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特許7222662生体情報システム、生体情報センサ及び生体情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】生体情報システム、生体情報センサ及び生体情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
H04L7/00 930
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018207532
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020072454
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広格
(72)【発明者】
【氏名】小山 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】久保 博
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259650(JP,A)
【文献】特開2013-254510(JP,A)
【文献】特開2012-034840(JP,A)
【文献】米国特許第09497017(US,B1)
【文献】特開2008-183082(JP,A)
【文献】特開2004-040185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサと、前記複数の生体情報センサの各々とデジタル通信ケーブルにより通信可能に接続された生体情報処理装置とを備えた生体情報システムであって、
前記生体情報処理装置は、SOFパケットを前記複数の生体情報センサの各々に向けて送信するように構成され、
前記複数の生体情報センサの各々は、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信された前記SOFパケット又は前記SOFパケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記SOFパケット又は前記トリガー信号の受信に応じて前記取得された生体情報データに対してAD変換処理を開始し、
デジタルデータに変換された前記生体情報データと前記SOFパケットのフレーム番号に関連したデータとを前記生体情報処理装置に送信する、ように構成されている、
生体情報システム。
【請求項2】
前記生体情報処理装置は、所定の周期で前記SOFパケットを前記複数の生体情報センサの各々に向けて送信するように構成されている、請求項1に記載の生体情報システム。
【請求項3】
前記複数の生体情報センサの各々は、前記SOFパケット又は前記トリガー信号の受信から所定時間経過後に前記生体情報データに対してAD変換処理を開始するように構成されている、請求項1又は2に記載の生体情報システム。
【請求項4】
被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサと、前記複数の生体情報センサの各々と通信可能に接続された生体情報処理装置とを備えた生体情報システムであって、
前記生体情報処理装置は、同期パケットを前記複数の生体情報センサの各々に向けて送信するように構成され、
前記複数の生体情報センサの各々は、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信された前記同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記同期パケット又は前記トリガー信号の受信に応じて前記取得された生体情報データに対してAD変換処理を開始し、
デジタルデータに変換された前記生体情報データと、前記デジタルデータに変換された生体情報データの送信開始時刻と前記生体情報データに対するAD変換処理の開始時刻との間の時間間隔に関連したデータとを前記生体情報処理装置に送信する、ように構成されている、
生体情報システム。
【請求項5】
生体情報処理装置にデジタル通信ケーブルにより通信可能に接続されると共に、被検者の生体情報データを取得するように構成された生体情報センサであって、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信されたSOFパケット又は前記SOFパケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記SOFパケット又は前記トリガー信号の受信に応じて前記生体情報データに対してAD変換処理を開始し、
デジタルデータに変換された前記生体情報データと前記SOFパケットのフレーム番号に関連したデータとを前記生体情報処理装置に送信する、ように構成されている、生体情報センサ。
【請求項6】
生体情報処理装置に通信可能に接続されると共に、被検者の生体情報データを取得するように構成された生体情報センサであって、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信された同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記同期パケット又は前記トリガー信号の受信に応じて前記生体情報データに対してAD変換処理を開始し、
デジタルデータに変換された前記生体情報データと、前記デジタルデータに変換された生体情報データの送信開始時刻と前記生体情報データに対するAD変換処理の開始時刻との間の時間間隔に関連したデータとを前記生体情報処理装置に送信する、ように構成されている、生体情報センサ。
【請求項7】
被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサとデジタル通信ケーブルにより通信可能に接続された生体情報処理装置であって、
SOFパケットを前記複数の生体情報センサに送信し、
前記複数の生体情報センサの各々から、AD変換処理を通じてデジタルデータに変換された生体情報データと前記SOFパケットのフレーム番号に関連したデータとを受信し、
前記受信した生体情報データに対して所定の処理を実行する、
ように構成され、
前記AD変換処理は、前記生体情報処理装置から送信された前記SOFパケット又は前記SOFパケットに関連付けられたトリガー信号の受信に応じて開始される、
生体情報処理装置。
【請求項8】
被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサと通信可能に接続された生体情報処理装置であって、
同期パケットを前記複数の生体情報センサに送信し、
前記複数の生体情報センサの各々から、AD変換処理を通じてデジタルデータに変換された生体情報データと、前記デジタルデータに変換された生体情報データの送信開始時刻と前記生体情報データに対するAD変換処理の開始時刻との間の時間間隔に関連したデータとを受信し、
前記受信した生体情報データに対して所定の処理を実行する、
ように構成され、
前記AD変換処理は、前記生体情報処理装置から送信された前記同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号の受信に応じて開始される、
生体情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報システム、生体情報センサ及び生体情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、生体情報センサと、生体情報センサに通信可能に接続された生体情報表示装置とを備えるシステムを開示している。特許文献1に開示されたシステムでは、生体情報センサによって取得された生体情報信号はアナログ信号として生体情報表示装置に送信される。その後、送信された生体情報信号は、生体情報表示装置のAD変換器によってデジタル信号に変換された上で、生体情報信号に対してデジタル信号処理(DSP)が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-119741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の生体情報センサを生体情報処理装置(例えば、生体情報モニタ等)に通信可能に接続する場合に、各生体情報処理装置と生体情報センサとを接続するための通信インターフェースを統一させたいといったニーズが少なからず存在する。さらに、被検者に装着される生体情報センサの個数の増加に伴い、各生体情報センサのレイアウトの自由度を確保したいといったニーズも少なからず存在する。この点において、デジタルデータを送信する通信インターフェース(例えば、USBインターフェース)を用いて生体情報処理装置と各生体情報センサを接続することが考えられる。しかしながら、各生体情報センサがデジタルデータとして生体情報データを生体情報処理装置に送信する場合に、生体情報センサ毎に生体情報データ(アナログデータ)に対するAD変換処理(特に、サンプリング処理)を開始するタイミングや生体情報データの送信開始タイミングが異なるため、生体情報処理装置は、互いに時間同期された各生体情報データ(デジタルデータ)に対して所定の処理を実行することができない虞がある。このように、複数の生体情報センサと生体情報処理装置とから構成される生体情報システムのユーザビリティをさらに改善させる余地がある。
【0005】
本開示は、ユーザビリティが向上した生体情報システム、生体情報センサ及び生体情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る生体情報システムは、被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサと、前記複数の生体情報センサの各々と通信可能に接続された生体情報処理装置とを備える。
前記生体情報処理装置は、同期パケットを前記複数の生体情報センサの各々に向けて送信するように構成されている。
前記複数の生体情報センサの各々は、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信された前記同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記同期パケット又は前記トリガー信号の受信に応じて前記取得された生体情報データに対してAD変換処理を開始し、
デジタルデータに変換された前記生体情報データを前記生体情報処理装置に送信する、
ように構成されている。
【0007】
本開示の一態様に係る生体情報センサは、生体情報処理装置に通信可能に接続されると共に、被検者の生体情報データを取得するように構成されている。
生体情報センサは、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信された前記同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記同期パケット又は前記トリガー信号の受信に応じて前記生体情報データに対してAD変換処理を開始し、
デジタルデータに変換された前記生体情報データを前記生体情報処理装置に送信する、
ように構成されている。
【0008】
本開示の一態様に係る生体情報処理装置は、被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサと通信可能に接続されている。
生体情報処理装置は、
同期パケットを前記複数の生体情報センサに送信し、
前記複数の生体情報センサの各々から、AD変換処理を通じてデジタルデータに変換された生体情報データを受信し、
前記受信した生体情報データに対して所定の処理を実行する、
ように構成されている。
前記AD変換処理は、前記生体情報処理装置から送信された前記同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号の受信に応じて開始される。
【0009】
本開示の別の一態様に係る生体情報システムは、被検者の生体情報データを取得するように構成された複数の生体情報センサと、前記複数の生体情報センサの各々と通信可能に接続された生体情報処理装置とを備える。
前記生体情報処理装置は、同期パケットを前記複数の生体情報センサの各々に送信するように構成されている。
前記複数の生体情報センサの各々は、
前記被検者の生体情報データを取得し、
前記生体情報処理装置から送信された前記同期パケット又は前記同期パケットに関連付けられたトリガー信号を受信し、
前記同期パケット又は前記トリガー信号の受信に応じて所定の処理の実行を開始し、
前記生体情報データを前記生体情報処理装置に送信する、
ように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザビリティが向上した生体情報システム、生体情報センサ及び生体情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)に係る生体情報システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る生体情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る生体情報センサの構成の一例を示す図である。
図4】生体情報システムによって実行される一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5】(a)は、生体情報処理装置と各生体情報センサとの間のUSB通信において転送されるパケットの構成の一例を示す図である。(b)は、SOFパケットの構成の一例を示す図である。(c)は、トランザクションの構成の一例を示す図である。
図6】変形例に係る生体情報システムの全体構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、図1を参照して本発明の実施形態(以下、単に本実施形態という。)に係る生体情報システム1の全体構成について説明する。図1は、生体情報システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、生体情報システム1は、生体情報処理装置2(以下、単に処理装置2という。)と、分岐ユニット3と、生体情報センサ4a,4bとを備える。処理装置2は、後述するようにUSB(Universal Serial Bus)インターフェースを有しており、分岐ユニット3とUSBケーブルにより通信可能に接続されている。分岐ユニット3は、複数の接続ポートを有するUSBハブと、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備えている。
【0014】
生体情報センサ4aは、USBインターフェースを有しており、USBケーブルにより分岐ユニット3に通信可能に接続されている。特に、生体情報センサ4aは、USBケーブル(デジタル通信ケーブルの一例)を介して分岐ユニット3(USBハブ)の接続ポートCH1に接続されている。同様に、生体情報センサ4bもUSBインターフェースを有しており、USBケーブルにより分岐ユニット3に通信可能に接続されている。特に、生体情報センサ4bは、分岐ユニット3(USBハブ)の接続ポートCH2に接続されている。このように、処理装置2は、分岐ユニット3を介してUSBケーブルにより生体情報センサ4a,4bに通信可能に接続されている。尚、本実施形態では、説明の便宜上、生体情報システム1は、2つの生体情報センサを有しているが、生体情報センサの数は特に限定されるものではない。例えば、生体情報システム1は、3つ以上の生体情報センサを有してもよい。さらに、分岐ユニット3の数も特に限定されるものではなく、生体情報システム1は、2以上の分岐ユニット3を有してもよい。この場合、複数の分岐ユニット3がカスケード接続されてもよい。
【0015】
次に、図2を参照して処理装置2の構成について以下に説明する。図2は、処理装置2の構成の一例を示す図である。図2に示すように、処理装置2は、制御部20と、記憶装置23と、USBインターフェース24と、ネットワークインターフェース25と、表示部26と、入力操作部27とを備える。これらは、バス29を介して互いに通信可能に接続されている。
【0016】
処理装置2は、被検者の複数の生体情報データのトレンドグラフを表示するように構成された医療用機器(生体情報モニタ等)であってもよいし、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン、タブレット、医療従事者の身体(例えば、腕や頭等)に装着されるウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチやARグラス等)であってもよい。
【0017】
制御部20は、処理装置2の動作を制御するように構成されており、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、コンピュータ可読命令(プログラム)を記憶するように構成されている。例えば、メモリは、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成されてもよい。また、メモリは、フラッシュメモリ等によって構成されてもよい。プロセッサは、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。プロセッサは、記憶装置23又はROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。
【0018】
記憶装置23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置(ストレージ)であって、プログラムや各種データを格納するように構成されている。記憶装置23には、生体情報センサ4a,4bから送信された被検者の生体情報データが保存されてもよい。例えば、送信された生体情報データは、USBインターフェース24を介して記憶装置23に保存されてもよい。
【0019】
ネットワークインターフェース25は、処理装置2を通信ネットワークに接続するように構成されている。具体的には、ネットワークインターフェース25は、通信ネットワークを介してサーバ等の外部装置と通信するための各種有線接続端子を含んでもよい。また、ネットワークインターフェース25は、アクセスポイントと無線通信するための各種処理回路及びアンテナ等を含んでもよい。アクセスポイントと処理装置2との間の無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LPWA又は第5世代移動通信システム(5G)である。通信ネットワークは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)又はインターネット等である。
【0020】
表示部26は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であってもよいし、操作者の頭に装着される透過型又は非透過型のヘッドマウントディスプレイ等であってもよい。さらに、表示部26は、画像をスクリーン上に投影するプロジェクター装置であってもよい。
【0021】
入力操作部27は、処理装置2を操作する医療従事者の入力操作を受付けると共に、当該入力操作に応じた指示信号を生成するように構成されている。入力操作部27は、例えば、表示部26上に重ねて配置されたタッチパネル、筐体に取り付けられた操作ボタン、マウス及び/又はキーボード等である。入力操作部27によって生成された指示信号がバス29を介して制御部20に送信された後、制御部20は、指示信号に応じて所定の動作を実行する。
【0022】
USBインターフェース24は、処理装置2を生体情報センサ4a,4bや分岐ユニット3等の周辺機器に通信可能に接続するためのUSB規格のインターフェースである。USBインターフェース24は、USBケーブルのコネクタが入力される接続端子を含んでいる。
【0023】
次に、図3を参照して生体情報センサ4a,4bの構成について以下に説明する。図3は、生体情報センサ4a,4bの構成の一例を示す図である。尚、以降の説明では、生体情報センサを単に生体情報センサ4と総称する場合がある。図3に示すように、生体情報センサ4は、制御部40と、アナログ回路部42と、USBインターフェース46と、センサ部48とを備える。これらは、バス49を介して互いに通信可能に接続されている。
【0024】
制御部40は、生体情報センサ4の動作を制御するように構成されており、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、ROM及びRAMを有してもよい。プロセッサは、例えば、CPU、GPU及び/又はMPUである。USBインターフェース46は、生体情報センサ4を処理装置2又は分岐ユニット3等の周辺装置に通信可能に接続するためのインターフェースである。USBインターフェース46は、USBケーブルのコネクタが入力される接続端子を含んでいる。センサ部48は、被検者の生体情報データをアナログデータとして取得するように構成されている。生体情報センサが心電図センサである場合に、センサ部48は、被検者の心電図データ(生体情報データの一例)を取得するように構成されている。また、生体情報センサが脈波センサである場合に、センサ部48は、被検者の脈波データ(生体情報データの一例)を取得するように構成されている。この場合、センサ部48は、被検者の手指等の生体組織に向けて赤色光及び/又は赤外光を出射するように構成された発光部と、発光部から出射されて被検者の生体組織を通過又は反射した赤色光及び/又は赤外光を受光するように構成された受光部を有してもよい。センサ部48は、被検者の身体の一部に装着されてもよい。尚、本実施形態において、生体情報センサ4の種類は特に限定されるものではなく、生体情報センサ4は、心電図センサ、脈波センサ、血圧センサ、体温センサ又は呼吸センサ等であってもよい。例えば、生体情報センサ4aが心電図センサである場合、生体情報センサ4bは、心電図センサとは別の種類の生体情報センサ(例えば、脈波センサ)であってもよい。
【0025】
アナログ回路部42は、アナログ処理部43と、AD変換部45とを有する。アナログ処理部43は、センサ部48によって取得された生体情報データ(アナログデータ)に対して所定の処理を実行するように構成されている。例えば、アナログ処理部43は、生体情報データを増幅すると共に、増幅された生体情報データのノイズ成分(例えば、高周波成分)をフィルタリングするように構成されている。AD変換部45は、制御部40から出力された制御信号に基づいて、アナログ処理部43から出力された生体情報データに対してAD変換処理を実行するように構成されている。つまり、AD変換部45は、アナログデータである生体情報データをデジタルデータに変換するように構成されている。ここで、AD変換処理とは、サンプリング処理、量子化処理及び符号化処理からなる一連の処理を含む。
【0026】
次に、図4を参照して生体情報システム1によって実行される一連の処理について以下に説明する。図4は、生体情報システム1によって実行される一連の処理の一例を説明するためのフローチャートである。図4に示すように、最初に、処理装置2の制御部20は、USBインターフェース24を介してSOF(Start of Frame)パケット(同期パケットの一例)を分岐ユニット3に送信する(ステップS1)。ここで、図5(a)に示すように、USBの通信プロトコルでは、データはフレーム単位で送受信される。1フレームの時間長は、例えば1msである。また、1フレームの時間長は、ホストである処理装置2が所定のSOFパケットを送信する時刻と処理装置2が当該所定のSOFパケットの次のSOFパケットを送信する時刻との間の時間間隔によって規定される。このため、1フレームの時間長が1msである場合、処理装置2は、1msの周期で各生体情報センサ4に向けてSOFパケットを送信する。
【0027】
また、図5(b)に示すように、SOFパケットは、例えば、同期用のSYNCデータ(8ビット)と、SOFパケットの識別子を示すPIDデータ(8ビット)と、SOFパケットのフレーム番号を示すFrame番号データ(11bit)と、チェックコード用のCRCデータ(5ビット)とを含む。ここで、フレーム番号は、SOFパケットが送信された順番を示す。このように、SOFパケットは、フレーム番号を示す情報を含む。
【0028】
1フレーム中には複数のトランザクションが送受信される。図5(c)に示すように、1つのトランザクションでは、トークンパケットと、データパケットと、ハンドシェイクパケットとが転送される。例えば、処理装置2がデバイスアドレスとして生体情報センサ4aを示すトークンパケットを生体情報センサ4aに送信すると、生体情報センサ4aは、デジタルデータに変換された生体情報データを含むデータパケットを処理装置2に送信する。その後、処理装置2は、生体情報データを受信に応じてハンドシェイクパケットを生体情報センサ4aに送信する。このように、1つのトランザクションにおいて生体情報センサ4aが生体情報データを処理装置2に送信する。
【0029】
次に、分岐ユニット3(CPU)は、処理装置2からSOFパケットを受信し(ステップS2)した上で、受信したSOFパケットを生体情報センサ4a、4bに送信する(ステップS3)。この点において、分岐ユニット3がSOFパケットを生体情報センサ4a、4bに略同時に送信することが好ましい。
【0030】
次に、生体情報センサ4aは、SOFパケットの受信に応じてセンサ部48によって取得された生体情報データ(アナログデータ)に対してAD変換処理(特に、サンプリング処理)を開始する(ステップS4)。具体的には、生体情報センサ4aの制御部40は、SOFパケットを受信した時刻から所定時間ΔT1経過後に、AD変換部45が生体情報データのサンプリング処理を開始するように、AD変換部45を制御する。その後、生体情報センサ4a(制御部40)は、デジタルデータに変換された生体情報データ及びSOFパケットのフレーム番号に関連したデータをデータパケットとして分岐ユニット3を介して処理装置2に送信する(ステップS5)。
【0031】
同様に、生体情報センサ4bは、SOFパケットの受信に応じてセンサ部48によって取得された生体情報データ(アナログデータ)に対してAD変換処理(特に、サンプリング処理)を開始する(ステップS4)。具体的には、生体情報センサ4bの制御部40は、SOFパケットを受信した時刻から所定時間ΔT2経過後に、AD変換部45が生体情報データのサンプリング処理を開始するように、AD変換部45を制御する。その後、生体情報センサ4b(制御部40)は、デジタルデータに変換された生体情報データ及びSOFパケットのフレーム番号に関連したデータをデータパケットとして分岐ユニット3を介して処理装置2に送信する(ステップS5)。ここで、生体情報センサ4aがSOFパケットを受信した時刻は、生体情報センサ4bがSOFパケットを受信した時刻と略同一とみなしてもよい。さらに、所定時間ΔT1は、所定時間ΔT2と同一であってもよい。かかる場合では、生体情報センサ4aの生体情報データ(以下、生体情報データAという。)に対するサンプリング処理の開始時刻と生体情報センサ4bの生体情報データ(以下、生体情報データB)のサンプリング処理の開始時刻とをより正確に一致させることが可能となる。
【0032】
また、生体情報データBの送信開始時刻は、生体情報データAの送信開始時刻とは異なっていてもよい。この点において、生体情報センサ4aは、所定のフレームにおいて生体情報データAを送信する一方、生体情報センサ4bは、当該所定のフレームとは異なるフレームにおいて生体情報データBを送信してもよい。
【0033】
次に、処理装置2は、時刻taにおいて生体情報データAを受信すると共に、時刻tb(tb≠ta)において生体情報データBを受信する。その後、処理装置2は、生体情報データAと生体情報データBをメモリ上に保存する。このとき、処理装置2は、生体情報データと共に送信されるSOFパケットのフレーム番号を参照することで、データパケットとして送信された生体情報データを適切にメモリ上に保存することができる。
【0034】
次に、処理装置2の制御部20は、メモリ上に保存された生体情報データに対して所定の処理を実行する(ステップS7)。例えば、制御部20は、表示部26上に表示された生体情報データのトレンドグラフを更新してもよい。この場合、制御部20は、生体情報データAのトレンドグラフを更新すると共に、生体情報データBのトレンドグラフを更新してもよい。生体情報データAのトレンドグラフは、生体情報データBのトレンドグラフと同一時間軸上に並んで表示されてもよい。または、制御部20は、生体情報データAに対して第1の演算処理を実行すると共に、生体情報データBに対して第2の演算処理を実行してもよい。さらに、制御部20は、生体情報データAと生体情報データBとに基づいて、所定の生体情報パラメータを算出してもよい。例えば、生体情報データAが心電図データを示す一方、生体情報データBが脈波データを示す場合に、制御部20は、心電図データと脈波データとに基づいて脈波伝播時間(PWTT)を算出してもよい。
【0035】
このように、生体情報システム1の一連の処理が実行される。本実施形態では、処理装置2が1msの周期でSOFパケットを送信する度に、各生体情報センサ4は、生体情報データに対してAD変換処理を実行するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理装置2がSOFパケットを所定の回数(例えば、2回又は4回)送信したときに、各生体情報センサ4は1回のAD変換処理を実行してもよい。
【0036】
本実施形態によれば、各生体情報センサ4a,4bは、処理装置2から分岐ユニット3を介して送信されたSOFパケットに応じて生体情報データ(アナログデータ)に対してAD変換処理(特に、サンプリング処理)を開始する。このため、生体情報センサ4aによって実行される生体情報データAのサンプリング処理の開始時刻と、生体情報センサ4bによって実行される生体情報データBのサンプリング処理の開始時刻が互いに略一致する。
【0037】
このように、各生体情報センサ4a,4bが生体情報データを異なるタイミングで処理装置2に送信した場合でも、処理装置2は、互いに時間同期された生体情報データA,B(デジタルデータ)に対して所定の処理(例えば、トレンドグラフの更新処理)を実行することが可能となる。さらに、処理装置2は、互いに時間同期された生体情報データA,Bに対して所定の処理を実行することができるため、デジタルデータを送信する通信インターフェースを用いて処理装置2と生体情報センサ4a,4bを通信可能に接続することが可能となる。
【0038】
したがって、デジタル通信規格のインターフェースを用いて複数の生体情報センサ4を処理装置2に接続することが可能となると共に、各生体情報センサのレイアウト(配置)の自由度を高めることが可能となる。このため、ユーザビリティが向上した生体情報システム1、処理装置2及び生体情報センサ4を提供することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態によれば、各生体情報センサ4と処理装置2とをデジタル通信ケーブルを用いて接続することが可能となるため、各生体情報センサ4のレイアウトの自由度を高めることが可能となる。さらに、各生体情報センサ4は、所定の周期で送信されるSOFパケットの受信に応じて生体情報データに対してAD変換処理を繰り返し実行する。このように、処理装置2は、各生体情報センサ4から生体情報データ(デジタルデータ)をリアルタイムに取得することが可能となる。
【0040】
尚、本実施形態では、デジタルデータに変換された生体情報データ及びSOFパケットのフレーム番号に関連したデータがデータパケットとして処理装置2に送信されるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、フレーム番号に関連したデータの代わりに、生体情報データの送信開始時刻と生体情報データに対するAD変換処理(具体的には、サンプリング処理)の開始時刻との間の時間間隔に関連したデータと生体情報データがデータパケットとして処理装置2に送信されてもよい。この場合でも同様に、処理装置2は、生体情報データの送信開始時刻と生体情報データに対するAD変換処理の開始時刻との間の時間間隔を参照することで、データパケットとして送信された生体情報データを適切にメモリ上に保存することができる。
【0041】
また、本実施形態では、分岐ユニット3がSOFパケットを各生体情報センサ4に送信しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、変形例に係る生体情報システム1Aでは、分岐ユニット3Aは、処理装置2から受信したSOFパケットからUART信号を生成した上で、生成されたUART信号を生体情報センサ4a,4bの各々に送信してもよい。UART信号は、SOFパケットに関連付けられたトリガー信号の一例である。またUART信号には、送信されたSOFパケットのフレーム番号に関連した情報が含まれている。この場合、生体情報センサ4a,4bの各々は、UART信号の受信に応じて生体情報データに対してAD変換処理を開始してもよい。つまり、生体情報センサ4a,4bの各々は、UART信号を受信した時刻から所定時間経過後に生体情報データのサンプリング処理を開始してもよい。その後、生体情報センサ4b,4aの各々は、デジタルデータに変換された生体情報データ及びSOFパケットのフレーム番号に関連したデータをデータパケットとして分岐ユニット3Aを介して処理装置2に送信する。
【0042】
また、本実施形態では、デジタルデータの通信インターフェースとしてUSBインターフェースを用いて複数の生体情報センサ4を処理装置2に接続しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、USBインターフェースの代わりにEthernet(登録商標)インターフェースが使用されてもよい。この場合、分岐ユニット3は、処理装置2からのEthernetの通信プロトコルに関連付けられた同期パケットの受信に応じてUART信号を生成した上で、当該生成されたUART信号を各生体情報センサ4に送信してもよい。その後、各生体情報センサ4は、UART信号の受信に応じて、生体情報データに対してAD変換処理を開始してもよい。また、分岐ユニット3がEthernetの通信プロトコルに関連付けられた同期パケットを各生体情報センサ4に転送した後に、各生体情報センサ4は、当該同期パケットの受信に応じて、生体情報データに対してAD変換処理を開始してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、各生体情報センサ4は、UART信号若しくはSOFパケットの受信に応じて生体情報データに対してAD変換処理を実行しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、各生体情報センサ4は、UART信号若しくはSOFパケットの受信に応じて生体情報データに対してAD変換処理以外の所定の処理を実行してもよい。さらに、各生体情報センサ4は、UART信号若しくはSOFパケットの受信に応じて所定の処理を実行してもよい。この場合、各生体情報センサ4は、校正信号を引き込むためにチャンネルを切替えてもよいし、当該校正信号のAD変換処理を実行してもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0045】
1,1A:生体情報システム
2:生体情報処理装置(処理装置)
3,3A:分岐ユニット
4,4a,4b:生体情報センサ
20:制御部
23:記憶装置
24,46:USBインターフェース
25:ネットワークインターフェース
26:表示部
27:入力操作部
29:バス
40:制御部
42:アナログ回路部
43:アナログ処理部
45:AD変換部
48:センサ部
49:バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6