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上側を有するシート状支持体と、前記支持体上側の上の少なくとも一つの加熱要素とを含む加熱装置であって、前記加熱要素は、トラック状の敷設パターンで延びているものにおいて、前記加熱要素は
、二つの加熱伝導体ストリップを有し、前
記二つの加熱伝導体ストリップのそれぞれは、横側と、上縁と、下縁とを有し、前
記二つの加熱伝導体ストリップは、それらの横側を互いに対面させることによって一緒に配置されているか又は互いの上に配置されており、か
つ部分的に接触しており、
かつ、互いに対して完全にではなく、部分的に延びており、前
記二つの加熱伝導体ストリップは、固定されかつ取りはずし不可能な態様で互いに対して接続されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記加熱伝導体ストリップの厚さと前記支持体上側から離れる方向における前記加熱伝導体ストリップの高さの比は、1:20~1:500であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱伝導体ストリップは、互いに対して溶接されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記加熱伝導体ストリップは、複数の溶接点で互いに対して溶接されており、前記複数の溶接点は、前記加熱伝導体ストリップの長手方向に沿って互いから距離を置かれており、前記距離は、前記加熱伝導体ストリップの高さの2倍~20倍であることを特徴とする、請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前
記二つの加熱伝導体ストリップの接続部は、前記加熱伝導体ストリップの高さの半分以下の位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項6】
前
記二つの加熱伝導体ストリッ
プは、一つの部品でかつ互いに一体的に設計されており、これらのストリップは、曲げ線に沿って曲げるか又は折り畳むことによって互いの上に配置されており、前記曲げ線は、前記加熱要素の長手方向の範囲に対して平行に延びているか、又は前記上縁に対して平行に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項7】
前
記二つの加熱伝導体ストリップを有し、これらのストリップは、一つの部品でかつ互いに一体的に設計されており、これらのストリップは、単一のストリップから機械加工されていることを特徴とする、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記二つの加熱伝導体ストリップは、下縁から突出する複数の保持要素を有し、前記複数の保持要素は、前記加熱要素を前記支持体の上に保持するために、前記支持体上側の中に押されるようになっており、前記複数の保持要素はそれぞれ、下縁を越えて同じ程度に突出していることを特徴とする、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項9】
曲げ縁又は曲げ線は、前記二つの加熱伝導体ストリップが前記保持要素の端縁で互いに対して接続されるように、前記保持要素の端縁を通って延びていることを特徴とする、請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記加熱要素は、互いに上になった二つの加熱伝導体ストリッ
プを有する二
層設計のものであることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記
二つの加熱伝導体ストリップは、同一のものであることを特徴とする、請求項10に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記加熱伝導体ストリップは、前記支持体上側の上に直立して保持されており、前記上縁は、上部にあり、前記下縁は、前記支持体の上に又は前記支持体の中にあることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記加熱要素は、下方に突出する複数の保持要素を有し、前記複数の保持要素は、前記加熱要素を前記支持体上に保持するために、前記支持体上側の中に押されるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項14】
前記複数の保持要素は、長さの80%より多くを下縁に沿って延びかつ上縁に対して平行に延びる線を越えて突出しており、前記複数の保持要素は、前記加熱伝導体ストリップの高さの30%~200%だけこの線を越えて突出していることを特徴とする、請求項13に記載の加熱装置。
【請求項15】
前記複数の保持要素は、下方に突出しかつ前記線を越えて突出する複数の突出部として、少なくとも一つの加熱伝導体ストリップの上に一体的に形成されていることを特徴とする、請求項
14に記載の加熱装置。
【請求項16】
前記二つの加熱伝導体ストリッ
プは、互いの上に置かれ、かつ互いに対して接続されており、それぞれの加熱伝導体ストリップは、それ自体の複数の保持要素を有しており、それぞれの加熱伝導体ストリップのそれぞれの保持要素は、重複する態様で配置されず、互いに対して片寄っていることを特徴とする、請求項8又は12に記載の加熱装置。
【請求項17】
加熱要素は、2mm~8mmの波長を有する波形であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項18】
加熱要素は、0.5mm~5mmの波振幅を有する波形であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項19】
請求項1に記載の加熱装置を製造するための方法であって、前記方法は、
-
二つの加熱伝導体ストリップを互いの上に配置して加熱要素を形成する工程と、
- 加熱要素をその平坦な横側から外に波形の撓みを有するように波形にする工程と
を含み、これらの最初の二つの工程の順序は、任意であり、前記方法は、
- 次に、前記加熱要素をトラック状の敷設パターンで平坦な支持体の支持体上側に付与し、それを押すことによって取り付ける工程
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記加熱伝導体ストリップを互いに固定して接続して加熱要素を形成することを特徴とする、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱伝導体ストリップを、それらが波形にされる前に、互いに固定して接続して加熱要素を形成することを特徴とする、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
請求項7に記載の加熱装置を製造するための請求項
19に記載の方法であって、前記二つの加熱伝導体ストリップは、それらが互いの上に配置される前に既に一つの部品で一体的に互いに対して接続されており、前記二つの加熱伝導体ストリップは、第一工程においてまず互いの上に折り畳まれ、次に二重にされた加熱要素が、続く第二工程において波形にされること、及び前記二つの加熱伝導体ストリップは、それらが互いの上に配置される前に既に一つのストリップから一つの部品で一体的に製造されていることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項7に記載の加熱装置を製造するための請求項
19に記載の方法であって、前記二つの加熱伝導体ストリップは、それらが互いの上に配置される前に既に一つの部品で一体的に互いに対して接続されており、前記二つの加熱伝導体ストリップは、第一工程においてまず互いの上に折り畳まれ、次に二重にされた加熱要素が、続く第二工程において波形にされること、及び前記二つの加熱伝導体ストリップは、それらが互いの上に折り畳まれた後に溶接によって互いに対して追加的に接続されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関し、特にホブのための輻射加熱装置の形の加熱装置に関する。本発明はまた、この種の加熱装置を製造するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
US5834740A1及びUS5498853A1は、シート状支持体と、ストリップ形の加熱要素とを有するホブのための輻射加熱装置を開示する。前記シート状支持体は、断熱性かつ電気絶縁性の材料から構成される。前記ストリップ形の加熱要素は、前記支持体の支持体上側の上にトラック状の敷設パターンで延びている。この場合、加熱要素は、加熱伝導体ストリップを含み、保持のために加熱伝導体ストリップの下縁によって支持体上側の中にわずかな程度、押される。さらに、加熱伝導体ストリップは、一体化された設計の複数の保持要素を有し、これらの保持要素は、加熱伝導体ストリップの高さのいくらか下の長さだけ下縁を越えて下方に突出する。これらの保持要素は、加熱伝導体ストリップ又は加熱要素を支持体の上に取り付けるために主に寄与する。加熱伝導体ストリップの二つの横側は、操作中、1000℃を越える熱を放出し、この熱が次に上方に輻射する。
【0003】
加熱伝導体ストリップ又は加熱要素の電気抵抗のため、この種の輻射加熱装置の最大加熱出力は、現在、家庭用の操作では約3600W又は3700Wに制限されている。この技術を使用しては、現在のところ、これより高い加熱出力は達成されることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冒頭で述べた種類の加熱装置及びこの種の加熱装置を製造するための方法であって、従来技術の問題を解決することができ、特に従来技術よりも高い加熱出力を生成することができ、しかも新しい態様で加熱装置を設計することができるものを提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する加熱装置によって、及び請求項21の特徴を有するこの種の加熱装置を製造するための方法によって解決される。本発明の利点及び好ましい実施形態は、さらなる請求項に含まれ、以下でさらに詳細に説明される。この場合、いくつかの特徴は、加熱装置についてのみ記述されるか、又は前記加熱装置の製造方法についてのみ記述される。しかし、それにも関わらず、それらは、加熱装置のみではなく、前記加熱装置の製造方法にも独立して適用されることができることを意図されている。特許請求の範囲の文言は、明示の参照によって明細書にも組み入れられる。
【0006】
加熱装置は、シート状支持体を有する。これは、有利には、ホブのための輻射加熱装置についての従来技術から公知であるように、断熱性かつ電気絶縁性の材料から構成されることができる。この支持体は、支持体上側を有し、これは、有利には平坦又は平面状である。トラック状の特定の敷設パターンで延びる加熱要素が、この支持体上側の上に与えられる。この敷設パターンは、従来技術から公知であるように、螺旋状の設計のものであるか及び/又は蛇行している設計のものであることができる。この場合、加熱要素は、有利には、平行な又は実質的に平行な、又は同心のトラックで主に延びる。
【0007】
本発明によれば、加熱要素は、少なくとも二つの加熱伝導体ストリップを有する。これらの加熱伝導体ストリップのそれぞれは、横側と、上縁と、下縁とを有する。前記少なくとも二つの加熱伝導体ストリップは、それらの横側を互いに対面させることによって一緒に配置されているか又は互いの上に配置されているか又は一緒に折り畳まれており、かつ互いに対面させられた横側によって少なくとも部分的に接触している。特定の状況では、前記加熱伝導体ストリップは、少なくとも複数の点又は区域で、有利には、大部分、又は70%以上、又は完全に、シート状の態様で一緒に置かれることすらできる。前記少なくとも二つの加熱伝導体ストリップは、固定されかつ取りはずし不可能な態様で互いに対して接続されており、特に、少なくともそれらが支持体上に配置されているか又は支持体に取り付けられている時の状態(つまり、完成した加熱装置の状態)ではそうである。加熱要素の少なくとも二つの加熱伝導体ストリップは、有利には、それらが支持体に取り付けられる前に互いに対して固定されて接続される。
【0008】
このおかげで、全ての意図及び目的のために、従来技術に従った単一の加熱伝導体ストリップの代わりに二つの加熱伝導体ストリップで加熱要素が二重化され、伝導体の断面の大きさが増加されることができ、それ故、最大可能電流が増加し、その結果として、加熱要素によって生成される加熱出力も増加する。加熱要素のための加熱伝導体ストリップを二重化又は多重化することは、一体化され、従って厚い加熱伝導体ストリップ(これは、単一の加熱伝導体ストリップとして加熱要素を形成する)と比べて容易に製造されることができるという主要な利点を有する。これは、もし加熱要素が波形であるか又は波形にされることを意図されるなら、特にそうである。波形にする操作は、従来技術から公知のように、2mm~8mmの波長で及び/又は0.5mm~5mmの波振幅で行なわれることができる。その結果として、加熱要素の横側の出現領域の寸法が増大するだけでなく、電気抵抗の特別な値のために本来的に極めて大きな長さを有する加熱伝導体ストリップ又は加熱要素を、予め規定された寸法の支持体上に収容することが可能になる。
【0009】
本発明の範囲内で、全ての意図及び目的のために加熱伝導体ストリップの複数の層を含む加熱要素が、これらの層が互いの上に直接配置されていないか又は接触していない点又は領域を有する場合、この種の加熱装置の操作にとってそれは問題でないことが特別に見出されている。さらに述べると、個々の加熱伝導体ストリップの横側でのこれらの個々の加熱伝導体ストリップの間のこの種の接触は、電流に影響を与えないことも真実である。第一に、材料は、有利には従来技術のものから選択されることができる。この材料は、作動温度で作動の少なくとも数時間後にその表面で酸化し、高い接触抵抗を有するようになる。このようにして、加熱伝導体ストリップの横側(それらは、それら自身、互いに対して配置されている)の領域は、全ての意図及び目的のために互いに電気的に絶縁される。第二に個々の加熱伝導体ストリップからのそれぞれの熱放出は、実験で見出されているように、問題を生じない。加熱伝導体ストリップのために波形をより効率的に製造する能力、及び加熱伝導体ストリップの従来の習慣的な厚さの使用の可能性は、明らかな利点である。波形が比較的狭いと、厚い加熱伝導体ストリップでは過剰の曲げの問題が生じ、次に亀裂又は少なくとも弱化点が前記加熱伝導体ストリップ中に生成されることが主に予測される。これは次に、頻繁なスイッチオン及びスイッチオフ操作のための関連する熱によって誘導される膨張と共に、目で見える白熱領域に、高温での続く操作中に損傷及び破壊をもたらしうる。
【0010】
本発明のある実施形態では、それぞれの加熱伝導体ストリップは、加熱要素の全長に渡って延びることが有利である。この場合、加熱要素は、スタートからフィニッシュまで連続的に常に二つ又は三つ又はそれより多い数の加熱伝導体ストリップからなる。これらの加熱伝導体ストリップは、それらの横側によって一緒に配置されるか又は互いの上に配置される。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、加熱伝導体ストリップの厚さとその高さ(上縁から下縁までの高さ)の比は、1:20~1:500であり、特に有利には1:60~1:200である。この場合、加熱伝導体ストリップの厚さは、0.03mm~0.1mmであり、有利には0.05mm~0.07mmであることができる。高さは、2mm~8mmであり、有利には3mm~5mmであることができる。
【0012】
有利には、加熱伝導体ストリップは、互いに対して溶接されており、特に溶接点で互いに対して溶接されている。有利には、この種の溶接点は、前記加熱伝導体ストリップの長手方向に沿って互いから距離を置かれており、前記距離は、例えば前記加熱伝導体ストリップの高さの2倍~20倍であることができる。代替として、前記距離は、5mm~100mmであり、有利には9mm~20mmであることができる。加熱伝導体ストリップが完全に近くにもしくはほとんど近くに一緒に置かれること、又はそれらの長さに渡って互いに対して圧迫されること(これは、増大した数の溶接点、及びそれによってもたらされる小さな距離の結果である)は絶対的に必要ではないとしても、加熱要素の加工(特に、上述の波形を生成させるための加工)、及び支持体上側中への加熱要素の可能な押し込みは、より効率的に行なわれることが可能である。これは主に、加熱伝導体ストリップの層が互いに対して堅固に圧迫されている場合は、そうである。
【0013】
好ましくは、加熱伝導体ストリップの互いに対する接続又は溶接は、加熱伝導体ストリップの高さの半分以下の位置に(つまり、加熱要素又は加熱伝導体ストリップの下部領域に)配置されるか又はこの位置で行なわれる。有利には、この種の接続又は溶接は、加熱伝導体ストリップの高さの4分の1以下の位置に、特に有利には下縁に与えられる。この理由は、加熱要素が支持体上側に圧迫するため、又は加熱要素が支持体上側中にある程度(たとえそれが少しだとしても)埋め込まれるため、第一に加熱要素が直接冷却され、第二に、熱放出が減少されるからである。従って、熱放出の減損は、これらの接続点において、(特にもし溶接されるのなら)消極的な影響をあまり有さないことができる。この場合、特定の状況下では、加熱伝導体ストリップが上方向に又はそれらの上縁の方向に互いから距離を置かれることができ、その結果として、それぞれの加熱出力の放出が改善される。
【0014】
原則として、加熱要素は、互いの上に配置された又は互いに対して接続された複数の又は多数の加熱伝導体ストリップ(例えば四つ又はそれ以上の加熱伝導体ストリップ)を含むことができる。有利には、加熱要素は、互いに上になった二つの加熱伝導体ストリップ又は互いに上になった三つの加熱伝導体ストリップを有する二層又は三層設計のものである。特に有利には、加熱要素は、互いに上になった二つの加熱伝導体ストリップを有する二層設計のものである。
【0015】
一般的には、複数の加熱伝導体ストリップは、同様の又は同一の設計のものであることができる。これは、それらの輪郭及び/又はそれらの厚さについて当てはまることができる。その結果として、単一の種類の加熱伝導体のみが製造されなければならない場合に製造が単純化されることができる。本発明の改変において、同一の輪郭で異なる厚さの二つの加熱伝導体ストリップが接続されて加熱要素を形成することができる。この場合、厚さの差は、薄い方の加熱伝導体ストリップの5%~100%であることができる。
従来技術から公知のように、有利には、加熱伝導体ストリップ(加熱要素)は、支持体上側の上に直立して保持されるか又は配置される。有利には、これは、90°の角度で、つまり支持体上側に対して直角で行なわれる。この場合、加熱要素又は加熱伝導体ストリップの上縁は、上方に面し、それぞれの下縁は、支持体もしくは支持体上側に圧迫するか、又は支持体上側中にもしくは支持体中にある程度埋め込まれるかもしくは押し込まれる。これは、従来技術から公知であり、支持体上の加熱要素の特に有利な保持及び配置を与える。これは、互いに上になった複数の加熱伝導体ストリップを含むこの種の多層加熱要素において主に有利である。
【0016】
本発明の有利な実施形態では、加熱要素は、下方に突出する複数の保持要素を有し、前記複数の保持要素は、前記加熱要素を前記支持体上に保持するか又は取り付けるために、前記支持体上側の中に押されるようになっている。これらの複数の保持要素は、長さの80%より多くを下縁に沿って延び、かつ上縁に対して平行に延びる線を越えて突出している。特に、前記複数の保持要素は、前記加熱伝導体ストリップの高さの30%~200%だけこの線を越えて突出している。本発明の一つの実施形態では、この線は、加熱伝導体ストリップ自体の下縁であることができる。これは、複数の保持要素が、別個の複数の構成要素であり、前記別個の複数の構成要素が、U形状又は弓形状の二つの肢によって上から前記加熱要素の上縁の上に配置され、それによって下縁を越えて下方に突出している場合に主に当てはまる。このとき、下縁は、それにもかかわらず直線で連続的に延び続ける。この場合、保持要素又は保持要素の二つの肢は、それらの間の加熱伝導体ストリップの全ての層を包囲している。これは既に、加熱伝導体ストリップの互いに対する又は加熱要素に対するある種の固定された接続を与えることができる。しかし、有利には、保持要素は、溶接接続によって、又は二つの肢(これらは、互いの上に置かれている)を下縁の下に回すことによって、加熱要素に追加的に取り付けられる。好ましくは、複数の保持要素は、下縁を越えて下方に突出する二つの肢が互いに対して接続されると同時に下方領域の加熱要素又は加熱伝導体ストリップに対して接続されるように、下縁に取り付けられる。特に好ましくは、それらは互いに対してここで溶接される。この場合、全ての意図及び目的に対して、溶接接続の小さな部分がまた下縁に結合して接続されていると仮定して、主要な溶接接続が保持要素の二つの肢の間になされるだけで十分である。
【0017】
従って、保持要素は、加熱要素を支持体上に保持するというそれらの機能に加えて、それら自体によって及び加熱要素へのそれらの接続によって、加熱伝導体ストリップを互いに対して接続することができる。
【0018】
本発明の代替的な実施形態では、複数の保持要素は、下方に突出する複数の突出部として、少なくとも一つの加熱伝導体ストリップの上に一体的に与えられることができる。従って、保持要素は、下縁にほぼ相当する上述の線を越えて突出し、この線は、下縁から下方に突出する保持要素のみによって中断される。これらの突出部の形状は、正方形又は矩形であることができる。有利には、それらは、支持体上側中への穿孔又は押し込みを容易にするために、下向きの方向にある程度のテーパーを有する台形であることもできる。
【0019】
加熱要素のための少なくとも二つの加熱伝導体ストリップが与えられており、それらが互いの上に置かれ、かつ互いに対して(有利には上述の溶接によって)接続されている場合、それぞれの加熱伝導体ストリップは、複数の保持要素を有していることができる。しかし、それぞれの加熱伝導体ストリップのそれぞれの保持要素は、重複する態様で配置されず、従って、熱伝導体ストリップは、一致する態様で互いの上に置かれておらず、互いに対して片寄っている。この場合、有利には、加熱伝導体ストリップは、それぞれの場合において保持要素と同じ距離だけ互いに対して片寄っており、従って、加熱伝導体ストリップの一つは、それぞれの場合において、保持要素と同様に交互に与えられている。保持要素が全ての意図及び目的のために支持体上側の中に一つの層の深さだけ押し込まれる場合、保持効果は十分であるとみなされる。この方法で良好な保持が達成されることすらあり得る。なぜなら、二層保持要素が平坦でない態様で接続されるか又は温度のために移動されるかもしくは変化される場合、不利益は生じないからである。さらに、この場合、より少ない数の一体的に形成された保持要素が加熱伝導体ストリップ上に与えられることができ、従って、材料は、全ての意図及び目的のために節約されることができる。下方に一体的に突出する保持要素は、いかなる場合にも加熱機能にほとんど又は全く影響を与えない。なぜなら、加熱装置の作動中にこれらの保持要素を通って流れる電流はわずかだからである。
【0020】
第二に、一体化された設計の保持要素において、それらは、加熱伝導体ストリップを互いに対して接続して加熱要素を形成するために互いに対して接続されることが有利であることができる。この理由はまた、上述したように、一体的に下方に突出するこれらの保持要素を通って流れる電流はないか又はわずかだからである。従って、全ての意図及び目的のために、溶接接続による構造への損傷(主に加熱伝導体ストリップの表面への損傷)は、電流によって、及び主に熱の生成によって、より少ない程度まで負荷に供される点で耐えられ、その結果として、加熱装置の有効寿命も改善されることができる。
【0021】
上述の加熱装置を製造することを可能にするために、二つの工程がまず実行される。第一に、少なくとも二つの加熱伝導体ストリップが、それらの横側によって互いの上に配置されて加熱要素を形成する。さらに、加熱要素又は加熱伝導体ストリップは、波形にされる(特にその平坦な横側からこの種の波形の撓みを有するように波形にされる)。これらの二つの工程の順序は、任意であり、相互に交換されることができる。従って、加熱要素は、互いの上に置かれるように互いに対して接続された少なくとも二つの加熱伝導体ストリップからまず形成されることができる。続く工程において、波形化操作が実行されることができ、これによって、互いに対して接続された加熱伝導体ストリップは、全ての意図及び目的のために波形にされる。代替として、個々の加熱伝導体ストリップは、まず波形にされることができる。これはもちろん、同一の波形化操作で実行される。続く工程において、前記加熱伝導体ストリップは次に互いの上に配置され、有利には互いに対して固定して接続される。
【0022】
もし波形にされた多層加熱要素が製造されるのなら、続く工程において、前記加熱要素は、導入部分で前述したように、トラック状の特定の敷設パターンで平坦な支持体の支持体上側に付与され、その中に押されることによって取り付けられる。この場合、加熱要素の下縁は、代替として又は追加的に加熱要素の下方に突出する保持要素と共に支持体上側の中に押されることができる。有利には、加熱要素は、導入部分で述べたUS5834740A1に従って、つまり、機械加工された溝状の凹所を有する特別に成形された一種の取り付け部分の中に導入された加熱要素の全体によって、平坦な支持体の支持体上側に付与される。この時、加熱要素は、この成形された取り付け部分の上側を越えてある程度突出し、成形された取り付け部分は、加熱要素と共に、支持体上側の上に配置されて支持体上側の中に押される。その結果として、加熱要素は、特に上述の突出する保持要素によって、支持体上側の中に押されて、取り付けられる。
【0023】
本発明の有利な実施形態では、加熱伝導体ストリップは、前記方法において互いに固定して接続されて加熱要素を形成し、従って、加熱要素は、安定な態様で、特にそれが熱的に移動されるときに支持体に取り付けられる。有利には、加熱伝導体ストリップは、それらが波形にされる前に互いに対して固定して接続され、従って、波形化操作は、多層加熱要素において実行される。この場合、互いに対する加熱伝導体ストリップの接続はまた、加熱伝導体ストリップがまず個々に波形にされ、次に互いに対して固定して接続される場合と比べて、特定の前提に従って、さらに単純でかつ正確な態様で実行可能である。
【0024】
本発明の同様に有利な代替的実施形態では、加熱装置は、正確に二つの加熱伝導体ストリップを有し、これらのストリップは、一つの部品でかつ互いに一体的に設計されている。この場合、それらは、機械加工されている(例えば、特に単一のストリップから打ち抜かれている)。しかし、本発明の範囲内の意図は、前記個々のストリップが二つの加熱伝導体ストリップからなるというものである。次に、二つの加熱伝導体ストリップは、加熱要素又は加熱装置の製造中に曲げ線に沿って曲げるか又は折り畳むことによって互いの上に配置される。この曲げ線は、上述のように、前記加熱要素の長手方向の範囲に対して平行に延びているか、及び/又は前記上縁に対して平行に延びている。従って、二つの加熱伝導体ストリップは、全ての意図及び目的のために、ただ一つの加熱伝導体ストリップであるか、又は互いに対して既に一体的に接続されており、それ故、それらは曲げ又は折り畳み操作の後に互いに対して接続される必要はもはやない。しかし、これは、特に互いの上への配置と共に、曲げ線に沿った曲げ又は折り畳みの後になおも実行されることが有利でありうる。この種の接続のため、組み合わされた部品は、さらに効率的に、有利には溶接によって永久に保持されることができる。この場合、二つの加熱伝導体ストリップは、第一工程においてまず互いの上に折り畳まれ、次に二重にされた加熱要素が、続く第二工程において波形にされる。このようにすることによって、他の方向の回転は、加熱要素の一体的な設計のためにほとんど不可能であるだろう。
【0025】
上述のように、この実施形態では、二つの加熱伝導体ストリップはまた、下縁から突出する複数の保持要素を有し、前記複数の保持要素は、前記加熱要素を前記支持体上に保持するために、前記支持体上側の中に押されるようになっており、これらの保持要素はそれぞれ、下縁を越えて同じ程度に突出することが有利である。ここで、上述のように、保持要素は、特に有利には、加熱伝導体ストリップから一体的に形成されるか又はそれらから突出しており、つまり、別個の部品ではない。曲げ縁又は曲げ線は、二つの加熱伝導体ストリップの二つの下縁の間の中央を延びることができ、つまり、折り畳まれていない状態で全ての意図及び目的のために鏡軸を形成することができる。有利には、曲げ縁又は曲げ線は、前記二つの加熱伝導体ストリップが前記保持要素の端縁又は端で一つの部品でかつ一体的に互いに対して接続されるように、前記保持要素の端縁を通って延びている。その結果として、曲げ又は折り畳みは、さらに容易に実行されることができる。代替として、上述のように二重にされた加熱要素に対して別個の保持要素を続いて取り付けることも可能であるだろう。
【0026】
これらのさらなる特徴は、請求項からだけでなく、明細書及び図面からも集められることができ、個々の特徴は、各場合においてそれら自身で又は本発明の実施形態及び他の分野において副組み合わせの形で結合して実現されることができ、保護がここでクレームされる有利で固有の保護可能な実施形態を構成することができる。個々の部分への適用の小分割及び小見出しは、その下でなされる文章の一般的な有効性を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の例示的実施形態は、図面に示されており、以下にさらに詳細に説明されるだろう。
【
図1】
図1は、下部に一体的に形成された保持要素を有する細長いストリップの形の本発明による加熱要素の側面図を示す。
【
図2】
図2は、二つの加熱伝導体ストリップを接続するためのスポット溶接装置を有する、
図1からの加熱要素の上から見た平面図を示す。
【
図3】
図3は、溶接された部分及び二つの加熱伝導体ストリップの間の空隙を有する、
図2からの加熱要素11の上から見た平面図の拡大図を示す。
【
図4】
図4は、互いに対して圧迫する二つの加熱伝導体ストリップであって、一体的に形成された保持要素が互いに対して片寄らされているものを含む代替的な加熱要素を、
図1と同様の表現で示す。
【
図5】
図5は、波形化操作の前に互いに対して溶接された二つの加熱伝導体ストリップを含む、完全に波形にされた加熱要素の平面図を示す。
【
図6】
図6は、まず一緒に配置されて、次に溶接された二つの別々に波形にされた加熱伝導体ストリップを有する、
図5に対する代替的な設計を示す。
【
図7】
図7は、ホブ板、及びその下に配置された加熱装置を有するホブの詳細の側面図を示し、そこでは、加熱装置は、支持体上に部分的に埋め込まれた加熱要素を有する。
【
図8】
図8は、一緒に折り畳まれるために中央軸に対して対称的な単一の連続的に一体化されたストリップの平面図を示す。
【
図9】
図9は、下方に突出する保持要素を有する、二層形態の
図8からの一緒に折り畳まれたストリップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、側面から見た加熱要素11を示す。この加熱要素は、
図2及び
図3に示されるように、二つの加熱伝導体ストリップ13a及び13bを含む。これらの加熱伝導体ストリップは、局所的に互いの上に配置され、互いに対して部分的に(しかし完全にではなく)延びている。これは、
図3による上からの平面図の拡大図に示されている。そこでは、分離された狭い空隙28が、加熱伝導体ストリップ13aと13bの間に見られることができる。溶接された部分26(矢印で示されている)は、二つの加熱伝導体ストリップ13a及び13bを一緒に保持し、その結果として、それらは、固定されて取りはずし不可能な態様で互いに対して接続される。
図3に示される空隙28は、極めて狭くすることができ、加熱伝導体ストリップ13の厚さの10%~500%の範囲にあることができる。
【0029】
加熱伝導体ストリップ13aは、横側15a(
図1に示されている)、上縁17a(直線で延びる)、及び下縁19aを有する。下縁19aは、大部分が直線で延びるが、下で保持要素21aによって中断されている。保持要素21aは、下方に突出する態様で前記下縁の上に一体的に形成されている。加熱伝導体ストリップ13aの高さは、最初に述べたように数ミリメートルであることができ、保持要素21aの間の互いに対する距離は、約15mm~25mmであることができる。第二加熱伝導体ストリップ13bは、
図3に示されるように、正確に同じ方法で設計され、同じ厚さを有する。
【0030】
図2において上から示されるように、加熱伝導体ストリップ13a及び13bは、平坦な態様で一緒に配置されるか又は互いに対して配置され、スポット溶接された部分26によって、二つの溶接チップ25a及び25bを有するスポット溶接装置23によって接続される。
図1~
図3の例示的な実施形態では、スポット溶接された部分26は、互いに対して距離を置かれて与えられており、従って、それらはそれぞれ、保持要素21aの上に与えられている。それらは、下縁19aの外挿された線の上に実質的に置かれるが、この線よりいくらか下に、つまり保持要素21の全体に又は保持要素21の表面のみにおいて置かれることもできる。この理由は、既に上述されている。特に、加熱伝導体ストリップ13又は加熱要素11の主要な活性部分の構造(これは、上縁17と下縁19の間の加熱伝導体ストリップ13の高さに相当する)は、その結果として否定的な又は不利な影響を受けない。
【0031】
図4には、加熱要素111の代替的な実施形態が示されている。
図4は再度、二つの加熱伝導体ストリップ113a及び113bを示し、これらは、それらの互いに面する横側によって一緒に配置されるか又は互いの上に配置され、従って、それらは大部分が局所的に接触している。加熱伝導体ストリップ113a及び113bはそれぞれ、同一の設計のものであり、以前の例示的実施形態の加熱伝導体ストリップ13a及び13bと実質的に同様のものである。従って、前記加熱伝導体ストリップは、横側115を有し、加熱伝導体ストリップ113aの横側115aがここでは見られることができる。さらに、前記加熱伝導体ストリップは、上縁117a及び117bを有し、加熱伝導体ストリップ113aの下縁119aがここでは見られることができる。二つの加熱伝導体ストリップ113a及び113bは、保持要素121a及び121bを有し、これらは、下方に突出するように一体的に形成されている。しかし、前記保持要素は、
図1~
図3の加熱要素11の場合において見られるように、それらが交互に互いの後になって重複したり波形になったりしないように、互いに対して片寄らされている。従って、互いに対する保持要素121aと121bの間の距離は、2倍だけ大きい。それにもかかわらず、個々の及び単一の層のみの保持要素121a及び121bを挿入することによる支持体への加熱要素111の確実な固定も、この場合は可能である。
【0032】
二つの加熱伝導体ストリップ113a及び113bは次に、矢印によって示される溶接された部分126によって接続される。溶接された部分126の間の距離も、
図1のものに相当するが、溶接された部分126が保持要素121a及び121bの上に互いに形成されることができない点では異なる。最終的に、これらの保持要素121a及び121bは、互いに対して圧迫されない。なぜなら、それらは互いに対して片寄らされているからである。従って、溶接された部分126は、加熱伝導体ストリップ113a及び113bの下部領域に与えられ、つまり、上縁117よりも下縁119の近くに与えられ、具体的には、それぞれの場合において、隣接する複数の保持要素121の間の正確に中央に与えられる。本発明のさらなる実施形態では、溶接された部分126は、一方の加熱伝導体ストリップ113の保持要素121に対する他方の加熱伝導体ストリップ113の下縁119にそれらが直接接続されるように形成されることもできる。
【0033】
加熱要素11の
図5の平面図は、波形化操作後の状態を示し、つまり、加熱要素11が完全に波形にされた時の状態を示す。予め規定されたように二層で製造されて二つの加熱伝導体ストリップ13a及び13bを含む加熱要素11は、波形にされた加熱要素を製造するために従来技術において現在既に使用されているような波形化装置(これは、冒頭で述べた文献から公知である)を通過させられる。波形化操作中の保持要素21又は溶接された部分26の位置(つまり、波形化操作中の頂点又は変換点の位置)は、仕上げられた加熱要素11にとっては重要ではない。
【0034】
加熱装置又は加熱装置のための加熱要素を製造するための代替的な方法において、個々の加熱伝導体ストリップ13a及び13bはまず。
図6に従って波形にされる。原則として、この波形の形状は、
図5のものに対応することができ、従来技術において公知のようにして実行されることができる。次に、二つの加熱伝導体ストリップ13a及び13bは、互いの上に配置され、有利には、それらの保持要素(ここでは図示されていない)が、
図1に従って正確に互いの上に配置されるか又は
図4に従って互いに対して片寄らされるように配置される。次に、溶接操作が、溶接チップ25a及び25bによって上述したような態様で実行され、二つの加熱伝導体ストリップ13a及び13bを固定されかつ取りはずし不可能な態様で互いに接続する。溶接操作のための場所は、上述のようにして選択されることができる。
【0035】
従って、
図6に示される方法では、なおも個々の加熱伝導体ストリップ13は、まず波形にされ、次に一緒に配置されるか又は互いの上に配置され、そして固定されかつ取りはずし不可能な態様で互いに接続される。この方法による利点は、加熱伝導体ストリップの波形化が疑いもなく容易であるということである。なぜなら、それは、従来技術による手順に正確に相当するか又は現在実行されている態様であるからである。しかし、一つの欠点は、続く溶接操作を実行することがかなり困難であるということである。これは、比較的薄い溶接チップであってもそうである。最終的に、前記溶接チップは、最も好適には、それぞれの場合に波の峰において(つまり、頂点において)溶接操作を実行しなければならない。なぜなら、ここでは加熱伝導体ストリップを一緒に押す工程が最も簡単に実行可能であるからである。しかし、これは常に容易に実行できるわけではない。さらに、溶接操作が常に
図1に従って保持要素の表面で実行されることができるということは、(これが望ましいとしても)予測不可能である。
【0036】
図7の単純化された図は、ホブ板31及び本発明による加熱装置33をその下に有するホブ30を示す。加熱装置33は、従来技術で公知のように、ホブ板の下側に取り付けられている。加熱装置33それ自体は、いわゆる輻射加熱装置の形のものであり、平坦なシート状の支持体35と、その外側の周りに延びる支持体縁36を有する。加熱要素11は、支持体縁36の内部の支持体35の表面の大部分に渡って付与されており、具体的には、円周状又は蛇行する形状(ここでは図示されていない)で、敷設パターンとしては所望により同心的に付与されている。しかし、これも従来技術から寄せ集められることができる。原則として、
図5に従う加熱要素11(この加熱要素は、従って、二つの層を有し、かつ非連続的な態様でその長さに渡って接続されるか又は溶接される)を押し込む工程は、有利には容易に実行されることができる。この種の二層加熱要素も、上述の文献US5834740A1の形の従来技術から公知の押し込み型の中に挿入されることができる。この押し込み操作は次に、従来技術から公知の態様で実行されることができる。保持要素21(
図7において点線で示されている)は、次に、支持体35の中に押し込まれ、所望により加熱伝導体ストリップの下縁の中にもわずかに押し込まれる。
【0037】
図7によるこの種の加熱装置33を、本発明による加熱要素11(これは、二つ又は三つの層を有し、互いの上に配置されかつ取りはずし不可能な態様で互いに接続されている加熱伝導体ストリップからなる)と一緒にすることによって、かなり高い加熱出力が達成され、しかも同時に確実にされる製造方法は、簡単で、容易に実行されることができる。
【0038】
図8は、本発明のさらなる実施形態についてのものであり、どのようにして二つの加熱伝導体ストリップ213a及び213bが最初から一つの部品でかつ一体的に既に製造されるかを示す。二つの加熱伝導体ストリップ213a及び213bは、曲げ線B(これは、一点鎖線で示されている)に対して鏡像対称に延びる。この場合、細長い形状の凹所220が、好適な加熱伝導体材料の単一の元々は連続的な幅広ストリップから打ち抜かれる。これらの凹所は、それらの長手方向に関して、曲げ線Bに対して対称的である。
【0039】
これらの打ち抜かれた凹所220のおかげで、加熱伝導体ストリップ213a及び213bは、以前は連続的な幅広ストリップの外部縁としての上縁217a及び217bを与えられるだけでなく、下縁219a及び219bも与えられる。保持要素221a及び221bは、これらの下縁219a及び219bからこれらを越えて延びる。二つの加熱伝導体ストリップは、保持要素221a及び221bでそれら自体互いに融合する。従って、凹所220は、それらの形状によって、保持要素221a及び221bの形状、及び
図7に従う仕上げられた状態での加熱要素の高さを決定する。
【0040】
曲げ縁222は、曲げ線Bがこれらの保持要素を通って延びるか又は対向する保持要素221a及び221bを通って延びる場所で、具体的には前記曲げ線Bに沿って与えられる。これらの曲げ縁222は、型押又は溝形成によって連続的な曲げ縁として設計されるか又は全ての意図及び目的のために予め成形されることができる。従って、前記曲げ縁は、二つの加熱伝導体ストリップが次に曲げ線Bに沿って曲げられて一緒に折り畳まれる場所を予め指定する。
図1と同様の態様で、波形にされていない状態での加熱伝導体ストリップの長手方向に沿った保持要素221aと221bの間の距離の大きさが、ここでは明確に示されている。言うまでもないことだが、保持要素はまた、より短く又はより長く、より狭く又はより幅広に、より互いに対して近く又はより互いから離れて設計されることもできる。
【0041】
もし二つの加熱伝導体ストリップ213a及び213bが曲げ線Bに沿って一緒に折り畳まれてそこで正確に重複するのなら、
図9の構造が形成される。この
図9は、
図1に従って又は
図1におけるのと同様の態様で再び、波形化操作の前の側からの加熱要素211を示す。
図9では、下部の加熱伝導体ストリップ213bは曲げ線Bに沿って、できる限り平坦になるように180°を通る図の平面へと折り畳まれるか、又は他方の加熱伝導体ストリップ213aに対して
図2及び
図3に従って平面図に折り畳まれること、及びいずれの場合においても内部側に折り畳まれることが見られることができる。二つの横側215a及び215bは、本発明に従って与えられるようにこの時、外向きにそれぞれ面する。
図9はまた、保持要素221aの下縁が、曲げ縁222によって形成されることを示す。この閉鎖された下縁は、所望により、
図7におけるのと同様に支持体35の中に前記保持要素を押し込むことをさらに容易にすることができる。
【0042】
図9の右手側は、どのようにして二つの可能なスポット溶接された部分26が与えられることができるのかを示す。左手側のスポット溶接された部分226は、加熱伝導体ストリップ213の高さの約半分の位置に配置されている。しかし、前記スポット溶接された部分はまた、より高くに又はより低くに又は上縁217aと下縁217bの間のどの位置にでも与えられることができ、これらの縁のうちの一つに対して直接与えられることもできる。右手側のオプションは、保持要素221aの上の又はこの保持要素の表面のほぼ中央におけるスポット溶接された部分226である。この溶接された部分226は、このとき、下部曲げ縁222からほんのわずかの距離にしかなく、従って、上方に曲がった加熱要素211に対する保持効果、又は互いから離れる方向に曲がった二つの加熱伝導体ストリップ213a及び213bに対する保持効果は、あまり良好ではない。しかし、加熱要素211はなおも波形にされることを意図されている(特に、
図5の平面図に対応する最終形状にされることを意図されている)ので、上方への曲げ又はこの方向の離れる曲げは、ほとんど不可能であるか又は起こりそうにない。従って、スポット溶接された部分226は、全体的に分配されることもできる。これは、組み立ての費用をかなり減少させ、しかも製品寿命を増大させる。
【0043】
図8及び
図9の例示的実施形態の主要な利点は、二つの加熱伝導体ストリップを、それらが連結されて次に曲げられるか又は一緒に折り畳まれるように元々一つの部品で一体的に製造するおかげで、互いに対するそれらの位置が予め指定され、変更されることができないということであると考えられる。従って、一緒に折り畳まれた状態での互いに対する二つの加熱伝導体ストリップの位置もまた、正確に予め指定され、変更されることができない。さらに、型押操作からの廃棄材料は、減少されることができ、スポット溶接を実行することは絶対的に必要ではない。
【0044】
原則として、
図8及び
図9は、二つの加熱伝導体ストリップが、同一の形状を有し、かつ一緒に折り畳まれるか又は一緒に曲げられた後に互いに対して十分に一致した態様で配置されることは必須ではないということを示す。他の構成配置もまた実施可能である。しかし、前記方法は、加熱出力(特に表面加熱出力)の均一な分布のために高く推奨される。