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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-07
(45)【発行日】2023-02-15
(54)【発明の名称】電池ケース装置及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20230208BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230208BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230208BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20230208BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/204 401H
H01M10/0562
H01M10/0585
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018228561
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020092007
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】西山 淳也
(72)【発明者】
【氏名】新井 大祐
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直哉
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-087759(JP,A)
【文献】特開2012-169204(JP,A)
【文献】国際公開第2010/092692(WO,A1)
【文献】特開2018-073540(JP,A)
【文献】特開2008-147010(JP,A)
【文献】特開2010-034002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/0562
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス固体電解質を有する全固体電池セルを含む電池を機能させるための電池ケース装置であって、
前記電池を収納可能な収納空間を有する電池ケースを備え、
前記電池ケースには、圧縮加熱された気体が圧力源から前記収納空間に供給されるように前記圧力源を前記収納空間に通じさせるための給気口と、前記収納空間に通じる排気口とが形成され、
前記電池の出力に影響する因子を前記給気口又は前記排気口を通じて調整可能な調整手段を有し、
前記調整手段として、前記収納空間の圧力が所定の圧力に保持されるように前記排気口からの気体の排出量を調整可能な調整弁と、前記圧力源から前記給気口を通じて前記収納空間に導かれる気体の供給量を調整できるように前記圧力源を駆動可能な駆動部とが設けられ、
前記因子が制御されるように前記調整弁を操作する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記電池に関する異常が生じた場合に、前記調整手段による前記因子の調整によって前記電池の機能停止させるフェールセーフ制御として、前記全固体電池セルのセル温度が前記ガラス固体電解質の結晶化温度を超える温度となるように前記駆動部を操作する加圧加熱制御を行う、
電池ケース装置。
【請求項2】
ガラス固体電解質を有する全固体電池セルを含む電池を機能させるための電池ケース装置であって、
前記電池を収納可能な収納空間を有する電池ケースを備え、
前記電池ケースには、圧縮加熱された気体が圧力源から前記収納空間に供給されるように前記圧力源を前記収納空間に通じさせるための給気口と、前記収納空間に通じる排気口とが形成され、
前記電池の出力に影響する因子を前記給気口又は前記排気口を通じて調整可能な調整手段を有し、
前記調整手段として、前記圧力源から前記給気口を通じて前記収納空間に導かれる気体の供給量を調整できるように前記圧力源を駆動可能な駆動部が設けられ、
前記因子が制御されるように前記駆動部を操作する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記電池に関する異常が生じた場合に、前記調整手段による前記因子の調整によって前記電池の機能停止させるフェールセーフ制御として、前記全固体電池セルのセル温度が前記ガラス固体電解質の結晶化温度を超える温度となるように前記駆動部を操作する加圧加熱制御を行う、
池ケース装置。
【請求項3】
前記因子には、前記全固体電池セルの電極拘束力及びセル温度が含まれ、
前記制御部は、前記因子の前記制御として、前記電極拘束力が制御され、かつ前記電池が機能する温度範囲に前記セル温度が制御されるように前記調整弁を操作する、
請求項に記載の電池ケース装置。
【請求項4】
前記因子には、前記全固体電池セルの電極拘束力及びセル温度が含まれ、
前記制御部は、前記因子の前記制御として、前記電極拘束力が制御され、かつ前記電池が機能する温度範囲に前記セル温度が制御されるように前記駆動部を操作する、
請求項に記載の電池ケース装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記フェールセーフ制御として、前記収納空間の内部圧力が低下するように前記調整弁の開度を増加方向に操作する減圧制御を行う、請求項1または3に記載の電池ケース装置。
【請求項6】
前記調整手段として、前記排気口からの気体の排出量を調整可能な調整弁が設けられ、
前記制御部は、前記フェールセーフ制御として、前記収納空間の内部圧力が低下するように前記調整弁の開度を増加方向に操作する減圧制御を行う、請求項2または4に記載の電池ケース装置。
【請求項7】
負圧源と、前記負圧源と前記収納空間とを開通する状態と遮断する状態とを切り替える切替手段とを更に備え、
前記制御部は、前記フェールセーフ制御として、前記開通する状態となるように切替手段を操作する、請求項1~6の何れか一項に記載の電池ケース装置。
【請求項8】
前記排気口が前記収納空間の重力方向最下部に位置するように、前記電池ケースが設置される、
請求項1~の何れか一項に記載の電池ケース装置。
【請求項9】
ガラス固体電解質を有する全固体電池セルを含む電池と、
前記電池を収納可能な収納空間を有する電池ケースと、を備え、
前記電池ケースには、圧縮加熱された気体が圧力源から前記収納空間に供給されるように前記圧力源を前記収納空間に通じさせるための給気口と、前記収納空間に通じる排気口とが形成され、
前記給気口又は前記排気口を通じて前記電池の出力に影響する因子を調整可能な調整手段を有し、
前記調整手段として、前記収納空間の圧力が所定の圧力に保持されるように前記排気口からの気体の排出量を調整可能な調整弁と、前記圧力源から前記給気口を通じて前記収納空間に導かれる気体の供給量を調整できるように前記圧力源を駆動可能な駆動部とが設けられ、
前記因子が制御されるように前記調整弁を操作する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記電池に関する異常が生じた場合に、前記調整手段による前記因子の調整によって前記電池の機能停止させるフェールセーフ制御として、前記全固体電池セルのセル温度が前記ガラス固体電解質の結晶化温度を超える温度となるように前記駆動部を操作する加圧加熱制御を行う、
電源装置。
【請求項10】
ガラス固体電解質を有する全固体電池セルを含む電池と、
前記電池を収納可能な収納空間を有する電池ケースと、を備え、
前記電池ケースには、圧縮加熱された気体が圧力源から前記収納空間に供給されるように前記圧力源を前記収納空間に通じさせるための給気口と、前記収納空間に通じる排気口とが形成され、
前記給気口又は前記排気口を通じて前記電池の出力に影響する因子を調整可能な調整手段を有し、
前記調整手段として、前記圧力源から前記給気口を通じて前記収納空間に導かれる気体の供給量を調整できるように前記圧力源を駆動可能な駆動部が設けられ、
前記因子が制御されるように前記駆動部を操作する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記電池に関する異常が生じた場合に、前記調整手段による前記因子の調整によって前記電池の機能停止させるフェールセーフ制御として、前記全固体電池セルのセル温度が前記ガラス固体電解質の結晶化温度を超える温度となるように前記駆動部を操作する加圧加熱制御を行う、
電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、全固体電池セルを含む電池を機能させるための電池ケース装置及びこの電池ケース装置を用いた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リチウムイオン全固体電池である単電池を収納する電池ケースを備えた電池モジュールが記載されている。この電池モジュールは、単電池が収納された電池ケースに加圧された気体を封入し、この気体の圧力により単電池を加圧圧縮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-69558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電池モジュールは電池ケースが閉鎖系であるため、この電池モジュールには気体温度に依存した圧力変化しか圧力を調整する手段がない。このため、特許文献1に記載された電池モジュールでは、単電池を構成するセルの電極拘束力とセル温度を高めることが困難であると考えられる。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、全固体電池セルを含む電池から安定した出力を得ることが可能な電池ケース装置及びこの電池ケース装置を用いた電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行った結果、電池ケースに気体を封入して密閉するのではなく、電池ケースを通気させることで全固体電池セルを含む電池の電極拘束力とセル温度を調整できるとの知見を得た。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0007】
本発明の一側面に係る電池ケース装置は、全固体電池セルを含む電池を機能させるための電池ケース装置であって、電池を収納可能な収納空間を有する電池ケースを備え、電池ケースには、圧縮加熱された気体が圧力源から収納空間に供給されるように圧力源を収納空間に通じさせるための給気口と、収納空間に通じる排気口とが形成され、電池の出力に影響する因子を給気口又は排気口を通じて調整可能な調整手段を有する。
【0008】
この電池ケース装置は調整手段を有するので、この調整手段によって電池の出力に影響する因子を電池が機能するように変更できる。ここで、収納空間の内部圧力が高まると全固体電池セルの電極拘束力が高まるため電池から安定した出力を得ることができる。更に、圧縮加熱された気体が収納空間に供給されることにより全固体電池セルを昇温できる。そして、給気口を通じて圧縮加熱された気体を収納空間に連続的または断続的に供給することにより収納空間の内部温度を高い状態に維持できる。また、収納空間に気体が供給されつつ排気口から気体が排出されるので過剰な応力が電池ケースに生じることを抑制できる。これにより、給気口を通じて収納空間に流通する圧縮加熱された気体の供給量を調整したり、収納空間の圧力が所定の圧力に保持されるように排出口からの排出量を調整したりすることによって、電池の実使用において要求される出力が安定するように調整できる。
【0009】
この電池ケース装置は、調整手段として、収納空間の圧力が所定の圧力に保持されるように排気口からの気体の排出量を調整可能な調整弁が設けられ、出力に影響する因子が制御されるように調整弁を操作する制御部を更に備えてもよい。また、調整手段として、圧力源から給気口を通じて収納空間に導かれる気体の供給量を調整できるように圧力源を駆動可能な駆動部が設けられ、出力に影響する因子が制御されるように駆動部を操作する制御部を更に備えてもよい。これら電池ケース装置では、制御部が、電池の出力に影響する因子が制御されるように調整弁や駆動部が操作されるので、電池から安定した出力を得ることができる。電池の出力に影響する因子としては、例えば、電極拘束力やセル温度が挙げられる。
【0010】
制御部は、出力に影響する因子の制御として、電極拘束力が制御され、かつ電池が機能する温度範囲にセル温度が制御されるように調整弁を操作してもよい。また、制御部は、出力に影響する因子の制御として、電極拘束力が制御され、かつ電池が機能する温度範囲にセル温度が制御されるように駆動部を操作してもよい。
【0011】
制御部は、電池に関する異常が生じた場合に、調整手段による出力に影響する因子の調整によって電池の機能停止させるフェールセーフ制御を行ってもよい。これにより、電池に関する異常が生じた場合に電池を機能停止できる。
【0012】
例えば、制御部は、フェールセーフ制御として、収納空間の内部圧力が低下するように調整弁の開度を増加方向に操作する減圧制御を行ってもよい。収納空間を大気圧まで減圧することで、電極拘束力を弱めて電池を機能停止できる。
【0013】
また、負圧源と、負圧源と収納空間とを開通する状態と遮断する状態とを切り替える切替手段とを更に備える場合には、フェールセーフ制御として、負圧源と収納空間とを開通する状態になるように切替手段を操作してもよい。電池に関する異常が生じた場合に負圧源と収納空間とが開通するので収納空間を負圧まで減圧できる。これにより電極拘束力を弱めて電池を機能停止できる。
【0014】
また、全固体電池セルは、ガラス固体電解質を有し、調整手段として、圧力源から給気口を通じて収納空間に導かれる気体の供給量を調整できるように圧力源を駆動可能な駆動部が設けられ、制御部は、フェールセーフ制御として、セル温度がガラス固体電解質の結晶化温度を超える温度となるように駆動部を操作する加圧加熱制御を行ってもよい。この電池ケース装置では、電池に関する異常が生じた場合にセル温度が結晶化温度を超えるので、ガラス固体電解質の結晶化によりガラス固体電解質のイオン輸送が閉鎖する。換言すれば、セル温度が結晶化温度を超えることによって化学的に電池が不働態化するので、異常発生時に電池を機能停止できる。
【0015】
排気口が収納空間の重力方向最下部に位置するように、電池ケースが設置されてもよい。この電池ケース装置では、排気口が収納空間の重力方向最下部に位置するため、収納空間内に供給される気体に含まれた水蒸気が凝縮して水滴が生じても、この水滴を排気口から排出することができる。これにより、水滴が組電池と接触するのを抑制することができる。
【0016】
本発明の一側面に係る電源装置は、全固体電池セルを含む電池と、電池を収納可能な収納空間を有する電池ケースと、を備え、電池ケースには、圧縮加熱された気体が圧力源から収納空間に供給されるように圧力源を収納空間に通じさせるための給気口と、収納空間に通じる排気口とが形成され、給気口又は排気口を通じて電池の出力に影響する因子としての出力に影響する因子を調整可能な調整手段を有する。
【0017】
この電源装置では、上記の電池ケース装置と同様に、調整手段によって電池の出力に影響する因子としての出力に影響する因子を電池が機能するように変更できるため、出力特性が安定した電源が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一側面によれば、調整手段によって電池の出力に影響する因子を電池が機能するように変更できるから、電池の実使用において要求される出力が安定するように調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態に係る電源装置の概略構成図である。
図2】組電池の概略断面図である。
図3】全固体電池の絶対圧と電極拘束力との関係を示すグラフである。
図4】全固体電池の絶対圧と温度との関係を示すグラフである。
図5】全固体電池の温度とイオン伝導度との関係を示すグラフである。
図6】電源装置の作動開始時から定常状態に至るまでの電池ケースの内部温度の時間変化の一例を模式的に示すグラフである。
図7】第二実施形態に係る電源装置の概略構成図である。
図8】第三実施形態に係る電源装置の制御形態を説明するための図である。
図9】減圧制御を実施するための構成を説明する図。
図10】全固体電池のセル温度とイオン伝導度との関係を示すグラフである。
図11】第四実施形態に係る電源装置の概略構成図である。
図12】第五実施形態に係る電源装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
全固体電池は、セルの電極拘束力やセル温度の変化によって出力が変化する特性を持つ。この電極拘束力やセル温度は出力に影響する因子の一例である。従って、全固体電池の電極拘束力や温度を調整することにより電池の出力特性を調整できる。全固体電池は、液体電解質を有する従来電池よりも高い電極拘束力が必要であるとともに、従来電池よりもセル温度を高温に維持することが求められる。全固体電池セルを覆うセルケースに加わる電極拘束力は、電池ケース内の内部圧力とセルケースの内部圧力の差で決まる。セルケース内の圧力は電池を組み立てる際に調整可能であるが、具体的な内部圧力はセルケースに収めるセルの種類によって異なる。例えば、セルケースには、ラミネート、角型、円筒型等のセルケースがあり、このようなセルケースにセルを収納して密封するまでに大気圧下で圧力調整をせずに製造すれば、セルケースの内部圧力は1気圧で定義される。そして、電池ケース内の内部圧力を高く維持するように調圧された状態において、圧縮加熱された気体を供給し続けると、電池ケース内の内部温度も高くなり、セルが昇温される。つまり、圧縮加熱した気体を電池ケース内に流通させれば、電池の電極拘束力とセル温度の調整ができる。これにより、全固体電池の出力特性を調整できる。
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る電池ケース装置及び電源装置は、例えば、自動車等の車両に搭載される二次電池装置、モーター等の電動機械を作動させる電源装置等に利用することができる。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
[第一実施形態]
図1に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、複数の全固体電池セル(以下、電池セルという。)2が組み合わされた組電池3と、組電池3を収納する電池ケース4と、を備える。組電池3は電池の一例に相当する。
【0023】
組電池3は、複数の電池セル2が互いに直列又は並列に接続されて、一つの電池として機能する。組電池3は、組電池3から電力を出力するための正極端子(プラス端子)15及び負極端子(マイナス端子)16が接続されている。
【0024】
図2に示すように、本形態では、電池セル2は、対向配置された正極12及び負極13と、正極12と負極13との間に配置された固体の電解質14とを含む。電池セル2はセルケース2aに収納された状態で密封されている。なお、電池セル2は大気圧の状態でセルケース2aに収納されているが、負圧まで減圧した状態で電池セル2がセルケース2aに収納されてもよい。電解質14は、正極12と負極13との間でイオン輸送を行う。電解質14は、放電時は、正極12側から負極13側にイオンを輸送し、充電時は、負極13側から正極12側にイオンを輸送する。電解質14としては、例えば、Li10Ge0.2512、LiPSCl等の硫化物系電解質、70LiS・30P、Li11等のガラス固体電解質が用いられる。
【0025】
図1に示すように、電池ケース4は、組電池3を収納する収納空間Aを有する。つまり、収納空間Aは、組電池3を収納可能な電池ケース4の内部空間である。収納空間Aの形状は、特に限定されるものではなく、組電池3を収納することができれば如何なる形状であってもよい。電池ケース4には、給気口18及び排気口19が形成されている。給気口18は圧力源5を収納空間Aに通じさせる。排気口19は、電池ケース4の外部に設けられた調整弁6を収納空間Aに通じさせる。このため、収納空間Aは、閉空間ではなく、給気口18及び排気口19を通じて外部との通気手段を持つ空間である。
【0026】
圧力源5は、気体を圧縮加熱して圧送するものである。圧力源5は、電源装置1の作動中は基本的に作動しているが、電池セル2の加熱が必要でない場合は作動を停止させてもよい。なお、圧力源5の作動を停止した場合に収納空間Aから圧力源5側へ向かう気体の流れを阻止する逆止弁(不図示)を圧力源5と給気口18との間に設けてもよい。圧力源5としては、例えば、コンプレッサー、ポンプ等の流体機械が用いられる。圧力源5は、給気口18に連通された給気ダクト20に接続されている。そして、圧力源5は、給気ダクト20を介して給気口18から収納空間Aに気体を圧送する。圧力源5が収納空間Aに圧送する気体は、大気中の空気であることが好ましいが、それ以外の気体であってもよい。圧力源5は、電源装置1に専用のものである必要はない。例えば、電源装置1が車両に搭載される場合は、車両に搭載されたファン、コンプレッサー等の車載圧力機器を圧力源5として用いてもよい。
【0027】
圧力源5から電池ケース4までの経路及び電池ケース4を含む系は系外との間で断熱されていることが好ましい。例えば、給気ダクト20を断熱材で覆うとともに電池ケース4の外装又は内装として断絶材を使用することや、電池ケース4の素材として断熱材を使用することにより断熱性を確保することができる。
【0028】
調整弁6は、排気口19からの気体の排出量を調整可能な装置である。調整弁6は、全閉状態から全開状態まで開度変更可能な弁であり、例えばレギュレータや減圧弁等の調圧器として使用可能な弁を用いることができる。調整弁6は、排気口19に連通された排気ダクト21に接続されている。そして、調整弁6は、収納空間Aの圧力が所定の圧力に保持されるように気体の排出量を調整する。これによって収納空間Aを流通する加圧圧縮された気体の量を調整できる。調整弁6から排出された気体は、大気中に放出される。
【0029】
ここで、圧力源5により圧縮加熱された気体を給気口18から収納空間Aに圧送し、調整弁6により気体の排出量を調整することで、収納空間Aの内部圧力を高圧状態に維持できる。図3に示すように、収納空間Aの内部圧力が高くなると、収納空間Aの内部圧力に比例して電池セル2の電極拘束力も高くなる。図3では、横軸に、収納空間Aの絶対圧(hPa)を示しており、縦軸に、電池セル2の電極拘束力(kgf/cm)を示している。また、図4に示すように、圧力源5が気体を圧縮することにより気体の温度が高くなる。そして、圧力源5にて圧縮加熱された気体が収納空間Aに供給されることにより収納空間Aの内部温度が高くなる。図4では、横軸に、収納空間Aの絶対圧(hPa)を示しており、縦軸に、収納空間Aの内部温度(℃)を示している。なお、本明細書において、気圧は、絶対圧を基準とする。絶対真空を0Paとして、標準大気圧は1atm=101.33kPa=1013.3hPaである。
【0030】
組電池3の出力に影響する因子の一つであるセル温度は、電解質14のイオン伝導度を左右する。そして、イオン伝導度は組電池3の出力を左右する。図5に示すように、電解質14のイオン伝導度は、セル温度が高いほど高く、セル温度が低いほど低くなる。なお、セル温度に対するイオン伝導度の傾きは、電解質14の材料等によって変わるが、セル温度が高くなるほどイオン伝導度が高くなる図5の傾向は、電解質14の材料等によって変わらない。
【0031】
組電池3が機能する電極拘束力の範囲及びセル温度の範囲は、電解質14として用いられる材料によって変わる。例えば、電解質14として硫化物系ガラス固体電解質を用いた場合、組電池3が機能する電極拘束力を得るために必要な収納空間Aの内部圧力の範囲は1気圧~5気圧であり、組電池3が機能するセル温度を得るために必要な収納空間Aの内部温度の範囲は約-20℃~170℃である。なお、組電池3が機能するとは、組電池3から実用に耐える出力が得られることをいい、組電池3から実用に耐えない低出力が得られている場合を含まない。実用に耐えない低出力とは、例えば、実使用において要求される所望の出力未満をいう。
【0032】
このため、収納空間Aの内部圧力が上記範囲内に維持され、かつ収納空間Aの内部温度が上記範囲内に維持されるように、調整弁6及び圧力源5の少なくとも一方が操作されることによって組電池3は機能する。一方、収納空間Aの内部圧力及び内部温度の少なくとも一方が上記各範囲外となることによって組電池3は機能停止する。
【0033】
電源装置1では、圧力源5にて圧縮加熱された気体が収納空間Aに供給されるため、電池ケース4は、所定の耐圧性及び耐熱性を有することが好ましい。例えば、25℃の収納空間Aを1気圧~5気圧の範囲で調整する場合、電池ケース4は、余裕をもって8気圧に耐えられる耐圧性を有することが好ましい。また、例えば、収納空間Aを1気圧~6気圧の範囲で調整する場合、収納空間Aの内部温度は25~225℃となるため、電池ケース4は、余裕をもって250℃に耐えられる耐熱性を有することが好ましい。また、組電池3は使用される電極によって耐熱温度が変化することから、電池ケース4は、所定の耐熱性を有することが好ましい。例えば、負極13として金属リチウムを用いる場合、金属リチウムの融点が180℃程度であるため、150℃で機能させることが好ましく、電池ケース4の耐熱性は余裕をもって、200℃以上とすることが望ましい。このような電池ケース4の素材としては、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属材料、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド等の耐熱性樹脂、ポリイミド、アリル樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0034】
収納空間Aに供給される気体に水分が含まれている場合、収納空間A内で気体が凝縮して水滴が生じる場合がある。そこで、電池ケース4に溜まった当該水滴を排出する観点から、排気口19が収納空間Aの重力方向最下部に位置するように、電池ケース4が設置されていることが好ましい。排気口19が収納空間Aの重力方向最下部に位置しない場合は、別途、収納空間Aから水滴を排出する排水口を設けてもよい。また、収納空間A内で気体を凝縮させない観点から、圧力源5、圧力源5の上流側、又は圧力源5と電池ケース4との間に、気体を乾燥させる乾燥剤又は乾燥装置を取り付けてもよい。また、ヒートポンプ暖房を使用する環境で電源装置1を使用する場合であれば、空気を除湿乾燥させる室外機(エバポレータ)を通過した空気を使用することもできる。
【0035】
固定具23は、例えば、組電池3を挟み込む一対の板24,25と、固定部材26と、を備える。固定部材26としては、例えば、バネ、ネジ、ベルトが用いられる。但し、固定具23は、上記の機構及び構成に限定されるものではない。
【0036】
次に、本実施形態に係る電源装置1の使用方法及び動作について説明する。
【0037】
収納空間Aに組電池3が収納された電池ケース4に圧力源5及び調整弁6が接続された状態で、圧力源5で圧縮加熱された気体を電池ケース4内に導いて電源装置1を作動させる。図6は、電源装置1を作動開始から組電池3が機能する定常状態に至るまでの電池ケース4内の内部温度の時間的変化の一例を模式的に示している。
【0038】
図6に示すように、時刻t0において、調整弁6の開度が全閉状態で圧縮加熱された気体の供給が開始すると、収納空間Aに圧縮加熱された気体の流入が継続する。このため、収納空間Aの内部温度は経過時間とともに徐々に上昇する。時刻t1において、内部温度は組電池3が機能する温度範囲内に達する。時刻t1の後は、組電池3が機能する範囲内に電極拘束力及びセル温度が制御されるように調整弁6が操作される。例えば、実使用において要求される出力に合わせて内部温度の目標値を設定し、その目標値に収束するように調整弁6の開度を増加方向又は減少方向に操作する。これにより組電池3の出力特性を安定化できる。
【0039】
このように、本実施形態では、圧力源5で加熱圧縮された気体が給気口18を通じて電池ケース4の収納空間Aに供給される一方で、排気口19からの気体の排出量を調整弁6で調整できるため、収納空間Aの内部温度を組電池3が機能するセル温度を得るために必要な温度に、収納空間Aの内部圧力を組電池3が機能する電極拘束力を得るために必要な圧力に維持できる。しかも、収納空間Aの内部圧力が高くなっても、収納空間A内の気体を排気口19から排出できるため、電池ケース4にかかる負荷が抑制される。
【0040】
また、排気口19が収納空間Aの重力方向最下部に位置することで、収納空間A内で気体が凝縮して水滴が生じても、この水滴を排気口19から排出することができる。これにより、水滴が溜まって組電池3と接触するのを抑制することができる。
【0041】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、制御部を備えた点で第一実施形態と相違するが、基本的に第一実施形態と同様である。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、本実施形態に係る電源装置31は、組電池3と、電池ケース4と、圧力源5と、調整弁6と、制御部32と、を備える。また、電源装置31には、圧力源5から給気口18を通じて収納空間Aに導かれる気体の供給量を調整できるように圧力源を駆動可能な駆動部42が設けられている。
【0043】
制御部32は、CPU(Central Processing Unit)、センサ入力部、モーターコントロール用出力部等を有する電子制御ユニットである。制御部32は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。制御部32は、組電池3の出力に影響する因子が制御されるように調整弁6及び駆動部42の少なくとも一方を制御する。例えば、出力に影響する因子の制御の一例として、制御部32は、組電池3の電極拘束力が制御され、かつ組電池3が機能する温度範囲にセル温度が制御されるように、調整弁6を操作する。また、出力に影響する因子の制御の他の一例として、制御部32は、組電池3の電極拘束力が制御され、かつ組電池3が機能する温度範囲にセル温度が制御されるように、駆動部42を制御する。これらの制御は制御部32によって何れか一方のみ実施されてもよいが、これらの制御が制御部32によって同時に実施されてもよい。これらの制御が同時に実施される場合、調整弁6及び駆動部42が調整手段の一例に相当する。
【0044】
図8に示すように、収納空間Aの内部に温度センサ34が配置されている場合、収納空間Aの内部温度は、例えば、この温度センサ34から取得することができる。また、図8に示すように、排気ダクト21に温度センサ35が配置されている場合、収納空間Aの内部温度は、この温度センサ35から取得することができる。制御部32は、調整弁6の動作量の一例である開度を、開度センサ等によって直接取得してもよいが、制御部32が記憶する調整弁6に対する制御指令値に基づいて取得することもできる。なお、組電池3の出力に影響する因子の一例である電極拘束力は収納空間Aの内部圧力と相関する。また、組電池3の出力に影響する因子の他の一例であるセル温度は収納空間Aの内部温度と相関する。本実施形態では、電極拘束力及びセル温度を制御するため、これらと相関する物理量として内部圧力と内部温度とを制御しているが、例えば、セル温度を直接測定して制御対象としてもよい。
【0045】
また、実機を使用した実験又はシミュレーション等の事前調査により、例えば、組電池3の電極拘束力と調整弁6の動作量との対応関係、セル温度と調整弁6の動作量との対応関係、組電池3の電極拘束力と駆動部42の出力との対応関係、及びセル温度と駆動部42の出力との対応関係を事前に求めておき、制御部32に記憶させておく。そして、制御部32は、このように記憶しておいた各種対応関係を適時に読み出して、目標値となる電極拘束力及びセル温度に対応する調整弁6の動作量又は駆動部42の出力をそれぞれ特定し、特定した動作量及び出力で動作するように調整弁6及び駆動部42を操作する。なお、上記各種の対応関係を求める際に、制御精度に影響する大気温度や大気圧等の周辺環境も考慮してもよい。これにより、各種対応関係が特定する内容と実態との乖離が小さくなるため制御精度が向上する。
【0046】
図8に示すように、正極端子15及び負極端子16にバッテリー監視装置33が電気的に接続されている場合、組電池3の出力は、バッテリー監視装置33から取得することができる。バッテリー監視装置33は、組電池3の出力を検出して、組電池3の充放電性能を監視する装置である。例えば、制御部32はバッテリー監視装置33が取得した充放電性能に関する情報を利用し、上述した各種対応関係を校正してもよい。
【0047】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、制御部が行う制御内容を除き第二実施形態の物理的構成は同様である。第二実施形態と同様の事項の説明を省略する。また、第三実施形態の制御は第二実施形態で行う制御とともに実施することもできる。
【0048】
制御部32は、組電池3に関する異常が発生した場合に、フェールセーフ制御を行う。組電池3に関する異常としては、例えば、組電池3の温度の異常上昇、組電池3の出力の異常上昇、出力の短絡、組電池3の破損によるガスの発生および漏洩、が挙げられる。組電池3に関する異常の検出方法は問わない。例えば、組電池3の温度の異常は、収納空間Aの内部に配置された温度センサ34(図8参照)により検出することができる。組電池3の破損によるガスの発生および漏洩は、排気ダクト21に配置されたガスセンサ(不図示)により検出することができる。
【0049】
フェールセーフ制御は、組電池3に関する異常が生じた場合に、組電池3を機能停止させるための制御である。つまり、フェールセーフ制御は、組電池3に関する異常が生じた場合に、調整弁6や駆動部42による出力に影響する因子の調整によって組電池3の機能停止させる制御である。これにより、組電池3の一部に発生した異常部分に電流が集中することを抑制することができる。組電池3が機能する電極拘束力の範囲やセル温度の範囲については上述したが、制御部32は、異常が生じた場合には電極拘束力及びセル温度の少なくとも一方がこれらの範囲外として組電池3を機能停止させる。
【0050】
例えば、制御部32は、フェールセーフ制御として、収納空間Aの内部圧力が低下するように調整弁6の開度を増加方向に操作する減圧制御を行う。この減圧制御によって組電池3の電極拘束力を上記範囲の下限値未満とすることで、組電池3を機能停止できる。この場合、調整弁6の開度操作と同時に圧力源5による気体の供給を停止または低下させてもよい。例えば、制御部32は、減圧制御を行うことによって電池ケース4の内部圧力を大気圧に減圧してもよい。
【0051】
例えば、自動車等の負圧源が存在する対象に電源装置が適用される場合、図9に示すように、負圧源47に接続される負圧経路49を給気ダクト20に接続し、その接続部に三方弁48を設けてもよい。三方弁48は、負圧経路49を閉鎖する一方で給気ダクト20を開通する状態aと、負圧源47と収納空間Aとを開通する一方で圧力源5からの気体の供給を遮断する状態bとを切り替えることができる。従って、三方弁48は切替手段の一例に相当する。制御部32は、異常時に三方弁48を状態aから状態bに切り替えて収納空間Aの内部圧力を負圧まで減圧し、セルケース2aの内圧を収納空間Aの内部圧力よりも大きくできる。これにより、組電池3を不動化させることが可能である。なお、真空ポンプなどの減圧装置を負圧源の一例として設け、異常時に減圧装置を作動させて、同様に組電池3を不動化させることも可能である。
【0052】
また、電解質14がガラス固体電解質である場合、制御部32は、化学的なフェールセーフ制御として、セル温度をガラス固体電解質の結晶化温度を超える温度に変更する。図10に示すように、ガラス固体電解質は、温度が上昇するとイオン伝導度が高くなるが、所定の結晶化温度を超えると、イオン伝導度が急激に低下してイオン輸送が閉鎖される。例えば、図10に示す例では、170℃付近を超えると、イオン伝導度が急激に低下し、200℃付近を超えるとイオンの輸送が閉鎖される。このため、制御部32は、セル温度がこの結晶化温度を超えるように内部温度に変更する。例えば、制御部32は、セル温度がこの結晶化温度を超える温度となるように駆動部42を操作する加圧加熱制御を行う。これにより、電解質14のガラス輸送が閉鎖されるため組電池3を機能停止できる。なお、ガラス固体電解質としては、例えば、LiPSが用いられる。
【0053】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。
【0054】
図11に示すように、本実施形態に係る電源装置41は、組電池3と、電池ケース4と、圧力源5と、圧力源5の出力を調整する駆動部42と、絞り付きの排気ダクト(圧力調整排気ダクト)43と、を備える。駆動部42は制御部45によって制御される。
【0055】
排気ダクト43は、第一実施形態の排気ダクト21に対応するものであり、電池ケース4の排気口19に連通されている。排気ダクト43には、絞り部の一例としてのベンチュリ部44が形成されている。ベンチュリ部44は、排気ダクト43の流路を小径化する部分であり排気ダクト43を流れる気体の流路抵抗となる。このため、ベンチュリ部44は、収納空間Aに供給された気体を排気ダクト43から抜けにくくすることで、収納空間Aの内部圧力の低下を抑える。なお、ベンチュリ部44の代わりに、オリフィス板にて流路を絞るオリフィス部を絞り部の他の一例として設けることもできる。
【0056】
[第五実施形態]
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態は、給気口及び排気口として機能する給排気口が電池ケースに設けられている点を除き、基本的に第一実施形態及び第二実施形態と同様である。以下では、第二実施形態と相違する事項のみを説明し、第二実施形態と同様の事項の説明を省略する。
【0057】
図12に示すように、本実施形態に係る電源装置51は、組電池3と、電池ケース52と、圧力源5と、調整弁6と、を備える。
【0058】
電池ケース52は、組電池3を収納する収納空間Aを有する。電池ケース52には、給気口と排気口とを兼ねる一つの給排気口54が形成されている。給排気口54は、圧力源5及び調整弁53を収納空間Aに通じさせるための開口部である。
【0059】
電池ケース52には、通気ダクト55が接続されている。通気ダクト55の一方端部側は、電池ケース52の給排気口54に連通されており、通気ダクト55の他方端部側は、圧力源5に通じる第一通気部56と第二通気部57とに分岐されている。第二通気部57は給排気口54に通じており、第二通気部57には調整弁6が設けられている。第二通気部57は排気通路の一例として機能する。
【0060】
圧力源5にて圧縮加熱された空気は収納空間Aに供給されるとともに、収納空間A内の空気は給排気口54から通気ダクト55の第二通気部57に導かれて調整弁6を介して大気中に放出される。
【0061】
このような構成においても、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。
【0063】
例えば、上記の各実施形態は、その一部を互いに適用し合うことができる。例えば、第二実施形態の制御部を、第五実施形態に適用してもよい。また、第三実施形態のフェールセーフ制御を第二実施形態に適用してもよい。さらに、第五実施形態の構成を上述した各実施形態の構成と置き換えて実施してもよい。
【0064】
上記各実施形態では、複数の全固体電池セル2が組み合わされた組電池3が本発明に係る電池の一例に相当するが、組電池3の代わりに、全固体電池セル2が単体である電池を本発明に係る電池の一例として設けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…電源装置、2…全固体電池セル、3…組電池、4…電池ケース、5…圧力源、6…調整弁、11…全固体電池セル、12…正極、13…負極、14…電解質、15…正極端子、16…負極端子、18…給気口、19…排気口、20…給気ダクト、21…排気ダクト、23…固定具、24,25…板、26…固定部材、31…電源装置、32…制御部、33…バッテリー監視装置、34…温度センサ、35…温度センサ、41…電源装置、42…駆動部、43…排気ダクト、44…ベンチュリ部、45…制御部、51…電源装置、52…電池ケース、53…調整弁、54…給排気口、55…通気ダクト、56…第一通気部、57…第二通気部、A…収納空間。
図1
図2
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図10
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図12