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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20230208BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230208BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
G08B25/00 510E
G08B17/00 L
G08B21/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018169023
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2020042509
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】樋口 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 浩生
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256953(JP,A)
【文献】特開平08-044967(JP,A)
【文献】特開2005-227885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B1/00-9/20
17/00
19/00-31/00
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者が居住している居住領域の温度及び湿度を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、少なくとも前記居住領域の温湿度環境が異常状態か否かを判定する異常判定手段と、
前記居住領域の居住者の属性と、前記異常状態の発生時における前記居住領域内の前記居住者の在否との組合せを特定する特定手段と、
前記異常判定手段により前記居住領域が前記異常状態であると判定された場合に前記居住領域の外部に対して表示警報情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記特定手段による特定結果に応じた態様で前記表示警報情報を出力する、
防災システム。
【請求項2】
前記異常判定手段は、前記異常状態の内容として前記居住領域が高温高湿状態であるか否か又は低温低湿状態であるか否かを判定し、
前記出力手段は、前記特定手段による特定結果と前記異常状態の内容とに応じた態様で前記表示警報情報を出力する、
請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記異常判定手段が前記異常状態の内容として前記居住領域が高温高湿状態であると判定した場合には、特定手段による特定結果に応じた態様で、熱中症の注意喚起のための前記表示警報情報を出力する、
請求項1又は2の何れかに記載の防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住戸内の異常を監視する無線監視システムが知られていた(例えば、特許文献1参照)。この無線監視システムにおいては、住戸内の異常を検出した場合に、屋外に設けられている屋外表示灯を点灯させることにより、異常の発生を報知していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-106995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今の高齢化社会の中で、特許文献1の無線監視システム等を含む住戸を監視する技術において、独居老人の住戸における防災性の向上が求められていた。すなわち、居住者である独居老人の住戸にて異常(例えば、火災等)が発生した場合、当該居住者の体力や知力の衰えにより、異常に対して迅速に対応(例えば、通報や救助要請等)することが困難となる可能性があり、居住者である独居老人を周辺からみまもって安全性を確保するために防災性を向上させることが求められていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、居住者を周辺からみまもって安全性を確保できるように防災性を向上させることが可能な防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災システムは、居住者が居住している居住領域の温度及び湿度を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、少なくとも前記居住領域の温湿度環境が異常状態か否かを判定する異常判定手段と、前記居住領域の居住者の属性と、前記異常状態の発生時における前記居住領域内の前記居住者の在否との組合せを特定する特定手段と、前記異常判定手段により前記居住領域が前記異常状態であると判定された場合に前記居住領域の外部に対して表示警報情報を出力する出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記特定手段による特定結果に応じた態様で前記表示警報情報を出力する。
【0007】
請求項2に記載の防災システムは、請求項1に記載の防災システムにおいて、前記異常判定手段は、前記異常状態の内容として前記居住領域が高温高湿状態であるか否か又は低温低湿状態であるか否かを判定し、前記出力手段は、前記特定手段による特定結果と前記異常状態の内容とに応じた態様で前記表示警報情報を出力する。
【0008】
請求項3に記載の防災システムは、請求項1又は2に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記異常判定手段が前記異常状態の内容として前記居住領域が高温高湿状態であると判定した場合には、特定手段による特定結果に応じた態様で、熱中症の注意喚起のための前記表示警報情報を出力する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の防災システムによれば、例えば、防災性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施の形態に係る防災システムが適用される居住領域を示す図である。
図2】防災システムを示すブロック図である。
図3】表示灯装置の設置例を示す図である。
図4】動作条件情報を例示した図である。
図5】防災処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る防災システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0028】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、防災システムに関するものである。
【0029】
ここで、「防災システム」とは、表示警報情報を出力するシステムであり、例えば表示警報情報を出力する専用システム、汎用システム(例えば、汎用的に用いられるコンピュータ等を含むシステム)に対して表示警報情報を出力する機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。この防災システムは、例えば、判定手段、及び出力手段を備える。
【0030】
また、「表示警報情報」とは、異常に関する情報であり、具体的には、居住領域の外部に対して出力される情報であり、例えば、視覚にて認識できる情報であり、一例としては、発光、画像、及びテキスト等にて示される情報等を含む概念である。「表示警報情報」とは、例えば、異常が発生したことを示す情報、居住者の属性を示す情報、及び居住者の在室又は不在を示す情報等を含む概念である。
【0031】
また、「居住領域」とは、居住者が居住している領域であり、例えば、マンション又はアパートの如き共同住宅における各住戸、仮設住宅、被災者向け住宅、及び団地における各一戸建て住宅、及びグループホーム(一例としては、複数人の介護を受ける者と介護を行う者とが共に共同生活を行う住宅等)、あるいは、これらの各住戸又は住宅の居室等を含む概念である。「居住者」とは、居住領域に居住している人(動物も含む)であり、例えば、任意のルールで分類される人であり、一例としては、年齢及び居住領域で暮らす人数等に基づいて分類される人である。なお、以下の実施の形態では、居住者を、年齢及び居住領域で暮らす人数に基づいて、「独居老人」の属性又は「非独居老人」の属性に分類する場合を例示して説明し、また、「独居老人」の属性を「第1の属性」と称し、「非独居老人」の属性を「第2の属性」と称する。
【0032】
また、「判定手段」とは、居住者が居住している居住領域で異常が発生したか否かを判定する手段である。「異常」とは、通常とは異なっていることであり、例えば、火災、及びガス漏れ等を含む概念であり、また、居住者の動作を所定の期間検知しないこと(つまり、居住者が所定の期間移動しないこと、あるいは、当該居住者が所定の期間動かないこと)等を含む概念である。
【0033】
また、「出力手段」とは、判定手段が居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、居住領域について警報を行う警報装置を介して、居住領域の外部に対して少なくとも表示警報情報を出力する手段であり、具体的には、居住領域に居住している居住者に基づいて、表示警報情報を出力する手段であり、例えば、警報装置の警報出力手段から表示警報情報を出力する手段等を含む概念であり、また、第1~第4出力処理を行う手段等を含む概念である。なお、「警報装置」とは、居住領域について警報を行う装置であり、具体的には、少なくとも居住領域の外部に対して警報を行う装置であり、また、警報装置の警報出力手段の少なくとも一部が居住領域の外部又は内部に設けられている装置であり、例えば、少なくとも視認可能又は音声認識可能な警報を行う装置等を含む概念であり、一例としては、発光、画像出力、テキスト出力、音声出力等を行う装置等を含む概念である。また、「警報出力手段」とは、警報装置の一部であり、例えば、情報を出力するための一部の部品等を含む概念である。
【0034】
また、「第1出力処理」とは、居住者の属性に関する情報を出力する処理であり、例えば、居住者の属性が第1の属性である場合、第1の属性関連出力態様にて警報装置により、居住者の属性が第1の属性であることを特定する第1の属性関連表示警報情報を出力し、居住者の属性が少なくとも第2の属性である場合、少なくとも第2の属性関連出力態様にて警報装置により、居住者の属性が第2の属性であることを特定する第2の属性関連表示警報情報を少なくとも出力する処理等を含む概念である。なお、「第1の属性関連出力態様」及び「第2の属性関連出力態様」とは、警報装置により出力される警報情報の出力態様であり、具体的には、相互に異なる出力の様子であり、例えば、表示強度(つまり、明るさ)、表示色、表示タイミング(つまり、点滅間隔)、音量、及び音声出力タイミング等に関する状態等を含む概念である。
【0035】
なお、この「第1出力処理」は、警報装置を発光させて、表示警報情報を出力する場合においては、例えば、居住者の属性が第1の属性である場合、第1の属性関連発光態様にて警報装置を発光させることにより、居住者の属性が第1の属性であることを特定する第1の属性関連表示警報情報を出力し、居住者の属性が少なくとも第2の属性である場合、少なくとも第2の属性関連発光態様にて警報装置を発光させることにより、居住者の属性が第2の属性であることを特定する第2の属性関連表示警報情報を少なくとも出力する処理等を含む概念である。なお、「第1の属性関連発光態様」及び「第2の属性関連発光態様」とは、「第1の属性関連出力態様」及び「第2の属性関連出力態様」各々の一例に対応する概念であり、具体的には、警報装置の発光態様であり、具体的には、相互に異なる発光の状態であり、例えば、光の強度、発光タイミング(つまり、点滅間隔)等に関する状態等を含む概念である。
【0036】
また、「第2出力処理」とは、居住者の在室又は不在に関する情報を出力する処理であり、例えば、居住者が居住領域内に存在している場合、第1の存在関連出力態様にて警報装置により、居住者が居住領域内に存在していることを特定する第1の存在関連表示警報情報を出力し、居住者が居住領域内に存在していない場合、少なくとも第2の存在関連出力態様にて警報装置により、居住者が居住領域内に存在していないことを特定する第2の存在関連表示警報情報を少なくとも出力する処理等を含む概念である。なお、「第1の存在関連出力態様」及び「第2の存在関連出力態様」とは、「第1の属性関連出力態様」及び「第2の属性関連出力態様」と同様な概念であり、つまり、警報装置により出力される警報情報の出力態様であり、具体的には、相互に異なる出力の様子であり、例えば、表示強度(つまり、明るさ)、表示色、表示タイミング(つまり、点滅間隔)、音量、及び音声出力タイミング等に関する状態等を含む概念である。
【0037】
なお、この「第2出力処理」は、警報装置を発光させて、表示警報情報を出力する場合においては、例えば、居住者が居住領域内に存在している場合、第1の存在関連発光態様にて警報装置を発光させることにより、居住者が居住領域内に存在していることを特定する第1の存在関連表示警報情報を出力し、居住者が居住領域内に存在していない場合、少なくとも第2の存在関連発光態様にて警報装置を発光させることにより、居住者が居住領域内に存在していないことを特定する第2の存在関連表示警報情報を少なくとも出力する処理等を含む概念である。なお、「第1の存在関連発光態様」及び「第2の存在関連発光態様」とは、「第1の存在関連出力態様」及び「第2の存在関連出力態様」各々の一例に対応する概念であり、具体的には、警報装置の発光態様であり、具体的には、相互に異なる発光の状態であり、例えば、光の強度、発光タイミング(つまり、点滅間隔)等に関する状態等を含む概念である。
【0038】
また、「第3出力処理」とは、例えば、居住領域の照度に基づいて、表示警報情報を出力する処理等を含む概念である。
【0039】
また、「第4出力処理」とは、判定手段が居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、警報装置を介して、居住領域の外部に対して、居住領域の内部環境を特定する情報である内部環境情報を出力する処理等を含む概念である。なお、「内部環境情報」とは、居住領域の内部環境を特定する情報であり、例えば、温度、ガス濃度、又は煙濃度等を特定する情報等を含む概念である。
【0040】
そして、以下の実施の形態では、「居住領域」が共同住宅における各住戸であり、また、「異常」が火災である場合において、第1及び第2出力処理を行う場合について説明し、第3及び第4出力処理については、変形例において説明する。
【0041】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0042】
(構成)
まず、本実施の形態に係る防災システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る防災システムが適用される居住領域を示す図であり、また、図2は、防災システムを示すブロック図であり、また、図3は、表示灯装置の設置例を示す図である。なお、実際には、居住領域81は複数存在するが、図1では、1個の居住領域81を代表して図示して説明する。
【0043】
図2の防災システム900は、例えば、感知器1、センサ装置2、及び表示灯装置3を備える。
【0044】
(構成-感知器)
感知器1は、居住領域81で発生する火災を検出する異常検出手段であり、例えば、外部装置(例えば、表示灯装置3)との間で無線通信を行う装置である。この感知器1の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図1の居住領域81内に設置されており、また、火災で発生する煙を検出することにより火災発生を検出する手段、及び無線通信手段等を備えて構成することができる。
【0045】
(構成-センサ装置)
センサ装置2は、居住領域81に居住者が存在するか否かを検出する存在検出手段である。このセンサ装置2の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図1の居住領域81内に設置されており、また、赤外線又は超音波等を用いて人を検出する人感センサ等を備えて構成することができる。なお、「存在検出手段」とは、居住領域に前記居住者が存在するか否かを検出する手段である。
【0046】
(構成-表示灯装置)
表示灯装置3は、警報装置であり、例えば、図1及び図3に示すように、居住領域81における内外を隔てる扉811に設置されているものであり、詳細には、扉811における居住領域の室外側に設置されているものである。この表示灯装置3は、例えば、図2に示すように、通信部31、表示部32、記録部33、及び制御部34を備える。
【0047】
(構成-表示灯装置-通信部)
通信部31は、少なくとも感知器1及びセンサ装置2との間で無線通信を行うための通信手段である。この通信部31の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の無線通信回路等を用いて構成することができる。
【0048】
(構成-表示灯装置-表示部)
表示部32は、表示警報情報を出力する警報出力手段である。この表示部32の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、光を出力する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備えて構成することができ、例えば、居住領域81の外部に設けられている。なお、本実施の形態では、表示部32の全部が居住領域81の外部に設けられている場合について説明するが、一部のみが居住領域81の外部に設けられるように構成してもよい。
【0049】
(構成-表示灯装置-記録部)
記録部33は、表示灯装置3の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのフラッシュメモリ(図示省略)を用いて構成されている。ただし、フラッシュメモリに代えてあるいはフラッシュメモリと共に、ハードディスク、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。この記録部33には、図2に示すように、動作条件情報、及び設定情報が格納されている。
【0050】
(構成-表示灯装置-記録部-動作条件情報)
「動作条件情報」とは、表示灯装置3の動作条件を特定する情報である。図4は、動作条件情報を例示した図である。動作条件情報は、この図4に示すように、例えば、項目「属性情報」、項目「在不在情報」、及び項目「発光態様情報」と、各項目に対応する情報とを相互に対応付けて格納している。項目「属性情報」に対応する情報は、居住者の属性を特定する属性情報である(図4では、1人で居住している65歳以上の高齢者の属性を特定する「独居老人」(第1の属性)、及び独居老人以外の属性(つまり、2人以上で居住している65歳以上の高齢者の属性、あるいは、65歳未満の者の属性)(第2の属性)を特定する「非独居老人」)。項目「在不在情報」に対応する情報は、居住者が在室であるか不在であるかを特定する在不在情報である(図4では、在室であることを特定する「在室」、及び不在であることを特定する「不在」)。項目「発光態様情報」に対応する情報は、表示部32の発光態様を特定する発光態様情報である。この発光態様情報は任意であるが、例えば、図4では、発光態様として、光の強度、及び点滅速度(点滅の時間間隔)を特定することとし、例えば、光の強度にて居住者の属性を示し、また、点滅速度にて居住者の在室又は不在を示すこととする。詳細には、例えば、居住者の属性が独居老人であり且つ在室であることを示しており、強度が強く速度が速いことに対応する「強度:強、速さ:速」、居住者の属性が独居老人であり且つ不在であることを示しており、強度が強く速度が遅いことに対応する「強度:強、速さ:遅」、居住者の属性が非独居老人であり且つ在室であることを示しており、強度が弱く速度が速いことに対応する「強度:弱、速さ:速」、及び居住者の属性が非独居老人であり且つ不在であることを示しており、強度が弱く速度が遅いことに対応する「強度:弱、速さ:遅」等である。なお、ここでの「強度が強い」及び「強度が弱い」とは、相互間の相対的な強さを示している概念であり、具体的な値は任意であるが、例えば、「強度が強い」については「6000ルーメン~8000ルーメン」程度を示しており、「強度が弱い」については「1000ルーメン~3000ルーメン」程度を示していることと解釈してもよい。また、「速度が速い」及び「速度が遅い」についても同様な概念であり、つまり、相互間の相対的な速度を示している概念であり、具体的な値は任意であるが、例えば、「速度が速い」(つまり、時間間隔が短い)については「0.5秒~1秒」程度を示しており、「速度が遅い」(つまり、時間間隔が長い)については「3秒~5秒」程度を示していることと解釈してもよい。
【0051】
なお、図4における発光態様情報が特定する発光態様うちの、「独居老人」に対応するものが「第1の属性関連発光態様(つまり、第1の属性関連出力態様)」に対応し、また、「非独居老人」に対応するものが「第2の属性関連発光態様(つまり、第2の属性関連出力態様)」に対応し、また、「在室」に対応するものが「第1の存在関連発光態様(つまり、第1の存在関連出力態様)」に対応し、また、「不在」に対応するものが「第2の存在関連発光態様(つまり、第2の存在関連出力態様)」に対応する。また、「第1の属性関連発光態様」にて発光することが、第1の属性関連表示警報情報を出力することに対応し、また、「第2の属性関連発光態様」にて発光することが、第2の属性関連表示警報情報を出力することに対応し、また、「第1の存在関連発光態様」にて発光することが、第1の存在関連表示警報情報を出力することに対応し、また、「第2の存在関連発光態様」にて発光することが、第2の存在関連表示警報情報を出力することに対応する。
【0052】
そして、このような動作条件情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、表示灯装置3の製造時又は設置時等に、特定のジグやPC(パーソナルコンピュータ)、携帯端末等との通信を介して入力することにより格納(つまり、設定)可能であることとする。特に、発光態様情報については、発光による人間の心理に対する影響を考慮した上で決定して格納してもよい。ここでは、例えば、光の強度にて緊急性の度合い(例えば、強いほど緊急性の度合いが高い等)を示し、また、点滅速度にて救助の必要性の有無(例えば、速い場合は必要であり、遅い場合は不要である等)を示すこととし、特に、居住者が独居老人であり且つ在室である場合には、発光により、至急の救助が必要であると認識させることを考慮して、「強度:強、速さ:速」を決定して格納し、他の場合については、「強度:強、速さ:速」が特定する発光態様とは相互に異なる発光態様を特定する情報を決定して格納する。
【0053】
(構成-表示灯装置-記録部-設定情報)
図3の「設定情報」とは、表示灯装置3の現在の設定を特定する情報である。なお、表示灯装置3には、独居老人用のモードと非独居老人用のモードとが設けられており、不図示のディップスイッチを操作することにより、表示灯装置3を何れかのモードに設定することができるように構成されていることとする。そして、設定情報としては、独居老人用のモードが設定されていることを特定する「独居老人用モード」、又は非独居老人用のモードが設定されていることを特定する「非独居老人用モード」が格納される。
【0054】
(構成-表示灯装置-制御部)
図2の制御部34は、表示灯装置3を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係るプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して表示灯装置3にインストールされることで、制御部34の各部を実質的に構成する。
【0055】
この制御部34は、機能概念的に、判定部341、及び出力部342を備える。判定部341は、居住者が居住している居住領域81で異常である火災が発生したか否かを判定する判定手段である。出力部342は、判定部341が居住領域81で火災が発生したものと判定した場合に、居住領域81について警報を行う警報装置である表示灯装置3を介して、居住領域81の外部に対して表示警報情報を出力する出力手段であり、具体的には、居住領域81に居住している居住者に基づいて、表示警報情報を出力する手段である。なお、この制御部34の各部により行われる処理については、後述する。
【0056】
(処理)
次に、このように構成され防災システム900によって実行される防災処理について説明する。図5は、防災処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「防災処理」とは、概略的には、防災システム900の表示灯装置3が実行する処理であり、具体的には、発光により表示警報情報を出力する処理である。この防災処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、防災システム900の各装置の電源をオンした場合に、起動して実行を開始するものとし、実行が開始されたところから説明する。
【0057】
ここでは、例えば、図1の居住領域81の居住者が独居老人であり、また、表示灯装置3の設置時に、不図示のディップスイッチを操作することにより、表示灯装置3を独居老人用のモードに設定することにより、設定情報として「独居老人用モード」が格納されている場合を例示して説明する。また、例えば、居住領域81の居住者が在室中に火災が発生する場合を例示して説明する。
【0058】
図5のSA1において判定部341は、火災が発生したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、感知器1が火災発生を検出した場合に発報信号を出力することとし、通信部31を監視することにより、この発報信号を受信したか否かに基づいて判定する。そして、発報信号を受信していない場合、火災が発生していないものと判定し(SA1のNO)、火災が発生したものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、発報信号を受信した場合、火災が発生しているものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。ここでは、例えば、居住領域81で火災が発生した場合、感知器1が火災発生を検出して発報信号を出力し、表示灯装置3が当該発報信号を受信して、火災が発生しているものと判定する。
【0059】
図5のSA2において出力部342は、発光態様を決定する。具体的には任意であるが、例えば、まず、図2の設定情報を取得して、取得した設定情報に基づいて、居住領域81の居住者の属性を特定する。詳細には、取得した設定情報が「独居老人用モード」である場合、居住者の属性として「独居老人」を特定し、また、取得した設定情報が「非独居老人用モード」である場合、居住者の属性として「非独居老人」を特定する。次に、図1のセンサ装置2の検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて、居住領域81の居住者の不在又は在室を特定する。詳細には、取得した検出結果が「居住者が存在しないこと」を特定している場合、「不在」を特定し、また、取得した検出結果が「居住者が存在すること」を特定している場合、「在室」を特定する。次に、図4の動作条件情報を参照して、これらの特定結果に対応する発光態様情報を特定し、特定した発光態様情報が特定する発光態様を、表示灯装置3の発光態様として決定する。
【0060】
ここでは、例えば、前述したように、図2の設定情報として「独居老人用モード」が格納されており、居住領域81の居住者が在室であるのでセンサ装置2が当該居住者を検出している場合、まず、居住者の属性として「独居老人」を特定し、また、「在室」を特定する。次に、図4において、これらの特定した情報に対応する発光態様情報として、図面最上段の発光態様情報である「強度:強、速さ:速」を特定し、表示灯装置3の発光態様として、強度が強く間隔が短い発光態様を決定する。
【0061】
図5のSA3において出力部342は、発光を開始することにより、表示警報情報の出力を開始する。具体的には任意であるが、例えば、SA2で決定した発光態様を特定し、図3の表示部32において、当該決定した発光態様での発光を開始する。ここでは、例えば、SA2で決定した発光態様である「強度:強、速さ:速」に対応する発光態様を特定し、図3の表示部32において、当該決定した「強度:強、速さ:速」に対応する発光態様での発光を開始する。この場合、表示部32は、「6000ルーメン~8000ルーメン」程度の光を「0.5秒~1秒」間隔程度で繰り返し出力するように点滅を開始する。この場合、居住領域81の外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)は、表示部32の発光を視認した上で、至急の救助が必要であることを認識して、必要な対応をとることが可能となる。
【0062】
図5のSA4において判定部341は、復旧したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、不図示の防災受信機に対する所定操作(復旧させるための動作)を行った場合に、当該防災受信機が復旧信号を出力することとし、通信部31を監視することにより、この復旧信号を受信したか否かに基づいて判定する。そして、復旧信号を受信していない場合、復旧していないものと判定し(SA4のNO)、復旧したものと判定するまで、繰り返しSA4を実行する。また、復旧信号を受信した場合、復旧したものと判定し(SA4のYES)、SA5に移行する。ここでは、例えば、消防隊員が防災受信機に対する所定操作を行った場合、当該防災受信機が復旧信号を出力し、当該復旧信号を受信して、復旧したものと判定する。
【0063】
図5のSA5において出力部342は、発光を終了することにより、表示警報情報の出力を終了する。具体的には任意であるが、例えば、図3の表示部32を消灯することにより、発光を終了する。ここでは、例えば、表示部32における、「6000ルーメン~8000ルーメン」程度の光の「0.5秒~1秒」間隔程度での点滅を終了する。これにて、防災処理を終了する。
【0064】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、居住領域81に居住している居住者に基づいて、居住領域81の外部に対して表示警報情報を出力することにより、例えば、居住領域の外部に対して、居住領域81での異常である火災に関する居住者に対応する支援の緊急性等を報知することができるので、居住者を周辺からみまもって安全性を確保できるように防災性を向上させることが可能となる。
【0065】
また、警報装置である表示灯装置3を発光させて、表示警報情報を出力することにより、例えば、夜間等であっても確実に警報することができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常が発生して周辺で混乱が引き起こされて騒然となっている場合であっても、視覚を通じて警報を確実に認識させることが可能となる。
【0066】
また、居住者が存在するか否かに基づいて、表示警報情報を出力することにより、例えば、居住領域81内に居住者が存在するか否かに関連する情報を居住領域81の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、異常に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0067】
また、居住者の属性が第1の属性である場合、第1の属性関連発光態様にて表示灯装置3を発光させ、また、住者の属性が第2の属性である場合、第2の属性関連発光態様にて表示灯装置3を発光させることにより、例えば、居住者の属性を居住領域の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、火災に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0068】
また、居住者が居住領域81内に存在している場合、第1の存在関連発光態様にて表示灯装置3を発光させ、また、居住者が居住領域内に存在していない場合、第2の存在関連発光態様にて表示灯装置3を発光させることにより、例えば、居住者の在室又は不在を居住領域81の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、火災に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0069】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0070】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0071】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。特に、表示灯装置3の少なくとも一部の機能を、不図示の防災受信機を含む任意の装置に設けて、当該任意の装置にて、表示灯装置3を制御してもよい。
【0072】
(表示警報情報の出力について)
また、上記実施の形態では、光の強度及び点滅速度を異ならすことにより、相互に異なる警報情報を出力する場合について説明したが、これに限らず、例えば、出力する光の色、又は点滅パターン等を異ならすことにより、相互に異なる警報情報を出力してもよい。また、例えば、図2の表示部32として、前述のLEDと共に、あるいは、LEDの代わりに、電光掲示板の如きテキストを表示する文字表示手段、あるいは、液晶ディスプレイの如き画像を表示する画像表示手段を設けて、これらの各表示手段を介して、テキスト情報又は画像情報を表示するように構成してもよい。特に、例えば、テキストを表示する場合、任意の情報を記録部33に登録し、火災が発生した場合に(つまり、火災発報住戸となった場合に)、表示灯装置3が設置されている住戸の住人(居住者)に関連する居住者情報(一例としては、居住者の年齢、居住者の人数、居住者の要介護度、居住者が災害時要援護者であるか否か)、あるいは、危険物等の有無(危険物有無情報)を表示してもよい。
【0073】
(属性について)
また、上記実施の形態では、年齢及び居住領域で暮らす人数等に基づいて居住者の属性を分類する場合を例示したが、これに限らず、例えば、年齢のみで分類してもよく、居住領域で暮らす人数のみで分類してもよく、あるいは、分類する閾値を任意に変更してよく、年齢の閾値を20歳として、20歳未満を第1の属性とし、一方、20歳以上を第2の属性としてもよく、暮らす人数の閾値を3名とし、3名未満を第1の属性とし、一方、20歳以上を第2の属性としてもよい。また、年齢及び居住領域で人数以外の基準で分類してもよく、例えば、性別、居住地域、及びペットを飼っているか否か等を含む任意の基準で分類してもよい。また、例えば、第1の属性又は第2の属性各々については、1種類のみの属性を含むものと解釈してもよいし、あるいは、2種類以上の任意の個数の種類を含むものと解釈してもよい。また、例えば、居住者が災害時要援護者であるか否かに基づいて属性を分類してもよく、あるいは、居住者の要介護度等に基づいて属性を分類してもよい。また、属性を3つ以上(第3の属性、第4の属性等)設定してもよい。
【0074】
(第3出力処理について)
また、上記実施の形態の表示灯装置3について、第3出力処理を行うように構成してもよい。具体的な実装手法は任意であるが、例えば、図1の居住領域81の内部に当該居住領域81の照度を検出する照度検出手段である照度センサを設けて(つまり、防災システム900に照度センサを設けて)、当該照度センサにて、居住領域81の照度(明るさの度合い)を検出するように構成した上で、表示灯装置3の出力部342が、当該照度センサにアクセスして居住領域81の照度を取得し、取得した照度に基づいて、表示警報情報を出力してもよい。具体的には、居住者が在室であるにも関わらず、居住領域81の照度が所定値以下であり比較的暗い場合、居住者が就寝中である可能性が高いが、このことを考慮して表示警報情報を出力してもよい。例えば、図5のSA2において、居住領域81の照度を取得し、取得した照度も考慮して発光態様を決定してもよく、一例としては、実施の形態で説明したように「在室」を特定した場合において、居住領域81の照度が所定値以下である場合、居住者が就寝中である可能性が高いので、「6000ルーメン~8000ルーメン」よりも更に強い強度に発光させて、表示警報情報を出力してもよい。あるいは、この場合、点滅パターンについて、一定時間毎に消灯と点灯を繰り返す一定パターンでなく、他の任意のパターン(例えば、0.5秒間隔で2回点滅した後、3秒点灯し続けるパターン等)で点滅させることにより、表示警報情報を出力してもよい。なお、前述の「所定値」については、日中の時間帯及び夜間の時間帯において、異なる値を用いてもよい。また、例えば、この変形例の技術については、日中の時間帯のみに適用してもよいし、夜間の時間帯のみに適用してもよいし、あるいは、両方の時間帯に適用してもよい。このように構成した場合、居住領域の照度に基づいて、表示警報情報を出力することにより、例えば、居住領域81内の居住者の状態(一例としては、就寝中である等)に関連する情報を居住領域81の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、火災に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0075】
(第4出力処理について)
また、上記実施の形態の表示灯装置3について、第4出力処理を行うように構成してもよい。具体的な実装手法は任意であるが、例えば、内部環境に関する物理量(例えば、温度、ガス濃度、又は煙濃度等)を検出する内部環境検出センサを設けて、当該内部環境検出センサにて、居住領域81の内部環境の物理量を検出するように構成した上で、表示灯装置3の出力部342が、当該内部環境検出センサにアクセスして居住領域81の内部環境の物理量を取得し、取得した内部環境の物理量を特定する情報である内部環境情報を、出力する。なお、出力先の対象は任意であるが、例えば、「(表示警報情報の出力について)」で説明した文字表示手段、あるいは、画像表示手段に表示出力してもよい。また、内部環境情報を出力するタイミングは、判定部341が居住領域81で火災が発生した後である限りにおいて任意であるが、例えば、図5のSA3のタイミングで内部環境情報の出力を開始し、SA5のタイミングで当該内部環境情報の出力を終了してもよい。ここでは、例えば、内部環境検出センサが、居住領域81の温度として「60」を検出し、煙の濃度として「0.4」を検出している場合、表示灯装置3の出力部342は、これらの値を文字表示手段又は画像表示手段を介して出力することになる。このように構成した場合、居住領域81の内部環境を特定する情報である内部環境情報を出力することにより、例えば、居住領域81の内部環境(一例としては、温度、ガス濃度、又は煙濃度等)を居住領域81の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、火災に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0076】
(属性の判定について)
また、上記実施の形態では、図2の設定情報に基づいて、居住者の属性を特定する場合を例示したが、これに限らない。例えば、居住領域81にカメラの如き撮像手段を設けて、当該撮像手段が撮像した居住者について画像認識を行って、居住者が独居老人であるか非独居老人であるかを判定し、判定結果に基づいて居住者の属性を特定してもよい。
【0077】
(復旧の判定について)
また、上記実施の形態の図5のSA4では、防災受信機が出力する復旧信号に基づいて、復旧したか否かを判定する場合を例示したが、これに限らない。例えば、防災受信機を備えない小規模なシステムも想定され得るが、この場合、例えば、発報した感知器が復旧した場合(煙濃度が閾値以下になった場合)に当該感知器が感知器側復旧信号を出力することとし、この感知器側復旧信号に基づいて復旧したか否かを判定するように構成してもよい。また、例えば、発報した住宅用火災警報器について復旧操作を行ったか否かに基づいて、復旧したか否かを判定するように構成してもよい。
【0078】
(異常及び判定手段について)
また、前述の「異常」については、例えば、火災以外に、ガス漏れ、一酸化炭素発生、不審者侵入、高温高湿、低温低湿等を含む概念であることとしてもよい。具体的には、居住領域にガスセンサ、人感センサ、温度センサ、又は湿度センサを設けて、判定手段が、ガスセンサの検出結果に基づいてガス漏れ又は一酸化炭素発生を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、ガス漏れ又は一酸化炭素発生を特定する情報を表示警報情報として出力してもよい。また、判定手段が、人感センサの検出結果に基づいて不審者の侵入を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、不審者が侵入したことを特定する情報を表示警報情報として出力してもよい。また、判定手段が、温度センサ及び湿度センサの検出結果に基づいて高温高湿を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、熱中症について注意喚起するための情報を表示警報情報として出力してもよい。また、判定手段が、温度センサ及び湿度センサの検出結果に基づいて低温低湿を検出した場合に、異常が発生したものと判定し、この場合、出力手段が、インフルエンザ又は風邪について注意喚起するための情報を表示警報情報として出力してもよい。
【0079】
(通信手法について)
また、図2の感知器1と表示灯装置3との相互間の通信手法、及びセンサ装置2と表示灯装置3との相互間の通信手法は任意であり、例えば、有線通信を行うように構成してもよいし、あるいは、無線通信を行うように構成してもよい。また、例えば、感知器1とセンサ装置2とが相互に有線通信又は無線通信するように構成してもよい。
【0080】
(特徴について)
また、実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0081】
(付記)
付記1の防災システムは、居住者が居住している居住領域で異常が発生したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記居住領域について警報を行う警報装置を介して、前記居住領域の外部に対して表示警報情報を出力する出力手段と、を備え、前記出力手段は、前記居住領域に居住している前記居住者に基づいて、前記表示警報情報を出力する。
【0082】
付記2の防災システムは、付記1に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記警報装置を発光させて、前記表示警報情報を出力する。
【0083】
付記3の防災システムは、付記1又は2に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記居住者の属性が第1の属性である場合、第1の属性関連出力態様にて前記警報装置より、前記居住者の属性が第1の属性であることを特定する第1の属性関連表示警報情報を出力し、前記居住者の属性が少なくとも第2の属性である場合、少なくとも第2の属性関連出力態様にて前記警報装置より、前記居住者の属性が少なくとも第2の属性であることを特定する第2の属性関連表示警報情報を少なくとも出力する。
【0084】
付記4の防災システムは、付記1から3の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記居住領域に前記居住者が存在するか否かを検出する存在検出手段、を備え、前記出力手段は、前記存在検出手段の検出結果に基づいて、前記表示警報情報を出力する。
【0085】
付記5の防災システムは、付記4に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記居住者が前記居住領域内に存在していることを前記存在検出手段が検出した場合、第1の存在関連出力態様にて前記警報装置より、前記居住者が前記居住領域内に存在していることを特定する第1の存在関連表示警報情報を出力し、前記居住者が前記居住領域内に存在していないことを前記存在検出手段が検出した場合、少なくとも第2の存在関連出力態様にて前記警報装置より、前記居住者が前記居住領域内に存在していないことを特定する第2の存在関連表示警報情報を少なくとも出力する。
【0086】
付記6の防災システムは、付記1から5の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記居住領域の照度を検出する照度検出手段、を備え、前記出力手段は、前記照度検出手段の検出結果に基づいて、前記表示警報情報を出力する。
【0087】
付記7の防災システムは、付記1から6の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記出力手段は、前記判定手段が前記居住領域で異常が発生したものと判定した場合に、前記警報装置を介して、前記居住領域の外部に対して、前記居住領域の内部環境を特定する情報である内部環境情報を出力する。
【0088】
付記8の防災システムは、付記1から7の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記警報装置の警報出力手段の少なくとも一部は、前記居住領域の外部に設けられており、前記出力手段は、前記警報装置の前記警報出力手段から、前記表示警報情報を出力する。
【0089】
付記9に記載の防災システムは、付記1から8の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記異常は、火災である。
【0090】
付記10の防災システムは、付記1から9の何れか一項に記載の防災システムにおいて、前記居住領域は、仮設住宅、被災者向け住宅、あるいは、グループホームの住宅又は居室である。
【0091】
(付記の効果)
付記1に記載の防災システムによれば、居住領域に居住している居住者に基づいて、居住領域の外部に対して表示警報情報を出力することにより、例えば、居住領域の外部に対して、居住領域での異常に関する居住者に対応する支援の緊急性等を報知することができるので、居住者を周辺からみまもって安全性を確保できるように防災性を向上させることが可能となる。
【0092】
付記2に記載の防災システムによれば、警報装置を発光させて、表示警報情報を出力することにより、例えば、夜間等であっても確実に警報することができるので、防災性を向上させることが可能となる。また、例えば、異常が発生して周辺で混乱が引き起こされて騒然となっている場合であっても、視覚を通じて警報を確実に認識させることが可能となる。
【0093】
付記3に記載の防災システムによれば、居住者の属性が第1の属性である場合、第1の属性関連出力態様にて警報装置より第1の属性関連表示警報情報を出力し、また、居住者の属性が少なくとも第2の属性である場合、少なくとも第2の属性関連出力態様にて警報装置より第2の属性関連表示警報情報を少なくとも出力することにより、例えば、居住者の属性を居住領域の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、異常に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0094】
付記4に記載の防災システムによれば、居住者が存在するか否かに基づいて、表示警報情報を出力することにより、例えば、居住領域内に居住者が存在するか否かに関連する情報を居住領域の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、異常に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0095】
付記5に記載の防災システムによれば、居住者が居住領域内に存在している場合、第1の存在関連出力態様にて警報装置より第1の存在関連表示警報情報を出力し、また、居住者が居住領域内に存在していない場合、少なくとも第2の存在関連出力態様にて警報装置より第2の存在関連表示警報情報を少なくとも出力することにより、例えば、居住者の在室又は不在を居住領域の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、異常に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0096】
付記6に記載の防災システムによれば、居住領域の照度に基づいて、表示警報情報を出力することにより、例えば、居住領域内の居住者の状態(一例としては、就寝中である等)に関連する情報を居住領域の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、異常に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0097】
付記7に記載の防災システムによれば、居住領域の内部環境を特定する情報である内部環境情報を出力することにより、例えば、居住領域の内部環境(一例としては、温度、ガス濃度、又は煙濃度等)を居住領域の外部に報知することができるので、外部のユーザ(例えば、近隣の居住者又は消防隊員等)に対して、異常に対する適切な対応を迅速にとらせることが可能となる。
【0098】
付記8に記載の防災システムによれば、警報装置の警報出力手段の少なくとも一部は居住領域の外部に設けられていることにより、例えば、居住領域の外部に対して異常の発生を確実に報知することができるので、居住領域の周辺の者に対して、防災のために必要な措置(例えば、消火や救助等)を迅速に行わせることが可能となる。
【0099】
付記9に記載の防災システムによれば、異常が火災であることにより、例えば、居住領域の外部に対して、居住領域での火災に関する居住者に対応する支援の緊急性等を報知することができるので、防災性を向上させることが可能となる。
【0100】
付記10に記載の防災システムによれば、居住領域は、仮設住宅、被災者向け住宅、あるいは、グループホームの住宅又は居室であることにより、例えば、仮設住宅、被災者向け住宅、あるいは、グループホームの住宅又は居室での異常に関する居住者に対応する支援の緊急性等を報知することができるので、防災性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0101】
1 感知器
2 センサ装置
3 表示灯装置
31 通信部
32 表示部
33 記録部
34 制御部
81 居住領域
341 判定部
342 出力部
811 扉
900 防災システム
図1
図2
図3
図4
図5