(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H01H 27/00 20060101AFI20230208BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20230208BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01H27/00 J
E05B65/00 A
E05B47/00 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018195982
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-07-26
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516027731
【氏名又は名称】オイヒナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング プルス コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EUCHNER GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Kohlhammerstr. 16, D-70771 Leinfelden-Echterdingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イーロ グリム
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500724(JP,A)
【文献】特表2016-505392(JP,A)
【文献】特開平03-036384(JP,A)
【文献】特表2017-531113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 27/00
E05B 65/00
E05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全スイッチ(2)用のアクチュエータ(3)であって、
結合要素(7)によって基体(6)に支持されているアクチュエータヘッド(8)を有し、前記アクチュエータヘッド(8)は少なくとも部分的に、前記結合要素(7)よりも大きな横断面を有し、前記結合要素(7)は軸方向で剛性であり、前記アクチュエータヘッド(8)は前記結合要素(7)によって、前記結合要素(7)の長手方向軸線が、前記基体(6)の表面に対して
垂直に方向付けられた直線に沿って延在している基本位置に保持されて
おり、
外的な力が作用する際に、前記アクチュエータヘッド(8)は、前記結合要素(7)の長手方向軸線を横切る平面で変位可能であって、かつ/または前記結合要素(7)は弾性的に変形可能な材料から成っている、アクチュエータ(3)。
【請求項2】
前記アクチュエータヘッド(8)は、前記結合要素(7)の長手方向軸線に対して回転対称的に形成された立体物である、請求項1記載のアクチュエータ(3)。
【請求項3】
前記アクチュエータヘッド(8)はボール状に形成されている、または楕円のまたは多角形の横断面を有している、請求項2記載のアクチュエータ(3)。
【請求項4】
前記結合要素(7)は、その全長にわたって少なくともほぼ一定の横断面を有している、請求項1から
3までのいずれか1項記載のアクチュエータ(3)。
【請求項5】
前記結合要素(7)は金属材料から成っており、特に前記結合要素(7)は鋼索から形成されている、請求項1から
4までのいずれか1項記載のアクチュエータ(3)。
【請求項6】
前記結合要素(7)の長さは調節可能である、請求項1から
5までのいずれか1項記載のアクチュエータ(3)。
【請求項7】
安全スイッチ(2)用のアクチュエータ(3)であって、
結合要素(7)によって基体(6)に支持されているアクチュエータヘッド(8)を有し、前記アクチュエータヘッド(8)は少なくとも部分的に、前記結合要素(7)よりも大きな横断面を有し、前記結合要素(7)は軸方向で剛性であり、前記アクチュエータヘッド(8)は前記結合要素(7)によって、前記結合要素(7)の長手方向軸線が、前記基体(6)の表面に対して垂直に方向付けられた直線に沿って延在している基本位置に保持されており、
前記基体(6)は収容部を形成しており、前記収容部により、前記アクチュエータ(3)は扉内に、または扉表面に取り付け可能であり、
前記基体(6)は、円筒状のセグメント(27)によって結合された2つの円板状のセグメント(25,26)を有し、前記円板状のセグメント(25,26)は前記円筒状のセグメント(27)を越えて突出している
、アクチュエータ(3)。
【請求項8】
安全スイッチ(2)用のアクチュエータ(3)であって、
結合要素(7)によって基体(6)に支持されているアクチュエータヘッド(8)を有し、前記アクチュエータヘッド(8)は少なくとも部分的に、前記結合要素(7)よりも大きな横断面を有し、前記結合要素(7)は軸方向で剛性であり、前記アクチュエータヘッド(8)は前記結合要素(7)によって、前記結合要素(7)の長手方向軸線が、前記基体(6)の表面に対して垂直に方向付けられた直線に沿って延在している基本位置に保持されており、
前記基体(6)は収容部を形成しており、前記収容部により、前記アクチュエータ(3)は扉内に、または扉表面に取り付け可能であり、
前記アクチュエータヘッド(8)を備えた前記結合要素(7)は前記基体(6)の第1の端面から突出しており、前記基体(6)の反対側の端面には把持部材(28)が配置されている
、アクチュエータ(3)。
【請求項9】
前記基体(6)はスライダ(29)であって、前記スライダは形材(30)に組み込み可能である、請求項1から
6までのいずれか1項記載のアクチュエータ(3)。
【請求項10】
安全スイッチ(2)と、
アクチュエータ(3)と
、
を有した安全スイッチ装置(1)において、
前記アクチュエータ(3)は、結合要素(7)によって基体(6)に支持されているアクチュエータヘッド(8)を有し、前記アクチュエータヘッド(8)は少なくとも部分的に、前記結合要素(7)よりも大きな横断面を有し、前記結合要素(7)は軸方向で剛性であり、前記アクチュエータヘッド(8)は前記結合要素(7)によって、前記結合要素(7)の長手方向軸線が、前記基体(6)の表面に対して垂直に方向付けられた直線に沿って延在している基本位置に保持されており、
前記安全スイッチ(2)はインターロックユニット(12)を有し、前記インターロックユニットによって前記アクチュエータ(3)をインターロック位置に保持可能であ
り、
前記アクチュエータ(3)のインターロック位置は、前記アクチュエータ(3)におけるトランスポンダ(10)の信号を前記安全スイッチ(2)の読み取りユニットにおいて検出することにより監視され、前記トランスポンダ(10)は、前記アクチュエータヘッド(8)または前記基体(6)内に組み込まれていることを特徴とする、安全スイッチ装置(1)。
【請求項11】
前記インターロックユニット(12)は、複数のインターロックジョー(14)から成る配列を有し、前記インターロックジョーは導入開口(A)を画定しており、前記導入開口(A)を介して、前記アクチュエータヘッド(8)はインターロック位置へと進入可能であり、前記インターロックジョー(14)はインターロックポジションで、インターロック位置に配置された前記アクチュエータ(3)の前記アクチュエータヘッド(8)の背後に回り込むように係合し、前記アクチュエータ(3)をインターロック位置に保持し、前記インターロックジョー(14)を通過する際に、前記アクチュエータヘッド(8)は前記インターロックジョー(14)を前記インターロックポジションから変位させる、請求項
10記載の安全スイッチ装置(1)。
【請求項12】
前記アクチュエータヘッド(8)は変位運動により、前記導入開口(A)に合わせて自動的に
位置調整可能である、請求項
11記載の安全スイッチ装置(1)。
【請求項13】
前記安全スイッチ(2)は、前記インターロックユニット(12)に割り当てられたロックユニット(17)を有し、前記ロックユニットによって、インターロック位置における前記アクチュエータ(3)のためのロックが行われる、請求項
10から
12までのいずれか1項記載の安全スイッチ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全スイッチ用のアクチュエータに関する。
【0002】
この種アクチュエータは、安全スイッチとともに、安全技術の分野において使用される安全スイッチ装置を形成している。安全技術の分野、特に対人防護の分野において使用するには、安全スイッチ装置が、規則に則した要求を、エラーに対する安全性に関して有しており、その結果、安全スイッチ装置によって、相応に確実な監視機能が遂行され得ることが保証されている必要がある。この種の安全スイッチ装置は、典型的には、危険領域への出入口の安全防護のために使用され得る。例えば安全スイッチ装置により、危険領域への出入口としての防護扉等の隔離型の防護装置のインターロックが保証され得る。この場合、例えば、危険領域内にあって危険をもたらすおそれのある設備の運転は、安全スイッチ装置により防護扉がインターロックされているときだけ、稼働許可される。設備の稼働許可は、安全制御部を介して実施可能であり、安全制御部には、安全スイッチ装置の、安全に関する切り換え信号が供給されている。
【0003】
防護扉のインターロックのために、防護扉がその閉鎖位置にあるとき、閂等の形態のアクチュエータが、例えば安全スイッチの凹所に走入されることによって、安全スイッチに係合させられる。このインターロックは、安全スイッチ内に設けられたRFID読み取り装置により、アクチュエータ内に設けられたトランスポンダが認識されることによって、チェックされる。
【0004】
このインターロックに加えて、防護扉のロックが設けられていることがある。この種のロックは、例えば国際公開第2016/058718号において公知である。この公知のロックには、ロックピンが設けられている。ロックピンは、遊星歯車装置を有する電気モータにより操作される。電気式の駆動部により、ロックピンは、錠止位置に走行可能であり、錠止位置において、アクチュエータは、ロックピンによりロックされる。
【0005】
本発明の根底にある課題は、構造サイズは小さいながらも、信頼性の高い安全防護機能を実現する安全スイッチ装置用のアクチュエータを提供することである。
【0006】
この課題を解決するために、請求項1の特徴部が設けられている。本発明の有利な実施の形態および合目的な別の態様は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、安全スイッチ用のアクチュエータであって、アクチュエータヘッドを有しており、このアクチュエータヘッドは、結合要素によって基体に支持されている、アクチュエータに関する。アクチュエータヘッドは少なくとも部分的に、結合要素よりも大きな横断面を有している。結合要素は軸方向で剛性である。アクチュエータヘッドは結合要素によって、結合要素の長手方向軸線が、基体の表面に対して傾斜角度を成して延在している基本位置に保持されている。
【0008】
1つの重要な利点は、アクチュエータが小型かつコンパクトな構造形態を有していることにある。
【0009】
この場合、アクチュエータは簡単に組み立て可能であるとともに、柔軟に、ともに安全スイッチ装置を形成する安全スイッチと組み合わされて使用可能である。こうして形成された安全スイッチ装置は、全般的に安全技術の分野において、特に危険領域への出入口の安全防護のために使用可能である。
【0010】
この場合、安全スイッチは、アクチュエータをインターロック位置にインターロック可能である、すなわち係止可能である、インターロックユニットを有している。
【0011】
本発明の本質的な態様は、結合要素の一方の端部に支持されたアクチュエータヘッドを備えたアクチュエータを構成することにより、極めて簡単に、かつ同時に確実かつ信頼性の高いアクチュエータのインターロックを達成できることにある。
【0012】
インターロックの原理はこの場合、インターロックユニットが複数のインターロックジョーから成る配列を有しており、インターロックジョーが導入開口を画定しており、この導入開口を介して、アクチュエータヘッドがインターロック位置に進入可能である、というものである。
【0013】
この場合、アクチュエータヘッドは、変位運動により、導入開口に合わせて自動的に調整可能である。
【0014】
このようなインターロックの原理は、アクチュエータのアクチュエータヘッドが、接続している結合要素よりも大きな横断面を有していることにより可能となる。したがって、インターロックユニットのインターロックジョーはアクチュエータヘッドの背後に回り込むように係合し、アクチュエータを全体としてインターロック位置に確実に保持し、すなわち、アクチュエータの形状接続的なインターロックが得られる。この場合、アクチュエータヘッドは小型の構造形態を有することができるので、インターロックユニットの領域におけるこのようなアクチュエータヘッドのための所要スペースも小さく保持することができる。これにより、アクチュエータ自体のみならず、アクチュエータが割り当てられる安全スイッチも、小型でコンパクトな構造形態を有する。
【0015】
インターロック位置におけるアクチュエータのインターロックは、インターロックユニットのインターロックジョーがそれぞればねユニットにより弾性的に保持されていることにより達成される。
【0016】
これにより、インターロックジョーはばねユニットによって加えられるばね力によってそのインターロックポジションに保持され、したがって、インターロック位置に配置されたアクチュエータのアクチュエータヘッドを固定する。
【0017】
インターロックユニットのインターロックジョーは、インターロックジョーの自由端が導入開口を画定するように同心に配置されている。アクチュエータがインターロック位置へと移行するために、アクチュエータヘッドが導入開口を通して押し込まれる。アクチュエータヘッドのジオメトリは、アクチュエータヘッドの直径が導入開口の直径よりも幾分大きくなるように適合されている。アクチュエータの移行のために、アクチュエータヘッドは圧力により導入開口に向かって案内される。これにより、インターロックジョーはばねユニットのばね力に抗して自動的に変位し、これによりアクチュエータヘッドは導入開口を通過することができる。次いでアクチュエータがインターロック位置へと走入すると、アクチュエータヘッドはインターロックジョーの後方に位置する。すなわち、インターロックジョーは、ばねユニットのばね力によってそのインターロックポジションに戻され、アクチュエータヘッドの背後に回り込むように係合し、アクチュエータをインターロック位置でインターロックし、係止する。
【0018】
この場合、重要であるのは、アクチュエータヘッドに接続された結合要素の直径が、導入開口の直径よりも小さいことであり、特に導入開口の直径より小さいかまたは導入開口の直径と同じであることである。これによりインターロックジョーはインターロックポジションに完全に戻ることができる。
【0019】
このように行われるインターロックは、簡単に、特に何らかの付加的な作動ユニットなしに実施することができる。したがってこのインターロック機構は、極めて僅かな手間で実現することができる。
【0020】
このようなインターロックを可能にするためには、結合要素が軸方向で高い剛性を有しているだけでよく、これによりアクチュエータヘッドが導入開口に押し付けられる際に結合要素は形状安定的に維持される。これによりアクチュエータヘッドは、導入開口へ必要な押圧力を加えてインターロックジョーを変位させながら、案内されることができ、これによりアクチュエータはインターロック位置へと移行される。
【0021】
さらに、結合要素が、作用する重力とは無関係に、アクチュエータヘッドを規定された基本位置に保持する程度の大きさの強度を有していることが重要である。この基本位置は、アクチュエータの基体に対して所定の傾斜角度を成して延在する結合要素により規定される。
【0022】
アクチュエータヘッドのこのような規定された基本位置により、アクチュエータヘッドを、規定通り目標に合わせてインターロックユニットの導入開口へと送ることができ、これによりアクチュエータをインターロック位置へと導入し、インターロックユニットによってインターロックすることができる。
【0023】
特に好適には、アクチュエータの基本位置で、結合要素の長手方向軸線は、基体の表面に対して垂直に方向付けられた直線に沿って延在している。
【0024】
さらに、アクチュエータの移動を逆に行うことにより、負荷下におけるインターロック解除が可能であり、この場合、アクチュエータヘッドは、インターロックジョーを変位させながら導入開口から引き出される。
【0025】
原理的には、アクチュエータの結合要素は、曲げ剛性的な材料から成っていてもよく、これにより、外力が加えられた場合でも、基体に対して相対的な結合要素の方向付けは維持される。
【0026】
好適な構成によれば、アクチュエータの結合要素は、確かに軸方向で高い剛性を有しているが、外力が加えられた場合には、結合要素の長手方向軸線に対して横方向で変位可能である。
【0027】
このことは好適には、結合要素が弾性的に変形可能な材料から成っていることにより達成される。
【0028】
したがって結合要素は、その長手方向軸線に対して横方向での変位を可能にする所定の柔軟性を有している。この場合、結合要素を、プラスチックによって、または金属材料によっても形成することができる。特に好適には、結合要素は鋼索から形成されている。
【0029】
結合要素のこのような柔軟性により、アクチュエータは、安全スイッチに近付けられる際に自動的に、インターロックユニットに合わせてセンタリングされ、これにより、安全スイッチとアクチュエータとが互いに正確に整列されていない場合であっても、安全スイッチ装置の確実かつ信頼性の高い機能が保証されている。
【0030】
複数のインターロックジョーが、インターロックユニットに形状において同心に配置されていて、1つの導入開口を画定している場合、アクチュエータをインターロックユニットに対して正確に方向付ける必要はない。何故ならば、僅かな配向誤差のもとでも、アクチュエータヘッドは少なくとも1つのインターロックジョーの縁部に当接するからである。この場合、アクチュエータヘッドに加えられる力は、結合要素を変位させ、アクチュエータヘッドを自動的に導入開口に合わせてセンタリングする。
【0031】
本発明によるアクチュエータは様々なジオメトリで形成されてもよい。
【0032】
好適には、アクチュエータの結合要素は、その全長にわたって少なくともほぼ一定の横断面を有している。
【0033】
したがって結合要素は、薄い細長いエレメントを形成していて、その前方の自由端にアクチュエータヘッドが接続しており、このアクチュエータヘッドは一般的に、結合要素よりも大きな幅を有している。アクチュエータヘッドはこの場合、原則的には、楕円のまたは多角形の横断面、またはこれに類似の横断面を有していてもよい。
【0034】
特に好適には、アクチュエータヘッドは、結合要素の長手方向軸線に対して回転対称的に形成された立体物であって、この場合特に、アクチュエータヘッドはボール状に形成されている。
【0035】
アクチュエータヘッドの回転対称的な構成は、インターロックユニットが、導入開口を画定する、同心的なインターロックジョーの配列を有している場合に特に有利である。したがってアクチュエータヘッドの回転対称的な形状は、インターロックユニットへの形状的に最適化された適合を提供しており、これにより、導入開口を通過する際のアクチュエータヘッドからインターロックジョーへの均一な力の分配が保証され、これにより特に、インターロック位置へのアクチュエータの制御された導入が保証されている。
【0036】
特に簡単な構成によれば、アクチュエータヘッドは、薄板の形態で、特にクリンプ加工された薄板の形態で形成されている。
【0037】
特に好適には、結合要素の長さは調節可能であって、これによりアクチュエータを、様々な構成の安全スイッチおよびそのインターロックユニットに簡単に適合させることができる。調節は例えば、アクチュエータの基体に、結合要素のためのガイドを設けることにより行うことができる。これにより、それぞれ結合要素を異なる幅でガイド内に導入することができ、ここで固定することができ、これにより、結合要素の、基体から突出する部分の長さを調節することができる。
【0038】
アクチュエータの好適な構成によれば、アクチュエータの基体は収容部を形成しており、この収容部により、アクチュエータは扉内に取り付け可能である。
【0039】
このような構成は、扉、特に防護扉として形成された扉により閉鎖可能な、危険領域への出入口を監視する安全スイッチ装置に良好に適合される。
【0040】
アクチュエータの基体は、アクチュエータを扉に直接組み込むことができるように形成されているので、アクチュエータを扉に結合するための手間のかかる別個の固定手段は省かれる。この構成は、僅かな厚さを有する、例えばガラス扉および鋼薄板扉のような小型の扉に特に適している。
【0041】
特に好適には、基体は、円筒状のセグメントによって結合された2つの円板状のセグメントを有しており、これら円板状のセグメントは円筒状のセグメントを越えて突出している。一般的にはこれらセグメントは別の形状を有していてもよい。
【0042】
このように形成された基体は、扉に設けられた凹部に取り付けることができる係止手段を形成している。
【0043】
好適な別の構成ではアクチュエータヘッドを備えた結合要素は基体の第1の端面から突出しており、基体の反対側の端面には把持部材が配置されている。
【0044】
アクチュエータに把持部材を組み込むことにより、扉には、把持部を取り付けるための別個の構造を設ける必要はなく、これにより扉の構造を単純なものにできる。
【0045】
このような構造を、基体が、別個の把持部材のための収容部を形成するように変更することができる。
【0046】
別の態様によれば、アクチュエータの基体は、T字型スライダである。
【0047】
アクチュエータのこのような構成により、アクチュエータを形材に組み込むべき用途を網羅することができる。アクチュエータヘッドをスライダとして構成することにより、アクチュエータを形材に直接組み込むことができる。
【0048】
安全スイッチ装置の好適な構成によれば、安全スイッチは、インターロックユニットに割り当てられたロックユニットを有しており、ロックユニットによって、インターロック位置におけるアクチュエータのためのロックが行われる。
【0049】
このようなロックにより、アクチュエータはインターロック状態に確実に保持される。
【0050】
さらに有利には、アクチュエータのインターロック位置は、アクチュエータ内に設けられたトランスポンダの信号が、安全スイッチの読み取りユニット内で検出されることにより、監視されている。この場合、トランスポンダは、アクチュエータヘッドに、または基体に組み込まれていてもよい。
【0051】
この監視機能により、アクチュエータのインターロック時のエラーは、発見可能である。このことは、安全スイッチ装置を安全技術の分野で使用するのに要求される安全レベルを充足するための重要な手段である。
【0052】
以下に、本発明について図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】安全スイッチとアクチュエータとを備える本発明に係る安全スイッチ装置の実施例を示す図である。
【
図2】
図1に示した安全スイッチ装置のアクチュエータの縦断面図である。
【
図3】
図1に示した安全スイッチの縦断面図である。
【
図4】
図1に示した安全スイッチの一部を、インターロックユニットおよびロックユニットの構成要素とともに示す図であり、a)は、ロック非作動時、b)は、ロック作動時である。
【
図5】
図5a~cは、アクチュエータをインターロック位置に導入する際の、インターロックユニットおよびロックユニットの様々な状態を示す図である。
【
図6】アクチュエータの別の実施例を示す図である。
【
図8】アクチュエータの別の実施例を示す図である。
【
図9】形材におけるアクチュエータの組み込みを示す図であり、a)は、形材溝カバーなしの状態、b)は、形材溝カバーありの状態である。
【0054】
図1は、概略的に安全スイッチ装置1の一実施例を示しており、安全スイッチ装置1は、安全スイッチ2とアクチュエータ3とを備えている。
【0055】
この安全スイッチ装置1により、例えば危険領域への出入口としての防護扉の安全防護がなされる。アクチュエータ3は、防護扉に配置することができ、安全スイッチ2は、防護扉により閉鎖される扉開口部を画定する枠に配置することができる。
【0056】
安全スイッチ2の構成要素は、ハウジング4内に組み込まれており、ハウジング4には、外部ユニットへの接続用のケーブル接続部5が開口している。
【0057】
図1、特に
図2からわかるように、アクチュエータ3は、基体6を有し、基体6内には、結合要素7が支持されている。結合要素7は、ある程度長さのある立体物により形成されており、その横断面は、その全長にわたって少なくともほぼ一定である。
【0058】
結合要素7は、結合要素7の第1の自由端でもって、結合要素7の長手方向軸線が基体6の表面に対して垂直に方向付けられているように基体6内に支持されている。結合要素7の他端には、アクチュエータヘッド8が支持されている。アクチュエータヘッド8は、この例では、ボール形に形成されている。原理的には、アクチュエータヘッド8は、その他の回転対称の立体物により形成されていてもよい。原理的には、アクチュエータヘッド8は、多角形の横断面を有していてもよい。いずれにせよ、アクチュエータヘッド8の横断面は、結合要素7の横断面より大きな面積を有しており、その結果、アクチュエータヘッド8は、アクチュエータヘッド8の横断面の平面全体で結合要素7から突出している。
【0059】
結合要素7は、原理的には、プラスチックまたは金属材料より成ることができる。この例では、結合要素7は、短い鋼索よりなる。
【0060】
全般的に結合要素7は、軸方向で結合要素7の高い剛性を保証するとともに、結合要素7を、
図1および
図2に示した基本位置に、特に重力が作用しているときに保持する材料よりなる。同時に結合要素7は、柔軟性、すなわち、弾性的な変形可能性を有しており、力が作用したときに変形して、アクチュエータヘッド8が、長手方向軸線に対して横方向の一平面内で変位することができるようになっている。
【0061】
図2に双方向矢印で示したように、結合要素7は、基体6のガイド9内で、基体6から出し入れ可能に、特に引き出し引込み可能に、支持されているので、結合要素7の、基体6から突出している部分の長さは、可変である。結合要素7は、あらゆるポジションに固定可能である。
【0062】
図2からさらにわかるように、アクチュエータヘッド8内には、トランスポンダ10が支持されている。選択的に、トランスポンダ10は基体6内に支持されていてもよい。
【0063】
図3に示すように、安全スイッチ2内には、読み取りコイル11の形態の読み取りユニットが配置されている。
図3にさらに示すように、アクチュエータ3が安全スイッチ2内のインターロック位置に走入されているとき、読み取りコイル11により、アクチュエータヘッド8内に設けられたトランスポンダ10の信号が、検出され得る。
【0064】
アクチュエータ3をそのインターロック位置に確実にインターロックするために、安全スイッチ2は、インターロックユニット12を有し、インターロックユニット12の構成要素は、
図4a,bに平面図で示してある。インターロックユニット12は、安全スイッチ2のハウジング4の前壁4aの背後の領域に存在している。
【0065】
アクチュエータ3のインターロック位置において、アクチュエータヘッド8は、安全スイッチ2内のガイド通路13内に位置している。このとき、インターロックユニット12の構成要素は、アクチュエータヘッド8の背後に回り込むように係合し、これによりアクチュエータ3をインターロックする。すなわち、アクチュエータ3は、安全スイッチ2から離脱しないように留められている。
【0066】
インターロックユニット12は、この例では、同一に形成された3つのインターロックジョー14を有し、これらのインターロックジョー14は、インターロックジョー14の第1の自由端が導入開口Aを画定するように同心に配置されている。インターロックジョー14の長手方向軸線は、半径方向で延びている。これらの長手方向軸線の延長線は、導入開口Aの真ん中で交差している。各インターロックジョー14は、本例では、個々のばねにより形成されたばねユニット15により弾性支持されている。ばね力は、インターロックジョー14を、
図4a,bに示したそのインターロックポジションに保持している。
【0067】
インターロックジョー14は、回転対称にそれぞれ120°ずつ互いにずらされて配置されている。インターロックジョー14のインターロックポジションは、それぞれ、反射型フォトインタラプタ16により監視される。
【0068】
インターロックユニット12には、ロックユニット17が割り当てられている。ロックユニット17は、ディスク形のスライドガイド18を有している。スライドガイド18の外側輪郭は、歯列19を有し、歯列19は、歯車20と係合している。歯車20は、電気モータ21の形態の電気式の駆動部により回転運動可能であり、これによりスライドガイド18も、ディスク軸線に対して垂直に延びる回転軸線を中心として回転する。
【0069】
電気モータ21には、機械式の補助インターロック解除部22が割り当てられている。例えば、安全スイッチ2が通電されていない状態で、補助インターロック解除部22を例えばねじ回しにより操作することで、電気モータ21、ひいてはスライドガイド18を機械的にさらに回転させることができる。
【0070】
スライドガイド18は、中央の中空室を有し、中空室内には、インターロックユニット12のインターロックジョー14が配置されている。中空室は、スライドガイド18の、内側輪郭を形成する壁セグメントにより画定される。
【0071】
内側輪郭の対称性は、インターロックジョー14の対称性に適合されている。これに応じて内側輪郭は、3つのセグメント23を有し、これらのセグメント23は、同一に形成され、回転方向で120°ずつずらされている。セグメント23は、インターロックジョー14をロックするために用いられる。それぞれ2つの隣接するセグメント23は、内側輪郭の1つの中間セグメント24により結合されている。これらの中間セグメント24も、同一に形成されている。
【0072】
図4aは、ロック非作動時のロックユニット17を示している。
図4aでは、スライドガイド18は、電気モータ21により、中間セグメント24がインターロックジョー14の領域に位置する回転位置に回転させられている。中間セグメント24は、後方の第2の自由端に対して離間して位置しているように形成されている。これによりインターロックジョー14は、ばねユニット15のばね力に抗してそのインターロックポジションから変位可能であり、中間セグメント24の方向で可動である。
【0073】
図4bは、ロック作動時のロックユニット17を示している。
図4bでは、スライドガイド18は、電気モータ21により、内側輪郭のセグメント23がインターロックジョー14の領域に位置する回転位置に回転させられている。内側輪郭のセグメント23は、インターロックジョー14に密に当接しているので、インターロックポジションからのインターロックジョー14の運動は、阻止されており、これによりロックが行われている。
【0074】
ロック非作動状態(
図4a)からロック作動状態(
図4b)への移行は、スライドガイド18を、
図4aに示した方向に、60°さらに回転させることで行われる。スライドガイド18を60°さらに回転させると、再びロック非作動状態となり、以下同様である。
【0075】
安全スイッチ装置1のインターロックおよびロックの機能形式について、
図5a~cを参照しながら説明する。
【0076】
初期状態、例えば防護扉が開放されているとき、アクチュエータ3は、防護扉に対して離間している。防護扉を閉鎖すると、アクチュエータ3は、安全スイッチ2内のインターロック位置に走入される。
【0077】
まず、このためにアクチュエータヘッド8は、導入開口Aに向かって案内される。アクチュエータヘッド8は、結合要素7の長手方向軸線に対して横方向に、結合要素7の弾性的な変形可能性によって位置決めされ得るので、導入開口Aに対するアクチュエータヘッド8の自動調心が行われる。アクチュエータヘッド8の直径は、導入開口Aの直径より大きい。それゆえ、アクチュエータヘッド8を導入開口Aに向かって案内すると、アクチュエータヘッド8によりインターロックジョー14に及ぼされる押圧力により、インターロックジョー14は、インターロックポジションから変位される。このことは、ロックユニット17のロックが作動していない、すなわち、中間セグメント24が、インターロックジョー14の領域に位置しているため、可能である。この状況は、
図5aに示してある。アクチュエータヘッド8は、拡張された導入開口Aの領域に位置している。インターロックジョー14は、そのインターロックポジションからアクチュエータヘッド8により後退摺動され、中間セグメント24に当接している。
【0078】
次いでアクチュエータ3は、さらに安全スイッチ2内に、
図3に示したインターロック位置に来るまで導入される。このインターロック位置において、アクチュエータヘッド8は、インターロックジョー14を通過してしまっている。
【0079】
これによりインターロックジョー14は、ばね力によりそのインターロックポジションに戻し案内され、その結果、インターロックジョー14の自由端は、僅かな遊びをもってアクチュエータ3の結合要素7に当接している。インターロックジョー14は、こうしてアクチュエータヘッド8の背後に回り込むように係合し、インターロックジョー14をそのインターロックポジションに保持するばね力により、アクチュエータ3は、確実にインターロックされている。このとき、最初はまだロックは作動していない。この状態は、
図5bに示してある。この状態では、まだアクチュエータのインターロック解除が、荷重を受けつつ実施可能である。それというのも、アクチュエータ3は、引っ張り力を加えてやれば、インターロックユニット12から引き抜くことが可能であるからである。
【0080】
続いて
図5cに示すように、ロックが作動される。スライドガイド18は、インターロック解除が行われないように回転されている。
【0081】
本発明による安全スイッチ装置1を用いて、危険領域への出入口としての防護扉の安全防護をなす場合、安全スイッチ2は、アクチュエータ3のインターロックおよびロックが提供されているとき、切り換え信号を出力する。この切り換え信号は、危険領域内にあって危険をもたらすおそれのある設備を運転するための稼働許可に利用することができる。
【0082】
図6には、本発明によるアクチュエータ3の別の構成が示されている。このアクチュエータ3も、基体6と、結合要素7と、ボール状のアクチュエータヘッド8とを有している。図示されていないトランスポンダは、アクチュエータヘッド8または基体6内に配置されてもよい。
【0083】
結合要素7は、基体6の表円から垂直に突出していて、円筒状の形状を有している。一般的には結合要素7は他の形状を有していてもよい。例えば、結合要素7は鋼索から形成されていてもよい。
【0084】
基体6は、扉、特に防護扉の凹部内に装着され得る、特に係止され得る収容部の形態で形成されており、この場合、基体6は弾性的に変形可能であるが、これは必須ではない。
【0085】
基体6は、2つの円板状のセグメント25,26から成っており、これらセグメント25,26は円筒状のセグメント27によって分離されている。これらセグメントの対称軸線は、結合要素7の長手方向軸線に一致している。円板状のセグメント25,26の直径は、円筒状のセグメント27の直径よりも大きい。一般的にはセグメント25,26,27は別の形状を有していてもよい。
【0086】
扉の凹部におけるこのアクチュエータ3の取り付けは、凹部を画定している扉の縁部が、円筒状のセグメント27に密着させられるように行われる。したがって、基体6の円板状のセグメント25,26は、扉の、縁部に隣接する、内側に位置する壁セグメントおよび外側に位置する壁セグメントに被さり、これによりアクチュエータヘッド8は扉から脱落しないように固定される。
【0087】
図7には、
図6による構成の変化形が示されている。
図7のアクチュエータ3は、
図6のアクチュエータ3と同様の構造を有しているが、付加的に、基体6の、アクチュエータヘッド8とは反対側の端面に、把持部材28が設けられており、この把持部材によって人が扉の開閉を行うことができる。
【0088】
図8には、基体6と、円筒状の結合要素7と、ボール状のアクチュエータヘッド8とを有した、本発明によるアクチュエータ3の別の実施例が示されている。
【0089】
この場合、基体6は、T字型のスライダ29から形成されている。トランスポンダ10は、アクチュエータヘッド8またはスライダ29に組み込まれていてもよい。
【0090】
スライダ29として形成された基体6は、1つの形材30に簡単に組み込むことができる。すなわちこの場合、形材30の形材溝31内にスライダ29を装着し(
図9a)、次いでここで、スライダ29の孔32に係合するヘッドレスボルト(図示せず)によって固定する。
【0091】
図9aに示したように、スライダ29は、結合要素7が設けられている、スライダ29の端面が、形材30の外面33に対して内側に向かってずらされて支持されているように、形材溝31内で支持されている。
【0092】
これにより、
図9bに示したように、形材溝カバー34をスライダ29上に、形材溝カバーがスライダ29を覆って形材30の外面と同一平面を成すように、被せることができる。これにより、アクチュエータヘッド8を有した結合要素7だけが形材溝カバー34を越えて外部へと突出する。
【符号の説明】
【0093】
1 安全スイッチ装置
2 安全スイッチ
3 アクチュエータ
4 ハウジング
4a 前壁
5 ケーブル接続部
6 基体
7 結合要素
8 アクチュエータヘッド
9 ガイド
10 トランスポンダ
11 読み取りコイル
12 インターロックユニット
13 ガイド通路
14 インターロックジョー
15 ばねユニット
16 反射型フォトインタラプタ
17 ロックユニット
18 スライドガイド
19 歯列
20 歯車
21 電気モータ
22 補助インターロック解除部
23 セグメント
24 中間セグメント
25 円板状のセグメント
26 円板状のセグメント
27 円筒状のセグメント
28 把持部材
29 スライダ
30 形材
31 形材溝
32 孔
33 外面
34 形材溝カバー
A 導入開口